(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120721
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20240829BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027727
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆志
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072BA15
5C072BA20
5C072CA05
5C072CA07
5C072DA03
5C072DA25
5C072EA07
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA04
5C072QA11
5C072RA06
5C072RA10
5C072RA16
5C072UA06
5C072UA07
5C072UA11
5C072UA13
5C072UA14
5C072UA17
5C072UA18
5C072VA03
5C072VA05
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物の検出レベルを変更可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】読取ガラス(25)と、前記読取ガラス(25)上の原稿(GS)を読み取り、画像データを出力する画像読取センサ(31)と、前記画像データに画像不良を発生させる異物を検出する際に用いる検出レベルであって、互いに異なる複数の前記検出レベルを記憶する記憶装置(42)と、を備えるように構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取ガラスと、
前記読取ガラス上の原稿を読み取り、画像データを出力する画像読取センサと、
前記画像データに画像不良を発生させる異物を検出する際に用いる検出レベルであって、互いに異なる複数の前記検出レベルを記憶する記憶装置と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
コントローラをさらに備え、
前記コントローラは、
複数の前記検出レベルのうち、いずれかを設定する設定処理と、
前記設定処理にて設定された前記検出レベルに基づき、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された画像データから、前記異物を検出する検出処理と、
を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
報知部または通信部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記検出処理にて、前記異物を検出した場合は、前記報知部または前記通信部を介して、前記異物の存在を通知する通知処理を、
実行することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
複数の前記検出レベルは、複数の前記検出レベル毎に、輝度値に関する閾値である互いに異なる第1閾値を含み、
前記コントローラは、
前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された前記画像データの輝度値が、前記第1閾値以下である場合に、前記異物があると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
複数の前記検出レベルは、輝度値に関する閾値である第1閾値と、画素数に関する閾値であって、複数の前記検出レベル毎に、互いに異なる第2閾値と、を含み、
前記コントローラは、
前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された前記画像データの輝度値が前記第1閾値以下の連続する画素数が、前記第2閾値以上である場合に、前記異物があると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
複数の前記検出レベルは、輝度値に関する閾値である第1閾値と、輝度値が前記第1閾値以下となる許容回数に関する閾値であって、複数の前記検出レベル毎に、互いに異なる第3閾値と、を含み、
前記コントローラは、
前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された前記画像データの輝度値が前記第1閾値以下となる回数が、前記第3閾値以上である場合に、前記異物があると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記画像読取センサは、受光した光を検出する素子が主走査方向に複数並んで配置され、
複数の前記検出レベルは、輝度値に関する閾値である第1閾値と、前記画像読取センサの前記主走査方向にて設定され、複数の前記素子から出力された画像データから前記異物を検出する範囲であって、複数の前記検出レベル毎に、互いに異なる検出範囲と、を含み、
前記コントローラは、
前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサの前記検出範囲の前記素子から出力された前記画像データの輝度値が、前記第1閾値以下である場合に、前記異物があると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項8】
複数の前記検出範囲は、
前記画像読取センサの前記主走査方向にて、前記素子が配置された中央部の範囲を含み、
前記検出範囲が前記主走査方向の前記中央部から両外側へ広くなるに従って、前記検出レベルが高くなる、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記検出レベルの選択を受け付ける受付装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記設定処理にて、前記受付装置を介して、選択された前記検出レベルを設定する、
ことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記報知部はディスプレイを含み、
前記コントローラは、
前記通知処理にて、前記異物の存在を通知する通知画面を前記ディスプレイに表示した後、前記検出レベルの変更を受け付ける変更画面を前記ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記報知部はディスプレイを含み、
前記コントローラは、
前記通知処理にて、前記ディスプレイを介して、前記検出レベルの選択を受け付ける、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記通知処理は、前記異物の存在の通知に対して、清掃の要否を選択させる処理を含み、
前記コントローラは、
前記通知処理にて、清掃の不要が選択された場合、前記設定処理にて設定された前記検出レベルよりも所定レベル低い検出レベルに再設定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記原稿の画像の種別を取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得した前記原稿の画像の種別が第1種別であるか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理にて、前記原稿の画像の種別が前記第1種別であると判定した場合は、前記設定処理にて、前記原稿の画像の種別が前記第1種別とは異なる第2種別の画像に設定される第1検出レベルよりも低い第2検出レベルに前記検出レベルを設定する、
ことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置では、読取ガラス上の原稿読取位置にゴミや汚れなどの異物が付着している場合、その位置に対応した読取画像にスジ等の画像不良が発生する。このスジ等の画像不良発生の解決手段として、特許文献1には、読取ガラス上の異物を検出した時に、異物検知メッセージと共に、検出された異物の位置を操作パネルに表示して、ユーザによる清掃を補助する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された画像読取装置では、常に一定の条件を満たす場合に、異物を検出する。このため、ユーザが所望する異物の検出レベル、或いは、原稿の種類に適した異物の検出レベルがそれぞれ違っていても、それぞれの異物の検出レベルに対応させることができなかった。
【0005】
本開示は、上述の問題点を鑑みたものであり、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物の検出レベルを変更可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様の画像読取装置では、読取ガラスと、前記読取ガラス上の原稿を読み取り、画像データを出力する画像読取センサと、前記画像データに画像不良を発生させる異物を検出する際に用いる検出レベルであって、互いに異なる複数の前記検出レベルを記憶する記憶装置と、を備える構成である。
【0007】
上記の構成によれば、画像読取センサから出力された画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を検出する際に、記憶装置に記憶している互いに異なる複数の検出レベルのうち、ユーザが所望する異物の検出レベル、或いは、原稿の種類に適した異物の検出レベルを用いることが可能となる。
【0008】
第2態様は、第1の態様の画像読取装置であって、コントローラをさらに備え、前記コントローラは、複数の前記検出レベルのうち、いずれかを設定する設定処理と、前記設定処理にて設定された前記検出レベルに基づき、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された画像データから、前記異物を検出する検出処理と、を実行するようにしてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、コントローラは、設定された検出レベルに基づいて、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を検出する。これにより、ユーザが所望する異物の検出レベル、或いは、原稿の種類に適した異物の検出レベルを設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0010】
第3態様は、第2の態様の画像読取装置であって、報知部または通信部をさらに備え、前記コントローラは、前記検出処理にて、前記異物を検出した場合は、前記報知部または前記通信部を介して、前記異物の存在を通知する通知処理を、実行するようにしてもよい。上記の構成によれば、コントローラは、ディスプレイなどの報知部を介して異物の存在をユーザに対して通知する。または、コントローラは、通信部を介して外部のPC等の装置に異物の存在を通知する。これにより、ユーザは、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物が付着した旨を容易に認識できる。
【0011】
第4態様は、第2の態様の画像読取装置であって、複数の前記検出レベルは、複数の前記検出レベル毎に、輝度値に関する閾値である互いに異なる第1閾値を含み、前記コントローラは、前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された前記画像データの輝度値が、前記第1閾値以下である場合に、前記異物があると判定するようにしてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、コントローラは、読取ガラス上に原稿がない状態にて、画像読取センサから出力された画像データの輝度値が、第1閾値以下である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、異物がないときの輝度値に近い第1閾値を設定することによって、異物を検出する検出レベルを上げることができる。従って、ユーザが所望する第1閾値、或いは、原稿の種類に適した第1閾値を検出レベルとして設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0013】
第5態様は、第2の態様の画像読取装置であって、複数の前記検出レベルは、輝度値に関する閾値である第1閾値と、画素数に関する閾値であって、複数の前記検出レベル毎に、互いに異なる第2閾値と、を含み、前記コントローラは、前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された前記画像データの輝度値が前記第1閾値以下の連続する画素数が、前記第2閾値以上である場合に、前記異物があると判定するようにしてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、コントローラは、読取ガラス上に原稿がない状態にて、画像読取センサから出力された画像データの輝度値が第1閾値以下の連続する画素数が、第2閾値以上である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、第2閾値の画素数に応じて異物の検出レベルを変更することができる。例えば、小さな異物の場合は、輝度値が第1閾値以下の連続する画素数が少なくなり、大きな異物の場合は、輝度値が第1閾値以下の連続する画素数が多くなる。
【0015】
その結果、第2閾値として設定される画素数が少ない場合、コントローラは、小さな異物を検出することができる。一方、第2閾値として設定される画素数が多い場合、第2閾値として設定される画素数が少ない場合に比べて、コントローラが検出できる異物は大きくなる。つまり、第2閾値として設定される画素数に応じて、異物を検出する検出レベルを変更することができる。従って、ユーザが所望する第2閾値、或いは、原稿の種類に適した第2閾値を検出レベルとして設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0016】
第6態様は、第2の態様の画像読取装置であって、複数の前記検出レベルは、輝度値に関する閾値である第1閾値と、輝度値が前記第1閾値以下となる許容回数に関する閾値であって、複数の前記検出レベル毎に、互いに異なる第3閾値と、を含み、前記コントローラは、前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサから出力された前記画像データの輝度値が前記第1閾値以下となる回数が、前記第3閾値以上である場合に、前記異物があると判定するようにしてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、コントローラは、読取ガラス上に原稿がない状態にて、画像読取センサから出力された画像データの輝度値が第1閾値以下となる回数が、第3閾値以上である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、画像データの輝度値が第1閾値以下となる第3閾値の回数に応じて異物の検出レベルを変更することができる。
【0018】
例えば、第3閾値として設定される許容回数が1回である場合、1回でも画像データの輝度値が第1閾値以下となる輝度値を検出すると異物があると判定する。また、例えば、第3閾値として設定される許容回数が3回である場合、画像データの輝度値が第1閾値以下となる輝度値を1回検出しただけでは、異物があると判定しない。つまり、第3閾値として設定される許容回数に応じて、異物を検出する検出レベルを変更することができる。従って、ユーザが所望する第3閾値、或いは、原稿の種類に適した第3閾値を検出レベルとして設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0019】
第7態様は、第2の態様の画像読取装置であって、前記画像読取センサは、受光した光を検出する素子が主走査方向に複数並んで配置され、複数の前記検出レベルは、輝度値に関する閾値である第1閾値と、前記画像読取センサの前記主走査方向にて設定され、複数の前記素子から出力された画像データから前記異物を検出する範囲であって、複数の前記検出レベル毎に、互いに異なる検出範囲と、を含み、前記コントローラは、前記検出処理にて、前記読取ガラス上に前記原稿がない状態にて、前記画像読取センサの前記検出範囲の前記素子から出力された前記画像データの輝度値が、前記第1閾値以下である場合に、前記異物があると判定するようにしてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、コントローラは、読取ガラス上に原稿がない状態にて、画像読取センサの検出範囲の素子から出力された画像データの輝度値が、第1閾値以下である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、設定される検出範囲に応じて異物の検出レベルを変更することができる。例えば、検出範囲を画像読取センサの主走査方向の全長に亘って設定した場合、画像読取センサの全画素のうち、1個でも輝度値が第1閾値以下の画素を検出すると異物があると判定する。
【0021】
また、例えば、検出範囲を画像読取センサの主走査方向の一部分の範囲に設定した場合は、一部分の範囲内に1個でも輝度値が第1閾値以下の画素を検出すると異物があると判定する。しかし、一部分の範囲の外側に1個でも輝度値が第1閾値以下の画素があっても、一部分の範囲内に輝度値が第1閾値以下の画素がない場合は、異物があると判定しない。つまり、設定される検出範囲に応じて、異物を検出する検出レベルを変更することができる。従って、ユーザが所望する検出範囲、或いは、原稿の種類に適した検出範囲を設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0022】
第8態様は、第7の態様の画像読取装置であって、複数の前記検出範囲は、前記画像読取センサの前記主走査方向にて、前記素子が配置された中央部の範囲を含み、前記検出範囲が前記主走査方向の前記中央部から両外側へ広くなるに従って、前記検出レベルが高くなるようにしてもよい。
【0023】
上記構成によれば、原稿は、画像読取センサの主走査方向の中央部を中心に、主走査方向に対して直交する副走査方向に搬送される。このため、検出範囲が、画像読取センサの主走査方向の中央部から両外側へ広くなるに従って、異物を検出する検出レベルが高くなる。これにより、ユーザが所望する検出範囲、或いは、原稿の種類に適した検出範囲を設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0024】
第9態様は、第2の態様から第8の態様のいずれか一の態様の画像読取装置であって、前記検出レベルの選択を受け付ける受付装置をさらに備え、前記コントローラは、前記設定処理にて、前記受付装置を介して、選択された前記検出レベルを設定するようにしてもよい。上記構成によれば、ユーザは、受付装置を介して望む検出レベルを設定することができる。
【0025】
第10態様は、第3の態様の画像読取装置であって、前記報知部はディスプレイを含み、前記コントローラは、前記通知処理にて、前記異物の存在を通知する通知画面を前記ディスプレイに表示した後、前記検出レベルの変更を受け付ける変更画面を前記ディスプレイに表示するようにしてもよい。上記構成によれば、ユーザは、ディスプレイに表示された通知画面を介して読取ガラス上の異物の存在を確認できる。その後に、ユーザは、ディスプレイに表示された変更画面を介してユーザの望む検出レベルに変更することができる。
【0026】
第11態様は、第3の態様の画像読取装置であって、前記報知部はディスプレイを含み、前記コントローラは、前記通知処理にて、前記ディスプレイを介して、前記検出レベルの選択を受け付けるようにしてもよい。上記構成によれば、ユーザは、異物の存在を通知する画面から、異物を検出する検出レベルの設定をユーザの望む検出レベルに変更することができる。
【0027】
第12態様は、第3の態様の画像読取装置であって、前記通知処理は、前記異物の存在の通知に対して、清掃の要否を選択させる処理を含み、前記コントローラは、前記通知処理にて、清掃の不要が選択された場合、前記設定処理にて設定された前記検出レベルよりも所定レベル低い検出レベルに再設定するようにしてもよい。上記構成によれば、ユーザは、異物の存在を通知する画面にて、異物の清掃が不要である旨を選択することによって、異物の検出レベルを自動で下げることができる。
【0028】
第13態様は、第2の態様から第8の態様のいずれか一の態様の画像読取装置であって、前記コントローラは、前記原稿の画像の種別を取得する取得処理と、前記取得処理にて取得した前記原稿の画像の種別が第1種別であるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理にて、前記原稿の画像の種別が前記第1種別であると判定した場合は、前記設定処理にて、前記原稿の画像の種別が前記第1種別とは異なる第2種別の画像に設定される第1検出レベルよりも低い第2検出レベルに前記検出レベルを設定するようにしてもよい。
【0029】
上記構成によれば、コントローラは、原稿の画像の種別が、第1種別の場合には、原稿の画像の種別が、第2種別の際に設定される第1検出レベルよりも低い第2検出レベルに検出レベルを設定する。従って、第1種別の原稿の場合には、第2種別の原稿の場合よりも、異物を検出するための検出レベルを自動的に下げることができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示の一態様によれば、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物の検出レベルを変更可能な画像読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態1に係る画像読取装置の内部構成の概略を示す断面図である。
【
図2】
図1の画像読取部の構成を拡大して示す図である。
【
図3】
図2の画像読取センサの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る画像読取装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1に係るコントローラが実行する清掃メイン処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図5の清掃判定処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図7】
図6の異物検出処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図8】読取ガラス上に異物がある際に、画像読取センサの出力波形の一例を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る清掃指示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図5の設定値変更処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図11】実施形態1に係る検出レベル設定画面の一例を示す図である。
【
図12】実施形態2に係るコントローラが実行する異物検出処理2のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図13】読取ガラス上に異物がある際に、画像読取センサの出力波形と画素数との対応の一例を示す図である。
【
図14】実施形態2に係る異物の検出レベルの一例を示す図である。
【
図15】実施形態3に係るコントローラが実行する異物検出処理3のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図16】読取ガラス上に異物がある際に、画像読取センサの出力波形の一例を示す図である。
【
図17】実施形態3に係る異物の検出レベルの一例を示す図である。
【
図18】実施形態4に係るコントローラが実行する異物検出処理4のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図19】画像読取センサの異物の検出範囲の一例を示す図である。
【
図20】実施形態4に係る異物の検出レベルの一例を示す図である。
【
図21】実施形態5に係るコントローラが実行する清掃判定処理2のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図22】実施形態5に係る清掃指示画面の一例を示す図である。
【
図23】実施形態6に係るコントローラが実行する第2清掃メイン処理を示すフローチャートである。
【
図24】
図23の清掃判定処理3のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施形態1]
[画像読取装置1の概略構成]
以下、本開示の実施形態1に係る画像読取装置1の概略構成について
図1~
図4に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る画像読取装置1の内部構成の概略を示す断面図である。
図2は、
図1の読取部24の構成を拡大して示す図である。
図3は、
図2の画像読取センサ31の構成を示すブロック図である。なお、
図1において、上下方向および前後方向は矢印により示される。搬送方向FDは、
図1および
図2において、矢印FDにより示される。主走査方向MDは、
図1および
図2において、紙面に対して垂直な方向MDであり、
図3において、矢印MDにより示される。
【0033】
図1に示すように、画像読取装置1は、給紙トレイ2と、本体部3と、排紙トレイ4とを備える。操作部5、およびディスプレイ6が、本体部3の上方へ回動可能に設けられたメインカバー7の上面に配置される。操作部5は、電源スイッチ、および各種設定ボタンを含み、使用者からの操作指令等を受け付ける。例えば、操作部5は、読取動作の開始を指示する開始ボタンなどを含む。ディスプレイ6は、LCDを含み、画像読取装置1の状況を表示する。原稿GSは、給紙トレイ2の支持面の主走査方向MDの中央位置と、原稿GSの主走査方向MDの中央位置とが一致するように載置される。
【0034】
搬送経路20が、本体部3の内部に形成される。給紙トレイ2に支持された原稿GSは、搬送経路20に沿って搬送方向FDに搬送され、排紙トレイ4に排出される。給紙ローラ21と、分離パッド22と、一対の上流側搬送ローラ23と、読取部24と、読取ガラス25と、一対の下流側搬送ローラ26とが、搬送経路20に沿って配置される。
【0035】
給紙ローラ21は、分離パッド22と協働して、複数枚の原稿GSを、1枚ずつ給送する。給紙ローラ21、上流側搬送ローラ23、および下流側搬送ローラ26は、搬送モータMT(
図4参照)により駆動される。読取ガラス25は、光透過性を有し、搬送経路20の下側において搬送経路20に沿って配置される。各搬送ローラ23、26は、搬送経路20において主走査方向の中央位置に配置され、給紙ローラ21から給送された原稿GSが所定の間隔で読取ガラス25の上を通過するように原稿GSを搬送する。
【0036】
本実施形態1では、原稿GSの読み取り面が給紙トレイ2の支持面に向くように原稿GSが給紙トレイ2に支持される。読取部24は、搬送経路20の下側に配置され、読取ガラス25を通過する原稿GSの読み取り面の画像を読み取る。原稿センサ27が、給紙トレイ2に配置され、給紙トレイ2に原稿GSが支持されたときにオンし、給紙トレイ2に原稿GSが支持されていないときにオフするように構成される。
【0037】
[読取部24の詳細な構成]
読取部24の詳細な構成について
図2および
図3を参照して説明する。
図2において、読取部24は、光源30と、画像読取センサ31と、ロッドレンズアレイ32とを備える。光源30は、赤色、緑色、および青色の3色の発光ダイオードを含む。光源30から出射された光が原稿GSの読み取り面などにより反射されたときに、ロッドレンズアレイ32は、反射光を画像読取センサ31に結像する。本実施形態1において、3色の発光ダイオードが順次点灯することにより1ラインの原稿GSの画像が読み取られる。光源30は、3色の発光ダイオードが備えられた1チップの発光ダイオードと、発光ダイオードからの光を主走査方向MDに導光する導光体とを含む。
【0038】
白色基準板34が、読取部24と搬送経路20を介して対向する位置に、配置される。白色基準板34は、原稿GSの背景色である白色と同じ反射率を有する。搬送経路20に原稿GSが存在しない場合に、光源30からの出射光は、白色基準板34により反射され、その反射光はロッドレンズアレイ32を介して画像読取センサ31により受光される。なお、白色基準板34は必ずしも白色でなくてもよく、例えばグレーであってもよい。
【0039】
図3において、画像読取センサ31は、主走査方向MDに直線状に配列される12個のセンサICチップCH1~CH12(以下、チップCH1~CH12という)と、図示しないアナログシフトレジスタと、を有する。各チップCH1~CH12は、主走査方向MDに複数の光電変換素子33(素子)、例えば、2481個の光電変換素子33(素子)を含む。なお、複数の光電変換素子33は、2481個に限定されず、個数が多い程測定精度が向上する。各光電変換素子33の受光量が電荷として蓄積され、その電荷が各画素の電気信号としてアナログシフトレジスタに出力される。
【0040】
アナログシフトレジスタは、光電変換素子33と同数の画素の電気信号を蓄積できる。各光電変換素子33とアナログシフトレジスタの各レジスタとがそれぞれ接続されている。アナログシフトレジスタから出力された電気信号は図示しない増幅器を介してアナログ信号として出力される。先頭画素は、主走査方向MDの最上流の位置にあるチップCH1内のチップCH2と隣接していない側の端部にある先頭素子で読み取られる画素である。最終画素は、主走査方向MDの最下流の位置にあるチップCH12内のチップCH11と隣接していない側の端部にある最終素子で読み取られる画素である。
【0041】
給紙トレイ2の支持面の主走査方向MDの中央位置に対向する位置にある中央画素は、チップCH7に含まれる、例えば、1241画素目の中央素子で読み取られる画素である。1ラインは、この先頭画素から最終画素までの画素で構成される画素群である。
【0042】
[画像読取装置1の電気的構成]
画像読取装置1の電気的構成について
図4に基づいて説明する。
図4は、実施形態1に係る画像読取装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、画像読取装置1は、コントローラ40、デバイス制御部45、アナログフロントエンド(以下、AFEという)46、画像処理部47、および駆動回路48、通信部8を主な構成要素として備える。これらの構成要素は、バス49を介して、操作部5、ディスプレイ6および原稿センサ27に接続される。通信部8は、PC(Personal Computer)等と通信するための通信インタフェースの一例として機能する。
【0043】
コントローラ40は、CPU41、ROM42、RAM43、フラッシュROM44を備えている。ROM42は、後述する清掃メイン処理、清掃メイン処理中のサブ処理など、画像読取装置1の各種動作を実行するためのプログラムを記憶する。CPU41は、ROM42から読み出されたプログラムに従って、各部の制御を行う。フラッシュROM44は、読み書き可能な不揮発性メモリであり、CPU41の制御処理により設定される各種のデータ、例えば初期化するときに使用する各データなどを記憶する。RAM43は、CPU41の制御処理により生成された算出結果などを一時的に記憶する。
【0044】
デバイス制御部45は、読取部24に接続され、コントローラ40からの命令に基づいて、光源30の点灯または消灯を制御する信号、および光源30に流れる電流値を制御する信号を光源30に送信する。また、デバイス制御部45は、
図3に示すように、コントローラ40からの命令に基づいて、シリアルイン信号SIおよびクロック信号CLKを画像読取センサ31に送信する。
【0045】
シリアル信号SIは、画像読取センサ31の各チップCH1~CH12の多数の光電変換素子33の電気信号を同時にアナログシフトレジスタの各レジスタに転送するための制御信号である。クロック信号CLKは、アナログシフトレジスタの電気信号を順番に1画素ずつ出力させるための制御信号である。読取部24は、デバイス制御部45からこれらの制御信号を受け取ると、光源30を点灯させるとともに、画像読取センサ31が受光した受光量に応じたアナログ信号をAFE46に送信する。
【0046】
AFE46は、読取部24に接続され、コントローラ40からの命令に基づいて、読取部24から送信されるアナログ信号をデジタルデータに変換する。AFE46は、予め定められた入力レンジおよび分解能を有する。例えば、分解能は、10ビットであるならば「0」から「1023」の階調である。この場合に、AFE46は、読取部24から送信されたアナログ信号をデジタルデータとして10ビット(0~1023)の階調データに変換する。AFE46によって変換されたデジタルデータは、画像処理部47に送信される。
【0047】
画像処理部47は、画像処理用の専用ICであるASICから構成され、デジタルデータに各種の画像処理を施す。画像処理は、ガンマ補正などの補正処理である。画像処理部47は、画像処理をデジタルデータに施し、デジタル画像データを生成する。そのデジタル画像データは、バス49を介してRAM43に記憶される。
【0048】
駆動回路48は、搬送モータMTに接続され、コントローラ40から送信される駆動指令に基づいて搬送モータMTを駆動する。駆動回路48は、駆動指令により指令された回転量および回転方向に従って搬送モータMTを回転させる。搬送モータMTが所定量だけ回転すると、給紙ローラ21、および各搬送ローラ23、26が所定角度回転し、搬送経路20において原稿GSが所定距離だけ搬送される。
【0049】
[画像読取装置1の処理の流れ]
次に、画像読取装置1の読取ガラス25上の異物検出時の処理の流れについて
図5~
図11に基づいて説明する。
図5は、電源が投入されている状態において、コントローラ40が実行する清掃メイン処理の一例を示すフローチャートである。
図5にフローチャートで示されるプログラムは、予めROM42に記憶されている。
【0050】
図5に示すように、電源が投入されると、ステップS11において、コントローラ40は、読取ガラス25または画像読取センサ31の清掃が必要であるか否かを判定する清掃判定処理を実行した後、ステップS12の処理に進む。なお、清掃判定処理の詳細は後述する。
【0051】
ステップS12において、コントローラ40は、操作部5を介してスキャン指示が入力されたか否かを判定する。そして、コントローラ40は、操作部5を介してスキャン指示が入力されたと判定した場合は(S12:YES)、ステップS13の処理に進む。
【0052】
ステップS13において、コントローラ40は、給紙トレイ2に載置された原稿GSを読み取るスキャン処理を実行した後、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、コントローラ40は、清掃判定処理を実行した後、再度、ステップS12以降の処理を実行する。
【0053】
一方、上記ステップS12において、コントローラ40は、操作部5を介してスキャン指示が入力されていないと判定した場合は(S12:NO)、ステップS15の処理に進む。ステップS15において、コントローラ40は、不図示のカバーセンサからの出力信号に基づき、メインカバー7がオープンされたか否かを判定する。そして、コントローラ40は、メインカバー7がオープンされたと判定した場合は(S15:YES)、ステップS16の処理に進む。
【0054】
ステップS16において、コントローラ40は、カバーセンサからの出力信号に基づき、メインカバー7がクローズされたか否かを判定する。そして、コントローラ40は、メインカバー7がクローズされていないと判定した場合は(S16:NO)、再度ステップS16の処理を実行する。一方、コントローラ40は、メインカバー7がクローズされたと判定した場合は(S16:YES)、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、コントローラ40は、清掃判定処理を実行した後、再度、ステップS12以降の処理を実行する。
【0055】
一方、上記ステップS15において、コントローラ40は、メインカバー7がオープンされていないと判定した場合は(S15:NO)、ステップS17の処理に進む。ステップS17において、コントローラ40は、読取ガラス25上、または画像読取センサ31上における、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルの設定を変更する変更指示が操作部5を介して入力されたか否かを判定する。
【0056】
そして、コントローラ40は、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルの設定を変更する変更指示が操作部5を介して入力されていないと判定した場合は(S17:NO)、再度、ステップS12以降の処理を実行する。一方、コントローラ40は、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルの設定を変更する変更指示が操作部5を介して入力されたと判定した場合は(S17:YES)、ステップS18の処理に進む。
【0057】
ステップS18において、コントローラ40は、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルを変更する設定値変更処理を実行した後、再度、ステップS12以降の処理を実行する。なお、設定値変更処理の詳細は後述する。
【0058】
[清掃判定処理のサブ処理]
次に、
図5に示す清掃判定処理(S11)のサブ処理について
図6~
図9に基づいて説明する。
図6は、上記ステップS11およびステップS14において、コントローラ40が実行する清掃判定処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図7は、
図6の異物検出処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図8は、読取ガラス25上に異物がある際に、画像読取センサ31の出力波形の一例を示す図である。
図9は、清掃指示画面の一例を示す図である。
【0059】
図6に示すように、ステップS111において、コントローラ40は、画像データの輝度値に関する閾値である第1閾値T1を取得する。ここで、
図8に示すように、画像データの輝度値に関する閾値である第1閾値T1としては、例えば、低レベルの第1閾値T11と、中レベルの第1閾値T12と、高レベルの第1閾値T13とが、予めROM42に記憶されている。そして、画像読取装置1の起動時には、画像データの輝度値に関する閾値として、中レベルの第1閾値T12が設定されている。
図6に戻り、ステップS111において、コントローラ40は、第1閾値T1として中レベルの第1閾値T12をROM42から読み出してRAM43に記憶した後、ステップS112の処理に進む。
【0060】
ステップS112において、コントローラ40は、読取ガラス25上に原稿GSが無い状態で、デバイス制御部45を介して、光源30を点灯して、画像読取センサ31で読み取りを実行した後、ステップS113の処理に進む。これにより、コントローラ40は、画像処理部47を介して、画像読取センサ31の各光電変換素子33に対応する各画素(以下、「画素33」ともいう。)の輝度値を取得することができる。
【0061】
ステップS113において、コントローラ40は、異物検出処理を実行した後、ステップS114の処理に進む。ここで、異物検出処理のサブ処理について、
図7に基づいて説明する。
図7に示すように、ステップS211において、コントローラ40は、各画素の輝度値を順に読み出し、輝度値が中レベルの第1閾値T12以下の画素が存在するか否かを判定する。
【0062】
コントローラ40は、輝度値が中レベルの第1閾値T12以下の画素が存在すると判定した場合は(S211:YES)、ステップS212の処理に進む。例えば、
図8に示すように、出力波形51に、中レベルの第1閾値T12以下の輝度値A1が存在した場合は、ステップS212の処理に進む。
【0063】
ステップS212において、コントローラ40は、RAM43から異物検出フラグを読み出して、オンに設定した後、再度RAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。なお、異物検出フラグは、画像読取装置1の起動時に、オフに設定されてRAM43に記憶される。
【0064】
一方、コントローラ40は、輝度値が中レベルの第1閾値T12以下の画素が存在しないと判定した場合は(S211:NO)、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。従って、異物検出フラグはオフに設定された状態でRAM43に記憶されている。
【0065】
次に、
図6に示すように、ステップS114において、コントローラ40は、異物検出フラグをRAM43から読み出し、異物検出フラグがオンに設定されているか否かを判定する。つまり、コントローラ40は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上に異物を検出したか否かを判定する。そして、コントローラ40は、異物検出フラグがオフに設定されていると判定した場合、つまり、読取ガラス25上または画像読取センサ31上に異物を検出していないと判定した場合は(S114:NO)、当該サブ処理を終了して、清掃メイン処理に戻る。
【0066】
一方、コントローラ40は、異物検出フラグがオンに設定されていると判定した場合、つまり、読取ガラス25上または画像読取センサ31上に異物を検出したと判定した場合は(S114:YES)、ステップS115の処理に進む。ステップS115において、コントローラ40は、読取ガラス25または画像読取センサ31に付着した異物の存在を通知して清掃を促す清掃指示画面をディスプレイ6に表示する。なお、コントローラ40は、LEDなどの点灯によって、読取ガラス25または画像読取センサ31に付着した異物の存在を通知して清掃を促すようにしてもよい。ディスプレイ6またはLEDは、報知部の一例として機能する。
【0067】
また、通信部8に外部のPC(パーソナルコンピュータ)等が接続されている場合には、コントローラ40は、読取ガラス25または画像読取センサ31に付着した異物の存在を通信部8を介して、外部のPC等の装置に通知して清掃を促すようにしてもよい。例えば、コントローラ40は、外部のPC等の装置に、読取ガラス25または画像読取センサ31の清掃を促す清掃指示画面を表示するように通信部8を介して指示する。その後、コントローラ40は、当該サブ処理を終了して、清掃メイン処理に戻る。
【0068】
ここで、清掃指示画面の一例について
図9に基づいて説明する。
図9に示すように、コントローラ40は、清掃指示画面52をディスプレイ6に表示する。清掃指示画面52には、例えば、読取ガラス25の清掃を指示する旨と、読取ガラス25のガラス面の汚れなどの検知レベルの変更を促す旨とが表示される。また、清掃指示画面52には、読取ガラス25のガラス面の汚れなどの検知レベルを変更するガラス面汚れ検知設定ボタン52Aと、清掃指示画面52の表示を終了する閉じるボタン52Bとが表示される。清掃指示画面52は、通知画面の一例として機能する。
【0069】
そして、閉じるボタン52Bがタッチパネル5Aを介して押下された場合は、清掃指示画面52の表示が終了する。一方、ガラス面汚れ検知設定ボタン52Aがタッチパネル5Aを介して押下された場合は、ガラス面汚れ検知設定画面53が表示される。ガラス面汚れ検知設定画面53には、ガラス面汚れ検知ボタン53Aと、ガラス面汚れ検知レベル変更ボタン53Bと、が表示される。
【0070】
ガラス面汚れ検知ボタン53Aがタッチパネル5Aを介して押下された場合は、ガラス面汚れ検知画面54が表示される。ガラス面汚れ検知画面54には、読取ガラス25または画像読取センサ31の汚れを検知するオンボタン54Aと、読取ガラス25または画像読取センサ31の汚れの検知を中止するオフボタン54Bと、が表示される。つまり、ガラス面汚れ検知画面54では、読取ガラス25または画像読取センサ31の汚れを検知する機能を継続して使用するか、当該機能を停止させるかを選択する画面である。
【0071】
一方、ガラス面汚れ検知レベル変更ボタン53Bがタッチパネル5Aを介して押下された場合は、検知レベル変更画面55が表示される。検知レベル変更画面55は、上ボタン55Aと下ボタン55Bとが表示される。ユーザは、上ボタン55Aまたは下ボタン55Bを押下することによって、画像データの輝度値に関する閾値である中レベルの第1閾値T12、高レベルの第1閾値T13、低レベルの第1閾値T11を順番に選択して、設定することができる。検知レベル変更画面55は、変更画面の一例として機能する。
【0072】
[設定変更処理のサブ処理]
次に、
図5に示す設定変更処理(S18)のサブ処理について
図10および
図11に基づいて説明する。
図10は、設定値変更処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図11は、検出レベル設定画面の一例を示す図である。
【0073】
図10に示すように、ステップS311において、コントローラ40は、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルの設定画面をディスプレイ6に表示した後、ステップS312の処理に進む。例えば、
図11に示すように、コントローラ40は、ディスプレイ6の画面の最上段に、「検出レベルを選択してください」と表示する。そして、コントローラ40は、「検出レベルを選択してください」の表示の下側に、高レベル、中レベル、低レベルの各検出レベルを表示する。そして、コントローラ40は、中レベルの第1閾値T12が検出レベルとして設定されている場合には、中レベルの左側の白丸内に黒丸を表示して、現在設定されている検出レベルを報知する。
【0074】
ステップS312において、コントローラ40は、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルの変更を受け付けた後、ステップS313の処理に進む。例えば、
図11に示すように、コントローラ40は、高レベル、中レベル、低レベルの各検出レベルのうち、いずれかが押下された場合には、左側の白丸内に黒丸を表示する。その後、コントローラ40は、OKボタン57が押下されると、白丸内に黒丸が表示された検出レベルを受け付ける。また、高レベル、中レベル、低レベルの各検出レベルのうち、いずれも押下されないで、OKボタン57が押下された場合には、コントローラ40は、中レベルの検出レベルを受け付ける。
【0075】
ステップS313において、コントローラ40は、ステップS312で受け付けた検出レベルを、画像不良を発生させる異物を検出する検出レベルとして、RAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃メイン処理に戻る。例えば、
図11に示す低レベルが選択されて、OKボタン57が押下された場合は、コントローラ40は、低レベルの第1閾値T13を検出レベルとして設定してRAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃メイン処理に戻る。
【0076】
以上詳細に説明した通り、実施形態1に係る画像読取装置1では、コントローラ40は、読取ガラス25上に原稿がない状態にて、画像読取センサ31から出力された画像データの輝度値が、例えば、中レベルの第1閾値T12以下である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、異物がないときの輝度値に近い第1閾値T1を設定することによって、異物を検出する検出レベルを上げることができる。従って、ユーザが所望する第1閾値T1、或いは、原稿の種類に適した第1閾値T1を検出レベルとして設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0077】
[実施形態2]
次に、実施形態2について、
図12~
図14に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図12は、実施形態2に係るコントローラ40が実行する異物検出処理2の一例を示すサブフローチャートである。
図13は、読取ガラス25上に異物がある際に、画像読取センサ31の出力波形と画素数との対応の一例を示す図である。
図14は、実施形態2に係る異物の検出レベルの一例を示す図である。
【0078】
本実施形態2では、コントローラ40は、
図6に示すステップS113において実行された異物検出処理のサブ処理の内容が実施形態1とは異なる。
【0079】
具体的には、ステップS113において、コントローラ40は、異物検出処理のサブ処理として「異物検出処理2」を実行する。ここで、コントローラ40が、上記ステップS113において実行する「異物検出処理2」について、
図12に示すサブフローチャートに基づいて説明する。
【0080】
図12に示すように、ステップS411において、コントローラ40は、各画素33の輝度値を順に読み出し、画素33の輝度値が第1閾値T1以下の連続する画素数をカウントして、RAM43に記憶した後、ステップS412の処理に進む。例えば、
図13に示すように、コントローラ40は、出力波形61の輝度値が第1閾値T1以下の連続する各画素33A1~33A4の4個と、各画素33B1~33B2の2個と、のそれぞれをカウントして、RAM43に記憶する。
【0081】
ステップS412において、コントローラ40は、上記ステップS411においてカウントした輝度値が第1閾値T1以下の連続する画素数うちの最大値を算出する。そして、この連続する画素数の最大値を最大の異物の大きさとする。また、コントローラ40は、連続する画素数に関する閾値である第2閾値T2として、中レベルの第2閾値T22をROM42から読み出す。そして、コントローラ40は、この連続する画素数の最大値、つまり、最大の異物の大きさが、中レベルの第2閾値T22以上の画素数であるか否かを判定する。
【0082】
ここで、
図14に示すように、連続する画素数に関する閾値である第2閾値T2としては、例えば、低レベルの第2閾値T21と、中レベルの第2閾値T22と、高レベルの第2閾値T23とが、予めROM42に記憶されている。また、例えば、第2閾値T21は、画素数が5[個]である。第2閾値T22は、画素数が3[個]である。また、第2閾値T23は、画素数が1[個]である。
【0083】
コントローラ40は、連続する画素数の最大値、つまり、最大の異物の大きさが、中レベルの第2閾値T22以上の画素数であると判定した場合は(S412:YES)、ステップS413の処理に進む。例えば、
図13に示すように、出力波形61に、中レベルの第2閾値T22以上、例えば3[個]以上の連続する画素33A1~33A4が存在した場合は、ステップS413の処理に進む。
【0084】
ステップS413において、コントローラ40は、RAM43から異物検出フラグを読み出して、オンに設定した後、再度RAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。なお、異物検出フラグは、画像読取装置1の起動時に、オフに設定されてRAM43に記憶される。
【0085】
一方、コントローラ40は、連続する画素数の最大値、つまり、最大の異物の大きさが、中レベルの第2閾値T22未満であると判定した場合は(S412:NO)、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。例えば、コントローラ40は、連続する画素数の最大値、つまり、最大の異物の大きさが、画素数2[個]以下であると判定した場合は(S412:NO)、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。従って、異物検出フラグはオフに設定された状態でRAM43に記憶されている。
【0086】
以上詳細に説明した通り、実施形態2に係る画像読取装置1では、コントローラ40は、読取ガラス25上に原稿がない状態にて、画像読取センサ31から出力された画像データの輝度値が第1閾値T1以下の連続する画素数が、第2閾値T2以上である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、第2閾値T2の画素数に応じて異物の検出レベルを変更することができる。例えば、小さな異物の場合は、輝度値が第1閾値T1以下の連続する画素数が少なくなり、大きな異物の場合は、輝度値が第1閾値T1以下の連続する画素数が多くなる。
【0087】
その結果、第2閾値T2として設定される画素数が少ない場合、コントローラ40は、小さな異物を検出することができる。一方、第2閾値T2として設定される画素数が多い場合、第2閾値T2として設定される画素数が少ない場合に比べて、コントローラ40が検出できる異物は大きくなる。つまり、第2閾値T2として設定される画素数に応じて、異物を検出する検出レベルを変更することができる。従って、ユーザが所望する第2閾値T2、或いは、原稿の種類に適した第2閾値T2を検出レベルとして設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0088】
[実施形態3]
次に、実施形態3について、
図15~
図17に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図15は、実施形態3に係るコントローラ40が実行する異物検出処理3の一例を示すサブフローチャートである。
図16は、読取ガラス25上に異物がある際に、画像読取センサ31の出力波形71の一例を示す図である。
図17は、実施形態3に係る異物の検出レベルの一例を示す図である。
【0089】
本実施形態3では、コントローラ40は、
図6に示すステップS113において実行された異物検出処理のサブ処理の内容が、実施形態1とは異なる。
【0090】
具体的には、ステップS113において、コントローラ40は、異物検出処理のサブ処理として「異物検出処理3」を実行する。ここで、コントローラ40が、上記ステップS113において実行する「異物検出処理3」について、
図15に示すサブフローチャートに基づいて説明する。
【0091】
図15に示すように、ステップS511において、コントローラ40は、各画素の輝度値を順に読み出し、画素の輝度値が第1閾値T1以下となる回数をカウントして、RAM43に記憶した後、ステップS512の処理に進む。例えば、
図16に示すように、コントローラ40は、出力波形71の輝度値が第1閾値T1以下となる回数、つまり、第1閾値T1以下の最小の輝度値P1、P2となる回数として2[回]をカウントして、RAM43に記憶する。なお、ここでは第1閾値T1以下の最小の輝度値P1、P2となる回数をカウントすることにしているが、これに限るものではない。すなわち、第1閾値T1以下となる回数をカウントすればよく、最小の輝度値のみカウントする構成に限定されるものではない。
【0092】
ステップS512において、コントローラ40は、画素の輝度値が第1閾値T1以下となる許容回数に関する閾値である第3閾値T3として、中レベルの第3閾値T32をROM42から読み出す。そして、コントローラ40は、上記ステップS511でカウントした輝度値が第1閾値T1以下となる回数が、中レベルの第3閾値T32以上の回数であるか否かを判定する。
【0093】
ここで、
図17に示すように、画素の輝度値が第1閾値T1以下となる許容回数に関する閾値である第3閾値T3としては、例えば、低レベルの第3閾値T31と、中レベルの第3閾値T32と、高レベルの第3閾値T33とが、予めROM42に記憶されている。また、例えば、第3閾値T31は、許容回数が4[回]である。第3閾値T32は、許容回数が2[回]である。また、第3閾値T33は、許容回数が1[回]である。
【0094】
コントローラ40は、輝度値が第1閾値T1以下となる回数が、中レベルの第3閾値T32以上の回数であると判定した場合は(S512:YES)、ステップS513の処理に進む。例えば、
図16に示すように、出力波形71に、輝度値が第1閾値T1以下となる回数が、中レベルの第3閾値T32以上、例えば2[回]以上である場合は(S512:YES)、ステップS513の処理に進む。
【0095】
ステップS513において、コントローラ40は、RAM43から異物検出フラグを読み出して、オンに設定した後、再度RAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。なお、異物検出フラグは、画像読取装置1の起動時に、オフに設定されてRAM43に記憶される。
【0096】
一方、コントローラ40は、輝度値が第1閾値T1以下となる回数が、中レベルの第3閾値T32未満の回数であると判定した場合、例えば1[回]であると判定した場合は(S512:NO)、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。従って、異物検出フラグはオフに設定された状態でRAM43に記憶されている。
【0097】
以上詳細に説明した通り、実施形態3に係る画像読取装置1では、コントローラ40は、読取ガラス25上に原稿がない状態にて、画像読取センサ31から出力された画像データの輝度値が第1閾値T1以下となる回数が、第3閾値T3以上である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、画像データの輝度値が第1閾値T1以下となる第3閾値T3の回数に応じて異物の検出レベルを変更することができる。
【0098】
例えば、第3閾値T3として設定される許容回数が1回である場合、1回でも画像データの輝度値が第1閾値T1以下となる輝度値を検出すると異物があると判定する。また、例えば、第3閾値T3として設定される許容回数が3回である場合、画像データの輝度値が第1閾値T1以下となる輝度値を1回検出しただけでは、異物があると判定しない。つまり、第3閾値T3として設定される許容回数に応じて、異物を検出する検出レベルを変更することができる。従って、ユーザが所望する第3閾値T3、或いは、原稿の種類に適した第3閾値T3を検出レベルとして設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0099】
[実施形態4]
次に、実施形態4について、
図18~
図20に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図18は、実施形態4に係るコントローラ40が実行する異物検出処理4の一例を示すサブフローチャートである。
図19は、画像読取センサ31の異物の検出範囲の一例を示す図である。
図20は、実施形態4に係る異物の検出レベルの一例を示す図である。
【0100】
本実施形態4では、コントローラ40は、
図6に示すステップS113において実行された異物検出処理のサブ処理の内容が、実施形態1とは異なる。
【0101】
具体的には、ステップS113において、コントローラ40は、異物検出処理のサブ処理として「異物検出処理4」を実行する。ここで、コントローラ40が、上記ステップS113において実行する「異物検出処理4」について、
図18に示すサブフローチャートに基づいて説明する。
【0102】
図18に示すように、ステップS611において、コントローラ40は、画像読取センサ31の主走査方向MDに設定され、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を検出する検出範囲を設定する。
【0103】
ここで、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を検出する検出範囲について
図19および
図20に基づいて説明する。
図19および
図20に示すように、低レベルの検出範囲T41は、画像読取センサ31の主走査方向MDの中央位置から両外側へそれぞれ約1/10の部分であって、全長に対して約1/5の検出範囲である。中レベルの検出範囲T42は、画像読取センサ31の主走査方向MDの中央位置から両外側へそれぞれ約3/10の部分であって、全長に対して約3/5の検出範囲で、低レベルの検出範囲T41を内側中央部に含んでいる。高レベルの検出範囲T43は、画像読取センサ31の主走査方向MDの中央位置から両外側へそれぞれ約5/10の部分であって、つまり、各端縁までの部分を含む検出範囲で、中レベルの検出範囲T42を内側中央部に含んでいる。
【0104】
本実施形態4では、コントローラ40は、上記検出範囲として、中レベルの検出範囲T42をRAM43に記憶する場合を考える。ステップS611において、コントローラ40は、中レベルの検出範囲T42をRAM43に記憶した後、ステップS612の処理に進む。
【0105】
図18に示すように、ステップS612において、コントローラ40は、画像読取センサ31の中レベルの検出範囲T42内の光電変換素子に対応する各画素33(
図13参照)の輝度値のうちに、第1閾値T1以下の輝度値が存在するか否かを判定する。そして、コントローラ40は、画像読取センサ31の中レベルの検出範囲T42内の光電変換素子に対応する各画素33の輝度値のうちに、第1閾値T1以下の輝度値が存在すると判定した場合は(S612:YES)、ステップS613の処理に進む。
【0106】
ステップS613において、コントローラ40は、RAM43から異物検出フラグを読み出して、オンに設定した後、再度RAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。なお、異物検出フラグは、画像読取装置1の起動時に、オフに設定されてRAM43に記憶される。
【0107】
一方、コントローラ40は、画像読取センサ31の中レベルの検出範囲T42内の光電変換素子に対応する各画素33の輝度値のうちに、第1閾値T1以下の輝度値が存在しないと判定した場合は(S612:NO)、当該サブ処理を終了する。そして、コントローラ40は、清掃判定処理のサブ処理のステップS114の処理に進む。従って、異物検出フラグはオフに設定された状態でRAM43に記憶されている。
【0108】
以上詳細に説明した通り、実施形態4に係る画像読取装置1では、コントローラ40は、読取ガラス25上に原稿がない状態にて、画像読取センサ31の検出範囲T4の光電変換素子(素子)に対応する各画素33の輝度値が、第1閾値以下である場合に、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物があると判定する。これにより、設定される検出範囲T4に応じて異物の検出レベルを変更することができる。例えば、高レベルの検出範囲T43を画像読取センサ31の主走査方向MDの全長に亘って設定した場合、画像読取センサ31の光電変換素子に対応する全画素33のうち、1個でも輝度値が第1閾値T1以下の画素33を検出すると異物があると判定する。
【0109】
また、例えば、検出範囲T4を画像読取センサ31の主走査方向MDの一部分の範囲に設定した場合は、一部分の範囲内に1個でも輝度値が第1閾値以下の画素33を検出すると異物があると判定する。しかし、一部分の範囲の外側に1個でも輝度値が第1閾値以下の画素33があっても、一部分の範囲内に輝度値が第1閾値以下の画素33がない場合は、異物があると判定しない。つまり、設定される検出範囲T4に応じて、異物を検出する検出レベルを変更することができる。従って、ユーザが所望する検出範囲T4、或いは、原稿の種類に適した検出範囲T4を設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0110】
原稿GSは、画像読取センサ31の主走査方向MDの中央部を中心に、主走査方向MDに対して直交する副走査方向に搬送される。このため、検出範囲T4が、画像読取センサ31の主走査方向MDの中央部から両外側へ広くなるに従って、異物を検出する検出レベルが高くなる。これにより、ユーザが所望する検出範囲T4、或いは、原稿GSの種類に適した検出範囲T4を設定することによって、画像データにスジ等の画像不良を発生させる異物を状況に応じて適切に検出することができる。
【0111】
[実施形態5]
次に、実施形態5について、
図21および
図22に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図21は、実施形態5に係るコントローラ40が実行する清掃判定処理2の一例を示すサブフローチャートである。
図22は、実施形態5に係る清掃指示画面81の一例を示す図である。
【0112】
本実施形態5では、コントローラ40は、
図5に示すステップS11およびステップS14において実行する清掃判定処理のサブ処理の内容が、実施形態1とは異なる。
【0113】
具体的には、ステップS711以降の処理が異なる。
図21に示すように、コントローラ40は、ステップS111~ステップS114の処理を実行する。その後、ステップS114において、コントローラ40は、異物検出フラグがオンに設定されていると判定した場合、つまり、読取ガラス25上または画像読取センサ31上に異物を検出したと判定した場合は(S114:YES)、ステップS711の処理に進む。ステップS711において、コントローラ40は、ユーザに対して、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物の存在を通知して取り除くように指示する清掃指示画面81をディスプレイ6に表示した後、ステップS712の処理に進む。
【0114】
ここで、清掃指示画面81の一例について
図22に基づいて説明する。
図22に示すように、コントローラ40は、ディスプレイ6の表示画面に、「ゴミを清掃して下さい」と表示して、ユーザに対して、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物の存在を通知して取り除くように指示する。また、コントローラ40は、「ゴミを清掃して下さい」の表示の下側に、OKボタン82と清掃不要ボタン83とを左右に並べて表示して、ユーザに対して、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の清掃の要否を問い合わせる。
【0115】
そして、ユーザがタッチパネル5Aを介して、OKボタン82を押下した場合は、コントローラ40は、ユーザが読取ガラス25上または画像読取センサ31上の清掃が必要であると判断したと判定する。一方、ユーザがタッチパネル5Aを介して、清掃不要ボタン83を押下した場合は、コントローラ40は、ユーザが読取ガラス25上または画像読取センサ31上の清掃が不要であると判断したと判定する。
【0116】
ステップS712において、コントローラ40は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベル、つまり、第1閾値T1を自動変更するか否かを判定する。具体的には、コントローラ40は、清掃不要ボタン83がタッチパネル5Aを介して押下されたか否かにより、第1閾値T1を自動変更するか否かを判定する。
【0117】
そして、コントローラ40は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルを自動変更しないと判定した場合は(S712:NO)、当該サブ処理を終了して、清掃メイン処理に戻る。例えば、コントローラ40は、清掃指示画面81のOKボタン82がタッチパネル5Aを介して押下された場合は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルを自動変更しないと判定する。
【0118】
一方、コントローラ40は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルを自動変更すると判定した場合は(S712:YES)、ステップS713の処理に進む。例えば、コントローラ40は、清掃指示画面81の清掃不要ボタン83がタッチパネル5Aを介して押下された場合は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルを自動変更すると判定する。
【0119】
ステップS713において、コントローラ40は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルを一段下げて、RAM43に記憶した後、ステップS714の処理に進む。例えば、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルが中レベルの第1閾値T12の場合には、低レベルの第1閾値T11に設定変更して、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出する検出レベルを一段下げる。
【0120】
ステップS714において、コントローラ40は、上記ステップS713において、検出レベルを一段下げた検出レベルをRAM43に記憶した後、当該サブ処理を終了して、清掃メイン処理に戻る。
【0121】
以上詳細に説明した通り、実施形態5に係る画像読取装置1では、ユーザは、異物の存在を通知して清掃を指示する清掃指示画面81にて、異物の清掃が不要である旨を入力する清掃不要ボタン83を押下(選択)する。これにより、コントローラ40は、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物の検出レベルを中レベルの第1閾値T12から低レベルの第1閾値T11に自動で一段下げることができる。
【0122】
[実施形態6]
次に、実施形態6について、
図23および
図24に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図23は、実施形態6に係るコントローラ40が実行する第2清掃メイン処理を示すフローチャートである。
図24は、
図23の清掃判定処理3のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【0123】
本実施形態6では、コントローラ40は、
図5に示す清掃メイン処理に替えて、
図23に示す第2清掃メイン処理を実行する点において、実施形態1とは異なる。実施形態6に係るコントローラ40が実行する第2清掃メイン処理について
図23に基づいて説明する。
【0124】
[第2清掃メイン処理]
図23に示すように、第2清掃メイン処理は、
図5に示す清掃メイン処理にステップS811を追加している点が異なる。すなわち、上記ステップS13において、コントローラ40は、給紙トレイ2に載置された原稿GSを読み取るスキャン処理を実行した後、ステップS811の処理に進む。そして、ステップS811において、コントローラ40は、清掃判定処理3を実行した後、再度、ステップS12以降の処理を実行する。
【0125】
[清掃判定処理3]
次に、清掃判定処理3の詳細について
図24に基づいて説明する。
図24に示すように、コントローラ40は、上記ステップS111の処理(
図6参照)を実行した後、ステップS911の処理に進む。ステップS911において、コントローラ40は、上記ステップS13においてスキャンした原稿GSの画像解析、または、読取部24の読取設定値に基づいて、原稿GSの画像の種別が第1種別であるか否かを判定する。画像の種別が第1種別とは、例えば、テキストデータがベースとなる画像である。
【0126】
そして、コントローラ40は、上記ステップS13においてテキストデータがベースの原稿GSをスキャンしたと判定した場合は(S911:YES)、ステップS912の処理に進む。ステップS912において、コントローラ40は、上記ステップS111で第1閾値T1としてRAMに記憶した中レベルの第1閾値T12を読み出し、この第1閾値T12よりも検出レベルが低い低レベルの第1閾値T11(
図8参照)をROM42から読み出す。そして、コントローラ40は、中レベルの第1閾値T12に替えて、低レベルの第1閾値T11を第1閾値T1としてRAMに記憶した後、上記ステップS112の処理に進む。
【0127】
一方、コントローラ40は、上記ステップS13においてテキストデータがベースの原稿GSをスキャンしていない、つまり、原稿GSの画像の種別が第1種別とは異なる第2種別であると判定した場合は(S911:NO)、上記ステップS112の処理に進む。画像の種別が第2種別とは、例えば、写真データがベースとなる画像である。その後、コントローラ40は、上記ステップS112~ステップS115の処理を実行した後、当該サブ処理を終了して、第2清掃メイン処理に戻る。
【0128】
以上詳細に説明した通り、実施形態6に係る画像読取装置1では、コントローラ40は、原稿GSの画像の種別が、テキストベース(第1種別)の場合には、原稿GSの画像の種別が、写真ベース(第2種別)の際に設定される中レベルの第1閾値T12(第1検出レベル)よりも低い低レベルの第1閾値T11(第2検出レベル)に検出レベルを設定する。従って、テキストデータがベース(第1種別)の原稿GSの場合には、写真ベース(第2種別)の原稿GSの場合よりも、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出するための検出レベルを自動的に下げることができる。
【0129】
[変形例1]
本発明の画像読取装置1は、プリンタ部を備えた複合機に適用されてもよい。また、画像読取装置1は、1つの読取部24と、1つの白色基準板34とが備えられる構成であるが、原稿GSの両面を読み取るために、2つの読取部と、2つの白色基準板とが備えられる構成でもよい。
【0130】
[変形例2]
実施形態4において、例えば、低レベルの検出範囲T41は、画像読取センサ31の主走査方向MDの一方の端縁から他方の端縁側へ、全長に対して約1/5の部分を検出範囲としてもよい。また、中レベルの検出範囲T42は、画像読取センサ31の主走査方向MDの一方の端縁から他方の端縁側へ、全長に対して約3/5の部分を検出範囲として、低レベルの検出範囲T41を一方に端縁側に含むようにしてもよい。また、高レベルの検出範囲T43は、画像読取センサ31の主走査方向MDの一方の端縁から他方の端縁までの全長に亘って検出範囲を設定し、中レベルの検出範囲T42を一方に端縁側に含むようにしてもよい。
【0131】
[変形例3]
実施形態6において、例えば、上記ステップS911において、コントローラ40は、原稿GSの画像の種別が第1種別とは異なる第2種別であると判定した場合は(S911:NO)、検出レベルを上げてもよい。
【0132】
例えば、コントローラ40は、上記ステップS13において写真データがベースの原稿GSをスキャンしたと判定した場合は(S911:NO)、上記ステップS111で第1閾値T1としてRAMに記憶した中レベルの第1閾値T12を読み出す。そして、コントローラ40は、この第1閾値T12よりも検出レベルが高い高レベルの第1閾値T13(
図8参照)をROM42から読み出す。
【0133】
そして、コントローラ40は、中レベルの第1閾値T12に替えて、高レベルの第1閾値T13を第1閾値T1としてRAMに記憶した後、上記ステップS112の処理に進むようにしてもよい。その後、コントローラ40は、上記ステップS112~ステップS115の処理を実行した後、当該サブ処理を終了して、第2清掃メイン処理に戻るようにしてもよい。これにより、写真データがベース(第2種別)の原稿GSの場合には、読取ガラス25上または画像読取センサ31上の異物を検出するための検出レベルを自動的に上げることができる。
【0134】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
1 画像読取装置、5 操作部、5A タッチパネル、6 ディスプレイ、8 通信部、25 読取ガラス、31 画像読取センサ、33 光電変換素子(画素)、40 コントローラ、42 ROM、43 RAM、GS 原稿