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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120875
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】点眼補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20240829BHJP
   A61M 35/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61J1/05 313F
A61M35/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023513
(22)【出願日】2024-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2023027563
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】396009160
【氏名又は名称】アサヒ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】横山 広則
(72)【発明者】
【氏名】藁谷 優人
【テーマコード(参考)】
4C047
4C267
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047CC24
4C047EE03
4C267AA68
4C267BB19
4C267BB23
4C267CC13
4C267HH07
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】患者に点眼に最適な位置を知らせることができ、多種多様な形状の点眼容器の装着及び取り外しを容易に行うことができ、意図せず点眼容器が脱落しない点眼補助器具を提供する。
【解決手段】患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置1であって、前記点眼液が充填されてなる点眼容器2に外挿される有底筒状の補助具本体10と、前記補助具本体の内面で前記点眼容器を保持する保持部20,21と、前記補助具本体10の側面に設けられ、前記患者の前記点眼容器2の押圧を補助する押圧補助部30と、前記補助具本体の底部11に設けられ、前記点眼容器2の注液孔23に向かって可視光線を照射する第1光源40とを備えることを特徴とする点眼補助装置による。
【選択図】図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置であって、
前記点眼液が充填されてなる点眼容器に外挿される有底筒状の補助具本体と、
前記補助具本体の内面で前記点眼容器を保持する保持部と、
前記補助具本体の側面に設けられ、前記患者の前記点眼容器の押圧を補助する押圧補助部と、
前記補助具本体の底部に設けられ、前記点眼容器の注液孔に向かって可視光線を照射する第1光源と
を備えることを特徴とする点眼補助装置。
【請求項2】
前記補助具本体を前記患者の顔部から支持し前記眼球に対する位置決めを行う保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の点眼補助装置。
【請求項3】
前記補助具本体の傾斜角度を検出する角度センサを備え、
前記第1光源は、前記角度センサが所定角度となった場合に照射させることを特徴とする請求項1に記載の点眼補助装置。
【請求項4】
前記補助具本体の側面に配置された第2光源を備えることを特徴とする請求項1に記載の点眼補助装置。
【請求項5】
患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置であって、
前記点眼液が充填されて点眼孔から前記点眼液が滴下される点眼容器に外挿される補助具本体と、
前記患者の下瞼が開いた状態で前記患者の顔面と圧着され回動可能な圧着部と、
前記補助具本体の内面に設けられ、前記患者が所定の角度に傾けた際に前記点眼孔が前記患者の眼球に対して鉛直方向において垂直となるように、かつ、前記患者の眼球の上部に配置されるように前記点眼容器を保持する保持部と、を備えることを特徴とする点眼補助装置。
【請求項6】
前記補助具本体の側面に設けられ、前記患者の前記点眼容器の押圧を補助する押圧補助部と、
前記補助具本体と前記患者の眼との角度を検出する角度センサと、
前記角度センサにより検出された角度が点眼最適角度になるように前記患者を誘導する誘導装置と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の点眼補助装置。
【請求項7】
赤外線光源と、
前記補助具本体と前記患者の眼との角度を検出する角度センサと、
前記角度センサにより検出された角度が点眼最適角度になるように前記患者を誘導する誘導装置と、
前記患者の瞳を認識するカメラと、
前記点眼容器を押圧し前記点眼容器から前記点眼液が滴下をする点眼液滴下装置と
前記点眼最適角度及び前記患者の瞳の識別をし、前記点眼液滴下装置の滴下動作を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の点眼補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、点眼液は、弾性を有する点眼容器に充填されており、点眼容器の注液孔を患者の眼球に向けて点眼容器の側面を押圧されることで滴下されるが、点眼時に点眼容器の位置が定めにくく点眼しにくいことが問題点として挙げられた。例えば、特許文献1には、安定器具に点眼容器が着脱可能な結合部を設け、安定器具の上端部に、下まぶた押し当て部を設け、その下に点眼液溜を設けた目薬点眼容器に付ける安定器具について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-71125
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点眼容器の先端に患者の眼及びまつ毛などが付着すると、細菌が付着し点眼容器の汚染の原因になる。従って、点眼容器の先端に患者の眼及びまつ毛などが付着することなく、点眼液を外すことなく正確に眼球に点眼するために、患者に点眼に最適な位置を知らせることが必要である。更に、点眼容器の形状は多種多様であり、点眼容器の装着及び取り外しが容易であり、かつ、意図せず点眼容器が脱落しない点眼補助具が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の点眼補助装置は、患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置であって、前記点眼液が充填されてなる点眼容器に外挿される有底筒状の補助具本体と、前記補助具本体の内面で前記点眼容器を保持する保持部と、前記補助具本体の側面に設けられ、前記患者の前記点眼容器の押圧を補助する押圧補助部と、前記補助具本体の底部に設けられ、前記点眼容器の注液孔に向かって可視光線を照射する第1光源とを備えている。
【0006】
以上の点眼補助装置によれば、補助具本体の上方向から点眼容器が外挿されると、補助具本体の内面において、保持部によって点眼容器の側面から保持されることにより、点眼容器の形状によらず点眼容器が保持される。また、補助具本体の上方向から点眼容器が引っ張られると、保持部の保持が解除され、点眼容器を取り出すことができる。従って、容易に点眼容器の装着及び取り外しが容易であり、かつ意図せず点眼容器が脱落することがない。更に、第1光源が点眼容器の注液孔に向かって可視光線を照射するので、患者は注液孔の位置及び点眼に最適な位置を認識することができる。
【0007】
本発明の点眼補助装置は、補助具本体を前記患者の顔部から支持し前記眼球に対する位置決めを行う保持部を備えることができる。
【0008】
本発明の点眼補助装置は、前記補助具本体の傾斜角度を検出する角度センサを備え、第1光源は、前記角度センサが所定角度となった場合に照射させることができる。
【0009】
本発明の点眼補助装置は、前記補助具本体の側面に配置された第2光源を備えることができる。
【0010】
また、本発明は患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置であって、前記点眼液が充填されて点眼孔から前記点眼液が滴下される点眼容器に外挿される補助具本体と、前記患者の下瞼が開いた状態で前記患者の顔面と圧着する回動可能な圧着部と、前記補助具本体の内面に設けられ、前記患者が所定の角度に傾けた際に前記点眼孔が前記患者の眼球に対して鉛直方向において垂直となるように、かつ、前記患者の眼球の上部に配置されるように前記点眼容器を保持する保持部と、を備えたことを特徴とする点眼補助装置を提供するものである。
【0011】
高齢の患者に代表されるように鉛直方向に対して垂直に患者の顔を傾けることが難しい場合がある。その場合従来の点眼装置では、鉛直方向からの点眼が想定されるため点眼液の粘度によって点眼薬により滴定される一滴の量が変化する問題点がある。本発明によれば、患者が水平面に対して垂直に向かなくとも、点眼容器の先端が眼球に対して上に配置される点眼補助装置を提供することができる。また圧着部が回動可能なので、左右の両方に圧着することができる。
【0012】
本発明の点眼補助装置は、前記補助具本体の側面に設けられ、前記患者の前記点眼容器の押圧を補助する押圧補助部と、前記補助具本体と前記患者の眼との角度を検出する角度センサと、前記角度センサにより検出された角度が点眼最適角度になるように前記患者を誘導する誘導装置とすることができる。
【0013】
本発明の点眼補助装置は、赤外線光源と、前記補助具本体と前記患者の眼との角度を検出する角度センサと、前記角度センサにより検出された角度が点眼最適角度になるように前記患者を誘導する誘導装置と、前記患者の瞳を認識するカメラと、前記点眼容器を押圧し前記点眼容器から前記点眼液が滴下をする点眼液滴下装置と前記点眼最適角度及び前記患者の瞳の識別をし、前記点眼液滴下装置の滴下動作を制御する制御装置と、を備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、患者に点眼に最適な位置を知らせることができ、多種多様な形状の点眼容器の装着及び取り外しを容易に行うことができ、意図せず点眼容器が脱落しない点眼補助器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具の上視図である。
図3】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具の使用状態を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具の使用状態を示す図である。
図5A】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具と患者の眼球の位置関係を示す図である。
図5B】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具と患者の眼球の位置関係を示す図である。
図5C】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具と患者の眼球の位置関係を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態にかかる点眼補助器具の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態にかかる点眼補助器具の使用状態を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態にかかる点眼補助器具の使用状態を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態にかかる断面図を示す図である。
図10】本発明の第4の実施形態にかかる点眼補助器具の使用状態を示す図である。
図11】本発明の第4の実施形態にかかる断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の技術的思想を具現化するための例示であって、本発明はこの例に限られない。また、上記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることは可能であり、本発明の技術特定思想及び教示に基づいて、当業者が改変形態を採り得ることは自明である。
【0017】
本明細書において、それぞれの点眼補助器具の点眼に最適な角度を最適点眼角度と定義する。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1に示すように、点眼補助装置1は補助具本体10と保持部20と保持部21と押圧補助部30と押圧補助部31と第1光源40と保持部50とを備えている。
【0019】
補助具本体10は、底部11を有する略円筒状である。補助具本体10の形状は、有底筒状であればいかなるものでもよく、多角形状であってもよいし、円周形状と多角形状を組み合わせたものであってもよい。また、補助具本体10の内部は点眼容器が外挿されるのに十分な大きさであればよく、補助具本体10の内部の内径は25~30mm程度である。
【0020】
補助具本体10は、例えば、射出成形法、シート成形法などより成形することができる。補助具本体10を構成する材料としては、ナイロン、ABS、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックを用いることができる。押圧補助部30、押圧補助部31、保持部50についても同様である。
【0021】
保持部20及び保持部21は、補助具本体10の内側面の一部において円弧状で対向するように設置されている。補助具本体10の上方向から点眼容器が外挿されると、保持部20及び保持部21が補助具本体10の中心方向に点眼容器を弾性的に狭着することにより、点眼容器が保持される。(以下、この状態を取付状態とする。)これにより、点眼容器2の形状によらず点眼容器2が保持される。また、補助具本体10の上方向から点眼容器2が引っ張られると、保持部20,21の保持が解除され、点眼容器2を容易に取り出すことができる。
【0022】
これにより、点眼容器2の注液孔23付近を指などで触れずに着脱することができるので、着脱時に細菌汚染などを抑制することができる。更に、患者は取付状態でも点眼容器2のキャップを閉めることができるので、取付状態を維持したまま保存することができる。
【0023】
保持部20及び保持部21は、点眼容器を弾性的に狭着できるようなものであればいかなるものでもよく、例えば、天然ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴムなどを使用することができ、表面部に凹凸部を設けて点眼容器を保持する能力を向上させてもよい。保持部20及び保持部21の形状についても、点眼容器を弾性的に狭着できるものであればいかなるものでもよく、例えば、補助具本体10の内側面に弾性部材が点在するように設置されていてもよい。
【0024】
図1及び図2に示すように、押圧補助部30及び押圧補助部31は、それぞれ点眼補助装置1の外側面に突出する凸部33と内側面に突出する凸部34を備えている。患者は凸部33を押圧することで、凸部34が点眼容器の内部に圧力が加わり、点眼液が注液孔より流出する。患者は、押圧補助部30及び押圧補助部31を備えることにより、点眼容器の内部に圧力を加え易くすることができる。また、凸部33は、指が滑りにくくする効果も奏するため、さらに、点眼容器の内部に圧力を加え易くすることができる。
【0025】
なお、押圧補助部30及び押圧補助部31の形状は図示したように凸部で構成されていてもよく、凹部で構成されていてもよい。押圧補助部30及び押圧補助部31を凹部とする場合、患者は押圧を掛け易くなるため、点眼容器2の内部に圧力を加え易くすることができる。更に、押圧補助部30及び押圧補助部31は複数の凸部で構成してもよいし、複数の凹部で構成してもよいし、凸部と凹部を組み合わせて構成してもよい。例えば、凹部の内部に凸部を形成してもよいし、凸部の内部に凹部を形成してもよい。患者の指による押圧を補助するための凸部又は/及び凹部で構成される押圧補助部30及び押圧補助部31が形成されていることで、使用者は、液状物収容容器の内部に圧力を加え易くすることができる。
【0026】
図1および図2に示すように、押圧補助部30及び押圧補助部31は、内側面の一部において対向するように設置されている。押圧補助部30及び押圧補助部31は点眼補助装置1の上面視において、押圧補助部30及び押圧補助部31の中心同士を結ぶ直線分Lが補助具本体10の開口部の中心Gと直交するように配置されている。
【0027】
図2に示すように、底部11の開口部の中心G又は中心Gの近傍おいて、第1光源40が設置されている。取付状態において、底部11を水平面に置いた場合、第1光源40、注液孔23が鉛直線上にあるように配置されている。図3に示すように、第1光源40が底部11より上方向に可視光線を発すると点眼容器2の注液孔23から可視光線が照射される。第1光源40の発光色は赤色であるが、白色、緑色、青色などの他の色の光源も使用できる。患者は注液孔23から照射する可視光線により注液孔23の位置を確認して、正確に点眼することができる。
【0028】
第1光源40の光源の種類としては、特に限定されないが、例えば、通常使用される電球、EL、LEDなどを用いることができ、これらを組み合わせて使用してもよく、平行光を使用してもよい。点灯パターンについても、点眼に最適な位置に眼球がある場合には点灯し点眼に最適な位置に眼球がない場合には消灯するパターン、点眼に最適な位置と眼球の位置関係に応じて徐々に光度が変化するパターンなど種々改変形態を取ることが可能である。
【0029】
図1に示すように、保持部50は、補助具本体10の側面の一部から円弧状に50~100mm上方向に延出している。図4に示すように、保持部50を患者の顔部に押し付けることで、保持部50は、補助具本体10を患者の顔部から支持し、患者の顔部において補助具本体10の位置が変位しないように位置決めをしている。なお、図示しないが、保持部50は下端部において凸部を備えており、補助具本体10は側面において該凸部の形状に対応するような形状のスリットを備えており、該凸部を該スリットに挿入されることにより、補助具本体10の側面において保持部50は着脱可能に設置されている。なお、保持部50は、回動可能に折りたためるようにしてもよい。
【0030】
保持部50は、補助具本体10が支持され、患者の眼球と注液孔23との位置決めを行うものであればいかなる形状及び大きさであってよい。例えば、補助具本体10の側面の一部から板状に50~100mm上方向に延出するような構成を取っていてもよい。
【0031】
図4に示すように点眼補助装置1は、角度センサ60及び角度センサ61を備えていてもよい。本発明の実施例においては、角度センサが複数備えられているが、単数であってもよい。本発明の角度センサは、補助具本体10の傾斜角度を検出している。例えば、角度センサ60及び角度センサ61は、中心Gと患者の眼球の位置と鉛直方向とを検出することにより、補助具本体10の傾斜角度を検出している。
【0032】
補助具本体10の傾斜角度が検出されることにより、点眼に最適な位置を検出することができる。例えば、図5aに示すように、中心G、注液孔23、患者の眼球が鉛直線上に位置している場合は点眼に最適であるが、水平方向に中心G、注液孔23、患者の眼球のいずれかが変位してしまう場合、点眼液の一部又は全部が眼球から外れてしまうので、点眼に最適な位置ではない。
【0033】
図5bに示すように、中心G及び注液孔23の延長線上に、患者の眼球が位置しても、該延長線が鉛直線と平行でない場合、点眼液の一部又は全部が眼球から外れてしまうので、点眼に最適な位置ではない。また、図5cに示すように、中心G及び注液孔23の延長線上に、患者の眼球が位置していなくても、注液孔23の位置と患者の眼球が鉛直方向にある場合に点眼に最適な位置である。
【0034】
角度センサ60及び角度センサ61は、補助具本体10が点眼に最適な位置の傾斜角度になった場合、補助具本体10に内蔵されているマイクロコンピュータに(図示せず)角度検出信号を出力する。角度検出信号が入力された該マイクロコンピュータは、第1光源40に点灯信号を出力し、第1光源40は点灯する。
【0035】
補助具本体10は、記録ボタンを備えてもよく、(図示せず)点眼成功時における角度センサが検出した傾斜角度を、上記マイクロコンピュータに記録してもよい。また、記録された傾斜角度を用いて、次回以降は該傾斜角度を再現するように制御されてもよい。
【0036】
図6に示すように、点眼補助装置1は、補助具本体の側面にリング状に配置された第2光源70を備えていてもよい。第1光源40により点眼容器2の注液孔23に向かって可視光線を照射する場合、点眼容器2の材質及び点眼容器2に充填されている点眼液の種類によっては、光が十分に透過しない場合がある。その場合に、第1光源40の補助的に第2光源70を点灯させることにより、点眼容器2の材質及び点眼液の種類によらずに、患者に点眼に最適な位置を知らせることができる。
【0037】
点眼補助装置1が角度センサ60及び角度センサ61を備えている場合、上記マイクロコンピュータが点灯信号を第2光源70に出力し、第2光源70が点灯するように制御されてもよい。これにより、注液孔23からの可視光線を患者が十分に認識することができない場合、第2光源70の点灯により、患者は点眼に最適な位置を認識することができる。
【0038】
第2光源70の発光色は赤色であるが、白色、緑色、青色の光源も使用でき、第1光源40と同じ色にしてもよいし、異なる色にしてもよい。また、第2光源70の光源の種類及び点灯パターンについては、第1光源40と同様である。
【0039】
本実施形態の第2光源70は、第1光源40と同時に点灯するものであるが、第1光源40及び第2光源70の点灯に関する制御は、これに限定されず、例えば、患者の眼球が、点眼に最適な位置及びその近傍の、所定範囲内にある場合に第2光源70が点灯し、補助具本体10が所定角度となった場合に第1光源40が点灯するように制御される構成を取っていてもよい。
【0040】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に関して、図7に示すように、点眼補助装置100は、保持部101と、圧着部102とを有している。保持部101において、点眼容器103が点眼補助装置100に装着されている。
【0041】
点眼容器の点眼孔と患者の眼球の上部になり、かつ、点眼溶薬の容器が鉛直方向に垂直となるように保持部101の配置は配置されている。患者がどの程度上を向いているかによって(図7ではθと表現している)保持部101の配置は変化するが、本明細書ではθ=45°として設計している。よって、下記の実施形態では最適点眼角度は45°である。
【0042】
圧着部102は、患者の顔と圧着され、その際に患者の下瞼が開くように構成されている。また、圧着部102は、患者の装着時に鼻側が低く、目尻側が高く構成されており、180°回動可能に構成されているので、両眼に対応することができる。鉛直方向になお、患者の下瞼が開く構成については特に限定はされず、例えば圧着部102の内部、又は、端部に下瞼に圧着する圧着突起を設けて、患者が上を向くときに当該圧着突起が下瞼を引張して下瞼が開くような構成であってもよい。
【0043】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に関して、図8に示すように、点眼補助装置200は、押圧補助部201と、圧着部202とを有している。
【0044】
図8,9に示すように押圧補助部201は、点眼容器203の側面に2点配置されており、両面から患者が押圧補助部201を押圧することにより、本実施形態では押圧補助部30及び押圧補助部31と同様の形態のものを使用しているが形状等はこれに限らず、患者の点眼を補助するようなものであればいかなるものであってもよい。また、下記に示す、患者と点眼装置の測定した際に自動的に点眼を促進するような構成であってもよい。圧着部202については、第2実施形態の圧着部102と同様の構成である。
【0045】
図9に示すように点眼補助装置200は、保持部205において点眼容器203を装着させる。保持部205の配置関係に関しては、第2実施形態と同様である。
【0046】
図9に示すように点眼補助装置200は、LEDライト204と、スピーカ207と、角度センサ208と、制御装置209、を備えている。角度センサ208は点眼時の水平面と患者の頭部の角度を計測しており、患者の頭部の角度が最適点眼角度であるかの判定をする。当該判定結果は制御装置209に伝達され、制御装置209は当該判定結果に応じてLEDライト204とスピーカ207を制御する。例えば、最適点眼角度に患者の頭部の角度がなく更に患者が上を向く必要がある判定結果の場合、スピーカ207は「上を向いてください。」などの音声案内を行い、LEDライト204は赤色に光り、更に患者が下を向く必要がある判定結果の場合、スピーカ207は「更に下を向いてください。」などの音声案内を行い、LEDライト204は緑色に光るように制御されている。なお、患者の頭部を案内する機構については、本実施形態のように音声案内及び光源による両方による案内機構であってもよいし、片方のみであってもよい。
【0047】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に関して、図10、11に示すように、点眼補助装置300は、圧着部302、保持部315を有している。それぞれの構成については上記実施形態と同様である。
【0048】
図10、11に示すように、点眼補助装置300は、第2制御装置310、バッテリー311、カメラ312を有している。カメラ312は、患者の瞳を認識するものであり、患者の瞳の位置、及び、開閉の状態を後述する第1制御装置309及び第2制御装置310に伝達する。また、カメラ312は赤外線LEDを光源として搭載しているので、暗所で撮影が可能であり、瞳孔が開いた状態での眼底の撮影も可能である。これらの情報を第2制御装置310に伝達し、第2制御装置310は患者の瞳が点眼に最適な位置にあるかの判定を行う。当該判定結果を後述する第1制御装置309に伝達する。
【0049】
図10、11に示すように、点眼補助装置300は、と、LEDライト304と、スピーカ307と、角度センサ308と、第1制御装置309と、を有している。第1制御装置309は、角度センサ308による情報との第2制御装置の情報により患者の眼球の位置及び患者の頭部が点眼に最適な位置及び角度であるの判定を行う。当該判定結果に応じて、第1制御装置309は、LEDライト304と、スピーカ307の動作を制御する。例えば、第2実施形態の患者の頭部の傾きの案内に加えて、カメラ312の情報に基づいてスピーカ307は「左右に動いてください」などの詳細な案内が可能になる。複雑な案内ではあるが視力をほとんど喪失しているような患者であっても、患者一人で点眼することができる。
【0050】
上記案内により、点眼に最適な位置に患者の眼球が配置された場合に、第1制御装置309は当該判定結果に基づいて、自動点眼押圧装置301の制御を行う。これにより、自動的に患者の眼球に点眼薬が滴定される。
【0051】
第1実施形態、第3実施形態、図示しないが、第4実施形態と同様に充電式のリチウム電池が内蔵されている。これは、目の不自由な患者については電池の交換は困難であることによる。例えば、第3実施形態の206は制御装置209などの充電回路と接続されるUSBコネクタである。
【0052】
第1実施形態、第3実施形態、第4実施形態については図示しないが外部ネットワークと通信する機構を備えており、患者がいつ点眼したかの日時の記録をすることができる。これにより、患者の点眼忘れの防止することができる。また、第4実施形態では撮影した写真を外部に転送することができるので、医師が病状の進行等を確認することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、100、200、300:点眼補助装置
10:補助具本体
11:底部
20、21、101、205、315:保持部
30、201:押圧補助部
40:第1光源
50:保持部
60、61:角度センサ
70:第2光源
102、202、302:圧着部
103、203、303:点眼容器
207、307:スピーカ
208、308:角度センサ
301:自動点眼押圧装置
304:LEDライト
209、310:制御装置
312:カメラ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の点眼液の眼球への点眼を補助する点眼補助装置であって、
前記点眼液が充填されてなる点眼容器に外挿される有底筒状の補助具本体と、
前記補助具本体の内面で前記点眼容器を保持する保持部と、
前記補助具本体の側面に設けられ、前記患者の前記点眼容器の押圧を補助する押圧補助
部と、
前記補助具本体の底部に設けられ、前記点眼容器の注液孔に向かって可視光線を照射す
る第1光源と
前記補助具本体の傾斜角度を検出する角度センサと、
前記補助具本体の側面に配置された第2光源と、
を備え、
前記第1光源及び前記第2光源は、前記角度センサが所定角度となった場合に照射させることを特徴とする点眼補助装置。
【請求項2】
前記補助具本体を前記患者の顔部から支持し前記眼球に対する位置決めを行う保持部を
備えることを特徴とする請求項1に記載の点眼補助装置。