(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120828
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ウェーハハンドリングシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01L21/304 651D
H01L21/304 647Z
H01L21/304 645B
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115133
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】112107000
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519404230
【氏名又は名称】日揚科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】寇崇善
(72)【発明者】
【氏名】張建成
(72)【発明者】
【氏名】張家歐
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB35
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC23
5F157BB23
5F157BB42
5F157BG03
5F157BG22
5F157BG76
5F157BH18
5F157CB23
5F157CB29
5F157CF16
5F157CF34
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB32
(57)【要約】
【課題】ウェーハハンドリングシステムを提供する。
【解決手段】ウェーハハンドリングシステムは、処理槽と、洗浄装置と、乾燥装置と、を備える。処理槽は、カンチレバー式回転装置と、動的バランス補正装置と、を有する。カンチレバー式回転装置は、各仕様パラメータを有するウエハーを保持して、ウエハーをカンチレバー式回転装置の回転軸を中心として回転するための保持部を有する。動的バランス補正装置は、カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する動的バランス補正を行うことにより、カンチレバー式回転装置は、回転しているときに、動的バランス状態にある。洗浄装置の動的ノズルユニットは、洗浄流体を噴射して、回転しているウエハーを洗浄する。乾燥装置は、回転しているウエハーを乾燥するためのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンチレバー式回転装置と、動的バランス補正装置と、を備え、前記カンチレバー式回転装置は、色々な仕様パラメータを有するウエハーを保持することにより、前記ウエハーを前記カンチレバー式回転装置の回転軸を中心として回転するための保持部を備え、前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する動的バランス補正を行うことにより、前記カンチレバー式回転装置は、回転している時に、動的バランス状態にある少なくとも一つの処理槽と、
少なくとも一つの動的ノズルユニットを有し、前記動的ノズルユニットは、前記ウエハーの前記仕様パラメータに応じて、少なくとも一つの作動パラメータを調整して、前記カンチレバー式回転装置が回転しているときに、前記ウエハーに対して洗浄流体を噴射することにより、洗浄プロセスを行う洗浄装置と、
前記カンチレバー式回転装置が回転しているときに、前記洗浄プロセスのハンドリングを受けた前記ウエハーに対して、乾燥プロセスを行う乾燥装置と、を少なくとも備えることを特徴とする、
ウェーハハンドリングシステム。
【請求項2】
前記カンチレバー式回転装置の前記回転軸は、水平面に平行ではない角度で斜めに回転することを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項3】
前記処理槽は、少なくとも一セットの防振脚を介して、プラットフォームに設けられていることにより、前記処理槽の少なくとも一つの振動値を既定値より小さくすることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項4】
前記動的バランス状態で、前記カンチレバー式回転装置が回転しているときに、前記回転軸の軸線は、前記ウエハーを保持する前記カンチレバー式回転装置の重心線と一致することを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項5】
前記処理槽は、更に、前記カンチレバー式回転装置を囲むシールドを有することを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項6】
前記シールドの内側はカットオフプレートを有し、前記カットオフプレートのカットオフ口は、前記ウエハーが回転する時の接線方向に面することにより、回転する前記ウエハーに対して前記洗浄プロセスを行った前記洗浄流体をカットオフすることを特徴とする、請求項5に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項7】
前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置の前記保持部及び/又は前記回転軸に設けられていることにより、非接触力を利用して、前記カンチレバー式回転装置に対して前記動的バランス補正を行い、これにより、前記カンチレバー式回転装置が回転しているときに、前記動的バランス状態を維持することができることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項8】
前記動的バランス補正装置は、能動的磁気軸受であり、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うためのものであることを特徴とする、請求項7に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項9】
前記動的バランス補正装置は、少なくとも一つの第1の磁性素子と、少なくとも一つの第2の磁性素子と、を備え、前記第1の磁性素子は、前記カンチレバー式回転装置を囲むように設けられており、前記第2の磁性素子は、非接触式で前記カンチレバー式回転装置を囲むことにより、前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子との間にある前記非接触力により、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うことを特徴とする、請求項7に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項10】
前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置に設けられている重心調整構造であり、前記ウエハーを保持する前記カンチレバー式回転装置の重心線と前記回転軸の軸線の一致程度を補正するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項11】
前記重心調整構造は、旋回・伸縮・移動することにより、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うことを特徴とする、請求項10に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項12】
前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置の前記保持部の少なくとも一つのウエハーブラケットであり、前記ウエハーブラケットは、前記回転軸の軸線方向に沿って、不均一な断面積を有することを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項13】
前記洗浄流体は、洗浄液及び/又は高温蒸気であることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項14】
更に、マイクロ波発生ユニットを備え、前記マイクロ波発生ユニットは、マイクロ波を発生することにより、一部や全部の前記洗浄液を加熱して前記高温蒸気になることを特徴とする、請求項13に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項15】
更に、少なくとも一つの補助ガス供給源を備え、前記補助ガス供給源により、前記処理槽に少なくとも一つの補助ガスを供給することを特徴とする、請求項1又は13に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項16】
前記洗浄流体は水溶液及び/又は高温蒸気を含有し、前記補助ガスはオゾンであることにより、前記洗浄流体が前記補助ガスと反応してオゾン水溶液を形成して、前記ウエハーを洗浄することを特徴とする、請求項15に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項17】
前記補助ガスは高温窒素ガスであることにより、前記ウエハーの乾燥を補助することを特徴とする、請求項15に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項18】
前記乾燥装置は、熱エネルギー供給ユニット及び/又はガス排出ユニットを備え、前記熱エネルギー供給ユニットは、前記乾燥プロセスにおいて、前記処理槽に熱エネルギーを供給し、前記ガス排出ユニットは、前記乾燥プロセスにおいて、前記処理槽の圧力を1atmより低くすることにより、前記ウエハーの乾燥を加速することを特徴とする、請求項15に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項19】
前記ウエハーの前記仕様パラメータは、数量、重さ、位置および寸法で構成されるグループから選ばれ、前記動的ノズルユニットの前記作動パラメータは、前記動的ノズルユニットの噴射方向、前記動的ノズルユニットの数量、前記洗浄流体の流量、前記動的ノズルユニットの往復運動の速度および洗浄時間で構成されるグループから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項20】
前記動的ノズルユニットは、複数あり、互いに協力して前記ウエハーを洗浄することを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項21】
前記動的ノズルユニットは、スキャニング式で前記ウエハーに対して、前記洗浄流体を噴射して前記ウエハーを洗浄することを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項22】
前記カンチレバー式回転装置は、一側が支持端であり、他側が自由端であり、前記ウエハーは、前記自由端を経由して、前記カンチレバー式回転装置の前記保持部に脱着可能に置かれていることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【請求項23】
前記動的バランス補正装置は、前記ウエハーの前記仕様パラメータ、前記動的ノズルユニットの前記作動パラメータ、前記回転軸の回転速度及び/又は振動状態によって、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うことを特徴とする、請求項1に記載のウェーハハンドリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハハンドリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造にはかなりのプロセスが必要であり、且つ多くの場合、プロセスが完成する前に洗浄と乾燥などのプロセスが必要になる。しかし、従来の洗浄プロセスは、速度が遅くて、廃液が発生しやすい。例えば、リソグラフィープロセスにおいて、フォトレジスト層を完全に洗浄して除去しないと、後のプロセスの清浄度を確保することができないが、従来の方式は、高温の硫酸/過酸化水素を洗浄剤とすることが殆どであり、その欠点は、大量の廃酸が生成するため、地球環境に優しくない。目下、ある技術において、オゾン技術で従来のフォトレジスト除去剤を取り替えるテストがあるが、オゾンの溶解度、安定度および物質移動速度の制限により、フォトレジストを効率的に除去することは困難である。また、半導体材料(例えばウエハー)は、硬さが強いが、脆性が高いため、洗浄や乾燥などのプロセスにおいて、不均一な力や振動現象により、欠陥や欠けなどの問題を引き起こす可能性がある。さらに、半導体の集積度がますます高くなるにつれて、デバイススタック構造のアスペクト比(Aspect Ratio)もますます高くなるため、従来の洗浄プロセス及び乾燥プロセスによって望ましい効果を達成することがより困難になる。このため、従来の半導体ハンドリング技術には依然として改善の余地が多くある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、カンチレバー式回転装置が、必要な速度でウエハーを回転することができ、部材を節約することもできるため、処理槽の内部をもっと簡潔にすることができるウェーハハンドリングシステムを提供することにある。
【0004】
本発明の次の目的は、カンチレバー式回転装置が、ウエハーを斜めに回転することにより、ウエハーの洗浄および乾燥の効率を向上することができ、傾斜式のカットオフプレートにより、洗浄流体の排除が更に良くなり、洗浄流体が処理槽に溜まることを防止することができるウェーハハンドリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、カンチレバー式回転装置と、動的バランス補正装置と、を備え、カンチレバー式回転装置は、色々な仕様パラメータを有するウエハーを保持することにより、ウエハーをカンチレバー式回転装置の回転軸を中心として回転するための保持部を備え、動的バランス補正装置は、カンチレバー式回転装置に対して、対応する動的バランス補正を行うことにより、カンチレバー式回転装置は、回転している時に、動的バランス状態にある少なくとも一つの処理槽と、少なくとも一つの動的ノズルユニットを有し、動的ノズルユニットは、ウエハーの仕様パラメータに応じて、少なくとも一つの作動パラメータを調整して、カンチレバー式回転装置が回転しているときに、ウエハーに対して洗浄流体を噴射することにより、洗浄プロセスを行う洗浄装置と、カンチレバー式回転装置が回転しているときに、洗浄プロセスハンドリングを受けたウエハーに対して、乾燥プロセスを行う乾燥装置と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記カンチレバー式回転装置の前記回転軸は、水平面に平行ではない角度で斜めに回転することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記処理槽は、少なくとも一セットの防振脚を介して、プラットフォームに設けられていることにより、前記処理槽の少なくとも一つの振動値を既定値より小さくすることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス状態で、前記カンチレバー式回転装置が回転しているときに、前記回転軸の軸線は、前記ウエハーを保持する前記カンチレバー式回転装置の重心線と一致することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記処理槽は、更に、前記カンチレバー式回転装置を囲むシールドを有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記シールドの内側はカットオフプレートを有し、前記カットオフプレートのカットオフ口は、前記ウエハーが回転する時の接線方向に面することにより、回転する前記ウエハーに対して前記洗浄プロセスを行った前記洗浄流体をカットオフすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置の前記保持部及び/又は前記回転軸に設けられていることにより、非接触力を利用して、前記カンチレバー式回転装置に対して前記動的バランス補正を行い、これにより、前記カンチレバー式回転装置が回転しているときに、前記動的バランス状態を維持することができることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス補正装置は、能動的磁気軸受であり、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うためのものであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス補正装置は、少なくとも一つの第1の磁性素子と、少なくとも一つの第2の磁性素子と、を備え、前記第1の磁性素子は、前記カンチレバー式回転装置を囲むように設けられており、前記第2の磁性素子は、非接触式で前記カンチレバー式回転装置を囲むことにより、前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子との間にある前記非接触力により、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置に設けられている重心調整構造であり、前記ウエハーを保持する前記カンチレバー式回転装置の重心線と前記回転軸の軸線の一致程度を補正するためのものであることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記重心調整構造は、旋回・伸縮・移動することにより、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス補正装置は、前記カンチレバー式回転装置の前記保持部の少なくとも一つのウエハーブラケットであり、前記ウエハーブラケットは、前記回転軸の軸線方向に沿って、不均一な断面積を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記洗浄流体は、洗浄液及び/又は高温蒸気であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、更に、マイクロ波発生ユニットを備え、前記マイクロ波発生ユニットは、マイクロ波を発生することにより、一部や全部の前記洗浄液を加熱して前記高温蒸気になることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、更に、少なくとも一つの補助ガス供給源を備え、前記補助ガス供給源により、前記処理槽に少なくとも一つの補助ガスを供給することを特徴とする。
【0020】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記洗浄流体は水溶液及び/又は高温蒸気を含有し、前記補助ガスはオゾンであることにより、前記洗浄流体が前記補助ガスと反応してオゾン水溶液を形成して、前記ウエハーを洗浄することを特徴とする。
【0021】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記補助ガスは高温窒素ガスであることにより、前記ウエハーの乾燥を補助することを特徴とする。
【0022】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記乾燥装置は、熱エネルギー供給ユニット及び/又はガス排出ユニットを備え、前記熱エネルギー供給ユニットは、前記乾燥プロセスにおいて、前記処理槽に熱エネルギーを供給し、前記ガス排出ユニットは、前記乾燥プロセスにおいて、前記処理槽の圧力を1atmより低くすることにより、前記ウエハーの乾燥を加速することを特徴とする。
【0023】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記ウエハーの前記仕様パラメータは、数量、重さ、位置および寸法で構成されるグループから選ばれ、前記動的ノズルユニットの前記作動パラメータは、前記動的ノズルユニットの噴射方向、前記動的ノズルユニットの数量、前記洗浄流体の流量、前記動的ノズルユニットの往復運動の速度および洗浄時間で構成されるグループから選ばれることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的ノズルユニットは、複数あり、互いに協力して前記ウエハーを洗浄することを特徴とする。
【0025】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的ノズルユニットは、スキャニング式で前記ウエハーに対して、前記洗浄流体を噴射して前記ウエハーを洗浄することを特徴とする。
【0026】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記カンチレバー式回転装置は、一側が支持端であり、他側が自由端であり、前記ウエハーは、前記自由端を経由して、前記カンチレバー式回転装置の前記保持部に脱着可能に置かれていることを特徴とする。
【0027】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムは、前記動的バランス補正装置は、前記ウエハーの前記仕様パラメータ、前記動的ノズルユニットの前記作動パラメータ、前記回転軸の回転速度及び/又は振動状態によって、前記カンチレバー式回転装置に対して、それに対応する前記動的バランス補正を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムには、次のような効果がある。
(1)カンチレバー式回転装置が、必要な速度でウエハーを回転することができ、部材を節約することもできるため、処理槽の内部をより簡潔にすることができる。
【0029】
(2)カンチレバー式回転装置が、ウエハーを斜めに回転することにより、ウエハーの洗浄および乾燥の効率を向上することができ、傾斜式のカットオフプレートにより、洗浄流体の排除が更に良くなり、洗浄流体が処理槽に溜まることを防止することができる。
【0030】
(3)動的バランス補正装置が、回転している、各仕様パラメータを有するウエハーを保持するカンチレバー式回転装置を、動的バランス状態に保持することができる。
【0031】
(4)動的ノズルユニットにより洗浄プロセスを行うときに、ウエハーの仕様パラメータによって作動パラメータを調整することができ、これにより、洗浄流体の使用量を節約することができ、且つ洗浄効果がより早く得られる。
【0032】
(5)補助ガス供給源からの補助ガスが、ウエハーの洗浄を補助することができ、ウエハーの乾燥を補助することもできる。
【0033】
(6)乾燥装置が、処理槽内の温度を上げるための熱エネルギー供給ユニットと、処理槽の気圧を降下するためのガス排出ユニットを有する。これにより、ウエハーの乾燥を加速することができる。
【0034】
(7)硬質素材を採用する防振脚により、振動値を有効に低減することができる。
【0035】
(8)蒸気オゾン剥離(VOS)技術を採用することにより、フォトレジストを洗浄して除去する効果を向上することができ、環境、健康、安全への影響も大幅に軽減することができる。
【0036】
本発明の技術的特徴および達成し得る技術的効能の理解を深めるために、より良い実施例と詳細な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの構造を示す正面図である。
【
図2】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの作動を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第1の実施の態様を示す側面図である。
【
図4】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第2の実施の態様を示す側面図である。
【
図5】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第3の実施の態様を示す側面図である。
【
図6】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第3の実施の態様が動的バランス補正を行っていない状態を示す側面図である。
【
図7】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第4の実施の態様を示す側面図である。
【
図8】本発明に係るウェーハハンドリングシステムの保持部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施の形態の図面における各部材の比率は、説明を容易に理解するために示され、実際の比率ではない。また、図に示すアセンブリの寸法の比率は、各部品とその構造を説明するためのものであり、もちろん、本発明はこれに限定されない。一方、理解を便利にするために、以下の実施の形態における同じ部品については、同じ符号を付して説明する。
【0039】
さらに、明細書全体および請求の範囲で使用される用語は、特に明記しない限り、通常、この分野、本明細書に開示される内容、および特別な内容で使用される各用語の通常の意味を有する。本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、当業者に本発明の説明に関する追加のガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明される。
【0040】
この記事での「第1」、「第2」、「第3」などの使用については、順序や順次を具体的に示すものではなく、本発明を制限するためにも使用されていない。これは、同じ専門用語で説明するコンポーネントまたは操作を区別するだけために使用される。
【0041】
次に、この記事で「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語が使用されている場合、それらはすべてオープンな用語である。つまり、これらは、含むがこれに限定されないことを意味する。
【0042】
図1から
図8を参照する。
図1は本発明に係るウェーハハンドリングシステムのシステムの構造を示す正面図である。
図2は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの作動を示すブロック図である。
図3は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第1の実施の態様を示す側面図である。
図4は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第2の実施の態様を示す側面図である。
図5は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第3の実施の態様を示す側面図である。
図6は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第3の実施の態様が動的バランス補正を行っていない状態を示す側面図である。
図7は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの第4の実施の態様を示す側面図である。
図8は本発明に係るウェーハハンドリングシステムの保持部の構造を示す斜視図である。本発明の構造の設計をより明確に示すために、
図2から
図8は本発明の局所的な構造だけを示す。
【0043】
本発明に係るウェーハハンドリングシステム100は、少なくとも一つの処理槽10と、洗浄装置40と、乾燥装置60と、を備える。
処理槽10は、カンチレバー式回転装置20と、動的バランス補正装置30と、を有する。カンチレバー式回転装置20は、保持部22と、回転軸24と、を有する。保持部22は、
図2から
図8に示すように、各仕様パラメータを有するウエハー80を脱着可能に載せて保持するためのウエハーボックス90であり、更に、例えば、
図1に示すように、各仕様パラメータを有するウエハー80を脱着可能に保持することができる。ウエハー80の仕様パラメータは、例えば、数量、重さ、位置および寸法で構成されるグループから選ばれる。回転軸24は保持部22を回転することにより、ウエハー80が回転軸24の軸線を中心として回転軸24に沿って回転し、例えば、
図1に示すように、時計回り又は反時計回りRである。本発明に係る回転軸24は、実際の必要によって、各回転速度で回転することができ、回転速度の範囲は、例えば、0rpmから約12000rpmであるが、これらに限定されない。
洗浄装置40は、流体供給槽43と、少なくとも一つの動的ノズルユニット42と、を少なくとも備える。流体供給槽43は洗浄流体を貯蔵するためのものである。動的ノズルユニット42は、流体供給槽43と連通して、カンチレバー式回転装置20がウエハー80を回転しているときに、ウエハー80に対して洗浄流体を噴射して、洗浄プロセスを行うためのものである。乾燥装置60は、カンチレバー式回転装置20がウエハー80を回転しているときに、上記の洗浄プロセスハンドリングを受けたウエハー80に対して、乾燥プロセスを行うためのものである。
【0044】
カンチレバー式回転装置20が、異なる数量および重さを有するウエハー80を保持した後、本来、一致状態にある全体の重心線の位置が異なる程度に変更するため、各構造(例えば保持部22、回転軸24やウエハー80)は、回転軸24の軸線24aとの距離が同じである異なる位置に、異なる程度の遠心力を受ける。このため、本発明に係る動的バランス補正装置30は、例えば、ウエハー80の仕様パラメータ、動的ノズルユニット42の作動パラメータ、回転軸24の回転速度及び/又は振動状態のうちの一つ又は複数によって、カンチレバー式回転装置20に対して、それに対応する動的バランス補正を行う。これによって、カンチレバー式回転装置20は、異なる数量および重さを有するウエハー80を保持した後、回転しているときに、依然として動的バランス状態にあることができる。
【0045】
処理槽10は、例えばカンチレバー式回転装置20の外側を囲むシールド12を有することにより、処理槽10の内部は密閉または気密なチャンバーを形成する。シールド12は、例えばカバー15を有することにより、オプションで処理槽10のチャンバーを開閉する。カンチレバー式回転装置20が回転しているときに、処理槽10は動かない。洗浄装置40と乾燥装置60とは、例えば、シールド12に設けられており、又はウエハー80とシールド12との間にあるスペースに位置して、それぞれウエハー80に対して、洗浄プロセス及び乾燥プロセスを行う。
シールド12は、例えばカットオフプレート14を有し、カットオフプレート14は、例えばシールド12の内側に位置し、且つシールド12の底部から上方に伸び、カットオフプレート14のカットオフ口16は、ウエハー80が回転しているときの接線方向に面することにより、回転しているウエハー80に対して洗浄プロセスを行った洗浄流体(例えば廃液及び/又は廃気などの混合流体)をカットオフする。カットオフプレート14は、その断面が円弧形や半円形などを呈し、上側に止めシートが形成されると、洗浄流体をカットオフするときに引き起こす洗浄流体のスプラッシュ現象を減少することができ、洗浄プロセスを行った洗浄流体が洗浄しているウエハー80を重複して汚染することを防止することもできる。このため、本発明では、シールド12にカットオフプレート14を設けることにより、全体が洗浄プロセスを行うために掛かる時間を短縮することができる。そして、シールド12のカットオフプレート14が傾斜している(シールド12の高さが一側から他側へ降下し)と、すなわち、伸び方向が水平面に平行ではないと、流れをガイドする効果を得ることができ、洗浄流体を処理槽10の外部に高速かつ完全に重力で排出することができる。
本発明は、例えば、更に、排液システム18を備え、排液システム18は例えばポンプである。排液システム18は、出力管接続具19(例えば出力管19a及び制御弁19b)を経由して、処理槽10と連通し、且つカットオフプレート14より低い他側に位置する。
【0046】
本発明に係る処理槽10は、更に、オプションで少なくとも一つの防振脚72を介してプラットフォーム70に設けられており、シールド12は例えば台座13を有し、且つ例えばシールド12の台座13とプラットフォーム70との間に位置する少なくとも一つの防振脚72を有することにより、処理槽10の少なくとも一つの振動値を既定値より小さくすることができる。この既定値は約10mm/sである。防振脚72の数量に制限はなく、例えば1より大きい任意の数値(例えば2、4、6や8)でもよく、且つ例えば硬質素材(例えばステンレス鋼などの金属)で構成され、硬質素材の剛性係数(k)は例えば約100より大きい。
本発明では、硬質素材を採用する防振脚72によって、共振周波数を変更して振動値を降下することができる。カンチレバー式回転装置20が、1~22枚のGaAs材料を搭載したウエハー80のウエハーボックス90をそれぞれ保持し、且つ六個の防振脚72を使用することを例とする場合、回転数が200rpmから1300rpmに増加すると、従来のゴムに覆われる金属防振脚(剛性係数は100)で得られる三つの方向(例えばx軸、y軸、z軸方向、すなわち、二つの垂直な径方向および一つの径方向に垂直である軸方向)の振動値は、本来の約2mm/sから、振動値をそれぞれ約6~25倍に増加する。しかし、硬質素材で構成される防振脚72(剛性係数は412)で得られる三つの方向の振動値は、全て6 mm/sより小さく、更に、ウエハー80が22枚ある場合に、三つの方向の振動値は、全て約0.3mm/s~1.96mm/sの範囲に維持される。これにより、硬質素材を採用した防振脚72によれば、従来の技術が達成できない効果を得ることができる。
また、本発明に係る処理槽10は、一つであり、又は複数であり、且つ例えばステンレス鋼などの酸やアルカリに強い素材を採用するが、これらに限定されない。複数(例えば二つ)の処理槽10が同じプラットフォーム70に位置することを例とする場合、二つの処理槽10は、互いに押し付けるため、更に、振動値を降下する効果を得ることができる。本発明に適用するプラットフォーム70は、特に限定されず、例えば台座、フレーム、作業台、又は床面などの処理槽10を設置可能な任意の物体でもよい。
【0047】
本発明に係るカンチレバー式回転装置20の回転軸24は、シングルアームでサスペンド回転し、且つ例えば水平面に平行ではない角度で斜めに回転する。特に、洗浄が難しく残留物が発生しやすい、アスペクト比の高い素子積層構造を備えた従来のウエハー80に適し、本発明によれば、より良い洗浄効果を得ることができ、且つ洗浄流体の残留現象を改善することもできる。
ある実施の態様では、上記の角度は約10度、すなわち、回転軸24の軸線24aと水平面との夾角αは10度である。しかし、本発明はこれに限定されず、上記の角度の範囲は、例えば約0度~約90度であってもよい。更に、本発明に係るカンチレバー式回転装置20の回転軸24は、実際の必要によって、例えば、
図7に示すように、水平面に平行や垂直であるように回転してもよい。本発明の特徴の一つは、動的バランス補正装置30を利用して、ウエハー80の仕様パラメータ、洗浄流体の流量、回転軸24の回転速度及び/又は振動状態(例えば全方向の振動値)によって、カンチレバー式回転装置20に対して動的バランス補正を行う。すなわち、
図5及び
図6に示すように、ウエハー80を保持するカンチレバー式回転装置20の重心線24bと回転軸24の軸線24aの一致程度を補正し、回転しているときに、カンチレバー式回転装置20が動的バランス状態にあるようにする。重心線24bと軸線24aの一致程度が高いほど、回転軸24の円周の異なる位置での受ける遠心力が近づく。このため、保持部22は各仕様パラメータを有するウエハー80を保持しても、本発明によれば、全て動的バランス補正装置30を利用して、上記の重心線24bを回転軸24の軸線24aと一致することができる。すなわち、同じ構造(例えば保持部22、回転軸24やウエハー80)は、回転軸24の軸線24aとの距離が同じである異なる位置で、同じ程度の遠心力を受けることができる。このため、本発明によれば、ウエハー80が、回転しているときに、不均一な力によって引き起こされる欠陥または破断を減少することができる。
【0048】
本発明に係る回転軸24は、例えばボール軸受や磁気軸受であることにより、回転軸24は、例えばそれぞれ接触式の駆動部材29(例えばモーター)によって駆動されて回転し、又は非接触式(例えば電磁力)で回転軸24を駆動して、空中で回転する。回転軸24は電磁力に駆動される磁気軸受であることを例として説明すると、回転軸24は、能動的磁気軸受、受動的磁気軸受や混合式(能動的マグレブ部材と受動的マグレブ部材で構成され)の磁気軸受である。
【0049】
本発明に係るカンチレバー式回転装置20は、シングルアーム回転機構であり、すなわち、一側が支持端21aであり、他側が自由端21bである。詳細に説明すると、カンチレバー式回転装置20は、回転軸24と、保持部22と、を備える。回転軸24の一端は、支持端21aに位置する。保持部22は、一端が回転軸24の他端と接続し、他端が自由端21bに位置する。保持部22は、設定されて(configured)、各仕様パラメータを有するウエハー80を脱着可能に保持し、又は各仕様パラメータを有するウエハー80を搭載したウエハーボックス90を脱着可能に保持する。
保持部22は、例えば複数のウエハーブラケット23と、接続板25a,25bと、を備える。接続板25a,25bは、それぞれウエハーブラケット23の両端に位置することにより、位置決め槽26を有する筐体を構成する。自由端21bに位置する接続板25bは、位置決め槽26と連通する開口27を有するため、ウエハー80は、自由端21bに位置する開口27を経由して、カンチレバー式回転装置20の保持部22の位置決め槽26に脱着可能に置かれている。保持部22とその位置決め槽26の形状や寸法は、特に限定されず、ウエハー80、又はウエハー80を載せたウエハーボックス90を保持することができ、緩みや脱落を防止することができれば、全て本発明に適用することができる。
ウエハーボックス90は、例えば市販している色々な寸法を有するウエハーボックスであり、ウエハー80は、色々な寸法、数量、重さを有し、色々な材料(例えばSi、SiC、SiGe、Ge、GaAs、GaNやInPなど)を採用してもよく、且つ例えば何れかの半導体プロセスのハンドリングを受けて、色々な重さ及び素子スタック構造を有し、保持部22の位置決め槽26の形状や寸法は、ウエハー80やウエハー80を載せるウエハーボックス90に対応する。
【0050】
本発明に係る処理槽10の動的バランス補正装置30は、例えばカンチレバー式回転装置20の保持部22、回転軸24、又は保持部22と回転軸24とに設けられていることにより、自動及び/又は手動で、回転中及び/又は回転前におけるカンチレバー式回転装置20に対して、動的バランス補正を行うことにより、カンチレバー式回転装置20が回転しても、動的バランス状態を維持することができる。動的バランス補正装置30の数量は、特に限定されず、一つであってもいいし、複数であってもよく、動的バランス補正を行うことができれば、全て本発明に適用することができる。
【0051】
本発明に係る処理槽10の動的バランス補正装置30は、例えば能動的磁気軸受などの、非接触の力を利用して、カンチレバー式回転装置20に対して、動的バランス補正を行う部品である。
能動的磁気軸受を例として説明すると、動的バランス補正装置30は、例えば、少なくとも一つの第1の磁性素子32a、及び少なくとも一つの第2の磁性素子32bなどを備える磁力補正リング状部材である。第1の磁性素子32aは、
図3に示すように、カンチレバー式回転装置20の回転軸24を囲むように設けられており、又は
図5及び
図6に示すように、保持部22を囲むように設けられている。第2の磁性素子32bは、カンチレバー式回転装置20と接触せず、カンチレバー式回転装置20を囲むように設けられており、例えばシールド12やその他の位置に設けられていることにより、第1の磁性素子32aと第2の磁性素子32bとの間にある非接触の力により、カンチレバー式回転装置20に対して動的バランス補正を行う。第1の磁性素子32aは、例えば鉄片または磁石などの磁気部品である。第2の磁性素子32bは、例えば磁力を調整可能な電磁石であることにより、ラジアル磁気軸受を構成する。
本発明に係るラジアル磁気軸受は、構造のタイプによって、例えば3極、4極、8極、16極、又はその他に分けられる。8極を例として説明すると、八つの磁極は、4対に分けられて、4セットの独立した磁気回路を形成し、それぞれペアになって二つの方向を制御する。動的バランス補正装置30は、オプションで、位置センサー33と、コントローラー35と、を備える。位置センサー33は、カンチレバー式回転装置20の徑方向の位置をリアルタイムにセンシングするためのものである。コントローラー35は、位置センサー33のセンシング結果によって、それに対応する制御信号を発生して、ラジアル磁気軸受の磁極をリアルタイムに制御することにより、必要な動的バランス状態になるまで、カンチレバー式回転装置20に対して、動的バランス補正を行う。
【0052】
また、本発明に係る動的バランス補正装置30は、例えば、
図4に示すように、カウンタウェイトなどの重心調整構造36である。カウンタウェイトを例として説明すると、重心調整構造36は、例えば固定式または可動式でカンチレバー式回転装置20に設けられており、且つ例えば、旋回、伸縮または移動させることにより、カンチレバー式回転装置20に対して、それに対応する動的バランス補正を行う。例えば、カウンタウェイトは、固定式で保持部22のウエハーブラケット23に設けられており、且つウエハーブラケット23は、回転軸24の軸線方向に沿って、不等断面積(すなわち、太さが異なる)であることにより、動的バランス補正を達成できる効果を得る。
カウンタウェイトは、例えば可動式で保持部22のウエハーブラケット23に設けられており、且つ回転軸24の軸線方向に沿って、ウエハーブラケット23上で移動や伸縮をすることにより、動的バランス補正を達成できる効果を得る。或いは、カウンタウェイトは、例えば保持部22のウエハーブラケット23に旋回可能に設けられており、且つウエハーブラケット23上で回転することができることにより、偏心効果によって動的ブレランス補正の効果を実現する。
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の上述の開示内容に基づいて、カウンタウェイトをどのように利用することにより、上述の動的バランス補正の効果を実現することができるか、並びに必要なマッチング構造及び補助部材を分かるであろう。このため、説明を省略した。
【0053】
本発明に係る洗浄装置40は、少なくとも一つの動的ノズルユニット42を備える。動的ノズルユニット42は、例えばウエハー80の少なくとも一つの仕様パラメータによって、自動及び/又は手動で、それに対応して少なくとも一つの作動パラメータを調整することにより、カンチレバー式回転装置20がウエハー80を回転しているときに、ウエハー80に対して洗浄流体を噴射して、洗浄プロセスを行う。動的ノズルユニット42は、例えばカンチレバー式回転装置20がウエハー80を回転しているときに、ウエハー80に対して洗浄流体をスキャン(または往復)噴射して、洗浄プロセスを行うことで、洗浄プロセスに必要な洗浄流体の量を削減できる。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の上述の開示内容に基づいて、動的ノズルユニット42が如何にして上記の効果を実現することができるか、並びに必要なマッチング構造及び補助部材を分かるであろう。このため、説明を省略した。
ウエハー80の仕様パラメータは、数量、重さ、位置および寸法で構成されるグループから選ばれ、動的ノズルユニット42の作動パラメータは、動的ノズルユニット42の噴射方向、動的ノズルユニット42の数量、洗浄流体の流量、動的ノズルユニット42の往復運動の速度、及び洗浄時間で構成されるグループから選ばれる。動的ノズルユニット42は、例えば複数であり、且つ例えば互いにある距離を置く。これらの動的ノズルユニット42は、オプションでそれぞれ独立して動作し、又は互いに協力してウエハー80を洗浄する。動的ノズルユニット42は、互いに協力して、例えば一枚または複数枚の洗浄しようとするウエハー80に対して、同じまたは相補的な洗浄モードで洗浄プロセスを同時に、順次、または交互に行う。これにより、洗浄効果を改善することができ、洗浄流体の使用量を節約することができる。
洗浄流体のタイプは、洗浄しようとするウエハー80に対応し、且つ液体及び/又はガスに限定されない。フォトレジスト成分を有するウエハー80を洗浄することを例として説明すると、動的ノズルユニット42から噴射される洗浄流体は、例えば洗浄液(例えば脱イオン水またはオゾン水などの水溶液)及び/又は高温蒸気(例えば蒸発水)であり、又はフォトレジストの洗浄に適する何れかの流体であり、更に、洗浄や除去しようとする物質に対応する洗浄流体でもよい。
本発明によれば、特に従来の、洗浄が難しく、残留現象があり、高アスペクト比の素子スタック構造を有するウエハー80に対して、より良い洗浄効果を実現することができ、且つ洗浄流体の残留現象を改善することもできる。また、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明に係る動的ノズルユニット42の作動方式は上記の内容に限定されないことを理解できるはずであり、何れの作動方式であっても、ウエハー80を洗浄する効果を実現できれば、全て本発明に適用することができる。
【0054】
本発明に係るウェーハハンドリングシステム100は、例えば、更に、オプションでマイクロ波発生ユニット44を備える。マイクロ波発生ユニット44は、マイクロ波を生成して、流体供給槽43からの一部または全部の洗浄液(例えば水やオゾン水)を高速で即時に加熱して高温蒸気になって、動的ノズルユニット42により、ウエハー80に高温蒸気を噴射する。上記と同じように、本発明に係るウェーハハンドリングシステム100は、例えば、更に、オプションで補助ガス供給源46を備える。補助ガス供給源46は、洗浄プロセス及び/又は乾燥プロセスを行うときに、処理槽10に補助ガスを供給するためのものである。
補助ガス供給源46は、洗浄流体を噴射する動的ノズルユニット42と共に、処理槽10に補助ガスを供給することに限定されない。補助ガス供給源46は、例えば、独立した動的ノズルユニット42を経由して、処理槽10に補助ガスを供給し、又は一般的なガス入力ポート17を介して、処理槽10に補助ガスを供給してもよく、処理槽10に補助ガスを供給できれば、全て本発明に適用することができる。本発明に係る補助ガス供給源46は、例えばオゾン供給源46a及び/又は高温窒素ガス供給源46bを備える。同じように、本発明は、これらに限定されず、上記の高温蒸気および補助ガスを提供できる何れの適切な方法も、全て本発明に適用することができる。
【0055】
洗浄プロセスを例として説明すると、洗浄対象であるウエハー80は洗浄しようとするフォトレジスト成分を有する場合に、動的ノズルユニット42から噴射された洗浄流体は、例えば水溶液及び/又は高温蒸気であり、補助ガス供給源46は、オゾン供給源46aでオゾン(O3)などの補助ガスを供給することにより、洗浄流体は補助ガスと反応してオゾン水を即時に生成することにより、ウエハー80を洗浄する。これらの水溶液及び/又は高温蒸気は、回転(例えば高速で斜めに回転)しているウエハー80に噴射する過程中に、まず、補助ガス供給源46からの補助ガス(オゾンガス)に高速に衝突して、フォトレジストを除去可能なオゾン水(すなわち、蒸気オゾン剥離(VOS)技術)を生成して、回転しているウエハー80に即時に接触するため、オゾン水とフォトレジストとの間にある界面の拡散層の厚さを減少することができ、かつフォトレジストへのオゾン水の拡散速度を加速することもできる。
本発明によれば、水及び/又は高温蒸気がオゾンガスに高速に衝突する時の高い圧力により、オゾンの溶解度を大幅に増加することができるため、従来の浸漬型フォトレジスト除去技術の低効率を大幅に改善することができる。本発明によれば、オゾン水の濃度を有効に増加することができ、オゾン水が、ウエハー80を洗浄する過程中に、半減期や溶解度が低いため濃度が低下することを防止できる。また、本発明は、これに限定されず、例えば、動的ノズルユニット42が処理槽10にオゾン水またはオゾンガスを直接に噴射し、又はその他の何れかの適切な方法(例えばガス入力ポート17を経由し)で、処理槽10にオゾンガスを供給してもよい。乾燥プロセスを例として説明すると、補助ガス供給源46は、例えば高温窒素ガス供給源46bで、高温窒素ガス(N2)などの補助ガスを処理槽10に供給することにより、ウエハー80の乾燥を補助する。このため、本発明によれば、オゾンや高温窒素ガスなどの補助ガスを供給することにより、洗浄プロセスや乾燥プロセスを行うための時間を短縮することができる。
【0056】
本発明に係る乾燥装置60は、カンチレバー式回転装置20がウエハー80を回転しているときに、上記の洗浄プロセスハンドリングを受けたウエハー80に対して、乾燥プロセスを行う。乾燥装置60は、例えばオプションで熱エネルギー供給ユニット62及び/又はガス排出ユニット64を備える。熱エネルギー供給ユニット62は、乾燥プロセスにおいて、処理槽10に熱エネルギーを供給することにより、洗浄流体における洗浄液の揮発を加速して、ウエハー80の乾燥を加速することができる。
熱エネルギー供給ユニット62は、例えば赤外線を生成可能な赤外線(IR)発生源であるが、これに限定されない。赤外線発生源は、赤外線を生成することにより、処理槽10に熱エネルギーを供給する。一方、赤外線の波長が洗浄流体の成分と共振を発生して温度が上昇する場合には、更に、乾燥プロセスを加速することができる。すなわち、本発明によれば、カンチレバー式回転装置20の回転により、遠心力によってウエハー80上の洗浄流体を取り除くことができ、更に、熱エネルギーや気圧の降下により、ウエハー80の乾燥を加速することができる。同じように、本発明によれば、オプションで洗浄プロセスを行うときに、乾燥装置60の熱エネルギー供給ユニット62(例えば赤外線発生源)を利用して、処理槽10に熱エネルギーを供給することにより、洗浄プロセスを加速することができる。
本発明によれば、オプションで乾燥プロセスを行うときに、ガス入力ポート17を利用して、高温窒素ガス供給源46bからの高温窒素ガスを出力し、又は動的ノズルユニット42を利用して、高温窒素ガス供給源46bからの高温窒素ガスを噴出する。すなわち、本発明は、高温窒素ガスの導入と高温窒素ガスの排出を持続に行うことにより、洗浄流体をウエハー80の表面から離して処理槽10の外部に排出することができるため、ウエハー80を乾燥する効果を実現することができる。一方、高温窒素ガスにより、洗浄プロセスにおいて、使用されるオゾンやオゾン水の分解を加速して酸素ガス及び水にすることができるため、クリーン排出効果を実現することができる。
【0057】
本発明に係る乾燥装置60のガス排出ユニット64は、例えばガス排出ポンプであり、且つ例えば出力管接続具19(例えば出力管19d及び制御弁19c)を経由して処理槽10と連通する。しかし、ガス排出ユニット64と処理槽10を連通する方法は、これらに限定されず、処理槽10の気圧を降下することができれば、全て本発明に適用することができる。
本発明では、乾燥プロセスを行うときに、ガス排出ユニット64により、処理槽10からガスを排出して、処理槽10の気圧を1atm(760torr)より低くなるまで降下することにより、洗浄流体における洗浄液の揮発を加速して、乾燥を加速する効果を実現することができる。そして、従来の乾燥が難しく、高アスペクト比の素子スタック構造を有するウエハー80に対して、本発明に係る乾燥装置60によれば、乾燥プロセスを行うための時間を短縮することができる。本発明に係るガス排出ユニット64の真空度に制限はなく、低真空から超高真空まで対応可能であり、ウエハー80の乾燥を加速することができれば、全て本発明に適用することができる。
【0058】
本発明に係るウェーハハンドリングシステムには、次のような効果がある。
(1)カンチレバー式回転装置が、必要な速度でウエハーを回転することができ、部材を節約することもできるため、処理槽の内部をより簡潔にすることができる。
【0059】
(2)カンチレバー式回転装置が、ウエハーを斜めに回転することにより、ウエハーの洗浄および乾燥の効率を向上することができ、傾斜式のカットオフプレートにより、洗浄流体の排除が更に良くなり、洗浄流体が処理槽に溜まることを防止することができる。
【0060】
(3)動的バランス補正装置が、回転している、各仕様パラメータを有するウエハーを保持するカンチレバー式回転装置を、動的バランス状態に保持することができる。
【0061】
(4)動的ノズルユニットにより洗浄プロセスを行うときに、ウエハーの仕様パラメータによって作動パラメータを調整することができ、これにより、洗浄流体の使用量を節約することができ、且つ洗浄効果がより早く得られる。
【0062】
(5)補助ガス供給源からの補助ガスが、ウエハーの洗浄を補助することができ、ウエハーの乾燥を補助することもできる。
【0063】
(6)乾燥装置は、処理槽内の温度を上げるための熱エネルギー供給ユニットと処理槽の気圧を降下するためのガス排出ユニットを有する。これにより、ウエハーの乾燥を加速することができる。
【0064】
(7)硬質素材を採用する防振脚により、振動値を有効に降下することができる。
【0065】
(8)蒸気オゾン剥離(VOS)技術を採用することにより、フォトレジストを洗浄して除去する効果を向上することができ、環境、健康、安全への影響も大幅に軽減することができる。
【0066】
以上の記述は例を挙げたものにすぎず、限定するものではない。本発明の精神及び範疇から逸脱しない、それに対して行ういかなる同等効果の修正又は変更も、請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10 処理槽
12 シールド
13 台座
14 カットオフプレート
15 カバー
16 カットオフ口
17 ガス入力ポート
18 排液システム
19 出力管接続具
19a,19d 出力管
19b,19c 制御弁
20 カンチレバー式回転装置
21a 支持端
21b 自由端
22 保持部
23 ウエハーブラケット
24 回転軸
24a 軸線
24b 重心線
25a,25b 接続板
26 位置決め槽
27 開口
29 駆動部材
30 動的バランス補正装置
32a 第1の磁性素子
32b 第2の磁性素子
33 位置センサー
35 コントローラー
36 重心調整構造
40 洗浄装置
42 動的ノズルユニット
43 流体供給槽
44 マイクロ波発生ユニット
46 補助ガス供給源
46a オゾン供給源
46b 高温窒素ガス供給源
60 乾燥装置
62 熱エネルギー供給ユニット
64 ガス排出ユニット
70 プラットフォーム
72 防振脚
80 ウエハー
90 ウエハーボックス
100 ウェーハハンドリングシステム
x,y,z 方向
R 方向
α 夾角