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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120748
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】車両システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/30 20190101AFI20240829BHJP
   B60L 58/40 20190101ALI20240829BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20240829BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240829BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240829BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240829BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20240829BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240829BHJP
【FI】
B60L58/30
B60L58/40
B60L7/14
H01M8/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/04701
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027764
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】清水 研一
(72)【発明者】
【氏名】大島 智
(72)【発明者】
【氏名】福西 佑紀
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125BD01
5H125CB03
5H125CD06
5H125CD08
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE70
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB34
5H127BB37
5H127CC07
5H127DB66
5H127DB99
5H127DC42
5H127DC79
5H127DC96
5H127EE04
5H127FF04
(57)【要約】
【課題】発電された電力の余剰分を適切に消費すること。
【解決手段】モータ12により駆動される車両に搭載される車両システムは、燃料電池100と、燃料電池100で発電された第1電力およびモータ12で回生発電された第2電力を蓄電する蓄電装置40と、第1電力、第2電力、および蓄電装置40に蓄電された第3電力の少なくとも1つの電力を用いて駆動される第1補機36および第2補機46,38と、第1電力および第2電力の余剰分を消費する補機を決定する制御装置50と、を備え、制御装置50は、第1電力および第2電力に余剰が生じると、第2電力の余剰分を第1補機で消費するとともに、第1電力の余剰分を第2補機で消費する第1の電力消費モードと、第1電力および第2電力に余剰が生じると、第1電力および第2電力の余剰分を第2補機で消費する第2の電力消費モードと、の切換え決定を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動される車両に搭載される車両システムであって、
燃料電池と、前記燃料電池で発電された第1電力および前記モータで回生発電された第2電力を蓄電する蓄電装置と、前記第1電力、前記第2電力、および前記蓄電装置に蓄電された第3電力の少なくとも1つの電力を用いて駆動される第1補機および第2補機と、前記第1電力および前記第2電力の余剰分を消費する補機を決定する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1電力および前記第2電力に余剰が生じると、前記第2電力の余剰分を前記第1補機で消費するとともに、前記第1電力の余剰分を前記第2補機で消費する第1の電力消費モードと、
前記第1電力および前記第2電力に余剰が生じると、前記第1電力および前記第2電力の余剰分を前記第2補機で消費する第2の電力消費モードと、の切換え決定を行うことを特徴とする車両システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、前記第1補機を余剰電力の消費に使用できない場合に、前記第2の電力消費モードへ切換えを決定することを特徴とする車両システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記第2補機は、複数の補機を含み、
前記制御装置は、前記第2の電力消費モードにおいて、前記複数の補機のうちの1つの補機で前記第2電力の余剰分を消費し、前記第2電力の余剰分を消費する補機と異なる補機で前記第1電力の余剰分を消費する決定を行うことを特徴とする車両システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両システムにおいて、
前記第2補機は、車室の空調装置および前記蓄電装置の温度を調節する温度調節部を含み、
前記制御装置は、前記空調装置で前記第2電力の余剰分を消費し、前記温度調節部で前記第1電力の余剰分を消費する決定を行うことを特徴とする車両システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両システムにおいて、
前記温度調節部は、加温部と、冷却部と、前記加温部および前記冷却部の間に設けられた熱交換部とを有し、余剰電力を消費するために前記加温部で発生した熱を、前記熱交換部を介して前記冷却部から放熱することを特徴とする車両システム。
【請求項6】
請求項4に記載の車両システムにおいて、
前記第1補機は、前記燃料電池を冷却する冷却装置を含み、
余剰電力を消費するために前記空調装置で発生した熱を前記冷却装置から放熱するように、前記冷却装置と前記空調装置とが接続されることを特徴とする車両システム。
【請求項7】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、前記蓄電装置の充電率および温度情報を取得し、前記充電率および前記温度情報に基づいて、余剰電力の消費が必要か否かを判定することを特徴とする車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにより駆動される車両に搭載される車両システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車等に搭載される車両システムが知られている(例えば特許文献1参照)。燃料電池車は、例えば長い下り坂を走行しているとき、車両のモータから発生する回生電力によりブレーキトルクが得られる。発生した回生電力は、車両システムの二次電池に充電される。車両システムは、二次電池の空き容量が不足すると、例えば圧縮機等のモータにより、回生電力の余剰分を消費させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-87720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、燃料電池車では回生電力以外に、燃料電池で発電される電力に余剰分が生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両システムは、モータにより駆動される車両に搭載される車両システムであって、燃料電池と、燃料電池で発電された第1電力およびモータで回生発電された第2電力を蓄電する蓄電装置と、第1電力、第2電力、および蓄電装置に蓄電された第3電力の少なくとも1つの電力を用いて駆動される第1補機および第2補機と、第1電力および第2電力の余剰分を消費する補機を決定する制御装置と、を備え、制御装置は、第1電力および第2電力に余剰が生じると、第2電力の余剰分を第1補機で消費するとともに、第1電力の余剰分を第2補機で消費する第1の電力消費モードと、第1電力および第2電力に余剰が生じると、第1電力および第2電力の余剰分を第2補機で消費する第2の電力消費モードと、の切換え決定を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発電電力および回生電力の余剰分を適切に消費することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池車両の概略構成図。
図2図1のFCユニットの概略構成図。
図3図1の燃料電池車両の電力系のブロック図。
図4A図1の温度調節部の要部構成を例示するブロック図。
図4B図2の空調装置の要部構成を例示するブロック図。
図5】余剰電力の消費先を決定する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
発明の実施の形態に係る車両システムを搭載する燃料電池車両では、燃料電池(Fuel Cell:以降FCと呼ぶことがある)で発電され出力される電力(FC電力)と、車両システムの二次電池に蓄電された電力(バッテリ電力)とのうち少なくとも一方を用いて、走行用のモータを駆動する。また、走行用のモータから回生時に発生する電力(回生電力)を車両システムの二次電池に蓄電する。車両システムは、二次電池の空き容量が不足すると、補機と称する電動の機器を作動させて電力の余剰分を消費させる。特に、FC電力と回生電力との双方に余剰が生じる場合でも、双方の電力余剰分を適切に消費させる。このような車両システムの詳細について、以下に図面を参照して説明する。
【0009】
<燃料電池車両>
図1は、発明の実施の形態による車両システム10の一例を示す概略構成図である。車両システム10は、モータ12により駆動される電動車両の一例としての燃料電池車両に搭載される。車両システム10は、少なくとも走行用のモータ12と、駆動輪14と、ブレーキ装置16と、車両センサ20と、変換器32と、BTVCU(Battery Voltage Control Unit)34と、バッテリシステム(蓄電装置)40と、制御装置50と、FCユニット100と、を備える。FCユニット100、変換器32およびBTVCU34の間に、逆流防止のためダイオード102が配置されている。ブロック間を結ぶ実線は電気的接続を示し、制御装置50とブロックを結ぶ破線は信号の向きを例示する。
【0010】
<モータ>
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12のロータは、駆動輪14に連結される。モータ12は、FCユニット100により発電され出力されるFC電力と、バッテリシステム40に蓄電されたバッテリ電力とのうち少なくとも一方を用いて、駆動輪14に駆動力を出力する(力行動作)。また、モータ12は、燃料電池車両の減速時に燃料電池車両の運動エネルギーを用いて発電する(回生動作)。
【0011】
<ブレーキ装置>
ブレーキ装置16は、一例として、ブレーキキャリパー、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダ、およびシリンダに油圧を発生させる電動モータ(いずれも図示省略)を備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダルの操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。
なお、ブレーキ装置16は、上述した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0012】
<車両センサ>
車両センサ20は、一例として、アクセル開度センサ、車速センサ、およびブレーキ踏量センサ(いずれも図示省略)を備える。
アクセル開度センサは、運転者による加速指示を受け付ける操作子の一例であるアクセルペダルに取り付けられ、アクセルペダルの操作量を検出し、アクセル開度として制御装置50に出力する。
車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサおよび速度計算機(いずれも図示省略)を備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して燃料電池車両の速度(車速)を導出し、制御装置50に出力する。
ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルの操作量を検出し、ブレーキ踏量として制御装置50に出力する。
【0013】
<変換器>
変換器32は、例えば、双方向の直流電圧/交流電圧変換器である。変換器32の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、BTVCU34を介してバッテリシステム40が接続されている。変換器32は、BTVCU34により昇圧された直流電圧を三相交流電圧に変換してモータ12に供給する。また、変換器32は、モータ12の回生動作により発電された交流電圧を直流電圧に変換して直流リンクDLに出力する。回生動作により得られる電圧を回生電圧と呼んでもよい。
【0014】
<BTVCU>
BTVCU34は、例えば、昇降圧型の直流電圧変換器を有する。BTVCU34は、バッテリシステム40から供給される直流電圧を昇圧した直流電圧を直流リンクDLに出力する。
また、BTVCU34は、モータ12による回生電圧、または、FCユニット100から出力された直流電圧を降圧してバッテリシステム40に出力する。FCユニット100から出力される電圧をFC電圧と呼んでもよい。
【0015】
<バッテリシステム>
バッテリシステム40は、一例として、バッテリ42と、バッテリセンサ44と、温度調節部46と、SOC算出部48を備える。
【0016】
バッテリ42は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。バッテリ42は、一例として、モータ12の回生動作により得られた回生電力またはFCユニット100の発電動作により得られたFC電力を蓄電(充電)し、燃料電池車両の走行、および後述する補機群を作動させるために放電を行う。
【0017】
バッテリセンサ44は、一例として、電流センサ、電圧センサ、および温度センサ等(いずれも図示省略)を備える。電流センサ、電圧センサ、および温度センサは、それぞれバッテリ42の電流値、電圧値、および温度を検出する。バッテリセンサ44は、検出した電流値、電圧値、および温度等を示す信号を制御装置50に出力する。
【0018】
温度調節部46は、図3を参照して後述する加温部462および冷却部464を含む。温度調節部46は、例えば、BTVCU34を介してバッテリ42から供給される電力を用いてバッテリ42を加熱または冷却する。温度調節部46は、一例として、バッテリセンサ44により検出されるバッテリ42の温度が所定温度範囲に収まるように、不図示のバッテリECU(Electronic Control Unit)によって制御される。
【0019】
SOC算出部48は、バッテリセンサ44の出力に基づいて、バッテリ42のSOC(State Of Charge;以下、バッテリ充電率という)を算出する。SOC算出部48は、算出したSOCを示す信号を、制御装置50に出力する。
【0020】
<FCユニット>
FCユニット100は、燃料電池を含む。燃料電池は、燃料ガスに燃料として含まれる水素と、空気に酸化剤として含まれる酸素とが反応することによって発電する。実施の形態では、FCユニット100からのFC電力が、上記直流リンクDLに出力される。これにより、FCユニット100からのFC電力が、変換器32を介してモータ12に供給されたり、BTVCU34を介してバッテリシステム40に供給されたりする。バッテリシステム40に供給されたFC電力は、バッテリ42に蓄電される。なお、FCユニット100の構成については図2を参照して後述する。
【0021】
<制御装置>
制御装置50は、マイクロコンピュータを含み、必要に応じて、タイマ回路、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェースを有する。なお、制御装置50は、1つの制御部のみから構成されるものに限らず、モータ12、FCユニット100、バッテリシステム40およびBTVCU34等に含まれる複数の制御部から構成してもよい。
【0022】
制御装置50は、FCユニット100の状態、バッテリ42の状態、およびモータ12の状態の他、不図示の各種スイッチおよび各種センサ等からの入力(負荷要求)に基づき決定した燃料電池車両全体として車両システム10に要求される負荷から、FCユニット100が負担すべき負荷と、バッテリシステム40が負担すべき負荷と、回生電源としてモータ12が負担すべき負荷との配分(分担)を調停しながら決定し、モータ12、変換器32、FCユニット100、バッテリシステム40およびBTVCU34に指令を送出する。
【0023】
上記制御装置50は、一例として、モータ制御部52と、ブレーキ制御部54と、電力制御部56とを備える。上述したように、モータ制御部52、ブレーキ制御部54、および電力制御部56は、それぞれ別体の制御部(例えば、モータECU、ブレーキECU、バッテリECU等)に置き換えてもよい。
【0024】
モータ制御部52は、一例として、車両センサ20の出力に基づいてモータ12に要求される駆動力を算出し、算出した駆動力を出力させるようにモータ12を制御する。
【0025】
ブレーキ制御部54は、一例として、車両センサ20の出力に基づいてブレーキ装置16に要求される制動力を算出し、算出した制動力を出力させるようにブレーキ装置16を制御する。
【0026】
電力制御部56は、一例として、車両センサ20の出力に基づいてバッテリシステム40およびFCユニット100に要求される総要求電力を算出する。電力制御部56は、例えば、アクセル開度と車速とに基づいてモータ12が出力すべきトルクを算出し、トルクとモータ12の回転数から求められる駆動軸要求電力と、後述する補機等が要求する電力とを合計して総要求電力を算出する。
【0027】
また、電力制御部56は、バッテリ42のSOCに基づいてバッテリ42の充放電要求電力を算出する。そして、電力制御部56は、上記総要求電力からバッテリ42の充放電要求電力を減算(放電側を正とする)し、FCユニット100に要求されるFC要求電力を算出し、算出したFC要求電力に相当する電力をFCユニット100に発電させる。
なお、実施の形態では、仮にFC要求電力がない場合でもFCユニット100を止めずに継続して発電させるように、FCユニット100の発電量の最小値(下限発電電力と呼ぶ)が定められている。
【0028】
<FCユニットの構成>
図2は、FCユニット100および関連機器の一例を示す概略構成図である。FCユニット100は、一例として、FCスタック110と、インテーク112と、エアポンプ114と、加湿器118と、気液分離器120と、水素タンク126と、水素循環部130と、気液分離器132と、温度センサ140と、コンタクタ142と、FCVCU(Fuel Cell Voltage Control Unit)144と、FC制御部146とを備える。
また、FCユニット100はFC冷却装置36と接続され、FC冷却装置36は空調装置38と接続されている。
【0029】
FCスタック110は、複数の燃料電池セルが積層された積層体(図示省略)と、この積層体を積層方向の両側から挟み込む一対のエンドプレート(図示省略)と、を備える。
燃料電池セルは、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、この膜電極接合体を接合方向の両側から挟み込む一対のセパレータと、を備える。
【0030】
膜電極接合体は、アノード触媒およびガス拡散層からなるアノード110Xと、カソード触媒およびガス拡散層からなるカソード110Yと、アノード110Xおよびカソード110Yによって厚さ方向の両側から挟み込まれた陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜110Zと、を備える。
【0031】
アノード110Xには、燃料として水素を含む燃料ガスが水素タンク126から供給され、カソード110Yには、酸化剤として酸素を含む酸化剤ガス(反応ガス)である空気がエアポンプ114から供給される。
【0032】
アノード110Xに供給された水素は、アノード触媒上で触媒反応によりイオン化され、水素イオンは、適度に加湿された固体高分子電解質膜110Zを介してカソード110Yへと移動する。水素イオンの移動に伴って発生する電子は、直流電流として外部回路(FCVCU144等)に取り出し可能である。
【0033】
アノード110Xからカソード110Yのカソード触媒上へと移動した水素イオンは、カソード110Yに供給された酸素と、カソード触媒上の電子と反応して、水を生成する。
エアポンプ114は、FC制御部146により駆動制御されるモータ等を備え、このモータの駆動力によってインテーク112を介して外部から空気を取り込んで圧縮する。圧縮後の空気は、不図示の入口弁を介して加湿器118へ送られる。入口弁は、FC制御部146によって開閉制御される。
【0034】
加湿器118は、エアポンプ114で圧縮された空気を加湿する。より詳細には、加湿器118は、例えば中空糸膜等の水透過膜を備え、エアポンプ114からの空気を、水透過膜を介して接触させることで水分を空気に添加する。加湿された空気は、カソード供給口110aからカソード110Yに供給される。
【0035】
気液分離器120は、カソード110Yで消費されることなくカソード排出口110bから排出されたカソード排ガスと液水とを分離する。気液分離器120により液水から分離されたカソード排ガスは、一部が加湿器118により加湿された空気と混合され、カソード供給口110aへ再循環可能に構成されている。
また、気液分離器120によりカソード排ガスから分離された液水は、カソード排出口110bから排出されたカソード排ガスと混合され、希釈器122を介して大気中に排出される。
【0036】
水素タンク126は、水素を圧縮した状態で貯留する。貯留された水素は、不図示の供給弁を介して水素循環部130へ送られる。供給弁は、FC制御部146によって開閉制御される。
【0037】
水素循環部130は、水素タンク126からの水素をアノード供給口110cからアノード110Xに供給する。また、水素循環部130は、アノード110Xで消費されることなくアノード排出口110dから排出され、気液分離器132により分離されたアノード排ガスを、水素タンク126からの水素と混合してアノード供給口110cへ再循環させる。
【0038】
気液分離器132は、アノード排出口110dから排出されたアノード排ガスと液水とを分離する。気液分離器132によりアノード排ガスから分離された液水は、カソード排出口110bから排出されたカソード排ガスと混合され、希釈器122を介して大気中に排出される。
【0039】
温度センサ140は、FCスタック110のアノード110Xおよびカソード110Yの温度を検出し、検出信号をFC制御部146に出力する。
【0040】
コンタクタ142は、FCスタック110のアノード110Xおよびカソード110Yと、FCVCU144との間に設けられている。コンタクタ142は、FC制御部146からの制御信号に基づいて、FCスタック110とFCVCU144との間を電気的に接続、または遮断する。
【0041】
FCVCU144は、例えば、昇圧型の直流電圧変換器を有する。FCVCU144は、コンタクタ142と、出力端子148との間に配置されている。FCVCU144は、電気負荷が接続される出力端子148の電圧を、FC制御部146によって決定された目標電圧に昇圧する。これにより、FCスタック110から出力された電圧が目標電圧に昇圧され、出力端子148から出力される。出力端子148は正極および負極を含む。
【0042】
<FC冷却装置>
FC冷却装置36は、後述する第1補機として機能する。FC冷却装置36は、冷却水をFCユニット100に循環させることで、FCユニット100を冷却する。FC冷却装置36は、イオン交換装置等(図示省略)により冷却水中のイオンを除去して絶縁性を高めたクーラント液を冷却水として使用する。
【0043】
電動ウォーターポンプ136は、第2の分岐制御弁V362を介してFCユニット100へ冷却水を送り出す。FCユニット100の発熱によりFCユニット100内で昇温された冷却水は、第1の分岐制御弁V361を介してラジエータ134に送られる。ラジエータ134は、FCユニット100で昇温された冷却水を冷やす。
【0044】
FC冷却装置36は、ラジエータ134の上流側と下流側とを接続するバイパス流路を有する。制御装置50が、電動制御される第1の分岐制御弁V361をバイパス流路側に開くと、冷却水の一部(または全部)がバイパス流路を介して電動ウォーターポンプ136側へ送られる。バイパスされた冷却水は、ラジエータ134で冷やされた冷却水と合流して電動ウォーターポンプ136へ送られる。
【0045】
制御装置50は、例えばFCユニット100の温度が所定値よりも低い場合、第1の分岐制御弁V361をバイパス流路側に開く。これにより、第1の分岐制御弁V361を開かない場合と比べてラジエータ134による冷却水の冷却が抑えられ、FCユニット100の暖機が行われる。
【0046】
また、実施の形態では、ラジエータ134で冷やした冷却水を、空調装置38で加熱することが可能に構成される。より詳しくは、制御装置50が電動制御される第2の分岐制御弁V362を空調装置38側に開くと、冷却水の一部(または全部)が空調装置38へ送られる。空調装置38で加熱された冷却水が空調装置38から戻ると、FC冷却装置36の冷却水と合流して電動ウォーターポンプ136へ送られる。これにより、空調装置38で発生した熱を、FC冷却装置36のラジエータ134で廃熱することが可能になる。
なお、FC冷却装置36の冷却水と、空調装置38を循環する温水とは同じクーラント液を用いる。
【0047】
制御装置50はさらに、例えば、空調装置38の設定が暖房にされている場合、FC冷却装置36の冷却水の温度が所定値以上の状態で、第2の分岐制御弁V362を空調装置38側に開く。これにより、FCユニット100で発生した熱を、空調装置38において車室内に供給する暖気の昇温に用いることが可能になる。
【0048】
実施の形態では、制御装置50が、FC冷却装置36(特に電動ウォーターポンプ136)を後述する第1補機として機能させることにより、車両システム10で発電された電力の余剰分を消費させる。
【0049】
<電力系のブロックの説明>
図3は、燃料電池車両の電力系のブロック図である。上述したように、車両システム10は、FCユニット100からのFC電力と、バッテリシステム40に蓄電されたバッテリ電力とのうち少なくとも一方を用いてモータ12を駆動する。また、モータ12から回生時に発生する回生電力や、FCユニット100の下限発電電力をバッテリシステム40に蓄電する。そして、バッテリシステム40の充電制限が必要になる(換言すると、空き容量が不足することにより回生電力等を蓄電することが困難になる)と、補機と称する電動の機器を作動させて電力の余剰分を消費させる。充電制限の要否は、例えば、バッテリ42のSOCおよびバッテリ42の温度等に基づいて判定される。
【0050】
実施の形態における補機は、バッテリシステム40の温度調節部46、FC冷却装置36、空調装置38、アクセサリ26および制御装置50を含む。
FC電力および回生電力は、補機としてのバッテリシステム40の温度調節部46、FC冷却装置36および空調装置38に供給されるとともに、ダウンバータ24を介してアクセサリ26および制御装置50にも供給される。
ダウンバータ24は、例えば降圧型の直流電圧変換器により構成され、FC電圧、バッテリ電圧および回生電圧を、アクセサリ26および制御装置50で必要とされる電圧に変換する。アクセサリ26は、例えば、燃料電池車両の走行に直接影響のない電装品の総称である。
【0051】
実施の形態では、温度調節部46および空調装置38を第2補機と呼ぶことにする。なお、第2補機のうちの温度調節部46を第3補機と呼んでもよい。また、ダウンバータ24、アクセサリ26および制御装置50を第4補機と呼ぶ。
【0052】
<バッテリシステムの温度調節部>
図4Aは、バッテリシステム40の温度調節部46の要部構成を例示するブロック図である。温度調節部46は、バッテリ42を温める加温部462と、バッテリ42を冷やす冷却部464を含み、チラー4626を介して熱交換を行う。
【0053】
加温部462は、温水(クーラント液)を循環させてバッテリ42を温める。電動ウォーターポンプ4622から送り出された循環水がECH(Electric Coolant Heater)4624で加熱され、加温部462内を循環する。
ECH4624に対する通電制御および電動ウォーターポンプ4622に対する流量制御は、例えば、バッテリシステム40のバッテリセンサ44で検出されたバッテリ42の温度情報に基づいて制御装置50が行う。
【0054】
冷却部464は、低温の冷媒を循環させて、チラー4626を介して加温部462側の温水を冷やすことにより、バッテリ42を冷やす。また、エバポレータ4650を通過させて冷やした空気によりバッテリ42を冷やすことも可能である。
より詳しくは、電動コンプレッサ4642で冷媒を高温高圧のガス状とし、この冷媒を外気があたるコンデンサ4644で冷却する。電動制御される膨張弁4652を開くと、低温の冷媒がチラー4626を通って冷却部464内を循環する。一方、電動制御される膨張弁4648を開くと、低温の冷媒がエバポレータ4650を通って冷却部464内を循環する。
電動コンプレッサ4642に対する流量制御および膨張弁4652および膨張弁4648に対する駆動制御は、例えば、バッテリセンサ44で検出されたバッテリ42の温度情報に基づいて制御装置50が行う。
【0055】
実施の形態では、加温部462で発生した熱を、冷却部464で放熱させることが可能である。より詳しくは、ECH4624で加熱した温水の熱で、チラー4626を介して冷却部464側の冷媒を温める。昇温された冷媒の熱は、循環先のコンデンサ4644から放熱される。
【0056】
このように、制御装置50が、温度調節部46を上述した第2補機(または第3補機)として機能させることにより、車両システム10で発電された電力の余剰分を消費させる。
【0057】
<空調装置>
図4Bは、空調装置38の要部構成を例示するブロック図である。空調装置38は、電動コンプレッサ382と、外気があたるコンデンサ384と、電動制御される膨張弁386と、車室内の空気を冷やすエバポレータ388と、電動ウォーターポンプ390と、電気ヒータ392と、ヒートコア394と、電動制御される分岐制御弁396とを含み、車室内の温度を調節する。
【0058】
より詳しくは、電動コンプレッサ382で冷媒を高温高圧のガス状とし、この冷媒をコンデンサ384で冷却する。電動制御される膨張弁386を開くと、低温の冷媒がエバポレータ388を通って循環する。車室内の空気はエバポレータ388で冷やされる。
一方、電動ウォーターポンプ390から送り出された循環水が電気ヒータ392で加熱されてヒートコア394へと循環する。エバポレータ388で冷やされた空気がヒートコア394に接して所定の温度まで温められ、車室内に戻される。
電動コンプレッサ382に対する流量制御および膨張弁386に対する駆動制御、電気ヒータ392に対する通電制御および電動ウォーターポンプ390に対する流量制御等は、例えば、不図示の温度センサからの温度情報および乗員により設定された温度の情報に基づいて制御装置50が行う。
【0059】
実施の形態では、電気ヒータ392で加熱した温水(循環水)を、FC冷却装置36で冷やすことが可能に構成される。より詳しくは、制御装置50が電動制御される分岐制御弁396をFC冷却装置36側に開くと、温水の一部(または全部)がFC冷却装置36へ送られる。FC冷却装置36で冷やされた温水は、空調装置38の温水と合流して電動ウォーターポンプ390へ送られる。
【0060】
このように、制御装置50が、空調装置38(特に電動ウォーターポンプ390および電気ヒータ392)を上述した第2補機として機能させることにより、車両システム10で発電された電力の余剰分を消費させる。
【0061】
以上説明したように、車両システム10は、FCユニット100から供給されるFC電力と、バッテリシステム40から供給されるバッテリ電力と、モータ12から供給される回生電力と、の供給先を制御装置50により制御する。
また、FCユニット100からのFC電力およびモータ12からの回生電力の少なくとも一方に余剰が発生した場合の余剰電力を消費する補機を、制御装置50により決定する。
【0062】
<フローチャートの説明>
制御装置50が余剰電力の消費先を決定する処理の一例について、図5のフローチャートを参照して説明する。制御装置50は、一例として、FCユニット100が発電を開始すると、図5による処理を繰り返し実行する。
ステップS10において、制御装置50は、バッテリ42の充電制限が必要か否かを判定する。充電制限の要否を判定する基準は、FCユニット100から出力されているFC電力、および補機により消費可能な電力等により異なる値であってもよい。制御装置50は、充電制限が必要である場合にステップS10を肯定判定してステップS20へ進む。また、制御装置50は、充電制限が不要である場合にステップS10を否定判定してステップS30へ進む。ステップS30へ進む場合、制御装置50は、余剰電力の消費は不要(換言すると、空き容量の不足によりバッテリシステム40に蓄電できない電力(余剰電力)が発生しない)と決定して図5による処理を終了する。
【0063】
ステップS10が肯定判定される場合の多くは、FCユニット100から出力されているFC電力が上記下限発電電力まで抑えられている。ステップS10を肯定判定して進むステップS20において、制御装置50は、第1補機を余剰電力の消費に使えるか否かを判定する。制御装置50は、例えば、第1補機としてのFC冷却装置36に含まれる電動ウォーターポンプ136の回転数をさらに上げる等により、第1補機における消費電力を余剰電力相当まで増やせる場合に、ステップS20を肯定判定してステップS40へ進む。また、制御装置50は、第1補機における消費電力を余剰電力相当まで増やせない場合には、ステップS20を否定判定してステップS90へ進む。
【0064】
ステップS20を肯定判定した場合、制御装置50は第1モードの処理(ステップS40~S80)へ進む。第1モードを第1の電力消費モードと呼んでもよい。
制御装置50は、ステップS20を肯定判定して進むステップS40において、余剰電力はFC電力および回生電力であるか否かを判定する。制御装置50は、余剰電力がFC電力および回生電力の双方で発生する場合に、ステップS40を肯定判定してステップS50へ進む。また、制御装置50は、余剰電力がFC電力および回生電力のいずれか一方で発生する場合に、ステップS40を否定判定してステップS60へ進む。
【0065】
ステップS50において、制御装置50は、第1補機としてのFC冷却装置36を、回生電力の余剰分(回生余剰電力と呼んでもよい)の消費に用いる決定をするとともに、第2補機としての空調装置38および温度調節部46を、それぞれFC電力の余剰分(FC余剰電力と呼んでもよい)の消費に用いる決定をして図5による処理を終了する。
【0066】
ステップS40を否定判定して進むステップS60において、制御装置50は、余剰電力はFC電力であるか否かを判定する。制御装置50は、余剰電力がFC電力で発生する場合に、ステップS60を肯定判定してステップS70へ進む。また、制御装置50は、余剰電力が回生電力で発生する場合に、ステップS60を否定判定してステップS80へ進む。
【0067】
ステップS70において、制御装置50は、第2補機としての空調装置38および温度調節部46を、それぞれFC余剰電力の消費に用いる決定をして図5による処理を終了する。
【0068】
ステップS80において、制御装置50は、第1補機としてのFC冷却装置36を、回生余剰電力の消費に用いる決定をして図5による処理を終了する。
【0069】
ステップS20を否定判定した場合、制御装置50は第2モードの処理(ステップS90~S130)へ進む。第2モードを第2の電力消費モードと呼んでもよい。
制御装置50は、ステップS20を否定判定して進むステップS90において、余剰電力はFC電力および回生電力であるか否かを判定する。制御装置50は、余剰電力がFC電力および回生電力の双方で発生する場合に、ステップS90を肯定判定してステップS100へ進む。また、制御装置50は、余剰電力がFC電力および回生電力のいずれか一方で発生する場合に、ステップS90を否定判定してステップS110へ進む。
【0070】
ステップS100において、制御装置50は、第2補機の一部である空調装置38を、回生余剰電力の消費に用いる決定をするとともに、残りの第2補機である温度調節部46を、FC余剰電力の消費に用いる決定をして図5による処理を終了する。
【0071】
ステップS90を否定判定して進むステップS110において、制御装置50は、余剰電力はFC電力であるか否かを判定する。制御装置50は、余剰電力がFC電力で発生する場合に、ステップS110を肯定判定してステップS120へ進む。また、制御装置50は、余剰電力が回生電力で発生する場合に、ステップS110を否定判定してステップS130へ進む。
【0072】
ステップS120において、制御装置50は、第2補機としての空調装置38および第2補機としての温度調節部46を、それぞれFC余剰電力の消費に用いる決定をして図5による処理を終了する。
【0073】
ステップS130において、制御装置50は、第2補機の一部である空調装置38を、回生余剰電力の消費に用いる決定をして図5による処理を終了する。
【0074】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)モータ12により駆動される車両に搭載される車両システム10は、燃料電池としてのFCユニット100と、FCユニット100で発電された第1電力としてのFC電力およびモータ12で回生発電された第2電力としての回生電力を蓄電する蓄電装置としてのバッテリシステム40と、FC電力、回生電力、およびバッテリシステム40に蓄電された第3電力としてのバッテリ電力の少なくとも1つの電力を用いて駆動される第1補機としてのFC冷却装置36および第2補機としての温度調節部46、空調装置38と、FC電力および回生電力の余剰分を消費する補機を決定する制御装置50と、を備え、制御装置50は、FC電力および回生電力に余剰が生じると、回生電力の余剰分をFC冷却装置36で消費するとともに、FC電力の余剰分を温度調節部46、空調装置38で消費する第1の電力消費モードと、FC電力および回生電力に余剰が生じると、FC電力および回生電力の余剰分を温度調節部46、空調装置38で消費する第2の電力消費モードと、の切換え決定を行う。
このように構成したので、第1の電力消費モードでは、電力の余剰分を第1補機と第2補機とで分担して消費し、第2の電力消費モードでは、電力の余剰分を第2補機において消費する。これにより、例えば第1補機が電力の余剰分を消費できない状態になっても、車両システム10として電力の余剰分を適切に消費することが可能になる。
【0075】
(2)上記(1)の車両システム10において、制御装置50は、FC冷却装置36を余剰電力の消費に使用できない場合に、第2の電力消費モードへ切換えを決定する。
このように構成したので、車両システム10として電力の余剰分を適切に消費することが可能になる。
【0076】
(3)上記(1)の車両システム10において、第2補機は、複数の補機(例えば空調装置38、温度調節部46)を含み、制御装置50は、第2の電力消費モードにおいて、複数の補機のうちの1つの補機(例えば空調装置38)で回生電力の余剰分を消費し、回生電力の余剰分を消費する補機と異なる補機(例えば温度調節部46)でFC電力の余剰分を消費する決定を行う。
このように構成したので、第2の電力消費モードでは、第2補機を構成する複数の補機で電力の余剰分を分担して消費できるので、車両システム10として電力の余剰分を適切に消費することが可能になる。仮に、空調装置38と温度調節部46とで分担なしに回生電力の余剰分を消費すると、FC電力の余剰分を消費する補機が不足するという事態が起こり得る。しかしながら、空調装置38と温度調節部46とが電力の余剰分を分担して消費することで、FC電力および回生電力双方の余剰分を適切に消費することができる。
【0077】
(4)上記(3)の車両システム10において、第2補機は、車室の空調装置38およびバッテリシステム40の温度を調節する温度調節部46を含み、制御装置50は、空調装置38で回生電力の余剰分を消費し、温度調節部46でFC電力の余剰分を消費する決定を行う。
このように構成したので、第2補機を構成する空調装置38および温度調節部46で電力の余剰分を分担して消費できるので、車両システム10として電力の余剰分を適切に消費することが可能になる。
【0078】
(5)上記(4)の車両システム10において、温度調節部46は、加温部462と、冷却部464と、加温部462および冷却部464の間に設けられた熱交換部としてのチラー4626を有し、余剰電力を消費するために加温部462で発生した熱を、チラー4626を介して冷却部464から放熱する。
このように構成したので、余剰電力を消費するために生じた熱を、適切に放熱することが可能になる。
【0079】
(6)上記(4)の車両システム10において、第1補機は、FCユニット100のFCスタック110を冷却するFC冷却装置36を含み、余剰電力を消費するために空調装置38で発生した熱をFC冷却装置36から放熱するように、FC冷却装置36と空調装置38とが接続される。
このように構成したので、余剰電力を消費するために生じた熱を、適切に放熱することが可能になる。
【0080】
(7)上記(1)の車両システム10において、制御装置50は、バッテリシステム40のバッテリ42のSOCおよび温度情報を取得し、SOCおよび温度情報に基づいて、余剰電力の消費が必要か否かを判定する。
このように構成したので、バッテリシステム40に蓄電できない余剰電力が生じる可能性を適切に判定することが可能になる。
【0081】
上記実施の形態は、種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
(変形例1)
上述した第2の電力消費モードにおいて、空調装置38で回生電力の余剰分を消費し、温度調節部46でFC電力の余剰分を消費する例を説明したが、温度調節部46で回生電力の余剰分を消費し、空調装置38でFC電力の余剰分を消費してもよい。
【0082】
(変形例2)
上述した実施の形態では、第2補機として、バッテリシステム40の温度調節部46と車室内の空調装置38とを例示したが、温度調節部46および空調装置38の一方と他の補機を第2補機としてもよく、温度調節部46および空調装置38以外の他の複数の補機を第2補機としてもよい。
【0083】
(変形例3)
上述した実施の形態では、第1補機として、FCユニット100のFCスタック110を冷却するFC冷却装置36を例示したが、FC冷却装置36以外の他の補機を第1補機としてもよい。
【0084】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施の形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施の形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 車両システム、12 モータ、14 駆動輪、16 ブレーキ装置、20 車両センサ、32 変換器、34 BTVCU、36 FC冷却装置、38 空調装置、40 バッテリシステム、46 温度調節部、50 制御装置、100 FCユニット、462 加温部、464 冷却部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5