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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120761
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】処理装置、プログラム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240829BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06F30/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027792
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】氏家 裕人
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146BA01
5B146DL04
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】利用者にとって従来よりも利便性がよい、処理装置、プログラム及び処理方法を提供する。
【解決手段】第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイルとしての図面ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理部と、前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理部と、前記第2設計図書ファイルを記憶装置としての図面記憶装置27に出力する、第3処理部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理部と、
前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理部と、
前記第2設計図書ファイルを記憶装置に出力する、第3処理部と、を備える、
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記加筆データファイルは、前記第1設計図書ファイルとは異なるデータ形成である、ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1設計図書ファイル及び前記第2設計図書ファイルのデータ形式は、PDF(Portable Document Format)であり、
前記加筆データファイルのデータ形式は、XML(Extensible Markup Language)であり、
前記シートは、XMLの属性情報によって区別されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1装置は、サーバであり、
前記記憶装置は、クライアント端末が備えるものであり、
前記サーバから前記クライアント端末への前記第1設計図書ファイルのコピー操作または移動操作が行われた場合に、前記処理装置が前記記憶装置に前記第2設計図書ファイルを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理部、
前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理部、
前記第2設計図書ファイルを記憶装置に出力する、第3処理部、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
処理装置の処理方法であって、
前記処理装置は、
第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理ステップと、
前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理ステップと、
前記第2設計図書ファイルを記憶装置に出力する、第3処理ステップと、を有する、
ことを特徴とする処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、プログラム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の建築工事を実施するために必要となる図面を電子データ(図面ファイル)として管理する場合、図面ファイルは、図面情報と加筆情報とが1つのファイル(一例は、PDF)にて構成される(特許文献1参照)。
ここで、この図面ファイルは、さらに、次の事項について可能であってもよい。
第1に、この図面ファイルは、サーバからローカルのクライアント端末へのダウンロードができること。
第2に、この図面ファイルにおける加筆情報は、メインシート(大元のシート)によって実現されること。メインシートは、例えば、メモ(加筆)を記録することができる仮想的なシートであり、関係者であれば誰でも閲覧や更新が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-130004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、加筆情報が単一のシートによって実現されることを想定していたので、利用者が複数のシートを追加し、複数のシートで構成される加筆情報が反映された図面ファイルを一括で取り出すことができない。したがって、利用者にとって不便な機能となっている。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、利用者にとって従来よりも利便性がよい、処理装置、プログラム及び処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る処理装置は、第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理部と、前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理部と、前記第2設計図書ファイルを記憶装置に出力する、第3処理部と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理部、前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理部、前記第2設計図書ファイルを記憶装置に出力する、第3処理部、として機能させる、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る方法は、処理装置の処理方法であって、処理装置の処理方法であって、前記処理装置は、第1装置に対して、設計図書に含まれる情報を有する第1設計図書ファイル、及び、複数のシートを有する加筆データファイルを要求すると、前記第1装置から、前記第1設計図書ファイル及び前記加筆データファイルを取得する、第1処理ステップと、前記シートをレイヤーに変換し、前記設計図書に含まれる情報と複数の前記レイヤーとを合成して、第2設計図書ファイルを生成する、第2処理ステップと、前記第2設計図書ファイルを記憶装置に出力する、第3処理ステップと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも利用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る表示システムの全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るクラウドサーバの機能構成図である。
図3】クラウドサーバが有するシート対応テーブルの構成例である。
図4】実施形態における図面とシートとの対応関係のイメージである。
図5】本発明の実施形態に係るクライアント端末の機能構成図である。
図6】クライアント端末が有するレイヤー対応テーブルの構成例である。
図7】実施形態における図面とレイヤーとの対応関係のイメージである。
図8】本発明の実施形態に係る表示システムの動作フローを示す図である。
図9】加筆統合済み図面ファイルの生成に関する制御手順を示したフローチャートである。
図10】マージ処理の詳細手順を示したフローチャートである。
図11】GUI(Graphical User Interface)によるコピー操作の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるにすぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各実施形態では、本発明と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
≪実施形態に係る表示システムの構成≫
図1を参照して、実施形態に係る表示システム1の構成について説明する。表示システム1は、建築物の建築工事を実施するために必要となる図面(図面類)、仕様書(図入りの仕様書を含む)に代表される建築物の建築工事などを実施するために必要となる内容や手順を説明した書面、及び建築工事に関する写真のうち、少なくとも1つを管理し、建築工事に関係する関係者の求めに応じて図面、書面、写真を表示するシステムである。実施形態では、図面を管理して表示する場合を主に例示して説明し、書面や写真の管理及び表示については説明を省略する。なお、書面や写真の管理及び表示については、図面の管理及び表示と同様であり、例えば各実施形態での「図面」を「書面」または「写真」に読み替えて説明できる。ここで、上述された図面、書面、写真は、設計図書の情報を構成する一情報である。
【0013】
図1は、実施形態に係る表示システム1のシステム構成である。表示システム1は、クラウドサーバ10と、複数のクライアント端末20と、を備える。クラウドサーバ10と、複数のクライアント端末20とは、インターネット等の通信ネットワークNWを介して、データ通信可能に接続されている。表示システム1は、建築業における工事の図面をクラウドサーバ10にて管理し、工事現場、オフィス、委託先、施主宅等において、各クライアント端末20にて工事の図面に対する加筆、加筆を含む工事の図面の確認をできるようにするものである。表示システム1は、工事を計画し施工する建設会社、建築会社等を中心に使用される。なお、図1に示した表示システム1の構成はあくまで一例である。
【0014】
クラウドサーバ10は、「第1装置」の一例であり、「第1装置」の一例は、クラウドサーバ10に限るものではない。
また、クライアント端末20は、「処理装置」の一例であり、「処理装置」の一例は、クライアント端末20に限るものではない。
また、クラウドサーバ10及びクライアント端末20は、「コンピュータ」の一例であり、「コンピュータ」の一例は、クラウドサーバ10及びクライアント端末20に限るものではない。
【0015】
図2は、クラウドサーバ10の機能的構成を示すブロック図である。クラウドサーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、入力部13と、表示部14と、通信部15と、記憶部16と、図面記憶装置17と、を備え、各部は、バス18を介して接続されている。
【0016】
CPU11は、クラウドサーバ10の各部の処理動作について統括的に制御する。CPU11は、記憶部16に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムとの協働により各種の処理を行う。
【0017】
RAM12は、揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等が一時的に格納される。
【0018】
入力部13は、文字入力キー、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスと、を備える。入力部13は、ユーザによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU11に出力する。
【0019】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される。表示部14は、CPU11からの表示制御信号に従って画面表示を行う。
【0020】
通信部15は、ネットワークインターフェース等により構成される。通信部15は、通信ネットワークNWを介して、接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0021】
記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリ等により構成される。記憶部16は、情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する。記憶部16には、図面処理プログラムP1、シート対応テーブルT1が記憶されている。
【0022】
図3は、シート対応テーブルT1の構成例である。シート対応テーブルT1は、図面1枚毎に生成されるものであり、各々の図面に対してメモ(加筆)されるシートの情報が対応付けられている。図3に示すように、本実施形態では、作業項目で分けてシートを利用するケースの一例(作業項目a~作業項目c)を示している。
【0023】
図2に示す図面記憶装置17は、情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶装置である。図面記憶装置17は、工事現場における複数の図面の電子データ(図面ファイル)が記憶される。また、図面記憶装置17は、複数の図面毎に、当該図面に対して書き込まれたメモ(加筆)を含む複数のシートが、当該図面と対応付けられて記憶される。シートは、図面に対するメモ(加筆)が記録された仮想的な透明のシートであり、図面に重ねられる。例えば、図面記憶装置17では、工事毎に設けられたフォルダに、当該工事の図面と、複数のシートと、が対応付けられて格納される。
【0024】
図面とシートとの対応関係のイメージを図4に示す。図4では、作業項目で分けてシートを利用するケースを想定し、図面Aに対して、「a」シートと、「b」シートと、「c」シートとが対応付けられている。「a」シートには、メモとして注意事項「ア」が加筆されており、「b」シートには、メモとして注意事項「イ」が加筆されており、「c」シートには、メモとして注意事項「ウ」,「エ」が加筆されている。例えば、「a」シートは、メインシート(大元のシート)であり、関係者に対して広く閲覧及び更新の権限が与えられており(閲覧及び更新の権限が広く設定されている)、「b」シート及び「c」シートは、特別な役割を持つ関係者に対して閲覧及び更新の権限が与えられている(閲覧及び更新の権限が狭く設定されている)。
【0025】
図4に示すように、図面の電子データ(図面ファイル)のデータ形式は、例えば「PDF(Portable Document Format)」である。また、加筆の電子データ(加筆データファイル)のデータ形式は、例えば「XML(Extensible Markup Language)」であり、シートはXMLの属性情報によって区別されている。このように、クラウドサーバ10では、図面の電子データ(図面ファイル)と加筆の電子データ(加筆データファイル)とが、異なるデータ形式で別ファイルとして格納されている。
【0026】
図2に示すCPU11は、上記に記載したクラウドサーバ10の構成に基づいて記載すると、次の処理を実行するための構成である。
CPU11は、クライアント端末20から図面ファイルのアップロードの要求があった場合に、クライアント端末20から図面ファイルを受信し、受信した当該図面ファイルを図面記憶装置17に記憶させる。また、CPU11は、クライアント端末20の指示に基づいて、指示された図面ファイルを、通信部15を介してクライアント端末20に出力する。また、CPU11は、図面を識別するための図面識別情報と、加筆データファイルとを通信部15を介してクライアント端末20から入力する。CPU11は、図面ファイルと加筆データファイルとを紐づけて、図面記憶装置17に記憶させる。CPU11は、加筆データファイルアップロードがあった場合に、図面を識別するための図面識別情報及び紐付けた加筆データファイルに基づいて、記憶部16のシート対応テーブルT1を更新する。
さらに、CPU11は、クライアント端末20から図面ファイル及び加筆データファイルのダウンロードの要求があった場合に、当該図面ファイル及び加筆データファイルを、通信部15を介してクライアント端末20に入力する。
【0027】
図5は、クライアント端末20の機能的構成を示すブロック図である。クライアント端末20は、CPU21と、RAM22と、入力部23と、表示部24と、通信部25と、記憶部26と、図面記憶装置27と、を備え、各部は、バス28を介して接続されている。クライアント端末20は、表示機能を有する装置であり、一般的なタブレット型情報端末(タブレット端末)やPC(Personal Computer)により構成される。
ここで、クライアント端末20がPCにより構成される場合、PCの一例は、表示装置を備えるノート型PC、表示装置と接続されるデスクトップ型PCが挙げられる。
【0028】
CPU21は、クライアント端末20の各部の処理動作について統括的に制御する。CPU21は、記憶部26に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働により各種の処理を行う。
【0029】
RAM22は、揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等が一時的に格納される。
【0030】
入力部23は、表示部24の表示画面に設けられたタッチパネルを含む。入力部23は、ユーザの指又は専用のペン等によるタッチ操作の位置を検出し、その位置に応じた操作信号をCPU21に出力する。入力部23は、文字入力キー、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスと、を備える。入力部23は、ユーザによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を、CPU21に出力することとしてもよい。
【0031】
表示部24は、LCD等で構成される。表示部24は、CPU21からの表示制御信号に従って画面表示を行う。
【0032】
通信部25は、ネットワークインターフェース等により構成される。通信部25は、通信ネットワークNWを介して、接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0033】
記憶部26は、HDDや不揮発性メモリ等により構成される。記憶部26は、情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する。記憶部26には、図面処理プログラムP2、レイヤー対応テーブルT2が記憶されている。
【0034】
図6は、レイヤー対応テーブルT2の構成例である。レイヤー対応テーブルT2は、図面1枚毎に生成されるものであり、複数のレイヤーの情報(第1レイヤー、第2レイヤー、第3レイヤー、・・・)のそれぞれに対して、メモ(加筆)されるシートの情報が対応付けられている。つまり、レイヤーは、シートに対応付けられている。図6に示すように、本実施形態では、作業項目で分けてレイヤーを利用するケースの一例(作業項目a~作業項目c)を示している。
【0035】
図5に示す図面記憶装置27は、情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶装置である。図面記憶装置27は、工事現場における複数の図面の電子データ(図面ファイル)が記憶される。図面記憶装置27に記憶される図面ファイルは、図面と、当該図面に対して書き込まれたメモ(加筆)に関する複数のレイヤーとで構成される。レイヤーは、図面に対するメモ(加筆)が記録された仮想的なシートであり、図面に重ねられる。
【0036】
図面とレイヤーとの対応関係のイメージを図7に示す。図7では、作業項目で分けてシートを利用するケースを想定し、図面Aに対して、「a」シートに相当する第1レイヤーと、「b」シートに相当する第2レイヤーと、「c」シートに相当する第3レイヤーとが対応付けられている。第1レイヤーには、メモとして注意事項「ア」が加筆されており、第2レイヤーには、メモとして注意事項「イ」が加筆されており、第3レイヤーには、メモとして注意事項「ウ」,「エ」が加筆されている。
【0037】
図7に示すように、図面及びレイヤーで構成される図面ファイルのデータ形式は、例えば「PDF(Portable Document Format)」である。具体的には、図7に示すレイヤーは、PDFのレイヤー機能によって実現される。このように、クライアント端末20では、図面の電子データと加筆の電子データとが、単一のファイルとして格納されている。
【0038】
図5に示すCPU21は、上記に記載したクライアント端末20の構成に基づいて記載すると、次の処理を実行するための構成である。
CPU21は、図面ファイルをダウンロードする場合に、クラウドサーバ10から図面ファイル及び加筆データファイルを取得する。CPU21は、加筆データファイルに含まれるシートをレイヤーに変換し、図面と変換したレイヤーとを合成して新たな図面ファイルを生成する。そして、CPU21は、生成した新たな図面ファイルを図面記憶装置27に格納する。また、CPU21は、図面ファイルのダウンロードがあった場合に、図面を識別するための図面識別情報及び変換したレイヤーに基づいて、記憶部26のレイヤー対応テーブルT2を更新する。
【0039】
クラウドサーバ10に記憶された図面ファイル(レイヤーを有しない)は、「第1設計図書ファイル」の一例であり、「第1設計図書ファイル」の一例は、クラウドサーバ10に記憶された図面ファイルに限るものではない。
また、クライアント端末20で合成した図面ファイル(レイヤーを有する)は、「第2設計図書ファイル」の一例であり、「第2設計図書ファイル」の一例は、クライアント端末20で合成した図面ファイルに限るものではない。
また、CPU21によって実現される機能は、「第1処理部」、「第2処理部」、「第3処理部」の一例であり、「第1処理部」、「第2処理部」、「第3処理部」の一例は、CPU21によって実現される機能に限るものではない。
【0040】
≪実施形態に係る表示システムの動作≫
以下では、図8を参照して(適宜、図1ないし図7を参照)、実施形態に係る表示システム1の動作フローを説明する。図8は、実施形態に係る表示システム1の動作フローを示す図である。ここでは、PCによって構成されるクライアント端末20を「クライアントPC20A」と称し、モバイル端末によって構成されるクライアント端末20を「クライアントモバイル20B」と称する。クライアントPC20Aは、例えば現場事務所に設置され、クライアントモバイル20Bは、例えば工事現場の作業員によって所持される。
【0041】
≪処理ステップ:S1≫
[クライアントPC20A側の処理]
クライアントPC20Aは、クラウドサーバ10へ図面ファイルをアップロードする。アップロードする図面ファイルには、図面の電子データが含まれている。
ここでは、クライアントPC20AのCPU21は、図面ファイルを、通信部25を介して、クラウドサーバ10に出力する。
【0042】
≪処理ステップ:S2≫
[クラウドサーバ10側の処理]
クラウドサーバ10は、クライアントPC20Aから図面ファイルを取得する。クラウドサーバ10は、取得後、加筆データの入っていない、空の加筆データファイルを作成する。空の加筆データファイルは、例えば何も記載されていない「a」シート(メインシート)で構成される。
ここでは、クラウドサーバ10のCPU11は、図面ファイルを、通信部15を介して、クライアントPC20Aから入力する。クラウドサーバ10のCPU11は、図面ファイルが入力されると、加筆データの入っていない、空の加筆データファイルを作成する。
【0043】
≪処理ステップ:S3≫
[クライアントモバイル20B側の処理]
クライアントモバイル20Bからクラウドサーバ10へ、図面ファイル及び加筆データファイルを転送するよう要求する。
ここでは、クライアントモバイル20BのCPU21は、図面ファイルと加筆データファイルとを転送することを要求する要求情報を、通信部25を介して、クラウドサーバ10に出力する。
【0044】
≪処理ステップ:S4≫
[クラウドサーバ10側の処理]
クラウドサーバ10からクライアントモバイル20Bへ、図面ファイル及び加筆データファイルを転送する。
ここでは、クラウドサーバ10のCPU11は、要求情報を、通信部15を介して、クライアントモバイル20Bから入力する。クラウドサーバ10のCPU11は、要求情報が入力されると、図面ファイルと、加筆データの入っていない空の加筆データファイルとを、通信部15を介して、クライアントモバイル20Bに出力する。
【0045】
≪処理ステップ:S5≫
[クライアントモバイル20B側の処理]
クライアントモバイル20Bは、クラウドサーバ10から、図面ファイル及び加筆データファイルを取得する。
ここでは、クライアントモバイル20BのCPU21は、図面ファイルと加筆データファイルとを、通信部25を介して、クラウドサーバ10から入力する。
【0046】
≪処理ステップ:S6≫
[クライアントモバイル20B側の処理]
クライアントモバイル20Bで、図面に対してシート(図8では「b」シート)を追加する。
ここでは、クライアントモバイル20BのCPU21は、図面に対してシートを追加する。
【0047】
≪処理ステップ:S7≫
[クライアントモバイル20B側の処理]
クライアントモバイル20Bで、メインシート(デフォルトのシート)である「a」シートや、処理ステップS6で追加した「b」シートに対して加筆を行う。
ここでは、クライアントモバイル20BのCPU21は、クライアントモバイル20Bを使用するユーザから入力される情報に基づいて、メインシート(デフォルトのシート)である「a」シートや、処理ステップS6で追加した「b」シートに対して加筆を行う。
【0048】
≪処理ステップ:S8≫
[クライアントモバイル20B側の処理]
クライアントモバイル20Bからクラウドサーバ10へ、加筆データファイルをアップロードする。
ここでは、クライアントモバイル20BのCPU21は、加筆データファイルを、通信部25を介して、クラウドサーバ10に出力する。
【0049】
≪処理ステップ:S9≫
[クラウドサーバ10側の処理]
クラウドサーバ10は、クライアントモバイル20Bから加筆データファイルを取得する。
ここでは、クラウドサーバ10のCPU11は、加筆データファイルを、通信部15を介して、クライアントモバイル20Bから入力する。
【0050】
≪処理ステップ:S10≫
[クライアントPC20A側の処理]
クライアントPC20Aからクラウドサーバ10へ、図面ファイル及び加筆データファイルを転送するよう要求する。なお、クライアントPC20Aは、加筆データファイルの存在を意識せず、図面ファイルの転送を要求してもよい。
ここでは、クライアントPC20AのCPU21は、図面ファイルと加筆データファイルとを転送することを要求する要求情報を、通信部25を介して、クラウドサーバ10に出力する。
【0051】
≪処理ステップ:S11≫
[クラウドサーバ10側の処理]
クラウドサーバ10からクライアントPC20Aへ、図面ファイルと加筆データファイルとを転送する。
ここでは、クラウドサーバ10のCPU11は、要求情報を、通信部15を介して、クライアントPC20Aから入力する。クラウドサーバ10のCPU11は、要求情報が入力されると、図面ファイルと加筆データファイルとを、通信部15を介して、クライアントPC20Aに出力する。
【0052】
≪処理ステップ:S12≫
[クライアントPC20A側の処理]
クライアントPC20Aは、クラウドサーバ10から図面ファイル及び加筆データファイルを取得する。
ここでは、クライアントPC20AのCPU21は、図面ファイルと加筆データファイルとを、通信部25を介して、クラウドサーバ10から入力する。
【0053】
≪処理ステップ:S13≫
[クライアントPC20A側の処理]
取得した図面ファイルと加筆データファイルを使用し、メインシートである「a」シートの加筆データと追加した「b」シートの加筆データとを、レイヤーとしてPDFファイルに合成する。
ここでは、クライアントPC20AのCPU21は、図面ファイルと加筆データファイルとを使用し、メインシートである「a」シートの加筆データと追加した「b」シートの加筆データとをレイヤーとしたPDF形式の図面ファイルに合成する。
【0054】
≪処理ステップ:S14≫
[クライアントPC20A側の処理]
処理ステップS13で合成された図面ファイル(マージ済み図面ファイル)を指定フォルダへ出力する。
ここでは、クライアントPC20AのCPU21は、合成された図面ファイルを指定フォルダへ出力する。
【0055】
図9及び図10を参照して(適宜、図1ないし図8を参照)、処理ステップS10~S13に関するより具体的な制御手順を説明する。
<制御手順>
クライアントPC20A(クライアント端末20)のCPU21が、記憶部26に記憶された図面処理プログラムP2(クライアント側のアプリケーションプログラムであり「クライアントアプリ」と省略する場合がある)により実行する加筆統合済み図面ファイルの生成に関する制御手順を、図9に示す。また、処理ステップS13のマージ処理の詳細手順を図10に示す。
【0056】
処理ステップS101で、クラウドサーバ10のCPU11は、ファイルリストの画面を、クライアントPC20Aの表示部24に表示する。ここで、ファイルリストの画面には、例えば、クラウドサーバ10に格納されるPDFの図面ファイルのアイコンが表示される。ファイルリストの画面表示は、クライアントアプリを介して行われる。
【0057】
次に、処理ステップS102で、クラウドサーバ10のCPU11は、クライアントアプリを介して、クライアントPC20Aのユーザにより、コピー操作が行われたか否かについて判断する。コピー操作が行われた場合、クラウドサーバ10のCPU11は、ダウンロード処理(処理ステップS11~S12)を実行する。コピー操作が行われなかった場合、クラウドサーバ10のCPU11は、引き続き、処理ステップS102の処理を実行する。
ここで、コピー操作とは、ファイルやフォルダの操作を行うアプリ(一例はエクスプローラ)によって実現され、クライアントPC20Aのユーザが、クライアントアプリにて表示されるファイルリストのアイコンから、PDFの図面ファイルのアイコンを選択し、当該選択した図面ファイルを指定先の場所に複製する操作である。ファイルやフォルダの操作を行うアプリは、例えば、OS(Operating System)とセットとなっており、表示される画面領域に対して、GUI(Graphical User Interface)上で、コピー操作を行うことも可能である(図11参照)。図11は、GUIによるコピー操作の一例である。なお、ここではコピー操作について説明したが、移動操作であっても同様に処理することが可能である。
【0058】
次に、処理ステップS11~S12で、クラウドサーバ10のCPU11は、クライアントアプリを介して、処理ステップS102で選択されたPDFの図面ファイルを、クラウドサーバ10からクライアントPC20Aに対してダウンロード(送信)し、クライアントPC20AのRAM22に記憶する。さらに、クラウドサーバ10のCPU11は、クライアントアプリを介して、処理ステップS102で選択されたPDFの図面ファイルに紐づけられた加筆データファイル(1つ又は複数)を、クラウドサーバ10からクライアントPC20Aに対してダウンロード(送信)し、クライアントPC20AのRAM22に記憶する。
【0059】
次に、処理ステップS13で、クライアントPC20AのCPU21は、クライアントアプリを介して、処理ステップS11~S12でダウンロードしたPDFの図面ファイル及びPDFの図面ファイルに紐づけられた加筆データファイルを用いて、階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)を生成する、いわゆるマージ処理(詳細は後述)を実行する。
【0060】
<マージ処理>
上記した処理ステップS13のマージ処理の詳細手順を図10に示す。
最初に、処理ステップS131で、クライアントPC20AのCPU21は、クライアントアプリを介して、処理ステップS11~S12でダウンロードされたPDFの図面ファイル及びPDFの図面ファイルに紐づけられたXMLの加筆データファイルをRAM22から読み出す。
【0061】
続いて、処理ステップS132で、クライアントPC20AのCPU21は、クライアントアプリを介して、処理ステップS131で読み出したPDFの図面ファイル及びPDFの図面ファイルに紐づけられたXMLの加筆データファイルについて、階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)の基となるものであって、処理の過程で生成される中間シート(データ形式は問わない)を作成する。
【0062】
続いて、処理ステップS133で、クライアントPC20AのCPU21は、クライアントアプリを介して、処理ステップS132で作成された各中間シートを用いて、階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)を作成する。
ここで、作成された階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)の構成は、階層レイヤーの下層に対して図面のレイヤーが配置され、階層レイヤーの上層に対して加筆データファイルのレイヤーが配置される(図7を参照)。
【0063】
続いて、処理ステップS134で、クライアントPC20AのCPU21は、クライアントアプリを介して、処理ステップS133で作成された階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)を、図面記憶装置27(一例は、EEPROM)へ読み出し可能に格納する。
なお、処理ステップS134で、階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)が、図面記憶装置27に格納されると、クライアントPC20AのCPU21は、OSとセットであるアプリ(一例はエクスプローラ)を介して、クライアントPC20Aの表示画面に対して、階層レイヤーの構成を有する図面ファイル(PDF)のアイコンを表示させる(図11参照)。
【0064】
以上のように、実施形態に係る表示システム1では、利用者が追加した複数のシートの加筆情報が反映された図面ファイルを一括で取り出すことができる。そのため、利用者にとって便利な機能となっている。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 表示システム
10 クラウドサーバ
11 CPU
12 RAM
13 入力部
14 表示部
15 通信部
16 記憶部
17 図面記憶装置
P1 図面処理プログラム
T1 シート対応テーブル
20 クライアント端末
21 CPU
22 RAM
23 入力部
24 表示部
25 通信部
26 記憶部
27 図面記憶装置
P2 図面処理プログラム
T2 レイヤー対応テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11