(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120727
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
E02B 5/08 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
E02B5/08 103D
E02B5/08 103C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027738
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】591073337
【氏名又は名称】株式会社丸島アクアシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】半田 英明
(72)【発明者】
【氏名】矢延 孝也
(72)【発明者】
【氏名】文元 勝仙
(57)【要約】
【課題】設置場所の制約を受け難い、レーキ直動型の除塵装置を提供する。
【解決手段】除塵装置は、レーキ2をガイド部材12に沿って往復移動させる、モータ14を駆動源とする昇降駆動機構5Lを備える。昇降駆動機構5Lは、ガイド部材12に各々備えられて、第1高さ位置P1とそれよりも高い第2高さ位置P2との間でレーキ2に対して駆動力を伝達する下部ピニオン30a、及び第2高さ位置P2とそれよりも高い第3高さ位置P3との間でレーキ2に対して駆動力を伝達する上部ピニオン30bとを備える。また、昇降駆動機構5Lは、レーキ2に備えられて、下部ピニオン30a及び上部ピニオン30bの各々に噛合することにより駆動力が入力される、両ピニオン30a、30bに共通のラック27を備えている。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーキと、当該レーキを昇降可能に支持するガイド部材とを備え、モータの駆動力により前記レーキを前記ガイド部材に沿って往復移動させながら、スクリーンに捕捉された塵芥をレーキ上昇時に掻き揚げる除塵装置であって、
前記モータの駆動力により前記レーキを昇降させる昇降駆動機構を備え、
前記レーキは、レーキ本体と、当該レーキ本体を下端部に備えた上下方向に延在するレーキフレームとを備え、
前記昇降駆動機構は、
前記ガイド部材に各々備えられて、主に第1高さ位置と当該第1高さ位置よりも高い第2高さ位置との間で前記レーキに対して前記駆動力を伝達する第1動力伝達部、及び、前記第2高さ位置と当該第2高さ位置よりも高い第3高さ位置との間で前記レーキに対して前記駆動力を伝達する第2動力伝達部と、
前記レーキフレームに備えられて、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部の各々からの動力が入力される動力入力部と、を備えている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除塵装置において、
前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部の各々と前記動力入力部とは互いに係脱可能に設けられ、かつ係合状態において前記駆動力の伝達が可能に構成され、
前記動力入力部は、前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間では前記第1動力伝達部と係合し、前記第2高さ位置と前記第3高さ位置との間では前記第2動力伝達部と係合するように設けられている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項3】
請求項2に記載の除塵装置において、
前記昇降駆動機構は、前記ガイド部材に備えられて前記駆動力により上下方向に細長い楕円軌道に沿って正方向及び逆方向に回転移動する無端状チェーンを含み、
前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部は、前記無端状チェーンに設けられ、
前記動力入力部は、前記第1動力伝達部が係脱可能に係合する第1入力部と、当該第1入力部よりも前記レーキ本体に近い位置に設けられて、前記第2動力伝達部が係脱可能に係合する第2入力部とを含み、
前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間では、前記第1動力伝達部と前記第1入力部とが係合し、前記第2高さ位置と前記第3高さ位置との間では、前記第2動力伝達部と前記第2入力部とが係合するように、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部が、前記無端状チェーンの周方向における互いに異なる位置に設けられている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項4】
請求項3に記載の除塵装置において、
前記レーキフレームは、上下方向に延在する軸部材からなり、
前記レーキは、前記レーキ本体の幅方向中央部に前記レーキフレームの下端部が連結された逆T字型の形状を有しており、
前記ガイド部材は、前記レーキフレームをその長手方向に沿って昇降可能に支持する、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項5】
請求項2に記載の除塵装置において、
前記レーキフレームは、上下方向に延在する軸部材からなり、かつ長手方向に沿って前記動力入力部としてのラックを備えており、
前記ガイド部材は、前記レーキフレームをその長手方向に沿って昇降可能に支持し、
前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部は、各々、前記ラックに噛合可能に設けられたピニオンからなり、かつ前記第2動力伝達部が、前記第1動力伝達部に対して上方に配置されており、
前記レーキフレームは、前記第2高さ位置でのみ、前記1動力伝達部と前記第2動力伝達部の双方が前記ラックに同時に噛合するように長さ設定されている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項6】
請求項5に記載の除塵装置において、
前記レーキは、前記レーキ本体の幅方向中央部に前記レーキフレームの下端部が連結された逆T字型の形状を有している、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の除塵装置において、
前記スクリーンを透過する水流の方向において前記レーキを前記ガイド部材と共に揺動させる揺動駆動機構をさらに備えている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の除塵装置において、
前記レーキの上昇に伴い、当該レーキに当接することにより当該レーキが掻き揚げた塵芥を除去する除去部材をさらに備え、
前記第1高さ位置は、前記スクリーンに沿って塵芥を掻き揚げる際の前記レーキの掻き揚げ開始高さ位置であり、前記第3高さ位置は、前記除去部材により前記レーキから塵芥が除去される高さ位置である、ことを特徴とする除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流木、藻類、草等の塵芥(ゴミ類)を捕捉して除去する除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、特許文献1、2に開示されるような除塵装置を開発し提案している。特許文献1に開示される除塵装置は、水路の取水口等に設置されるスクリーンと、スクリーンに捕捉された塵芥を掻き上げるレーキとを備え、レーキを上下方向に往復移動させながら塵芥を掻き上げる、レーキ直動型の除塵装置である。レーキ(レーキ本体)は、モータの駆動力により伸縮する伸縮ビーム(レーキフレーム)の下端部に取付けられている。伸縮ビームは、上段ビーム、中段ビーム、下段ビームからなり、モータの駆動力により上限ビームを上下動させることにより、中段ビーム及び下段ビームが連動して伸縮ビーム全体が伸縮する。この伸縮ビームの伸縮によりビームが昇降する。
【0003】
特許文献2の除塵装置もレーキ直動型の除塵装置であるが、特許文献1の除塵装置に比べて構成がシンプルである。すなわち、レーキ(レーキ本体)は、ラックを備えた上下方向に延びる軸状ビーム(レーキフレーム)の下端部に取付けられており、ラックに噛合するピニオンがモータにより回転駆動されることにより軸状ビームと共に一体に昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3047314号公報
【特許文献2】特開2000-129655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既述のようなレーキ直動型の除塵装置は、スクリーンの所望の高さ位置の塵芥をピンポイントで掻き上げることができ、また、レーキ全体(レーキの幅方向全体)を使って水路の幅方向全域の掻き上げが可能であることから比較的需要も多い。
【0006】
ここで、特許文献2の除塵装置は、構成がシンプルで信頼性が高いという点で有利である。しかし、レーキの昇降ストロークと同等の長さの軸状ビームが必要となるため、掻き上げ揚程(要求ストローク長)が大きい場合には軸状ビームが長くなり、作業中、装置上方に軸状ビームが突出する。そのため、設置場所の制約を受け易い。
【0007】
一方、特許文献1の除塵装置は、上段ビームの上下動に中段ビーム及び下段ビームを連動させて伸縮ビーム全体を伸縮させる。そのため、作業中、装置上方への伸縮ビームの突出量は、特許文献2の除塵装置に比べて少なく、その分、設置場所の制約を受け難い。しかし、上段ビーム、中段ビーム及び下段ビームが相対的にスライドしながら伸縮する機構は可動部品点数が多く損傷の確率が高い。また、フレーム構造の重量が増し、昇降動力が増える。その上、伸縮ビームの構造が複雑で製造コスト高となる傾向がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、比較的簡素な構成で、掻き上げ時の装置上方へのレーキフレーム(ビーム)の突出を抑制することが可能なレーキ直動型の除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一局面に係る除塵装置は、レーキと、当該レーキを昇降可能に支持するガイド部材とを備え、モータの駆動力により前記レーキを前記ガイド部材に沿って往復移動させながら、スクリーンに捕捉された塵芥をレーキ上昇時に掻き揚げる除塵装置であって、前記モータの駆動力により前記レーキを昇降させる昇降駆動機構を備え、前記レーキは、レーキ本体と、当該レーキ本体を下端部に備えた上下方向に延在するレーキフレームとを備え、前記昇降駆動機構は、前記ガイド部材に各々備えられて、主に第1高さ位置と当該第1高さ位置よりも高い第2高さ位置との間で前記レーキに対して前記駆動力を伝達する第1動力伝達部、及び、前記第2高さ位置と当該第2高さ位置よりも高い第3高さ位置との間で前記レーキに対して前記駆動力を伝達する第2動力伝達部と、前記レーキフレームに備えられて、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部の各々からの動力が入力される動力入力部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「第1高さ位置と当該第1高さ位置よりも高い第2高さ位置との間」とは、第1高さ位置及び第2高さ位置を含む、それらの間の高さの意味であり、また、「第2高さ位置と当該第2高さ位置よりも高い第3高さ位置との間」とは、第2高さ位置及び第3高さ位置を含む、それらの間の高さの意味である。
【0011】
上記の除塵装置では、レーキの上昇時には、第1高さ位置でモータの駆動力(レーキを上昇させる方向の駆動力)が第1動力伝達部から動力入力部に伝達され、これによりレーキが第1高さ位置から第2高さ位置に上昇する。第2高さ位置からは、前記モータの駆動力が第2動力伝達部から動力入力部に伝達されることにより、レーキが第2高さ位置から第3高さ位置まで上昇する。このように、共通のレーキフレーム(動力入力部)に対して、ガイド部材側の互いに異なる動力伝達部(第1動力伝達部、第2動力伝達部)から順次動力が伝達される。この構成によれば、ガイド部材側の一つの動力伝達部(ピニオン)のみからレーキフレームに対して動力が伝達される従来装置(特許文献2)に比べて上下方向にコンパクトなレーキフレームの構成で、従来装置と同等の昇降ストロークを確保することが可能となる。これより、上昇端位置におけるレーキ到達高さを低く抑えることが可能となる。しかも、レーキフレーム自体を伸縮させるような複雑な構造(特許文献1のような伸縮構造)も要求されないため、部品点数が少なく損傷の確率も低い。従って、上記の除塵装置によれば、比較的簡素な構造で、掻き上げ時の装置上方へのレーキフレームの突出を抑制することが可能となる。
【0012】
上記除塵装置においては、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部の各々と前記動力入力部とは互いに係脱可能に設けられ、かつ係合状態において前記駆動力の伝達が可能に構成され、前記動力入力部は、前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間では前記第1動力伝達部と係合し、前記第2高さ位置と前記第3高さ位置との間では前記第2動力伝達部と係合するように設けられている。
【0013】
この構成によると、第1動力伝達部から動力入力部への動力伝達と、第2動力伝達部から動力伝達部への動力伝達の切替えが、第1動力伝達部及び第2動力伝達部の各々と動力入力部との係脱(係合及び解除)によって達成される。この構成により、当該動力伝達経路の切替えを確実、かつ円滑に行うことが可能となる。
【0014】
より具体的な構成として、前記昇降駆動機構は、前記ガイド部材に備えられて前記駆動力により上下方向に細長い楕円軌道に沿って正方向及び逆方向に回転移動する無端状チェーンを含み、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部は、前記無端状チェーンに設けられ、前記動力入力部は、前記第1動力伝達部が係脱可能に係合する第1入力部と、当該第1入力部よりも前記レーキ本体に近い位置に設けられて、前記第2動力伝達部が係脱可能に係合する第2入力部とを含み、前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間では、前記第1動力伝達部と前記第1入力部とが係合し、前記第2高さ位置と前記第3高さ位置との間では、前記第2動力伝達部と前記第2入力部とが係合するように、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部が、前記無端状チェーンの周方向における互いに異なる位置に設けられている。
【0015】
この構成では、モータの駆動により無端状チェーンが正方向に回転するのに伴いレーキが上昇し、レーキ上昇後、無端状チェーンが逆方向に回転するのに伴いレーキが下降する。この際、第1高さ位置と第2高さ位置との間では、第1入力部に対して第1動力伝達部が係合し、第2高さ位置と第3高さ位置との間では、第1入力部よりも下側(レーキ本体に近い位置)にある第2入力部に対して第2動力伝達部が係合する。このように、無端状チェーンの回転に伴い、レーキに対する動力伝達経路の切替えが行われることによりレーキが昇降する。
【0016】
なお、この除塵装置において、前記レーキフレームは、上下方向に延在する軸部材からなり、前記レーキは、前記レーキ本体の幅方向中央部に前記レーキフレームの下端部が連結された逆T字型の形状を有しており、前記ガイド部材は、前記レーキフレームをその長手方向に沿って昇降可能に支持されているのが好適である。
【0017】
この構成によると、レーキ本体の両端には駆動機構部が設けられない。そのため、スクリーンが設置される水路の幅方向全域に亘ってレーキ(レーキ本体)で塵芥を掻き上げることが可能となる。
【0018】
上記除塵装置のより具体的な構成の他の例として、前記レーキフレームは、上下方向に延在する軸部材からなり、かつ長手方向に沿って前記動力入力部としてのラックを備えており、前記ガイド部材は、前記レーキフレームをその長手方向に沿って昇降可能に支持し、前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部は、各々、前記ラックに噛合可能に設けられたピニオンからなり、かつ前記第2動力伝達部が、前記第1動力伝達部に対して上方に配置されており、前記レーキフレームは、前記第2高さ位置でのみ、前記1動力伝達部と前記第2動力伝達部の双方が前記ラックに同時に噛合するように長さ設定されている構成であってもよい。
【0019】
ここで、「前記第2高さ位置でのみ」とは、厳密な意味(ピンポイント)の「第2高さ位置」に加え、第2高さ位置を含んだ一定の範囲(略第2高さ位置と言える範囲)を含む意味である。
【0020】
この構成では、モータの駆動によりピニオン(第1動力伝達部及び第2動力伝達部)が正方向に回転するのに伴いレーキが上昇し、レーキ上昇後、ピニオンが逆方向に回転するのに伴いレーキが下降する。この際、第1高さ位置と第2高さ位置との間では、上側に位置するピニオン(第1動力伝達部)が動力入力部(ラック)に係合し、第2高さ位置と第3高さ位置との間では、下側に位置するピニオン(第2動力入力部)が動力入力部(ラック)に係合する。このように動力伝達経路の切替えが行われることによりレーキが昇降する。
【0021】
なお、この除塵装置において、前記レーキは、前記レーキ本体の幅方向中央部に前記レーキフレームの下端部が連結された逆T字型の形状を有しているのが好適である。
【0022】
この構成によると、レーキフレームに動力入力部が備えられていて、レーキ本体の両端には駆動機構部が設けられない。そのため、スクリーンが設置される水路の幅方向全域に亘ってレーキ(レーキ本体)で塵芥を掻き上げることが可能となる。
【0023】
上記除塵装置は、前記スクリーンを透過する水流の方向において前記レーキを前記ガイド部材と共に揺動させる揺動駆動機構をさらに備えている。
【0024】
この構成によると、スクリーンから離れるようにレーキを一旦揺動させ、レーキの高さを調整した後、スクリーンにレーキを接近させることで、スクリーンに捕捉された塵芥を確実に掻き揚げることが可能となる。
【0025】
また、上記除塵装置は、前記レーキの上昇に伴い、当該レーキに当接することにより当該レーキが掻き揚げた塵芥を除去する除去部材をさらに備えていてもよい。この場合、前記第1高さ位置は、前記スクリーンに沿って塵芥を掻き揚げる際の前記レーキの掻き揚げ開始高さ位置であり、前記第3高さ位置は、前記除去部材により前記レーキから塵芥が除去される高さ位置とすることができる。
【0026】
このような構成では、除去部材により塵芥を除去するために、レーキをスクリーン上端からさらに上昇させる必要があり、レーキの昇降ストロークが大きくなる傾向がある。そのため、既述のような除塵装置の構成は、前記除去部材を備える除塵装置に有用となる。すなわち、既述の通り、上昇端位置におけるレーキ到達高さを低く抑えることが可能となるので、設置場所の制約を受け難くなる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した本発明によれば、比較的簡素な構造で、掻き上げ時の装置上方へのレーキフレームの突出を抑制することが可能なレーキ直動型の除塵装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る除塵装置の正面図である。
【
図3】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図2のIII-III線に沿った断面図)である。
【
図4】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図3のIV-IV線に沿った断面図)である。
【
図5】レーキの要部側面図(
図4における矢印V方向視の側面図)である。
【
図6】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図9(a)のVI-VI線に沿った位置に相当する断面図)である。
【
図7】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図6のVII-VII線に沿った断面図)である。
【
図8】レーキの要部側面図(
図7の矢印VIII方向視の側面図)である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る除塵装置の正面図である。
【
図12】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図11のXII-XII線に沿った断面図)である。
【
図13】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図11のXIII―XIII線に沿った断面図)である。
【
図14】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図13のXIV―XIV線に沿った断面図)である。
【
図15】昇降駆動機構を示すガイド部材の断面図(
図14のXV―XV線に沿った断面図)である。
【
図16】除塵装置(第2実施形態)の動作説明図である。
【
図17】レーキの昇降スロトークの新旧対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る除塵装置の概略的な正面図であり、
図2は、除塵装置の概略的な側面図(一部断面図)である。
【0031】
除塵装置は、水路Waの流水に含まれる塵芥(ゴミ類)を捕捉するスクリーン1と、スクリーン1に捕捉された塵芥を掻き上げるレーキ2と、レーキ2を駆動する駆動装置4と、掻き上げた塵芥をレーキ2から除去するスクレーパ6と、エプロン7と、廃棄エリア8とを備える。
【0032】
スクリーン1は、水路Wa内に配置されている。スクリーン1は、上下方向に延在する複数のバーが水路幅方向に一定間隔で並んだバースクリーンである(
図1ではレーキ2を示す便宜上、一部省略されている)。スクリーン1は、下端に対して上端が下流側に位置するように僅かに傾斜した姿勢で水路Wa内に配置されている。
図1では、左が水路Waの上流側、右が下流側である。
【0033】
なお、以下の除塵装置の説明における方向関係については、水路Waの上流側を「前」、下流側を「後」、水の流れる方向を「前後方向」と称する。また、単に「幅方向」と言うときは、特に言及する場合を除き水路Waの幅方向と平行な方向である。
【0034】
スクリーン1の上方にエプロン7が配置されている。エプロン7は、レーキ2がスクリーン1に沿って掻き上げる塵芥を、スクレーパ6による掻き落とし高さ位置まで案内する金属製のプレート部材である。エプロン7は、スクリーン1と同じ傾斜角度で、当該スクリーン1の上端に連続的に配置されている。
【0035】
エプロン7の上方にスクレーパ6が配置されている。スクレーパ6は、エプロン7に沿って掻き揚げられた塵芥を、レーキ2から除去しつつエプロン後方の廃棄エリア8に書き落とす、無動力の塵芥除去部材である。スクレーパ6は、後記装置フレーム10に揺動自在に支持されており、レーキ2が所定高さ位置まで上昇すると、後記レーキ本体20の上面に当接して塵芥を書き落とす。
【0036】
エプロン7の前方には、上下方向に延在するガイド部材12が配置されている。ガイド部材12は、レーキ2を昇降可能に支持する支持部材である。水路Waの上方には、この水路Waを跨ぐように装置フレーム10が固定されており、ガイド部材12は、この装置フレーム10に枢軸11を介して揺動可能に、具体的には前後方向に揺動可能に支持されている。
【0037】
レーキ2は、
図1及び
図2に示すように、幅方向に延在するプレート状のレーキ本体20と、上下方向に延在するレーキフレーム21とを含む。
【0038】
レーキフレーム21は、断面矩形(正方形)の筒状の軸部材であり、このレーキフレーム21の下端部にレーキ本体20が連結されている。詳しくは、レーキフレーム21の下端部の後面にレーキ本体20が固定されている(
図9参照)。レーキ本体20は、その長手方向の中央部でレーキフレーム21に固定されており、この構成により、レーキ2は、全体として逆T字型の形状を呈している。
【0039】
レーキ2は、後述する昇降駆動機構5Lにより、レーキフレーム21を介して昇降駆動される。このような構成では、レーキ本体20の両端に、レーキ2を駆動するための機構部分が一切無く、レーキ本体20の長手方向全体を使用可能である。そのため、
図1に示すように、この除塵装置では、水路Waの幅方向略全域に亘ってレーキ2で塵芥を掻き上げることができる。
【0040】
駆動装置4は、揺動駆動機構5Sと昇降駆動機構5Lとを含む。
【0041】
揺動駆動機構5Sは、ガイド部材12を揺動させる機構である。揺動駆動機構5Sは電動シリンダ19を含む。シリンダ19は、ガイド部材12に設けられたブラケットと装置フレーム10との間に介設されている。揺動駆動機構5Sは、このシリンダ19の伸縮により、枢軸11を支点としてガイド部材12を前後方向に揺動させる。このガイド部材12の揺動により、レーキ2が、スクリーン1に沿って当該スクリーン1に当接する姿勢(
図1中に実線で示す姿勢)と、スクリーン1から前方に離れた姿勢(
図1中の二点鎖線に示す姿勢)とに変位する。
【0042】
昇降駆動機構5Lは、ガイド部材12に対してレーキ2を昇降させる機構である。この昇降駆動機構5Lは以下のような構成を有する。
【0043】
図3及び
図4は、昇降駆動機構5Lを示すガイド部材12の断面図であり、
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面を、
図4は、
図3のIV―IV線に沿った断面を各々示している。
【0044】
図2~
図4に示すように、ガイド部材12は、前後方向に細長い長方形断面を有している。ガイド部材12は、その内部に、長手方向(上下方向)に延在して楕円軌道で移動する無端状のチェーン16を備えている。チェーン16は、上下一対のスプロケット15に亘って掛け渡されている。上側のスプロケット15は枢軸11の上方で、下側のスプロケット15は、ガイド部材12の下端部近傍の位置で、各々図外の枢軸を介してガイド部材12に回転自在に支持されている。
【0045】
上側のスプロケット15の枢軸はモータ14の出力軸に連結されている。このモータ14により枢軸を介して上側のスプロケット15が駆動されることで、チェーン16が周方向に移動する。なお、モータ14は、ガイド部材12の側面に固定されている。
【0046】
チェーン16の幅方向両側には、周方向に一定の間隔でガイドローラ18が設けられている。ガイドローラ18は、チェーン16を構成する、内リンクと外リンクとの連結ピン17を枢軸として、当該連結ピン17に回転自在に支持されている。詳しくは、ガイドローラ18が支持される連結ピン17には、リンク外側に突出する延設部分が設けられており、この延設部分にガイドローラ18が支持されている。
【0047】
ガイドローラ18は、ガイド部材12の内側面に設けられた溝型のチェーンガイド部13aに挿入されている。このチェーンガイド部13aに沿ってガイドローラ18が案内されることにより、チェーン16が楕円軌道で移動する。なお、チェーンガイド部13aは、上下のスプロケット15に楕円状に掛け渡されたチェーン16のうち、主に後側、すなわち、ガイド部材12の後壁に沿う部分を案内するように設けられている。
【0048】
ガイド部材12の後壁には、その下端から上端に亘って上下方向に延在するスリット状の開口部12aが設けられている。
図3に示すように、レーキフレーム21がこの開口部12aに沿ってガイド部材12の内側に挿入されている。
【0049】
図5は、レーキ2の要部側面図(
図4における矢印V方向視の側面図)である。
図3~
図5に示すように、レーキフレーム21には、その幅方向両側にガイドローラが備えられている。詳しくは、レーキフレーム21の上端部に、一対の上部ガイドローラ22aが備えられると共に、当該上部ガイドローラ22aの下方に一対の下部ガイドローラ22bが備えられている。ガイドローラ22a、22bは、枢軸を介してレーキフレーム21に回転自在に支持されている。
【0050】
各ガイドローラ22a、22bは、ガイド部材12の内側面に設けられた溝型のレーキガイド部13bに挿入されている。このレーキガイド部13bに沿ってガイドローラ22a、22bが案内されることにより、レーキ2がガイド部材12に沿って昇降する。
【0051】
チェーンガイド部13aとレーキガイド部13bは、
図3に示すように、この順番で前後に隣接して設けられている。なお、
図4の破断線より上側は、レーキガイド部13bの部分の断面を、破断線より下側は、チェーンガイド部13aの部分の断面を各々示している。
【0052】
図5に示すように、レーキフレーム21の前面であってかつ上部ガイドローラ22aと下部ガイドローラ22bとの中間位置には、ブラケット23が設けられている。ブラケット23は、チェーン16に対してレーキ2が係脱可能に係合する部分である。
【0053】
ブラケット23は、幅方向に扁平なプレート状で、レーキフレーム21の前面に、その幅方向に間隔を隔てて一対設けられている。各ブラケット23には、前方に向かって開口する切欠溝23aが設けられている。この切欠溝23aは、チェーン16の連結ピン17が挿抜可能に形成されており、連結ピン17が当該切欠溝23aに挿入されると、ブラケット23を介してレーキ2がチェーン16に係合した状態となる。これにより、チェーン16と共にレーキ2が移動する。換言すると、チェーン16からレーキ2に動力が入力(伝達)される。
【0054】
レーキ2は、水路Waの水底近傍に設定された第1高さ位置P1(
図9参照)、すなわち
図1及び
図2実線で示す位置では、
図3~
図5に示すようにチェーン16に対して係合している。この第1高さ位置P1は、レーキ2の昇降ストロークの下端位置であり、換言すると、レーキ2の掻き揚げ開始位置である。従って、
図2においてチェーン16が反時計回りに移動すると、これに伴いレーキ2は第1高さ位置P1からスクリーン1に沿って上昇する。
【0055】
なお、以下の説明では、レーキ2を上昇させるチェーン16の回転方向(図では反時計回り)を正方向、レーキ2を下降させるチェーン16の移動方向を逆方向という。
【0056】
チェーン16に対するブラケット23(レーキ2)の係合状態は、チェーン16が上側のスプロケット15に沿って反転し始める位置で解除される。すなわち、チェーン16の反転移動に伴い切欠溝23aから連結ピン17が離脱することで、ブラケット23とチェーン16との係合状態が解除される。
【0057】
チェーン16には、
図2に示すように、係合金具25がさらに設けられている。係合金具25は、チェーン16の正方向の移動に伴い、レーキ2が、第1高さ位置P1よりも高い第2高さ位置P2(
図9参照)に到達しときにレーキ2に係合するように設けられている。すなわち、係合金具25は、チェーン16のうち、第2高さ位置P2と第1高さ位置P1との高低差だけ、ブラケット23の係合位置(すなわちブラケット23が係合する連結ピン17の位置)から周方向にずれた位置に固定されている。第2高さ位置P2は、例えば、レーキ本体20がスクリーン1の上端に達する高さ位置である。
【0058】
図6及び
図7は、レーキ2が第2高さ位置P2にあるときの昇降駆動機構5Lを示すガイド部材12の断面図であり、
図6は、後記
図9(a)のVI―VI線に沿った位置に対応する断面を、
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面を各々示している。また、
図8は、レーキ2の要部側面図(
図7の矢印VIII方向視の側面図)である。
【0059】
図6~
図8に示すように、係合金具25は、チェーン16の隣設する二つの連結ピン17に装着された一対の側板25aと、こら側板25aに跨がって接合された受板25bとを備えた側面視L字型の形状を有している。
【0060】
係合金具25は、チェーン16と共に移動し、チェーン16が正方向に移動するのに伴いレーキ2に係合する。具体的には、
図8に示すようにレーキフレーム21の下端面21aに係合する。すなわち、下端面21aは、ブラケット23と同様に、チェーン16に対してレーキ2が係脱可能に係合する部分と言える。
【0061】
このように係合金具25がレーキ2に係合することで、レーキ2がチェーン16と共に移動することが可能となる。すなわち、チェーン16からレーキ2に動力が入力(伝達)される。
【0062】
[動作説明]
図9は、除塵装置の動作説明図であり、
図9(a)は、レーキ2が第1高さ位置P1、すなわち、既述の通り掻き上げ開始位置に配置された状態を示している。
【0063】
図9(a)に示すように、第1高さ位置P1では、レーキ2はブラケット23を介してチェーン16に係合している。よって、チェーン16がモータ14により正方向(図中の矢印方向)に回転駆動されると、この回転に伴いレーキ2がスクリーン1に沿って上昇する。すなわち、モータ14の駆動力がチェーン16(連結ピン17)からブラケット23を介してレーキ2に入力(伝達)され、この駆動力によりレーキ2が上昇する。
【0064】
第1高さ位置P1から第2高さ位置P2へレーキ2が上昇すると、
図9(b)に示すように、係合金具25がレーキ2に係合する。第2高さ位置P2では、同図に示すように、レーキ2は、未だブラケット23を介してチェーン16に係合している。よって、レーキ2は、その上下二箇所がチェーン16に係合した状態で、チェーン16の移動に伴い上昇する。
【0065】
第2高さ位置P2から少しレーキ2が上昇し、ブラケット23に係合している連結ピン17がチェーン16と共に上側のスプロケット15に沿って反転し始めると、当該連結ピン17がブラケット23(切欠溝23a)から離脱する。これにより、ブラケット23を介したチェーン16に対するレーキ2の係合状態が解除される。従って、レーキ2は、その後、係合金具25のみを介してチェーン16に係合した状態で、
図9(c)に示す第3高さ位置P3まで移動する。第3高さ位置P3は、レーキ2の昇降ストロークの上昇端位置であり、例えば、スクレーパ6によるレーキ2からの塵芥の掻き落としが完了する高さ位置である。
【0066】
第3高さ位置P3までレーキ2が上昇すると、モータ14が反転駆動され、チェーン16が逆方向に回転する。これにより、上昇時とは逆の動作で、レーキ2が第3高さ位置P3から第1高さ位置P1にリセットされる。この場合、シリンダ19の作動により、レーキ2は、下降途中で一旦スクリーン1から前方へ離された姿勢とされた後、第1高さ位置P1に到達するタイミングで、スクリーン1に当接する姿勢にリセットされる。これにより、スクリーン1に捕捉された塵芥を、その下側からレーキ2(レーキ本体20)によって確実に掻き揚げることが可能となる。
【0067】
[効果等]
以上説明したように、上記実施形態の除塵装置は、モータ14の駆動力によりレーキ2をガイド部材12に沿って往復移動させながら、スクリーン1に捕捉された塵芥をレーキ2上昇時に掻き揚げるレーキ直動式の除塵装置である。
【0068】
この除塵装置は、モータ14の駆動力によりレーキ2を昇降させる昇降駆動機構5Lを備えている。昇降駆動機構5Lは、既述の通り、ガイド部材12に備えられたチェーン16を介してレーキ2を昇降させるが、チェーン16には、第1高さ位置P1と第2高さ位置P2との間でレーキ2に対して駆動力を伝達する第1動力伝達部(すなわち連結ピン17/ブラケット23が係合する連結ピン17)と、第2高さ位置P2と第3高さ位置P3との間でレーキ2に対して駆動力を伝達する第2動力伝達部(すなわち係合金具25)とが備えられている。また、レーキ2は、第1動力伝達部(連結ピン17)と係脱可能に係合する第1入力部(ブラケット23)と、これよりもレーキ本体20に近い位置に設けられて、第2動力伝達部(係合金具25)が係脱可能に係合する第2入力部(レーキフレーム21の下端面21a)とを備えている。
【0069】
このような構成では、異なる動力伝達部(連結ピン17、係合金具25)から高さに応じた位置で順次動力がレーキフレーム21に対して伝達される。具体的には、第1高さ位置P1と第2高さ位置P2との間では、連結ピン17とブラケット23とが係合することにより、レーキフレーム21が第1高さ位置P1から第2高さ位置P2へと引き上げられ、第2高さ位置P2と第3高さ位置P3との間では、レーキフレーム21の下端面21aに係合金具25が係合することにより、レーキフレーム21が第2高さ位置P2から第3高さ位置P3に引き上げられる。そのため、
図9に示すように、レーキ2の昇降ストロークLS(第1高さ位置P1と第3高さ位置P3との高低差)よりも短いレーキフレーム21の上下方向長さで、レーキ2を当該昇降ストロークLSだけ昇降させることができる。
【0070】
つまり、レーキ(レーキフレーム)の上下方向の長さとして、レーキの昇降ストロークと同等の長さが求められる従来装置(特許文献2)と比べると、上記実施形態の除塵装置は、上下方向にコンパクトなレーキ構成で、従来装置と同等の昇降ストロークを確保することができる。しかも、レーキフレーム21自体を伸縮させるような複雑な構造(特許文献1のような伸縮構造)も要求されない。従って、上記実施形態の除塵装置によると、比較的簡素な構成で、掻き上げ時の装置上方へのレーキフレーム21の突出を抑制することが可能となり、その結果、設置場所の制約も受け難くなる。また、部品点数が抑えられるため損傷の確率も低くなる。
【0071】
なお、一部説明が重複するが、上記実施形態では、チェーン16の連結ピン17(ブラケット23が係合する連結ピン17)が本発明の「第1動力伝達部」に相当し、係合金具25が本発明の「第2動力伝達部」に相当し、レーキフレーム21が本発明の「動力入力部」に相当する。さらに、レーキフレーム21のうち、ブラケット23が本発明の「第1入力部」に相当し、下端面21aが本発明の「第2入力部」に相当する。
【0072】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る除塵装置の概略的な正面図であり、
図11は、除塵装置の概略的な側面図(一部断面図)である。
【0073】
第2実施形態に係る除塵装置の基本的な構成は、第1実施形態の除塵装置と共通する。従って、以下の説明では、第1実施形態と共通する部分については同一符号を付して説明を省略、又は簡略し、主に第1実施形態との相違点について詳述する。
【0074】
第2実施形態の除塵装置は、以下に詳述するように、ラック・ピニオン機構によりレーキ2を昇降させるように構成されており、この点で、レーキ2及び昇降駆動機構5Lの構成が第1実施形態と相違している。
【0075】
レーキ2は、レーキフレーム21とレーキ本体20とを備えた逆T字型の形状を有している点で第1実施形態と共通するが、第2実施形態では、
図10及び
図11に示すように、レーキフレーム21の前面に、その長手方向(上下方向)に亘ってラック27が連続的に設けられている。また、レーキフレーム21の側面(幅方向両側の側面)には、各々、長手方向(上下方向)に亘って延びるフランジ状(板状)のガイド部26(
図13参照)が設けられている。
【0076】
図12~
図15は、昇降駆動機構5Lを示すガイド部材12の断面図であり、
図12は、
図11のXII-XII線に沿った断面を、
図13は、
図11のXIII―XIII線に沿った断面を各々示している。また、
図14は、
図13のXIV―XIV線に沿った断面を、
図15は、
図14のXV―XV線に沿った断面を各々示している。
【0077】
図10~
図15に示すように、ガイド部材12の内側面には、レーキフレーム21のガイド部26を案内する前後一対のガイドローラ35が設けられている。ガイドローラ35は、上下方向に所定間隔を隔てた位置に設けられている。レーキ2は、レーキフレーム21の両側(幅方向両側)に設けられたガイド部26が各々ガイドローラ35により案内されることにより、ガイド部材12に沿って昇降する。
【0078】
ガイド部材12の内部には、レーキフレーム21の前記ラック27に各々噛合可能な上下2つのピニオン30a、30b(下部ピニオン30a、上部ピニオン30b)が設けられている。下部ピニオン30aは下部軸32aに固定されており、この下部軸32aを介してガイド部材12の下端部近傍の位置に回転可能に支持されている。また、上部ピニオン30bは、上部軸32bに固定されており、この上部軸32bを介してガイド部材12の長手方向中央部よりやや上方の位置に回転可能に支持されている。
【0079】
上部軸32bの一端は、
図12に示すように、ガイド部材12の外側に突出している。上部軸32bの当該突出部分にはプーリ38が固定されており、当該プーリ38とモータ14の出力軸に固定されたプーリ37とに亘って駆動ベルト40が装着されている。また、上部軸32bの上部ピニオン30bに隣接する位置にプーリ33が固定されるとともに、下部軸32aの下部ピニオン30aに隣接する位置にプーリ33が固定され、これらプーリ33、33に亘ってタイミングベルト34が装着されている。
【0080】
つまり、モータ14の駆動力がプーリ37、38及び駆動ベルト40を介して上部軸32bに伝達されるとともに、プーリ33、33及びタイミングベルト34を介して下部軸32aに伝達される。その結果、下部ピニオン30aと上部ピニオン30bとが同期して同一方向に回転駆動されるように構成されている。
【0081】
レーキ2の上下方向の長さ寸法La(
図11に示す)は、両ピニオン30a、30bの中心間距離D(
図11に示す)よりも若干長く設定されている。すなわち、レーキ2(レーキフレーム21)は、第2高さ位置P2で、下部ピニオン30aと上部ピニオン30bの双方がラック27に同時に噛合するように長さ設定されている。また、レーキ2は、第1高さ位置P1では、下部ピニオン30aにのみがラック27が噛合している。
【0082】
[動作説明]
図16は、除塵装置の作動説明図であり、
図16(a)は、レーキ2が第1高さ位置P1、すなわち掻き上げ開始位置に配置された状態を示している。
【0083】
図16(a)に示すように、第1高さ位置P1では、下部ピニオン30aのみがラック27(レーキ2)に噛合(係合)している。この状態からモータ14により各ピニオン30a、30bが正方向(
図2では反時計回り)に回転駆動されると、この回転に伴いレーキ2がスクリーン1に沿って上昇する。すなわち、モータ14の駆動力が下部ピニオン30aからラック27を介してレーキ2に入力(伝達)され、この駆動力によりレーキ2が上昇する。
【0084】
レーキ2が第1高さ位置P1から第2高さ位置P2へ上昇すると、
図16(b)に示すように、上部ピニオン30bに対してラック27が噛合し始める。この時点では、同図に示すように、下部ピニオン30aもラック27に噛合している。よって、レーキ2は、上下二つのピニオン30a、30bがラック27に噛合した状態で、各ピニオン30a、30bの回転に伴い上昇する。
【0085】
第2高さ位置P2から少しレーキ2が上昇すると、下部ピニオン30aからラック27が上方に離脱する。従って、レーキ2は、その後、上部ピニオン30bの回転のみによって、
図16(c)に示す第3高さ位置P3まで移動する。
【0086】
第3高さ位置P3までレーキ2が上昇すると、モータ14が反転駆動され、これにより各ピニオン30a、30bが逆方向に回転する。これにより、上昇時とは逆の動作で、レーキ2が第3高さ位置P3から第1高さ位置P1にリセットされる。この場合も、シリンダ19の作動により、レーキ2が下降途中で一旦スクリーン1から前方へ離されたてから、第1高さ位置P1にリセットされることにより、スクリーン1に捕捉された塵芥を確実に掻き揚げることが可能となる。
【0087】
[効果等]
第2実施形態の除塵装置も、第1実施形態と同様に、モータ14の駆動力によりレーキ2をガイド部材12に沿って往復移動させながら、スクリーン1に捕捉された塵芥をレーキ2上昇時に掻き揚げるレーキ直動式の除塵装置である。
【0088】
第2実施形態の昇降駆動機構5Lは、既述の通り、ガイド部材12に、第1高さ位置P1と第2高さ位置P2との間でレーキ2に対して駆動力を伝達する第1動力伝達部(すなわち下部ピニオン30a)と、第2高さ位置P2と第3高さ位置P3との間でレーキ2に対して駆動力を伝達する第2動力伝達部(すなわち上部ピニオン30b)とが備えられ、レーキ2には、第1動力伝達部(下部ピニオン30a)及び第2動力伝達部(上部ピニオン30b)の各々から駆動力が入力される動力入力部(すなわちラック27)が備えられている。
【0089】
このような構成では、レーキ2の共通の動力入力部(ラック27)に対して、異なる動力伝達部(ピニオン30a、30b)から異なる高さ位置で順次動力が伝達されるため、
図16に示すように、レーキ2の昇降ストロークLSに対してレーキ2を上下方向にコンパクト化することができる。
【0090】
そのため、従来装置(特許文献2)と比べると、上下方向にコンパクトなレーキ構成で、従来装置と同等の昇降ストロークを確保することができる。従って、掻き上げ時の装置上方へのレーキフレーム21の突出を抑制することが可能となる。
【0091】
この点について、
図17を参照しながら具体的に説明する。
図17は、レーキの昇降スロトークの新旧対比図であり、右側に実施例(第2実施形態の除塵装置)を、左側に従来装置(特許文献2の除塵装置)を各々模式図に示している。
【0092】
まず、実施例の除塵装置について考える。図中の符号Pa、Pb、Pcは、レーキ2の高さ位置を各々示している。高さ位置Pbは、レーキ2の下端部が下部ピニオン30aに、上端部が上部ピニオン30bに各々噛合する高さ位置であり、既述の第2高さ位置P2に対応する。高さ位置Paは、レーキ2の上端部のみが下部ピニオン30aに噛合する高さ位置、すなわち昇降ストロークにおける下端位置であり、既述の第1高さ位置P1に対応する。高さ位置Pcは、レーキ2の下端部のみが上部ピニオン30bに噛合する高さ位置、すなわち昇降ストロークの上端位置であり、既述の第3高さ位置P3に対応する。ここでは、高さ位置Pbを基準として、レーキ2が昇降ストロークの上昇端位置にあるときのレーキ2の到達高さ(レーキフレーム21の上端高さ)について考える。
【0093】
図中に示すように、
ピニオン30a、30bの中心間の高低差をL、
各高さ位置でのピニオン30a又は30bの中心とレーキ上端との高低差をL1、
各高さ位置でのピニオン30a又は30bの中心とレーキ下端との高低差をL2、
レーキ2の下端と上端との高低差をL3とすると、
実施例では、同図に示すように、レーキ2が昇降ストロークの上昇端位置にあるときのレーキ2の到達高さH1は、以下の通りである。
【0094】
H1=(L+L2)+L+(L+L1)=3L+L2+L1
次に、従来装置について考える。具体的には、同図に示すように、実施例の上部ピニオン30bのみで、実施例と同等の昇降ストロークだけレーキ2´を昇降させる場合を考える。この場合、高さ位置Paにおいてレーキ2´が上部ピニオン30bに噛合するようにレーキ2´の長さを設定すると、当該レーキ2´の下端と上端との高低差L4は、図中に示す通り、L4=2L+L2+L1である。従って、レーキ2が昇降ストロークの上昇端位置にあるときのレーキ2の到達高さH2は、以下の通りである。
【0095】
H2=(2L+L2)+(2L+L1)=4L+L2+L1
よって、上昇端位置における実施例と従来装置との到達高さの差ΔHは、以下の通りとなる。
【0096】
ΔH=H2-H1=(4L+L2+L1)-(3L+L2+L1)=L
このように、実施例の方が、両ピニオン30a、30bの中心間の高低差分だけ従来装置よりも低くなる。従って、上記第2実施形態の除塵装置によっても、第1実施形態の除塵装置と同様に、掻き上げ時の装置上方へのレーキフレーム21の突出を抑制することが可能となり、その結果、設置場所の制約を受け難くなる。
【0097】
なお、説明が重複するが、この第2実施形態では、下部ピニオン30aが本発明の「第1動力伝達部」に相当し、上部ピニオン30bが本発明の「第2動力伝達部」に相当し、レーキフレーム21が本発明の「動力入力部」に相当する。
【0098】
以上説明した各実施形態の除塵装置は、本発明の好ましい実施形態の例示であって、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。除塵装置のより具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0099】
例えば、第2実施形態では、上下2つのピニオン30a、30b(動力伝達部)を順次ラック27(動力入力部)に噛合させることによりレーキ2を昇降させているが、上下に3つ以上のピニオンを配置して、これらピニオンを順次ラック27に噛合させるように構成してもよい。また、第1実施形態についても、チェーン16の3箇所以上の異なる位置に係合部(動力伝達部)を設け、当該係合部を順次レーキフレーム21に係合させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 スクリーン
2 レーキ
5L 昇降駆動機構
10 装置フレーム
14 モータ
16 チェーン
17 連結ピン(第1動力伝達部)
20 レーキ本体
21 レーキフレーム(動力入力部)
21a 下端面(第2入力部)
23 ブラケット(第1入力部)
25 係合金具(第2動力伝達部)
27 ラック(動力入力部)
30a 下部ピニオン(第1動力伝達部)
30b 上部ピニオン(第2動力伝達部)