IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オーケープランニングの特許一覧

<>
  • 特開-組合せ計量機 図1
  • 特開-組合せ計量機 図2
  • 特開-組合せ計量機 図3
  • 特開-組合せ計量機 図4
  • 特開-組合せ計量機 図5
  • 特開-組合せ計量機 図6
  • 特開-組合せ計量機 図7
  • 特開-組合せ計量機 図8
  • 特開-組合せ計量機 図9
  • 特開-組合せ計量機 図10
  • 特開-組合せ計量機 図11
  • 特開-組合せ計量機 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120786
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】組合せ計量機
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027845
(22)【出願日】2023-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】515244427
【氏名又は名称】株式会社オーケープランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】波多江 満
(57)【要約】
【課題】広い設置スペースを要することなく簡単に設置することができ、簡素な構成で装置コストを可及的低減化することができるセミオート式の組合せ計量機を提供する。
【解決手段】複数の秤量物を予め設定した最適重量に基づき秤量物同士の組合せを行う組合せ計量機であって、組合せ計量機は、2台並列に設けられ個々に載置された秤量物の計量を行う計量ホッパと2台の計量ホッパの上方且つ中間位置に設けられた1台の供給ホッパとからなる計量機ユニットと、計量機ユニットを複数台並列に支持可能とした方形筐体と、方形筐体の内部に収納され組合せ計量機の各構成の動作を制御する制御部と、複数の計量機ユニットの下方に敷設され組合せされた秤量物同士をまとめて搬送する搬送コンベアと、から構成したことにより課題を解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の秤量物を予め設定した最適重量に基づき秤量物同士の組合せを行う組合せ計量機であって、
前記組合せ計量機は、
2台並列に設けられ個々に載置された前記秤量物の計量を行う計量ホッパと2台の前記計量ホッパの上方且つ中間位置に設けられた1台の供給ホッパとからなる計量機ユニットと、
前記計量機ユニットを複数台並列に支持可能とした方形筐体と、
前記方形筐体の内部に収納され前記組合せ計量機の各構成の動作を制御する制御部と、
前記複数の計量機ユニットの下方に敷設され組合せされた秤量物同士をまとめて搬送する搬送コンベアと、
から構成したことを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項2】
前記計量ホッパは、前記方形筐体の内部に収納された計量駆動部と、前記計量駆動部に接続される計量駆動軸と、前記計量駆動軸の下部に設けられたロードセルと、前記計量駆動軸に接続し中途部で二又状に分岐させたリンク機構と、前記リンク機構の二又先端部に接続され前記方形筐体の外方へ突出した左右計量回動軸と、前記左右計量回動軸にそれぞれ接続された左右計量アームと、前記左右計量アームの下端部に設けられた計量皿部と、を備え、前記計量駆動軸の回動により前記リンク機構を介して前記左右計量回動軸を相対回動自在に構成し、
さらに、前記供給ホッパは、前記方形筐体の内部に並列状態で収納された2台の供給駆動部と、2台の前記供給駆動部にそれぞれ接続され前記方形筐体の外方へ突出した供給回動軸と、前記供給回動軸に接続された左右供給アームと、前記左右供給アームに垂設された供給皿部と、を備え、2台の前記供給駆動部の駆動により前記左右供給アームを個別に回動自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載された組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や食品等の秤量物を秤量するための組合せ計量機において、簡便な構成で効率の良い秤量が可能な組合せ計量機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜・果実などの生鮮食料商品は、市場において1本、1個、1株といった個数単位で販売されることは殆どなく、複数をまとめた組合せ重量値が規定重量範囲に収まるように組合せ計量して袋詰めされた重量単位で販売されている。
【0003】
すなわち、複数の秤量物をまとめてパッケージングして商品形態とするには、市場での信用を担保すると共に経済性に配慮しつつ、農産物など大きさ、形、重量の不均一な秤量物同士の組合せ重量値が、規定重量値を下回らず且つ最小重量値となる組合せ重量値(以下、単に最適組合せ重量値という。)となるように正確な組合せ秤量作業を行わなければならない。
【0004】
このような秤量及び袋詰め作業を作業者が手作業で行っていたが、その組合せ秤量作業の作業負担を軽減するべく、「秤量物の計量皿への載置工程 → 秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程 → 最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」までの一連の作業を完全オートメンションで行う自動組合せ計量装置(例えば、特許文献1~3参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-313333号公報
【特許文献2】特開2002-166232号公報
【特許文献3】特開2008-292194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、「秤量物の計量皿への載置工程」から「最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」までの一連の作業を完全オートメンション化する組合せ計量装置は、その機能の多さから大型で大変高価なものとなってしまう。そのような組合せ計量装置は、設置スペースや設備導入費に限りのある個人農家や組合などの比較的小中規模の出荷元で導入することが困難である。そのため、作業者が一つ一つ最適組合せ重量値となる秤量物同士を確認しながら秤量選別を行っているのが実情である。
【0007】
そこで、「秤量物の計量皿への載置工程 → 秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程 → 最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」までの一連の作業の中で特に煩雑な作業である「秤量物同士の最適組合せ計算工程」と「最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程」とを自動で行うことができ、比較的省スペースで導入コストの低い組合せ計量装置が求められている。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、広い設置スペースを要することなく簡単に設置することができ、簡素な構成で装置コストを可及的低減化することができるセミオート式の組合せ計量機を提供する。
【0009】
更に、本発明では、「秤量物の計量皿への載置工程」を補助する構成を特徴的に備えることにより、従来一部で導入されているセミオート式の組合せ計量機よりも作業効率を飛躍的に向上させることができるセミオート式の組合せ計量機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、複数の秤量物を予め設定した最適重量に基づき秤量物同士の組合せを行う組合せ計量機であって、組合せ計量機は、2台並列に設けられ個々に載置された秤量物の計量を行う計量ホッパと2台の計量ホッパの上方且つ中間位置に設けられた1台の供給ホッパとからなる計量機ユニットと、計量機ユニットを複数台並列に支持可能とした方形筐体と、方形筐体の内部に収納され組合せ計量機の各構成の動作を制御する制御部と、複数の計量機ユニットの下方に敷設され組合せされた秤量物同士をまとめて搬送する搬送コンベアと、から構成したことに特徴を有する。
【0011】
また、計量ホッパは、方形筐体の内部に収納された計量駆動部と、計量駆動部に接続される計量駆動軸と、計量駆動軸の下部に設けられたロードセルと、計量駆動軸に接続し中途部で二又状に分岐させたリンク機構と、リンク機構の二又先端部に接続され方形筐体の外方へ突出した左右計量回動軸と、左右計量回動軸にそれぞれ接続された左右計量アームと、左右計量アームの下端部に設けられた計量皿部と、を備え、計量駆動軸の回動によりリンク機構を介して左右計量回動軸を相対回動自在に構成し、さらに、供給ホッパは、方形筐体の内部に並列状態で収納された2台の供給駆動部と、2台の供給駆動部にそれぞれ接続され方形筐体の外方へ突出した供給回動軸と、供給回動軸にそれぞれ接続された左右供給アームと、左右供給アームに垂設された供給皿部と、を備え、2台の供給駆動部の駆動により左右供給アームを個別に回動自在に構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る組合せ計量機は、載置された秤量物を計量する計量ホッパの上方に秤量物供給を行う供給ホッパを備えることにより、作業員による手作業での供給を簡易化すると共に、「秤量物同士の最適組合せ計算工程」の際に常時複数の計量ホッパの全てに秤量物が載置された状態を提供し作業効率を飛躍的に向上させることができ、連続して組合せ計量を行うことができるセミオート式の組合せ計量機を実現し、もって社会に資することができる。
【0013】
また、本発明に係る組合せ計量機は、広い設置スペースを要することなく設置することができ、簡素な構成でコストを可及的低減化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る組合せ計量機の全体構成を説明する模式的斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る組合せ計量機の全体構成を示す模式的正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る計量機ユニットの構成を示す模式的斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る計量ホッパの構成を示す模式的斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る計量機ホッパのリンク機構を説明する背面斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る計量機ホッパのリンク機構を説明する背面斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る供給ホッパの構成を示す模式的斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る供給ホッパの動作を説明する模式的正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る制御部と計量部及び供給部との関りを示すブロック図である。
図10】本発明の一実施形態に係る組合せ計量の手順を説明するフロー図である。
図11】本発明の一実施形態に係る秤量物の供給の様子示す説明図である。
図12】本発明の一実施形態に係る組合せ計量機の設置方法の例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の要旨は、複数の秤量物を予め設定した最適重量に基づき秤量物同士の組合せを行う組合せ計量機であって、組合せ計量機は、2台並列に設けられ個々に載置された秤量物の計量を行う計量ホッパと2台の計量ホッパの上方且つ中間位置に設けられた1台の供給ホッパとからなる計量機ユニットと、計量機ユニットを複数台並列に支持可能とした方形筐体と、方形筐体の内部に収納され組合せ計量機の各構成の動作を制御する制御部と、複数の計量機ユニットの下方に敷設され組合せされた秤量物同士をまとめて搬送する搬送コンベアと、から構成したことにある。
【0016】
また、計量ホッパは、方形筐体の内部に収納された計量駆動部と、計量駆動部に接続される計量駆動軸と、計量駆動軸の下部に設けられたロードセルと、計量駆動軸に接続し中途部で二又状に分岐させたリンク機構と、リンク機構の二又先端部に接続され方形筐体の外方へ突出した左右計量回動軸と、左右計量回動軸にそれぞれ接続された左右計量アームと、左右計量アームの下端部に設けられた計量皿部と、を備え、計量駆動軸の回動によりリンク機構を介して左右計量回動軸を相対回動自在に構成し、さらに、供給ホッパは、方形筐体の内部に並列状態で収納された2台の供給駆動部と、2台の供給駆動部にそれぞれ接続され方形筐体の外方へ突出した供給回動軸と、供給回動軸にそれぞれ接続された左右供給アームと、左右供給アームに垂設された供給皿部と、を備え、2台の供給駆動部の駆動により左右供給アームを個別に回動自在に構成したことにも特徴を有する。
【0017】
[1.組合せ計量機の構成について]
まず、本発明に係る組合せ計量機Mの概略的構成について説明する。図1は組合せ計量機Mの全体構成を示す模式的斜視図である。図2は組合せ計量機Mの全体構成を示す模式的正面図である。図3は組合せ計量機Mを構成する計量機ユニットAの構成を示す模式的斜視図である。図4は計量ホッパ100の構成を示す模式的斜視図であり、(a)は載置皿形態100aを(b)は排出形態100bをそれぞれ示している。図5は計量ホッパ100のリンク機構140が略T字形態140aである状態を示す模式的背面斜視図である。図6は計量ホッパ100のリンク機構140が略Y字形態140aである状態を示す模式的背面斜視図である。図7は供給ホッパ200の構成を示す模式的正面図であり、(a)は供給待機形態200aを(b)は両側供給形態200bをそれぞれ示している。図8は供給ホッパ200の動作を説明する模式的正面図であり、(a)は供給待機形態200aを(b)は両側供給形態200bを(c)は左側供給形態200cを(d)は右側供給形態200dをそれぞれ示している。図9は制御部400と計量部B及び供給部Cとの動作関係を示すブロック図である。
【0018】
組合せ計量機Mは、図1及び図2に示すように、並列に設けられた2台の計量ホッパ100と2台の計量ホッパ100の上方且つ中間に位置するように設けられた1台の供給ホッパ200とからなる計量機ユニットA(図3を参照)と、計量機ユニットAを複数台並列に支持可能とした方形筐体300と、方形筐体300の内部に収納された制御部400と、複数の計量機ユニットAの下方に敷設され搬送駆動する搬送コンベア500とからなる。(以下、図1における計量機ユニットAが設けられた方形筐体300の一側面を正面として説明する。)また、秤量物Dを計量機ユニットAへ補充する作業員は、組合せ計量機Mの正面側もしくは背面側に立って作業を行う。
【0019】
計量機ユニットAを構成する計量ホッパ100は、図4図7に示すように、方形筐体300の内部に収納された計量駆動部110と、計量駆動部110に接続される計量駆動軸130と、計量駆動軸130の下部に設けられたロードセル120と、計量駆動軸130に接続し中途部で二又状に分岐させたリンク機構140と、リンク機構140に接続され方形筐体300の外方へ突出した左右計量回動軸150と、左右計量回動軸150に接続された左右計量アーム160と、左右計量アーム160の下端部に設けられた計量皿部170と、から構成されている。
【0020】
左計量アーム160aは、左計量回動軸150aに接続され、正面視において左下方へ向けて延出している。右計量アーム160bは、左計量アーム160aと対称に形成されており、正面視において右下方へ向けて延出している。
【0021】
計量皿部170は、左右計量アーム160の下端部に設けられた左右計量載置部171と左右計量載置部171の前後縁部に設けた三角形状の落下防止壁172とよりなる。計量皿部170は、左右計量回動軸150の回動動作により、図4(a)に示すような上部開放且つ下方に頂点を有した略三角形状の収容空間を形成した載置皿形態100aと、図4(b)に示すような左右計量載置部171を垂直となるように回動させ内部に収容した秤量物Dを下方へ落下させる開口部を形成した排出形態100bと、の2パターンの形態をとることができる。
【0022】
リンク機構140は、下部の計量駆動軸130と上部の左右計量回動軸150との間を接続するように、5つのリンク141~145を4つのジョイント146~149で連結した略T字状の五節リンク機構であって、計量駆動軸130の回転駆動に伴って各ジョイント146~149を中心に各リンク141~145を折曲揺動自在に構成している。
【0023】
具体的にリンク機構140は、図5及び図6に示すように、計量駆動部110から延出した計量駆動軸130に基端部を接続固定して回動する駆動リンク141と、駆動リンク141先端部に基端部で第1ジョイント146を介して枢着する下側リンク142と、下側リンク142先端部に基端部で第2ジョイント147を介して枢着し、左右側方のうちいずれか一方に先端部を向けて略L字状に屈曲する一方L字リンク143と、一方L字リンク143のL字角部に基端部を第3ジョイント148を介して枢着する上側リンク144と、上側リンク144先端部に基端部で第4ジョイント149を介して枢着し、左右側方のうちいずれか他方に先端部を向けて略L字状に屈曲する他方L字リンク145と、で構成している。
【0024】
すなわち、リンク機構140は、計量駆動軸130からの回転駆動を各リンク141~145と各ジョイント146~149の働きにより、左右計量回動軸150を同時に相対回動させることができる。換言すれば、上述した計量皿部170の載置皿形態100aと排出形態100bとの変位を一つの計量駆動部110の回転駆動により行うことができる。
【0025】
計量皿部170は、次のようにして載置皿形態100aと排出形態100bとに変化する。方形筐体300外部にある計量皿部170が載置皿形態100aにある場合、図5に示すように、方形筐体300内部のリンク機構140は略T字形態140aにあり、計量皿部170が排出形態100bにある場合、図6に示すように、方形筐体300内部のリンク機構140は略Y字形態140bにある。
【0026】
すなわち、載置皿形態100aにある場合のリンク機構140は、図5に示すように、方形筐体300内側において、計量駆動軸130を中心に先端部を12時方向に向けた駆動リンク141と、下側リンク142と、一方L字リンク143のL字短辺部と、上側リンク144と、をそれぞれ上下直線配置し、一方L字リンク143のL字長辺部と他方L字リンク145とをそれぞれ左右方向に伸延配置し、略T字形態140aとしている。
【0027】
かかる略T字形態140aのリンク機構140に相対して計量皿部170は、左右計量回動軸150を中心に左右計量載置部171を傾斜姿勢にして上部開放且つ下方に頂点を有した略三角形状の収容空間を形成した載置皿形態100aとし、秤量物Dの供給受け入れを可能としている。
【0028】
一方で、排出形態100bにある場合のリンク機構140は、図6に示すように、方形筐体300内側において、リンク機構140は、計量駆動軸130を中心に先端部を9時方向に向けた駆動リンク141と、駆動リンク141により左下方に引き寄せられた下側リンク142と一方L字リンク143のL字短辺部と上側リンク144とをそれぞれ左寄り傾斜直線状とし、一方L字リンク143のL字長辺部と他方L字リンク145とを左右計量回動軸150の間の略中央側で引き下げた下方傾斜状とし、略Y字形態140bとしている。
【0029】
かかる略Y字形態140bのリンク機構140に相対して計量皿部170は、左右計量回動軸150を中心に左右計量載置部171を略鉛直姿勢にして内部に収容した秤量物Dを下方開放とした排出形態100bとし、秤量物の排出を可能としている。
【0030】
さらに、計量ホッパ100は、計量駆動軸130の下部に載置皿形態100aにおいて計量皿部170の収容空間内部に収容された秤量物Dの計量を行うロードセル120が設けられている。
【0031】
ロードセル120は、上述した計量駆動部110やリンク機構140や計量皿部170等の構成の全ての重量を一度に受けることが可能な計量駆動軸130の下部に設けられることにより、計量皿部170に係る秤量物Dの重量バランスに影響されることなく秤量物Dの重量を計測可能としている。
【0032】
計量機ユニットAにおいて計量ホッパ100は、図1図4に示すように、所定間隔をあけて2台並列に設けられている。計量機ユニットAを構成する供給ホッパ200は、2台の計量ホッパ100の上方且つ中間位置に配設される。
【0033】
供給ホッパ200は、図3及び図7に示すように、方形筐体300の内部に並列状態で収納された2台の供給駆動部210と、各供給駆動部210にそれぞれ接続され方形筐体300の外方へ突出した供給回動軸220と、2本の供給回動軸220に接続された左右供給アーム230と、左右供給アーム230にそれぞれ垂設された供給皿部240と、から構成されている。
【0034】
左右供給アーム230は、正面視において、それぞれ供給回動軸220から前方へ延出するように接続されている。
【0035】
供給皿部240は、左右供給アーム230に支持される左右供給載置部241と左右供給載置部241の前後縁部に設けた三角形状の落下防止壁242とよりなる。左右供給載置部241は、左供給載置部241aと右供給載置部241bとが別々の供給駆動部210により回動変位するため、それぞれ独立して動作を行うことができる。
【0036】
具体的には、図7及び図8に示すように、上部開放且つ下方に頂点を有した略三角形状の収容空間を形成した供給待機形態200aと、計量ホッパ100における排出形態100bと同様に左右供給載置部241を垂直となるように回動させた両側供給形態200bと、左の供給載置部241aを垂直となるように回動させつつ右の供給載置部241bを左の供給載置部241aと同方向へやや回動させた左側供給形態200cと、左側供給形態200cに反して右の供給載置部241bを垂直となるように回動させつつ左の供給載置部241aを右の供給載置部241aと同方向へやや回動させた右側供給形態200dと、の4パターンの形態をとることができる。
【0037】
また、供給ホッパ200の下部と計量ホッパ100の上部との間の高さで且つ供給ホッパ200の直下には、方形筐体300の外方へ向けて延出した正面視山型の振分棒体600を備えている。振分棒体600は、具体的な説明は後述するが、秤量物Dを供給ホッパ200から計量ホッパ100へ供給する際に、秤量物Dを左右へ振り分けたり左右一方のみへ落下させたりするために設けられている。
【0038】
計量機ユニットAは、上述したように、2台の計量ホッパ100と1台の供給ホッパ200を1セットとして方形筐体300に複数並列に設ける。すなわち、組合せ計量機M全体で見た際には、必ず偶数台配設された計量ホッパ100と、各計量ホッパ100の間で必ず奇数台配設された供給ホッパ200と、を備えた構成としている。
【0039】
また、以下の説明の中で、秤量物Dの計量を行う複数の計量ホッパ100全体を計量部B、複数の計量ホッパ100への秤量物の供給を行う複数の供給ホッパ200全体を供給部Cとする。
【0040】
計量部B及び供給部Cの実際の動作の関係性としては、供給部Cにより計量部Bの各計量皿部170への秤量物D供給が行われる。計量部Bの各計量皿部170がすべて秤量物Dを保持し、それぞれが秤量物Dの計量を行うと、後述する制御部400は計量情報に基づいて最適組合せ重量値となる秤量物Dの組合せを算出する。算出された最適組合せに該当する秤量物Dを計量部Bより排出する。排出され空の状態となった複数の計量皿部170へ供給部Cから新たな秤量物Dが供給載置される。
【0041】
このとき、作業員は、制御部400により最適組合せが決定し計量部Bから秤量物Dが排出されるまでの間に供給部Cの供給皿部240のうち空になっているところがあれば秤量物Dを最低1個以上補充する作業を行う。
【0042】
従来までの組合せ計量装置は、計量部Bからの秤量物D排出後に速やかに新たな秤量物Dを計量皿へ載置する必要があった。しかしながら、本発明に係る組合せ計量機Mは、供給部Cを備えることにより、作業員の時間的余裕を生起させつつ計量部Bに秤量物Dが無い状態を可及的に抑制する効果が期待できる。
【0043】
方形筐体300は、図1及び図2に示すように、直方体状の外郭フレーム310と、計量機ユニットAを配設する外郭フレーム310の一側面、すなわち組合せ計量機Mの正面を覆う支持壁体320と、により構成されている。また、方形筐体300は、正面視において横長の長方形状としている。
【0044】
支持壁体320は、上述した複数の計量機ユニットAの左右計量回動軸150及び左右供給回動軸220が挿通可能な挿通孔を有しており、内部の外郭フレーム310により、計量機ユニットAの方形筐体300に収まる構造部分を固定支持している。また、方形筐体300の内部には、各種動作の制御を行う制御部400が設けられており、該制御部400も外郭フレーム310に固定支持されている。
【0045】
制御部400は、CPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。制御部400の主なプログラムは、図8に示すように、組合せ重量記憶部410と、供給指示部420と、計量記憶部430と、組合せ算出部440と、排出指示部450と、から構成される。
【0046】
組合せ重量記憶部410は、予め袋詰めされる秤量物Dの最適組合せ重量値を決定記憶するためのものである。
【0047】
供給指示部420は、計量ホッパ100内が空であるときに供給部Cより秤量物Dを供給するための動作の指示を対象となる供給ホッパ200へ行うためのものである。
【0048】
計量記憶部430は、計量部Bの各計量ホッパ100の計量情報、すなわち秤量物Dの重量を計量ホッパ100に紐づけしてそれぞれ記憶するためのものである。
【0049】
組合せ算出部440は、組合せ重量記憶部410に予め記憶された最適組合せ重量値に基づいて、各計量ホッパ100内に収容された秤量物Dの最適組合せを算出するためのものである。
【0050】
排出指示部450は、組合せ算出部440により算出された最適組合せの対象となる計量ホッパ100の動作の指示を行うためのものである。
【0051】
すなわち、供給部Cと供給指示部420とにより組合せ計量作業の「秤量物の計量皿への載置工程」に係る作業員の作業を補助することができる。また、計量部Bと制御部400の組合せ重量記憶部410、計量記憶部430及び組合せ算出部440とにより組合せ計量作業の「秤量物同士の最適組合せ計算工程」を自動で実行する。
【0052】
搬送コンベア500は、図1及び図2に示すように、組合せ計量機Mの左右側に一定間隔で設けられて回転駆動する一対の搬送ローラ510と、一対の搬送ローラ510に無端状に懸架された搬送ベルト520と、で構成されている。本実施形態では、組合せ計量機Mの右側を上流、左側を下流として計量ホッパ100より落下された秤量物Dを組合せ計量機Mの左側で図示しない次の出荷に係る工程へ搬送する。
【0053】
搬送ベルト520には、図1及び図2に示すように、搬送方向に複数の仕切壁521を一定間隔で立設することにより、隣接する仕切壁521同士の間に秤量物Dを集積統合する複数の集積搬送部522を区画形成している。なお、搬送コンベア500は、各集積搬送部522の移動位置を検出する図示しない位置センサを搭載し、各集積搬送部522の移動位置情報を制御部400へ送信している。
【0054】
搬送ベルト520は、計量部Bから排出落下した秤量物D同士を同じ集積搬送部522で受入れ、統合して次工程まで搬送する。すなわち、計量部Bと搬送コンベア500とは、制御部400により相対的に同期連動するように構成している。このように、計量部Bと制御部400の排出指示部450と搬送コンベア500の搬送ベルト520との間で組合せ計量作業の「最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程」を安定して自動で行うことができる。
【0055】
搬送コンベア500の搬送方向の下流側端部には、順次搬送されてくる秤量物D同士をピックアップして袋詰めを行う袋詰作業者が配置される。すなわち、かかる袋詰作業者により組合せ計量作業の「最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」が実行される。
【0056】
上述した組合せ計量機Mの各構成は、本発明を実現させる最低限度の構成であり、その他の構成として、作業者の操作指示により各部を動作可能とした操作部や、最適組合せとなる計量ホッパ100がどこにあるのかを点灯で知らせる照明器や最適組合せが作ることができないときに音声で知らせる音響器を備えた指示部等を別途備えることも考えられる。また、従来の作業用機械にあるような、エラーが生じた際の緊急停止用のボタンからなる緊急停止部等も備えることが考えられる。
【0057】
このように、組合せ計量機Mは、作業者による「秤量物の計量皿への載置工程 → 秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程 → 最適組合せの秤量物同士のパッケージング工程」からなる一連の組合せ計量作業のうち、特に精度と技能が求められる「秤量物同士の最適組合せ計算工程 → 最適組合せの秤量物同士のピックアップ工程」を制御部400により制御された計量部Bと搬送コンベア500とで共同して自動で行うことができる。
【0058】
さらに、計量部Bの計量皿部170への秤量物Dの供給を直接作業員が行うのではなく、制御部400により制御された供給部Cを介することで、作業員による秤量物D供給作業を補助し、最適組合せの算出時に計量部Bの全ての計量皿部170に秤量物Dが存在する状態を維持することができる。
【0059】
[2.組合せ計量機Mの組合せ計量手順と各部の動作について]
次に、組合せ計量機Mの組合せ計量の手順と各部の動作について説明する。図10は組合せ計量機Mの組合せ計量に係る手順を示すフロー図である。図11は供給ホッパ200による秤量物D供給動作を説明する模式的正面図である。
【0060】
組合せ計量機Mの供給部C及び計量部Bは、上述したように、所定間隔をあけて2台並列に並べた計量ホッパ100と2台の計量ホッパ100の上方且つ中間位置に1台設けた供給ホッパ200とから構成された計量機ユニットAを複数並列に設けることで構成されている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、説明のため計量機ユニットAを3台並列に設けている。すなわち、計量部は、6台の計量ホッパ100とからなり、供給部200は三台の供給ホッパ200とよりなる。
【0061】
本実施形態に係る組合せ計量機Mによる組合せ計量の手順(秤量物のパッケージングまでの流れ)としては、図10に示すように、供給部C及び計量部Bへ秤量物Dを載置する秤量物載置工程S1と、各計量ホッパ100による秤量物計量工程S2と、各計量ホッパ100の各計量値から最適重量値となる組合せを算出する最適組合せ算出工程S3と、最適組合せに該当する秤量物Dを計量ホッパ100から排出する秤量物排出工程S4と、秤量物Dを排出した空の計量ホッパ100へ秤量物Dを供給する秤量物供給工程S5と、排出された秤量物D同士を袋詰めする秤量物パッケージング工程S6と、からなる。
【0062】
第1の工程となる秤量物載置工程S1は、組合せ計量機Mの始動前の各供給ホッパ200及び各計量ホッパ100へ作業者が秤量物Dを載置する工程である。このとき、各供給ホッパ200と各計量ホッパ100とは、それぞれ計量皿部170及び供給皿部240が収容空間を形成する供給待機形態200aと載置皿形態100aとなっている。
【0063】
この秤量物載置工程S1は、作業者が全ての供給ホッパ200及び計量ホッパ100へ秤量物Dを直接載置してもよいし、供給ホッパ200へ秤量物Dの載置を行い、計量ホッパ100への載置を供給ホッパ200からの供給により行うようにしてもよい。
【0064】
具体的には、供給ホッパ200へ作業者が秤量物Dを載置したのち、供給ホッパ200を両側供給形態200bとして下方に配設される各計量ホッパ100へ供給を行う。供給後に再び供給待機形態200aとなった各供給ホッパ200へ作業者が再び秤量物Dを載置させる。このとき各供給ホッパ200の供給待機形態200aと両側供給形態200bとのそれぞれの状態変化は、制御部400の供給指示部420からの指示によりオートメーションに行うか、組合せ計量機Mに別途設けられ各部を作業者の指示で動作させることができる図示しない操作部によって行ってもよい。
【0065】
すべての供給ホッパ200と計量ホッパ100とに秤量物Dが載置された状態となると、次に第2の工程である秤量物計量工程S2を行う。秤量物計量工程S2は、各計量ホッパ100に載置された秤量物Dの計量を行う。
【0066】
すなわち、本実施形態において6台の計量ホッパ100は、それぞれに設けられたロードセル120により計量皿部170に載置された秤量物Dの計量を行う。各計量ホッパ100により計量された秤量物Dの重量情報は、制御部400の計量記憶部430へ送信される。
【0067】
最適組合せ算出工程S3は、秤量物計量工程S2により計量記憶部430に記憶された重量情報と予め作業者により決定され制御部400の組合せ重量記憶部410に記憶されている最適組合せ重量値とに基づいて制御部400の組合せ算出部440が最適組合せを算出する。
【0068】
最適組合せ重量値は、形や大きさや重量の不均一な農作物に対して複数個組み合わせた際の規定重量値を設けさらにその規定重量値を下回らず且つ最小重量値となる値である。この最適組合せ重量値は、上述したように、予め作業者により決定され制御部400の組合せ重量記憶部410へ記憶させている。
【0069】
また、最適組合せ算出工程S3は、最適組合せの対象となる秤量物Dが収容された計量ホッパ100の位置情報を制御部400の排出指示部450へ送信する。
【0070】
秤量物排出工程S4は、最適組合せ算出工程S3により排出指示部450へ送信された最適組合せとなる秤量物Dを計量ホッパ100から排出する工程である。排出指示部450より排出指示を受けた計量ホッパ100は、載置皿形態100aから排出形態100bへ形態を変化させ中に収容された秤量物Dを下方にある搬送ベルト520上へ落下させる。
【0071】
この秤量物排出工程S4は、単に対象秤量物Dを計量ホッパ100から排出するのではなく、搬送コンベア500に設けられた位置センサの位置情報と相互に情報を共有し搬送コンベア500の集積搬送部522の一つにまとめて集積されるように搬送ベルト520上流から順次排出されるようになっている。なお、秤量物Dを排出した計量ホッパ100は、排出形態100bから載置皿形態100aへ形態を変化させる。また、空の状態となった計量ホッパ100の情報は、制御部400の供給指示部420へ送信される。
【0072】
秤量物供給工程S5は、秤量物排出工程S4により最適組合せとなる秤量物Dが排出され空の状態となった計量ホッパ100へ供給ホッパ200から新たな秤量物Dを供給する工程である。
【0073】
供給ホッパ200は、排出形態として、両側供給形態200bと左側供給形態200cと右側供給形態200dとの3つの形態が存在する。どの排出形態により計量ホッパ100への秤量物D供給が行われるかは、秤量物排出工程S4により排出が行われた計量ホッパ100の位置により決定される。
【0074】
具体的には、計量ホッパ100と供給ホッパ200とは、上述した計量機ユニットAとして計量ホッパ100が2台に対して供給ホッパ200が1台設けられている。すなわち、供給部Cを構成する供給ホッパ2001台が対応する2台の計量ホッパ100に秤量物Dが収容されているか否かにより決定する。
【0075】
計量機ユニットAを構成する計量ホッパ100の2台ともが空となっている場合には、供給ホッパ200は両側供給形態200bとし、2台の計量ホッパ100に同時に秤量物Dを供給するようになっている。
【0076】
また、2台の計量ホッパ100のうち1台のみが空となっている場合には、供給ホッパ200は空の計量ホッパ100に応じた左側供給形態200c又は右側供給形態200dとし、片方の計量ホッパ100のみに秤量物Dの供給を行う。
【0077】
この供給ホッパ200による計量ホッパ100への供給時には、供給ホッパ200の3つの供給形態と供給ホッパ200の下部に設けられた振分棒体600とにより確実に空の計量ホッパ100への秤量物Dの供給が行われるようになっている。
【0078】
具体的には、図11(b)に示すように、計量機ユニットAの2台の計量ホッパ100がともに空の状態であった場合には、供給ホッパ200の左右の供給アーム230(230a、230b)を回動させ左右供給載置部241(241a、241b)を垂直状態とした両側供給形態200bとする。供給ホッパ200を両側供給形態200bとしたことにより、下方へ落下する複数の秤量物Dは、供給ホッパ200の下部に設けられた振分棒体600の山型の傾斜面により左右へ振り分けられることとなる。すなわち、供給ホッパ200に複数収容されていた秤量物Dは、両側供給形態200bとなった供給ホッパ200により、下方へ落下され落下途中で振分棒体600により左右へばらばらに振り分けがなされ、2台の計量ホッパ100へそれぞれ供給されることとなる。
【0079】
また、図11(c)に示すように、計量機ユニットAの2台の計量ホッパ100のうち正面視左側の計量ホッパ100のみが空となった場合には、供給ホッパ200の左供給アーム230aを回動させ左供給載置部241aを垂直としつつ右供給載置部241bを左供給載置部241aと同方向へやや回動させた左側供給形態200cとする。供給ホッパ200を左側供給形態200cとすることで供給ホッパ200に収容されていた秤量物は、右供給載置部241bの形成した斜面を転がり又は斜面に跳ね上げられることにより、左側の計量ホッパ100へ確実に供給されるようになっている。なお、この右側の計量ホッパ100への秤量物Dの供給動作は、上述した左側の計量ホッパ100と対称の動作となる。
【0080】
空の計量ホッパ100への秤量物D供給は、上述したように、各計量機ユニットAごとで行われることとなる。また、この供給ホッパ200の供給形態に関する指示は、制御部400の供給指示部420が計量ホッパ100の状態に基づいて行われる。
【0081】
このように、最適組合せとなる複数の秤量物Dが計量ホッパ100から排出されると、供給ホッパ200から空の計量ホッパ100へ速やかに新たな秤量物Dの供給が行われる。すなわち、計量ホッパ100への秤量物Dの供給が速やかに行われることで、連続してすべての計量ホッパ100からの最適組合せの算出が可能となる。秤量物Dの供給が行われた各計量ホッパ100は、新たに供給された秤量物Dの重量を把握するため、秤量物計量工程S2の工程を再度行う。
【0082】
すなわち、最適組合せとなる秤量物Dの排出が完了したのち、すぐさますべての計量ホッパ100が秤量物Dを保持した状態を提供することで、従来の作業者による手作業により行われていた空となった計量ホッパ100への秤量物D載置と比して、作業効率を格段に飛躍させることができる。
【0083】
また、最適組合せ算出工程S3時に、従来であれば作業者の計量ホッパ100への秤量物D載置作業が遅れると、計量情報を取得している計量ホッパ100の中から最適組合せを算出するようになっているものが多かった。しかしながら、全ての計量ホッパ100から最適組合せを算出しないことは、最適組合せの組合せパターンを少なくしてしまう。一方で、本発明に係る組合せ計量機Mは、最適組合せ算出工程S3時に、全ての計量ホッパ100に秤量物Dが載置されている状態を提供し、組合せパターンを常に最大とすることで、より精度の高い最適組合せの算出を行うことができる。
【0084】
また、このように供給ホッパ200による計量ホッパ100への秤量物Dの供給が行われることで、作業者の手作業による秤量物Dの載置補充作業に対する時間的なゆとりを生起させることができる。具体的には、作業者が計量ホッパ100へ直接秤量物Dを載置するような構成であれば、秤量物排出工程S4を終えた後すぐに秤量物Dを空になった計量ホッパ100へ載置しなければならず、載置が遅れるほどに作業効率は下がってしまう。
【0085】
しかしながら、供給ホッパ200が空になってから次の秤量物供給工程S5までの間、すなわち、秤量物計量工程S2から秤量物排出工程S4終了までの間で作業者は秤量物Dを空の供給ホッパ200へ載置補充できればよく、時間的なゆとりが生起し、作業効率が落ちることを可及的に防止できる。さらに、計量ホッパ100よりも数の少ない(本実施形態では、6台の計量ホッパ100に対して3台の供給ホッパ200)供給ホッパ200への秤量物Dの補充作業となるため作業そのものが簡易化できる。
【0086】
最後の工程となる秤量物パッケージング工程S6は、搬送コンベア500により搬送される組合せされた複数の秤量物Dを作業者の手作業によって一つの袋の中へ袋詰めされる工程である。このとき、組合せされた秤量物Dは、秤量物排出工程S4により排出され搬送コンベア500の集積搬送部522の一つにまとめて集積され搬送される。そのため、作業者は、搬送コンベア500の搬送方向に対して下流側で待ち構え、一つの集積搬送部522に集積された秤量物Dをすべてひとまとめに袋詰めを行うとよい。
【0087】
[3.その他、計量処理手段について]
次に、組合せ計量機Mのその他の計量処理手段について説明する。組合せ計量機Mは、組合せ計量の精度や作業性を向上する以下(1)~(3)の各手段を備えている。以下の手段は、作業者の任意で選択設定される。
【0088】
(1)準最適組合せ手段
本手段は、最適組合せ計算処理のエラーデータを受信した準最適組合せ計算手段としての準最適組合せ処理が制御部400により実行される。
【0089】
準最適値とは、規定重量範囲の上限値よりも大きい値であって、作業者等の経済的サービスと思える最高限度の秤量物D同士の組合せ重量値を意図している。換言すれば、準最適値範囲は、規定重量範囲の上限値よりも大きい値であって且つ準最適値以下の値の範囲である。この準最適値の設定をすることにより、規定重量範囲を逸脱した場合であっても即座にエラー報知がなされずに、作業者に準最適値に該当する秤量物Dのピックアップ選択の余地を与える。
【0090】
準最適組合せ処理では、秤量物D同士の組合せ重量値が、規定重量範囲の上限値より逸脱する場合において、準最適値以下の値である場合には、準最適組合せに対応する各計量部の選択を行う準最適組合せデータを生成する。準最適値が複数存在する場合には、準最適値範囲のうち最小重量値を準最適値とする。すなわち、組合せ重量値が「規定重量範囲の上限値<組合せ重量値=最小重量値≦準最適値」の場合には、準最適組合せデータが生成される。
【0091】
一方で、秤量物D同士の組合せ重量値が、準最適値より大きい値の場合には、準最適組合せがないことを知らせるエラーデータを生成する。すなわち、組合せ重量が、「組合せ重量値>準最適値(組合せ重量値が準最適値超過)」の場合には、エラーデータが生成される。
【0092】
準最適組合せ処理により生成された準最適組合せデータやエラーデータの各種データは、例えば別途設けられた指示部へ送信され、指示部は各データの種類に応じて報知稼働する。
【0093】
すなわち、準最適組合せデータを受信した指示部は、組合せ対応する各計量部Bを作業者に知らせる準最適組合せ報知稼働する。一方で、準最適組合せ処理からのエラーデータを受信した指示部は、最適組合せがないことを作業者に知らせるエラー報知稼働する。これにより、作業者に、準最適組合せに該当する秤量物Dのピックアップの選択の余地を与えることができ、作業効率を向上させることができる。
【0094】
(2)計量値選別手段
次に、組合せ計量機Mの計量値選別手段について説明する。すなわち、本手段は、外部要因により不用意に生成されたノイズ計量値を最適組合せ算出工程S3に参加させない手段である。すなわち、予め秤量物Dの重量値としないノイズ計量値を制御部400に設定して実行される計量値選別処理が、計量値選別手段として機能する。
【0095】
計量値選別処理では、計量部Bにより生成された計量値が「計量値≦ノイズ計量値(計量値がノイズ計量値以下)」である場合には同計量値を最適組合せ算出工程S3に参加させないノイズ処理し、「計量値>ノイズ計量値(計量値がノイズ計量値超過)」である場合には同計量値を最適組合せ算出工程S3に参加させる参加処理をする。
【0096】
すなわち、計量値選別処理は、秤量物Dを載置していない計量部Bのノイズ計量値を最適組合せ算出工程S3に参加させないために、ノイズ計量値以下の計量値についてはノイズ処理を実行し、それより上の計量値については最適組合せ算出工程S3に参加させる参加処理を実行する。なお、ノイズ計量値は外部環境により4g~7gとなることが多く、作業者は予めこの4g~7gをノイズ計量値として制御部400へ入力設定して計量値選別処理を実行する。
【0097】
すなわち、複数の計量部Bのうち、ノイズ計量値以下の計量値を生成した計量部Bはその後の最適組合せ算出工程S3の組合せ計量計算に不参加となり、ノイズ計量値より大きい値の計量値を生成した計量部Bのみが最適組合せ算出工程S3の組合せ計量計算に参加できる。これにより、組合せ計量機Mが計量部Bに秤量物Dが不載置であるに関わらずあたかも秤量物Dが載置されていると誤認識することを防止して、組合せ計量の正確性を向上させることができる。
【0098】
(3)オートキャリブレーション手段
次に、組合せ計量機Mのオートキャリブレーション手段について説明する。本手段は、繰り返し計量に伴って計量部Bに不用意に付着蓄積した土などの秤量物D以外の異物の重量値を最適組合せ算出工程S3に加算させないように0gに自動補正し、秤量物Dの正味の計量値で最適組合せ算出工程S3を実行するための手段である。
【0099】
オートキャリブレーション処理では、複数の計量部Bにより生成された各計量値のうち、キャリブレーション補正値以下の値と一致する計量値が連続的に所定回数検出された場合には、同検出結果に対応する計量部Bの計量値を0gに補正するゼロ処理を実行する。
【0100】
すなわち、オートキャリブレーション手段として、秤量物D以外の重量を秤量物の重量に加算させないキャリブレーション補正値の設定をされた制御部400によりオートキャリブレーション処理を実行する。
【0101】
なお、オートキャリブレーション処理は、計量値がキャリブレーション補正値以下となる値且つ、同計量値が連続的に設定された規定検出回数以上検出された場合にのみ、ゼロ処理を実行する。例えば、キャリブレーション補正値2gとし、且つ検出回数3回と設定した場合には、オートキャリブレーション処理は、計量部Bによる計量値として1gを3回連続して検出した場合にのみ、同計量部Bの計量値を1gから0gに補正するゼロ処理を実行する。これにより、蓄積異物の重量を計量値として最適組合せ算出工程S3に加算させず、秤量物Dの正味の計量値にて最適組合せ計量を行うことができ、規定の量目に合致した袋詰め商品を製造できる。
【0102】
なお、オートキャリブレーション処理は、前述の計量値選別処理の後で実行されることが好ましい。また、オートキャリブレーション処理は、別途設けられる指示部の報知のリセットに同期して実行することとしてもよい。
【0103】
以上説明してきたように、本発明によれば、本発明に係る組合せ計量機は、載置された秤量物を計量する計量ホッパの上方に秤量物供給を行う供給ホッパを備えることにより、作業員による手作業での供給を簡易化すると共に、「秤量物同士の最適組合せ計算工程」の際に常時複数の計量ホッパの全てに秤量物が載置された状態を提供し作業効率を飛躍的に向上させることができ、連続して組合せ計量を行うことができるセミオート式の組合せ計量機を実現し、もって社会に資することができる。
【0104】
また、本発明に係る組合せ計量機は、広い設置スペースを要することなく設置することができ、簡素な構成でコストを可及的低減化することができる。さらに、組合せ計量機Mは、作業員による計量皿への秤量物載置作業が必要としないため、秤量物を一つの計量皿にいくつ乗せるか等の煩雑な思考を巡らせる必要が無いため、図12に示すように、搬送コンベア500の搬送方向に対して左右側にそれぞれ計量部100及び供給部200を配置したより作業効率に特化した配置が可能となる利点がある。
【0105】
また、上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0106】
M 組合せ計量機 A 計量ユニット
B 計量部 C 供給部
D 秤量物 100 計量ホッパ
100a 載置皿形態 100b 排出形態
110 計量駆動部 120 ロードセル
130 計量駆動軸 140 リンク機構
140a 略T字形態 140b 略Y字形態
141 駆動リンク 142 下側リンク
143 一方L字リンク 144 上側リンク
145 他方L字リンク 146 第1ジョイント
147 第2ジョイント 148 第3ジョイント
149 第4ジョイント 150 計量回動軸
150a 左計量回動軸 150b 右計量回動軸
160 計量アーム 160a 左計量アーム
160b 右計量アーム 170 計量皿部
171 計量載置部 172 落下防止壁
200 供給ホッパ 200a 供給待機形態
200b 両側供給形態 200c 左側供給形態
200d 右側供給形態 210 供給駆動部
220 供給回動軸 230 供給アーム
230a 左供給アーム 230b 右供給アーム
240 供給皿部 241 供給載置部
241a 左供給載置部 241b 右供給載置部
242 落下防止壁 300 方形筐体
310 外郭フレーム 320 支持壁体
400 制御部 410 組合せ重量記憶部
420 供給指示部 430 計量記憶部
440 組合せ算出部 450 排出指示部
500 搬送コンベア 510 搬送ローラ
520 搬送ベルト 521 仕切壁
522 集積搬送部 600 振分棒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12