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  • 特開-建築物及び建築方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120803
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】建築物及び建築方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20240829BHJP
   E04B 1/08 20060101ALI20240829BHJP
   E04B 1/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E04B2/56 651D
E04B1/08
E04B1/10
E04B2/56 605D
E04B2/56 611C
E04B2/56 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027864
(22)【出願日】2023-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】722003428
【氏名又は名称】株式会社英知
(72)【発明者】
【氏名】樋口 廷之
(72)【発明者】
【氏名】緑川 修
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002FA02
2E002FA03
2E002FA08
2E002FB15
2E002LA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐久性及び強度が高く、更に居住性及びデザイン性に優れた建築構造及び前記建築物を産業上有利に構築できる方法を提供する。
【解決手段】4以上の壁面を含む建築物であって、2以上の前記壁面が、すべてトラス構造で構成され、前記トラス構造が、例えば、長尺状物と接合部材との組み合わせからなる直角三角形の形状からなる建築物が種々の建築物に適用可能であり、特に家屋などに有用である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4以上の壁面を含む建築物であって、2以上の前記壁面が、すべてトラス構造で構成されていることを特徴とする建築物。
【請求項2】
隣り合う2以上の前記壁面がすべてトラス構造で構成されている請求項1記載の建築物。
【請求項3】
対向する2面以上の前記壁面がすべてトラス構造で構成されている請求項1記載の建築物。
【請求項4】
前記トラス構造が直角三角形の形状である請求項1記載の建築物。
【請求項5】
前記トラス構造が二等辺三角形の形状である請求項1記載の建築物。
【請求項6】
前記トラス構造が長尺状物と接合部材との組み合わせからなる請求項1記載の建築物。
【請求項7】
前記長尺状物が木材から構成されている請求項6記載の建築物。
【請求項8】
前記長尺状物が鋼材から構成されている請求項6記載の建築物。
【請求項9】
前記鋼材が、C形チャンネルである請求項8記載の建築物。
【請求項10】
前記トラス構造の斜辺が、前記建築物の中心に対して左上から右下へ伸びている請求項4記載の建築物。
【請求項11】
4以上の壁面を用いて建築物を建築する方法であって、2以上の前記壁面をすべてトラス構造を用いて形成することを特徴とする方法。
【請求項12】
隣り合う2以上の前記壁面をすべてトラス構造で形成する請求項11記載の方法。
【請求項13】
対向する2面以上の前記壁面をすべてトラス構造で形成する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記トラス構造が直角三角形の形状である請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記トラス構造が二等辺三角形の形状である請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記トラス構造が長尺状物と接合部材との組み合わせからなる請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記長尺状物が木材から構成されている請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記長尺状物が鋼材から構成されている請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記鋼材が、C形チャンネルである請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記トラス構造の斜辺を、前記建築物の中心に対して左上から右下へ伸びるように配置する請求項14記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラス構造が用いられた建築物又はトラス構造を用いる建築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の耐震構造および地震対策が大きな関心事となっている。耐震性の問題から建築物の構造を補強し、十分な強度を維持しながら構面にガラスを嵌込する耐震補強を行うことが困難であるなどという問題があった。
【0003】
近年においては、繊維シートを用いた住宅の耐震性の向上が検討されている(例えば特許文献1)。しかしながら、このような建築構造の作製工程が複雑化、高度化し、根本的な問題解決には至っていなかった。そのため、住宅の耐震構造を容易に形成でき、耐久性及び強度が高く、さらには、デザイン性に優れた建築物を容易に作製できるような方策が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5518017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐久性及び強度が高く、更に居住性及びデザイン性に優れた建築物及び前記建築物を産業上有利に建築できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、4以上の壁面を含む建築物であって、2以上の前記壁面が、すべてトラス構造で構成されている建築物が、耐震性、耐久性及び強度において優れており、更に居住性及びデザイン性に優れていることを見出し、このような建築構造が上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 4以上の壁面を含む建築物であって、2以上の前記壁面が、すべてトラス構造で構成されていることを特徴とする建築物。
[2] 隣り合う2以上の前記壁面がすべてトラス構造で構成されている前記[1]記載の建築物。
[3] 対向する2面以上の前記壁面がすべてトラス構造で構成されている前記[1]記載の建築物。
[4] 前記トラス構造が直角三角形の形状である前記[1]記載の建築物。
[5] 前記トラス構造が二等辺三角形の形状である前記[1]記載の建築物。
[6] 前記トラス構造が長尺状物と接合部材との組み合わせからなる前記[1]記載の建築物。
[7] 前記長尺状物が木材から構成されている前記[6]記載の建築物。
[8] 前記長尺状物が鋼材から構成されている前記[6]記載の建築物。
[9] 前記鋼材が、C形チャンネルである前記[8]記載の建築物。
[10] 前記トラス構造の斜辺が、前記建築物の中心に対して左上から右下へ伸びている前記[4]記載の建築物。
[11] 4以上の壁面を用いて建築物を建築する方法であって、2以上の前記壁面をすべてトラス構造を用いて形成することを特徴とする方法。
[12] 隣り合う2以上の前記壁面をすべてトラス構造で形成する前記[11]記載の方法。
[13] 対向する2面以上の前記壁面をすべてトラス構造で形成する前記[12]記載の方法。
[14] 前記トラス構造が直角三角形の形状である前記[11]記載の方法。
[15] 前記トラス構造が二等辺三角形の形状である前記[11]記載の方法。
[16] 前記トラス構造が長尺状物と接合部材との組み合わせからなる前記[11]記載の方法。
[17] 前記長尺状物が木材から構成されている前記[16]記載の方法。
[18] 前記長尺状物が鋼材から構成されている前記[16]記載の方法。
[19] 前記鋼材が、C形チャンネルである前記[18]記載の方法。
[20] 前記トラス構造の斜辺を、前記建築物の中心に対して左上から右下へ伸びるように配置する前記[14]記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐久性及び強度が高く、更に居住性及びデザイン性に優れた建築物及び前記建築物を産業上有利に建築できる方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明において隣り合う2面がトラス構造で形成された壁構造の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
図2】本発明において隣り合う2面がトラス構造で形成された壁構造の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
図3】本発明において対向する2面がトラス構造で形成された壁構造の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
図4】本発明において対向する2面がトラス構造で形成された壁構造の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
図5】本発明においてトラス構造で形成された建築物の好適な態様の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の建築物は、4以上の壁面(以下、単に「面」ともいう)を含む建築物であって、2以上の前記壁面が、すべてトラス構造で構成されていることを特長とする。
【0011】
本発明の建築物において、隣り合う2以上の前記面がすべてトラス構造で構成されているのが好ましく、また、対向する2面以上の前記面がすべてトラス構造で構成されているのが好ましい。前記トラス構造が、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、直角三角形の形状であるのが好ましく、また、二等辺三角形の形状であるのも好ましい。本発明において、前記トラス構造は、長尺状物と接合部材との組み合わせからなるのが好ましい。また、前記トラス構造は、前記接合部材を2個以上、前記長尺状物を3個以上用いられるのが好ましい。なお、本発明においては、前記トラス状の具体的な形状が前記建築物の種類等、地球の自転や重力に応じて適宜設定されるのが好ましく、例えば、前記トラス状の斜辺が左上から右下へ伸びているのが好ましい。このような好ましい範囲によれば、より耐久性に優れ、かつ、より自然に調和した建築物とすることができる。
【0012】
前記長尺状物の種類としては、特に限定されないが、本発明においては、前記長尺状物は本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、木材から構成されているのが好ましく、例えば、角材、廃材又は間伐材等が挙げられる。また、前記長尺状物が鋼材から構成されているのも好ましく、例えば、前記鋼材がC形チャンネルであるのが好ましい。前記長尺状物の長さは特に限定されないが、20cmから2mであるのが好ましい。
【0013】
前記接合部材は、前記長尺状物同士を螺合により接合するための螺合部を1つ以上具備しているのが好ましい。前記接合部材の螺合部の位置及び大きさは、特に限定されないが、本発明においては、前記接合部材の端部近傍の位置に前記螺合部が設けられているのが好ましい。また、前記接合部材は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、治具を含むのが好ましく、ガセットプレートと治具との組み合わせであるのがより好ましい。前記ガセットプレートは、公知のガセットプレートであってよい。また、前記治具は、例えば、ボルト及びナット又は釘等の公知の治具であってよく、治具の数等は本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、適宜設定されてよい。前記接合部材は公知の接合部材が用いられ得る。
【0014】
本発明においては、建築物の壁構造からなる4以上の面のうち、2以上の前記面をすべてトラス構造で形成するのが好ましく、前記壁面をすべてトラス構造で形成することにより、容易に作製することができる。このような方法も本発明に含まれる。また、本発明の目的を阻害しない限り、建築手段は特に限定されず公知の手段であってよい。
【0015】
本発明においては、前記接合部材と前記長尺状物同士の組合せにより、トラス構造を形成するのが好ましく、このような好ましい範囲で、建築物の壁構造を構成することにより、建築物の壁構造は耐久性及び強度がより高く、更に居住性及びデザイン性により優れたものとすることができる。
【実施例0016】
以下、図面を用いて、本発明の好適な態様をより具体的に説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明において隣り合う2面がトラス構造で構成された壁構造の好適な一例を模式的に示す。図1の壁構造10は、木材1、ガセットプレート2及び治具32からなっており、隣り合う2以上の前記面がすべてトラス構造で構成されている。木材1とガセットプレート2は、治具32を用いて螺合可能な構成となっており、螺合することで木材1同士を固定して、前記トラス構造を形成している。前記トラス構造は直角三角形の形状をしている。これらの構成により壁構造全体の耐久性、耐震性及びデザイン性をより向上させている。
【0018】
図2は、本発明において隣り合う2面がトラス構造で構成された壁構造の好適な一例を模式的に示す。図2の壁構造10は、ガセットプレート2、C形チャンネル12及び治具32からなっており、隣り合う2面がすべてトラス構造で構成されている。C形チャンネル12とガセットプレート2は、治具32を用いて螺合可能な構成となっており、螺合することでC形チャンネル12同士を固定し、トラス構造を形成している。前記トラス構造は直角三角形の形状をしている。これらの構成により壁構造の耐久性、耐震性及びデザイン性をより向上させている。
【0019】
図3は、本発明において対向する2面がトラス構造で構成された壁構造の好適な一例を模式的に示す。図3の壁構造10は、ガセットプレート2、C形チャンネル12及び治具32からなっており、対向する2面の面がすべてトラス構造で構成されている。C形チャンネル12とガセットプレート2は、治具32を用いて螺合可能な構成となっており、螺合することでC形チャンネル12同士を固定し、前記トラス構造を形成している。前記トラス構造は直角三角形の形状をしている。これらの構成により壁構造の耐久性、耐震性及びデザイン性をより向上させている。
【0020】
図4は、本発明において対向する2面がトラス構造で構成された壁構造の好適な一例を模式的に示す。図4の壁構造10は、木材1、ガセットプレート2及び治具32からなっており、対向する2面の面がすべてトラス構造で構成されている。木材1とガセットプレート2は、治具32を用いて螺合可能な構成となっており、螺合することで木材1同士を固定し、前記トラス構造を形成している。前記トラス構造は直角三角形の形状をしている。これらの構成により壁構造の耐久性、耐震性及びデザイン性をより向上させている。
【0021】
図5は、本発明において建築物の好適な態様の一例を示す。図5の建築物100は、窓120及びドア110からなっており、建築物100の壁面4面のうち、図示していない2面をすべてトラス構造で構成することで、前記2面の対となる2面(120a、120b)をガラス張り構造にすることができる。このように構成することで、建築物全体の耐久性、強度、耐震性及びデザイン性をより向上させている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の建築物は、種々の建築物に適用可能であり、特に家屋などに有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 木材
2 ガセットプレート
5 支柱
10 壁構造
12 C形チャンネル
32 治具
42 屋根部
100 建築物
110 ドア
120a ガラス面a
120b ガラス面b

図1
図2
図3
図4
図5