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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120885
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】可鍛性ガイドを有する拡張器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/24 20060101AFI20240829BHJP
   A61B 90/30 20160101ALI20240829BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B17/24
A61B90/30
A61M25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025303
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】63/447,976
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/539,855
(32)【優先日】2023-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】セサル・フエンテス-オルテガ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・エフ・サラザール
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・ユエ-シン・タン
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
(72)【発明者】
【氏名】コク・エイ・アメフィア
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・イー・ラブジョイ
(72)【発明者】
【氏名】ブリタニ・チュウ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160MM06
4C267AA07
4C267BB48
4C267CC14
4C267CC15
4C267CC16
(57)【要約】
【課題】患者の解剖学的通路を拡張する拡張器具を提供すること。
【解決手段】装置は、本体と、本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリと、を含む。シャフトアセンブリは、可鍛性遠位部分と、可鍛性遠位部分の遠位端に配置された拡大先端部と、を含む。シャフトアセンブリは、拡大先端部内に配置された位置センサを更に含む。位置センサは、三次元空間における拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている。シャフトアセンブリは、拡大先端部内に配置された照明要素を更に含む。照明要素は、光を放射するように構成されている。シャフトアセンブリは、拡大先端部の近位に配置された膨張可能なバルーンを更に含む。膨張可能なバルーンは、患者の耳、鼻、又は咽喉の通路を拡張するように構成されている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリであって、
(i)遠位端を有する可鍛性遠位部分と、
(ii)前記可鍛性遠位部分の前記遠位端に配置された拡大先端部と、
(iii)前記拡大先端部内に配置され、三次元空間における前記拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている、位置センサと、
(iv)前記拡大先端部内に配置され、光を放射するように構成されている、照明要素と、
(v)前記拡大先端部の近位に配置され、患者の耳、鼻、又は咽喉内の通路を拡張するように構成されている、膨張可能なバルーンと、を含む、シャフトアセンブリと、を備える、装置。
【請求項2】
前記シャフトアセンブリが、前記可鍛性遠位部分に対して近位側に配置されている剛性近位部分を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記拡大先端部が、ボール形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シャフトアセンブリが、ガイドワイヤを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記可鍛性遠位部分が管腔を画定し、前記ガイドワイヤが前記管腔内に配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記拡大先端部が開口部を画定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ガイドワイヤが、前記管腔に沿って、かつ前記開口部を通って直動可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
第1のスライダを更に備え、前記第1のスライダが、前記管腔に沿った、かつ前記開口部を通る前記ガイドワイヤの直動を駆動するために、前記本体に沿って直動可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、前記拡張カテーテルは、前記可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、前記膨張可能なバルーンを含み、
前記装置が第2のスライダを更に備え、前記第2のスライダが、前記可鍛性遠位部分に沿った前記拡張カテーテルの直動を駆動するために、前記本体に沿って直動可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ガイドワイヤが遠位端を有し、前記位置センサが前記ガイドワイヤの前記遠位端内に配置され、前記ガイドワイヤの前記遠位端が前記拡大先端部に配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記ガイドワイヤが遠位端を有し、前記照明要素が前記ガイドワイヤの前記遠位端内に配置され、前記ガイドワイヤの前記遠位端が前記拡大先端部に配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
前記ガイドワイヤが遠位端を有し、前記拡大先端部が前記ガイドワイヤの前記遠位端に固定的に取り付けられている、請求項4に記載の装置。
【請求項13】
前記シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、前記拡張カテーテルが、前記可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、前記膨張可能なバルーンを含み、
前記装置がスライダを更に備え、前記スライダが、前記可鍛性遠位部分に沿った前記拡張カテーテルの直動を駆動するために、前記本体に沿って直動可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記可鍛性遠位部分が管腔を画定し、前記ガイドワイヤが前記管腔内に摺動可能に配置され、前記拡張カテーテルは、前記拡張カテーテルが前記可鍛性遠位部分に対して遠位方向に直動する際に、前記拡大先端部に係合し、それによって、前記可鍛性遠位部分に対する前記ガイドワイヤ及び前記拡大先端部の遠位方向への直動を駆動するように構成された遠位端を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記拡張カテーテルが第1の係合機構を更に含み、前記ガイドワイヤ又は前記拡大先端部の一方又は両方が第2の係合機構を含み、前記第1の係合機構と前記第2の係合機構とは、前記拡張カテーテルが前記可鍛性遠位部分に対して近位方向に直動する際に、互いに結合し、それによって、前記拡張カテーテルに前記可鍛性遠位部分に対する前記ガイドワイヤ及び前記拡大先端部の近位方向への直動を駆動させるように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリであって、
(i)遠位端を有する可鍛性遠位部分と、
(ii)前記可鍛性遠位部分内に摺動可能に配設されたガイドワイヤであって、
(A)拡大先端部と、
(B)前記拡大先端部内に配置され、三次元空間における前記拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている、位置センサと、を含む、ガイドワイヤと、
(iii)前記可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置された拡張カテーテルであって、遠位端と、前記拡張カテーテルの前記遠位端の近位に配置された膨張可能なバルーンと、を有し、前記膨張可能なバルーンは、患者の耳、鼻、又は咽喉の通路を拡張するように構成されている、拡張カテーテルと、を含む、シャフトアセンブリと、
(c)前記可鍛性遠位部分に沿った前記拡張カテーテルの直動を駆動するように動作可能であるアクチュエータと、を備え、
前記拡張カテーテルの前記遠位端は、前記拡張カテーテルが前記可鍛性遠位部分に対して遠位方向に直動する際に、前記拡大先端部に係合し、それによって、前記可鍛性遠位部分に対する前記ガイドワイヤ及び前記拡大先端部の遠位方向への直動を駆動するように構成されている、装置。
【請求項17】
前記拡張カテーテルが近位位置と遠位位置との間で直動可能であり、前記拡張カテーテルが前記近位位置にある場合、前記拡張カテーテルの前記遠位端は、前記可鍛性遠位部分の前記遠位端の近位にあり、前記拡張カテーテルが前記遠位位置にある場合、前記拡張カテーテルの前記遠位端は、前記可鍛性遠位部分の前記遠位端の遠位にある、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記拡張カテーテルが前記近位位置にある場合、前記可鍛性遠位部分の前記遠位端は、協働して前記拡大先端部を前記可鍛性遠位部分の前記遠位端に配置するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記可鍛性遠位部分の前記遠位端は、前記拡張カテーテルが前記遠位位置から前記近位位置に移動する際に、協働して前記第1の係合機構と前記第2の係合機構とを互いから分離させるように構成されている、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2023年2月24日に出願された発明の名称が「Dilation Instrument with Malleable Guide」である米国特許仮出願第63/447,976号に基づく優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一部の症例においては、患者の解剖学的通路の拡張が望ましい場合がある。これには、副鼻腔の口の拡張(例えば、副鼻腔炎を治療するため)、喉頭の拡張、耳管の拡張、耳、鼻、又は咽喉内の他の通路の拡張などが含まれ得る。解剖学的通路を拡張する1つの方法としては、ガイドワイヤ及びカテーテルを用いて解剖学的通路内に膨張可能なバルーンを配置し、次いでバルーンを、流体(例えば、生理食塩水)を用いて膨張させて解剖学的通路を拡張することが挙げられる。例えば、拡張可能なバルーンを副鼻腔の口の中に配置し、次いで膨張させることによって、粘膜の切開又は任意の骨の除去を必要とせずに、口に隣接する骨を再構築することにより口を拡張することができる。次いで、拡張した口によって、罹患した副鼻腔からの排液及びその副鼻腔の通気を改善することができる。こうした手技を実施するために使用され得るシステムは、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年12月27日に発行された発明の名称が「Methods and Apparatus for Treating Disorders of the Sinuses」である米国特許第11,534,192号、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年2月28日に発行された発明の名称が「Balloon Dilation Catheter System for Treatment and Irrigation of the Sinuses」である米国特許第9,579,448号、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年10月13日に発行された発明の名称が「Sinus Illumination Lightwire Device」である米国特許第9,155,492号、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年11月25日に公開された発明の名称が「Shaft Deflection Control Assembly for ENT Guide Instrument」である米国特許出願第2021/0361912号の教示に従って提供され得る。
【0003】
耳管拡張との関連で、拡張カテーテル又は他の拡張器具を耳管に挿入し、次いで、これを膨張させるか、又は別の方法で拡張することによって耳管を拡張することができる。拡張された耳管は、鼻咽頭から中耳への改善された通気を提供し、中耳から鼻咽頭への改善された排出を更に提供することができる。耳管を拡張するための方法及びデバイスは、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年2月19日に発行された発明の名称が「Eustachian Tube Dilation Balloon with Ventilation Path」である米国特許第10,206,821号、及びその開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年5月25日に発行された発明の名称が「Method and System for Eustachian Tube Dilation」である米国特許第11,013,896号に開示されている。
【0004】
画像誘導外科手術(image-guided surgery、IGS)は、コンピュータを使用して、患者の身体内に挿入された器具の場所の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)のセットに対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の場所を術前に得られた画像に重ねる技術である。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次いで、特別にプログラムされたコンピュータを使用して、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁場を放出し、かつ/又は外部で生成された電磁場に応答する電磁コイル)を有する特別な器具を使用して手技を実行し、同時に、センサがコンピュータに各外科用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各外科用器具のリアルタイム位置を示す指示(例えば、十字線又は照明ドットなど)と共にビデオモニタ上に表示される。したがって、外科医が器具自体を体内のその現在の場所において直接視覚化することができない場合であっても、外科医は、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0005】
外科手技において、いくつかのシステム及び方法が作られ使用されてきたが、本発明者ら以前に、添付の特許請求の範囲に記載される発明を作るか、又は使用した者はいないと考える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられ、図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
図1】外科用ナビゲーションシステムの一例の概略斜視図を描画する。
図2A】拡張カテーテルが近位位置にあり、拡張カテーテルのバルーンが収縮状態にある、拡張器具の一例の側面図を描画する。
図2B】拡張カテーテルが遠位位置にあり、バルーンが収縮状態にある、図2Aの拡張器具の側面図を描画する。
図2C】拡張カテーテルが遠位位置にあり、バルーンが膨張状態にある、図2Aの拡張器具の側面図を描画する。
図3】一体型照明要素及び一体型位置センサを有するガイド部材の遠位部分の概略図を描画する。
図4A】ガイドワイヤが近位位置にある、別のガイド部材の遠位部分及びガイドワイヤの概略図を描画する。
図4B】ガイドワイヤが遠位位置にある、図4Aのガイド部材及びガイドワイヤの概略図を描画する。
図5】一体型照明要素及び一体型位置センサを有するガイドワイヤの側断面図を描画する。
図6図5の6-6線に沿った、図5のガイドワイヤの断面端面図を描画する。
図7A】ガイドワイヤが近位位置にあり、拡張カテーテルが近位位置にある、拡張器具の別の例の側面図を描画する。
図7B】ガイドワイヤが遠位位置にあり、拡張カテーテルが近位位置にある、図7Aの拡張器具の側面図を描画する。
図7C】ガイドワイヤが遠位位置にあり、拡張カテーテルが遠位位置にあり、拡張カテーテルが遠位位置にあり、拡張カテーテルのバルーンが収縮状態にある、図7Aの拡張器具の側面図を描画する。
図7D】ガイドワイヤが遠位位置にあり、拡張カテーテルが遠位位置にあり、拡張カテーテルのバルーンが膨張状態にある、図7Aの拡張器具の側面図を描画する。
図8A】拡張カテーテルが近位位置にある、拡張器具の別の実施例の側面図を描画する側面図を描画する。
図8B】拡張カテーテルが遠位位置にあり、拡張カテーテルのバルーンが収縮状態にある、図8Aの拡張器具の側面図を描画する。
図8C】拡張カテーテルが遠位位置にあり、拡張カテーテルのバルーンが膨張状態にある、図8Aの拡張器具の側面図を描画する。
図8D】拡張カテーテルが近位位置に戻った、図8Aの拡張器具の側面図を描画する。
図9】拡張器具の別の例の側面図を描画する。
図10図9の拡張器具の分解斜視図を描画する。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描画されていないものを含め、様々な他の方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を例解するものであり、本明細書と一緒に本発明の原理を解説する役割を果たすものであるが、しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0009】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して使用されることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」などの空間用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準にして使用されることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、参照される正確な値だけでなく、構成要素の部分又は集合が、本明細書に記載されるその本来の目的のために機能することを可能にする好適な寸法の許容誤差を包含することを意図する。
【0011】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例等は、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせ得る様々な好適な方式が、本明細書の教示を考慮することにより、当業者に容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形形態は、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0012】
I.画像誘導外科手術ナビゲーションシステムの例
患者(patient、P)の頭部(head、H)内で医療手技を実施するとき、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である場所にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。図1は、画像誘導を使用してENT手技を実行することを可能にするIGSナビゲーションシステム(100)の例を示す。本明細書に記載された構成要素及び動作性を有することに加えて又はこれに代えて、IGSナビゲーションシステム(100)は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,720,521号、表題「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日出願)、及び、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第11,065,061号、表題「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2021年7月20日発行)の技術の少なくともいくつかの教示により構成され、動作可能であり得る。
【0013】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(100)は、馬蹄形フレーム(104)に一体化されている磁場発生器(106)を含む磁場発生器アセンブリ(102)を含む。磁場発生器(106)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁場を生成するように動作可能である。この実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(120)が患者(P)の頭部(H)に挿入される。ナビゲーションガイドワイヤ(120)は、独立型デバイスであってもよいか、又は外科用切断器具若しくは拡張器具などの医療器具のエンドエフェクタ又は他の箇所に位置決めされてもよい。本実施例では、フレーム(104)が椅子(130)に装着され、フレーム(104)が患者(P)の頭部(H)に隣接して位置するように患者(P)は椅子(130)に着座する。単に一例として、椅子(130)及び/又は磁場発生器アセンブリ(102)は、米国特許第10,561,370号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2020年2月18日発行)(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。
【0014】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(100)は、プロセッサ(108)を更に備え、プロセッサ(52)は、IGSナビゲーションシステム(100)の磁場発生器(106)及び他の要素を制御する。例えば、プロセッサ(108)は、磁界発生器(106)を駆動して交流電磁界を生成し、ナビゲーションガイドワイヤ(120)からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内におけるナビゲーションガイドワイヤ(120)内のセンサの場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(108)は、1つ又は2つ以上のメモリと通信する処理ユニットを含む。プロセッサ(108)は、コンピュータシステムの中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、他の種類のハードウエア構成要素、及びそれらの組み合わせを更に含むことができる。本実施例のプロセッサ(108)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを含む動作制御部(112)を備えるコンソール(110)内に装着されている。医師は、外科手技を実行しながら、動作制御部(112)を使用して、プロセッサ(108)と相互作用する。
【0015】
ナビゲーションガイドワイヤ(120)は、磁界発生器(106)によって生成された交流電磁界内の配置に応答するセンサ(図示せず)を含む。結合ユニット(116)はナビゲーションガイドワイヤ(120)の近位端に固定され、コンソール(110)とナビゲーションガイドワイヤ(120)との間のデータ及び他の信号の通信を提供するように構成されている。結合ユニット(116)は、コンソール(110)とナビゲーションガイドワイヤ(120)との間のデータ及び他の信号の有線通信又は無線通信を提供し得る。
【0016】
本実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(120)のセンサは、ナビゲーションガイドワイヤ(120)の遠位端に少なくとも1つの導電性コイルを含む。かかるコイルが磁場発生器(106)によって生成された交流電磁場の中に配置されると、交流磁場がコイルの中に電流を生成し、この電流は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)内の導電路に沿って近位方向に、結合ユニット(116)を介してプロセッサ(108)に更に伝送され得る。この現象により、IGSナビゲーションシステム(100)は、三次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内など)におけるナビゲーションガイドワイヤ(120)又は他の医療器具(拡張器具、外科用切断器具など)の遠位端の場所を判定することができる。これを実現するため、プロセッサ(108)は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)の遠位端の位置座標を、ナビゲーションガイドワイヤ(120)内のコイルの位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。この実施例では、位置センサが、ガイドワイヤ(120)内に配置されているが、このような位置センサは、以下により詳細に記載されるものを含む、様々な他の種類の器具に一体化されてもよい。
【0017】
プロセッサ(108)は、プロセッサ(108)のメモリに記憶されたソフトウェアを使用して、IGSナビゲーションシステム(100)を較正し、動作させる。このような動作は、磁場発生器(106)を駆動することと、ナビゲーションガイドワイヤ(120)からのデータを処理することと、動作制御部(112)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(114)を駆動することと、を含む。いくつかの実装形態では、動作はまた、IGSナビゲーションシステム(100)の1つ若しくは2つ以上の安全機構又は機能の監視及び施行も含み得る。プロセッサ(108)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデル、に関してナビゲーションガイドワイヤ(120)の遠位端の位置を示すディスプレイスクリーン(114)を介して、リアルタイムで動画を提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(114)は、外科手技中にこのような画像(118)を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示された画像(118)は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表示も含んでもよく、こうして、操作者は、その実際の位置で、リアルタイムで器具の仮想レンダリングを見ることができる。単に一例として、ディスプレイスクリーン(114)は、米国特許第10,463,242号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2019年11月5日発行)(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って画像(118)を提供し得る。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像もディスプレイスクリーン(114)に提供することができる。
【0018】
ディスプレイスクリーン(114)によって提供される画像(118)は、器具がナビゲーションワイヤ(120)を組み込んでいる場合、患者の頭部(H)内の器具を操縦する、及び他の方法で操作を行う際に操作者を誘導するのに役立ち得る。また、以下に記載するように、手術用器具の他の構成要素及び他の種類の手術用器具は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)のセンサのようなセンサを組み込んでもよいことを理解されたい。
【0019】
II.1個のスライダ及び固定されたボール先端部を有する拡張器具の例
図2A図2Cは、副鼻腔自然口若しくは他の排液通路を拡張するため、又は耳管を拡張するため、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻、又は咽喉内などの)を拡張するために使用することができる拡張器具(200)の例を示している。あくまで例として、拡張器具(200)は、本明細書に引用される様々な特許参考文献のうちのいずれかの教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。本実施例の拡張器具(200)は、ハンドルアセンブリ(210)及びシャフトアセンブリ(220)を備えている。ハンドルアセンブリ(210)は、操作者の片手によって把持及び操作することができる本体(212)を含む。一対のポート(216、218)が本体(212)から近位方向に延在し、一方、シャフトアセンブリ(220)は本体(212)から遠位方向に延在する。スライダ(214)が本体(212)に沿って摺動可能に配置されており、以下で詳細に説明するように、本体(212)に対する拡張カテーテル(230)の直動を駆動するように動作可能である。
【0020】
シャフトアセンブリ(220)は、拡張カテーテル(230)及び可鍛性ガイド部材(240)を含む。拡張カテーテル(230)は、剛性の近位部分(230)及び可撓性の遠位部分(234)を含む。剛性の近位部分(230)は、スライダ(214)に対して固定的に取り付けられている。いくつかの変形例では、近位部分(230)は金属製のハイポチューブを含み、一方、遠位部分(234)はポリマー材料を含む。膨張可能なバルーン(236)が、遠位部分(234)に一体化されている。バルーン(236)は、それぞれ、ポート(218)と流体結合され、これにより、膨張流体(例えば、生理食塩水など)をポート(218)から内外に流通させて、バルーン(236)を選択的に膨張又は収縮させることができる。いくつかの変形例では、バルーン(236)は非伸張性材料を含み、一方、他の変形例では、バルーン(236)は伸張性材料を含む。バルーン(236)は、収縮状態(図2A図2B)において、バルーン(236)を副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、耳管、又は何らかの他の解剖学的通路内に摺動可能に配置することができるように構成されている。バルーン(236)は、膨張状態(図2C)において、バルーン(236)が配設される開口部又は他の通路をバルーン(236)が拡張するように更に構成されている。
【0021】
本実施例のガイド部材(240)はレールの形態にあり、拡張カテーテル(230)が可鍛性ガイド部材(240)の外側の周囲に摺動可能に配設されている。したがって、近位領域(240)の外径は、拡張カテーテル(230)の内径よりも小さくなっている。ガイド部材(240)は、所望の屈曲角度を達成するためにガイド部材(240)を手動で曲げ、ガイド部材(240)を鼻腔(又は他のアクセス部位)から挿入して標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に到達させる際にその屈曲角度を維持することができるように可鍛性である。したがって、ガイド部材(240)は、所望の屈曲角度に曲げるのに十分な可撓性を有する一方で、拡張手技中に所望の曲げ角度を維持するのに十分な剛性を有している。したがって、拡張手技における器具(200)の使用は、ガイド部材(240)の望ましくない伸展又は再屈曲を生じないであろう。あくまで例として、ガイド部材(240)は金属製ハイポチューブを含み得る。本実施例では、ガイド部材(240)の近位部分は、ハンドルアセンブリ(210)の本体(212)に対して固定的に取り付けられている。
【0022】
本実施例のガイド部材(240)は、ボール先端部(242)の形態の拡大先端部を更に含む。いくつかの変形例では、ボール先端部(242)は、実質的に球状である。いくつかの他の変形例では、ボール先端部(242)は、ブルーベリーのものに似た形状を有する。代替的に、ボール先端部(242)は任意の他の好適な構成を有してもよい。本実施例では、ボール先端部(242)は、副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、又は耳管にボール先端部(242)を通過させることを可能にするために十分に小さいが、ボール先端部(242)が患者の耳管と中耳領域との間の峡部を通過することを防止するために十分な大きさを有している。いくつかの他の変形形態では、ボール先端部(242)は省略される。いくつかのかかる変形形態では、ガイド部材(240)の遠位先端部は、やはり非外傷性ではあるが拡大はされてない。
【0023】
いくつかの変形例では、1つ又は2つ以上の電動構成要素(例えば、LED、位置センサなど)をボール先端部(242)内に配置することができ、ポート(216)によって器具(200)と外部電源との間の対応する結合を提供することができる。かかる構成要素をボール先端部(242)に一体化し得る方法の例については、図3を参照して後で詳述する。上記に加えて、又は上記に代えて、ガイド部材(240)が内部管腔を含んでもよく、ボール先端部(242)が対応する開口部を含んでもよい。いくつかのかかる変形例では、ガイドワイヤ又は他の器具をポート(216)から挿入してガイド部材(240)の管腔内に配置することができ、ボール先端部(242)の開口部に更に通過させることができる。かかる配置の例については、図4A図4Bを参照して後で詳述する。上記に加えて、又は上記に代えて、ポート(216)は、ガイド部材(240)の管腔及びボール先端部(242)の開口部を通じて、吸引、灌流流体、治療流体、及び/又は他の流体を流通させるために使用することもできる。代替的に、ポート(216)は任意の他の好適な様式で使用することもでき、又は単に省略されてもよい。
【0024】
器具(200)の使用の一例では、操作者は、ガイド部材(240)を患者に挿入する前に、ガイド部材(240)に所望の屈曲部を形成することができる。この屈曲工程は、スライダ(214)及び拡張カテーテル(230)が図2Aに示されるような近位側に配置されている間に行うことができる。図2Aに示されるように、本実施例では、拡張カテーテル(230)が近位位置にある場合、遠位部分(234)の全体及び近位部分(232)のかなりの部分が露出する。やはり図2Aに示されるように、本実施例では、拡張カテーテル(230)が近位位置にある場合、ガイド部材(240)の一部が拡張カテーテル(230)に対して露出する。図2Aに示される屈曲角度は、あくまで一例に過ぎないことを理解されたい。状況に応じて、屈曲角度は、図2Aに示される屈曲角度よりも鋭角であっても鈍角であってもよい。更に、ガイド部材(240)は、いくつかの例では、実質的に真っ直ぐのままであってもよい。いずれの場合も、屈曲角度は、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路の位置及びアクセス経路に基づいて選択することができる。
【0025】
ガイド部材(240)に所望の屈曲角度が形成された後、操作者は、シャフトアセンブリ(220)を鼻腔又は他のアクセス通路に挿入し、ガイド部材(240)を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に更に挿入することができる。この挿入は、図2Aに示されるように拡張カテーテル(230)が近位位置に留まっている間に行うことができる。ガイド部材(240)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に好適に通過させられた後、操作者は、本体(212)を静止状態に保持しながらスライダ(214)を遠位方向に前進させることによって、スライダ(214)及び拡張カテーテル(230)が図2Bに示されるような遠位位置に到達するまで拡張カテーテル(230)をガイド部材(240)に沿って前進させることができる。拡張カテーテル(230)がこの遠位位置に前進するにしたがって、拡張カテーテル(230)は標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に前進することができ、これにより、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路にバルーン(236)を配置することができる。バルーン(236)は、このような標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へのバルーン(236)の配置中、収縮状態のままとすることができることを理解されたい。
【0026】
バルーン(236)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に好適に配置された後、バルーン(236)を図2Cに示されるように膨張させることができる。上述したように、かかる膨張は、ポート(218)を介して流体(例えば、生理食塩水など)を流通させることによって提供され得る。膨張したバルーン(236)は、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張することができる。操作者は、バルーン(236)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設されている間、バルーン(236)を任意の所望の時間にわたって膨張状態に維持することができる。次いで、バルーン(236)を収縮させることができる。状況に応じて、操作者は、バルーン(236)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設された状態でバルーン(236)を繰り返し膨張及び収縮させることができる。標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路がバルーン(236)によって十分に拡張された後、操作者は、バルーン(236)が収縮状態にある間にシャフトアセンブリ(220)を患者から取り出すことができる。状況に応じて、操作者は、ガイド部材(240)を再び曲げて異なる屈曲角度を達成し、次いで、上述の工程を繰り返して、患者の別の解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張してもよい。
【0027】
上述の器具(200)の使用に加えて、又はそれに代えて、器具(200)は、探索デバイスとして、かつ/又は患者の耳、鼻、若しくは咽喉内の組織を非外傷的に移動させるために使用することができる。例えば、ガイド部材(240)を所望の屈曲角度に曲げ、ボール先端部(242)を使用して解剖学的空洞内の組織をプロービングするか、又は解剖学的空洞内の組織を移動させるか、又は解剖学的空洞内の組織を他の形で係合させることができる。これは、上述したような拡張手技の前、その間、及び/又はその後に行うことができる。これはまた、拡張が行われない手技においても行うことができる。したがって、器具(200)は、拡張カテーテル(230)が利用されない状況であっても臨床的に有意義な用途を提供し得る。
【0028】
III.代替的なガイド部材の構成の例
A.一体型照明機構及び/又は位置センサを有するガイド部材
上述したように、ガイド部材(240)は、操作者がガイド部材(240)を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配置することを支援するために、1つ若しくは2つ以上の照明機構及び/又は1つ若しくは2つ以上の位置センサを含んでもよい。図3は、ガイド部材(240)の代わりに器具(200)に組み込むことができる代替的なガイド部材(340)の一例を示している。ガイド部材(240)は、以下に別途記載される場合を除いて、ガイド部材(340)と同様に構成され、動作可能であり得る。本実施例のガイド部材(340)は、ガイド部材(240)のボール先端部(242)と同様に構成され、動作可能であり得るボール先端部(342)を含む。しかしながら、本実施例のボール先端部(342)は、ボール先端部(342)から遠位方向に光を投射するように動作可能である一体型照明機構(344)を含む。いくつかの変形例では、照明機構(344)は、1つ又は2つ以上のLEDを含む。かかる変形例では、1つ若しくは2つ以上のワイヤ、導電性配線、又は他の導電性素子は、ガイド部材(340)の長さに沿ってハンドルアセンブリ(210)内に延在することができる。かかる導電性素子は、ポート(216)又はハンドルアセンブリ(210)の何らかの他の機構と更に結合され、照明機構(344)に電力が伝送されることが可能になる。いくつかの変形形態では、電源(例えば、1つ又は2つ以上の電池)は、ハンドルアセンブリ(210)に一体化されて、照明機構(344)に電力を供給する。
【0029】
いくつかの他の変形例では、ボール先端部(342)の少なくとも一部は光透過性材料(例えば、ガラス、プラスチックなど)を含み、ガイド部材(340)の長さに沿ってハンドルアセンブリ(210)内へと延在する1つ又は2つ以上の光ファイバと光学的に導通する。かかる1つ若しくは2つ以上の光ファイバは、ポート(216)を介して、又はハンドルアセンブリ(210)の何らかの他の結合を介して外部光源と光学的に結合されてもよい。代替的に、光源は、ハンドルアセンブリ(210)に一体化されて、1つ又は2つ以上の光ファイバを介して照明機構(344)に光を供給することもできる。
【0030】
照明機構(344)が、1つ若しくは2つ以上のLED、1つ若しくは2つ以上の光ファイバと光学的に導通する光透過性材料、及び/又は何らかの他の構成を含むかにかかわらず、照明機構(344)は、透過照明を提供することによって、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へのガイド部材(240)の配置を助けることができる。例えば、ボール先端部(342)が上顎洞口を通過して上顎洞に進入する際、照明機構(344)は患者の頬から透過する透過照明を提供し、それによって、ガイド部材(340)が上顎洞口を通過したという視覚的確認を提供することができる。同様に、ボール先端部(342)が前頭陥凹を通過して前頭洞に進入する際、照明機構(344)は、患者の額から透過する透過照明を提供し、それによって、ガイド部材(340)が前頭陥凹を通過したという視覚的確認を提供することができる。
【0031】
本実施例のボール先端部(342)は、IGSナビゲーションシステム(100)と協働することで三次元空間におけるボール先端部(342)の位置を示す信号を提供するように構成されている位置センサ(346)を更に備えている。位置センサ(346)は、IGSナビゲーションシステム(100)のガイドワイヤ(120)に関連して上記に述べたように、1つ又は2つ以上のコイルを備えてもよい。1つ若しくは2つ以上のワイヤ、導電性配線、又は他の導電性素子は、ガイド部材(340)の長さに沿ってハンドルアセンブリ(210)内に延在することができる。かかる導電性素子は、ポート(216)又はハンドルアセンブリ(210)の何らかの他の機構と更に結合され、位置センサ(346)からIGSナビゲーションシステム(100)に信号が伝送されることが可能になる。したがって、ポート(216)は、上述した結合ユニット(116)と同様に機能することができる。位置センサ(346)を有するガイド部材(340)が使用される器具(200)の変形例では、操作者は、ガイドワイヤ(120)の位置を追跡することに関連して上記に述べたように、ナビゲーションシステム(100)に頼って三次元空間におけるボール先端部(342)のリアルタイムの位置を決定し、ガイド部材(340)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路にいつ到達したかを判定することができる。
【0032】
本実施例のボール先端部(342)は、照明機構(344)及び位置センサ(346)を含むが、いくつかの変形形態は、照明機構(344)を含み、位置センサ(346)を省略してもよい。同様に、いくつかの変形形態は、位置センサ(346)を含み、照明機構(344)を省略してもよい。
【0033】
B.一体型照明機構及び/又は位置センサを有するガイド部材及びガイドワイヤ
図4A図4Bは、ガイド部材(240)の代わりに器具(200)に組み込むことができる代替的なガイド部材(440)を示している。ガイド部材(240)は、以下に別途記載される場合を除いて、ガイド部材(440)と同様に構成され、動作可能であり得る。本実施例のガイド部材(440)は、ガイド部材(240)のボール先端部(242)と同様に構成され、動作可能であるボール先端部(444)を含む。しかしながら、本実施例のボール先端部(444)は、ガイド部材(440)を通じて形成された管腔(442)と連通した開口部(446)を画定している。ガイドワイヤ(450)が管腔(442)内に配置されている。本実施例のガイドワイヤ(450)は、ガイドワイヤ(450)の遠位端(452)に一体型照明機構(454)及び位置センサ(456)を含む。ガイドワイヤ(450)を、遠位端(452)に照明機構(454)及び位置センサ(456)を含むように構成され得方法の例は、図5図6を参照して後で詳述する。
【0034】
照明機構(454)は、透過照明を提供することによって、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内でのガイドワイヤ(450)及びガイド部材(440)の配置を助けることができる。例えば、遠位端(452)が上顎洞口を通過して上顎洞に進入する際、照明機構(454)は患者の頬から透過する透過照明を提供し、それによって、ガイドワイヤ(450)が上顎洞口を通過したという視覚的確認を提供することができる。同様に、遠位端(452)が前頭陥凹を通過して前頭洞に進入する際、照明機構(454)は、患者の額から透過する透過照明を提供し、それによって、ガイドワイヤ(450)が前頭陥凹を通過したという視覚的確認を提供することができる。
【0035】
位置センサ(456)は、IGSナビゲーションシステム(100)と協働することで三次元空間における遠位端(452)の位置を示す信号を提供するように構成されている。位置センサ(456)は、IGSナビゲーションシステム(100)のガイドワイヤ(120)に関連して上記に述べたように、1つ又は2つ以上のコイルを備えてもよい。1つ若しくは2つ以上のワイヤ、導電性配線、又は他の導電性素子は、ガイドワイヤ(450)の長さに沿って延在することができる。かかる導電性素子は、結合ユニット(116)のような機構と更に結合され、位置センサ(456)からIGSナビゲーションシステム(100)に信号が伝送されることを可能にする。位置センサ(456)を有するガイドワイヤ(450)が使用される器具(200)の変形例では、操作者は、ガイドワイヤ(120)の位置を追跡することに関連して上記に述べたように、ナビゲーションシステム(100)に頼って三次元空間における遠位端(452)のリアルタイムの位置を決定し、ガイドワイヤ(450)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路にいつ到達したかを判定することができる。
【0036】
本実施例のガイドワイヤ(450)は、照明機構(454)及び位置センサ(456)を含むが、ガイドワイヤ(450)のいくつかの変形形態は、照明機構(454)を含み、位置センサ(456)を省略してもよい。ガイドワイヤ(450)が位置センサ(456)を有しないいくつかの配置では、ボール先端部(444)は一体型位置センサ(346)を含んでもよい。同様に、いくつかの変形形態は、位置センサ(456)を含み、照明機構(454)を省略してもよい。ガイドワイヤ(450)が照明機構(454)を有しないいくつかの配置では、ボール先端部(444)が一体型照明機構(344)を含んでもよい。ガイドワイヤ(450)の更に他の変形形態では、超音波センサ(456)及び位置センサ(454)の両方を省略してもよい。ガイドワイヤ(450)が位置センサ(456)及び照明機構(454)のどちらも有しない配置では、ボール先端部(444)が一体型位置センサ(346)及び/又は一体型照明機構(344)を含んでもよい。
【0037】
図4A図4Bに示されるように、ガイドワイヤ(450)は、近位位置(図4A)と遠位位置(図4B)との間でガイド部材(440)に対して長手方向に直動することができる。図4Aに示されるようなガイドワイヤ(450)が近位位置にある状態では、遠位端(452)はボール先端部(444)に対して後退している。図4Bに示されるようなガイドワイヤ(450)が近位位置にある状態では、遠位端(452)はボール先端部(444)に対して露出している。あくまで一例として、ハンドルアセンブリ(210)のいくつかの変形形態は、ガイドワイヤ(450)を駆動してガイドワイヤ(450)を近位位置(図4A)と遠位位置(図4B)との間で移行させるように動作可能である更なるスライダを含むように改変してもよい。ガイドワイヤを駆動するための更なるスライダを有するハンドルアセンブリの実施例は、図7A図7Dを参照して後で詳述する。別の変形例として、拡張カテーテルの長手方向の直動が、ガイドワイヤ(450)の近位位置(図4A)と遠位位置(図4B)との間の長手方向の直動を駆動するように器具を構成してもよい。かかる配置のいくつかの例が、2022年8月23日に発行された発明の名称が「Sinuplasty Instrument with Moveable Navigation Sensor」である米国特許第11,419,623号に記載され、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。かかる配置の別の例は、図8A図8Dを参照しながら後で詳述する。
【0038】
いくつかの他の変形形態では、ガイドワイヤ(450)は、図4Bの遠位位置に直動するように構成されていない。いくつかのかかる変形形態では、ガイドワイヤ(450)は、遠位端(452)がボール先端部(444)に、又はその近くに配置されているガイド部材(440)に対して固定される。あくまで一例として、ガイドワイヤ(450)はポート(216)から挿入されてもよく、ポート(216)と選択的にロックしてガイド部材(440)に対するガイドワイヤ(450)の長手方向の位置を固定する機構を含んでもよい。ガイドワイヤ(450)がガイド部材(440)に対して固定され、遠位端(452)がボール先端部(444)に、又はその近くに配置されているいくつかの変形形態では、位置センサ(456)からの信号は、三次元空間におけるボール先端部(444)のリアルタイムの位置を効果的に示すことができる。上記に加えて、又は上記に代えて、ガイドワイヤ(450)がガイド部材(440)に対して固定され、遠位端(452)がボール先端部(444)に、又はその近くに配置されているいくつかの変形形態では、照明機構(454)からの光は、ボール先端部(444)の開口部(446)から遠位方向に投射することができる。
【0039】
ガイド部材(440)の管腔(442)はまた、ガイドワイヤ(450)を収容することに加えて、又はそれに代えて、他の目的で使用することができる。例えば、管腔(442)及び開口部(446)を、吸引、灌流流体、又は他の流体を患者の耳、鼻、又は咽喉内の空洞若しくは通路に流通させるために使用することができる。場合により、ガイドワイヤ(450)が管腔(442)内に配設されている間に、吸引、灌流流体、又は他の流体を管腔(442)及び開口部(446)を通じて流通させることができる。いくつかの他の場合では、ガイドワイヤ(450)は、吸引、灌流流体、又は他の流体を管腔(442)及び開口部(446)を通じて流通させることを可能にするように管腔(442)から取り出される。管腔(442)は、流体送達針、アブレーション針、又は他の作業器具などの他の器具類を摺動可能に受容するように構成することもできることを理解されたい。
【0040】
C.一体型照明機構及び位置センサを有するガイドワイヤ
図5図6は、図4A図4Bのガイドワイヤ(450)に採用することができる形態を表すガイドワイヤ(500)の例を示している。本実施例のガイドワイヤ(500)は、先端部材(524)に遠位方向に結合される外側コイル(510)を含む。外側コイル(510)は管腔(512)を画定している。光ファイバ(520)、コアワイヤ(530)、及び一対の電気ワイヤ(542)が、管腔(512)内に配置されている。
【0041】
光学ファイバ(520)の近位端(図示せず)は、光源と光学的に結合することができる。光ファイバ(520)は、先端部材(524)に固定的に取り付けられている遠位端(522)を有している。先端部材(524)は光透過性材料(例えば、プラスチックなど)を含んでおり、これにより、光ファイバ(520)に沿って伝送される光を先端部材(524)から放射することができる。したがって、光ファイバ(520)と先端部材(524)とは協働して、上述の照明機構(344、454)のような照明機構を構成することができる。いくつかの他の変形形態では、LED又は他の光源が先端部材(524)に、又はその近くでガイドワイヤ(500)に一体化され、管腔(512)を通じて延在する電線又は導電性配線がLEDに電力を供給する。かかる変形形態では、光ファイバ(520)が省略されてもよい。
【0042】
先端部材(524)を介して遠位方向に配置された照明を提供することに加えて、又はそれに代えて、光ファイバ(520)は、歪み感知、圧力感知、温度感知、及び/又は感知を提供することができるファイバブラッググレーティングセンサを提供するように構成することもできる。ガイドワイヤ(500)が(ファイバブラッググレーティングセンサなどにより)圧力感知を提供する場合、ガイドワイヤ(500)は、プロセッサ(108)に格納された術前画像(例えば、CTスキャン)内の既知のランドマークによる相互参照圧力増加などによって、IGSナビゲーションシステム(100)を用いた受動的患者位置合わせを可能とし得る。
【0043】
コアワイヤ(530)の近位端(図示せず)は、外部コイル(510)の近位端(図示せず)に対して固定的に取り付けることができる。コアワイヤ(530)は先端部材(524)に固定的に取り付けられる遠位端(532)を有しており、これにより、遠位端(532)は外部コイル(510)の遠位端に対して固定的に取り付けられている。本実施例では、遠位端(532)は先端部材(524)を介して外側コイル(510)に固定されているが、遠位端(532)は任意の他の好適な様式で外部コイル(510)に固定されてもよい。本実施例のコアワイヤ(530)は、非伸張性材料(例えば、スチールワイヤ、スチールリボン、1つ又は2つ以上のポリマーストランドなど)で形成されており、これにより、コアワイヤ(530)はガイドワイヤ(500)に引張強度を提供するように構成されている。外部コイル(510)とコアワイヤ(530)とが一緒にガイドワイヤ(500)に横方向の大きな可撓性を提供し、ガイドワイヤ(500)を曲がりくねった経路に沿って容易に進めることを可能としており、一方、コアワイヤ(530)は外側コイル(510)が長手方向に伸びることを防止する。
【0044】
電気ワイヤ(542)の近位端(図示せず)は、上述のシステム(100)のようなIGSナビゲーションシステムと最終的に導通する電気的インターフェースと結合される。例えば、電気ワイヤ(542)の近位端は、結合ユニット(116)のような機構と結合されてもよい。電気ワイヤ(542)の遠位端は位置センサ(540)と結合され、位置センサは先端部材(524)に対して更に固定されている。位置センサ(540)は、本明細書に記載される任意の他の位置センサ(346、456)と同様に構成され、動作可能であってもよく、これにより、位置センサ(540)は三次元空間における先端部材(524)のリアルタイムの位置を示す信号を生成することができる。本実施例では、位置センサ(540)からの信号を伝送するために電線(542)を使用しているが、いくつかの他の変形形態では、位置センサ(540)からの信号を伝送するために導電性配線(例えば、フレキシブル回路基板上の)を与えてもよい。
【0045】
ガイドワイヤ(500)は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年9月15日に発行された発明の名称が「Guidewire Navigation for Sinuplasty」である米国特許第10,772,489号の教示の少なくとも一部に従って更に構成され、動作可能であり得る。
【0046】
IV.2個のスライダと、可鍛性ガイド部材と、ボール先端部を有するガイドワイヤと、を有する拡張器具の例
図7A図7Dは、副鼻腔自然口若しくは他の排液通路を拡張するため、又は耳管を拡張するため、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻、若しくは咽喉内などの)を拡張するために使用することができる拡張器具(600)の例を示している。あくまで例として、拡張器具(600)は、本明細書に引用される様々な特許参考文献のうちのいずれかの教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。本実施例の拡張器具(600)は、ハンドルアセンブリ(610)及びシャフトアセンブリ(620)を備えている。ハンドルアセンブリ(610)は、操作者の片手によって把持及び操作することができる本体(612)を含む。ポート(618)が本体(612)から近位方向に延在し、一方、シャフトアセンブリ(620)は本体(612)から遠位方向に延びている。第1のスライダ(614)が本体(612)に沿って摺動可能に配置されており、以下で詳細に説明するように、本体(612)に対する拡張カテーテル(660)の直動を駆動するように動作可能である。第2のスライダ(616)が本体(612)に沿ってやはり摺動可能に配置されており、以下で詳細に説明するように、本体(612)に対するガイドワイヤ(650)の直動を駆動するように動作可能である。
【0047】
本実施例のシャフトアセンブリ(620)は、剛性の外側ガイドチューブ(630)と、内側可鍛性ガイド部材(640)と、ガイドワイヤ(650)と、拡張カテーテル(660)と、を含む。外側ガイドチューブ(630)は、ハンドルアセンブリ(610)に対して固定的に取り付けられ、遠位端(632)で終端している。本実施例では外側ガイドチューブ(630)は完全に剛性であり、これにより、外側ガイドチューブ(630)が曲がるように構成されていない。いくつかの他の変形形態では、外側ガイドチューブ(630)は曲がるように構成されている。更に他の変形形態では、外側ガイドチューブ(630)は省略される。したがって、器具(600)の全ての変形例において外側ガイドチューブ(630)を含む必要はないことを理解されたい。
【0048】
ガイド部材(640)は、外側ガイドチューブ(630)内に配置され、外側ガイドチューブ(630)に対して遠位方向に延在し、これにより、ガイド部材(640)の遠位端(642)は外側ガイドチューブ(630)の遠位端(632)に対して遠位方向に位置している。ガイド部材(640)の近位端はハンドルアセンブリ(610)に対して固定的に取り付けられており、これにより、ガイド部材(640)は本実施例ではハンドルアセンブリ(610)に対して直動しないようになっている。いくつかの変形例では、ガイド部材(640)の近位部分は剛性である。ガイド部材(640)の少なくとも遠位領域(例えば、外側ガイドチューブ(632)の遠位端(632)に対して遠位方向に露出するガイド部材(640)の領域)は、ガイド部材(640)を所望の屈曲角度を達成するために手動で曲げ、ガイド部材(640)を鼻腔(又は他のアクセス部位)から挿入して標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に到達させる際にその屈曲角度を維持することができるように可鍛性である。したがって、ガイド部材(640)は、所望の屈曲角度に曲げるのに十分な可撓性を有する一方で、拡張手技中に所望の曲げ角度を維持するのに十分な剛性を有している。したがって、拡張手技における器具(600)の使用は、ガイド部材(640)の望ましくない伸展又は再屈曲を生じないであろう。あくまで例として、ガイド部材(640)は金属製ハイポチューブを含み得る。ガイド部材(640)は、図7A図7Dでは真っ直ぐなものとして示されているが、ガイド部材(640)は、任意の所望の屈曲角度を達成するために曲げることができる。
【0049】
拡張カテーテル(660)は、外側ガイドチューブ(630)の内径とガイド部材(640)の外径との間に形成された径方向の間隙内に摺動可能に配設されており、これにより、拡張カテーテル(660)はガイドチューブ(630)に対して内側に、かつガイド部材(640)に対して外側に配置されるようになっている。拡張カテーテル(660)の近位部分はスライダ(614)に固定的に取り付けられており、これにより、スライダ(614)は本体(612)に対する拡張カテーテル(660)の長手方向の直動を駆動するように動作可能である。拡張カテーテル(660)は、拡張カテーテル(660)の遠位端(662)の近くに膨張可能なバルーン(664)を含む。バルーン(664)は、それぞれ、ポート(618)と流体結合され、これにより、膨張流体(例えば、生理食塩水など)をポート(618)から内外に流通させて、バルーン(664)を選択的に膨張又は収縮させることができる。いくつかの変形例では、バルーン(664)は非伸張性材料を含み、一方、他の変形例では、バルーン(664)は伸張性材料を含む。バルーン(664)は、収縮状態(図7C)において、バルーン(664)を副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、耳管、又は何らかの他の解剖学的通路内に摺動可能に配置することができるように構成されている。バルーン(664)は、膨張状態(図7D)において、バルーン(664)が配設される開口部又は他の通路をバルーン(664)が拡張するように更に構成されている。
【0050】
ガイドワイヤ(650)は拡張カテーテル(660)内に摺動可能に配設されており、これにより、ガイドワイヤ(650)は拡張カテーテル(660)に対して内部に配置されている。ガイドワイヤ(650)の近位部分はスライダ(616)に固定的に取り付けられており、これにより、スライダ(616)は本体(612)に対するガイドワイヤ(650)の長手方向の直動を駆動するように動作可能である。ガイドワイヤ(650)は、ガイドワイヤ(650)の遠位端にボール先端部(652)を含む。ボール先端部(652)は、シャフトアセンブリ(620)の他の構成要素の遠位端(632、642、662)に対して遠位に位置しており、これにより、ボール先端部(652)は本実施例ではシャフトアセンブリ(620)の最も遠位側の要素となっている。いくつかの変形例では、ボール先端部(652)は、実質的に球状である。いくつかの他の変形例では、ボール先端部(652)は、ブルーベリーのものに似た形状を有する。代替的に、ボール先端部(652)は任意の他の好適な構成を有してもよい。本実施例では、ボール先端部(652)は、副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、又は耳管にボール先端部(652)を通過させることを可能にするために十分に小さいが、ボール先端部(652)が患者の耳管と中耳領域との間の峡部を通過することを防止するために十分な大きさを有している。いくつかの他の変形形態では、ボール先端部(652)は省略される。いくつかのかかる変形形態では、ガイドワイヤ(650)の遠位先端部は、やはり非外傷性ではあるが拡大はされてない。
【0051】
図7A図7Dには示されていないが、ボール先端部(652)は、照明機構及び/又は位置センサを含んでもよい。ボール先端部(652)の照明機構は、本明細書に記載される照明機構(344、454、522、524)のうちのいずれかのように構成され、動作可能であり得る。同様に、ボール先端部(652)の位置センサは、本明細書に記載される位置センサ(346、456、540)のうちのいずれかのように構成され、動作可能であり得る。
【0052】
器具(600)の使用の一例では、操作者は、ガイドワイヤ(650)及びガイド部材(640)を患者に挿入する前に、ガイド部材(640)に所望の屈曲部を形成することができる。この屈曲工程は、スライダ(614、616)、ガイドワイヤ(650)、及び拡張カテーテル(660)が図7Aに示されるような近位側に配置されている間に行うことができる。図7Aに示されるように、本実施例では、ガイドワイヤ(650)が近位位置にある場合、ボール先端部(652)はガイド部材(640)の遠位端(642)に位置している。上述のように、図7Aは、真っ直ぐな形態のガイド部材(640)を示しているが、ガイド部材(640)は、代わりに、任意の好適な屈曲角度(例えば、標的解剖学的開口部又は他の解剖学的通路の位置及びアクセス経路に基づいて)を取り得ることを理解されたい。
【0053】
所望の屈曲角度がガイド部材(640)に形成された後、操作者は、シャフトアセンブリ(620)を鼻腔又は他のアクセス通路に挿入し、次いで、スライダ(616)を本体(612)に対して遠位方向に前進させることによって、図7Bに示されるように、ガイドワイヤ(650)を本体(612)に対して遠位方向に駆動することができる。ガイドワイヤ(650)は、ガイド部材(640)を通ってガイドワイヤ(650)が遠位方向に前進する際、ガイド部材(640)によって形成された屈曲部に追従することができる。ガイドワイヤ(650)の遠位方向への前進は、最終的に、ガイドワイヤ(650)を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へと駆動することができる。この挿入は、拡張カテーテル(660)が近位位置に留まっている間に行うことができる。場合によっては、操作者は、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を通じてガイド部材(640)を前進させることなく、ガイドワイヤ(650)のみを標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へと駆動する。いくつかの他の場合では、操作者は、ガイドワイヤ(650)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を通過した後に、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を通じてガイド部材(640)の遠位部分を駆動する。いずれの状況においても、操作者は、ガイドワイヤ(650)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に対して適切に配置されていることを確認するために、ボール先端部(652)からの透過照明、及び/又はボール先端部(652)内の位置センサからの信号に基づくIGSナビゲーションシステム(100)からのフィードバックに頼ることができる。
【0054】
ガイドワイヤ(650)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に好適に通過させられた後、操作者は、本体(612)を静止状態に保持しながらスライダ(614)を遠位方向に前進させることによって、スライダ(614)及び拡張カテーテル(660)が図7Cに示されるような遠位位置に到達するまで拡張カテーテル(660)をガイド部材(640)に沿って、更にガイドワイヤ(650)に沿って前進させることができる。遠位端(662)及びバルーン(664)がガイド部材(640)の遠位端(642)を越えて直動した後、遠位端(662)及びバルーン(664)はガイドワイヤ(650)に沿って直動することを理解されたい。いくつかの変形例では、拡張カテーテル(660)の遠位端(662)が拡張カテーテル(660)の遠位方向への前進中にボール先端部(652)にぶつかる場合、ボール先端部(652)は、拡張カテーテル(660)の遠位端(662)がボール先端部(652)を越えて遠位方向に前進することを防止することも理解されたい。換言すれば、ボール先端部(652)は、状況に応じて、ガイドワイヤ(650)が患者の耳管と中耳領域との間の峡部を通過することを防止すること、及び拡張カテーテル(660)がガイドワイヤ(650)を越えて前進することを防止する(それによって、拡張カテーテル(660)が峡部を通過することを防止する)ことを含む、2つの目的を果たすことができる。
【0055】
拡張カテーテル(660)が図7Cに示される遠位位置に前進するにしたがって、拡張カテーテル(660)は標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に前進することができ、これにより、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路にバルーン(664)を配置することができる。バルーン(664)は、このような標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へのバルーン(664)の配置中、収縮状態のままとすることができることを理解されたい。バルーン(664)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に好適に配置された後、バルーン(664)を図7Dに示されるように膨張させることができる。上述したように、かかる膨張は、ポート(618)を介して流体(例えば、生理食塩水など)を流通させることによって行うことができる。膨張したバルーン(664)は、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張することができる。操作者は、バルーン(664)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設されている間、バルーン(664)を任意の所望の時間にわたって膨張状態に維持することができる。次いで、バルーン(664)を収縮させることができる。状況に応じて、操作者は、バルーン(664)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設された状態でバルーン(664)を繰り返し膨張及び収縮させることができる。標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路がバルーン(664)によって十分に拡張された後、操作者は、バルーン(664)が収縮状態にある間にシャフトアセンブリ(620)を患者から取り出すことができる。状況に応じて、操作者は、ガイド部材(640)を再び曲げて異なる屈曲角度を達成し、次いで、上述の工程を繰り返して、患者の別の解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張してもよい。
【0056】
上述の器具(600)の使用に加えて、又はそれに代えて、器具(600)は、探索デバイスとして、かつ/又は患者の耳、鼻、若しくは咽喉内の組織を非外傷的に移動させるために使用することができる。例えば、ガイド部材(640)を所望の屈曲角度に曲げ、ボール先端部(652)を(例えば、ガイド部材(640)の遠位端(642)に留まった状態で)使用して解剖学的空洞内の組織をプロービングするか、又は解剖学的空洞内の組織を移動させるか、又は解剖学的空洞内の組織を他の形で係合させることができる。これは、上述したような拡張手技の前、その間、及び/又はその後に行うことができる。これはまた、拡張が行われない手技においても行うことができる。したがって、器具(600)は、拡張カテーテル(660)が利用されない状況であっても臨床的に有意義な用途を提供し得るものである。
【0057】
V.1個のスライダと、可鍛性ガイド部材と、ボール先端部を有するガイドワイヤと、を有する拡張器具の例
図8A図8Dは、副鼻腔自然口若しくは他の排液通路を拡張するため、又は耳管を拡張するため、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻、若しくは咽喉内などの)を拡張するために使用することができる拡張器具(700)の例を示している。あくまで例として、拡張器具(700)は、本明細書に引用される様々な特許参考文献のうちのいずれかの教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。本実施例の拡張器具(700)は、ハンドルアセンブリ(710)及びシャフトアセンブリ(720)を備えている。ハンドルアセンブリ(710)は、操作者の片手によって把持及び操作することができる本体(712)を含む。ポート(718)が本体(712)から近位方向に延在し、一方、シャフトアセンブリ(720)は本体(712)から遠位方向に延在する。スライダ(714)が本体(712)に沿って摺動可能に配置されており、以下で詳細に説明するように、本体(712)に対する拡張カテーテル(760)の直動を駆動するように動作可能である。
【0058】
本実施例のシャフトアセンブリ(720)は、剛性の外側ガイドチューブ(730)と、内側可鍛性ガイド部材(740)と、ガイドワイヤ(750)と、拡張カテーテル(760)と、を含む。外側ガイドチューブ(730)は、ハンドルアセンブリ(710)に対して固定的に取り付けられ、遠位端(732)で終端している。本実施例では外側ガイドチューブ(730)は完全に剛性であり、これにより、外側ガイドチューブ(730)が曲がるように構成されていない。いくつかの他の変形形態では、外側ガイドチューブ(730)は曲がるように構成されている。更に他の変形形態では、外側ガイドチューブ(730)は省略される。したがって、器具(700)の全ての変形例において外側ガイドチューブ(730)を含む必要はないことを理解されたい。
【0059】
ガイド部材(740)は、外側ガイドチューブ(730)内に配置され、外側ガイドチューブ(730)に対して遠位方向に延在し、これにより、ガイド部材(740)の遠位端(742)は外側ガイドチューブ(730)の遠位端(732)に対して遠位方向に位置している。ガイド部材(740)の近位端はハンドルアセンブリ(710)に対して固定的に取り付けられており、これにより、ガイド部材(740)は本実施例ではハンドルアセンブリ(710)に対して直動しないようになっている。いくつかの変形例では、ガイド部材(740)の近位部分は剛性である。ガイド部材(740)の少なくとも遠位領域(例えば、外側ガイドチューブ(732)の遠位端(732)に対して遠位方向に露出するガイド部材(740)の領域)は、ガイド部材(740)を所望の屈曲角度となるように手動で曲げ、ガイド部材(740)を鼻腔(又は他のアクセス部位)から挿入して標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に到達させる際にその屈曲角度を維持することができるように可鍛性である。したがって、ガイド部材(740)は、所望の屈曲角度に曲げるのに十分な可撓性を有する一方で、拡張手技中に所望の曲げ角度を維持するのに十分な剛性を有している。したがって、拡張手技における器具(700)の使用は、ガイド部材(740)の望ましくない伸展又は再屈曲を生じないであろう。あくまで例として、ガイド部材(740)は金属製ハイポチューブを含み得る。ガイド部材(740)は、図8A図8Dでは真っ直ぐなものとして示されているが、ガイド部材(740)は、任意の所望の屈曲角度を達成するために曲げることができる。
【0060】
拡張カテーテル(760)は、外側ガイドチューブ(730)の内径とガイド部材(740)の外径との間に形成された径方向の間隙内に摺動可能に配設されており、これにより、拡張カテーテル(760)はガイドチューブ(730)に対して内側に、かつガイド部材(740)に対して外側に配置されるようになっている。拡張カテーテル(760)の近位部分はスライダ(714)に固定的に取り付けられており、これにより、スライダ(714)は本体(712)に対する拡張カテーテル(760)の長手方向の直動を駆動するように動作可能である。拡張カテーテル(760)は、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)の近くに膨張可能なバルーン(764)を含む。バルーン(764)は、それぞれ、ポート(718)と流体結合され、これにより、膨張流体(例えば、生理食塩水など)をポート(718)から内外に流通させて、バルーン(764)を選択的に膨張又は収縮させることができる。いくつかの変形例では、バルーン(764)は非伸張性材料を含み、一方、他の変形例では、バルーン(764)は伸張性材料を含む。バルーン(764)は、収縮状態(図8B)において、バルーン(764)を副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、耳管、又は何らかの他の解剖学的通路内に摺動可能に配置することができるように構成されている。バルーン(764)は、膨張状態(図8C)において、バルーン(764)が配設される開口部又は他の通路をバルーン(764)が拡張するように更に構成されている。
【0061】
ガイドワイヤ(750)は拡張カテーテル(760)内に摺動可能に配設されており、これにより、ガイドワイヤ(750)は拡張カテーテル(760)に対して内部に位置している。器具(700)のガイドワイヤ(650)とは異なり、器具(600)のガイドワイヤ(750)はスライダに固定されていない。代わりに、ガイドワイヤ(750)は、後述するように、拡張カテーテル(760)の直動によって長手方向に駆動される。ガイドワイヤ(750)は、ガイドワイヤ(750)の遠位端にボール先端部(752)を含む。ボール先端部(752)は、シャフトアセンブリ(720)の他の構成要素の遠位端(732、742、762)に対して遠位に位置しており、これにより、ボール先端部(752)は本実施例ではシャフトアセンブリ(720)の最も遠位側の要素となっている。いくつかの変形例では、ボール先端部(752)は、実質的に球状である。いくつかの他の変形例では、ボール先端部(752)は、ブルーベリーのものに似た形状を有する。代替的に、ボール先端部(752)は任意の他の好適な構成を有してもよい。本実施例では、ボール先端部(752)は、副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、又は耳管にボール先端部(752)を通過させることを可能にするために十分に小さいが、ボール先端部(752)が患者の耳管と中耳領域との間の峡部を通過することを防止するために十分な大きさを有している。いくつかの他の変形形態では、ボール先端部(752)は省略される。いくつかのかかる変形形態では、ガイドワイヤ(750)の遠位先端部は、やはり非外傷性ではあるが拡大はされてない。
【0062】
図8A図8Dには示されていないが、ボール先端部(752)は、照明機構及び/又は位置センサを含んでもよい。ボール先端部(752)の照明機構は、本明細書に記載される照明機構(344、454、522、524)のうちのいずれかのように構成され、動作可能であり得る。同様に、ボール先端部(752)の位置センサは、本明細書に記載される位置センサ(346、456、540)のうちのいずれかのように構成され、動作可能であり得る。
【0063】
器具(700)の使用の一例では、操作者は、ボール先端部(752)とガイド部材(740)を患者に挿入する前に、ガイド部材(740)に所望の屈曲部を形成することができる。この屈曲工程は、スライダ(714)、ガイドワイヤ(750)、及び拡張カテーテル(760)が図8Aに示されるような近位側に配置されている間に行うことができる。図8Aに示されるように、本実施例では、ガイドワイヤ(750)が近位位置にある場合、ボール先端部(752)はガイド部材(740)の遠位端(742)に位置している。この近位位置では、ボール先端部(752)は、外側ガイドチューブ(730)の遠位端(732)から第1の距離(D1)にある。ガイドチューブ(730)のない器具の変形例では、代わりに、第1の距離は、本体(712)の遠位端とボール先端部(752)との間で規定することができる。上述のように、図8Aは、真っ直ぐな形態のガイド部材(740)を示しているが、ガイド部材(740)は、代わりに、任意の好適な屈曲角度(例えば、標的解剖学的開口部又は他の解剖学的通路の位置及びアクセス経路に基づいて)を取り得ることを理解されたい。
【0064】
所望の屈曲角度がガイド部材(740)に形成された後、操作者は、シャフトアセンブリ(720)を鼻腔又は他のアクセス通路に挿入することができる。場合によっては、操作者は、ボール先端部(752)及びガイド部材(740)の遠位部分を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へと更に前進させ、これにより、ボール先端部(752)及びガイド部材(740)の遠位部分は標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を通過する。いくつかの他の場合では、操作者は、ボール先端部(752)を、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に隣接する位置まで前進させるが、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内にボール先端部(752)を前進させるすぐ手前で止めることで、ボール先端部(752)及びガイド部材(740)の遠位部分は標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を通過しない。いずれの状況においても、挿入は、拡張カテーテル(760)が近位位置に留まっている間に行うことができる。操作者は、ガイド部材(740)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に対して適切に配置されていることを確認するために、ボール先端部(752)からの透過照明、及び/又はボール先端部(752)内の位置センサからの信号に基づくIGSナビゲーションシステム(100)からのフィードバックに頼ることができる。
【0065】
図8Bに示されるように、ボール先端部(752)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に対して適当に配置された後、操作者は本体(712)を静止状態に保持し、スライダ(714)を本体(712)に対して遠位方向に前進させることにより、拡張カテーテル(760)を本体(712)に対して遠位方向に駆動する。拡張カテーテル(760)は、拡張カテーテル(760)がガイド部材(740)に沿って遠位方向に前進する際、ガイド部材(740)によって形成された屈曲部に追従することができる。拡張カテーテル(760)が遠位方向に前進させられると、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)はボール先端部(752)と係合する。拡張カテーテル(760)の遠位端(762)がボール先端(752)に係合した状態では、拡張カテーテル(760)は、ボール先端(752)及びガイドワイヤ(750)の残りの部分を遠位方向に押す。換言すれば、ボール先端部(752)及びガイドワイヤ(750)の残りの部分は、拡張カテーテル(760)と共に本体(712)に対して遠位方向に直動する。この段階で、ボール先端部(752)は、外側ガイドチューブ(730)の遠位端(732)から第2の距離(D2)にある。ガイドチューブ(730)のない器具の変形例では、代わりに、第2の距離は、本体(712)の遠位端とボール先端部(752)との間で規定することができる。拡張カテーテル(760)とボール先端部(752)の遠位方向への前進は、最終的に、ボール先端部(752)を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を通じて駆動し、バルーン(764)を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へと駆動することができる。換言すれば、拡張カテーテル(760)が図8Bに示される遠位位置に前進するにしたがって、拡張カテーテル(760)は標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に前進することができ、これにより、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路にバルーン(764)を配置することができる。バルーン(764)は、このような標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へのバルーン(764)の配置中、収縮状態のままとすることができる。
【0066】
ボール先端部(752)は、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)がボール先端部(752)を越えて遠位方向に前進することを防止することを理解されたい。更に、ボール先端部(752)は、拡張カテーテル(760)が患者の耳管と中耳領域との間の峡部を通過することを防止することができる。操作者は、拡張カテーテル(760)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に対して適切に配置されていることを確認するために、ボール先端部(752)からの透過照明、及び/又はボール先端部(752)内の位置センサからの信号に基づくIGSナビゲーションシステム(100)からのフィードバックに頼ることができることも理解されたい。
【0067】
いくつかの変形例では、ハンドルアセンブリ(710)は、拡張カテーテル(750)の遠位端(762)がボール先端部(752)に係合し、それによって、拡張カテーテル(760)の更なる前進がボール先端部(752)及び拡張カテーテル(760)の遠位方向への更なる前進を引き起こすようになった時点を示す、触覚的、聴覚的、及び/又は視覚的フィードバックを操作者に提供するように構成された1つ若しくは2つ以上の機構を有する。例えば、ガイドワイヤ(750)の近位端は、ハンドルアセンブリ(710)内の相補的な戻り止め機構に係合する戻り止め機構を含んでもよい。かかる戻り止め機構は、ガイドワイヤ(750)が本体(712)に対して遠位方向に誤って前進することを防止できる一方で、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)がボール先端部(752)に係合した後に拡張カテーテル(760)が遠位方向に前進させられる際に、ガイドワイヤ(750)が本体(712)に対して遠位方向に前進することは可能とすることができる。更に、かかる戻り止め機構は、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)がボール先端部(752)と係合した後に拡張カテーテル(760)が遠位方向に前進させられる際に、触覚的フィードバック(例えば、わずかな抵抗又はクリック感など)及び/又は聴覚的フィードバック(例えば、クリック音など)を提供することができる。別の実施例として、ホール効果センサ若しくは他の種類の近接センサ、リードスイッチ、光学センサ、又は他の機構を、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)がボール先端部(752)に係合した時点を示す電気信号を生成するように構成してもよい。かかるセンサによって生成される信号によって、触覚的フィードバックデバイス(例えば、振動発生器など)、可聴的フィードバックデバイス(例えば、スピーカなどからトーンを提供する)、及び/又は視覚的フィードバックデバイス(例えば、LED又はディスプレイなど)を作動させることができる。代替的に、任意の他の好適な機構を使用して、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)がボール先端部(752)に係合した時点を示す触覚的、聴覚的、及び/又は視覚的フィードバックを操作者に提供することもできる。
【0068】
バルーン(764)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に好適に配置された後、バルーン(764)を図8Cに示されるように膨張させることができる。上述したように、かかる膨張は、ポート(718)を介して流体(例えば、生理食塩水など)を流通させることによって行うことができる。膨張したバルーン(764)は、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張することができる。操作者は、バルーン(764)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設されている間、バルーン(764)を任意の所望の時間にわたって膨張状態に維持することができる。次いで、バルーン(764)を収縮させることができる。状況に応じて、操作者は、バルーン(764)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設された状態でバルーン(764)を繰り返し膨張及び収縮させることができる。
【0069】
標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路がバルーン(764)によって十分に拡張された後、操作者は、バルーン(764)を収縮させ、スライダ(714)を近位方向に作動させることによって、図8Dに示されるように、拡張カテーテル(760)を近位方向に駆動することができる。やはり図8Dに示されるように、拡張カテーテル(760)のこの近位方向への後退は、ガイドワイヤ(750)も近位方向に後退させることができる。拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)の同時の後退は、様々な方式で提供され得る。いくつかの変形例では、拡張カテーテル(760)の遠位端(762)は、ボール先端部(752)又はガイドワイヤ(762)の遠位端の他の場所の相補的機構と選択的に結合する機構を有する。かかる選択的結合機構は、機械的(例えば、戻り止め機構)、磁気的、又は他の形態で構成することができる。代替的に、拡張カテーテル(760)の何らかの他の部分(例えば、バルーン(764)の近位)を、ガイドワイヤ(750)の相補的機構と選択的に結合させてもよい。
【0070】
拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)との相補的結合機構がどこに配置されるかにかかわらず、かかる相補的結合機構同士は、拡張カテーテルの遠位端(762)がボール先端部(752)に係合した後に互いに係合することができ、拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)の近位方向への移動の特定の範囲の間、係合した状態を保つことができる。具体的には、相補的結合機構は、拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)の初期の近位方向への移動の範囲中、係合した状態を保つことができ、これにより、拡張カテーテル(760)とガイドワイヤ(750)のは、ボール先端部(752)がガイド部材(740)の遠位端(742)に係合するまで、近位方向への移動のこの初期の範囲の間、近位方向に同時に直動する。この時点で、ガイド部材(740)の遠位端(742)は、ボール先端部(752)及びガイドワイヤ(750)の残りの部分の更なる近位方向への移動を阻止し、これにより、ボール先端部(752)は、拡張カテーテル(760)が本体(712)に対して近位方向に直動し続ける間、外側ガイドチューブ(730)の遠位端(732)から第1の距離(D1)に位置した状態を保つことができる。これにより、拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)が近位方向に同時に後退する際にボール先端部(752)とガイド部材(740)の遠位端(742)とが係合することで、拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)の相補的結合機構が互いから係脱することができる。
【0071】
いくつかの変形形態では、拡張カテーテル(760)及びガイドワイヤ(750)は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年8月23日に発行された発明の名称が「Sinuplasty Instrument with Moveable Navigation Sensor」である米国特許第11,419,623号の教示の少なくとも一部に従って選択的に結合される。
【0072】
図8Dに示される段階に達した後、操作者は、シャフトアセンブリ(720)を取り出すことができる。状況に応じて、操作者は、ガイド部材(740)を再び曲げて異なる屈曲角度を達成し、次いで、上述の工程を繰り返して、患者の別の解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張してもよい。
【0073】
上述の器具(700)の使用に加えて、又はそれに代えて、器具(700)は、探索デバイスとして、かつ/又は患者の耳、鼻、若しくは咽喉内の組織を非外傷的に移動させるために使用することができる。例えば、ガイド部材(740)を所望の屈曲角度に曲げ、ボール先端部(752)を(例えば、ガイド部材(740)の遠位端(742)に留まった状態で)使用して解剖学的空洞内の組織をプロービングするか、又は解剖学的空洞内の組織を移動させるか、又は解剖学的空洞内の組織を他の形で係合させることができる。これは、上述したような拡張手技の前、その間、及び/又はその後に行うことができる。これはまた、拡張が行われない手技においても行うことができる。したがって、器具(700)は、拡張カテーテル(760)が利用されない状況であっても臨床的に有意義な用途を提供し得るものである。
【0074】
VI.スライダを有しない拡張器具の例
図9図10は、副鼻腔自然口若しくは他の排液通路を拡張するため、又は耳管を拡張するため、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻、若しくは咽喉内などの)を拡張するために使用することができる拡張器具(800)の例を示している。あくまで例として、拡張器具(800)は、本明細書に引用される様々な特許参考文献のうちのいずれかの教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。本実施例の拡張器具(800)は、ハンドルアセンブリ(810)及びシャフトアセンブリ(820)を備えている。ハンドルアセンブリ(810)は、操作者の片手によって把持及び操作することができる本体(812)を含む。ケーブル(840)及び膨張チューブ(830)が本体(812)から近位方向に延在し、一方、シャフトアセンブリ(820)は本体(812)から遠位方向に延在する。
【0075】
シャフトアセンブリ(820)は、剛性のシャフト部分(822)と可鍛性の遠位部分(824)と、を含む。部分(822、824)は、本実施例では、どちらの部分(822、824)も本体(812)に対して長手方向に直動しないように、互いに対して、かつ本体(812)に対して固定的に取り付けられている。可鍛性遠位部分(824)は、所望の屈曲角度を達成するために手動で曲げ、遠位部分(824)を鼻腔(又は他のアクセス部位)から挿入して標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に到達させる際にその屈曲角度を維持するように構成されている。可鍛性遠位部分(824)は、所望の屈曲角度に曲げるのに十分な可撓性を有する一方で、拡張手技中に所望の曲げ角度を維持するのに十分な剛性を有している。したがって、拡張手技における器具(800)の使用は、遠位部分(824)の望ましくない伸展又は再屈曲を生じないであろう。あくまで例として、遠位部分(824)は金属製ハイポチューブを含み得る。遠位部分(824)は、図9図10では真っ直ぐなものとして示されているが、遠位部分(824)は、任意の所望の屈曲角度を達成するために曲げることができる。本実施例では、可鍛性遠位部分(824)の遠位端(828)は、非外傷性の構成を有している。いくつかの変形例では、遠位端(828)は、本明細書に記載のボール先端部(242、342、444、652、752)のうちのいずれかのようなボール先端部の形態にある。いくつかの他の変形例では、遠位端(828)は、ボール先端部ではない何らかの他の非外傷性の構成を有する。
【0076】
バルーン(826)は、可鍛性遠位部分(824)の遠位端(828)の近くで可鍛性遠位部分(824)の周囲に固定的に取り付けられている。バルーン(826)はチューブ(830、834、836)と結合されており、これにより、膨張流体(例えば、生理食塩水など)をチューブ(830、834、836)の少なくとも1つに沿って流通してバルーン(826)を選択的に膨張させることができる。ルアー継手(832)がチューブ(830)の近位端に取り付けられており、チューブ(830)を任意の好適な膨張流体の供給源と容易に結合することを可能にする。いくつかの変形例では、バルーン(826)は非伸張性材料を含み、一方、他の変形例では、バルーン(826)は伸張性材料を含む。バルーン(826)は、収縮状態において、バルーン(826)を副鼻腔口、副鼻腔の別の排液通路、耳管、又は何らかの他の解剖学的通路内に摺動可能に配置することができるように構成されている。バルーン(826)は、膨張状態において、バルーン(826)が配設される開口部又は他の通路をバルーン(826)が拡張するように更に構成されている。
【0077】
ナビゲーションワイヤ(842)が、シャフトアセンブリ(820)内に固定的に配置されている。ナビゲーションワイヤ(842)はハウジング(840)から遠位方向に延在する。ポリイミドチューブ(846)が、シャフトアセンブリ(820)の剛性部分及び可鍛性部分(822、824)内でナビゲーションワイヤ(842)の周囲に配置されている。熱収縮チューブ(850)が、チューブ(834、836、846)の1つ又は2つ以上の周囲に配置され、これらの構成要素を一緒に固定している。位置センサ(844)が、可鍛性遠位部分(824)内でナビゲーションワイヤ(842)の遠位端にある。器具(800)が完全に組み立てられた状態では、位置センサ(844)は、可鍛性遠位部分(824)の遠位端(828)に配置される。位置センサ(844)は、IGSナビゲーションシステム(100)と協働することで三次元空間における遠位端(828)の位置を示す信号を提供するように構成されている。位置センサ(844)は、IGSナビゲーションシステム(100)のガイドワイヤ(120)に関連して上記に述べたように、1つ又は2つ以上のコイルを備えてもよい。コネクタ(848)がケーブル(840)の近位端に配置され、ワイヤ(842)及びケーブル(840)を介して位置センサ(844)と電気的に導通する機構を含む。コネクタ(848)は、IGSナビゲーションシステム(100)と結合するように構成されている。したがって、コネクタ(848)は、上述した結合ユニット(116)と同様に機能することができる。操作者は、ガイドワイヤ(120)の位置を追跡することに関連して上記に述べたように、ナビゲーションシステム(100)に頼って三次元空間における遠位端(828)のリアルタイムの位置を決定し、バルーン(826)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路にいつ到達したかを判定することができる。
【0078】
いくつかの変形例では、照明機構(図示せず)が、可鍛性遠位部分(824)の遠位端(828)に配置される。かかる照明機構は、本明細書に記載される他の照明機構(344、454、522、524)のうちのいずれかのように構成され、動作可能であり得る。かかる照明機構は、位置センサ(844)に加えて、又はその代わりに設けることができる。
【0079】
器具(800)の使用の一例では、操作者は、シャフトアセンブリ(820)を患者に挿入する前に、可鍛性遠位部分(824)に所望の屈曲を形成することができる。可鍛性遠位部分(824)に所望の屈曲角度が形成された後、操作者は、シャフトアセンブリ(820)を鼻腔又は他のアクセス通路に挿入することにより、バルーン(826)を標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配置することができる。操作者は、位置センサ(844)からの信号に基づいて、バルーン(826)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路に到達した時点を決定するためにIGSナビゲーションシステム(100)からのフィードバックに頼ることができる。バルーン(826)は、このような標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内へのバルーン(826)の配置中、収縮状態のままとすることができることを理解されたい。
【0080】
バルーン(826)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に好適に配置された後、バルーン(826)を膨張させることができる。上述したように、かかる膨張は、ルアー継手(832)を介して流体(例えば、生理食塩水など)を流通させることによって行うことができる。膨張したバルーン(826)は、標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張することができる。操作者は、バルーン(826)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設されている間、バルーン(826)を任意の所望の時間にわたって膨張状態に維持することができる。次いで、バルーン(826)を収縮させることができる。状況に応じて、操作者は、バルーン(826)が標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路内に配設された状態でバルーン(826)を繰り返し膨張及び収縮させることができる。標的とする解剖学的開口部又は他の解剖学的通路がバルーン(826)によって十分に拡張された後、操作者は、バルーン(826)が収縮状態にある間にシャフトアセンブリ(820)を患者から取り出すことができる。状況に応じて、操作者は、可鍛性遠位部分(824)を再び曲げて異なる屈曲角度を達成し、次いで、上述の工程を繰り返して、患者の別の解剖学的開口部又は他の解剖学的通路を拡張してもよい。
【0081】
上述の器具(800)の使用に加えて、又はそれに代えて、器具(800)は、探索デバイスとして使用され、かつ/又は患者の耳、鼻、若しくは咽喉内の組織を非外傷的に移動させるために使用されることができる。例えば、8)を所望の屈曲角度に曲げ、遠位端(828)を利用して解剖学的空洞内の組織をプロービングするか、又は解剖学的空洞内の組織を移動させるか、又は解剖学的空洞内の組織を他の形で係合させることができる。これは、上述したような拡張手技の前、その間、及び/又はその後に行うことができる。これはまた、拡張が行われない手技においても行うことができる。したがって、器具(800)は、拡張カテーテル(660)が利用されない状況であっても臨床的に有意義な用途を提供し得るものである。
【0082】
VII.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示が組み合わされ得るか又は適用され得る、様々な非網羅的な方式に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得るいかなる特許請求の範囲も限定することを意図するものではないことを、理解されたい。一切の権利放棄が、意図されていない。以下の実施例は、単に例解目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、多くの他の方式で配置及び適用され得ることが、企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることもまた、企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。あらゆる特許請求の範囲が、本出願又は以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む本出願に関連する後続の出願において提示される場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由のためにも追加されているものとみなされるべきではない。
【実施例0083】
装置であって、(a)本体と、(b)本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリであって、(i)遠位端を有する可鍛性遠位部分と、(ii)可鍛性遠位部分の遠位端に配置された拡大先端部と、(iii)拡大先端部内に配置され、三次元空間における拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている、位置センサと、(iv)拡大先端部内に配置され、光を放射するように構成されている、照明要素と、(v)拡大先端部の近位に配置され、患者の耳、鼻、又は咽喉内の通路を拡張するように構成されている、膨張可能バルーンと、を含む、シャフトアセンブリと、を備える、装置。
【実施例0084】
本体が、操作者の片手によって把持するように構成されている、実施例1に記載の装置。
【実施例0085】
可鍛性遠位部分が、本体に対して固定的に取り付けられている、実施例1又は2に記載の装置。
【実施例0086】
シャフトアセンブリが、可鍛性遠位部分に対して近位側に配置されている剛性近位部分を更に備える、実施例1~3のいずれかに記載の装置。
【実施例0087】
剛性近位部分が、本体に対して固定的に取り付けられている、実施例4に記載の装置。
【実施例0088】
拡大先端部が、ボール形状を有する、実施例1~5のいずれかに記載の装置。
【実施例0089】
ボール形状が、球状である、実施例6に記載の装置。
【実施例0090】
シャフトアセンブリが、ガイドワイヤを更に備える、実施例1~7のいずれかに記載の装置。
【実施例0091】
可鍛性遠位部分が管腔を画定し、ガイドワイヤが管腔内に配置されている、実施例8に記載の装置。
【実施例0092】
拡大先端部が、開口部を画定する、実施例9に記載の装置。
【実施例0093】
ガイドワイヤが、管腔に沿って、かつ開口部を通って直動可能である、実施例10に記載の装置。
【実施例0094】
第1のスライダを更に備え、第1のスライダは、管腔に沿って、かつ開口部を通るガイドワイヤの直動を駆動するために、本体に沿って直動可能である、実施例11に記載の装置。
【実施例0095】
シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、拡張カテーテルは、可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、膨張可能なバルーンを含み、装置が第2のスライダを更に備え、第2のスライダは、可鍛性遠位部分に沿った拡張カテーテルの直動を駆動するために、本体に沿って直動可能である、実施例12に記載の装置。
【実施例0096】
第1のスライダと第2のスライダとが、互いに対して独立して本体に沿って直動可能である、実施例13に記載の装置。
【実施例0097】
ガイドワイヤが遠位端を有し、位置センサがガイドワイヤの遠位端内に配置され、ガイドワイヤの遠位端が拡大先端部に配置されている、実施例8~14のいずれかに記載の装置。
【実施例0098】
ガイドワイヤが遠位端を有し、照明要素がガイドワイヤの遠位端内に配置され、ガイドワイヤの遠位端が拡大先端部に配置されている、実施例8~15のいずれかに記載の装置。
【実施例0099】
ガイドワイヤが遠位端を有し、拡大先端部がガイドワイヤの遠位端に固定的に取り付けられている、実施例8~16のいずれかに記載の装置。
【実施例0100】
シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、拡張カテーテルは、可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、膨張可能なバルーンを含み、装置がスライダを更に備え、スライダは、可鍛性遠位部分に沿った拡張カテーテルの直動を駆動するために、本体に沿って直動可能である、実施例17に記載の装置。
【実施例0101】
可鍛性遠位部分が管腔を画定し、ガイドワイヤが管腔内に摺動可能に配置され、拡張カテーテルは、拡張カテーテルが可鍛性遠位部分に対して遠位方向に直動する際に、拡大先端部に係合し、それによって、可鍛性遠位部分に対するガイドワイヤ及び拡大先端部の遠位方向への直動を駆動するように構成された遠位端を有する、実施例18に記載の装置。
【実施例0102】
拡張カテーテルが第1の係合機構を更に含み、ガイドワイヤ又は拡大先端部の一方又は両方が第2の係合機構を含み、第1の係合機構と第2の係合機構とは、拡張カテーテルが可鍛性遠位部分に対して近位方向に直動する際に、互いに結合し、それによって、拡張カテーテルに可鍛性遠位部分に対するガイドワイヤ及び拡大先端部の近位方向への直動を駆動させるように構成されている、実施例19に記載の装置。
【実施例0103】
シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、拡張カテーテルは、可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、膨張可能なバルーンを含む、実施例1~20のいずれかに記載の装置。
【実施例0104】
拡張カテーテルが、剛性近位部分と可撓性遠位部分と、を含み、可撓性遠位部分が膨張可能なバルーンを含む、実施例21に記載の装置。
【実施例0105】
スライダを更に備え、スライダは、可鍛性遠位部分に沿った拡張カテーテルの直動を駆動するために、本体に沿って直動可能である、実施例21又は22に記載の装置。
【実施例0106】
位置センサが、コイルを含む、実施例1~23のいずれかに記載の装置。
【実施例0107】
照明要素が、LEDを含む、実施例1~24のいずれかに記載の装置。
【実施例0108】
照明要素が、光ファイバを含む、実施例1~25のいずれかに記載の装置。
【実施例0109】
照明要素が、光ファイバと光学的に導通する遠位方向に面する光透過性要素を更に含む、実施例26に記載の装置。
【実施例0110】
装置であって、(a)本体と、(b)本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリであって、(i)遠位端を有する可鍛性遠位部分と、(ii)可鍛性遠位部分内に摺動可能に配設されたガイドワイヤであって、(A)拡大先端部と、(B)拡大先端部内に配置され、三次元空間における拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている位置センサと、を含む、ガイドワイヤと、(v)可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置された拡張カテーテルであって、遠位端と、拡張カテーテルの遠位端の近位に配置された膨張可能なバルーンと、を有し、膨張可能なバルーンは、患者の耳、鼻、又は咽喉の通路を拡張するように構成されている、拡張カテーテルと、を含む、シャフトアセンブリと、(c)可鍛性遠位部分に沿った拡張カテーテルの直動を駆動するように動作可能であるアクチュエータと、を備え、拡張カテーテルの遠位端は、拡張カテーテルが可鍛性遠位部分に対して遠位方向に直動する際に、拡大先端部に係合し、それによって、可鍛性遠位部分に対するガイドワイヤ及び拡大先端部の遠位方向への直動を駆動するように構成されている、装置。
【実施例0111】
シャフトアセンブリが、拡大先端部内に配置された照明要素を更に含み、照明要素が光を放射するように構成されている、実施例28に記載の装置。
【実施例0112】
拡張カテーテルが第1の係合機構を更に含み、ガイドワイヤ又は拡大先端部の一方又は両方が第2の係合機構を含み、第1の係合機構と第2の係合機構とは、拡張カテーテルが可鍛性遠位部分に対して近位方向に直動する際に、互いに結合し、それによって、拡張カテーテルに可鍛性遠位部分に対するガイドワイヤ及び拡大先端部の近位方向への直動を駆動させるように構成されている、実施例28又は29に記載の装置。
【実施例0113】
可鍛性遠位部分の遠位端が、拡大先端に係合し、それによって、拡大先端部及びガイドワイヤの近位方向への移動を阻止するように構成されている、実施例30に記載の装置。
【実施例0114】
拡張カテーテルが近位位置と遠位位置との間で直動可能であり、拡張カテーテルが近位位置にある場合、拡張カテーテルの遠位端は、可鍛性遠位部分の遠位端の近位にあり、拡張カテーテルが遠位位置にある場合、拡張カテーテルの遠位端は、可鍛性遠位部分の遠位端の遠位にある、実施例31に記載の装置。
【実施例0115】
拡張カテーテルが遠位位置にある場合、拡張カテーテルと拡大先端部とは、協働して拡大先端部を可鍛性遠位部分の遠位端に対して遠位に配置するように構成されている、実施例32に記載の装置。
【実施例0116】
拡張カテーテルが近位位置にある場合、可鍛性遠位部分の遠位端は、協働して拡大先端部を可鍛性遠位部分の遠位端に配置するように構成されている、実施例32又は33に記載の装置。
【実施例0117】
可鍛性遠位部分の遠位端は、拡張カテーテルが遠位位置から近位位置に移動する際に、協働して第1の係合機構と第2の係合機構とを互いから分離させるように構成されている、実施例34に記載の装置。
【実施例0118】
アクチュエータがスライダを備える、実施例28~35のいずれかに記載の装置。
【実施例0119】
方法であって、(a)シャフトアセンブリの遠位部分を患者の耳、鼻、又は咽喉に挿入することであって、シャフトアセンブリは、拡張カテーテル、可鍛性シャフト部分、及びガイドワイヤを含み、拡張カテーテルは、可鍛性シャフト部分の周囲に摺動可能に配置され、拡張カテーテルは、バルーンを含み、ガイドワイヤは、可鍛性シャフト部分内に摺動可能に配設され、ガイドワイヤは、拡大先端部を有する、挿入することと、(b)拡張カテーテルを運動範囲にわたって可鍛性シャフト部分に対して遠位方向に駆動することであって、運動範囲が近位位置から遠位位置までであり、拡張カテーテルが近位位置から遠位位置まで遠位方向に直動する際に、拡張カテーテルの遠位端がガイドワイヤの拡大先端部に係合し、拡張カテーテルが遠位位置まで遠位方向に前進する際に拡張カテーテルの遠位端が拡大先端部を介してガイドワイヤを遠位方向に駆動する、駆動することと、(c)拡張カテーテルが遠位位置にある間に拡張カテーテルのバルーンを膨張させることと、(d)拡張カテーテルを遠位位置から可鍛性シャフト部分に対して近位方向に駆動することと、を含む、方法。
【実施例0120】
シャフトアセンブリの遠位部分を患者の耳、鼻、又は咽喉に挿入する前に可鍛性シャフト部分に屈曲部を形成することを更に含む、実施例37に記載の方法。
【実施例0121】
拡張カテーテルを遠位方向に駆動する動作が、ハンドルアセンブリの本体に対してアクチュエータを駆動することを含む、実施例37又は38に記載の方法。
【実施例0122】
運動範囲が、近位位置と遠位位置との間の中間位置を更に含み、拡張カテーテルの遠位端は中間位置においてガイドワイヤの拡大先端部に係合する、実施例37~39のいずれかに記載の方法。
【実施例0123】
ガイドワイヤは、拡張カテーテルが近位位置から中間位置に移動する際に、可鍛性シャフト部分に対して静止したままである、実施例40に記載の方法。
【実施例0124】
拡張カテーテルを近位方向に駆動する動作中、拡張カテーテルが中間位置を過ぎて近位方向に移動する、実施例40又は41に記載の方法。
【実施例0125】
拡張カテーテルが遠位位置から中間位置まで移動する際に、ガイドワイヤが拡張カテーテルと共に近位方向に移動する、実施例42に記載の方法。
【実施例0126】
拡張カテーテルが中間位置に到達した時点でガイドワイヤの近位方向への移動が阻止され、これにより、拡張カテーテルが中間位置から近位方向に移動し続けるとガイドワイヤが拡張カテーテルと共に近位方向に移動しなくなる、実施例43に記載の方法。
【実施例0127】
可鍛性シャフト部分が遠位端を有し、拡張カテーテルが中間位置に到達した時点で可鍛性シャフト部分の遠位端が拡大先端部と係合してガイドワイヤの近位方向への移動を阻止する、実施例44に記載の方法。
【実施例0128】
拡張カテーテルが近位位置から中間位置まで遠位方向に移動する際に、拡大先端部が可鍛性シャフトの遠位端に配置されている、実施例45に記載の方法。
【実施例0129】
拡張カテーテルの第1の係合機構をガイドワイヤの第2の係合機構と結合することを更に含み、拡張カテーテルの第1の係合機構とガイドワイヤの第2の係合機構との結合によって、拡張カテーテルが遠位位置から中間位置に移動する際に、拡張カテーテルとガイドワイヤの同時の近位方向への直動がもたらされる、実施例44~46のいずれかに記載の方法。
【実施例0130】
可鍛性シャフト部分が遠位端を有し、拡張カテーテルが中間位置に到達した時点で可鍛性シャフト部分の遠位端が拡大先端部に係合し、それによって、第1の係合機構を第2の係合機構から分離させる、実施例47に記載の方法。
【実施例0131】
挿入する動作が、可鍛性シャフト部分を耳管内又は副鼻腔の排液に関連する通路内に配置することを更に含む、実施例38~48のいずれかに記載の方法。
【実施例0132】
膨張させる動作が、耳管又は副鼻腔の排液に関連する通路の拡張をもたらす、実施例49に記載の方法。
【実施例0133】
シャフトアセンブリが位置センサを更に含み、方法が、位置センサからの信号に少なくとも一部基づいて患者内のシャフトアセンブリの遠位部分のリアルタイムの位置を追跡することを更に含む、実施例37~50のいずれかに記載の方法。
【実施例0134】
位置センサが、拡大先端部内に配置されている、実施例51に記載の装置。
【実施例0135】
シャフトアセンブリが照明要素を更に含み、方法が、照明要素によって提供された透過照明効果に少なくとも一部基づいて患者内のシャフトアセンブリの遠位部分の位置を確認することを更に含む、実施例37~52のいずれかに記載の方法。
【実施例0136】
照明要素が、拡大先端部内に配置されている、実施例53に記載の方法。
【実施例0137】
拡張カテーテルを近位方向に駆動する動作が、拡張カテーテルを近位位置に戻すように駆動することを含む、実施例37~54のいずれかに記載の方法。
【0138】
VIII.その他
本明細書で説明される実施例のうちのいずれかは、上で説明されるものに加えて又はそれらに代わって、様々な他の特徴を含み得ることを、理解されたい。単に一例として、本明細書で説明される実施例のうちのいずれかは、参照により本明細書に組み込まれている様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。
【0139】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例等のうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例等のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせられてもよいことを、理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例等は、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせ得る様々な好適な方式が、本明細書の教示を考慮することにより、当業者に容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形形態は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0140】
参照により本明細書に組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを、理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載の他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0141】
本明細書に開示されるデバイスの変形例は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてもよい。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含んでもよい。特に、デバイスの変形例は、分解することができ、かつ、デバイスの任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部分を洗浄時及び/又は交換時に、デバイスの変形例は、再調整用の施設において、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0142】
単に一例として、本明細書に記載の変形例は、外科手術前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次いで、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0143】
本明細書に記載される実施例のいくつかの変形例は、コンピュータシステムの一部であってもよい、バスサブシステムを介して多くの周辺デバイスと通信可能なプロセッサを使用して実施することができる。コンピュータシステムを使用して実施される本明細書に記載される実施例の変形例は、本明細書に記載される方法を実施するようにプログラムされた汎用コンピュータを使用して実施することができる。代替的に、コンピュータシステムを使用して実施される本明細書に記載される実施例の変形例は、本明細書に記載される方法を実施するように構成されたハードウエアを用いて構築された専用コンピュータを使用して実施することもできる。本明細書で説明される実施例の変形例はまた、少なくとも1つの汎用コンピュータと少なくとも1つの専用コンピュータとの組み合わせを使用して実施することもできる。
【0144】
コンピュータシステムを使用して実施される変形例では、各プロセッサは、コンピュータシステムの中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、他の種類のハードウエア構成要素、及びそれらの組み合わせを含むことができる。コンピュータシステムは、複数のタイプのプロセッサを含むことができる。コンピュータシステムのこれらの周辺デバイスとしては、例えば、メモリデバイス及びファイルストレージサブシステムを含むストレージサブシステム、ユーザインターフェース入力デバイス、ユーザインターフェース出力デバイス、並びにネットワークインターフェースサブシステムを挙げることができる。入力及び出力デバイスは、コンピュータシステムとのユーザ対話を可能とすることができる。ネットワークインターフェースサブシステムは、他のコンピュータシステム内の対応するインターフェースデバイスとのインターフェースなど、外部ネットワークとのインターフェースを提供することができる。ユーザインターフェース入力デバイスとしては、キーボード;マウス、トラックボール、タッチパッド、又はグラフィックスタブレットなどのポインティングデバイス;スキャナ;ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーン;音声認識システム及びマイクロフォンなどの音声入力デバイス;並びに他のタイプの入力デバイスなどを挙げることができる。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、情報をコンピュータシステムに入力するためのあらゆる可能なタイプのデバイス及び方式を含むことを意図している。
【0145】
コンピュータシステムを使用して実施される変形例では、ユーザインターフェース出力デバイスとして、ディスプレイサブシステム、プリンタ、ファックスマシン、又は音声出力デバイスなどの非視覚的ディスプレイを挙げることができる。ディスプレイサブシステムとしては、陰極線管(cathode ray tube、CRT)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)などのフラットパネルデバイス、投射デバイス、又は視覚的イメージを生成するための何らかの他の機構を挙げることができる。ディスプレイサブシステムは、音声出力デバイスなどの非視覚的ディスプレイも提供することができる。一般に、「出力デバイス」という用語の使用は、コンピュータシステムからユーザ又は別の機械若しくはコンピュータシステムに情報を出力するためのあらゆる可能なタイプのデバイス及び方式を含むことを意図している。
【0146】
コンピュータシステムを使用して実施される変形例では、ストレージサブシステムは、本明細書に記載されるモジュール及び方法の一部又は全部の機能を提供するプログラミング及びデータ構造を格納することができる。これらのソフトウェアモジュールは、一般に、コンピュータシステムのプロセッサによって単独で、又は他のプロセッサと組み合わせて実行され得る。ストレージサブシステムに使用されるメモリとしては、プログラムの実行中に命令及びデータを格納するためのメインランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)、及び不変の命令が格納される読出し専用メモリ(read only memory、ROM)を含む多くのメモリを挙げることができる。ファイルストレージサブシステムは、プログラム及びデータファイルのための永久的ストレージを提供することができ、ハードディスクドライブ、付属のリムーバブル媒体を有するフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、光学ドライブ、又はリムーバブル媒体カートリッジを挙げることができる。特定の実装形態の機能を実施するモジュールは、ストレージサブシステム内のファイルストレージサブシステムによって、又はプロセッサによってアクセス可能な他のマシン内に格納され得る。
【0147】
コンピュータシステムを使用して実施される変形例では、コンピュータシステム自体は、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ワークステーション、コンピュータ端末、ネットワークコンピュータ、テレビ、メインフレーム、サーバファーム、緩くネットワーク化された、広く分散したコンピュータ群、又は任意の他のデータ処理システム若しくはユーザデバイスを含む様々なタイプのものであってもよい。コンピュータ及びネットワークは絶えず変化する性質のものであるので、本明細書に記載されるコンピュータシステムの例は、あくまで開示される技術を例示することを目的とした具体例としてのものに過ぎない。本明細書に記載されるコンピュータシステムよりも多いか、又は少ない構成要素を有するコンピュータシステムの多くの他の構成が可能である。
【0148】
方法ではなく製造品として、非一時的コンピュータ可読媒体(computer readable medium、CRM)に、プロセッサによって実行可能なプログラム命令をロードすることができる。プログラム命令は、実行される際、上述のコンピュータによって実施される方法のうちの1つ又は2つ以上を実施する。代替的に、プログラム命令は、非一時的CRM上にロードされてもよく、適切なハードウエアと組み合わされる場合に、開示される方法を実施する、コンピュータにより実施されるシステムのうちの1つ又は2つ以上の構成要素となることができる。
【0149】
本発明の様々な変形例について図示し説明してきたが、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成することができる。このような可能性のある修正のいくつかが述べられてきたが、他の修正は、当業者には明らかであろう。例えば、上で考察された実施例、変形例、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例解的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0150】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリであって、
(i)遠位端を有する可鍛性遠位部分と、
(ii)前記可鍛性遠位部分の前記遠位端に配置された拡大先端部と、
(iii)前記拡大先端部内に配置され、三次元空間における前記拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている、位置センサと、
(iv)前記拡大先端部内に配置され、光を放射するように構成されている、照明要素と、
(v)前記拡大先端部の近位に配置され、患者の耳、鼻、又は咽喉内の通路を拡張するように構成されている、膨張可能なバルーンと、を含む、シャフトアセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記シャフトアセンブリが、前記可鍛性遠位部分に対して近位側に配置されている剛性近位部分を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記拡大先端部が、ボール形状を有する、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記シャフトアセンブリが、ガイドワイヤを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記可鍛性遠位部分が管腔を画定し、前記ガイドワイヤが前記管腔内に配置されている、実施態様4に記載の装置。
【0151】
(6) 前記拡大先端部が開口部を画定する、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記ガイドワイヤが、前記管腔に沿って、かつ前記開口部を通って直動可能である、実施態様6に記載の装置。
(8) 第1のスライダを更に備え、前記第1のスライダが、前記管腔に沿った、かつ前記開口部を通る前記ガイドワイヤの直動を駆動するために、前記本体に沿って直動可能である、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、前記拡張カテーテルは、前記可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、前記膨張可能なバルーンを含み、
前記装置が第2のスライダを更に備え、前記第2のスライダが、前記可鍛性遠位部分に沿った前記拡張カテーテルの直動を駆動するために、前記本体に沿って直動可能である、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記ガイドワイヤが遠位端を有し、前記位置センサが前記ガイドワイヤの前記遠位端内に配置され、前記ガイドワイヤの前記遠位端が前記拡大先端部に配置されている、実施態様4に記載の装置。
【0152】
(11) 前記ガイドワイヤが遠位端を有し、前記照明要素が前記ガイドワイヤの前記遠位端内に配置され、前記ガイドワイヤの前記遠位端が前記拡大先端部に配置されている、実施態様4に記載の装置。
(12) 前記ガイドワイヤが遠位端を有し、前記拡大先端部が前記ガイドワイヤの前記遠位端に固定的に取り付けられている、実施態様4に記載の装置。
(13) 前記シャフトアセンブリが拡張カテーテルを更に備え、前記拡張カテーテルが、前記可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置され、前記膨張可能なバルーンを含み、
前記装置がスライダを更に備え、前記スライダが、前記可鍛性遠位部分に沿った前記拡張カテーテルの直動を駆動するために、前記本体に沿って直動可能である、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記可鍛性遠位部分が管腔を画定し、前記ガイドワイヤが前記管腔内に摺動可能に配置され、前記拡張カテーテルは、前記拡張カテーテルが前記可鍛性遠位部分に対して遠位方向に直動する際に、前記拡大先端部に係合し、それによって、前記可鍛性遠位部分に対する前記ガイドワイヤ及び前記拡大先端部の遠位方向への直動を駆動するように構成された遠位端を有する、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記拡張カテーテルが第1の係合機構を更に含み、前記ガイドワイヤ又は前記拡大先端部の一方又は両方が第2の係合機構を含み、前記第1の係合機構と前記第2の係合機構とは、前記拡張カテーテルが前記可鍛性遠位部分に対して近位方向に直動する際に、互いに結合し、それによって、前記拡張カテーテルに前記可鍛性遠位部分に対する前記ガイドワイヤ及び前記拡大先端部の近位方向への直動を駆動させるように構成されている、実施態様14に記載の装置。
【0153】
(16) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトアセンブリであって、
(i)遠位端を有する可鍛性遠位部分と、
(ii)前記可鍛性遠位部分内に摺動可能に配設されたガイドワイヤであって、
(A)拡大先端部と、
(B)前記拡大先端部内に配置され、三次元空間における前記拡大先端部の位置を示す信号を生成するように構成されている、位置センサと、を含む、ガイドワイヤと、
(iii)前記可鍛性遠位部分の周囲に摺動可能に配置された拡張カテーテルであって、遠位端と、前記拡張カテーテルの前記遠位端の近位に配置された膨張可能なバルーンと、を有し、前記膨張可能なバルーンは、患者の耳、鼻、又は咽喉の通路を拡張するように構成されている、拡張カテーテルと、を含む、シャフトアセンブリと、
(c)前記可鍛性遠位部分に沿った前記拡張カテーテルの直動を駆動するように動作可能であるアクチュエータと、を備え、
前記拡張カテーテルの前記遠位端は、前記拡張カテーテルが前記可鍛性遠位部分に対して遠位方向に直動する際に、前記拡大先端部に係合し、それによって、前記可鍛性遠位部分に対する前記ガイドワイヤ及び前記拡大先端部の遠位方向への直動を駆動するように構成されている、装置。
(17) 前記拡張カテーテルが近位位置と遠位位置との間で直動可能であり、前記拡張カテーテルが前記近位位置にある場合、前記拡張カテーテルの前記遠位端は、前記可鍛性遠位部分の前記遠位端の近位にあり、前記拡張カテーテルが前記遠位位置にある場合、前記拡張カテーテルの前記遠位端は、前記可鍛性遠位部分の前記遠位端の遠位にある、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記拡張カテーテルが前記近位位置にある場合、前記可鍛性遠位部分の前記遠位端は、協働して前記拡大先端部を前記可鍛性遠位部分の前記遠位端に配置するように構成されている、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記可鍛性遠位部分の前記遠位端は、前記拡張カテーテルが前記遠位位置から前記近位位置に移動する際に、協働して前記第1の係合機構と前記第2の係合機構とを互いから分離させるように構成されている、実施態様18に記載の装置。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
【外国語明細書】