(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120789
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】一体型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20240829BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20240829BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F24F1/02 411C
F24F1/02 411D
F24F13/14 B
F24F13/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027849
(22)【出願日】2023-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】菅原 宣能
(72)【発明者】
【氏名】山崎 京太郎
【テーマコード(参考)】
3L051
3L081
【Fターム(参考)】
3L051BD06
3L051BH06
3L051BH07
3L081AA02
3L081AB03
3L081BA05
3L081BB05
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構成であって、スペース的に制限のある空間でも好適に使用可能な一体型空気調和装置の提供を目的とした。
【解決手段】一体型空気調和機1は、筐体2の内部に、圧縮機20、第一熱交換器26、及び第二熱交換器28を含んで構成され、第一熱交換器26及び第二熱交換器28のいずれか一方を蒸発器22、他方を凝縮器24とする冷凍サイクル50を収容したものである。筐体2には、筐体2の外側から内側に向けて空気を導入する第一吸気部10と、第一熱交換器26を通過して筐体2の内側から外側に向けて空気を吹き出す吹出部12と、第二熱交換器28を通過して筐体2の内側から外側に向けて排気として排出する排気部16とが設けられている。排気部16は、筐体2の上面2aに設けられた排気口16aと、排気を筐体2の背面側であって斜め上方側に向かうように案内する風向部16bとを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に、圧縮機、第一熱交換器、及び第二熱交換器を含んで構成され、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のいずれか一方を蒸発器とし、他方を凝縮器とする冷凍サイクルを収容した一体型空気調和機であって、
前記筐体には、
前記筐体の外側から内側に向けて空気を導入する吸気部と、
前記第一熱交換器を通過して前記筐体の内側から外側に向けて空気を吹き出す吹出部と、
前記第二熱交換器を通過して前記筐体の内側から外側に向けて排気として排出する排気部と、
が設けられており、
前記排気部が、
前記筐体の上面に設けられた排気口と、
排気を前記筐体の背面側であって斜め上方側に向かうように案内する風向部と、
を備えていること、を特徴とする一体型空気調和機。
【請求項2】
前記筐体の内部には、
前記第二熱交換部を通過する気流を発生させる排気送風部と、
前記排気送風部と前記排気部との間に設けられた排気ダクト部と、
を有し、
前記排気ダクト部が、前記排気部に向かうに連れて前記筐体の背面側に向けて傾斜するように設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の一体型空気調和機。
【請求項3】
前記風向部は、上端が前記筐体の上面と面一、あるいは前記上面よりも前記筐体の内側に位置する格子によって構成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の一体型空気調和機。
【請求項4】
前記排気部が、前記筐体の上面において、前記筐体の左右方向一方側に偏在しており、
前記排気口に連通する排気通路を構成する排気アタッチメントを、前記排気部に対して着脱自在であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の一体型空気調和機。
【請求項5】
前記排気アタッチメントが、前記排気部に対して係止可能な係止部を備えていること、を特徴とする請求項4に記載の一体型空気調和機。
【請求項6】
前記排気アタッチメントが、前記排気部への着脱操作時に把持可能な把持部を備えていること、を特徴とする請求項4に記載の一体型空気調和機。
【請求項7】
前記風向部が、間隙を開けて複数の桟部材を並列に設けて形成された格子を有し、
前記係止部が、
前記桟部材の下方において前記桟部材に対して交差する進入方向に進入させることにより、前記桟部材に対して係合する係合片と、
前記係合片とは反対方向に延びる離脱防止部と、
を有し、
前記係合片を複数の前記桟部材のうちの一つに対して係合させることにより、前記離脱防止部が、前記係合片が係合した前記桟部材、及び当該桟部材に対して前記係合片の前記進入方向とは逆方向に隣接する他の前記桟部材との間隙に嵌まり込むこと、を特徴とする請求項5に記載の一体型空気調和機。
【請求項8】
前記離脱防止部が、前記排気アタッチメントを前記係合片の前記進入方向とは反対方向へと移動させることにより前記桟部材に対して干渉する干渉部を有し、
前記干渉部が面取りされていること、を特徴とする請求項7に記載の一体型空気調和機。
【請求項9】
前記吹出部が、
前記筐体の前記上面に設けられた吹出口と、
前記吹出口から吹き出される空気の吹き出し方向を調整するルーバーと、を有し、
前記ルーバーが、
前記筐体の前記上面から突出することなく前記吹出口を閉塞する閉状態と、
前記筐体に対して揺動することにより、前記吹出口から吹き出される空気を前記筐体の正面側に向けて斜め上方から上方に案内する開状態と、
に切り替え可能であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の一体型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機及び室外機が分離されたセパレートタイプの空気調和装置(エアコンとも称する)と、熱交換器(蒸発器、凝縮器)を内蔵した一体型空気調和装置(スポットクーラとも称する)と、が知られている。後者の一体型空気調和装置は、部屋の間取り等の理由により、セパレートタイプの空気調和装置(エアコンとも称する)を取り付けできない場合や、手軽に、かつ、スポット的に冷風を当てたい場合などに利用されている。スポットクーラは、小能力の圧縮機を内蔵し、冷凍サイクルを応用したものとされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているような従来公知のスポットクーラの多くは、筐体に対して蛇腹状に形成されたダクトを接続した構成とされており、当該ダクトから冷風を吹き出し可能とされている。具体的には、特許文献1に開示されているスポットクーラは、径の太さの異なる2本のダクトを上面に備えると共に、2本のダクトの筒部が、それぞれ蛇腹状に形成されたものとされている。このようなスポットクーラは、例えば作業現場など比較的広いスペースを確保できる場所での使用を想定したものである。そのため、従来公知のスポットクーラは、キッチンや脱衣場などのスペース的に制限のある狭い空間で使用する場合に、吹き出しダクトが邪魔になるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、コンパクトな構成であって、スペース的に制限のある狭い空間においても好適に使用可能な一体型空気調和装置を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一体型空気調和機は、筐体の内部に、圧縮機、第一熱交換器、及び第二熱交換器を含んで構成され、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のいずれか一方を蒸発器とし、他方を凝縮器とする冷凍サイクルを収容したものであって、前記筐体には、前記筐体の外側から内側に向けて空気を導入する吸気部と、前記第一熱交換器を通過して前記筐体の内側から外側に向けて空気を吹き出す吹出部と、前記第二熱交換器を通過して前記筐体の内側から外側に向けて排気として排出する排気部と、が設けられており、前記排気部が、前記筐体の上面に設けられた排気口と、排気を前記筐体の背面側であって斜め上方側に向かうように案内する風向部と、を備えていること、を特徴とするものである。
【0007】
本発明の一体型空気調和機は、吸気部から筐体の内部に導入された空気を、冷凍サイクルを構成する第一熱交換器において熱交換して吹出部から吹き出すとともに、第二熱交換器において熱交換して排気部(排気口)から排出される排気を、風向部によって筐体の背面側かつ斜め上方側に向けて案内して排出することができる。そのため、本発明の一体型空気調和機は、従来技術のようにダクト等を設けなくても、排気を案内しつつ排出することができる。従って、本発明の一体型空気調和機は、キッチンや脱衣場等の狭い空間でも好適に使用できる。
【0008】
また、本発明の一体型空気調和機は、排気を筐体の背面側かつ斜め上方側に向けて案内して排出することができるため、排出直後の排気が吸気部に吸引されるのを抑制できる。これにより、本発明の一体型空気調和機は、吸気部において取り込まれる空気に排気が混じることによる空調効率の低下を抑制できる。特に、空気調和機の背面を壁に近づけて設置されていても排気が背面側から吸気部に吸引されるのを抑制でき、空気調和機の背面と壁との間隔を確保しづらい狭い空間では、空気調和機の背面を壁に近づけて設置しても好適に使用できるという利点がある。
【0009】
(2)本発明の一体型空気調和機は、前記筐体の内部に、前記第二熱交換部を通過する気流を発生させる排気送風部と、前記排気送風部と前記排気部との間に設けられた排気ダクト部と、を有し、前記排気ダクト部が、前記排気部に向かうに連れて前記筐体の背面側に向けて傾斜するように設けられているものであると良い。
【0010】
本発明の一体型空気調和機は、上記(2)のような構成とすることにより、第二熱交換部を通過して排出される排気が排気口を介して放出されるまでに、排気ダクト部において排気が斜めに案内される。これにより、本発明の一体型空気調和機は、風向部によって排気の向きを大きく変化させることなく、排気をスムーズに排出させることができる。従って、本発明の一体型空気調和機は、排気部において排気の通過に伴う風切音や振動等の発生を抑制し、静音性を向上できる。
【0011】
(3)本発明の一体型空気調和機において、前記風向部は、上端が前記筐体の上面と面一、あるいは前記上面よりも前記筐体の内側に位置する格子によって構成されているものであると良い。
【0012】
本発明の一体型空気調和機は、上記(3)のような構成とすることにより、風向部が筐体の上面から突出するのを抑制できる。これにより、本発明の一体型空気調和機は、排気の排出方向を適切に調整可能でありつつ、従来技術のスポットクーラのように筐体の外部に露出したダクト等を設けた構成とした場合に比べて美観に優れたものとすることができる。
【0013】
(4)本発明の一体型空気調和機は、前記排気部が、前記筐体の上面において、前記筐体の左右方向一方側に偏在しており、前記排気口に連通する排気通路を構成する排気アタッチメントを、前記排気部に対して着脱自在であると良い。
【0014】
本発明の一体型空気調和機は、上記(4)のような構成とすることにより、排気部に取り付ける排気アタッチメントをコンパクトなものとすることができる。これにより、本発明の一体型空気調和機は、排気部に排気アタッチメントを取り付けつつ、スペース的に余裕のない狭い空間においても好適に使用可能なものとすることができる。
【0015】
(5)本発明の一体型空気調和機は、前記排気アタッチメントが、前記排気部に対して係止可能な係止部を備えているものであると良い。
【0016】
本発明の一体型空気調和機は、上記(5)のような構成とすることにより、簡素な構成により排気アタッチメントを排気部に対して着脱可能でありつつ、排気アタッチメントの排気部に対する取り付け姿勢を安定させることができる。
【0017】
(6)本発明の一体型空気調和機は、前記排気アタッチメントが、前記排気部への着脱操作時に把持可能な把持部を備えているものであると良い。
【0018】
本発明の一体型空気調和機は、上記(6)のような構成とすることにより、排気部に対する排気アタッチメントを把持して着脱する操作を簡便に行うことが可能となる。
【0019】
(7)本発明の一体型空気調和機は、前記風向部が、間隙を開けて複数の桟部材を並列に設けて形成された格子を有し、前記係止部が、前記桟部材の下方において前記桟部材に対して交差する進入方向に進入させることにより、前記桟部材に対して係合する係合片と、前記係合片とは反対方向に延びる離脱防止部と、を有し、前記係合片を複数の前記桟部材のうちの一つに対して係合させることにより、前記離脱防止部が、前記係合片が係合した前記桟部材、及び当該桟部材に対して前記係合片の前記進入方向とは逆方向に隣接する他の前記桟部材との間隙に嵌まり込むものであると良い。
【0020】
本発明の一体型空気調和機は、上記(7)のような構成とすることにより、風向部において格子をなすように設けられた桟部材に対して下方から係合片を係合させつつ、離脱防止部を隣接する二つの桟部材の間隙に嵌め込んだ状態として、排気アタッチメントを排気部に対して装着することができる。これにより、本発明の一体型空気調和機は、運転に伴う振動等が排気アタッチメントに伝達したとしても、排気アタッチメントが排気部から離脱するのを抑制できる。
【0021】
(8)本発明の一体型空気調和機は、前記離脱防止部が、前記排気アタッチメントを前記係合片の前記進入方向とは反対方向へと移動させることにより前記桟部材に対して干渉する干渉部を有し、前記干渉部が面取りされているものであると良い。
【0022】
本発明の一体型空気調和機は、上記(8)のような構成とすることにより、振動等の影響によって排気アタッチメントが係合片の進入方向とは反対方向へと移動しただけでは、離脱防止部の干渉部が桟部材と干渉して排気アタッチメントが排気部から外れないものとすることができる。一方、本発明の一体型空気調和機は、排気アタッチメントを排気部から取り外すべく、排気アタッチメントが係合片の進入方向とは反対方向へと移動させた後、離脱防止部の干渉部をなす面取り形状に沿って排気アタッチメントを持ち上げる操作を意図的に行った場合には、スムーズに排気アタッチメントを排気部から取り外すことができる。従って、本発明の一体型空気調和機は、排気アタッチメントが排気部から予期せず外れてしまうのを抑制しつつ、排気アタッチメントを排気部から取り外すことを意図した場合にはスムーズに取り外し作業を行えるものとすることができる。
【0023】
(9)本発明の一体型空気調和機は、前記吹出部が、前記筐体の前記上面に設けられた吹出口と、前記吹出口から吹き出される空気の吹き出し方向を調整するルーバーと、を有し、前記ルーバーが、前記筐体の前記上面から突出することなく前記吹出口を閉塞する閉状態と、前記筐体に対して揺動することにより、前記吹出口から吹き出される空気を前記筐体の正面側に向けて斜め上方から上方に案内する開状態と、に切り替え可能なものであると良い。
【0024】
本発明の一体型空気調和機は、上記(9)のような構成とすることにより、ルーバーを閉状態とした状態においては、ルーバーが筐体の上面から突出せず邪魔にならない、すっきりとした構成とすることができる。また、本発明の一体型空気調和機は、上記(9)のような構成とすることにより、ルーバーを開状態とした状態においては、吹出口から吹き出される空気を、筐体の背面側であって斜め上方側に向かうように排出される排気と分離して吹き出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上述した課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置について、排気アタッチメントを取り外した状態を正面側から見た状態を示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置について、背面側から見た状態を示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置を上面側から見た状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置の左側面図である。
【
図5】
図4に示した一体型空気調和装置の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置について、ルーバーを開いた状態を正面側から見た状態を示した斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置について、ハンドル部を展開状態としつつ、筐体の扉を開いた状態を正面側から見た状態を示した斜視図である。
【
図8】
図1に示した一体型空気調和装置に用いられる排気アタッチメントを示す斜視図である。
【
図9】(a)は
図8に示した排気アタッチメントの背面図、(b)は(a)のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一体型空気調和機1の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図における寸法は、説明の便宜上、実際の比率と異なる場合があることに留意されたい。また、上下左右や前後等の位置関係を示す用語や、正面、背面、側面、天面、底面等の用語については、通常の使用状態における一体型空気調和機1の姿勢を基準として説明する。
【0028】
図1~
図7に示すように、本発明の一体型空気調和機1は、縦長の箱体として形成された筐体2により外観形状の主要部が構成されている。筐体2は、ハンドル部2xやキャスター2yを備えており、所望の場所に移動させて使用可能なポータブル型のものとされている。ハンドル部2xは、筐体2に対して揺動操作可能に設けられたハンドルであり、筐体2の上面2a側において揺動操作することにより、
図1~
図6に示すような折り畳み状態と、
図7に示すような展開状態とに切り替え可能なものとされている。一体型空気調和機1は、ハンドル部2xを折り畳み状態とすることにより、ハンドル部2xが筐体2から突出しないように収容された状態として使用できる。また、ハンドル部2xは、揺動させて展開状態とすることにより、一体型空気調和機1の重心位置に対する上方位置まで揺動した状態(略90度持ち上げた状態)とすることができる。これにより、一体型空気調和機1は、ハンドル部2xを把持して適宜の場所に移動可能とされている。
【0029】
一体型空気調和機1は、筐体2に対して、第一吸気部10と、吹出部12と、第二吸気部14と、排気部16とを設けたものとされている。また、
図5に示すように、一体型空気調和機1は、筐体2の内部に、冷凍サイクル50を構成する圧縮機20、蒸発器22、及び凝縮器24を収容している。さらに、一体型空気調和機1は、筐体2の内部に、吹出送風部30(吹出ファン30a)、排気送風部35(排気ファン35a)等を収容している。また、
図1に示すように、一体型空気調和機1は、筐体2の排気部16に対して着脱可能に設けられた排気アタッチメント70を備えている。
【0030】
図1~
図7に示すように、第一吸気部10は、筐体2の背面2c側(後方側)に設けられている。また、第二吸気部14,14は、筐体2の左側面2g及び右側面2hに設けられている。第一吸気部10及び第二吸気部14,14は、それぞれ筐体2の内外を連通させる開口を備えたものとされている。第一吸気部10及び第二吸気部14,14は、それぞれは、筐体2の外部から内部に空気を導入するために設けられている。すなわち、第一吸気部10及び第二吸気部14,14は、それぞれは、一体型空気調和機1が設置される室内の空気を筐体2の内部に吸気するものとされている。また、第一吸気部10及び第二吸気部14,14は、それぞれには、フィルタ(図示せず)が設けられている。当該フィルタは、筐体2の内部に埃や異物が侵入することを抑制するものとされている。
【0031】
吹出部12は、筐体2の内側から外側に向けて空気を吹き出す部分である。吹出部12は、上述した第二吸気部14,14から筐体2の内部に導入された空気を、後に詳述する蒸発器22をなす第一熱交換器26において熱交換した後に吹き出す部分である。吹出部12は、吹出口12a、及びルーバー12bを具備している。
【0032】
吹出口12aは、筐体2の上面2a側に開口するように設けられた吹き出し用の開口である。吹出口12aは、筐体2の左右方向(幅方向)に亘って設けられている。また、ルーバー12bは、吹出口12aから吹き出される空気の吹き出し方向を調整するためのものである。ルーバー12bは、閉状態と開状態とに切り替え可能なものとされている。吹出部12は、ルーバー12bが閉状態となることにより、筐体2の上面2aから突出することなく、吹出口12aを閉塞する状態となる。また、吹出部12は、ルーバー12bが筐体2に対して揺動することにより、開状態となる。吹出部12は、ルーバー12bが開状態となることにより、ルーバー12bの角度に応じて、筐体2の正面2b側に向けて斜め上方に向く角度から垂直上方に向く方向に、吹出口12aから吹き出される空気を案内することができる。ルーバー12bを筐体2の正面2b側に向けて斜め上方に向く角度に調整すると、筐体2の正面2b側に向けて冷風を吹き出すことができる。また、ルーバー12bを垂直上方に向く姿勢に調整すると、筐体2の上面2aから上方に向けて冷風を吹き出すことができる。これにより、上面2aの上方に使用者の身体を配することにより、使用者の上半身から上の任意の高さを冷やしたいという使用者のニーズに応えることができる。
【0033】
図5に示すように、第二吸気部14,14及び吹出部12との間には、第一送風経路40が形成されている。第一送風経路40には、蒸発器22、及び吹出ファン30aが配されている。第一送風経路40は、第二吸気部14,14から吸い込まれた空気を吹出部12に向けて流動させる通路を形成している。
【0034】
吹出送風部30は、吹出ファン30a、及び吹出用モータ30bを備えている。吹出ファン30aは、例えば、クロスフローファンやシロッコファン等の適宜のファンによって構成することができるが、本実施形態ではクロスフローファンによって構成されている。吹出ファン30aをなすクロスフローファンは、吹出口12aと同様に、筐体2の左右方向(幅方向)に亘って設けられている。吹出ファン30aには、吹出用モータ30bが接続されており、吹出用モータ30bの駆動力によって吹出ファン30aが回転駆動される。吹出ファン30aが回転駆動されると、第二吸気部14,14から吹出部12に向かう気流が発生する。これにより、室内の空気が第二吸気部14,14から吸い込まれて、吹出部12から排気される気流が発生する。
【0035】
排気部16は、後に詳述する凝縮器24で熱交換された空気(暖気)を筐体2の内側から外側に向けて排気として排出するためのものである。排気部16は、筐体2の上面2aにおいて、筐体2の左右方向一方側に偏在している。排気部16は、排気口16a、及び風向部16bを具備している。
【0036】
排気口16aは、筐体2の上面2aに設けられた開口によって構成されている。また、風向部16bは、排気口16aを介して排出される排気を、筐体2の背面2c側であって斜め上方側に向かうように案内するものである。風向部16bは、このように排気を案内できるものであればいかなるものによって構成されても良いが、本実施形態では格子16cによって構成されている。格子16cは、間隙を開けて複数の桟部材16dを並列に設けて形成されたものとされている。格子16cをなす桟部材16dは、それぞれ上端が筐体2の上面2aと面一、あるいは上面2aよりも筐体2の内側(下方)に位置するように設けられている。
【0037】
図5に示すように、第一吸気部10及び排気部16の間には、第二送風経路42が形成されている。第二送風経路42には、凝縮器24、及び排気送風部35が配されている。第二送風経路42は、第一吸気部10から吸い込まれた外気を、排気送風部35と排気部16との間に設けられたダクト(排気ダクト部44)を通じて排気部16に向けて流動させる通路を形成している。排気ダクト部44は、筐体2の内部において上下方向に立設されており、その終端側(排気部16側)に設けられた終端領域44aにおいて、排気部16に向かうに連れて筐体2の背面2c側に向けて傾斜するように設けられている。
【0038】
排気送風部35は、排気ファン35a及び排気用モータ35bを備えている。排気ファン35aは、例えば、クロスフローファンやシロッコファン等の適宜のファンによって構成することができるが、本実施形態ではシロッコファンで形成されている。これにより、
排気送風部35は、排気部16に対応して左右方向一方側に偏在した領域において気流を発生させることができる。排気ファン35aには、排気用モータ35bが接続されており、排気用モータ35bの駆動力によって排気ファン35aが回転駆動される。排気ファン35aが回転駆動されると、第一吸気部10から排気部16に向かう気流が発生する。これにより、室内の空気が第一吸気部10から吸い込まれて、排気部16から排気される気流が発生する。
【0039】
図5に示すように、冷凍サイクル50は、圧縮機20と、蒸発器22及び凝縮器24をなす二つの熱交換器26,28と、キャピラリ(図示せず)とを熱媒体が通過する熱媒体流路によって環状に接続して構成されるものである。冷凍サイクル50は、熱媒体流路に切替弁を設ける等して、蒸発器22及び凝縮器24として機能する熱交換器26,28を切り替え可能とすることにより、冷房及び暖房の双方を実現可能としたもの等とすることができる。本実施形態では、冷凍サイクル50が、蒸発器22を熱交換器26(第一熱交換器26)、凝縮器24を熱交換器28(第二熱交換器28)として機能させるものとされている。
【0040】
圧縮機20は、ポンプで形成されており、筐体2の下方に配置されている。圧縮機20は、熱交換器26における冷媒を高温高圧ガスに圧縮するものとされている。圧縮機20によって圧縮された高温高圧冷媒は、凝縮器24に送られる。
【0041】
凝縮器24は、熱交換器(第二熱交換器28)によって構成されている。凝縮器24をなす第二熱交換器28には、例えば、熱伝導性良好なアルミニウム等のフィンに銅管を貫通させたフィンチューブ式の熱交換器等が好適に利用可能である。凝縮器24は、圧縮機20で圧縮された高温高圧冷媒を放熱させて凝縮(液化)させる。また、凝縮器24には、排気ファン35aにより外気が送り込まれる。これにより、冷媒の熱交換が行われ、冷媒から放出された熱が外気で冷やされる。また、外気は熱を吸収し、暖気となって排気部16から排気される。他方、凝縮器24によって凝縮された冷媒は、キャピラリ(図示せず)を通過して、圧力が低下すると共に、沸点が降下する。これにより、冷媒が低温低圧の液体に変換されて、蒸発器22に送られる。
【0042】
蒸発器22は、凝縮器24と同様に、熱交換器(第一熱交換器26)によって構成されている。蒸発器22をなす第一熱交換器26についても、第二熱交換器28と同様に、例えば、熱伝導性良好なアルミニウム等のフィンに銅管を貫通させたフィンチューブ式の熱交換器等が好適に利用可能である。蒸発器22は、低温低圧の液体となった冷媒を蒸発(気化)させるものとされている。蒸発器22は、冷媒の蒸発に伴って、熱が奪われて温度が低下する。また、蒸発器22には、吹出ファン30aにより、室内の空気が送り込まれる。これにより、冷媒の熱交換が行われ、室内から吸気した空気が蒸発器22によって冷却される。また、冷却された空気は、冷気となって吹出部12から吹き出される。
【0043】
上述した冷凍サイクル50を作動させることにより発生したドレンは、筐体2の内部に設けられたタンク60に貯留される。タンク60は、筐体2の内部であって下方側の領域に設けられたタンク収容部2dに対して出し入れ可能とされている。筐体2の正面には、タンク60の出し入れのためにタンク収容部2dを開閉可能とする扉2eが設けられている。扉2eは、筐体2の左右方向一方側においてヒンジ等によって連結された引き戸式のもの等とすることができる。本実施形態では、
図7に示すように、扉2eは、引き出し式のものとされている。扉2eには、筐体2の左側面、及び右側面となる位置に、使用者の指を引っ掛けるための凹部2fが設けられている。
【0044】
図1や
図8に示すように、排気アタッチメント70は、排気部16に対して着脱自在に設けられた筒状の部材である。排気アタッチメント70は、屈曲した形状を有する筒体によって構成されている。本実施形態では、排気アタッチメント70は、側面視において略「L」型に屈曲した筒体によって構成されている。
【0045】
排気アタッチメント70は、排気部16に対して取り付けることにより、排気口16aに連通する排気通路を構成する。一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70を具備していなくても問題なく作動するが、排気口16aから確実に所望の方向に向けて排気を排出したい場合等に排気アタッチメント70を取り付けて使用できる。
【0046】
図1や
図8、
図9に示すように、排気アタッチメント70は、排気部16との接続側に、係止部72、及び把持部74を備えている。係止部72は、排気部16に対して係止可能とされた部分である。係止部72は、係合片76、及び離脱防止部78を具備している。
【0047】
係合片76は、鈎状に形成された片状の部分である。排気部16において格子16cをなすように並列配置された桟部材16d,16dの間隙16eを介して、上方から下方に対して差し込まんだ後、桟部材16dの下方において桟部材16dに対して交差する方向(進入方向)に進入させることにより、桟部材16dに対して係合した状態になる。
【0048】
離脱防止部78は、係合片76とは反対方向に延びるように形成された片状の部分である。本実施形態では、離脱防止部78は、側面視において略矩形であって、桟部材16d,16dの間に設けられた間隙16eの間隔と同程度であって、間隙16eに嵌め込み可能な大きさの幅を有する片状のものとされている。離脱防止部78は、上述した係合片76を格子16cの間隙16eに対して差し込む際に基端側となる位置(係合片76を桟部材16dに係合させた状態において係合片76よりも上方となる位置)に設けられている。離脱防止部78は、係合片76を複数の桟部材16dのうちの一つに対して係合させることにより、係合片76が係合した桟部材16d(桟部材16d1)、及びこの桟部材16d1に対して係合片76の進入方向とは逆方向に隣接する他の桟部材16d(桟部材16d2)との間に設けられた間隙16eに嵌まり込んだ状態になる。
【0049】
離脱防止部78は、干渉部78aを有する。干渉部78aは、排気アタッチメント70を係合片76の進入方向とは反対方向へと移動させようとした場合に、桟部材16d2に対して干渉する部分である。本実施形態では、離脱防止部78において、桟部材16d2側であって下方側に位置する角部を面取りすることにより、干渉部78aが形成されている。
【0050】
把持部74は、上述したようにして排気部16に対して排気アタッチメント70を着脱する操作(着脱操作)を行う際に、使用者が把持可能な部分である。把持部74は、排気アタッチメント70を排気部16に対して取り付けた状態において、係合片76や離脱防止部78よりも上方となる位置に設けられている。また、把持部74は、係合片76や離脱防止部78の延びる方向に対して交差する方向に面的に拡がるように形成された片状のものとされている。そのため、排気アタッチメント70を排気部16に対して取り付ける際には、把持部74を摘まんで排気アタッチメント70を保持した状態において、把持部74よりも下方に位置する係合片76を格子16cの間隙16eを介して桟部材16d1の下方に潜らせつつ、離脱防止部78を間隙16eに嵌め込むことにより、簡単に排気部16に対して排気アタッチメント70を設置することができる。また、排気部16から排気アタッチメント70を取り外す際にも、把持部74を把持しつつ、前述したのとは逆の動作を行うことにより、容易に排気アタッチメント70を取り外すことができる。
【0051】
≪作用効果について≫
上述した本実施形態の一体型空気調和機1は、以下の(a)~(i)のような特徴的構成を備えている。これにより、一体型空気調和機1は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0052】
(a)本実施形態の一体型空気調和機1は、筐体2の内部に、圧縮機20、キャピラリ、第一熱交換器26、及び第二熱交換器28を含んで構成され、第一熱交換器26及び第二熱交換器28のいずれか一方を蒸発器22とし、他方を凝縮器24とする冷凍サイクル50を収容したものであって、筐体2には、筐体2の外側から内側に向けて空気を導入する第一吸気部10と、第一熱交換器26を通過して筐体2の内側から外側に向けて空気を吹き出す吹出部12と、第二熱交換器28を通過して筐体2の内側から外側に向けて排気として排出する排気部16と、が設けられており、排気部16が、筐体2の上面2aに設けられた排気口16aと、排気を筐体2の背面側であって斜め上方側に向かうように案内する風向部16bと、を備えたものである。
【0053】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(a)のような構成とされているため、従来技術のようにダクト等を設けなくても、排気を背面側に案内しつつ排出することができる。従って、本実施形態の一体型空気調和機1は、キッチンや脱衣場等の狭い空間でも好適に使用できる。また、本実施形態の一体型空気調和機1は、排気を筐体2の背面側かつ斜め上方側に向けて案内して排出することができるため、排出直後の排気が第一吸気部10に吸引されるのを抑制できる。これにより、本実施形態の一体型空気調和機1は、第一吸気部10において取り込まれる空気に排気が混じることによる空調効率の低下を抑制できる。特に、空気調和機1は、背面2cを壁に近づけた状態で設置されたとしても、排気が背面2c側から吸気部(第一吸気部10、第二吸気部14,14)に吸引されるのを抑制できる。これにより、空気調和機1は、背面2cと壁との間隔を確保しづらい狭い空間において、背面2cを壁に近づけて設置しても好適に使用できるという利点がある。
【0054】
(b)本実施形態の一体型空気調和機1は、筐体2の内部に、第二熱交換器28を通過する気流を発生させる排気送風部35と、排気送風部35と排気部16との間に設けられた排気ダクト部44と、を有し、排気ダクト部44が、排気部16に向かうに連れて筐体2の背面側に向けて傾斜するように設けられているものである。
【0055】
一体型空気調和機1は、上記(b)のような構成とされているため、排気が排気口16aを介して放出されるまでに、排気ダクト部44において排気が斜めに案内される。これにより、一体型空気調和機1は、風向部16bによって排気の向きを大きく変化させることなく、排気をスムーズに排出させることができる。従って、一体型空気調和機1は、排気部16において排気の通過に伴う風切音や振動等の発生を抑制し、静音性を向上できる。
【0056】
(c)本実施形態の一体型空気調和機1は、風向部16bが、上端において筐体2の上面2aと面一、あるいは上面2aよりも筐体2の内側に位置する格子16cによって構成されたものである。
【0057】
一体型空気調和機1は、上記(c)のような構成とされているため、風向部16bが筐体2の上面2aから突出するのを抑制できる。これにより、一体型空気調和機1は、排気の排出方向を適切に調整可能でありつつ、スッキリとした美観に優れたものとすることができる。
【0058】
(d)本実施形態の一体型空気調和機1は、排気部16が、筐体2の上面2aにおいて、筐体2の左右方向一方側に偏在しており、排気口16aに連通する排気通路を構成する排気アタッチメント70を、排気部16に対して着脱自在なものとされている。
【0059】
一体型空気調和機1は、上記(d)のような構成とされているため、排気アタッチメント70をコンパクトなものとすることができる。これにより、一体型空気調和機1は、排気部16に排気アタッチメント70を取り付けつつ、スペース的に余裕のない狭い空間においても好適に使用可能なものとすることができる。
【0060】
(e)本実施形態の一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70が、排気部16に対して係止可能な係止部72を備えたものとされている。
【0061】
一体型空気調和機1は、上記(e)のような構成とされているため、簡素な構成により排気アタッチメント70を排気部16に対して着脱可能でありつつ、排気アタッチメント70の排気部16に対する取り付け姿勢を安定させることができる。
【0062】
(f)本実施形態の一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70が、排気部16への着脱操作時に把持可能な把持部74を備えたものとされている。
【0063】
一体型空気調和機1は、上記(f)のような構成とされているため、排気部16に対する排気アタッチメント70を把持して着脱する操作を簡便に行うことが可能となる。
【0064】
(g)本実施形態の一体型空気調和機1は、風向部16bが、間隙16eを開けて複数の桟部材16dを並列に設けて形成された格子16cを有し、係止部72が、桟部材16dの下方において桟部材16dに対して交差する進入方向に進入させることにより、桟部材16dに対して係合する係合片76と、係合片76とは反対方向に延びる離脱防止部78と、を有し、係合片76を複数の桟部材16dのうちの一つに対して係合させることにより、離脱防止部78が、係合片76が係合した桟部材16d、及び当該桟部材16dに対して係合片76の進入方向とは逆方向に隣接する他の桟部材16dとの間隙16eに嵌まり込むものとされている。
【0065】
一体型空気調和機1は、上記(g)のような構成とされているため、風向部16bにおいて格子16cをなすように設けられた桟部材16dに対して下方から係合片76を係合させつつ、離脱防止部78を隣接する二つの桟部材16dの間隙16eに嵌め込んだ状態として、排気アタッチメント70を排気部16に対して装着することができる。これにより、一体型空気調和機1は、運転に伴う振動等が排気アタッチメント70に伝達したとしても、排気アタッチメント70が排気部16から離脱するのを抑制できる。
【0066】
(h)本実施形態の一体型空気調和機1は、離脱防止部78が、排気アタッチメント70を係合片76の進入方向とは反対方向へと移動させることにより桟部材16dに対して干渉する干渉部78aを有し、干渉部78aが面取りされたものとされている。
【0067】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(h)のような構成とされているため、振動等の影響によって排気アタッチメント70が係合片76の進入方向とは反対方向へと移動しただけでは、離脱防止部78の干渉部78aが桟部材16dと干渉して排気アタッチメント70が排気部16から外れないものとすることができる。一方、一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70を排気部16から取り外すべく、排気アタッチメント70が係合片76の進入方向とは反対方向へと移動させた後、離脱防止部78の干渉部78aをなす面取り形状に沿って排気アタッチメント70を持ち上げる操作を意図的に行った場合には、スムーズに排気アタッチメント70を排気部16から取り外すことができる。従って、一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70が排気部16から予期せず外れてしまうのを抑制しつつ、排気アタッチメント70を排気部16から取り外すことを意図した場合にはスムーズに取り外し作業を行えるものとすることができる。
【0068】
(i)本実施形態の一体型空気調和機1は、吹出部12が、筐体2の上面2aに設けられた吹出口12aと、吹出口12aから吹き出される空気の吹き出し方向を調整するルーバー12bと、を有し、ルーバー12bが、筐体2の上面2aから突出することなく吹出口12aを閉塞する閉状態と、筐体2に対して揺動することにより、吹出口12aから吹き出される空気を筐体2の正面側に向けて斜め上方から上方に案内する開状態と、に切り替え可能なものとされている。
【0069】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(i)のような構成とされているため、ルーバー12bを閉状態とした状態においては、ルーバー12bが筐体2の上面2aから突出せず邪魔にならない、すっきりとした構成とすることができる。また、一体型空気調和機1は、上記(i)のような構成とされているため、ルーバー12bを開状態とした状態においては、吹出口12aから吹き出される空気を、筐体2の背面側であって斜め上方側に向かうように排出される排気と分離して吹き出すことができる。
【0070】
≪変形例≫
上記実施形態において例示した一体型空気調和機1は、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(i)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとすることが可能である。また、一体型空気調和機1は、上述した(a)~(i)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(i)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。具体的には、以下に説明するような変形例が考えられる。
【0071】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(b)のように、排気送風部35と排気部16との間に、排気部16に向かうに連れて筐体2の背面側に向けて傾斜した排気ダクト部44を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、排気ダクト部44を備えていないものとすることも可能である。また、排気ダクト部44は、終端側(排気部16側)の領域において背面側に向けて傾斜する一方で、これよりも上流側においては上下方向に立設されたものを例示したが、本発明はこれに限定されない。排気ダクト部44は。始端側から終端側までの全領域において、排気の流れ方向下流側に向かうに連れて背面側に向けて傾斜したもの等とすることも可能である。
【0072】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(c)のように、風向部16bが、上端において筐体2の上面2aと面一、あるいは上面2aよりも筐体2の内側に位置する格子16cによって構成した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、風向部16bは、上端が上面2aよりも上方に突出したもの等とすることが可能である。
【0073】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(d)のように、排気部16を筐体2の上面2aにおいて、筐体2の左右方向一方側に偏在させ、排気部16に排気アタッチメント70を着脱自在とした構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70を取り付け不能なものや、筐体2の左右方向中央側に排気部16を設けたもの等とすることが可能である。
【0074】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(e)のように、排気アタッチメント70に係止部72を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70を係止等により着脱するための構成を、筐体2に設けた構成としても良い。
【0075】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(f)のように、排気アタッチメント70に把持部74を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70に把持部74を設けない構成としたり、把持部74に代えて、あるいは把持部74に加えて、排気アタッチメント70の着脱を容易にするための構成を設けたもの等としても良い。
【0076】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(g)のように、排気アタッチメント70に設けられた係止部72を、係合片76と、係合片76とは反対方向に延びる離脱防止部78とを備えたものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一体型空気調和機1は、排気アタッチメント70に設けられた係止部72に代えて、排気部16への取り付け状態において、第一方向(例えば前後方向)に係止する第一係止爪と、第一方向と交差する第二方向(例えば左右方向)に係止する第二係止爪とを備えたもの等としても良い。
【0077】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(h)のように、離脱防止部78に設けられた干渉部78aについて面取りしたものとした例を示したが、本発明はこれに限定されず、干渉部78aに面取り加工を施していないもの等とすることも可能である。
【0078】
本実施形態の一体型空気調和機1は、上記(i)のように、吹出部12に設けられたルーバー12bが、閉状態において筐体2の上面2aから突出することなく吹出口12aを閉塞可能であり、かつ開状態において吹出口12aから吹き出される空気を筐体2の正面側に向けて斜め上方から上方に案内可能なものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。一体型空気調和機1は、吹出部12にルーバー12bを備えていないものや、ルーバー12bが閉状態において上面2aから突出した状態になるもの等とすることが可能である。
【0079】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、筐体の内部に、圧縮機、キャピラリ、第一熱交換器、及び第二熱交換器を含んで構成され、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のいずれか一方を蒸発器とし、他方を凝縮器とする冷凍サイクルを収容した一体型空気調和機全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 :一体型空気調和機
2 :筐体
2a :上面
10 :吸気部
12 :吹出部
12a :吹出口
12b :ルーバー
16 :排気部
16a :排気口
16b :風向部
16c :格子
16d :桟部材
16e :間隙
20 :圧縮機
22 :蒸発器
24 :凝縮器
26 :第一熱交換器
28 :第二熱交換器
35 :排気送風部
44 :排気ダクト部
50 :冷凍サイクル
70 :排気アタッチメント
72 :係止部
74 :把持部
76 :係合片
78 :離脱防止部
78a :干渉部