(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120798
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】照射装置
(51)【国際特許分類】
F21V 3/06 20180101AFI20240829BHJP
F21K 9/27 20160101ALI20240829BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20240829BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240829BHJP
【FI】
F21V3/06 110
F21K9/27
F21V3/02 400
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027858
(22)【出願日】2023-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】514054029
【氏名又は名称】株式会社飯田照明
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 和繁
(72)【発明者】
【氏名】飯田 史朗
(57)【要約】
【課題】透光性カバーに相当する部材が割れる可能性の低い照射装置を提供する。
【解決手段】照射装置1は、紫外線を照射する1個又は複数個のLED13を備えるLEDモジュール3と、LEDモジュール3を覆う透光性カバー部材7とを備え、透光性カバー部材7は、割れずに変形可能な筒状の樹脂チューブであり、LEDモジュール3は樹脂チューブ内に配されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射する1個又は複数個のLEDを備えるLEDモジュールと、
前記1個又は複数個のLEDの少なくとも1個を覆う透光性カバー部材と
を備え、
前記透光性カバー部材は、割れずに変形可能な筒状の樹脂チューブである、
照射装置。
【請求項2】
前記LEDモジュールはベース部材に搭載され、
前記LEDモジュールと前記ベース部材が、前記樹脂チューブ内に配されている、
請求項1に記載の照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源に使用した照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から紫外線を放射するブラックライト蛍光ランプがある。
近年、従来の紫外線ランプの代替として、紫外線を照射するLEDを利用する照射装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
この照射装置は、横断面が「C」字状をする透光性カバーと透光性カバーの開口を塞ぐ弓状のベース部材とから構成され且つ外観形状が円筒状をする筐体と、紫外線を発する複数のLEDが実装基板に実装されてなり且つ筐体内に収容されるLEDモジュールと、筐体の端部に装着される口金部材と、口金部材から受電してLEDモジュールを点灯させるための点灯回路とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、樹脂製の透光性カバーが割れる可能性がある。
本発明が解決しようとする課題は、透光性カバーに相当する部材が割れる可能性の低い照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、紫外線を照射する1個又は複数個のLEDを備えるLEDモジュールと、前記1個又は複数個のLEDの少なくとも1個を覆う透光性カバー部材とを備え、前記透光性カバー部材は、割れずに変形可能な筒状の樹脂チューブである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、透光性カバー部材が割れる可能性を低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の照射装置の外観斜視図であり、(a)は組立(完成)状態を示し、(b)は分解状態を示す。
【
図2】照射装置の断面であり、(a)は長手方向に沿った断面であり、(b)は長手方向と直交する断面である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
本発明の一態様に係る第1の照射装置は、紫外線を照射する1個又は複数個のLEDを備えるLEDモジュールと、前記1個又は複数個のLEDの少なくとも1個を覆う透光性カバー部材とを備え、前記透光性カバー部材は、割れずに変形可能な筒状の樹脂チューブである。
第2の照射装置は、第1の照射装置において、前記LEDモジュールはベース部材に搭載され、前記LEDモジュールと前記ベース部材が、前記樹脂チューブ内に配されている。
第3の照射装置は、第1の照射装置において、前記LEDモジュールが前記樹脂チューブ内収容された状態で、ベース部材に搭載されている。
【0009】
<実施形態>
<第1実施形態>
1.全体構成
照射装置1は、紫外線を照射するLED素子(以下、LEDとする)13を備えるLEDモジュール3と、LEDモジュール3を搭載するためのベース部材5と、LEDモジュール3を覆う透光性カバー部材7と、器具本体のソケットから電力を受電するための口金部材9と、口金部材9とLEDモジュール3とを電気的に接続する導電路に設けられた整流回路11(
図3参照)とを有する。
ここでの透光性カバー部材7は、LEDモジュール3から出射された光を透過させると共に、割れずに変形可能である。
照射装置1は、
図3に示すように、器具本体51に着脱可能に装着されて使用される。
【0010】
2.照射装置
(1)LEDモジュール
LEDモジュー35は、
図2に示すように、基板15と複数個のLED13とを備える。ここでのLEDモジュール3は長尺状をしている。つまり、照射装置1も長尺状をしている。
基板15は、接続端子や導電路(配線パターン)を有する。基板15は、ガラエポ等の複合材料板を利用できる。
LED13は、100nm以上、280nm以下の波長の紫外線(所謂、紫外線C波(UV-C))や、280nm超、315nm以下の波長の紫外線(所謂、紫外線B波(UV-B))や、315nm超、405nm以下の波長の紫外線(所謂、紫外線A波(UV-A))を照射する。
紫外線C波の場合、殺菌、画像検査用光源等の用途がある。紫外線B波の場合、果物の病気防止等の効果がある。紫外線A波の場合、樹脂硬化、光触媒、画像検査等の用途がある。なお、これらは一例である。
LED13の定格電力は、1W以上~5W未満であり、定格電流値よりも低い電流が供給される。
LED13は、長手方向に間隔(等間隔、異なる間隔を含む)をおいて、実装されている。間隔は、10mm以上120mm以下の範囲が好ましい。間隔は、LED13を平面視した際の一辺(矩形状の場合は短辺と長辺の平均値)の長さに対して、3倍以上40倍以下の範囲が好ましい。
これにより、LED13の間隔が大きくなり、LED13の温度上昇を抑制できる。
【0011】
(2)ベース部材
ベース部材5は長尺状をしている。ベース部材5の両端は、口金部材9に固定される。口金部材9との結合は、例えば、ねじ、リベット、接着、溶接、係合構造等を利用できる。ここでは、ねじ(図示省略)を利用している。
ベース部材5は、樹脂材料、金属材料(例えば、アルミニウム、スチール、鉄等である)により構成される。また、金属材料の場合、押出品や引抜品を利用できる。LED13の熱を放出させる場合、金属材料が好ましく、ヒートシンク機能を有することになる。
ベース部材5は、表面が平坦状をし、当該平坦面にLEDモジュール3が搭載される。なお、LEDモジュール3は、ねじ、接着剤、両面テープ等により平坦面に固定される。
ベース部材5は、平坦面を表面に有する板状部17の裏面から裏側に突出する突出部分19を有している。突出部分19は長手方向に延伸する。突出部分19は、複数あり、短手方向に間隔をおいて設けられている。なお、突出部分19はリブ状をしている。なお、放熱性を考慮しない場合、突出部分19はなくてもよい。
ベース部材5の外周面は、
図2の(b)に示すように、口金部材9の保持部27の内周面と同じような形状をしている。これにより、ベース部材5と口金部材9とのガタツキを小さくできる。
【0012】
(3)透光性カバー部材
透光性カバー部材7は、紫外線の透光性を有する樹脂材料により形成された樹脂チューブにより構成される。これにより、透光性カバー部材として、ガラス管(石英やほうけい酸)や、アクリル等の樹脂管を利用する場合に比べて、軽量化できる。
樹脂チューブは、チューブの中心軸に対して3点曲げのような負荷を作用させた場合、中心軸が90度に屈曲するような負荷を作用させた場合、中心軸と直交する方向(径方向)からチューブをつぶすような負荷を作用させた場合に、割れずに変形する。
これにより、照射装置1に物体が当たった場合でも、透光性カバー部材7が割れるようなことを防止できる。
【0013】
樹脂チューブは、LEDが照射する光が紫外線(UV-A,B,C)や可視光の場合、フッ素樹脂、PET樹脂等を利用できる。
樹脂チューブの厚みは、0.1mm以上2.0mm未満の範囲、0.1mm以上1.0mm未満の範囲、0.2mm以上0.5mm以下の範囲がより好ましい。これにより、LED13から出射された光を照射装置1の外部へと取り出す際の光の取出効率の低下を抑制できる。厚みが、0.2mm以上あれば、樹脂チューブを介して内部のLED13に物が当たった場合でも、LED13が破損するのを抑制できる。また、2.0mm以上になると、重くなると共に光の取出効率が悪くなる。
樹脂チューブの直径は、5mm以上50mm以下の範囲、10mm以上40mm以下の範囲が好ましい。特に、本発明品が代替する一対のフィラメント電極を備えるランプ(例えば、紫外線蛍光灯)は、直径が15.5mm~32.5mmのため、代替がしやすくなる。
【0014】
樹脂チューブに使用される樹脂は、ATSM試験D256Aの衝撃試験(アイゾット)で破壊しない材料が好ましい。これにより、樹脂チューブに物が衝突しても破壊し難くなる。
曲げ弾性率(ASTM試験D790)が0.3~0.9GPaが好ましい。これにより、樹脂チューブ内にLEDモジュール3等を挿入する際の作業性を向上できる。
比重(ASTM試験D792)は、2.0~2.3が好ましい。これにより、軽量化を図ることができる。
【0015】
(4)口金部材
口金部材9は、照射装置1を器具本体51に着脱可能に装着するための装着機能と、器具本体51から受電する受電機能とを有する。なお、口金部材9は、装着機能と受電機能とを有することを考慮すると、電気的及び機械的に接続する接続部材(形態は特に限定しない)といえる。
口金部材9は、ここでは、所謂、Gタイプであり、一対の導電ピン23と、導電ピン23を保持する本体部25と、ベース部材5の長手方向の両端部と結合することでベース部材5を保持する保持部27とを有している。
つまり、導電ピン23は本体部25を貫通する。保持部27は、筒状、ここで円筒状をし、その内部にベース部材5の端部が挿入される。ベース部材5と口金部材9とを結合するねじは、本体部25の貫通孔25aを長手方向に挿通して、ベース部材5の一対の突出部分19の間に螺合する。
【0016】
保持部27の外周(又は内周)には、透光性カバー部材7が固定される。具体的には、樹脂チューブの端部が保持部27の外周面(又は内周面)に接着剤、両面テープ等で固定され、樹脂チューブが保持部27の外周面に固定する場合、ゴムバンドを利用できる。接着剤は、保持部27の外周面(又は内周面)の全周に設けることが好ましい。これにより、チューブ内の密閉性を向上でき、虫等の侵入を防止できるなど防水防塵機能が搭載できる。
【0017】
(5)整流回路
整流回路11は、
図3に示すように、口金部材9とLEDモジュール3とを接続する。整流回路11は、ここではブリッジダイオード29により構成される。ブリッジダイオード29は、一対の口金部材9の導電ピン23と、LEDモジュール3の接続端子とに接続されている。なお、1つの口金部材9の一対の導電ピン23は接続(ショート)されている。
【0018】
3.器具本体
器具本体51は、
図3に示すように、照射装置1の口金部材9が装着される一対の装着部材53と、一対の装着部材53の一方の接続端子53aに接続された安定器55と、装着部材53の他方の接続端子53bに接続されるグローランプ57とを備える。ここでの器具本体51は、従来の蛍光灯やブラックライト等を装着可能な器具本体であり、安定器55として銅鉄タイプのスタータ形を利用している。
装着部材53は、一対の導電ピン23が挿入される挿入溝に接続端子53a,53bを備えるソケットである。
安定器55は商用電源に接続される。
【0019】
4.照射装置の使用について
照射装置1は、口金部材9が装着部材(ソケット)53に装着されることで、器具本体51に装着される。
器具本体51の電源スイッチがONされると、装着部材53を介して口金部材9に給電される。ON直後だけグローランプにも電流が流れるが、照射装置1の点灯には問題はない。紫外線を照射する照射装置1においては、スイッチONから点灯までの時間の長短は、実使用において問題にならない。
給電された交流電力は整流回路11により直流電力に変換されて、直流電力がLEDモジュール3に供給される。
【0020】
照射装置1は、整流回路11により整流された直流電流を平滑化する平滑回路又はこれに相当する機能を有する回路、電子素子(電気部品)(以下、これらを「回路等」とする)を備えていない。このため、照射装置1を非常に簡単な回路構成としても、紫外線を照射できる。なお、平滑回路を備えていないため、ちらつきが発生するが、当該ちらつきは、一般照明の用途では問題となるが、紫外線を照射する装置では、実使用において問題とならない。例えば、照射装置1は、ボックス内で対象物に紫外線を照射し、人が見る物を照射しないため、光のちらつきは問題とならない。
【0021】
<第2実施形態>
第1実施形態の照射装置1は、スタータ形の安定器55を備えていた器具本体51に装着されて使用することを想定している。このため、照射装置1は、整流回路11のみを備えている。
第2実施形態の照射装置101は、スタータ形安定器55以外のインバータ安定器を備える器具本体に装着されても使用できる装置である。
照射装置101は、整流回路11を備えるが、平滑回路又はこれに相当する機能の回路等を備えない。
【0022】
照射装置101は、高速ダイオード111を備える。これにより、低速のブリッジダイオード29の発熱を予防でき、インバータ安定器の器具本体にも使用可能となる。高速ダイオード111は、整流回路11の出力端子とLEDモジュール3の入力側端子との間に設けられている。
高速ダイオード111は、LEDモジュール3(LEDモジュールが複数個ある場合)やLED13が直列接続であれば、ブリッジダイオード29の出力側端子(プラス側)からLEDモジュール3を経由して入力側端子(マイナス側)までの任意の位置に接続してもよい。また、LEDモジュール3(LEDモジュールが複数個ある場合)やLED13が並列接続であれば、LEDモジュール3やLED13の前後の任意の位置に接続してもよい(但し、LEDモジュール3の内部に設置する場合は、それぞれの並列部に高速ダイオード111を設けるのが好ましい)。
【0023】
照射装置101は、器具本体の安定器が照射装置101の負荷を検知する場合、当該安定器用に負荷113を備える。負荷113は、例えば、口金部材9の一方の導電ピン23と整流回路11との間に接続される抵抗(例えば、フィラメント抵抗)である。
【0024】
照射装置101は、片側給電器具での短絡を防止するためのリセッタブルヒューズ115を備えてもよい。リセッタブルヒューズ115は、他方の導電ピン23と整流回路11との間に接続される。
なお、リセッタブルヒューズ115は、両サイドの導電ピン間に電源を内蔵しない細管G5口金タイプでは、両端に100Vが印加された場合を想定して、合計3つ設置され、電源内蔵タイプ(G13口金タイプ)では、両サイドの2つ設置される。
【0025】
照射装置101は、雑音防止用のコンデンサ117を備えてもよい。ここでは、コンデンサ117は、ブリッジダイオード29の出力間に設けられている。より具体的には、高速ダイオード111の入力/出力の両側で接続されている。
照射装置101は、口金部材9に100Vが直接印加された際の保護素子119を備えてもよい。保護素子119は、少なくとも一方の口金部材9と整流回路11との間に設けられている。
なお、リセッタブルヒューズ115、雑音防止用コンデンサ117、保護素子119の少なくとも1つは、第1実施形態の照射装置1に設けられてもよい。
【0026】
<実施例>
1.実施例1
照射装置1は、直径が15.5mmで、全長が210.5mmであり、殺菌灯(UV-Cの場合)、ブラックライト(UV-Aの場合)の6W形相当品である。なお、全長は、本体部25から延出する導電ピン33は除いている。
LED数は6個である。LED13は、平面視において、一辺が3mmの方形状をする。LED13の定格電力は2W、定格電流350mAである。投入電流は175mAであり、定格電流の50%である。LED13のピッチは27mmである。紫外線の波長は280nmである。照射装置1の寿命は12,000時間である。
透光性カバー部材7は、フッ素樹脂(PTFEやPFAである)の丸筒(円筒)チューブである。厚みは0.5mmである。
【0027】
2.実施例2
照射装置1は、直径が32.5mmで、全長が580mmであり、殺菌灯(UV-Cの場合)、ブラックライト(UV-Aの場合)の20W形相当品である。なお、全長は、本体部25から延出する導電ピン33は除いている。
LED数は9個である。LED13は、平面視において、一辺が3mmの方形状をする。LED13の定格電力は2W、定格電流350mAである。投入電流は200mAであり、定格電流の57%である。LED13のピッチは56mmである。紫外線の波長は280nmである。照射装置1の寿命は12,000時間である。
透光性カバー部材7は、フッ素樹脂(PTFEやPFAである)の丸筒(円筒)チューブである。厚みは0.2mmである。
【0028】
<変形例>
実施形態に係る照射装置を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0029】
1.照射装置
(1)実施形態に係る照射装置1は、LED13が照射する波長を適宜設定することで、現行のブラックライト蛍光灯や殺菌灯を代替できる。つまり、照射装置1は、現行のブラックライト蛍光灯や殺菌灯が取り付けられる器具本体51に対応する口金部材(接続部材)を備えることで、器具本体に着脱自在に装着して使用できる。
口金部材としては、G13タイプ、G5タイプ等があるが、他のタイプであってもよい。
【0030】
(2)実施形態の照射装置1は、器具本体51に着脱可能に装着することを前提としているが、照射装置は、器具本体に着脱不可能に組み込まれた状態としてもよい。
つまり、照明装置は、LED(波長の範囲は、紫外線、白色、青色、緑色、赤、赤外線等を含む)モジュールと、LEDモジュールが配されるベース部材と、LEDモジュールとベース部材とを内部に収容する筒状の透光性カバー部材(樹脂チューブ)とを少なくとも備え、ベース部材を固定状態で支持する支持部材と、LEDモジュールに電力を供給するための回路ユニットとを備えてもよい。
回路ユニットは、実施形態のように、整流回路(ダイオードブリッジ)を少なくとも備える。なお、整流回路の出力が0になる際のちらつきが、実使用において問題にならない場合は、回路ユニットは平滑回路又は平滑回路と同等な機能を有する回路等を備えなくてもよく、逆に問題になる場合(例えば、用途が一般照明の場合)は、平滑回路又は同等な機能を有する回路等を備える。
【0031】
(3)照射装置1は、樹脂チューブ内にLEDモジュール3とベース部材5とを挿入配置しやすい直管状をしているが、例えば、「U」字状、「L」字状、一部が除去された円環状や多角環状等をしてもよい。
【0032】
2.LEDモジュール
LED13は、定格電力が1W以上の、所謂、パワーLEDであるが、1Wは未満のLED素子を利用してもよい。
LED13の電流は、定格電流の40~60%の範囲が好ましい。これにより、発光効率を高めることができると共に12,000時間以上の長寿命を達成できる。
複数のLED13は、光の波長が1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。例えば、紫外線C波と紫外線A波との2種類を有することで、UV-Cによる殺菌とUV-Aの光触媒光源としてダブルにすることで除菌機能を高めることができる。
LEDモジュール3は、1個であってもよいし、複数個あってもよい。LED13は、1つのLEDモジュール3において、1個であってもよいし、複数個であってもよい。複数個のLEDモジュール3がある場合、少なくとも1個のLEDモジュール3にある1個以上のLEDが樹脂チューブにより覆われればよい。
【0033】
3.樹脂チューブ
樹脂チューブの剛性は、特に限定しないが、形状保持性を有していた方が好ましい。
ここでの形状保持性は、照射装置1を使用する状態(実施形態では、器具本体に装着された状態)で、周面が凹入したり、陥没したりしないことをいう。
樹脂チューブの厚みは、LED13からの光を吸収するため、光の取出効率の観点からは、薄い方が好ましい。厚みが薄くなると形状保持性が劣るため、形状保持性は、チューブの直径に依存する。また器具への取付性は厚い方が容易である。このため、樹脂チューブの厚みは、筒状の形状を維持できる厚み以上であって、当該厚みに対して2mmを加算した厚み以下が好ましい。
樹脂チューブの横断面形状は、円形状、楕円形状、長円形状、多角形状であってもよい。なお、樹脂チューブを使用することで、ベース部材の挿入等を容易に行うことができる。
【0034】
<発明>
実施形態及び変形例には、以下の発明が含まれる。
<発明1>
1.従来技術
従来から紫外線を放射するブラックライト蛍光ランプがある。
近年、従来の紫外線ランプの代替として、紫外線を照射するLEDを利用する照射装置が提案されている(例えば、特開2016-167589公報)。
この照射装置は、横断面が「C」字状をする透光性カバーと透光性カバーの開口を塞ぐ弓状のベース部材とから構成され且つ外観形状が円筒状をする筐体と、紫外線を発する複数のLEDが実装基板に実装されてなり且つ筐体内に収容されるLEDモジュールと、筐体の端部に装着される口金部材と、口金部材から受電してLEDモジュールを点灯させるための点灯回路とを備える。
2.課題
上記照射装置では、樹脂製の透光性カバーが割れる可能性がある。
発明1が解決しようとする課題は、透光性カバー部材が割れる可能性の低い照射装置を提供することにある。
3.課題を解決するための手段
発明1に係る照射装置は、紫外線を照射する1個又は複数個のLEDを備えるLEDモジュールと、前記1個又は複数個のLEDの少なくとも1個を覆う透光性カバー部材とを備え、前記透光性カバー部材は、割れずに変形可能な筒状の樹脂チューブである。
これにより、透光性カバー部材が割れる可能性の低い照射装置が得られる。
また、樹脂チューブにすることで、肉厚を薄くでき、これにより、UV-Cの透過を可能とできる。
4.その他
(1)透光性カバー部材の割れの問題は、食品、精密機械、半導体等の工場で一般照明として使用されている照明装置に特に顕著であり、発明1を一般照明用にも適用できる。
つまり、発明1に対応する発明の照射装置は、可視光を照射する1個又は複数個のLEDを備えるLEDモジュールと、前記LEDモジュールを覆う透光性カバー部材とを備え、前記透光性カバー部材は、割れずに変形可能な筒状の樹脂チューブである。
(2)従来、UV-Cを透過させるには、石英又はほうけい酸ガラスが必要となるが、薄い樹脂チューブとすることで、UV-Cの透過が可能になる。これにより、UV-Cを照射する照射装置において、石英やほうけい酸ガラスを使用しない、新規なUV-C照射装置が得られる。
【0035】
<発明2>
1.従来技術
従来から、外部からの物の衝撃による光源の破損を防ぐ照明器具として、例えば、光源(ランプ)を覆うカバー部材と当該カバー部材を固定するためのカバー固定部材とを備える光源保護カバーが提案されている(例えば、特開2006-204203号公報)。
ガラス管を有する蛍光灯等の光源が、光源保護カバー内に収容され、保護される。
2.課題
衝撃により破損する可能性のあるガラス管が光源保護カバーで保護されているため、照明器具が重くなるという課題がある。
この課題は、白色光を発する一般照明用の光源にも適用できる。
発明2が解決しようとする課題は、破損し難く、軽量化できる照射装置を提供することにある。
3.課題を解決するための手段
発明2に係る照射装置は、割れずに変形可能な筒状の透光性カバー部材と、1個又は複数個のLEDを備えるLEDモジュールとを備え、前記LEDモジュールは前記透光性カバー内に配される。
これにより、破損し難く、軽量化できる照射装置が得られる。なお、LEDモジュールと透光性カバー部材との間に、空気又は光の透過率が80%以上の物体以外が存在しないことが好ましい。
発明2に係る照射装置において、LEDが照射する光の波長は特に限定するものではなく、例えば、紫外線(A,B,C含む)、可視光等であってもよい。
【0036】
<発明3>
1.従来技術
従来から、LEDを発光させるための回路として、整流回路や平滑コンデンサ等を備えるLED点灯装置が提案されている(例えば、特開2015-011868号公報)。
2.課題
上記LED点灯装置では、回路が複雑となる課題がある。
発明3が解決しようとする課題は、簡単な回路構成の照射装置を提供することにある。
3.課題を解決するための手段
発明3に係る照射装置は、器具本体から受電するための接続部材と、紫外線を照射するLEDモジュールと、前記接続部材と前記LEDモジュールとを接続する導電路上に設けられる整流回路とを備え、平滑回路を備えない。
これにより、回路構成が簡単な照射装置が得られる。
なお、一般照明用の照射装置は、可視光の場合はちらつきが発生し、本来の照明の目的を果たすことができなくなり、またこれを防止するための電気用品安全法(PSE)の規制により、平滑回路を備えない構成とすることはできない。
【0037】
<その他>
発明1~3は、実施形態に記載の構成を備えてもよいし、発明1~3の各構成を組み合わせてもよい。また、各発明の照射装置は、所謂、器具本体に着脱可能に装着される照射装置であってもよいし、器具本体と一体化(組み込まれた)された照射装置であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 照射装置
3 LEDモジュール
5 ベース部材
7 透光性カバー部材
9 口金部材
11 整流回路
13 LED