(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012079
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】車両用シート装置及び車両
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B60N2/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077447
(22)【出願日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】63/389,085
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】井川 陽木
(72)【発明者】
【氏名】小美野 翔馬
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮太
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CA12
(57)【要約】
【課題】収納された車両用シートを簡易な構成で支持可能な車両用シート装置及び車両を提供する。
【解決手段】車両用シート装置S1は、第一車両用シート(後席1)と、車両の前後方向において後席1よりも前方に配置される第二車両用シート(前席2)とを備える。後席1は、シートバック10及びシートクッション11を備え、乗員が着座可能な使用状態と、使用状態からシートバック10及びシートクッション11が重なるように折り畳まれ、前側に向かいながら下方移動して収納される収納状態との間で切り替え可能である。支持部材30は、前席2に格納された格納位置と、格納位置から後側に向かって展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。後席1が収納状態のときに、支持部材30は、格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1の移動を規制するように第一車両用シート1を支持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一車両用シートと、車両の前後方向において前記第一車両用シートよりも前方又は後方に配置される第二車両用シートと、を備える車両用シート装置であって、
前記第一車両用シートは、
シートバック及びシートクッションを備え、
乗員が着座可能な使用状態と、前記使用状態から前記シートバック及び前記シートクッションが重なるように折り畳まれ、前記第二車両用シート側に向かいながら下方移動して収納される収納状態と、の間で切り替え可能であり、
前記第二車両用シートは、前記第一車両用シートを支持する支持部材を有し、
前記支持部材は、前記第二車両用シートに格納された格納位置と、前記格納位置から前記第一車両用シート側に向かって展開されて前記第一車両用シートを支持する支持位置との間で切り替え可能であって、
前記第一車両用シートが前記収納状態のときに、前記支持部材は、前記格納位置から前記支持位置に切り替わることで、前記第一車両用シートの移動を規制するように前記第一車両用シートを支持することを特徴とする車両用シート装置。
【請求項2】
前記第二車両用シートは、シートクッションを備え、
前記支持部材は、
前記第二車両用シートの前記シートクッションに取り付けられ、
前記格納位置にいるときに前記第二車両用シートの前記シートクッションに格納され、前記格納位置から前記第一車両用シート側に向かって展開されて前記支持位置に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
前記第二車両用シートは、シートバック及びシートクッションを有するシート本体と、前記車両に取り付けられ前記シート本体を支持するフット部材と、を備え、
前記支持部材は、
前記第二車両用シートの前記フット部材に取り付けられ、
前記格納位置にいるときに前記フット部材に格納され、前記格納位置から前記第一車両用シート側に向かって展開されて前記支持位置に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記第二車両用シートは、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を備え、
前記支持部材は、紐状部材であって、
前記支持部材の一端部は、前記第二車両用シートの前記シート本体に固定され、
前記支持部材の他端部には、前記第一車両用シートに設けられた被係合部に着脱可能に係合するための係合部が設けられ、
前記支持部材は、前記第一車両用シートが前記収納状態のときに、前記支持部材の前記係合部が前記第一車両用シートの前記被係合部に係合されることで、前記第一車両用シートを上方から支持することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記支持部材は、支持面を有する板状部材であって、前記第一車両用シートが前記収納状態のときに前記支持面によって前記第一車両用シートを下方から支持することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記支持面には、収納物を収納するための凹部又は孔部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート装置。
【請求項7】
前記支持部材の先端部には、荷物を引っ掛けるためのフック部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項8】
前記第二車両用シートは、
シートバック及びシートクッションを備え、
前記車両の前後方向において前記第一車両用シートよりも前方に配置され、
前記乗員が着座可能な通常状態と、前記通常状態から前記シートバックが前記シートクッションに重なるように折り畳まれ、前記シートクッションの後端部が跳ね上げられながら前方側に回動して起立するタンブル状態と、の間で切り替え可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両用シート装置。
【請求項9】
前記第一車両用シートは、
前記車両の前後方向において前記第二車両用シートよりも後方に配置され、
前記使用状態と、前記使用状態から前記シートバックが前記シートクッションに重なるように折り畳まれ、前記シートクッションの後端部が跳ね上げられながら前方側に回動し、前記シートクッションが前記シートバック上に重ねられた状態となる前記収納状態と、の間で切り替え可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両用シート装置。
【請求項10】
前記第一車両用シートは、
前記車両の前後方向において前記第二車両用シートよりも後方に配置され、
前記使用状態と、前記使用状態から前記シートバック及び前記シートクッションが重なるように折り畳まれ、折り畳まれた姿勢で前方に向かいながら下方移動して収納される前記収納状態と、の間で切り替え可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両用シート装置。
【請求項11】
請求項1に記載の車両用シート装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置及び車両に係り、特に、第一車両用シートと、車両の前後方向において前記第一車両用シートよりも前方又は後方に配置された第二車両用シートを備える車両用シート装置及び車両用シート装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用シートとして、シートバック及びシートクッションを重ねるように折り畳み、シートバック及びシートクッションを前側へ下方移動させて収納するダイブダウンシートが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の車両用シートには、シートバックとシートクッションを重ねるように折り畳み、前側へ下方移動させて収納するダイブダウンシートが開示されている。詳しく述べると、車両用シートは、車体フロアの上段部に取り付けられ、シートバックとシートクッションを重ねるように、シートクッションを回動起立させて折り畳む。そして、車両用シートは、シートバック及びシートクッションが前側へ下方移動されることで車体フロアの下段部に収納される。
このように、車両用シートが前側下方へ収納されることで、車室の空間を広くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、車両用シートが下方へ移動して収納される収納状態のときに、車両用シートは支持されていなかった。そのため、車両用シートが収納状態の位置からさらに下方へ移動してしまい、車両用シートが車体フロアから外れてしまうおそれがあった。
また、収納される車両用シートを車体フロアで直接支持する場合、車体フロアの支持強度を向上させる必要があった。また、車両用シートを適切な位置で支持できないおそれもあった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、収納された車両用シートを簡易な構成で支持可能な車両用シート装置及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の車両用シート装置及び車両用シート装置を備える車両によれば、第一車両用シートと、車両の前後方向において前記第一車両用シートよりも前方又は後方に配置される第二車両用シートと、を備える車両用シート装置であって、前記第一車両用シートは、シートバック及びシートクッションを備え、乗員が着座可能な使用状態と、前記使用状態から前記シートバック及び前記シートクッションが重なるように折り畳まれ、前記第二車両用シート側に向かいながら下方移動して収納される収納状態と、の間で切り替え可能であり、前記第二車両用シートは、前記第一車両用シートを支持する支持部材を有し、前記支持部材は、前記第二車両用シートに格納された格納位置と、前記格納位置から前記第一車両用シート側に向かって展開されて前記第一車両用シートを支持する支持位置との間で切り替え可能であって、前記第一車両用シートが前記収納状態のときに、前記支持部材は、前記格納位置から前記支持位置に切り替わることで、前記第一車両用シートの移動を規制するように前記第一車両用シートを支持すること、により解決される。
上記構成により、収納された車両用シートを簡易な構成で支持可能な車両用シート装置及び車両を実現できる。
詳しく述べると、第二車両用シートの支持部材が第一車両用シートを支持するため、第二車両用シートが収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。特に、第二車両用シートに支持部材を設けているため、車体フロアに支持強度を向上させるための部材を追加することなく、簡易な構成で第一車両用シートを適切な位置に支持することができる。
【0008】
このとき、前記第二車両用シートは、シートクッションを備え、前記支持部材は、前記第二車両用シートの前記シートクッションに取り付けられ、前記格納位置にいるときに前記第二車両用シートの前記シートクッションに格納され、前記格納位置から前記第一車両用シート側に向かって展開されて前記支持位置に切り替わると良い。
上記構成により、第二車両用シートのシートクッションに支持部材を設けているため、支持部材を容易に展開させることができる。そのため、第一車両用シートが収納状態に移動したときに、簡易な構成で第一車両用シートを支持することができる。
【0009】
このとき、前記第二車両用シートは、シートバック及びシートクッションを有するシート本体と、前記車両に取り付けられ前記シート本体を支持するフット部材と、を備え、前記支持部材は、前記第二車両用シートの前記フット部材に取り付けられ、前記格納位置にいるときに前記フット部材に格納され、前記格納位置から前記第一車両用シート側に向かって展開されて前記支持位置に切り替わると良い。
上記構成により、第二車両用シートのフット部材に支持部材を設けているため、支持部材を容易に展開させることができる。そのため、第一車両用シートが収納状態に移動したときに、簡易な構成で第一車両用シートを支持することができる。
【0010】
このとき、前記第二車両用シートは、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を備え、前記支持部材は、紐状部材であって、前記支持部材の一端部は、前記第二車両用シートの前記シート本体に固定され、前記支持部材の他端部には、前記第一車両用シートに設けられた被係合部に着脱可能に係合するための係合部が設けられ、前記支持部材は、前記第一車両用シートが前記収納状態のときに、前記支持部材の前記係合部が前記第一車両用シートの前記被係合部に係合されることで、前記第一車両用シートを上方から支持すると良い。
上記構成により、支持部材が紐状部材であるため、第一車両用シートが収納状態に移動したときに、さらに簡易な構成で第一車両用シートを支持することができる。
【0011】
このとき、前記支持部材は、支持面を有する板状部材であって、前記第一車両用シートが前記収納状態のときに前記支持面によって前記第一車両用シートを下方から支持すると良い。
上記構成により、支持部材が板状部材であるため、第一車両用シートが収納状態に移動したときに、さらに簡易な構成で第一車両用シートを支持することができる。また、第一車両用シートが使用状態にあるときに、支持部材をテーブルやフットレストとして使用することができる。
【0012】
このとき、前記支持面には、収納物を収納するための凹部又は孔部が形成されると良い。
上記構成により、第一車両用シートが使用状態にあるときに、支持部材を、小物やコップ等の収納物を収納するトレーとして使用することができる。
【0013】
このとき、前記支持部材の先端部には、荷物を引っ掛けるためのフック部が形成されると良い。
上記構成により、第一車両用シートが使用状態にあるときに、支持部材を、袋等の荷物を引っ掛けて保持するフックとして使用することができる。
【0014】
このとき、前記第二車両用シートは、シートバック及びシートクッションを備え、前記車両の前後方向において前記第一車両用シートよりも前方に配置され、前記乗員が着座可能な通常状態と、前記通常状態から前記シートバックが前記シートクッションに重なるように折り畳まれ、前記シートクッションの後端部が跳ね上げられながら前方側に回動して起立するタンブル状態と、の間で切り替え可能であると良い。
上記構成により、前席をタンブル状態に起立させた状態で後席を前方へ収納できるので、車室の空間をより広くすることができる。
【0015】
このとき、前記第一車両用シートは、前記車両の前後方向において前記第二車両用シートよりも後方に配置され、前記使用状態と、前記使用状態から前記シートバックが前記シートクッションに重なるように折り畳まれ、前記シートクッションの後端部が跳ね上げられながら前方側に回動し、前記シートクッションが前記シートバック上に重ねられた状態となる前記収納状態と、の間で切り替え可能であると良い。
上記構成により、後席が反転されてシートバックがシートクッションよりも下方に配置された状態で収納可能となるため、車室の空間をより広くすることができる。
【0016】
このとき、前記第一車両用シートは、前記車両の前後方向において前記第二車両用シートよりも後方に配置され、前記使用状態と、前記使用状態から前記シートバック及び前記シートクッションが重なるように折り畳まれ、折り畳まれた姿勢で前方に向かいながら下方移動して収納される前記収納状態と、の間で切り替え可能であると良い。
上記構成により、後席のシートバックが前傾して折り畳まれて、折り畳まれた姿勢で平行移動されるため、簡易な構成で後席を収納することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、収納された車両用シートを簡易な構成で支持可能な車両用シート装置及び車両を実現できる。
また本発明によれば、第一車両用シートが収納状態に移動したときに、簡易な構成で第一車両用シートを支持することができる。
また本発明によれば、第一車両用シートが収納状態に移動したときに、さらに簡易な構成で第一車両用シートを支持することができる。
また本発明によれば、第一車両用シートが使用状態にあるときに、支持部材を、テーブルやフットレストとして使用することができる。
また本発明によれば、第一車両用シートが使用状態にあるときに、支持部材を、小物やコップ等の物品を収納するトレーとして使用することができる。
また本発明によれば、第一車両用シートが使用状態にあるときに、支持部材を、袋等の物品を引っ掛けて保持するフックとして使用することができる。
また本発明によれば、車室の空間をより広くすることができる。
また本発明によれば、簡易な構成で後席を収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態、前席が通常状態である状態を示す図である。
【
図2】後席が起立状態、前席がタンブル状態である状態を示す図である。
【
図3】後席が収納状態、前席がタンブル状態である状態を示す図である。
【
図4】第2実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態、前席が通常状態である状態を示す図である。
【
図5】後席が起立状態、前席がタンブル状態である状態を示す図である。
【
図6】後席が収納状態、前席がタンブル状態である状態を示す図である。
【
図7】第3実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態、前席が通常状態である状態を示す図である。
【
図8】後席が起立状態、前席がタンブル状態である状態を示す図である。
【
図9】後席が収納状態、前席がタンブル状態である状態を示す図である。
【
図10】第4実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態から収納状態へ移動した状態を示す図である。
【
図11】第5実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態から収納状態へ移動した状態を示す図である。
【
図12】第6実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態から収納状態へ移動した状態を示す図である。
【
図13】第7実施形態の車両用シート装置の側面図であって、後席が使用状態から収納状態へ移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態の車両Vについて
図1~
図3を参照して説明する。
第1実施形態の車両Vは、車両用シート装置S1を備える。車両用シート装置S1は、
図1に示すように、例えば前後方向に並んで配置される複数の車両用シートを備える。
なお、車両用シートは、例えば、船舶や航空機などに設置されるシートであってもよい。
【0020】
なお、以下の説明において、「前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両Vの走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの幅方向であり、車両用シートに着座した乗員(着座者)から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートの上下方向であり、車両Vが水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
【0021】
<<車両用シート装置の構成>>
車両用シート装置S1は、
図1に示すように、車両Vの前後方向において後方側に配置される後席1(第一車両用シート)と、後席1よりも前方に配置される前席2(第二車両用シート)と、を備える。なお、車両用シートの数はこれに限らず、例えば3列シートのようにフロントシート、ミドルシート、及びリアシートを備える構成としても良い。
【0022】
図1に示すように、車両Vの車体フロアFには段差が形成される。車両Vの後方側には上段部F1が形成され、車両Vの前方側には下段部F2が形成される。後席1は車体フロアFの上段部F1に配置され、前席2は車体フロアFの下段部F2に配置される。
なお、車両用シートを配置する車体フロアFは、段差が形成されていないフラットなフロアであっても良い。
【0023】
<<後席(第一車両用シート)>>
後席1は、シートバック10、シートクッション11、及びヘッドレスト12を有するシート本体と、シート本体を車体フロアFに取り付けるためのベース部材13と、シートクッション11に対してシートバック10を回動可能に連結する回動ロック部材14と、回動ロック部材14のロックを解除する操作部15と、を備える。
なお、ベース部材13は、シート幅方向に一対設けられ、シートバック10及びシートクッション11の両端部側にそれぞれ配置される。
【0024】
後席1は、
図1に示す使用状態と、
図2に示す起立状態と、
図3に示す収納状態との間で切り替え可能である。
使用状態は、
図1に示すように、乗員が着座可能な状態であって、シートバック10が起立した位置にいる状態である。
起立状態は、
図2に示すように、使用状態から、シートバック10がシートクッション11に重なるように前傾して折り畳まれて、シートクッション11の前端部11aを中心として、シートクッション11の後端部11bが上方へ回動されて起立した状態である。
【0025】
収納状態は、
図3に示すように、起立状態から、シートバック10及びシートクッション11が重なるように折り畳まれて、シートクッション11の前端部11aを中心としてシートクッション11の後端部11bがさらに前方に回転されて、前方へ向かいながら下方移動して車体フロアFの下段部F2側へ収納された状態である。
言い換えると、収納状態は、使用状態からシートバック10及びシートクッション11が重なるように折り畳まれ、前席2側に向かいながら下方移動して収納された状態である。
【0026】
シートバック10は、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となるバックフレーム10aにパッド材Pを載置して、表皮材Tで被覆されて構成されている。
シートクッション11は、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となるクッションフレーム11cにパッド材Pを載置して、表皮材Tで被覆されて構成されている。
ヘッドレスト12は、着座者の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のヘッドレストピラーにパッド材を載置して、表皮材で被覆されて構成されている。
【0027】
ベース部材13は、
図1に示すように、車体フロアFの上段部F1に固定され、シートクッション11のクッションフレーム11cを回動可能に支持する。具体的には、ベース部材13は、上段部F1の前側部分における上側部分に固定される。ベース部材13の上端部分には、回動軸13aが設けられる。
ベース部材13は、回動軸13aを介してクッションフレーム11cに連結される。乗員は、ベース部材13の回動軸13a周りにシート本体を反転させることで、シート本体を使用状態と収納状態との間で切り替えることができる。
なお、ベース部材13は、後席1を、使用状態、起立状態、収納状態のそれぞれの状態を維持するための不図示のロック機構を有する。
【0028】
ベース部材13には、シート本体を使用状態と収納状態との切り替え動作をアシストする付勢機構13bが設けられている。
付勢機構13bは、シート本体を使用状態から起立状態へ回動させるときに、シート本体の重量に抗してシート本体の回動動作を補助する。シート本体を起立状態から収納状態へ回動させるときには、付勢機構13bは、シート本体に抵抗力を付与してシート本体をゆっくりと収納状態へ回動させる。
また、付勢機構13bは、シート本体を収納状態から使用状態へ回動させるときに、シート本体の重量に抗して回動動作を補助する。シート本体を起立状態から使用状態へ回動させるときには、付勢機構13bは、シート本体に抵抗力を付与してシート本体をゆっくりと使用状態へ回動させる。
【0029】
回動ロック部材14は、シートバック10の下端部10bとシートクッション11の後端部11bを回動可能に連結するものである。シートバック10は、回動ロック部材14の傾動軸14aを中心として、シートクッション11に対して前傾して重なる。回動ロック部材14は、その内部にロック機構14bを備えている。
回動ロック部材14は、シートバック10をシートバック10がシートクッション11に対して起立する起立位置と、シートバック10がシートクッション11に重なる前傾位置との間で切り替える。シートバック10は、ロック機構14bによって回動動作が規制され、起立位置又は前傾位置にロックされる。なお、シートバック10は、起立位置又は前傾位置以外の位置でロックされても良い。
【0030】
操作部15は、回動ロック部材14のロックを解除するための操作レバーであって、シートバック10の上端部10cに設けられる。
乗員が操作部15を操作すると、ロック機構14bがロック状態からロック解除状態へ移行する。そして、ロック機構14bがロック解除状態へ移行すると、シートバック10は、前傾する向きに回動可能となる。このシートバック10の回動動作により、シートバック10の倒伏度合い(シートバック10とシートクッション11とがなす角度)が変化する。
【0031】
なお、本実施形態では、シートバック10が前傾するように回動されるが、後傾するように回動されても良い。
また、本実施形態では、シートバック10が前傾して折り畳まれることで、後席1が使用状態から収納状態に切り替わるが、シートクッション11が後方へ跳ね上がることで、後席1が使用状態から収納状態に切り替わるように構成しても良い。
【0032】
<<前席(第二車両用シート)>>
前席2は、シートバック20、シートクッション21、及びヘッドレスト22を有するシート本体と、シート本体を車体フロアFに取り付けるためのフット部材23と、シートクッション21に対してシートバック20を回動可能に連結する回動ロック部材24と、回動ロック部材24のロックを解除する操作部25と、後席1を支持する支持部材30と、を備える。
【0033】
前席2は、
図1に示す通常状態と、
図2に示すタンブル状態との間で切り替え可能である。
通常状態は、
図1に示すように、乗員が着座可能な状態であって、シートバック20が起立した位置にある状態である。
タンブル状態は、
図2、
図3に示すように、通常状態から、シートバック20がシートクッション21に重なるように前傾して折り畳まれて、シートクッション21の前端部21aを中心として、シートクッション21の後端部21bが上方へ回動されて起立した状態である。
【0034】
シートバック20は、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となるバックフレーム20aにパッド材Pを載置して、表皮材Tで被覆されて構成されている。
シートクッション21は、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となるクッションフレーム21cにパッド材Pを載置して、表皮材Tで被覆されて構成されている。
ヘッドレスト22は、着座者の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のヘッドレストピラーにパッド材を載置して、表皮材で被覆されて構成されている。
【0035】
フット部材23は、
図1に示すように、車体フロアFの下段部F2に固定され、シートクッション21のクッションフレーム21cを回動可能に支持する。フット部材23は、シート幅方向に一対設けられた脚部23aによって、下段部F2上に固定される。フット部材23の前側における上端部分には、支持軸23bが設けられる。フット部材23の後側における上端部分には、回動ロック部材24の下端部分に設けられた被保持部24cを保持する保持部23cが設けられる。
フット部材23は、支持軸23bを介してクッションフレーム21cに連結される。そのため、フット部材23は、支持軸23b周りにシート本体を跳ね上げて、シート本体を通常状態とタンブル状態との間で切り替えることができる。
【0036】
なお、フット部材23には、シート本体を通常状態とタンブル状態との切り替え動作をアシストする付勢機構23dが設けられている。
付勢機構23dは、シート本体を通常状態からタンブル状態へ回動させるときに、シート本体の重量に抗してシート本体の回動動作を補助する。
また、付勢機構23dは、シート本体をタンブル状態から通常状態へ回動させるときに、シート本体に抵抗力を付与してシート本体をゆっくりと通常状態へ回動させる。
【0037】
回動ロック部材24は、シートバック20の下端部20bとシートクッション21の後端部21bを回動可能に連結するものである。シートバック20は、回動ロック部材24の傾動軸24aを中心として、シートクッション21に対して前傾して重なる。回動ロック部材24は、内部にロック機構24bを備えている。また、回動ロック部材24の下端部分には、保持部23cに保持される被保持部24cが形成される。
【0038】
回動ロック部材24は、シートバック20を、シートバック20がシートクッション21に対して起立する起立位置と、シートバック20がシートクッション21に重なる前傾位置との間で切り替える。シートバック20は、ロック機構24bによって回動動作が規制され、起立位置又は前傾位置にロックされる。なお、シートバック20は、起立位置又は前傾位置以外の位置でロックされても良い。
【0039】
操作部25は、回動ロック部材24のロックを解除するための操作レバーであって、シートバック20の上端部20cに設けられる。
乗員が操作部25を操作すると、ロック機構24bがロック状態からロック解除状態へ移行する。そして、ロック機構24bがロック解除状態へ移行すると、シートバック20は、前傾する向きに回動可能となる。このシートバック20の回動動作により、シートバック20の倒伏度合い(シートバック20とシートクッション21とがなす角度)が変化する。
【0040】
なお、本実施形態では、シートバック20が前傾するように回動されるが、後傾するように回動されても良い。
また、本実施形態では、シートバック20が前傾して折り畳まれることで、前席2が通常状態からタンブル状態に切り替わるが、シートクッション21が後方へ跳ね上がることで、前席2が通常状態からタンブル状態に切り替わるように構成しても良い。
【0041】
支持部材30は、
図1~
図3に示すように、前席2に格納された格納位置と、格納位置から後席1側に向かって後方に展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。
図1に示す格納位置は、前席2が通常状態であるときに、支持部材30がシートクッション21の下側に格納される位置である。
図3に示す支持位置は、前席2がタンブル状態であり、後席1が収納状態のときに、後席1を下方から支持する位置である。
【0042】
支持部材30は、前席2のシートクッション21に取り付けられ、後席1が収納状態のときに、格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1の移動を規制するように後席1を支持する。言い換えると、後席1が収納状態にあるとき、後席1は、支持部材30によって下方から支持される。そのため、後席1が収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。
【0043】
支持部材30は、
図1に示すように、支持面31aを有する板状部材31と、板状部材31を回動可能にクッションフレーム21cに取り付ける回転軸32と、収納物を収納するための収納部33と、荷物を引っ掛けるためのフック部34と、を有する。
【0044】
板状部材31は、例えば支持面31aを有するテーブルであって、回転軸32によってクッションフレーム21cに回動可能に取り付けられる。支持部材30は、後席1が収納状態のときに乗員によって展開され、支持面31aによって後席1を下方から支持する。
【0045】
板状部材31は、回転軸32を介して後側下方へ回動することで、格納位置から支持位置に切り替えられる。板状部材31が下方へ回動して支持位置に切り替えられたとき、支持位置における板状部材31の回動角度は規制される。
なお、板状部材31は、回転軸32によって後側下方へ回動するが、後側上方へ回動されて、支持位置に切り替えられても良い。この場合には、支持位置における回転角度を規制するためのロック機構を設けると良い。
【0046】
収納部33は、小物やコップ等の収納物を収納するために支持面31aに形成される。板状部材31には、例えば、小物を収納するための凹部33a、及びコップを収納するための孔部33bが形成される。
フック部34は、鞄や袋等の荷物を引っ掛けるために板状部材31の先端部に形成される。フック部34は、板状部材31には、例えば、小物を収納するための凹部33a、及びコップを収納するための孔部33bが形成される。
【0047】
後席1が使用状態のとき、支持部材30が後方に展開されることで、乗員は支持部材30をテーブルとして使用することができる。また、板状部材31には凹部33a、孔部33b、及びフック部34が形成されるため、乗員の小物やコップ、荷物等の持ち物を収納することができる。
なお、支持部材30は、後席1が使用状態のとき、後席1に着座する乗員のフットレストとして使用されても良い。
【0048】
このように、前席2に後席1を支持する支持部材30を設けることで、後席1が収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。特に、前席2に支持部材30を設けているため、車体フロアFの設計を変更することなく、簡易な構成で後席1を支持することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、後席1が前側下方へ収納され、前席2の支持部材30によって、後席1を支持する構成とした。しかしこれに限らず、後席1に支持部材を設けて、前席2が後側下方へ収納され、後席1の支持部材によって、前席2を支持する構成としても良い。
また、本実施形態では、後席1のシートバック10が前傾して、シートクッション11に重なるように折り畳まれる構成とした。しかしこれに限らず、シートクッション11が後方へ跳ね上がってシートバック10に重なるように折り畳まれる構成としても良い。
さらに、本実施形態では、前席2は、通常状態とタンブル状態との間で切り替え可能な構成とした。しかしこれに限らず、前席2は、後席1と同様に、タンブル状態からさらに前方に回転されて、前方へ向かいながら下方移動して車体フロアFの下段部F2側へ収納される構成としても良い。
【0050】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の車両Vの車両用シート装置S2について
図4~
図6に基づいて説明する。
なお、上述した車両用シート装置S1と重複する内容は説明を省略する。
第2実施形態の車両用シート装置S2では、車両用シート装置S1と比較して支持部材40の構成が主に異なっている。
【0051】
支持部材40は、
図4~
図6に示すように、前席2に格納された格納位置と、格納位置から後席1側に向かって前方に展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。
図4に示す格納位置は、前席2が通常状態であるときに、支持部材40がシートクッション21の下側に格納される位置であって、フット部材23の延在する前後方向に沿って延びるようにフット部材23に取り付けられる位置である。
図6に示す支持位置は、前席2がタンブル状態であり、後席1が収納状態のときに、後席1を下方から支持する位置である。
【0052】
支持部材40は、前席2のフット部材23に取り付けられ、後席1が収納状態のときに、格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1の移動を規制するように後席1を支持する。言い換えると、後席1が収納状態にあるとき、後席1は、支持部材40によって下方から支持される。そのため、後席1が収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。
【0053】
支持部材40は、
図4に示すように、支持部41aを有するパイプ部材41と、パイプ部材41を回動可能にフット部材23に取り付けるパイプ回転軸42と、を有する。
なお、支持部材40は棒状のパイプ部材41に限らず、板状部材(例えばフットレスト)であっても良い。
【0054】
パイプ部材41は、前方からみたときにΠ状となるように屈曲され、支持部41aを有する棒状部材である。パイプ部材41は、パイプ回転軸42によって一対の脚部23aに回動可能に取り付けられる。支持部材40は、後席1が収納状態のときに乗員によって展開され、支持部41aによって後席1を下方から支持する。
パイプ回転軸42は、パイプ部材41を前側上方へ回動させるように、格納位置から支持位置に切り替える。なお、パイプ回転軸42は、支持位置における回転角度を規制するための不図示のロック機構を有する。
【0055】
このように、支持部材40が前席2のフット部材23に取り付けられるため、格納したときの省スペース化を図ることができる。また、支持部材40が棒状に形成されるため、さらに格納したときの省スペース化を図ることができる。
【0056】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の車両Vの車両用シート装置S3について
図7~
図9に基づいて説明する。
なお、上述した車両用シート装置S1、S2と重複する内容は説明を省略する。
第3実施形態の車両用シート装置S3では、車両用シート装置S1、S2と比較して支持部材50の構成が主に異なっている。
【0057】
支持部材50は、
図7~
図9に示すように、前席2に格納された格納位置と、格納位置から後席1側に向かって後方に展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。
図7に示す格納位置は、前席2が通常状態であるときに、支持部材50がシートクッション21の下側に格納される位置である。
図9に示す支持位置は、前席2がタンブル状態であり、後席1が収納状態のときに、後席1を下方から支持する位置である。
【0058】
支持部材50は、前席2のシートクッション21に取り付けられ、後席1が収納状態のときに、格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1の移動を規制するように後席1を支持する。言い換えると、後席1が収納状態にあるとき、後席1は、支持部材50によって上方から支持される。そのため、後席1が収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。
【0059】
支持部材50は、
図7に示すように、紐状部材51と、後席1と係合するための係合部52と、を有する。
【0060】
紐状部材51は、例えばスリングやワイヤである。前席2が通常状態にあるとき、紐状部材51の一端部51aは、シートクッション21の後側の下面に固定される。紐状部材51の他端部51bには、係合部52が設けられる。
係合部52は、紐状部材51の他端部51bに設けられ、シートクッション21の前側の下面に着脱可能に取り付けられる。係合部52は、
図7に示すように、前席2が通常状態にあるとき、シートクッション21の前側の下面に着脱可能に取り付けられる。
【0061】
図9に示すように、前席2がタンブル状態になり、後席1が収納状態になるとき、紐状部材51の一端部51aは、後席1の被係合部10dよりも上方であって、前席2の後面(シートクッション21の下面)に固定される。また、前席2がタンブル状態になり、後席1が収納状態になるとき、紐状部材51の他端部51bに設けられた係合部52は、前席2の後面に着脱可能に取り付けられる。
支持部材50の係合部52は、シートクッション21から取り外されて後方へ展開され、後席1のシートバック10の下端部分(収納状態にいるときの前端部分)に設けられた被係合部10dに係合される。
したがって、支持部材50は、後席1が収納状態のときに乗員によって展開され、係合部52によって後席1を上方から支持する。
【0062】
このように、支持部材50が前席2のシートクッション21に取り付けられるため、格納したときの省スペース化を図ることができる。また、支持部材50が紐状に形成されるため、簡易な構成で後席1を支持することができる。なお、支持部材40は紐状に限らず、棒状であっても良い。
【0063】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の車両Vの車両用シート装置S4について
図10に基づいて説明する。
なお、上述した車両用シート装置S1~S3と重複する内容は説明を省略する。
第4実施形態の車両用シート装置S4では、車両用シート装置S1~S3と比較して、前席2A、支持部材60の構成が主に異なっている。
【0064】
前席2Aは、シートバック20、シートクッション21、及びヘッドレスト22を有するシート本体と、シート本体を車体フロアFに取り付けるためのフット部材23Aと、後席1を支持する支持部材60と、を備える。
なお、前席2Aは、フット部材23Aによって車体フロアFに固定されている。しかしこれに限らず、タンブル状態との間で切り替え可能であっても良い。
【0065】
支持部材60は、前席2Aに格納された格納位置(
図10中、破線にて図示)と、格納位置から後席1側に向かって後方に展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。
格納位置は、支持部材60がシートクッション21の内側に格納される位置である。支持位置は、前席2Aからシートクッション21に対して後方にスライド移動され、後席1が収納状態のときに、後席1を下方から支持する位置である。
【0066】
支持部材60は、例えば板状のテーブル部材であって、前席2Aのシートクッション21に取り付けられる。なお、支持部材60は、支持位置におけるスライド位置を規制するための不図示のロック機構を有する。
支持部材60は、後席1が収納状態のときに、乗員によって展開されて格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1の移動を規制するように後席1を支持する。言い換えると、後席1が収納状態にあるとき、後席1は、支持部材60によって下方から支持される。そのため、後席1が収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。
【0067】
このように、支持部材60が前席2Aのシートクッション21に取り付けられるため、格納したときの省スペース化を図ることができる。なお、支持部材60は板状に限らず、棒状であっても良い。
【0068】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態の車両Vの車両用シート装置S5について
図11に基づいて説明する。
なお、上述した車両用シート装置S1~S4と重複する内容は説明を省略する。
第5実施形態の車両用シート装置S5では、車両用シート装置S1~S4と比較して、支持部材70の構成が主に異なっている。
【0069】
支持部材70は、前席2Aに格納された格納位置(
図11中、破線にて図示)と、格納位置から後席1側に向かって下方に展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。
格納位置は、支持部材70が、前席2の通常状態におけるシート本体の後面に沿って上下方向に延びるようにフット部材23に取り付けられる位置である。支持位置は、支持部材70が格納位置から後側下方に回動されて、後席1が収納状態のときに、後席1を下方から支持する位置である。
【0070】
支持部材70は、
図11に示すように、パイプ部材71と、パイプ部材71を回動可能にフット部材23Aに取り付けるパイプ回転軸72と、を有する。
なお、支持部材70は棒状のパイプ部材71に限らず、板状部材(例えばフットレスト)であっても良い。
【0071】
パイプ部材71は、前方からみたときにΠ状となるように屈曲され、支持部71aを有する棒状部材である。パイプ部材71は、パイプ回転軸72によって一対の脚部23Aaに回動可能に取り付けられる。支持部材70は、後席1が収納状態のときに乗員によって後方へ展開され、支持部71aによって後席1を下方から支持する。
パイプ回転軸72は、パイプ部材71を後側下方へ回動させるように、格納位置から支持位置に切り替える。なお、パイプ回転軸72は、支持位置における回転角度を規制するための不図示のロック機構を有する。
【0072】
このように、支持部材70が前席2Aのフット部材23Aに取り付けられるため、格納したときの省スペース化を図ることができる。また、支持部材70が棒状に形成されるため、さらに格納したときの省スペース化を図ることができる。
【0073】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態の車両Vの車両用シート装置S6について
図12に基づいて説明する。
なお、上述した車両用シート装置S1~S5と重複する内容は説明を省略する。
第6実施形態の車両用シート装置S6では、車両用シート装置S1~S5と比較して、支持部材80の構成が主に異なっている。
【0074】
支持部材80は、前席2Aに格納された格納位置(
図12中、破線にて図示)と、格納位置から後席1側に向かって後方に展開されて後席1を支持する支持位置との間で切り替え可能である。
格納位置は、支持部材80がシートバック20の後面に格納される位置である。支持位置は、後席1が収納状態のときに、後席1を上方から支持する位置である。
【0075】
支持部材80は、前席2Aのシートクッション21に取り付けられ、後席1が収納状態のときに、格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1の移動を規制するように後席1を支持する。言い換えると、後席1が収納状態にあるとき、後席1は、支持部材80によって上方から支持される。そのため、後席1が収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。
【0076】
支持部材80は、
図12に示すように、紐状部材81と、後席1と係合するための係合部82と、を有する。
【0077】
紐状部材81は、例えばスリングやワイヤである。紐状部材81の一端部81aは、シートバック20の後面に固定される。紐状部材81の他端部81bには、係合部82が設けられる。
係合部82は、紐状部材81の他端部81bに設けられ、シートクッション21の後面に着脱可能に取り付けられる。係合部82は、
図12中、破線で示すように、シートクッション21の後面に取り付けられる。支持部材80が後方へ展開されると、係合部82が後席1のシートバック10の下端部分に設けられた被係合部10dに係合される。
したがって、支持部材80は、後席1が収納状態のときに乗員によって展開され、係合部82によって後席1を上方から支持する。
【0078】
このように、支持部材80が前席2Aのシートバック20に取り付けられるため、格納したときの省スペース化を図ることができる。また、支持部材80が紐状に形成されるため、簡易な構成で後席1を支持することができる。なお、支持部材40は紐状に限らず、棒状であっても良い。
【0079】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態の車両Vの車両用シート装置S7について
図13に基づいて説明する。
なお、上述した車両用シート装置S1~S6と重複する内容は説明を省略する。
第7実施形態の車両用シート装置S7では、車両用シート装置S1~S6と比較して、後席1Aの構成が主に異なっている。
【0080】
後席1Aは、シートバック10、シートクッション11、及びヘッドレスト12を有するシート本体と、シート本体を車体フロアFに取り付けるための回動部材90と、シートクッション11に対してシートバック10を回動可能に連結する回動ロック部材14と、回動ロック部材14のロックを解除する操作部15と、を備える。
【0081】
後席1は、
図13中、破線で示す使用状態と、実線で示す収納状態との間で切り替え可能である。
使用状態は、乗員が着座可能な状態であって、シートバック10が起立した位置にいる状態である。収納状態は、使用状態からシートバック10及びシートクッション11が重なるように折り畳まれ、シートバック10及びシートクッション11が前方に平行移動されて、前方へ向かいながら下方移動して車体フロアFの下段部F2側へ収納された状態である。
【0082】
回動部材90は、
図13に示すように、車体フロアFの上段部F1に固定される上側回動部91と、車体フロアFの下段部F2に固定される下側回動部92と、を有する。上側回動部91は、シートバック10を回動可能に支持する。下側回動部92は、シートクッション11を回動可能に支持する。
なお、回動部材90は、シート幅方向に一対設けられ、シートバック10及びシートクッション11の両端側にそれぞれ配置される。
【0083】
上側回動部91は、上段部F1の前側部分における上側部分に固定される上側固定部91aと、上側固定部91aに回動可能に支持される上側アーム部91bと、上側アーム部91b及びシートバック10を回動可能に連結する上側連結部91cと、を有する。
下側回動部92は、下段部F2上に固定される下側固定部92aと、下側固定部92aに回動可能に支持される下側アーム部92bと、下側アーム部92b及びシートクッション11を回動可能に連結する下側連結部92cと、を有する。
【0084】
上側アーム部91bは、上側固定部91aに設けられた軸周りに回転する。下側アーム部92bは、下側固定部92aに設けられた軸周りに回転する。
シートバック10は、上側アーム部91bに上側連結部91cを介して回動可能に取り付けられ、シートクッション11は、下側アーム部92bに下側連結部92cを介して回動可能に取り付けられる。そのため、後席1Aは、使用状態から、シートバック10がシートクッション11に重なるように折り畳まれ、折り畳まれた姿勢のまま前側へ向かって下方に移動される。
【0085】
このように、回動部材90は、シート本体を平行移動させるように使用状態と収納状態との間で切り替えることができる。
なお、回動部材90には、シート本体を使用状態と収納状態との切り替え動作をアシストする付勢機構が設けられていても良い。
【0086】
支持部材30は、
図13に示すように前席2のシートクッション21に取り付けられ、後席1Aが収納状態のときに、格納位置から支持位置に切り替わることで、後席1Aの移動を規制するように後席1Aを支持する。言い換えると、後席1Aが収納状態にあるとき、後席1Aは、支持部材30によって下方から支持される。そのため、後席1Aが収納状態からさらに下方へ移動してしまうことを抑制できる。
【0087】
このように、後席1Aのシートバック10が前傾して折り畳まれて、シートバック10及びシートクッション11が重なった状態のまま移動されるため、簡易な構成で後席1Aを収納することができる。そして、支持部材30によって後席1Aのシートクッション11(クッションフレーム11c)が下方から支持されるため、支持強度を向上させることができる。
【0088】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シート装置及び車両について説明したが、特に限定されることなく、二輪車用の二輪シート、電車やバス等の車両用シート、飛行機や船等の乗り物用シートのほか、作業用の事務イス、車イス、ショッピングカートの子供用イス等の種々のシートに対して利用することができる。
【0089】
本実施形態では、主として本発明に係る車両用シート装置及び車両に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
V 車両
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7 車両用シート装置
F 車体フロア
F1 上段部
F2 下段部
P パッド材
T 表皮材
1、1A 後席
2、2A 前席
10 シートバック
10a バックフレーム
10b 下端部
10c 上端部
10d 被係合部
11 シートクッション
11a 前端部
11b 後端部
11c クッションフレーム
12 ヘッドレスト
13 ベース部材
13a 回動軸
13b 付勢機構
14 回動ロック部材
14a 傾動軸
14b ロック機構
15 操作部
20 シートバック
20a バックフレーム
20b 下端部
20c 上端部
21 シートクッション
21a 前端部
21b 後端部
21c クッションフレーム
22 ヘッドレスト
23、23A フット部材
23a、23Aa 脚部
23b 支持軸
23c 保持部
23d 付勢機構
24 回動ロック部材
24a 傾動軸
24b ロック機構
24c 被保持部
25 操作部
30 支持部材
31 板状部材
31a 支持面
32 回転軸
33 収納部
33a 凹部
33b 孔部
34 フック部
40 支持部材
41 パイプ部材
41a 支持部
42 パイプ回転軸
50 支持部材
51 紐状部材
51a 一端部
51b 他端部
52 係合部
60 支持部材
70 支持部材
71 パイプ部材
71a 支持部
72 パイプ回転軸
80 支持部材
81 紐状部材
81a 一端部
81b 他端部
82 係合部
90 回動部材
91 上側回動部
91a 上側固定部
91b 上側アーム部
91c 上側連結部
92 下側回動部
92a 下側固定部
92b 下側アーム部
92c 下側連結部