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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120731
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240829BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240829BHJP
   B05C 9/06 20060101ALI20240829BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240829BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240829BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240829BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C11/00
B05C9/06
B05C5/02
B05D7/00 K
B05D3/00 D
B05D1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027742
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 茂宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優史
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC02
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075AC95
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DA08
4D075DB14
4D075DC22
4D075DC24
4D075EA05
4D075EA45
4F041AA02
4F041AA05
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA35
4F041BA38
4F041BA56
4F041CA03
4F041CA17
4F041CA18
4F041CA22
4F042AA02
4F042AA06
4F042AA07
4F042BA04
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA19
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042CA09
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB19
4F042DH09
4F042ED02
(57)【要約】
【課題】処理液の無駄な消費を抑制しつつ基板上に形成される処理液の膜の厚さを大きくすることが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wを保持するステージ装置130、一方向に延びるスリット状の吐出口14が形成されたノズルブロック151および制御部110を備える。ノズルブロック151は、ノズル支持体140、X方向駆動部141およびZ方向駆動部142により水平方向および上下方向に移動する。制御部110は、X方向駆動部141およびZ方向駆動部142を制御し、基板Wとノズルブロック151との間に隙間を形成しつつノズルブロック151を移動させることにより、毛細管現象を利用して基板W上に処理液の膜を形成する。また、制御部110は、平面視で吐出口14が基板Wの上面を複数回通過するようにX方向駆動部141およびZ方向駆動部142を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理装置であって、
前記基板を保持する基板保持部と、
一方向に延びるスリット状の吐出口を有するノズルと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されかつ前記隙間に処理液が満たされる状態で、前記ノズル内の処理液が前記隙間に発生する毛細管現象により前記吐出口から前記基板の前記上面上に引き出されるように、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記吐出口の長手方向に交差する短手方向に相対的に移動させる移動部と、
前記移動部を制御することにより、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を複数回通過させる制御部とを備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記制御部は、前記移動部を制御することにより、
平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させる、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間隔を前記所定間隔よりも大きく離間させつつ、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記短手方向に相対的に移動させることが可能に構成され、
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記制御部は、前記移動部を制御することにより、
前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、
前記基板の前記上面と前記ノズルとが前記所定間隔よりも大きく離間された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させ、
その後、前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させる、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板の前記上面に形成される処理液の膜の厚さに関連する1または複数の処理条件を設定する条件設定部をさらに備え、
前記制御部は、前記条件設定部により設定された1または複数の処理条件に基づいて前記移動部を制御し、
前記条件設定部は、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記1または複数の処理条件を変更する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記1または複数の処理条件は、前記基板と前記ノズルとの間の相対的な移動速度、および前記基板と前記ノズルとの間の相対的な移動方向のいずれかを示す情報を含む、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記基板保持部に保持された前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して上下方向に移動させることが可能に構成され、
前記1または複数の処理条件は、前記隙間の間隔を示す情報を含む、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板の前記上面に形成される処理液の膜の厚さに関連する1または複数の処理条件を設定する条件設定部と、
前記ノズルの内部圧力を調整する圧力調整部とをさらに備え、
前記1または複数の処理条件は、前記ノズルの内部圧力を示す情報を含み、
前記制御部は、前記条件設定部により設定された1または複数の処理条件に基づいて前記圧力調整部を制御し、
前記条件設定部は、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記1または複数の処理条件を変更する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
平面視で前記ノズルの前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに前記基板の上面上に形成される処理液の膜の厚さ情報を取得する膜厚取得部をさらに備え、
前記条件設定部は、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記膜厚取得部により取得される膜の厚さ情報に基づいて前記1または複数の処理条件を調整する、請求項4~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記移動部を制御することにより、前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の全体を複数回通過させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理方法であって、
基板保持部により前記基板を保持するステップと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されかつ前記隙間に処理液が満たされる状態で、前記ノズル内の処理液が前記隙間に発生する毛細管現象により前記吐出口から前記基板の前記上面上に引き出されるように、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記吐出口の長手方向に交差する短手方向に相対的に移動させる相対移動ステップとを含み、
前記相対移動ステップは、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を複数回通過させることを含む、基板処理方法。
【請求項11】
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記相対移動ステップは、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させることを含む、請求項10記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間隔を前記所定間隔に調整する第1の間隔調整ステップと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとを前記所定間隔よりも大きく離間させる第2の間隔調整ステップとをさらに含み、
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記相対移動ステップは、
前記第1の間隔調整ステップにより前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、
前記第2の間隔調整ステップにより前記基板の前記上面と前記ノズルとが前記所定間隔よりも大きく離間された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させ、
その後、前記第1の間隔調整ステップにより前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させることを含む、請求項10記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記基板の前記上面に形成される処理液の膜の厚さに関連する1または複数の処理条件を設定する設定ステップをさらに含み、
前記相対移動ステップは、前記設定ステップにより設定された1または複数の処理条件に基づいて前記基板および前記ノズルを前記短手方向に相対的に移動させることを含み、
前記設定ステップは、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記1または複数の処理条件を変更することを含む、請求項10記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
基板処理装置の一例として、特許文献1には、基板にレジスト膜を形成する回転式基板処理装置が記載されている。その基板処理装置においては、水平姿勢で保持されて回転する基板の中心部にレジスト液が供給される。供給されたレジスト液が基板の周縁部に向かって広がることにより、基板の上面全体にレジスト液の膜が形成される。レジスト液の膜が形成された基板に、乾燥処理等の所定の処理が施される。それにより、基板の上面にレジスト膜が形成される。
【0004】
上記のように、回転する基板の上面に処理液(レジスト液)を供給することにより基板の上面に処理液の膜(レジスト膜)を形成する方法は、スピン塗布法と呼ばれる。スピン塗布法では、回転する基板の上面全体に処理液を塗り広げるために、基板上に供給される処理液の一部が基板の外方に飛散する。そのため、スピン塗布法では、処理液の利用効率に限界がある。
【0005】
基板上への処理液の膜の形成方法としては、上記のスピン塗布法の他、スリット状の吐出口を有するノズル(処理液供給部)を用いたキャピラリ塗布法と呼ばれる方法がある。キャピラリ塗布法は、ノズルと基板との間に隙間を形成し、その隙間に処理液が満たされることで発生する毛細管現象を利用してスリット状の吐出口から基板上に処理液を引き出す方法である(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
キャピラリ塗布法によれば、毛細管現象が発生する状態で吐出口から基板上に処理液が引き出される。そのため、キャピラリ塗布法は、スピン塗布法に比べて処理液の利用効率が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-046850号公報
【特許文献2】特開2017-148769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のキャピラリ塗布法においては、吐出口から基板上に引き出すことが可能な処理液の量が、毛細管現象を利用可能な範囲に制限される。
【0009】
本発明の目的は、処理液の無駄な消費を抑制しつつ基板上に形成される処理液の膜の厚さを大きくすることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に従う基板処理装置は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理装置であって、前記基板を保持する基板保持部と、一方向に延びるスリット状の吐出口を有するノズルと、前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されかつ前記隙間に処理液が満たされる状態で、前記ノズル内の処理液が前記隙間に発生する毛細管現象により前記吐出口から前記基板の前記上面上に引き出されるように、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記吐出口の長手方向に交差する短手方向に相対的に移動させる移動部と、前記移動部を制御することにより、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を複数回通過させる制御部とを備える。
【0011】
本発明の他の局面に従う基板処理方法は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理方法であって、基板保持部により前記基板を保持するステップと、前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されかつ前記隙間に処理液が満たされる状態で、前記ノズル内の処理液が前記隙間に発生する毛細管現象により前記吐出口から前記基板の前記上面上に引き出されるように、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記吐出口の長手方向に交差する短手方向に相対的に移動させる相対移動ステップとを含み、前記相対移動ステップは、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を複数回通過させることを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、処理液の無駄な消費を抑制しつつ基板上に形成される処理液の膜の厚さを大きくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的な外観斜視図である。
図2】処理液供給系の基本構成を説明するための図である。
図3図1の基板処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】塗布処理により基板上に形成される処理液の膜の厚さと各種処理条件との関係の一例を示す図である。
図5図1の塗布装置による基板の塗布処理の第1の例を説明するための図である。
図6図1の塗布装置による基板の塗布処理の第1の例を説明するための図である。
図7】ノズルブロックの移動方向に応じた厚さのばらつきの例を説明するための図である。
図8図1の塗布装置による基板の塗布処理の第2の例を説明するための図である。
図9図1の塗布装置による基板の塗布処理の第2の例を説明するための図である。
図10図1の塗布装置による基板の塗布処理の第3の例を説明するための図である。
図11図1の塗布装置による基板の塗布処理の第3の例を説明するための図である。
図12】他の実施の形態に係る基板処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、以下に説明する基板は、平面視でノッチの形成部分を除いて円形状を有する。
【0015】
1.基板処理装置の構成
<1>概要
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的な外観斜視図である。図1に示すように、基板処理装置1は、塗布装置100、制御部110および処理液供給系160を含み、図示しない筐体内に収容されている。図1には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は上下方向(鉛直方向)に相当する。
【0016】
塗布装置100は、基板W上に処理液の膜を形成する塗布処理が可能に構成され、2つのステージ支持体120、ステージ装置130、2つのノズル支持体140およびノズル装置150を含む。本実施の形態において、塗布装置100で用いられる処理液はレジスト膜用の塗布液(レジスト液)または反射防止膜用の塗布液(反射防止液)である。
【0017】
制御部110は、塗布装置100の各部の動作を制御する。処理液供給系160は、塗布装置100に処理液を供給する。制御部110および処理液供給系160の詳細は後述する。
【0018】
<2>塗布装置100
塗布装置100の2つのステージ支持体120の各々は、一方向に延びる略直方体形状を有し、X方向に沿って延びるように、図示しない筐体の底面上に設けられている。2つのステージ支持体120は、Y方向に並ぶように配置されている。各ステージ支持体120の上面には、当該ステージ支持体120の長手方向に沿って延びるガイドレール121が設けられている。以下の説明では、ステージ支持体120の一端部taから他端部tbに向く方向を塗布装置100の前方と呼び、ステージ支持体120の他端部tbから一端部taに向く方向を塗布装置100の後方と呼ぶ。
【0019】
ステージ装置130は、Y方向において2つのステージ支持体120の間に位置し、2つのステージ支持体120により支持されている。ステージ装置130は、プレート部材131、プレート調整部132、複数(本例では、3本)の支持ピン133、ピン昇降駆動部134および吸引駆動部135を含む。
【0020】
プレート部材131は、例えば矩形の平板形状を有する石材により形成され、ステージ装置130の上面部分を構成する。プレート部材131の一部には、処理対象となる基板Wが載置される。基板Wが載置されるプレート部材131の部分(以下、基板載置部分と呼ぶ。)には、当該プレート部材131をZ方向に貫通するように、図示しない複数の吸気孔および複数のピン挿入孔が形成されている。
【0021】
プレート調整部132、複数の支持ピン133、ピン昇降駆動部134および吸引駆動部135は、プレート部材131の下方に設けられている。プレート調整部132は、ヒータ等を含み、プレート部材131の基板載置部分の温度を調整する。
【0022】
複数の支持ピン133は、Z方向に延びるようにかつ平面視で基板載置部分の複数のピン挿入孔にそれぞれ重なるようにピン昇降駆動部134により支持されている。ピン昇降駆動部134は、制御部110の制御に基づいて、複数の支持ピン133をZ方向に移動させる。それにより、複数の支持ピン133の上端部は、複数のピン挿入孔を通してプレート部材131よりも上方のピン上昇位置と、プレート部材131よりも下方のピン下降位置との間を移動する。
【0023】
基板Wの搬入時には、複数の支持ピン133の上端部がピン上昇位置にある状態で、図示しない搬送装置により保持された未処理の基板Wが複数の支持ピン133上に渡される。また、基板Wの搬出時には、複数の支持ピン133の上端部がピン上昇位置にある状態で、複数の支持ピン133上に支持された処理済の基板Wが図示しない搬送装置により受け取られる。さらに、塗布装置100における基板Wの塗布処理時には、複数の支持ピン133の上端部がピン下降位置にある状態で、プレート部材131の基板載置部分に載置された基板Wに処理液が供給される。
【0024】
プレート部材131に形成された複数の吸気孔は、吸引駆動部135および図示しない吸気系を通して工場の排気設備等に接続されている。吸引駆動部135は、制御部110の制御に基づいて、複数の吸気孔と吸気系との間に形成される吸気経路を連通状態と遮断状態との間で切り替える。このような構成により、プレート部材131の基板載置部分に基板Wが載置された状態で、吸引駆動部135は、吸気経路を連通状態とすることにより当該基板Wを基板載置部分に吸着保持させることができる。また、基板載置部分に基板Wが吸着保持された状態で、吸引駆動部135は、吸気経路を遮断状態とすることにより当該基板Wをプレート部材131から解放させることができる。
【0025】
2つのステージ支持体120の上面には、2つのノズル支持体140がそれぞれ設けられている。2つのノズル支持体140は、Y方向に並ぶように配置されている。2つのノズル支持体140の各々は、当該ノズル支持体140が設けられたステージ支持体120のガイドレール121に沿ってX方向(塗布装置100の前後方向)に移動可能となっている。
【0026】
ノズル装置150は、Y方向において2つのノズル支持体140の間に位置し、2つのノズル支持体140により支持されている。2つノズル支持体140のうち少なくとも一方には、X方向駆動部141およびZ方向駆動部142が内蔵されている。
【0027】
ノズル装置150は、ノズルブロック151を含む。ノズルブロック151は、一方向に延びる略直方体形状を有する。ノズルブロック151の両端部は、2つのノズル支持体140にそれぞれ支持されている。図1では、吹き出し内に、ノズルブロック151の下半部の縦断面図(ノズルブロック151の下半部をY方向に直交する鉛直面で切断した断面図)が示される。その縦断面図に示されるように、ノズルブロック151は、塗布装置100の前方を向く前面11および塗布装置100の後方を向く後面12を有する。
【0028】
また、ノズルブロック151は、基板対向面13a、前傾斜面13bおよび後傾斜面13cを有する。前傾斜面13bは、ノズルブロック151をY方向に見た側面視で、前面11の下端部から後方かつ下方に向かって延びる。一方、後傾斜面13cは、ノズルブロック151をY方向に見た側面視で、後面12の下端部から前方かつ下方に向かって延びる。基板対向面13aは、水平面に対して平行となるように、前傾斜面13bの下端部と後傾斜面13cの下端部とをつないでいる。基板対向面13aには、スリット状の吐出口14が形成されている。吐出口14はY方向に延びている。
【0029】
ノズルブロック151の内部には、液流路15および貯留部16が形成されている。貯留部16は、一定量の処理液を貯留可能に形成されている。貯留部16から吐出口14にかけて液流路15が形成されている。これにより、貯留部16の内部空間は、液流路15および吐出口14を通してノズルブロック151の下方の空間(ノズルブロック151の外部空間)に連通する。ノズルブロック151には、処理液供給系160の一部を構成する配管PIが接続されている。処理液供給系160の配管PIからノズルブロック151の貯留部16内に、処理液が供給される。
【0030】
X方向駆動部141は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、制御部110の制御に基づいて、ノズル支持体140をステージ支持体120のガイドレール121上でX方向に移動させる。Z方向駆動部142は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、制御部110の制御に基づいて、ノズル支持体140によって支持されるノズル装置150をZ方向に移動させる。
【0031】
基板Wの塗布処理時には、プレート部材131上に基板Wが吸着保持された状態で、ノズルブロック151が基板Wの上面に近づけられ、ノズル装置150が基板Wの上方の空間をX方向に移動する。このとき、ノズル装置150のZ方向の位置(高さ位置)は、毛細管現象により、ノズルブロック151内の処理液が吐出口14からノズルブロック151と基板Wとの間の隙間に引き出される(吐出される)ように調整される。このように、ノズルの吐出口から毛細管現象を利用して基板W上に塗布液を供給する方法は、キャピラリ塗布法と呼ばれる。
【0032】
<3>処理液供給系160
処理液供給系160の詳細を説明する。図2は、処理液供給系160の基本構成を説明するための図である。図2では、処理液供給系160の基本構成とともに、図1のノズルブロック151およびプレート部材131が模式的に示される。
【0033】
図2に示すように、処理液供給系160は、バルブ161、処理液タンク162、圧力調整部163および配管PIを含む。処理液タンク162には、基板Wの塗布処理に用いられる処理液が貯留される。配管PIは、処理液タンク162の底部とノズル装置150とを接続する。バルブ161は、配管PIに設けられている。バルブ161が開かれることにより、処理液タンク162の内部空間と図1のノズルブロック151の貯留部16の内部空間とが連通する。それにより、処理液供給系160からノズル装置150への処理液の供給が可能になる。バルブ161が閉じられることにより、配管PIにおける処理液の流通経路が遮断され、処理液供給系160からノズル装置150への処理液の供給が不可能になる。
【0034】
圧力調整部163は、例えば電空レギュレータであり、処理液タンク162内の圧力を変化させる。なお、圧力調整部163は、処理液タンク162の内部空間の圧力を調整することができるのであれば、電空レギュレータに代えて各種ポンプまたはアスピレータ等の他の圧力調整手段で構成されてもよい。
【0035】
キャピラリ塗布法による基板Wの塗布処理時には、上記のように、ノズル装置150のノズルブロック151がプレート部材131に載置された基板Wに近づけられる。また、バルブ161が開かれ、ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間に処理液が満たされる。それにより、ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間で毛細管現象が発生し、図2に白抜きの矢印で示すように、ノズルブロック151内の処理液に、当該処理液を吐出口14から基板Wの上面上に引き出す力が作用する。
【0036】
一方、ノズルブロック151内部に存在する処理液には、処理液タンク162に貯留される処理液の液面の高さ位置h01と吐出口14の高さ位置h02との関係に応じた力が発生する。例えば、処理液の液面の高さ位置h01が吐出口14の高さ位置h02よりも低いと、ノズルブロック151内の処理液に、液流路15から貯留部16に流入しようとする力が発生する。一方、処理液の液面の高さ位置h01が吐出口14の高さ位置h02よりも高いと、ノズルブロック151内の処理液に、当該処理液を吐出口14からノズルブロック151の外部に流出しようとする力が発生する。上記の流入しようとする力および流出しようとする力は、2つの高さ位置h01,h02の差分が大きいほど大きくなる。したがって、高さ位置h01,h02の差分が0である場合、ノズルブロック151内部に存在する処理液には、2つの高さ位置h01,h02の関係に応じた力は発生しない。この場合、ノズルブロック151内部の処理液には、ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間に発生する毛細管現象に起因する力のみが作用する。
【0037】
ここで、毛細管現象に起因する力を除いてノズルブロック151内の処理液に発生する力は、すなわちノズルブロック151内に存在する処理液の圧力(ノズルブロック151の内部圧力)に起因する力である。
【0038】
そこで、キャピラリ塗布法による基板Wの塗布処理時には、上記の毛細管現象に起因して処理液に作用する力と、ノズルブロック151の内部圧力とのバランスが適宜調整される。処理液供給系160の圧力調整部163は、ノズルブロック151の内部圧力を調整するために動作する。圧力調整部163が処理液タンク162内の圧力を変化させることにより、ノズルブロック151の内部圧力が変化する。これにより、基板Wの塗布処理中にノズルブロック151から基板W上に引き出される処理液の量(処理液の吐出量)が調整される。
【0039】
本実施の形態においては、基板Wの塗布処理中、基板Wへの処理液の吐出を許容しつつ、ノズルブロック151の内部圧力が適度に負圧になるように処理液タンク162内の圧力が調整される。この場合、ノズルブロック151内の処理液に、液流路15から貯留部16に流入しようとする力が適度に発生する。したがって、処理液の吐出量は、ノズルブロック151内の処理液に毛細管現象に起因する力のみが作用する場合に比べて少なくなる。
【0040】
<4>基板処理装置1の制御系
図3は、図1の基板処理装置1の制御系の構成を示すブロック図である。上記のように、基板処理装置1は、制御部110を備える。制御部110は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、基板Wの塗布処理を行うための塗布処理プログラムを記憶する。
【0041】
図3に示すように、制御部110は、基板処理装置1の各部の動作を制御するための機能部として、ノズル移動制御部111、吐出制御部112、プレート制御部113および条件設定部114を含む。CPUが記憶装置に記憶された塗布処理プログラムをRAM上で実行することにより制御部110の機能部が実現される。制御部110の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0042】
条件設定部114には、予め定められた1または複数の処理条件が記憶されている(処理条件の設定)。本実施の形態においては、1または複数の処理条件は、「ノズルブロック151の移動速度」、「ノズルブロック151の移動方向」および「塗布回数」を含む。また、1または複数の処理条件は、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」および「ノズルブロック151の内部圧力」をさらに含む。
【0043】
以下の説明では、ノズルブロック151が塗布装置100の後方から前方に向かって移動することを前進と呼び、ノズルブロック151が塗布装置100の前方から後方に向かって移動することを後進と呼ぶ。
【0044】
「ノズルブロック151の移動速度」は塗布処理時にノズルブロック151が基板Wに対して塗布装置100の前後方向に移動するときの移動速度であり、「ノズルブロック151の移動方向」は当該塗布処理中のノズルブロック151の進行方向(前進方向または後進方向)である。「塗布回数」は、基板W上に処理液が重ねて塗布される場合の塗布の回数であり、本実施の形態において予め記憶されている「塗布回数」は2以上である。
【0045】
基板処理装置1は、操作部190をさらに備える。操作部190は、例えばキーボードおよびポインティングデバイスを含み、使用者により操作可能に構成される。使用者は、操作部190を操作することにより塗布処理のための1または複数の処理条件を入力することができる。処理条件が入力された場合、条件設定部114は、入力された処理条件で予め記憶されている処理条件を更新する(処理条件の再設定)。
【0046】
上記の複数の処理条件のうち、「ノズルブロック151の移動速度」、「塗布回数」、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」および「ノズルブロック151の内部圧力」は、塗布処理により基板W上に形成される処理液の膜の厚さに対して高い相関性を有する。
【0047】
図4は、塗布処理により基板W上に形成される処理液の膜の厚さと各種処理条件との関係の一例を示す図である。図4の左部分に、膜の厚さと「ノズルブロック151の移動速度」との関係が示される。図4の左部分のグラフにおいて、縦軸は処理液の膜の厚さを表し、横軸は移動速度を表す。また、図4の左部分のグラフにおいて、一点鎖線は、未処理の基板W上に処理液を1回塗布することにより形成された処理液の膜の厚さ(以下、第1の厚さと呼ぶ。)とノズルブロック151の移動速度との関係を示す。点線は、未処理の基板W上に処理液を2回塗布することにより形成された処理液の膜の厚さ(以下、第2の厚さと呼ぶ。)とノズルブロック151の移動速度との関係を示す。
【0048】
図4の左部分のグラフによれば、第1の厚さおよび第2の厚さは、ともに移動速度が大きくなるにつれて小さくなっている。また、第2の厚さは第1の厚さよりも大きい。
【0049】
図4の中央部分に、膜の厚さと「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」との関係が示される。図4の中央部分のグラフにおいて、縦軸は処理液の膜の厚さを表し、横軸はノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔を表す。また、図4の中央部分のグラフにおいて、一点鎖線は、第1の厚さと隙間の間隔との関係を示す。点線は、第2の厚さと隙間の間隔との関係を示す。図4の中央部分のグラフによれば、第1の厚さおよび第2の厚さは、ともに隙間の間隔が大きくなるにつれて小さくなっている。また、第2の厚さは第1の厚さよりも大きい。
【0050】
図4の右部分に、膜の厚さと「ノズルブロック151の内部圧力」との関係が示される。図4の右部分のグラフにおいて、縦軸は処理液の膜の厚さを表し、横軸はノズルブロック151の内部圧力を表す。また、図4の右部分のグラフにおいて、一点鎖線は、第1の厚さとノズルブロック151の内部圧力との関係を示す。また、点線は、第2の厚さとノズルブロック151の内部圧力との関係を示す。図4の右部分のグラフによれば、第1の厚さおよび第2の厚さは、ともにノズルブロック151の内部圧力が大きくなるにつれて大きくなっている。また、第2の厚さは第1の厚さよりも大きい。
【0051】
このように、本実施の形態で設定対象となる複数の処理条件は、処理液の膜の厚さに対して高い相関性を有する。そのため、条件設定部114において予め設定されるべき処理条件は、基板Wに形成されるべき処理液の膜の厚さに応じて変化する。したがって、使用者は、基板Wに形成される膜の厚さを変更したい場合、操作部190を操作することにより予め設定されている処理条件を適宜調整することができる。
【0052】
図3に示すように、ノズル移動制御部111は、基板Wの塗布処理時に、条件設定部114により設定された各種処理条件に基づいてX方向駆動部141およびZ方向駆動部142を制御する。例えば、ノズル移動制御部111は、Z方向駆動部142を制御することにより、ノズルブロック151と基板Wとの間に、設定された間隔の隙間を形成する。また、ノズル移動制御部111は、X方向駆動部141を制御することにより、ノズルブロック151を、設定された移動方向に設定された移動速度で移動させる。さらに、ノズル移動制御部111は、X方向駆動部141およびZ方向駆動部142を制御することにより、基板W上に、処理液が設定された回数塗布されるように、基板Wに対してノズルブロック151を移動させる。
【0053】
吐出制御部112は、基板Wの塗布処理時に、条件設定部114により設定された各種処理条件に基づいて処理液供給系160のバルブ161および圧力調整部163を制御する。例えば、吐出制御部112は、バルブ161を開状態にする。また、吐出制御部112は、圧力調整部163を制御することにより、ノズルブロック151の内部圧力が設定された値となるように、処理液タンク162内の圧力を調整する。
【0054】
プレート制御部113は、ピン昇降駆動部134および吸引駆動部135を制御する。それにより、ピン昇降駆動部134は、例えば塗布装置100における基板Wの搬入および搬出時に複数の支持ピン133を上下動させる。吸引駆動部135は、基板Wをプレート部材131上に吸着保持する。また、プレート制御部113は、プレート調整部132を制御する。それにより、プレート部材131の基板載置部分の温度が調整される。
【0055】
2.基板Wの塗布処理の第1の例
<1>塗布装置100の動作
以下の説明では、プレート部材131上に載置された基板Wのうち塗布装置100の後方を向く一端部を当該基板Wの後端部と呼ぶ。さらに、プレート部材131上に載置された基板Wのうち塗布装置100の前方を向く他端部を当該基板Wの前端部と呼ぶ。また、塗布装置100の後方を単に後方と呼び、塗布装置100の前方を単に前方と呼ぶ。さらに、Z方向を上下方向と呼ぶ。
【0056】
図5および図6は、図1の塗布装置100による基板Wの塗布処理の第1の例を説明するための図である。本例では、処理条件として「塗布回数」が「2回」に設定されているものとする。また、「ノズルブロック151の移動方向」が1回目の塗布(1層目の膜の形成)で「前進」に設定され、2回目の塗布(2層目の膜の形成)で「後進」に設定されているものとする。さらに、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」が上記の毛細管現象を発生させることが可能な「第1の間隔GD1」に設定されているものとする。
【0057】
図5および図6においては、塗布処理中の塗布装置100の動作が側面図および平面図を用いて時系列で示される。なお、平面図では、ノズルブロック151と基板Wとの位置関係が理解しやすいように、ノズルブロック151は透過した状態で示される。まず、図5の上段に示すように、基板Wの近傍でかつ基板Wよりも後方の位置(初期位置)にノズルブロック151が配置される。この状態で、ノズルブロック151の高さ位置が調整され、上下方向において、ノズルブロック151の基板対向面13aと基板Wの上面との間に第1の間隔GD1が形成される。
【0058】
次に、ノズルブロック151が初期位置から前進する。平面視でノズルブロック151の吐出口14と基板Wの後端部近傍部分とが重なるタイミングで、図示しないポンプにより所定量の処理液が吐出口14から吐出される。それにより、図5の中段に示すように、ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間が処理液で満たされ、毛細管現象が発生し、ノズルブロック151内の処理液が基板W上に引き出される。
【0059】
ノズルブロック151は、平面視でノズルブロック151の吐出口14と基板Wの前端部近傍部分とが重なる位置まで前進する。これにより、図5の下段に示すように、平面視でノズルブロック151が基板Wの後端部から前端部まで前進する間に、ノズルブロック151内の処理液が基板Wの上面上に引き出される。その結果、基板Wの上面上に1層目の処理液の膜が形成される。
【0060】
平面視でノズルブロック151がノズルブロック151の吐出口14と基板Wの前端部近傍部分が重なる位置に到達すると、ノズルブロック151は一旦停止した後、後進を開始する。この場合、ノズルブロック151の基板対向面13aと1層目の処理液の膜との間の隙間で毛細管現象が発生する。それにより、図6の上段に示すように、ノズルブロック151内の処理液が1層目の処理液の膜上に引き出され、1層目の処理液の膜上に2層目の処理液の膜が形成される。
【0061】
平面視でノズルブロック151が初期位置まで後進することにより、図6の下段に示すように、基板Wの上面全体に1層目の処理液の膜および2層目の処理液の膜が形成される。なお、図6の上段および下段の平面図では、1層目の処理液の膜と2層目の処理液の膜とが区別しやすいように、1層目の処理液の膜と2層目の処理液の膜とが異なるドットパターンで示される。
【0062】
<2>基板Wの塗布処理の第1の例による効果
(a)上記のように、基板Wの塗布処理の第1の例では、基板Wの上面に処理液が2回重ねて塗布される。それにより、1回の塗布により形成可能な処理液の膜の厚さよりも大きい厚さの処理液の膜を基板W上に容易に形成することができる。
【0063】
(b)毛細管現象を利用してスリット状の吐出口14から基板Wの上面に処理液を塗布する場合、基板Wの上面に形成される処理液の膜に、ノズルブロック151の移動方向に応じた厚さのばらつきが生じる可能性がある。
【0064】
図7は、ノズルブロック151の移動方向に応じた厚さのばらつきの例を説明するための図である。図7では、ノズルブロック151の移動方向に応じた厚さのばらつきの一例がグラフにより示される。図7において、縦軸は塗布処理により基板W上に形成される処理液の膜の厚さを表す。横軸は、基板W上の前後方向の位置を表す。より具体的には、図7の横軸は、基板Wの後端部、中心部および前端部を通る直線上の位置を表す。横軸の符号p01で示される位置は基板Wの後端部の位置であり、横軸の符号p02で示される位置は基板Wの中心部の位置であり、横軸の符号p03で示される位置は基板Wの前端部の位置である。
【0065】
図7に太い実線で示すように、例えばノズルブロック151が前進することによる1回の塗布処理で基板W上に形成される処理液の膜の厚さに、ノズルブロック151が進行するほど大きくなるという傾向がある場合を想定する。
【0066】
この場合、基板Wの塗布処理の第1の例によれば、ノズルブロック151が前進することにより形成される1層目の処理液の膜の上に、ノズルブロック151が後進することにより2層目の処理液の膜が形成される。それにより、厚さが前方から後方に向かって大きくなるように形成された1層目の処理液の膜の上に、厚さが後方から前方に向かって大きくなるように2層目の処理液の膜が形成される。したがって、図7に太い点線で示すように、1層目の処理液の膜の厚さの勾配が、2層目の処理液の膜の厚さの勾配により相殺される。その結果、煩雑な制御を行うことなく、基板Wの上面上に形成される処理液の厚さを均一化することが可能になる。
【0067】
また、基板Wの塗布処理の第1の例では、2層目の処理液の膜の形成を開始するために、ノズルブロック151を1層目の処理液の膜の形成終了時の位置から大きく離間させる必要がない。したがって、塗布処理の長時間化が抑制される。
【0068】
3.基板Wの塗布処理の第2の例
<1>塗布装置100の動作
図8および図9は、図1の塗布装置100による基板Wの塗布処理の第2の例を説明するための図である。本例では、処理条件として「塗布回数」が「2回」に設定されているものとする。また、「ノズルブロック151の移動方向」が1回目の塗布(1層目の液膜の形成)で「前進」に設定され、2回目の塗布(2層目の液膜の形成)でも「前進」に設定されているものとする。さらに、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」が上記の「第1の間隔GD1」に設定されているものとする。
【0069】
図8および図9においても、図5および図6の例と同様に、塗布処理中の塗布装置100の動作が側面図および平面図を用いて時系列で示される。なお、平面図では、ノズルブロック151と基板Wとの位置関係が理解しやすいように、ノズルブロック151は透過した状態で示される。まず、図8の上段に示すように、初期位置にノズルブロック151が配置される。この状態で、ノズルブロック151の高さ位置が調整され、上下方向においてノズルブロック151の基板対向面13aと基板Wの上面との間に第1の間隔GD1が形成される。
【0070】
次に、ノズルブロック151が初期位置から前進する。平面視でノズルブロック151の吐出口14と基板Wの後端部近傍部分が重なるタイミングで、図示しないポンプにより所定量の処理液が吐出口14から吐出される。それにより、図8の中段に示すように、ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間が処理液で満たされ、毛細管現象が発生し、ノズルブロック151内の処理液が基板W上に引き出される。
【0071】
ノズルブロック151は、平面視でノズルブロック151の吐出口14が基板Wよりも前方の予め定められた位置(以下、規定位置と呼ぶ。)まで前進する。これにより、図8の下段に示すように、平面視でノズルブロック151が基板Wの後端部から前端部まで前進する間に、ノズルブロック151内の処理液が基板Wの上面上に引き出される。その結果、基板Wの上面上に1層目の処理液の膜が形成される。
【0072】
平面視でノズルブロック151が規定位置に到達すると、ノズルブロック151は、一旦停止する。次に、ノズルブロック151は、上下方向におけるノズルブロック151と基板Wとの間隔が上記の毛細管現象を発生させることが不可能な第2の間隔GD2となるまで上昇する。その後、ノズルブロック151は、初期位置に向かって後進する。
【0073】
続いて、平面視でノズルブロック151が初期位置に到達すると、図9の上段に示すように、ノズルブロック151の高さ位置が再度調整される。それにより、上下方向において、ノズルブロック151の基板対向面13aと基板Wの上面との間に第1の間隔GD1が再度形成される。
【0074】
また、ノズルブロック151が初期位置から前進する。平面視でノズルブロック151の吐出口14と基板Wの後端部近傍部分が重なるタイミングで、図示しないポンプにより所定量の処理液が吐出口14から吐出される。それにより、図9の中段に示すように、ノズルブロック151と基板W上の処理液の膜との間の隙間に処理液が満たされ、毛細管現象が発生し、ノズルブロック151内の処理液が基板W上にさらに引き出される。その結果、1層目の処理液の膜上に2層目の処理液の膜が形成される。
【0075】
平面視でノズルブロック151が規定位置まで前進することにより、図9の下段に示すように、基板Wの上面全体に1層目の処理液の膜および2層目の処理液の膜が形成される。なお、図9の中段および下段の平面図では、図6の例と同様に、1層目の処理液の膜と2層目の処理液の膜とが区別しやすいように、1層目の処理液の膜と2層目の処理液の膜とが異なるドットパターンで示される。
【0076】
<2>基板Wの塗布処理の第2の例による効果
(a)上記のように、基板Wの塗布処理の第2の例では、第1の例と同様に、基板Wの上面に処理液が2回重ねて塗布される。それにより、1回の塗布により形成可能な処理液の膜の厚さよりも大きい厚さの処理液の膜を基板W上に容易に形成することができる。
【0077】
(b)基板W上に複数回重ねて処理液が塗布される場合、先に塗布された処理液の膜の表面状態にばらつきがあると、当該膜上にさらに処理液を塗布して形成される処理液の膜に厚さのばらつきが生じる可能性がある。
【0078】
処理液の膜の表面状態は、例えば処理液の表面の乾燥度合いに応じて変化する。また、処理液の表面の乾燥度合いは、ノズルから吐出された処理液が外気に晒される時間に応じて変化する。そのため、処理液が揮発性の成分を含む場合、当該処理液の乾燥度合いは外気に晒される時間に応じて大きく変化する。
【0079】
上記の基板Wの塗布処理の第1の例では、1層目の処理液の膜の形成時にノズルブロック151が移動する方向(前進方向)と、2層目の処理液の膜の形成時にノズルブロック151が移動する方向(後進方向)とが逆転している。そのため、1層目の処理液の膜のうち基板Wの前端部近傍に位置する部分は、ノズルブロック151が基板Wの後端部から前端部に移動した後、基板Wの前端部から後端部に戻るまでの間長時間に渡り外気に晒される。一方、1層目の処理液の膜のうち基板Wの後端部近傍に位置する部分は、基板Wの前端部近傍に位置する部分が外気に晒される時間に比べて短い時間で2層目の処理液により覆われる。したがって、処理液の種類等によっては、処理液の膜に1層目の処理液の膜の表面状態に起因した厚さのばらつきが生じる可能性がある。
【0080】
これに対して、基板Wの塗布処理の第2の例によれば、1層目の処理液の膜の形成時にノズルブロック151が移動する方向(前進方向)と、2層目の処理液の膜の形成時にノズルブロック151が移動する方向(前進方向)とが同じである。そのため、1層目の処理液の膜に追加の2層目の膜用の処理液が塗布される際に、1層目の処理液の膜の複数の部分で、処理液が外気に晒される時間を均一化することができる。換言すれば、基板Wの複数の部分で、1層目の膜が形成されてから2層目の膜が形成されるまでに要する時間を均一化することができる。
【0081】
その結果、基板Wの上面に処理液が複数回重ねて塗布されることで形成される膜に、厚さのばらつきが生じることが低減される。
【0082】
4.基板Wの塗布処理の第3の例
基板Wの塗布処理は、基板Wを塗布装置100の前後方向における複数の領域に分割し、分割された領域ごとに複数回重ねて処理液を塗布する方法で行われてもよい。
【0083】
図10および図11は、図1の塗布装置100による基板Wの塗布処理の第3の例を説明するための図である。本例では、プレート部材131上に載置される基板Wの上面に、塗布装置100の前後方向で均等な幅を有する8つの領域ar1,ar2,ar3,ar4,ar5,ar6,ar7,ar8が設定される。
【0084】
その上で、各領域ar1~ar8の処理条件として「塗布回数」が「3回」に設定されているものとする。また、「ノズルブロック151の移動方向」が1回目の塗布(1層目の液膜の形成)で「前進」に設定され、2回目の塗布(2層目の液膜の形成)で「後進」に設定され、3回目の塗布(3層目の液膜の形成)で「前進」に設定されているものとする。さらに、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」が上記の「第1の間隔GD1」に設定されているものとする。
【0085】
図10および図11においては、塗布処理中に基板W上に形成される処理液の膜の状態が平面図を用いて時系列で示される。本例においても、基板Wの塗布処理の第1の例と同様に、最初にノズルブロック151が初期位置に配置される。また、塗布処理の間、上下方向におけるノズルブロック151と基板Wの上面との間の間隔は、第1の間隔GD1に維持される。
【0086】
図10の上段に、未処理の基板Wの上面に8つの領域ar1~ar8が設定されている状態が示される。8つの領域ar1,ar2,ar3,ar4,ar5,ar6,ar7,ar8は、この順で基板Wの後端部から基板Wの前端部に向かって並んでいる。
【0087】
塗布処理が開始されることにより、図10の中段に太い実線の矢印a11で示すように、ノズルブロック151が概ね領域ar1の前端部の位置まで前進する。このとき、後方から1番目の領域ar1上に1層目の処理液の膜が形成される。さらに、図10の下段に太い実線の矢印a12で示すように、ノズルブロック151が概ね領域ar1の後端部の位置まで後進し、領域ar1上に2層目の処理液の膜が形成される。
【0088】
次に、図11の上段に太い実線の矢印a13で示すように、ノズルブロック151が概ね領域ar2の前端部の位置まで前進する。それにより、領域ar1上に3層目の処理液の膜が形成される。また、後方から2番目の領域ar2上に1層目の処理液の膜が形成される。
【0089】
次に、図11の中段に太い実線の矢印a14で示すように、ノズルブロック151が概ね領域ar2の後端部の位置まで後進し、領域ar2上に2層目の処理液の膜が形成される。さらに、図11の下段に太い実線の矢印a15で示すように、ノズルブロック151が概ね領域ar3の前端部の位置まで前進する。それにより、領域ar2上に3層目の処理液の膜が形成される。また、後方から3番目の領域ar3上に1層目の処理液の膜が形成される。
【0090】
その後、図11の下段に太い実線の矢印a16,a17,a18,a19,a20,a21に示すように、ノズルブロック151が各領域ar4~ar8に対して前進および後進を繰り返す。それにより、最終的に、全ての領域に1層目~3層目の処理液の膜が形成される。なお、図10および図11の下段の平面図では、1層目の処理液の膜と2層目の処理液の膜と3層目の処理液の膜とが区別しやすいように、1層目、2層目および3層目の処理液の膜が互いに異なるドットパターンで示される。
【0091】
基板Wの塗布処理の第3の例によれば、基板W上で前後方向に分割された各領域ar1~ar8に複数の処理液の層が連続的に形成される。そのため、基板Wの全体に渡って1層目の処理液の膜を形成した後、2層目の処理液の膜を形成する場合に比べて、1層目の処理液の膜が外気に晒される時間を著しく短縮することができる。したがって、基板Wの上面の各領域ar1~ar8において、下地となる層の処理液を乾燥させることなく最上部の処理液の膜を形成することができる。それにより、下地となる層の表面状態に起因して膜の厚さが不均一となることが防止される。その結果、基板Wの上面に処理液が複数回重ねて塗布されることで形成される膜に、厚さのばらつきが生じることが低減される。
【0092】
なお、第3の例では、基板Wの上面上に8つの領域ar1~ar8が設定されているが、基板Wの上面上には前後方向に並ぶ2~7の領域が設定されてもよいし、9以上の領域が設定されてもよい。
【0093】
5.効果
上記の基板処理装置1においては、基板Wの上面とノズルブロック151との間に第1の間隔GD1が形成されつつ、平面視でノズルブロック151の吐出口14が基板Wの上面を少なくとも2回通過する。各通過時には、ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間で処理液に作用する毛細管現象により、吐出口14から引き出された処理液が基板の上面に塗布される。この場合、ノズルブロック151内の処理液は毛細管現象が作用しない状態で吐出口から吐出されない。また、基板Wの上面上には、ノズルブロック151の吐出口14が通過するごとに処理液の層が積層される。その結果、処理液の無駄な消費を抑制しつつ基板W上に形成される処理液の膜の厚さを大きくすることができる。
【0094】
また、上記の基板処理方法によれば、基板Wの上面の状態(表面粗さおよび濡れ性)に起因して1層目の処理液の膜の厚さが不均一である場合でも、その不均一性が、処理液の層上に形成される後続の処理液の膜により吸収される。したがって、最終的に形成される処理液の膜の均一性が向上する。
【0095】
6.各種処理条件の好ましい設定方法
上記のように、塗布装置100においては各種処理条件が設定される。また、使用者は、操作部190を操作することにより、既に設定済みの処理条件を所望の処理条件で更新することができる。
【0096】
ここで、図4に示されるように、塗布処理により形成される処理液の膜の厚さと各種処理条件との関係は、ある程度既知の情報である。したがって、塗布処理の各処理条件は、基準となる処理条件で基板Wに塗布処理を行うとともにその塗布処理により実際に基板W上に形成された処理液の膜の厚さに応じて定めることが好ましい。
【0097】
例えば、予め定められた一の処理条件のセットで上記の第1の例に従って、基板W上に処理液の膜を形成した結果、図7の太い実線で示されるような膜の厚さ分布が得られた場合を想定する。
【0098】
この場合、1層目に対応する処理条件として、「ノズルブロック151の移動速度」をノズルブロック151の前進とともに順次高くなるように設定してもよい。また、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」をノズルブロック151の前進とともに順次大きくなるように設定してもよい。さらに、1層目に対応する「ノズルブロック151の内部圧力」をノズルブロック151の前進とともに順次小さくなるように設定してもよい。これらの設定によれば、1層目の処理液の膜の形成時に基板Wの後端部から前端部に向かって処理液の膜の厚さが大きくなることが抑制される。
【0099】
また、2層目に対応する処理条件として、「ノズルブロック151の移動速度」をノズルブロック151の後進とともに順次低くなるように設定してもよい。また、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」をノズルブロック151の後進とともに順次小さくなるように設定してもよい。さらに、「ノズルブロック151の内部圧力」をノズルブロック151の前進とともに順次大きくなるように設定してもよい。これらの設定によれば、2層目の処理液の膜の形成時に基板Wの後端部から前端部に向かって処理液の膜の厚さが大きくなることが抑制される。
【0100】
上記の例の他、例えば、予め定められた他の処理条件のセットで上記の第2の例に従って、基板W上に処理液の膜を形成した結果、図7の太い実線で示されるような膜の厚さ分布が得られた場合を想定する。
【0101】
この場合、1層目および2層目に対応する処理条件として、「ノズルブロック151の移動速度」をノズルブロック151の前進とともに順次高くなるように設定してもよい。また、「ノズルブロック151と基板Wとの間の隙間の間隔」をノズルブロック151の前進とともに順次大きくなるように設定してもよい。さらに、「ノズルブロック151の内部圧力」をノズルブロック151の前進とともに順次小さくなるように設定してもよい。これらの設定によれば、1層目および2層目の処理液の膜の形成時に基板Wの後端部から前端部に向かって処理液の膜の厚さが大きくなることが抑制される。
【0102】
7.他の実施の形態
(a)他の実施の形態に係る基板処理装置1について、上記実施の形態に係る基板処理装置1と異なる点を説明する。図12は、他の実施の形態に係る基板処理装置1の制御系の構成を示すブロック図である。図12に示すように、他の実施の形態に係る基板処理装置1は、図1の基板処理装置1の構成に加えて、厚さ測定装置170を備える。また、塗布装置100の制御部110は、機能部として、図3の構成に加えてデータ取得部115を含む。さらに、本例の条件設定部114には、塗布処理により形成される処理液の膜の厚さと各種処理条件との関係(図4)を示す既知の情報(以下、既知情報と呼ぶ。)が記憶されている。
【0103】
厚さ測定装置170は、塗布装置100において基板Wの上面上に処理液の膜が形成されるごとに、形成された膜の複数の部分の厚さを測定する。また、制御部110のデータ取得部115は、塗布装置100において基板Wの上面上に処理液の膜が形成されるごとに、厚さ測定装置170による処理液の膜の厚さの測定結果を取得する。
【0104】
そこで、本例の制御部110の条件設定部114は、データ取得部115により取得された膜の厚さの測定結果と既知情報とに基づいて、最終的に基板W上に形成される処理液の膜の厚さが均一化されるように、次の層の膜を形成するための各種処理条件を調整する。この場合、使用者による煩雑な設定作業を要することなく基板Wの上面上に形成される膜の厚さを均一化することができる。なお、上記のデータ取得部115は、少なくとも一部が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0105】
(b)上記実施の形態に係る塗布装置100においては、1つのノズル装置150を用いて基板Wの上面上に繰り返し処理液が塗布されるが、本発明はこれに限定されない。塗布装置100は、複数のノズル装置150を有してもよい。この場合、複数のノズル装置150が基板Wの上面上の共通部分に順次処理液を塗布してもよい。
【0106】
(c)上記実施の形態では、基板W上に処理液が2回または3回塗布される例を説明したが、塗布装置100により基板W上に処理液が塗布される回数は、4回であってもよいし、5回であってもよいし、6回以上であってもよい。
【0107】
(d)上記実施の形態に係る塗布装置100においては、基板Wの上面全体に処理液が塗布されるが、本発明はこれに限定されない。基板Wの上面のうち一部の領域にのみ処理液の膜が形成されてもよい。
【0108】
(e)上記実施の形態に係る塗布装置100は、固定されたプレート部材131上の基板Wに対してノズル装置150が前後方向に移動することにより基板W上に処理液の膜が形成されるが、本発明はこれに限定されない。
【0109】
塗布装置100は、プレート部材131が前後方向に移動可能に構成されてもよい。この場合、固定されたノズル装置150に対してプレート部材131が前後方向に移動することにより、プレート部材131に載置された基板W上に処理液の膜が形成されてもよい。あるいは、ノズル装置150が前進(または後進)するとともにプレート部材131が後進(または前進)することにより、プレート部材131に載置された基板W上に処理液の膜が形成されてもよい。
【0110】
8.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0111】
上記実施の形態においては、基板処理装置1が基板処理装置の例であり、ステージ装置130が基板保持部の例であり、吐出口14が吐出口の例であり、ノズルブロック151がノズルの例であり、Y方向が吐出口の長手方向の例であり、X方向および塗布装置100の前後方向が吐出口の短手方向の例であり、2つのノズル支持体140、X方向駆動部141およびZ方向駆動部142が移動部の例であり、制御部110が制御部の例である。
【0112】
また、塗布装置100において後方から前方に向く方向およびノズルブロック151の前進方向が第1の方向の例であり、塗布装置100において前方から後方に向く方向およびノズルブロック151の後進方向が第2の方向の例であり、条件設定部114が条件設定部の例であり、厚さ測定装置170および制御部110のデータ取得部115が膜厚取得部の例である。
【0113】
9.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る基板処理装置は、
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理装置であって、
前記基板を保持する基板保持部と、
一方向に延びるスリット状の吐出口を有するノズルと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されかつ前記隙間に処理液が満たされる状態で、前記ノズル内の処理液が前記隙間に発生する毛細管現象により前記吐出口から前記基板の前記上面上に引き出されるように、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記吐出口の長手方向に交差する短手方向に相対的に移動させる移動部と、
前記移動部を制御することにより、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を複数回通過させる制御部とを備える。
【0114】
その基板処理装置においては、基板の上面とノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されつつ、平面視でノズルの吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を複数回通過する。各通過時には、ノズルと基板との間の隙間で処理液に作用する毛細管現象により、スリット状の吐出口から引き出された処理液が基板の上面に塗布される。この場合、ノズル内の処理液は毛細管現象が作用しない状態で吐出口から吐出されない。また、基板の上面の少なくとも一部の領域上には、ノズルの吐出口が通過するごとに処理液の層が積層される。その結果、処理液の無駄な消費を抑制しつつ基板上に形成される処理液の膜の厚さを大きくすることができる。
【0115】
(第2項)第1項に記載の基板処理装置において、
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記制御部は、前記移動部を制御することにより、
平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させてもよい。
【0116】
毛細管現象を利用してスリット状の吐出口から基板の上面に処理液を塗布する場合、基板の上面に形成される膜に、ノズルと基板との間の相対的な移動方向に応じた厚さの勾配が生じる場合がある。
【0117】
上記の構成によれば、平面視で吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を複数回通過する。複数の通過動作のうち少なくとも一の通過動作時には、ノズルと基板との間の相対的な移動方向が他の通過動作時に対して逆転する。
【0118】
この場合、基板の上面に形成される複数の層からなる処理液の膜において、第1の方向に対応する処理液の層の厚さの勾配が第2の方向に対応する処理液の層の厚さの勾配により相殺される。その結果、基板の上面上に形成される処理液の膜の厚さを均一化することができる。
【0119】
また、上記の構成によれば、ノズルの進行方向を切り替えるだけで、一の処理液の層の上に追加の処理液の層を形成することができる。したがって、処理液の各層(膜)の形成時に、ノズルの位置決めを行う必要がない。その結果、処理液の膜の形成に要する時間の長時間化が抑制される。
【0120】
(第3項)第1項に記載の基板処理装置において、
前記移動部は、前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間隔を前記所定間隔よりも大きく離間させつつ、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記短手方向に相対的に移動させることが可能に構成され、
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記制御部は、前記移動部を制御することにより、
前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、
前記基板の前記上面と前記ノズルとが前記所定間隔よりも大きく離間された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させ、
その後、前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させてもよい。
【0121】
上記の基板処理装置においては、基板の上面に複数回に渡って処理液の膜が形成される。そのため、基板の上面上に一度処理液が塗布された後は、処理液の膜上に追加の処理液が塗布されることになる。先に塗布された処理液の膜の表面状態にばらつきがあると、当該膜上にさらに処理液が追加されることにより形成される処理液の膜に厚さのばらつきが生じる可能性がある。
【0122】
処理液の膜の表面状態は、処理液の表面の乾燥度合いに応じて変化する。処理液の表面の乾燥度合いは、ノズルから吐出された処理液が外気に晒される時間に応じて変化する。
【0123】
上記の構成によれば、基板の上面の少なくとも一部の領域上に、第1の方向に進行するように処理液が塗布される。一方、基板の上面の少なくとも一部の領域上に、第2の方向に進行するように処理液が塗布されることはない。このように、基板上で共通の第1の方向に塗り広げられるように処理液が塗布されるので、一度塗布された処理液の膜上に追加の処理液が塗布される際に、当該膜の複数の部分で処理液が外気に晒される時間を均一化することができる。
【0124】
その結果、基板の上面に複数回に渡って処理液が塗り重ねられることにより形成される膜に厚さのばらつきが生じることが低減される。
【0125】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記基板の前記上面に形成される処理液の膜の厚さに関連する1または複数の処理条件を設定する条件設定部をさらに備え、
前記制御部は、前記条件設定部により設定された1または複数の処理条件に基づいて前記移動部を制御し、
前記条件設定部は、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記1または複数の処理条件を変更してもよい。
【0126】
この場合、平面視で吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、1または複数の処理条件が変更される。したがって、各処理条件を適宜調整することにより所望の厚さ分布を有する処理液の膜を基板上に形成することができる。
【0127】
(第5項)第4項に記載の基板処理装置において、
前記1または複数の処理条件は、前記基板と前記ノズルとの間の相対的な移動速度、および前記基板と前記ノズルとの間の相対的な移動方向のいずれかを示す情報を含んでもよい。
【0128】
この場合、基板とノズルとの間の相対的な移動速度が処理条件として定められた移動速度となるように、移動部が制御される。あるいは、基板とノズルとの間の相対的な移動方向が処理条件として定められた移動方向となるように、移動部が制御される。
【0129】
(第6項)第4項または第5項に記載の基板処理装置において、
前記移動部は、前記基板保持部に保持された前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して上下方向に移動させることが可能に構成され、
前記1または複数の処理条件は、前記隙間の間隔を示す情報を含んでもよい。
【0130】
この場合、基板とノズルとの間の隙間の間隔が処理条件として定められた間隔となるように、移動部が制御される。
【0131】
(第7項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記基板の前記上面に形成される処理液の膜の厚さに関連する1または複数の処理条件を設定する条件設定部と、
前記ノズルの内部圧力を調整する圧力調整部とをさらに備え、
前記1または複数の処理条件は、前記ノズルの内部圧力を示す情報を含み、
前記制御部は、前記条件設定部により設定された1または複数の処理条件に基づいて前記圧力調整部を制御し、
前記条件設定部は、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記1または複数の処理条件を変更してもよい。
【0132】
この場合、ノズルの内部圧力が処理条件として定められた内部圧力となるように、圧力調整部が制御される。したがって、各処理条件を適宜調整することにより所望の厚さ分布を有する処理液の膜を基板上に形成することができる。
【0133】
(第8項)第4項~第7項のいずれか一項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
平面視で前記ノズルの前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに前記基板の上面上に形成される処理液の膜の厚さ情報を取得する膜厚取得部をさらに備え、
前記条件設定部は、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記膜厚取得部により取得される膜の厚さ情報に基づいて前記1または複数の処理条件を調整してもよい。
【0134】
この場合、平面視で吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに取得される膜の厚さ情報に基づいて1または複数の処理条件を変更することができる。したがって、各処理条件を適宜調整することにより所望の厚さ分布を有する処理液の膜を基板上に形成することができる。
【0135】
(第9項)第1項~第7項のいずれか一項に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記移動部を制御することにより、前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の全体を複数回通過させてもよい。この場合、基板の上面全体に処理液が塗布され、処理液の膜が形成される。
【0136】
(第10項)第10項に係る基板処理方法は、
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板の上面に処理液の膜を形成する基板処理方法であって、
基板保持部により前記基板を保持するステップと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されかつ前記隙間に処理液が満たされる状態で、前記ノズル内の処理液が前記隙間に発生する毛細管現象により前記吐出口から前記基板の前記上面上に引き出されるように、前記基板および前記ノズルのうち少なくとも一方を他方に対して前記吐出口の長手方向に交差する短手方向に相対的に移動させる相対移動ステップとを含み、
前記相対移動ステップは、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を複数回通過させることを含む。
【0137】
その基板処理方法においては、基板の上面とノズルとの間に所定間隔の隙間が形成されつつ、平面視でノズルの吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を複数回通過する。各通過時には、ノズルと基板との間の隙間で処理液に作用する毛細管現象により、スリット状の吐出口から引き出された処理液が基板の上面に塗布される。この場合、ノズル内の処理液は毛細管現象が作用しない状態で吐出口から吐出されない。また、基板の上面の少なくとも一部の領域上には、ノズルの吐出口が通過するごとに処理液の層が積層される。その結果、処理液の無駄な消費を抑制しつつ基板上に形成される処理液の膜の厚さを大きくすることができる。
【0138】
(第11項)第10項に記載の基板処理方法において、
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記相対移動ステップは、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させることを含んでもよい。
【0139】
毛細管現象を利用してスリット状の吐出口から基板の上面に処理液を塗布する場合、基板の上面に形成される膜に、ノズルと基板との間の相対的な移動方向に応じた厚さの勾配が生じる場合がある。
【0140】
上記の方法によれば、平面視で吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を複数回通過する。複数の通過動作のうち少なくとも一の通過動作時には、ノズルと基板との間の相対的な移動方向が他の通過動作時に対して逆転する。
【0141】
この場合、基板の上面に形成される複数の層からなる処理液の膜において、第1の方向に対応する処理液の層の厚さの勾配が第2の方向に対応する処理液の層の厚さの勾配により相殺される。その結果、基板の上面上に形成される処理液の膜の厚さを均一化することができる。
【0142】
また、上記の方法によれば、ノズルの進行方向を切り替えるだけで、一の処理液の層の上に追加の処理液の層を形成することができる。したがって、処理液の各層(膜)の形成時に、ノズルの位置決めを行う必要がない。その結果、処理液の膜の形成に要する時間の長時間化が抑制される。
【0143】
(第12項)第10項に記載の基板処理方法において、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとの間隔を前記所定間隔に調整する第1の間隔調整ステップと、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記上面と前記ノズルとを前記所定間隔よりも大きく離間させる第2の間隔調整ステップとをさらに含み、
前記短手方向は、第1の方向と、前記第1の方向とは逆の第2の方向とを含み、
前記相対移動ステップは、
前記第1の間隔調整ステップにより前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させた後、
前記第2の間隔調整ステップにより前記基板の前記上面と前記ノズルとが前記所定間隔よりも大きく離間された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第2の方向に通過させ、
その後、前記第1の間隔調整ステップにより前記基板の前記上面と前記ノズルとの間に前記所定間隔の隙間が形成された状態で、平面視で前記吐出口に前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を前記第1の方向に通過させることを含んでもよい。
【0144】
上記の基板処理方法においては、基板の上面に複数回に渡って処理液の膜が形成される。そのため、基板の上面上に一度処理液が塗布された後は、処理液の膜上に追加の処理液が塗布されることになる。先に塗布された処理液の膜の表面状態にばらつきがあると、当該膜上にさらに処理液が追加されることにより形成される処理液の膜に厚さのばらつきが生じる可能性がある。
【0145】
処理液の膜の表面状態は、処理液の表面の乾燥度合いに応じて変化する。処理液の表面の乾燥度合いは、ノズルから吐出された処理液が外気に晒される時間に応じて変化する。
【0146】
上記の方法によれば、基板の上面の少なくとも一部の領域上に、第1の方向に進行するように処理液が塗布される。一方、基板の上面の少なくとも一部の領域上に、第2の方向に進行するように処理液が塗布されることはない。このように、基板上で共通の第1の方向に塗り広げられるように処理液が塗布されるので、一度塗布された処理液の膜上に追加の処理液が塗布される際に、当該膜の複数の部分で処理液が外気に晒される時間を均一化することができる。
【0147】
その結果、基板の上面に複数回に渡って処理液が塗り重ねられることにより形成される膜に厚さのばらつきが生じることが低減される。
【0148】
(第13項)第10項~第12項に記載の基板処理方法において、
前記基板処理方法は、
前記基板の前記上面に形成される処理液の膜の厚さに関連する1または複数の処理条件を設定する設定ステップをさらに含み、
前記相対移動ステップは、前記設定ステップにより設定された1または複数の処理条件に基づいて前記基板および前記ノズルを前記短手方向に相対的に移動させることを含み、
前記設定ステップは、平面視で前記吐出口が前記基板の前記上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、前記1または複数の処理条件を変更することを含んでもよい。
【0149】
この場合、平面視で吐出口が基板の上面の少なくとも一部の領域を通過するごとに、1または複数の処理条件が変更される。したがって、各処理条件を適宜調整することにより所望の厚さ分布を有する処理液の膜を基板上に形成することができる。
【0150】
上記の実施形態に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、処理液の無駄な消費が抑制されるので、多量な処理液を生成する必要がない。したがって、処理液に起因する地球環境の汚染の低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0151】
1…基板処理装置,11…前面,12…後面,13a…基板対向面,13b…前傾斜面,13c…後傾斜面,14…吐出口,15…液流路,16…貯留部,100…塗布装置,110…制御部,111…ノズル移動制御部,112…吐出制御部,113…プレート制御部,114…条件設定部,115…データ取得部,120…ステージ支持体,121…ガイドレール,130…ステージ装置,131…プレート部材,132…プレート調整部,133…支持ピン,134…ピン昇降駆動部,135…吸引駆動部,140…ノズル支持体,141…X方向駆動部,142…Z方向駆動部,150…ノズル装置,151…ノズルブロック,160…処理液供給系,161…バルブ,162…処理液タンク,163…圧力調整部,170…厚さ測定装置,190…操作部,GD1…第1の間隔,GD2…第2の間隔,PI…配管,W…基板,ar1,ar2,ar3,ar4,ar5,ar6,ar7,ar8…領域,h01,h02…高さ位置,ta…一端部,tb…他端部
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