(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120787
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】防砂シート敷設構造
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20240829BHJP
E02B 3/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E02D17/20 103B
E02B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027846
(22)【出願日】2023-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】596006787
【氏名又は名称】有限会社キシムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100228511
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彩秋
(72)【発明者】
【氏名】岸村 直登
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 静貴
【テーマコード(参考)】
2D044
2D118
【Fターム(参考)】
2D044DB02
2D044DB04
2D118AA01
2D118GA11
2D118GA23
(57)【要約】
【課題】 護岸ケーソンの裏込め部法面に敷設される防砂シートのめくれ防止を図る。
【解決手段】 捨て石マウンド上に設置された護岸ケーソン1の裏込め部5の法面5bに敷設される防砂シート11と、所定の目合いで縦横方向に配線され、防砂シート11の上面に固定され、法面方向の一方の端部に所定間隔をあけて複数個のワイヤ係止フック20が取り付けられ、防砂シート11を法面5b上に安定させる格子状ネット15とを備え、防砂シート11は、すでに法面上5bに敷設された下側の防砂シート11上の格子状ネット15の端部を覆うように、ワイヤ係止フック20が取り付けれた上側の防砂シート11が法面5bの長手方向に沿って所定幅の重なり部を確保して敷設され、法面5bから浮き上がり力が作用した際に、ワイヤ係止フック20が下側の防砂シート上の格子状ネット15の端部ワイヤに係止して防砂シート11の浮き上がりが防止される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捨て石マウンド上に設置された護岸ケーソンの側面に上端部が固定され、前記護岸ケーソンの裏込め部の法面を所定幅で覆うように敷設される防砂シートと、
縦ワイヤと横ワイヤとが所定の目合いで縦横方向に配線され、ワイヤの各交点位置で前記防砂シートの上面に固定され、法面方向の一方の端部の縦ワイヤにシート分離防止手段が取り付けられ、前記防砂シートを前記法面上に安定させる格子状ネットとを備え、
前記防砂シートは、すでに前記法面上に敷設された下側の防砂シート上の格子状ネットの端部の縦ワイヤを覆うように、前記シート分離防止手段を位置させて上側の防砂シートが前記法面の長手方向に沿って所定幅の重なり部を確保して敷設され、前記防砂シートに前記法面から浮き上がり力が作用した際に、前記シート分離防止手段が前記下側の防砂シート上の格子状ネットの端部の縦ワイヤに係止して前記防砂シートの浮き上がりが防止されることを特徴とする防砂シート敷設構造。
【請求項2】
前記シート分離防止手段は、先端フックを有する線材加工部材からなる請求項1に記載の防砂シート敷設構造。
【請求項3】
前記シート分離防止手段は、少なくとも前記格子状ネットの目合いにほぼ等しい間隔をあけて前記一方の端部の縦ワイヤと横ワイヤとの交点位置に固定保持された請求項1または請求項2に記載の防砂シート敷設構造。
【請求項4】
前記シート分離防止手段は、さらに前記一方の端部の縦ワイヤと横ワイヤとの交点位置との間に設けられた請求項3に記載の防砂シート敷設構造。
【請求項5】
前記重なり部は、500mm以上である請求項1に記載の防砂シート敷設構造。
【請求項6】
前記格子状ネットの目合いは、2,000~3,000mmである請求項1に記載の防砂シート敷設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防砂シート敷設構造に係り、捨て石マウンド上に設置された港湾護岸ケーソンの裏込め部の法面に敷設される防砂シートの浮き上がり等による防砂シートのめくれ防止を図るようにした防砂シート敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、港湾護岸ケーソンの捨て石マウンド(捨て石基礎)の法面には、捨て石マウンド部分からの砂の吸い出しや洗掘防止のために、法面全体を覆う防砂シートが敷設されている。防砂シートは、たとえば幅6~10m程度のロール状に巻かれた状態で法面の天端に吊り下げられ、天端から法尻に向けてロールを解くようにして法面を覆うように敷設される。法面全体を覆うために、各防砂シートは、幅方向に所定の重なり幅を設けて隣接させて順次敷設される。隣り合った防砂シートの端部のシート間のジョイント部が設けられており、潜水士によってジョイント部でのシート間の接合作業が行われている(特許文献1,2)。
【0003】
ところで、近年、大水深における港湾護岸ケーソンの設置工事が増加している。大水深の捨て石マウンドの法面への防砂シートの敷設には作業船等を利用した無人自動化を伴う海洋工事となることが多い。このような大水深での工事を安全かつ合理的に行える敷設方法が提案されている(特許文献3)。
【0004】
特許文献1に開示された防砂シートは、防砂シートの表面に複数本のチェーンを、面ファスナを利用して取り付けた構成からなり、チェーン等のカウンターウエイトが表面に取り付けられた防砂シートは、カウンターウエイト重量によって水中を容易に沈降するため、対象の捨て石上に敷設することができる。
【0005】
特許文献2に開示された防砂シートは、シート部材16と金網部材15とを重ねて結束体17により一体化した構造からなり、土砂から受ける押圧力に対しては、金網部材15がその強度を負担し、シート部材16は透水部材としてのみ機能する。このとき金網部材15に多少の押圧力がかかって変形しても、シート部材は変形に追従して破断しない強度となっている。特許文献2に開示された防砂シートの敷設作業では、隣接して敷設される防砂シート間の重合部(重なり代)の幅Wは50cm程度とされ、金網部材同士を針金等の接合部材で結ぶことにより、波浪等の圧力を受けてもシートが離れないようにしている。
【0006】
特許文献3に開示された防砂シートの敷設方法では、大水深でのシート敷設作業となるため、潜水士等による水中作業を行わず、作業船上からシート敷設状況をモニター管理しながら、防砂シートが捨て石マウンド上に敷設される。この防砂シート表面には格子状のウエイトチェーンが取り付けられている。このウエイトチェーンによって防砂シートの重量を増加させることで、防砂シートの捨て石マウンド表面への張り付きを向上させている。特許文献3に開示された敷設作業では、潜水士等による防砂シート間の接合作業がないため、敷設される防砂シート間の重なり部(ラップ部)の幅(重なり代)は2~3mに設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-38446号公報
【特許文献2】特開2001-64940号公報
【特許文献3】特開平9-165732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、法面上に敷設された防砂シートには、
図8に示したように、港湾護岸ケーソン1を挟んで港外側と港内側との潮位差や波浪の影響によって、捨て石マウンド3、ケーソン裏込め部5内を破線矢印で示したような海水流Cが生じることがある。この海水流Cがケーソン裏込め部5の法面5bから防砂シート11を持ち上げようとする力が作用する。上述したように、防砂シート11間のジョイント部には各種のジョイント手段が設けられている場合、ジョイント部がめくれて分離するのを防止される。
【0009】
しかし、特許文献3に開示されたような大水深工事では、潜水士等を使って防砂シート間のジョイント部のジョイント手段を設ける作業ができないため、ジョイント部を設ける場合に比べて4~5倍の重なり代を確保する必要があり、大水深工事においては、構造物の安全性、工事コストの増加等の問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、防砂シートに作用する浮き上がり等における防砂シートのめくりあがり、分離を確実に防止することができる防砂シート敷設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の防砂シート敷設構造は、捨て石マウンド上に設置された護岸ケーソンの側面に上端部が固定され、前記護岸ケーソンの裏込め部の法面を所定幅で覆うように敷設される防砂シートと、縦ワイヤと横ワイヤとが所定の目合いで縦横方向に配線され、ワイヤの各交点位置で前記防砂シートの上面に固定され、法面方向の一方の端部の縦ワイヤにシート分離防止手段が取り付けられ、前記防砂シートを前記法面上に安定させる格子状ネットとを備え、前記防砂シートは、すでに前記法面上に敷設された下側の防砂シート上の格子状ネットの端部の縦ワイヤを覆うように、前記シート分離防止手段を位置させて上側の防砂シートが前記法面の長手方向に沿って所定幅の重なり部を確保して敷設され、前記防砂シートに前記法面から浮き上がり力が作用した際に、前記シート分離防止手段が前記下側の防砂シート上の格子状ネットの端部の縦ワイヤに係止して前記防砂シートの浮き上がりが防止されることを特徴とする。
【0012】
前記シート分離防止手段は、先端フックを有する線材加工部材とすることがことが好ましい。
【0013】
前記シート分離防止手段は、少なくとも前記格子状ネットの目合いに等しい間隔をあけて前記一方の端部の縦ワイヤと横ワイヤとの交点位置に固定保持され、さらに前記一方の端部の縦ワイヤと横ワイヤとの交点位置との間に設けられることが好ましい。
【0014】
前記重なり部は、500mm以上であることが好ましい。
【0015】
前記格子状ネットの目合いは、2,000~3,000mmであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の防砂シート敷設構造の一実施形態の構成を模式的に示した部分断面斜視図。
【
図2】
図1に示した防砂シート敷設構造の防砂シートの敷設状態を示した部分断面斜視図。
【
図3】
図1中、円で囲った部位(III)を拡大してシート分離防止手段の構成と、取付状態を示した斜視図。
【
図4】
図3に示したシート分離防止手段の先端フックの形状例を示した正面図。
【
図5】
図1中、円で囲った部位(V(a))を拡大して防砂シート敷設構造の敷設状態での重なり部を示した平面図(a)、一部断面側面図(b)、(c)。
【
図6】
図1に示した防砂シート敷設構造において、防砂シートの浮き上がり時の一例を示した正面図(a)、一部断面側面(b)。
【
図7】防砂シートのジョイント部の敷設時(a)、浮き上がり時(b)における部分拡大図。
【
図8】埋立て時における捨て石マウンド、ケーソン裏込め部の海水流による防砂シートの浮き上がり状態を模式的に示した護岸ケーソン構造の全体断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の防砂シート敷設構造の構成について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の防砂シート11が、大水深無人作業によって、捨て石マウンド3(
図8)上に設置された護岸ケーソン構造1のケーソン2の埋立側のケーソン裏込め部5の法面5b上に敷設完了された状態を示している。
図2は、
図1の敷設完了時に至る途中の防砂シート11の敷設作業時を示している。両図に示したように、本発明の防砂シート敷設構造10は、ケーソン裏込め部5の法面5b上に敷設された格子状ネット15と、格子状ネット15の各交点位置14で格子状ネット15の表面に接触するように連結された防砂シート11とから構成されている。
【0018】
格子状ネット15は、本実施形態において、線径が約6mmの鋼線ワイヤが約2mの目合いをなして縦横方向に延びるように配線された格子状のネットで、各交点でワイヤ同士がほぼ直交するようにワイヤークリップ(図示せず)で固定され、
図1に示したように、その上端がケーソン2の側面にフラットバー等の固定手段6を介して固定され、さらにケーソン裏込め部5の頂部5aから肩部、法面5bを覆うように敷設されている。本実施形態の防砂シート敷設構造10は、
図2に示したように、あらかじめ格子状ネット15の上面に防砂シート11を一体的に取着しておいたロール状のシートを法面5bの上側から巻き解くようにして敷設されている。
【0019】
本実施形態では、格子状ネット15の鋼線ワイヤとしては、亜鉛メッキされた硬鋼線材が用いられている。その他、海中において十分な耐食性を有し、スムースな敷設作業を可能とするように、ポリアミド樹脂の他、塩化ビニル樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂でコーティングされた鋼線、鉄線を使用することも好ましい。
【0020】
防砂シート11としては、公知のポリエステル長繊維不織布が使用されている。本実施の形態で使用されている防砂シート11のシート厚は一例として、5.0mm、伸び率60%、引張強さ約3,000N/5cmである。シート厚は、求められているう引張耐力とともに設計仕様に合致したものを選択することができる。また、防砂シート素材は、ポリエステル以外の耐候性を有する各種の合成繊維、または所定の透水性を有する織布としてもよい。
【0021】
防砂シート11と格子状ネット15の一体化のために、格子状ネット15の各交点位置14に、両者を連結する連結手段としての連結テープ12が取り付けられている。この交点位置14で連結テープ12を用いることで、あらかじめ工場で防砂シート11と格子状ネット15との一体化作業がなされる。そして、両者が一体化されたロール状体として敷設現場に搬入され、
図2に示したように、図示しないシート敷設設備によって、法面天端5a側からすでに法面5bに沿って敷設された防砂シート11に、所定の重なり部11aを設けて敷設される。なお、交点位置14と連結テープ12とは同一位置となるので、
図1他において、各位置を符号12(14)で示している。
【0022】
連結テープ12は、防砂シート11の表面に縫い付けられた細幅の布製テープで、その先端には面接着、分離(剥離)が可能な面テープが取り付けられた接着部が構成されていて、同図に示したように、格子状ネット15の縦ワイヤ15aと横ワイヤ15bとのワイヤ交点位置14において、結束バンド(図示せず)等を用いて布製テープとの一体化が図られている。
図1では、格子状ネット15のすべてのワイヤ交点位置14に連結テープ12が取り付けられたように示されている。
【0023】
ここで、本発明のシート分離防止手段の構成、形状例について、
図3、
図4各図を参照して説明する。
図3は、
図1において、すでに敷設された防砂シート11の端部に所定の重なり部11aを有するように敷設された防砂シート11の端部の格子状ネット15の端部ワイヤ15cに取り付けられたシート分離防止手段としてのワイヤ係止フック20の全体形状及び端部ワイヤ15cへの取付態様を示している。本実施形態のワイヤ係止フック20は、
図3、
図4(a)、(b)に示したように、平面視して略M字形状をなすように両側の取付ロッド21を長くした細径(φ6mm)の丸鋼棒を用いた線材加工部材からなる。ワイヤ係止フック20は、取付ロッド21を格子状ネット15の端部ワイヤ15c(縦ワイヤ15a)と横ワイヤ15bとの交点位置14を越えて延長し、取付ロッド21の端部及び縦ワイヤ15aとの交点位置14を、大小の取付プレート22,23を用いて横ワイヤ15bと取付ロッド21とを上下から挟み込むようにしてU字ボルト24、ボルト25とナット26とで固定され、防砂シート11の端部に、シートの長手方向(法面方向)に沿って所定間隔をあけて取り付けられ、固定保持されている。ワイヤ係止フック20の取付間隔は、本実施形態では格子状ネット15の目合い(横ワイヤ15bの間隔:約2m)と同じであるが、取付間隔を狭めるために、所定の固定治具を用いて横ワイヤ15b間において縦ワイヤ15aのみに取り付けることも可能である。
図4(c)は、ワイヤ係止フック20の先端フック21aの形状の変形例を示した側面図である。同図に示したように、先端フック21aにくびれ部21bを設けることにより、端部ワイヤ15cが先端フック21aに係止した後、先端フック21aから端部ワイヤ15cが外れにくくすることも好ましい。
【0024】
ワイヤ係止フック20の形状については、格子状ネット15側への取付部の形状、先端フック21aの形状を種々選択することができる。たとえば、
図3に示した取付ロッド21の端部の固定部では、横ワイヤ15bを上下から挟む取付プレート23をボルト25・ナット26で締め込むようにして取付ロッド21の端部を保持するようになっているが、取付プレート23に代えて既製品の各種形状のクリップ、固定金物を使用することができる。また、ロッドを曲げ加工して製作される先端フック21aの形状についても、防砂シート11の浮き上がり現象が生じた際に、先端フック21aが隣接して敷設されている防砂シート11の端部ワイヤ15cに確実に係止できる鉤(かぎ)形状とすることが好ましい。具体的には、格子状ネット15のワイヤとほぼ同径の丸鋼棒を加工してフックが製作されている。ワイヤ係止フック20の線材としては、丸鋼棒以外に、十分な強度を有する各種のプラスチック(合成樹脂)、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックの線材を所定の形状に成形加工してフック部材として使用することもできる。
【0025】
ここで、上述したワイヤ係止フック20による防砂シート11の浮き上がり防止作用について、
図1,
図5~7の各図を参照して説明する。
図5各図は、
図1の丸(V(a))で囲んだ防砂シート11の重なり部11aの敷設状態を拡大して示している。
図5(a)、(b)~(c)に示したように、防砂シート11は重なり代50cm程度を確保した重なり部11aを設けて法面5b上に敷設されている。このとき上側の防砂シート11の端部ワイヤ15cには敷設された防砂シート11の深さ方向に沿って所定間隔をあけてワイヤ係止フック20が、先端フック21aが防砂シート11の端部から所定量だけ突出するように取り付けられている。通常の敷設状態では、
図5(c)、
図7(a)に示したように、2枚の防砂シート11は、所定の重なり部11aを設けて重ねられたのみの状態にあり、防砂シート11の端部同士をつなぐジョイント部等は設けられていない。
【0026】
すでに、
図8を参照して説明したように、法面上に敷設された防砂シート11には港湾護岸ケーソンを挟んで港外側と港内側との潮位差や波浪の影響によって、捨て石マウンド3、ケーソン裏込め部5内を破線矢印で示したような海水流Cが生じることがある。そして、この海水流Cがケーソン裏込め部5の法面から防砂シート11を持ち上げようとする力(浮き上がり力)として作用する。
図6各図、
図7(b)は、この防砂シート11を持ち上げようとする力がケーソン裏込め部5の法面5bから作用した際、本発明の防砂シート敷設構造10においてワイヤ係止フック20の作用によって、防砂シート11端部の重なり部11aの分離、めくれ上がりの防止が図られた状態を示している。
【0027】
以下、一方の防砂シート11のワイヤ係止フック20が重なり部11aにおいて、隣接して敷設された防砂シート11のシート端部の端部ワイヤ15cと係止して防砂シート11端部の分離、めくり上がりを防止する作用について説明する。通常の防砂シート11の重なり部11aの状態(
図5(c)、
図7(a))から
図6(b)に示したように、ケーソン裏込め部5の法面5bから防砂シート11を浮き上がらせる方向に海水流Cが生じると、防砂シート11間の重なり部11aがなくなるように防砂シート11間に隙間ができるようにずれる。そして防砂シート11の端部同士が離れるような位置になると、ワイヤ係止フック20の先端フック21aが
図3,
図6(b),
図7(b)に示したように、端部ワイヤ15cに引っ掛かるように係止される。これにより、隣接する防砂シート11同士は、
図6各図に示したように、一方の防砂シート11の端部ワイヤ15cと他方の防砂シート11のワイヤ係止フック20の先端フック21aとが係止されることで防砂シート11同士の分離、重なり部11aのめくれ上がりが防止される。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 護岸ケーソン構造
2 ケーソン
3 捨て石マウンド
5 ケーソン裏込め部
10 防砂シート敷設構造
11 防砂シート
15 格子状ネット
15a 縦ワイヤ
15b 横ワイヤ
15c 端部ワイヤ
20 ワイヤ係止フック
21a 先端フック