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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120783
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】遠隔作業装置及び遠隔作業システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20240829BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20240829BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
B66F9/06 C
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027840
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】大井戸 康介
(72)【発明者】
【氏名】三井 崇
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋平
【テーマコード(参考)】
3C707
3F333
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707AS12
3C707AS13
3C707AS15
3C707AS33
3C707BS10
3C707BS26
3C707CS08
3C707CS10
3C707CY03
3C707HS27
3C707JT04
3C707KT01
3C707KT15
3C707WA16
3F333AA02
3F333AE02
3F333BA02
3F333BA08
3F333DA03
3F333DB06
3F333DB10
3F333FA10
(57)【要約】
【課題】極限環境下であっても重量物の切断・撤去等を含む作業を円滑に行うことができる、遠隔作業装置及び遠隔作業システムを提供する。
【解決手段】遠隔作業システムは、作業エリアAで作業する作業ロボットを備えた遠隔作業装置1と、作業エリアAに配置され廃棄物を回収する回収容器2と、作業エリアA近傍の搬入口Bに配置されるケーブルリール3と、遠隔操作室Cに配置された作業ロボット13,14の制御盤4と、遠隔操作室Cに配置され作業ロボット13,14を遠隔操作するマシンインターフェース5と、を備えている。遠隔作業装置1は、床面を走行して移動可能な移動体11と、移動体11に配置された回転台12と、回転台12上に並列して設置された二台の作業ロボット13,14と、回転台12を昇降可能な昇降手段15と、を備えている。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を走行して移動可能な移動体と、
前記移動体に配置された回転台と、
前記回転台上に並列して設置された二台の作業ロボットと、
を含むことを特徴とする遠隔作業装置。
【請求項2】
前記移動体は、前記回転台を昇降可能な昇降手段を備える、請求項1に記載の遠隔作業装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記作業ロボットの先端ツールを保管するツールステーションを備える、請求項1に記載の遠隔作業装置。
【請求項4】
前記移動体は、作業時に前記移動体を支持するアウトリガーを備える、請求項1に記載の遠隔作業装置。
【請求項5】
前記移動体はフォークリフトであり、前記回転台は前記フォークリフトのフォーク差込部を備える、請求項1に記載の遠隔作業装置。
【請求項6】
前記回転台は、円板の両端を切り落とした形状を有する、請求項1に記載の遠隔作業装置。
【請求項7】
前記回転台は、中心部に形成され前記作業ロボットのケーブルを挿通する挿通口と、該挿通口に配置されたスリップリングと、を備える請求項1に記載の遠隔作業装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載された遠隔作業装置を含む、ことを特徴とする遠隔作業システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔作業装置及び遠隔作業システムに関し、特に、極限環境下における重量物の切断・撤去等を含む作業に適した遠隔作業装置及び遠隔作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線・雰囲気ガス・細菌・温度等の理由により、作業員の滞在時間が制限される極限環境下では、ロボットを遠隔操作することにより種々の作業が行われる。例えば、特許文献1には、車輪を使用して移動し、2本の腕部を使用して細かな作業をするロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-049633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、2本の腕部を一つの胴体部で支持しているため、片腕で重量物を支持したり搬送したりしようとした場合には、肩部や胴体部にかかる負荷が大きく、配管や構造物等の切断・撤去等のように重量物を支持したり搬送したりする高所作業には不向きであった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、極限環境下であっても重量物の切断・撤去等を含む作業を円滑に行うことができる、遠隔作業装置及び遠隔作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、床面を走行して移動可能な移動体と、前記移動体に配置された回転台と、前記回転台上に並列して設置された二台の作業ロボットと、を含むことを特徴とする遠隔作業装置が提供される。
【0007】
前記移動体は、前記回転台を昇降可能な昇降手段を備えていてもよい。
【0008】
前記移動体は、前記作業ロボットの先端ツールを保管するツールステーションを備えていてもよい。
【0009】
前記移動体は、作業時に前記移動体を支持するアウトリガーを備えていてもよい。
【0010】
前記移動体はフォークリフトであり、前記回転台は前記フォークリフトのフォーク差込部を備えていてもよい。
【0011】
前記回転台は、円板の両端を切り落とした形状を有していてもよい。
【0012】
前記回転台は、中心部に形成され前記作業ロボットのケーブルを挿通する挿通口と、該挿通口に配置されたスリップリングと、を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明によれば、上述した何れかの構成を有する遠隔作業装置を含む、ことを特徴とする遠隔作業システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明にかかる遠隔作業装置及び遠隔作業システムによれば、回転台に二台の作業ロボットを配置したことにより、作業ロボットにかかる荷重を回転台で支持することができ、極限環境下であっても重量物の切断・撤去等を含む作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態にかかる遠隔作業システムの概略構成図である。
図2】一実施形態にかかる遠隔作業装置の斜視図である。
図3】回転台の斜視図である。
図4】回転台の説明図であり、(a)は平面図、(b)は裏面図、である。
図5】遠隔作業装置の作業姿勢の一例を示す側面図であり、(a)は前向きの作業姿勢、(b)は横向きの作業姿勢、を示している。
図6】リアルタイムシミュレーションによるイメージ図であり、(a)は第一例、(b)は第二例、である。
図7】遠隔作業装置の操作手順を示す説明図であり、(a)は上昇状態、(b)は把持状態、(c)は切断状態、を示している。
図8】遠隔作業装置の操作手順を示す説明図であり、(a)は先端ツールの交換状態、(b)は対象物の撤去状態、(c)は対象物の回収状態、を示している。
図9】遠隔作業装置の横向きの作業状態を示す俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図1図9を用いて説明する。ここで、図1は、一実施形態にかかる遠隔作業システムの概略構成図である。図2は、一実施形態にかかる遠隔作業装置の斜視図である。図3は、回転台の斜視図である。図4は、回転台の説明図であり、(a)は平面図、(b)は裏面図、である。
【0017】
本実施形態にかかる遠隔作業システムは、例えば、図1に示したように、作業エリアAで作業する作業ロボットを備えた遠隔作業装置1と、作業エリアAに配置され廃棄物を回収する回収容器2と、作業エリアA近傍の搬入口Bに配置されるケーブルリール3と、遠隔操作室Cに配置された作業ロボット13,14の制御盤4と、遠隔操作室Cに配置され作業ロボット13,14を遠隔操作するマシンインターフェース5と、遠隔操作室Cに配置され作業エリアAに配置されたカメラ61~63を遠隔操作するカメラコントローラ6と、カメラの映像を表示するモニタ7と、を備えている。
【0018】
図1の上段は、放射線・雰囲気ガス・細菌・温度等の理由により、作業員の滞在時間が制限される極限環境下の領域を示している。図1の下段は、極限環境から離隔し、作業員の滞在時間が制限されない遠隔操作室Cを示している。
【0019】
遠隔作業装置1は、例えば、床面を走行して移動可能な移動体11と、移動体11に配置された回転台12と、回転台12上に並列して設置された二台の作業ロボット13,14と、回転台12を昇降可能な昇降手段15と、作業ロボット13,14の先端ツールを保管するツールステーション16と、作業時に移動体11を支持するアウトリガー17と、を備えている。
【0020】
移動体11は、例えば、フォークリフトであるが、これに限定されるものではない。移動体11は、高所作業車やクレーン等の昇降機構を備えた他の車両であってもよい。フォークリフトは、荷役用の上下動可能なフォークを備えた車両であり、フォーク及びその昇降機構は昇降手段15を構成している。移動体11は、例えば、自走式であってもよいし、操縦式であってもよい。
【0021】
移動体11に昇降手段15を持たせることにより、重量物である二台の作業ロボット13,14を設置した状態で作業エリアAまで移動することができ、二台の作業ロボット13,14を回転台12とともに昇降させることにより、作業員の手が届かない高所作業を容易に行うことができる。
【0022】
回転台12は、例えば、図3図4(b)に示したように、昇降手段15に固定されるベース12aと、ベース12aに回転可能に配置されたターンテーブル12bと、ターンテーブル12bを回転させる駆動モータ12cと、を備えている。なお、回転台12の構成は図示した構成に限定されるものではない。
【0023】
ベース12aは、ターンテーブル12bを回転可能に支持する部品である。また、ベース12aは、フォークリフトのフォークを挿入するフォーク差込口12dと、フォークに固定する接続部12eと、を備えている。フォーク差込口12dは、例えば、鋼材により構成された溝部又は筒部である。接続部12eは、例えば、ブラケット及びボルト等によりL字形状のフォークの上部に固定される。ベース12aは、ターンテーブル12bの回転時に接触する部分にベアリングを有していてもよい。
【0024】
ターンテーブル12bは、ベース12a上に回転可能に配置された板材であり、例えば、円板の両端を切り落とした形状を有している。ターンテーブル12bは、例えば、一対の対峙する直線部12fと一対の対峙する円弧部12gとを備えている。直線部12fは、二台の作業ロボット13,14の並列方向と平行な方向に形成される。なお、ターンテーブル12bは、軽量化や作業性等を考慮して必要に応じて肉抜きしてもよい。
【0025】
駆動モータ12cは、例えば、電動モータであり、歯車機構により動力をターンテーブル12bに伝達する。駆動モータ12cの動力伝達機構は他の方式であってもよい。
【0026】
また、ターンテーブル12bには慣性力による回転を抑制するための回転ロック機構12hが配置されていてもよい。回転ロック機構12hは、エアシリンダ12iにより出没可能に構成された突起を有し、ターンテーブル12bを回転させる際には突起をターンテーブル12bと干渉しない位置に退避させ、ターンテーブル12bの回転終了後には突起をターンテーブル12bに係止させるように構成されている。
【0027】
また、ターンテーブル12bは、中心部に形成され作業ロボット13,14のケーブルを挿通する挿通口12jと、挿通口12jに配置されたスリップリング12kと、を備えていてもよい。作業ロボット13,14の電気系統のケーブルをスリップリング12kと挿通口12jとの隙間に挿入することにより、回転時におけるケーブルの捩れや損傷を抑制することができる。
【0028】
作業ロボット13,14は、例えば、多関節アームロボットであるが、これに限定されるものではない。二台の作業ロボット13,14は、図示したように、回転台12上に並列した状態に配置される。かかる構成により、一台の作業ロボット13で対象物を把持し、もう一台の作業ロボット14で対象物を切断・撤去・溶接・清掃・塗装等の所望の作業を行うことができる。
【0029】
また、作業の対象物が高所にある重量物や干渉物である場合には、作業の準備に時間を要するだけでなく、作業時における作業員の負担が大きい。本実施形態では、二台の作業ロボット13,14を用いることにより、作業と作業補助(サポート)を同時に行うことができ、対象物が重量物や干渉物であっても円滑かつ安全に作業することができる。
【0030】
また、極限環境下では作業エリアAが狭い場所であることも多く、作業ロボットを作業可能な姿勢に配置する際に、移動体11の向きを変更することが難しい場合もある。ここで、図5は、遠隔作業装置1の作業姿勢の一例を示す側面図であり、(a)は前向きの作業姿勢、(b)は横向きの作業姿勢、を示している。
【0031】
図5(a)に示したように、作業エリアAの対象物に対して、移動体11の進行方向から正対できる場合には、回転台12のターンテーブル12bを回転させずに、作業ロボット13,14を正面に向けた状態のまま作業ロボット13,14を昇降させて所望の作業を行うことができる。
【0032】
一方、例えば、作業エリアA内の狭い通路の壁面に対象物が存在する場合には、移動体11の進行方向から対象物に正対することは難しい。そこで、図5(b)に示したように、対象物に対して移動体11を横付けし、回転台12のターンテーブル12bを90°回転させることにより、作業ロボット13,14を対象物に対して正対させて所望の作業を行うことができる。
【0033】
作業ロボット13,14は、床面から2~6m程度の高い位置にあるケーブル・配管・構造物等の切断・撤去等の高所作業を行う場合もあるため、重量物の支持及び搬送に耐えることができる強度が必要になる。作業ロボット13,14の自重は、略水平に配置された回転台12で受けることができるため、耐荷重の高い作業ロボットを採用することができる。
【0034】
また、作業ロボット13,14は、切断・撤去・溶接・清掃・塗装等の種々の用途に応じて先端ツール16aを交換することができるように構成されている。先端ツール16aは、移動体11に配置されたツールステーション16に保管される。先端ツール16aの交換は、一般的な産業用ロボットのツールチェンジャを利用することができる。
【0035】
また、図2に示したように、作業時における移動体11に負荷される荷重を分散して姿勢を安定させるためにアウトリガー17を使用してもよい。アウトリガー17は、移動体11の走行時は移動体11上に収納され、作業時に展開される。アウトリガー17を配置することにより、想定外の衝撃や地震発生時であっても遠隔作業装置1の転倒を防止することができる。
【0036】
作業ロボット13,14の作業により対象物を回収する場合には、作業エリアA内に回収容器2を配置してもよい。回収容器2は、自走式であってもよいし、作業員が手動で配置してもよい。
【0037】
また、遠隔作業装置1の移動時には作業ロボット13,14のケーブルを送り出す必要がある。図1に示したように、ケーブルリール3を用いることにより、重くて長いケーブルの取り扱い作業の負担を軽減することができる。また、ケーブルリール3のモータ出力軸にトルクセンサを配置し、ケーブルの張力に応じてケーブルを送り出したり巻き戻したりするようにしてもよい。
【0038】
また、搬入口Bから作業エリアAに移動する際に角を曲がる場合には、角部にローラ等を備えたケーブルガイド(図示省略)を配置するようにしてもよい。
【0039】
遠隔作業装置1を操作するために、複数台のカメラ61~63が配置される。カメラ61は、作業ロボット13,14のアームの先端に設置され、作業ロボット13,14の手元を映すカメラである。なお、作業ロボット13,14の他の箇所にカメラを配置してもよいし、複数のカメラを設置してもよい。カメラ62は、移動体11に配置された車載カメラである。また、カメラ63は、作業エリアA内に配置された俯瞰カメラである。カメラ63の設置は作業員が行う。
【0040】
これらのカメラ61~63の映像は、遠隔操作室C内のモニタ7に表示される。作業員は、モニタ7の映像を監視しながら作業ロボット13,14及びカメラ61~63の遠隔操作を行う。カメラ61~63は、例えば、PTZカメラである。
【0041】
また、遠隔作業システムは、作業ロボット13,14の軸値や移動体11の位置座標を取得し、予め作成しておいた作業エリアAの三次元モデル上に表示させる機能(リアルタイムシミュレーション)を有していてもよい。ここで、図6は、リアルタイムシミュレーションによるイメージ図であり、(a)は第一例、(b)は第二例、である。
【0042】
図6(a)は遠隔作業装置1の前方斜め上から眺めた状態を示した三次元モデル図であり、図6(b)は遠隔作業装置1の側方斜め上から眺めた状態を示した三次元モデル図である。このように、リアルタイムシミュレーションを用いることにより、カメラ61~63による視野が不足した場合であっても、三次元モデル空間により対象物と周辺の干渉物との位置確認やカメラ61~63の死角となる場所の確認を行うことができる。
【0043】
次に、上述した遠隔作業装置1の操作手順の一例について、図7(a)~図8(c)を参照しつつ説明する。ここで、図7は、遠隔作業装置の操作手順を示す説明図であり、(a)は上昇状態、(b)は把持状態、(c)は切断状態、を示している。図8は、遠隔作業装置の操作手順を示す説明図であり、(a)は先端ツールの交換状態、(b)は対象物の撤去状態、(c)は対象物の回収状態、を示している。
【0044】
遠隔作業装置1が作業エリアA内の所定の作業場所に到着すると、アウトリガー17を展開し、遠隔作業装置1を固定する。図7(a)に示したように、昇降手段15を用いて回転台12と一緒に作業ロボット13,14を上昇させる。回転台12及び作業ロボット13,14が所定の高さに到達した後、昇降手段15を停止させる。
【0045】
作業ロボット13には把持用の先端ツール16aが接続され、作業ロボット14には切断用の先端ツール16aが接続されているものとする。図7(b)に示したように、作業員は、マシンインターフェース5を用いて作業ロボット13を遠隔操作し、対象物の一部を把持する。続いて、図7(c)に示したように、作業員は、マシンインターフェース5を用いて作業ロボット14を遠隔操作し、対象物を切断する。
【0046】
次に、図8(a)に示したように、ツールステーション16を用いて作業ロボット13,14の先端ツール16aを交換する。ここでは、作業ロボット13の先端ツール16aを把持用から切断用に交換し、作業ロボット14の先端ツール16aを切断用から把持用に交換している。
【0047】
先端ツール16aを交換した後、作業ロボット14で先に切断した対象物の一部を把持し、作業ロボット13で対象物を切断する。これらの操作手順により、図8(b)に示したように、対象物を建屋(構造物)から切り離すことができ、撤去することができる。
【0048】
作業ロボット13,14は、切り離した対象物が建屋(構造物)と干渉しないように遠隔操作され、回転台12と一緒に降下される。対象物は回収容器2に回収される。この撤去から回収までの操作において、作業ロボット13,14だけでなく、必要に応じて回転台12を回転させて干渉物と回避させるようにしてもよい。
【0049】
上述した操作手順では、作業ロボット13,14を遠隔作業装置1の進行方向正面に向けた状態で作業する場合について説明しているが、例えば、図9に示したように、作業エリアAが狭いような場合には、遠隔作業装置1を対象物に対して横付けして遠隔操作してもよい。回転台12のターンテーブル12bは、例えば、回転台12の上昇前、上昇中又は上昇後に回転される。
【0050】
上述した本実施形態にかかる遠隔作業装置1及び遠隔作業システムによれば、回転台12に二台の作業ロボット13,14を配置したことにより、作業ロボット13,14にかかる荷重を回転台12で支持することができ、極限環境下であっても重量物の切断・撤去等を含む作業を円滑に行うことができる。
【0051】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【0052】
本開示は、例えば、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」及び目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 遠隔作業装置
2 回収容器
3 ケーブルリール
4 制御盤
5 マシンインターフェース
6 カメラコントローラ
7 モニタ
11 移動体
12 回転台
12a ベース
12b ターンテーブル
12c 駆動モータ
12d フォーク差込口
12e 接続部
12f 直線部
12g 円弧部
12h 回転ロック機構
12i エアシリンダ
12j 挿通口
12k スリップリング
13,14 作業ロボット
15 昇降手段
16 ツールステーション
16a 先端ツール
17 アウトリガー
61,62,63 カメラ
A 作業エリア
B 搬入口
C 遠隔操作室

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9