(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120891
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】駆動機構
(51)【国際特許分類】
F16H 21/10 20060101AFI20240829BHJP
B64C 3/48 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16H21/10 Z
B64C3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025960
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】23382173.5
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521548777
【氏名又は名称】エアバス、オペレーションズ、ソシエダッド、リミターダ、ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS, S.L.U.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】アルバロ、ハラ、ロデルゴ
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル、ゴンザレス、アントイ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト、グティエレス、アルコナーダ
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA41
3J062AB27
3J062BA14
3J062BA21
3J062BA35
3J062CB02
3J062CB27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、駆動機構、駆動システム、及び航空機のための空気力学的構造を提供する。
【解決手段】それぞれが、4つのリンクを備える少なくとも1つの多関節モジュールを備え、各リンクが、三角形の幾何学的形状を形成するように配置された3つの結合点を備え、リンクが、1自由度のみの関節が提供されるように互いに結合される、駆動機構、駆動システム、及び航空機のための空気力学的構造を提供する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つのリンク(10A、20A、30A、40A)を備える少なくとも1つの多関節モジュールを備える駆動機構(1A)であって、
各リンク(10A、20A、30A、40A)が、3つの結合点Ai、Bi、Ciを備え、i(但し、i=1,...,4)が、それぞれ第1のリンク、第2のリンク、第3のリンク、及び第4のリンクを示し、
各リンクにおいて、前記3つの結合点が三角形の幾何学的形状を形成して配置され、ここで、
辺Ai-Ciが結合点Ai及びCiによって画定され、
辺Bi-Ciが結合点Bi及びCiによって画定され、
辺Ai-Biが結合点Ai及びBiによって画定され、
前記第1のリンク(10A)の前記辺B1-C1の長さが、前記第4のリンク(40A)の前記辺B4-C4の長さに等しく、
前記第2のリンク(20A)の前記辺A2-B2の長さが、前記第3のリンク(30A)の前記辺A3-B3の長さに等しく、
前記リンク(10A、20A、30A、40A)が、次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
前記第1のリンク(10A)の前記結合点C1が、旋回関節によって前記第3のリンク(30A)の前記結合点A3に結合され、
前記第1のリンク(10A)の前記結合点B1が、旋回関節によって前記第2のリンク(20A)の前記結合点B2に結合され、
前記第2のリンク(20A)の前記結合点A2が、旋回関節によって前記第4のリンク(40A)の前記結合点C4に結合され、
前記第3のリンク(30A)の前記結合点B3が、旋回関節によって前記第4のリンク(40A)の前記結合点B4に結合される、駆動機構(1A)。
【請求項2】
複数の多関節モジュールであって、
前記多関節モジュールjの前記第4のリンク(40A)の前記辺A4-B4の長さが、前記多関節モジュールj+1の第1のリンク(10A)の前記辺A1-B1の長さに等しく、
前記多関節モジュールjの前記第3のリンク(30A)の前記辺B3-C3の長さが、前記多関節モジュールj+1の前記第2のリンク(20A)の前記辺B2-C2の長さに等しく、
前記多関節モジュールが次のように結合される、すなわち、
前記多関節モジュールj+1の前記第1のリンク(10A)の前記結合点A1が、旋回関節によって前記多関節モジュールjの前記第3のリンク(30A)の前記結合点C3に結合され、
前記多関節モジュールj+1の前記第2のリンク(20A)の前記結合点C2が、旋回関節によって前記多関節モジュールjの前記第4のリンク(40A)の前記結合点A4に結合され、
ここで、j=1,...,Mであり、Mは、多関節モジュールの総数である、複数の多関節モジュールを備える、請求項1に記載の駆動機構(1A)。
【請求項3】
前記複数の多関節モジュールが、多関節モジュールのサブグループを少なくとも備え、
前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールk+1の前記第1のリンク(10A)の前記辺B1-C1の長さが、前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールkの前記第1のリンク(10A)の前記辺B1-C1の長さとは異なり、
前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールk+1の前記第2のリンク(20A)の前記辺A2-B2の長さが、前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールkの前記第2のリンク(20A)の前記辺A2-B2の長さとは異なり、
ここで、k=1,...,Hであり、Hは、前記多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールの総数であり、H≦Mである、請求項1又は2に記載の駆動機構(1A)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の第1の駆動機構(1A)及び第2の駆動機構(1B)を備える駆動システム(2)であって、
前記第1の機構(1A)及び前記第2の機構(1B)が、
前記第1の駆動機構(1A)の2つのリンクが結合される旋回関節と、
前記第2の駆動機構(1B)の2つの対応するリンクが結合される対応する旋回関節と
を接続する少なくとも第1のシャフト(100)によって、互いに結合される、駆動システム(2)。
【請求項5】
航空機のための空気力学的表面(3)であって、前記空気力学的表面(3)が、
固定構造と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動機構(1A)又は請求項4に記載の駆動システム(2)、及び前記空気力学的表面(3)の後縁セクション(4)の外部形状を画定するモーフィング外板(5)と、
前記駆動機構(1A)又は前記駆動システム(2)の多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
前記駆動機構(1A)又は前記駆動システム(2)が、前記空気力学的表面(3)の前記固定構造に結合され、
前記モーフィング外板(5)が、前記駆動機構(1A)又は前記駆動システム(2)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、
前記モーフィング外板(5)が、前記駆動機構(1A)又は前記駆動システム(2)が作動されると変形するように構成される、空気力学的表面(3)。
【請求項6】
前記駆動機構(1A)又は前記駆動システム(2)が、前記多関節モジュールの前記第2のリンク(20A)によって前記空気力学的表面(3)の前記固定構造に結合され、前記第2のリンク(20A)が、別の多関節モジュールの前記第4のリンク(40A)には結合されない、請求項5に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項7】
請求項4に記載の駆動システム(2)を備える請求項5又は6に記載の空気力学的表面(3)であって、シャフト(100)が、
前記第1の駆動機構(1A)の第1のリンク(10A)の結合点A1に設けられた穴、及び
前記第2の駆動機構(1B)の第1のリンク(10B)の前記結合点A1に設けられた穴
を通り、
前記作動手段が前記シャフト(100)を変位させるように構成される、空気力学的表面(3)。
【請求項8】
前記モーフィング外板(5)の少なくとも一部が弾性材料を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項9】
前記モーフィング外板(5)の少なくとも一部が可撓性グリッド構造体を備える、請求項5~8のいずれか一項に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項10】
前記モーフィング外板(5)の少なくとも一部が複数の多関節スラットを備える、請求項5~9のいずれか一項に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項11】
請求項5~10のいずれか一項に記載の空気力学的表面(3)を備える航空機(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の可動部分の分野、すなわち、空気力学的表面の構成に関する。より詳細には、本発明は、駆動機構によって作動される上記空気力学的表面の後縁セクションのアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、従来、飛行中に揚力を発生させるための空気力学的表面すなわち揚力面(本明細書では同義語として解釈される)を備え、空気力学的表面すなわち揚力面は、通常、前縁(流入気流に対向する)と、トーションボックス(曲げモーメント及びねじりモーメントに対する剛性を与える)と、後縁とにこの順で翼弦方向に配置されて分割され、各セクションの後に次のセクションが接続される。
【0003】
任意選択で、空気力学的表面はまた、例えば、失速点を遅らせる、飛行中の操縦を可能にする、流れの剥離を制御する、揚力を適時増加させるなどの目的で、前縁又は後縁に1つ以上の操縦翼面を備え得る。これらすべての構成要素を取り囲んで、空気力学的表面は、その反り、すなわち上げ又は下げを可能にする、トーションボックスと操縦翼面との間の機械的接続部以外は通常連続である筐体を形成する上面及び下面を備える。
【0004】
周知のように、航空学では、最も一般的に知られている空気力学的表面は翼であるが、垂直尾翼(Vertical Tail Plane、「VTP」)又は水平尾翼(Horizontal Tail Plane、「HTP」)などの尾翼構造も空気力学的表面とみなされる。揚力を発生させるように幾何学的に設計され、一般に非対称な翼型を備える翼又はHTPとは異なり、VTPは、キャンバーが中心線の両側で同じである対称な幾何学的形状を備える。これは、VTPが両側で引っ張る力又は押す力を発生させて、航空機のヨー回転を可能にするためである。
【0005】
航空機における既存の操縦翼面は、一般に、固定ヒンジ軸を中心とした、トーションボックスの後けたの下方への制御された動きを生み出す専用アクチュエータのおかげで機械的に反らされる、別個の可動の翼型を再現する剛体フェアリングで作られる。より詳細には、上記ヒンジ軸は、アクチュエータが展開又は格納されるときに可動構造体がヒンジ軸を中心として旋回し得るようにアクチュエータの変位に対してオフセットを有する。アクチュエータは、揚力面の翼弦に略平行な方向に展開変位又は格納変位を生じる。現在実施されているアクチュエータは、油圧式、電動式、又はハイブリッド式のいずれかであり、操縦翼面の反りを担う。
【0006】
後けたと可動式の別個の操縦翼面との間の空間、すなわち、作動システムの一部及びヒンジが通常配置されている場所は、通常、空気力学的剛体フェアリングによって覆われる。これらのフェアリングは変形不可能であり、操縦翼面が作動される(すなわち、反らされる)と、空気力学的表面の外部の幾何学的形状に急激な変化をもたらし、これにより、剛体フェアリングと操縦翼面との間の移行線付近の空気力学的連続性が変化する。剛体フェアリングと操縦翼面との間における翼型の外側の幾何学的形状のこのような急激な移行は、低速での抗力及び流れの剥離に悪影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の駆動機構、請求項4に記載の駆動システム、請求項5に記載の空気力学的表面、及び請求項11に記載の航空機を提供する。有利な実施形態が従属請求項に定義される。
【0008】
本発明の第1の態様では、本発明は、4つのリンクを備える少なくとも1つの多関節モジュールを備える駆動機構であって、
各リンクが、3つの結合点Ai、Bi、Ciを備え、i(但し、i=1,...,4)が、それぞれ第1のリンク、第2のリンク、第3のリンク、及び第4のリンクを示し、
各リンクにおいて、3つの結合点が三角形の幾何学的形状を形成して配置され、ここで、
○辺Ai-Ciが結合点Ai及びCiによって画定され、
○辺Bi-Ciが結合点Bi及びCiによって画定され、
○辺Ai-Biが結合点Ai及びBiによって画定され、
・第1のリンクの辺B1-C1の長さが、第4のリンクの辺B4-C4の長さに等しく、
・第2のリンクの辺A2-B2の長さが、第3のリンクの辺A3-B3の長さに等しく、
リンクが、次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
・第1のリンクの結合点C1が、旋回関節によって第3のリンクの結合点A3に結合され、
・第1のリンクの結合点B1が、旋回関節によって第2のリンクの結合点B2に結合され、
・第2のリンクの結合点A2が、旋回関節によって第4のリンクの結合点C4に結合され、
・第3のリンクの結合点B3が、旋回関節によって第4のリンクの結合点B4に結合される、駆動機構を提供する。
【0009】
本明細書全体を通して、これから説明するいくつかの特定の用語に言及する。したがって、これらの用語は以下のように解釈されるものとする。
【0010】
空気力学的表面の幾何学的形状に関連して、航空機の翼、水平安定板(「HTP」、水平尾翼)、及び垂直安定板(「VTP」、垂直尾翼)は、すべて翼型断面に基づく。「翼型(aerofoil)」という用語は、空気力学的表面又は揚力面の断面形状として解釈され、上記形状は、流体中を相対運動する場合に空気力学的な力を発生させるように決定され、上記力の運動の方向に垂直な成分が揚力と呼ばれる。
【0011】
翼又はHTPの空気力学的表面に関連して、上記空気力学的表面は、いわゆる「エクストラドス(extrados)」又は「吸引面(suction face)」と呼ばれる上面と、いわゆる「イントラドス(intrados)」又は「圧力面(pressure face)」と呼ばれる下面とを有する。これらの表面は、翼型の空気力学的形状を維持することを目的としている。更に、「上面(upper surface)」とは、操縦翼面に対応するものなどの上面全体の一部のみを定義し得、同様に「下面(lower surface)」という用語は、下面全体の一部のみを定義し得る。
【0012】
更に、空気力学的表面の幾何学的形状に関連して、「翼幅(span)」という用語は、空気力学的表面の先端(例えば、翼端)から翼付根までの距離を指し、そして「翼幅方向(spanwise)」とは、「翼幅に沿って/翼幅の方向に」を指す。
【0013】
同様に、「翼弦方向(chordwise)」という用語は、前縁から後縁への方向、又はその逆、つまり「翼弦に沿って/翼弦の方向に」を指す。
【0014】
「前縁(leading edge)」とは、航空機が前方に進むときの揚力面、ひいては翼型の最前縁部を指す。
【0015】
「後縁(trailing edge)」という用語は、空気力学的表面の「前縁」とは反対側にある縁部を指す。上記後縁は、航空機が前方に進むときの揚力面のトーションボックスの尾部に位置する。「機尾(aft)」は、揚力面の後部を指し、「後方(rear)」と同じ意味を共有し、「前方(forward)」とは反対であり、前方部分は、機尾又は後方部分よりも航空機のコックピットに近い。
【0016】
「多関節モジュール(articulated module)」に関しては、その構造及び幾何学的特性は交叉平行四辺形ループの構成に基づく。交叉平行四辺形ループは、自己交差四辺形の一種であり、対向する2つの短辺と、交差する2つの長辺とを有する。上記幾何学的形状を再現することに基づいて剛体リンクを接続して画定される多関節モジュールは、4つの頂点又は旋回軸を有するが、交点(交叉平行四辺形ループの長辺どうしの交点)では旋回軸を持たない。加えて、このような構造は、上記交点を通る線を中心として対称である。
【0017】
多関節モジュールを組み立てるために使用される剛体リンクに関しては、上記多関節モジュールの構造的単位要素を表すと解釈されるものとする。追加の多関節モジュールを順次接続する場合、リンクはまた、連続する多関節モジュール間の関節も画定する。特に、3節リンク、すなわち、3点を接続する剛体リンクが使用される。よって、多関節モジュールのリンクは、対応する交叉平行四辺形ループの短辺及び長辺に関連する3つの長さを画定する3つの結合点を有する。より詳細には、本発明の駆動機構の多関節モジュールは4つのリンクを備え、各リンクが3つの結合点、すなわち、
・第1のリンクのA1、B1、C1と、
・第2のリンクのA2、B2、C2と、
・第3のリンクのA3、B3、C3と、
・第4のリンクのA4、B4、C4と
を備える。
【0018】
各リンクの3つの結合点Ai、Bi、Ciが、三角形の幾何学的形状を形成するように配置され、
・三角形の幾何学的形状の第1の辺が結合点A及びCによって画定され、
・三角形の幾何学的形状の第2の辺が結合点B及びCによって画定され、
・第3の辺が結合点A及びBによって画定される。
【0019】
駆動機構を介した関節接合及び鎖伝動では、3節リンクは互いにパラメータを共有する。特に、
・第1のリンクの辺B1-C1の長さが、第4のリンクの辺B4-C4の長さに等しく、
・第2のリンクの辺A2-B2の長さが、第3のリンクの辺A3-B3の長さに等しい。
【0020】
各リンクは、3つの結合点を備え、3自由度を導入する。そうすると、各旋回関節はその軸を中心として回転のみを可能とするため、2つのリンクの間の各旋回関節が2自由度を失う。よって、複数のリンクを備える構造体の自由度数と、それを備えるリンクの数及びそれらの間にある旋回関節の数とを関係付ける次式が導かれる。
DOF=3(N-1)2×P
【0021】
DOFは関節構造体の自由度数であり、Nはリンクの数であり、Pは旋回関節の数である。
【0022】
多関節モジュールのリンク間の接続に関して、上記リンクは互いに次の関係にしたがって結合される、すなわち、
・第1のリンクの結合点C1が、旋回関節によって第3のリンクの結合点A3に結合され、
・第1のリンクの結合点B1が、旋回関節によって第2のリンクの結合点B2に結合され、
・第2のリンクの結合点A2が、旋回関節によって第4のリンクの結合点C4に結合され、
・第3のリンクの結合点B3が、旋回関節によって第4のリンクの結合点B4に結合される。
【0023】
この接続方式を考えて、上式を考慮すると、4つの旋回関節によって接続された4つのリンクが存在するため、本発明の駆動機構の多関節モジュールは、1自由度を有する変形可能な構造体を提供する。
【0024】
したがって、第1のリンクの点に力をかけたとき、例えば自由結合点A1(この点は、いかなる他のリンクとも結合されていない)に力が加えられると、力は上記第1のリンクをそれぞれの接続部を中心として時計回りに旋回させる傾向がある。それぞれの接続部とは、
・旋回関節による、第1のリンクの結合点C1の第3のリンクの結合点A3への結合、及び
・旋回関節による、第1のリンクの結合点B1の第2のリンクの結合点B2への結合である。
【0025】
上記力は、多関節モジュールの第2のリンク及び第3のリンクの動きを通して第4のリンクに伝達され、そうすると、第4のリンクは、その接続部を中心として反時計回りに旋回する。それぞれの接続部とは、
・旋回関節による、第4のリンクの結合点C4の第2のリンクの結合点A2への結合、及び
・旋回関節による、第4のリンクの結合点B4の第3のリンクの結合点B3への結合である。
【0026】
特定の実施形態では、辺Ai-Ciは三角形の幾何学的形状の最長辺であり、辺Bi-Ciは三角形の幾何学的形状の最短辺であり、辺Ai-Biは三角形の幾何学的形状の中間の長さの辺である。
【0027】
一実施形態では、駆動機構が複数の多関節モジュールを備え、
・多関節モジュールjの第4のリンクの辺A4-B4の長さが、多関節モジュールj+1の第1のリンクの辺A1-B1の長さとは異なり、
多関節モジュールが次のように結合され、
・多関節モジュールj+1の第1のリンクの結合点A1が、旋回関節によって多関節モジュールjの第3のリンクの結合点C3に結合され、
・多関節モジュールj+1の第2のリンクの結合点C2が、旋回関節によって多関節モジュールjの第4のリンクの結合点A4に結合され、
ここで、j=1,...,Mであり、Mは、多関節モジュールの総数である。
【0028】
一実施形態では、駆動機構が複数の多関節モジュールを備え、
・多関節モジュールjの第3のリンクの辺B3-C3の長さが、多関節モジュールj+1の第2のリンクの辺B2-C2の長さとは異なり、
多関節モジュールが次のように結合され、
・多関節モジュールj+1の第1のリンクの結合点A1が、旋回関節によって多関節モジュールjの第3のリンクの結合点C3に結合され、
・多関節モジュールj+1の第2のリンクの結合点C2が、旋回関節によって多関節モジュールjの第4のリンクの結合点A4に結合され、
ここで、j=1,...,Mであり、Mは、多関節モジュールの総数である。
【0029】
一実施形態では、駆動機構が複数の多関節モジュールを備え、
・多関節モジュールjの第4のリンクの辺A4-B4の長さが、多関節モジュールj+1の第1のリンクの辺A1-B1の長さに等しく、
・多関節モジュールjの第3のリンクの辺B3-C3の長さが、多関節モジュールj+1の第2のリンクの辺B2-C2の長さに等しく、
多関節モジュールが次のように結合され、
・多関節モジュールj+1の第1のリンクの結合点A1が、旋回関節によって多関節モジュールjの第3のリンクの結合点C3に結合され、
・多関節モジュールj+1の第2のリンクの結合点C2が、旋回関節によって多関節モジュールjの第4のリンクの結合点A4に結合され、
ここで、j=1,...,Mであり、Mは、多関節モジュールの総数である。
【0030】
上述のように、交叉平行四辺形ループは4つの頂点を有する。これらの頂点はまた、いくつかの交叉平行四辺形ループを接続するグループが定義されている場合には、他の交叉平行四辺形ループとの接続点も表す。このようにして、駆動機構の構造は、所望の長さの連鎖(kinematic chain)を形成するように拡張することができ、これにより、形成された連鎖の一方の端部に加えられた力を、力を加えることが望まれる上記運動連鎖の他方の端部に伝達することができる。特に、伝達される力が加えられる上記連鎖の端部は、最初の多関節モジュールの第1のリンクの点(例えば、自由結合点A1)である。一方、上記力を伝達することが望まれる端部は、連続する多関節モジュールから構成される連鎖に結合された最後の多関節モジュールの第4のリンクの点(例えば、自由結合点A4)である。
【0031】
例えば、互いに接続された2つの多関節モジュール(すなわち、第1の多関節モジュール及び第2の多関節モジュール)が存在する一実施形態では、
・第2の多関節モジュールの第1のリンクの結合点A1が、旋回関節によって第1の多関節モジュールの第3のリンクの結合点C3に結合され、
・第2の多関節モジュールの第2のリンクの結合点C2が、旋回関節によって第1の多関節モジュールの第4のリンクの結合点A4に結合される。
【0032】
この接続方式を考えて、駆動機構の自由度に関する上式を考慮すると、10個の関節によって接続された8つのリンクが存在するため、2つの多関節モジュールを有する一実施形態の駆動機構は、1自由度を有する変形可能な構造体を提供する。
【0033】
したがって、第1の多関節モジュールの第1のリンクの点に力をかけたとき、例えば自由結合点A1(この点は、いかなる他のリンクとも結合されていない)に力が加えられると、上記力は上記第1のリンクをそれぞれの接続部を中心として時計回り/反時計回りに旋回させる傾向がある。それぞれの接続部とは、
・旋回関節による、第1のリンクの結合点C1の第3のリンクの結合点A3への結合、
・旋回関節による、第1のリンクの結合点B1の第2のリンクの結合点B2への結合である。
【0034】
上記力は、第1の多関節モジュール及び第2の多関節モジュールの対応するリンクの動きを通して第2の多関節モジュールの第4のリンクに伝達され、そうすると、第2の多関節モジュールの第4のリンクは、その接続部を中心として反時計回り/時計回りに旋回する。それぞれの接続部とは、
・旋回関節による、第2の多関節モジュールの第2のリンクの結合点A2の第2の多関節モジュールの第4のリンクの結合点C4への結合、及び
・旋回関節による、第2の多関節モジュールの第3のリンクの結合点B3の第2の多関節モジュールの第4のリンクの結合点B4への結合である。
【0035】
一実施形態では、リンクは、少なくとも部分的に、アルミニウム合金、炭素繊維強化ポリマー(Carbon Fiber Reinforced Polymer、「CFRP」)、又はそれらの組み合わせで作られる。
【0036】
一実施形態では、2つの異なるリンクに対応する1対の結合点が結合される旋回関節のうちの少なくとも1つが、
・あるリンクの結合点に設けられた第1の穴と、
・異なるリンクの結合点に設けられた第2の穴と、
・第1の穴及び第2の穴の両方を通るシャフトと
を備える。
【0037】
一実施形態では、複数の多関節モジュールが、多関節モジュールのサブグループを少なくとも備え、
・多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールk+1の第1のリンクの辺B1-C1の長さが、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールkの第1のリンクの辺B1-C1の長さとは異なり、
・多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールk+1の第2のリンクの辺A2-B2の長さが、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールkの第2のリンクの辺A2-B2の長さとは異なり、
ここで、k=1,...,Hであり、Hは、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールの総数であり、H≦Mである。
【0038】
この特定の実施形態では、多関節モジュールのサブグループのうちの各多関節モジュールの異なるリンクの相対的な寸法が互いに異なる。しかしながら、上記サブグループの1つ1つの多関節モジュールに属する異なるリンク間の内部関係は維持される。各多関節モジュールの幾何学的パラメータの上記バリエーションによって、駆動機構の挙動、つまり、駆動機構に沿った運動の伝達によって生じる作動を制御することが可能である。
【0039】
この意味で、各多関節モジュールの結合点Bは、駆動機構が空気力学的表面の後縁セクションの一部として実施される特定の実施形態において、上記空気力学的表面の翼弦に対応する線を画定する。この特定の実施形態では、駆動機構の設計段階において、上記翼弦を画定する各多関節モジュールの結合点B間の対応する距離を定義することにより、空気力学的表面の後縁セクションのピッチを変えるように作用したときの駆動機構の挙動を制御することが可能になる。
【0040】
特定の実施形態では、サブグループの一部を形成する連続する多関節モジュールごとに結合点B2とB3との間の距離は順次小さくなる。
【0041】
この構成により、駆動機構のサイズ及び幾何学的形状は後縁のくさび形に適合される。つまり、空気力学的表面の翼弦に沿って各多関節モジュールのサイズが小さくなることにより、駆動機構が利用可能な空間に適合することができるようになり、つまり、後端に向かって体積が減少する。
【0042】
一実施形態では、H=Mであり、すなわち、多関節モジュールのサブグループにおける多関節モジュールの数が、駆動機構における多関節モジュールの総数に等しい。
【0043】
本発明の第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の任意の実施形態による第1の駆動機構及び第2の駆動機構を備える駆動システムであって、第1の機構及び第2の機構が、第1の駆動機構の2つのリンクが結合される旋回関節と、第2の駆動機構の2つの対応するリンクが結合される対応する旋回関節とを接続する少なくとも第1のシャフトによって、互いに結合される、駆動システムを提供する。
【0044】
本発明の第1の態様による少なくとも2つの駆動機構間の結合、より詳細には、第1の駆動機構と第2の駆動機構との間の結合により、単一の機構の能力を複製して、結果として得られる構造体を強化し、印加される力及び連鎖の両端の印加点の伝達能力を高めるように上記機構の能力を拡大するシステムが提供される。
【0045】
上記第1の駆動機構及び第2の駆動機構は、第1の駆動機構及び第2の駆動機構の2組の対応するリンクを接続する旋回関節を接続する少なくとも第1のシャフトを使用することにより、互いに並列に結合される。このようにして、両方の駆動機構の動きが同期される。上記シャフトはまた、リンクの運動の平面、すなわち、上記リンクが時計回り又は反時計回りに旋回する平面に垂直である。
【0046】
上述のように、説明される駆動システムは、本発明の第1の態様による単一の駆動機構と比較して、より大きな構造上の強度及び堅牢性を提供する。同様に、第1の駆動機構及び第2の駆動機構の第1のリンク上にはそれぞれ2つの力の印加点が存在し、第1の駆動機構及び第2の駆動機構のリンクによって形成される連鎖の端部にはそれぞれ2つの上記力の伝達点又は駆動点が存在する。
【0047】
一実施形態では、第1の機構及び第2の機構は、互いに、
・第1のシャフトが、
○互いに結合された第1の駆動機構の2つのリンクに設けられた第1の1対の穴と、
○第2の機構の対応する1対のリンクに設けられた第2の1対の穴と
を通り、
・第2のシャフトが、
○互いに結合された第1の駆動機構の2つのリンクに設けられた第3の1対の穴と、
○第1の機構の第3の1対のリンクに対応して互いに結合された第2の機構の1対のリンクに設けられた第4の1対の穴と
を通るように結合される。
【0048】
本実施形態によれば、上記第1の駆動機構及び第2の駆動機構は、第1の駆動機構及び第2の駆動機構の対応するリンクに設けられた第1の1対の穴及び第2の1対の穴を通る第1のシャフトを使用することにより、且つ第1の駆動機構及び第2の駆動機構の対応するリンクに設けられた第3の1対の穴及び第4の1対の穴を通る第2のシャフトを使用することにより、互いに並列に結合される。このようにして、両方の駆動機構の動きが同期され、両方の駆動機構間の接続が堅牢になる。上記第1のシャフト及び第2のシャフトはまた、リンクの運動の平面、すなわち、上記リンクが時計回り又は反時計回りに旋回する平面に垂直である。
【0049】
本発明の第3の態様では、本発明は、航空機のための空気力学的表面であって、空気力学的表面が、
・固定構造と、
・本発明の第1の態様の一実施形態による駆動機構又は本発明の第2の態様の一実施形態による駆動システム、及び空気力学的表面の後縁セクションの外部形状を画定するモーフィング外板と、
・駆動機構又は駆動システムの多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
駆動機構又は駆動システムが、空気力学的表面の固定構造に結合され、
モーフィング外板が、駆動機構又は駆動システムを少なくとも部分的に包囲するように配置され、
モーフィング外板が、駆動機構又は駆動システムが作動されると変形するように構成される、空気力学的表面を提供する。
【0050】
航空機の空気力学的表面が、一般に、マニューバのために、又は進入又は着陸などの重要な局面において、空気力学的表面の後縁の一部を展開すること(extending or deploying)に一般に関与する操縦翼面を設けられる。
【0051】
このような操縦翼面の例としては、
・各翼の後縁上で翼端近くに取り付けられた補助翼、
・航空機のピッチ回転を制御することを可能にする、一般にHTPの後縁に取り付けられる昇降舵、
・航空機のヨー回転を制御することを可能にする、一般にVTPの後縁に取り付けられる方向舵、及び
・各翼の後縁上に取り付けられたフラップ
が挙げられる。
【0052】
本発明の本態様によれば、空気力学的表面の後縁セクションの外部形状はモーフィング外板によって画定され、モーフィング外板が、空気力学的表面にその形態を飛行制御に適応させる能力を提供する。この意味で、モーフィング外板は変形可能な材料で作られた変形可能な外板とみなされるものとする。
【0053】
これに関連して、「変形可能(deformable)」又は「可撓性材料(flexible material)」という用語は、様々な飛行の局面で構造上の安定性を確保するのに十分な剛性を維持しながら、力が加えられたときに弾性的に変形し、上記力がなくなったときに元の形状に戻る特性を有する柔軟な(compliant)材料として理解されたい。
【0054】
空気力学的表面で使用されるモーフィング外板は、空気力学的形状が急激に変化するのではなく、全構造体の局所的且つ意図的な変形により、航空機自体の構造的完全性に影響を与えることなく、全体的な空気力学的な効率及び制御性を向上させるような滑らかなものである。
【0055】
したがって、後縁セクションの外部形状がこのようなモーフィング外板によって画定される本発明の空気力学的表面は、1自由度のみで、翼弦の変化が最小な状態で駆動システム又は機構によって制御される空気力学的挙動を改善する。
【0056】
本発明の駆動機構又は駆動システムの多関節モジュールの一部であるリンク間の構造的構成及び結合方式により、
・駆動機構又は駆動システムを、空気力学的表面の固定構造に取り付けることができ、
・駆動機構又は駆動システムを動かすために駆動機構又は駆動システムを介して伝達される力を加えることによって駆動機構又は駆動システムを作動させることができ、
・駆動機構又は駆動システムに力を加えることによって、モーフィング外板によって画定された後縁セクションを反らせ、展開させ、又は格納させ、上記力によって機構又は駆動システムの移動を引き起こし、それによってモーフィング外板の変形を引き起こすことができる。
【0057】
したがって、本発明は、空気力学的表面であって、変形可能な外板によって画定された後縁セクション(すなわち、「モーフィング外板」)が作動され、つまり、本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかの実施形態による駆動機構又は駆動システムによって1自由度で反らされ、駆動機構又は駆動システムの2つのリンク間の相対的な動きが連鎖全体の連続的な動きを引き起こす、空気力学的表面を提供する。
【0058】
好都合なことに、多関節モジュールのリンク間の接続に起因して、アキシャル/せん断/曲げ荷重は結合されない。
【0059】
一実施形態では、モーフィング外板が、駆動機構又は駆動システムの多関節モジュールの少なくとも1つのリンクに取り付けられる。
【0060】
一実施形態では、多関節モジュールの第4のリンクが、作動手段によってかけられた力を上記モーフィング外板に伝達するために、モーフィング外板に接続され、上記第4のリンクが別の多関節モジュールの第2のリンクに結合されない。
【0061】
モーフィング外板に接続された上記第4のリンクは、複数の多関節モジュールの連続的な結合によって構成された連鎖の最後のリンクであり、したがって、別の多関節モジュールの別のリンクと結合されない。
【0062】
一実施形態では、モーフィング外板が、駆動機構又は駆動システムの複数のリンクに取り付けられる。
【0063】
一実施形態では、作動手段が、上記第1のリンクが変位するような力を加えることによって、多関節モジュールの第1のリンクを作動させるように構成される。
【0064】
一実施形態では、上記第1のリンクが、別の多関節モジュールの第3のリンクに結合されないリンクである。
【0065】
上記第1のリンクは、多関節モジュールの連続的な結合によって構成された連鎖の最初のリンクであり、したがって、別の多関節モジュールの別のリンクと結合されない。
【0066】
一実施形態では、作動手段が、多関節モジュールの少なくとも1つのリンク上で作動するように構成される。上記作動の結果、駆動システムの駆動機構のリンクが動き、各リンクがそれらの対応するシャフトを中心として回転する。各リンクのこの回転は、互いに平行であり、且つ作動手段の作動の面に平行である対応する平面において生じる。
【0067】
一実施形態では、駆動機構又は駆動システムは、多関節モジュールの第2のリンクによって空気力学的表面の固定構造に結合され、上記第2のリンクが、別の多関節モジュールの第4のリンクには結合されない。
【0068】
一実施形態では、駆動機構が固定構造に結合される第2のリンクは、結合点C2を介して上記固定構造に結合される。したがって、上記結合点C2は、別の多関節モジュールのリンクには結合されない。第2のリンクが属する多関節モジュールに関連して、上記第2のリンクが、対応する点A2/C4を介して同じ多関節モジュールの第4のリンクに結合される。
【0069】
更なる特定の実施形態では、第1のリンクの結合点C2が、旋回関節によって空気力学的表面の固定構造に結合される。
【0070】
一実施形態では、空気力学的表面の固定構造が、けたである。
【0071】
一実施形態では、空気力学的表面の固定構造が、トーションボックスである。
【0072】
一実施形態では、本発明の第2の態様の一実施形態によるシステムを備える空気力学的表面が、
・第1の駆動機構の第1のリンクの結合点A1に設けられた穴、及び
・第2の駆動機構の第1のリンクの結合点A1に設けられた穴
を通るシャフトを更に備え、
作動手段がシャフトを変位させるように構成される。
【0073】
異なる駆動機構に結合されたシャフトにより、単一のアクチュエータ及び/又は単一の力印加点によってかけられた力を、異なる駆動機構に同時に伝達することが可能となる。このような結合により、シャフトは、例えば、後縁セクション、つまりモーフィング外板を反らせることにより、力が作動のために対応する連鎖に沿ってその端部に伝達されるように機構を引く。
【0074】
一実施形態では、第1の駆動機構の第1のリンク及び第2の駆動機構の第1のリンクの両方とも、別の多関節モジュールの対応する2つの第3のリンクに結合されない。
【0075】
一実施形態では、モーフィング外板の少なくとも一部が弾性材料を含む。弾性材料とは、使用中に力が加わると変形し得る特性を有する材料と解釈されるものとする。更なる特定の実施形態では、弾性材料(resilient material)は弾性材料(elastic material)であり、耐えた変形は内部で抵抗され、力がなくなると材料は初期状態に戻る。
【0076】
一実施形態では、弾性材料が、可撓性樹脂又はゴム状材料である。
【0077】
一実施形態では、モーフィング外板の少なくとも一部が可撓性グリッド構造体を備える。
【0078】
一実施形態では、可撓性グリッド構造体が、剛体セグメントの交点にある可撓性接合部又は関節(すなわち、回転を可能にする)によって結合された上記剛体セグメントによって形成される。
【0079】
更なる特定の実施形態では、モーフィング外板の少なくとも一部が、接着剤などの機械的接合、又は接着若しくは一体成形(co-curing)によって組み立てられた可撓性樹脂又はゴム状外板などの可撓性外板材料によって覆われた可撓性グリッド構造体を備える。
【0080】
好都合なことに、グリッド構造体と可撓性外板材料とを組み合わせることにより、後縁のセクションの展開によって変形して、従来の空気力学的表面に生じる間隙を覆うことができるため、気密性が保証される組立体がもたらされる。
【0081】
一実施形態では、モーフィング外板の少なくとも一部が、互いに接続された複数の多関節スラットを備える。
【0082】
本発明の第4の態様では、本発明は、本発明の第3の態様の一実施形態による空気力学的表面を備える航空機を提供する。
【0083】
本明細書(特許請求の範囲、明細書、及び図面を含む)に記載されたすべての特徴及び/又は記載された方法のすべてのステップが、互いに排他的なそのような特徴及び/又はステップの組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされ得る。
【0084】
図面の説明
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、単に例として挙げられ、これに限定されるものではない本発明の好ましい実施形態から明らかになる本発明の詳細な説明を、図面を参照しながら読めば、明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1a-1c】交叉平行四辺形ループの概略図、及び対応する共通の頂点によっていくつかの交叉平行四辺形ループどうしが接続される例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による駆動機構の概略図を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による駆動機構の概略図を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による駆動システムの概略図を示す図である。
【
図5a-5b】それぞれ2つの動作ポジションにある本発明の一実施形態による駆動システムの2つの概略図を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による空気力学的表面の概略図を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による空気力学的表面を備える航空機の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本発明の目的を概説したところで、以下、具体的な非限定的な実施形態を説明する。
【0087】
図1a~
図1bは、それぞれ、交叉平行四辺形ループの概略図と、2つの交叉平行四辺形ループが1つの共通の頂点によって接続され、2つの概略的な三角形の3節リンク(L
1、L
2)が、それらの頂点のそれぞれが1つの交叉平行四辺形ループの対応する頂点と一致した状態で描かれている交叉平行四辺形ループグループの概略図とを示している。
【0088】
駆動機構の一部として、単独で、又は組み合わせて実施され得る多関節モジュールの幾何学的特性は、交叉平行四辺形ループ、又はいくつかの多関節モジュールを結合して連鎖を形成する場合には交叉平行四辺形ループグループに基づく。
【0089】
図1aは交叉平行四辺形ループの一例を示している。交叉平行四辺形ループは、対向する2つの短辺(S
1、S
2)と、交差する2つの長辺(D
1、D
2)とを有する自己交差四辺形の一種である。加えて、上記交叉平行四辺形ループは4つの頂点(V
1、V
2、V
3、V
4)を有する。
【0090】
図1bは、2つの交叉平行四辺形ループが1つの共通の頂点(V
4、V
6)によって接続される交叉平行四辺形ループグループの一例を示している。同様に、2つ目の交叉平行四辺形ループは、2つの対向する短辺(S
3、S
4)と、2つの交差する長辺(D
3、D
4)と、4つの頂点(V
5、V
6、V
7、V
8)とを有する。
【0091】
これらの頂点(V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8)は、本発明の駆動機構の多関節モジュールに含まれる異なる3節リンク間の接続点を表し、旋回関節が、対応する2つの結合されたリンク間の上記各頂点のそれぞれに画定される。
【0092】
特に、三角形の幾何学的形状を有する2つの3節リンク(L1、L2)が概略的に表され、それぞれの頂点は各リンク(L1、L2)の結合点に対応する。特に、第1のリンク(L1)の頂点は、交叉平行四辺形ループグループのV2、V4/V6、及びV5と番号付けされた頂点と一致する。一方、第2のリンク(L2)の頂点は頂点V3、V4/V6、及びV8と一致する。図示のように、両方のリンク(L1、L2)は、交叉平行四辺形ループグループの共通の頂点V4/V6によって互いに結合される。
【0093】
リンク(L1、L2)は、多関節モジュールの構造的単位要素を表す。追加の多関節モジュールを順次接続する場合、リンクはまた、連続する多関節モジュール間の関節も画定する。特に、3節リンク、すなわち、3点を接続する剛体リンクが使用される。よって、多関節モジュールのリンクは、対応する交叉平行四辺形ループの短辺及び長辺に関連する3つの長さを画定する3つの結合点を有する。
【0094】
この例では、
・辺S1の長さが、辺S2の長さに等しく、
・辺S3の長さが、辺S4の長さに等しく、
・辺V4-V2の長さが、辺V1-V3の長さに等しく、
・辺V8-V6の長さが、辺V5-V7の長さに等しい。
【0095】
図1cは、4つの交叉平行四辺形ループが3つの対応する共通の頂点(V
4/V
6、V
7/V
9、V
12/V
14)によって接続される交叉平行四辺形ループグループの一例を示している。この特定の例では、異なる交叉平行四辺形ループの相対的な寸法は互いに異なることが分かる。しかしながら、後述のように、この例では、1つ1つの交叉平行四辺形ループを定義する異なるパラメータ間の内部関係は維持される。
【0096】
特に、交叉平行四辺形ループ(L1、L2、L3、L4)は互いにパラメータを共有する。特に、この例では、
・辺S1の長さが、辺S2の長さに等しく、
・辺S3の長さが、辺S4の長さに等しく、
・辺S5の長さが、辺S6の長さに等しく、
・辺S7の長さが、辺S8の長さに等しく、
・各交叉平行四辺形ループの辺間の上記の関係を定義したところで、異なる交叉平行四辺形ループ間の辺の長さは、S1>S3>S5>S7の関係になり、
・辺V4-V2の長さが、辺V1-V3の長さに等しく、
・辺V8-V6の長さが、辺V5-V7の長さに等しく、
・辺V12-V10の長さが、辺V9-V11の長さに等しく、
・辺V16-V12の長さが、辺V13-V15の長さに等しく、
・各交叉平行四辺形ループの辺間の上記の関係を定義したところで、異なる交叉平行四辺形ループ間の辺の長さは、V4-V2>V8-V6>V12-V10>V16-V12の関係になる。
【0097】
相対関係が維持されている各交叉平行四辺形ループに個別に対応する、また他の交叉平行四辺形ループに対する各交叉平行四辺形ループに対応する幾何学的パラメータの上記の関係によって、図示の幾何学的形状に基づいて作られた変形可能な構造体の挙動を制御することが可能である。この意味で、図示のように、この例では、各ループの大きい方の底辺が一直線に並んで、直線(V1、V4、V6、V7、V9、V12、V14、V15)を画定する。
【0098】
この意味で、交叉平行四辺形ループグループに対する上記の幾何学的形状に基づく変形可能な構造体を実施する場合(後で
図6に示す空気力学的表面の後縁の一部として実施する場合など)、より詳細には、
図1cにおいて、グループの異なる交叉平行四辺形ループ間でサイズが異なることにより、交叉平行四辺形ループグループに沿った運動の伝達によって生じる作動を制御することが可能になる。
【0099】
より詳細には、本発明による空気力学的表面の後縁セクションの一部である駆動機構として実施する場合、
図1cに定義された共通の線(V
1、V
4、V
6、V
7、V
9、V
12、V
14、V
15)は、上記空気力学的表面の翼弦に対応する。構造体の設計段階において、上記翼弦を画定する各交叉平行四辺形ループの辺V
i-V
i+1の対応する長さを定義することにより、後縁セクションのピッチを時計回り/反時計回り方向に変えるように作動されたときの機構の挙動を制御することができる。
【0100】
交叉平行四辺形ループグループの別の特定の例(図示せず)によれば、
・辺V4-V2の長さが、辺V1-V3の長さとは異なる、及び/又は
・辺V8-V6の長さが、辺V5-V7の長さとは異なる、及び/又は
・辺V12-V10の長さが、辺V9-V11の長さとは異なる、及び/又は
・辺V16-V12の長さが、辺V13-V15の長さとは異なる。
【0101】
この意味で、各ループの大きい方の底辺は整列されず、直線ではなく曲線を画定する。幾何学的パラメータの上記の関係によって、変形可能な構造体の挙動を制御することが可能になる。より詳細には、この構成は複雑な幾何学的形状を画定するのに好都合であり得る。
【0102】
図2は、本発明の一実施形態による駆動機構(1A)の概略図を示している。特に、図示の駆動機構(1A)は、4つのリンク(10A、20A、30A、40A)を備える多関節モジュールであって、各リンク(10A、20A、30A、40A)が3つの結合点、すなわち、
・第1のリンク(10A)のA
1、B
1、C
1と、
・第2のリンク(20A)のA
2、B
2、C
2と、
・第3のリンク(30A)のA
3、B
3、C
3と、
・第4のリンク(40A)のA
4、B
4、C
4と
を備える、多関節モジュールを備える。
【0103】
図示のように、リンク(10A、20A、30A、40A)の外側の幾何学的形状(すなわち、輪郭)とは独立に、交叉平行四辺形ループグループの幾何学的形状は、リンク(10A、20A、30A、40A)の結合点の配置によって再現される。このようにして、このような交叉平行四辺形ループグループの特性は、多関節モジュールのリンク(10A、20A、30A、40A)間の相対運動に変換される。
【0104】
これに関して、各リンク(10A、20A、30A、40A)では、3つの結合点は三角形の幾何学的形状を形成して配置され、より詳細には、それぞれのリンク(10A、20A、30A、40A)の結合点によって画定されるそれぞれの三角形の幾何学的形状について、
○最長辺が結合点A及びCによって画定され、
○最短辺が結合点B及びCによって画定され、
○中間の長さの辺が結合点A及びBによって画定される。
【0105】
多関節モジュールの各リンク(10A、20A、30A、40A)の結合点によって画定される三角形の幾何学的形状の辺は、次の関係を満たす、すなわち、
・第1のリンク(10A)の辺B1-C1の長さが、第4のリンク(40A)の辺B4-C4の長さに等しく、
・第2のリンク(20A)の辺A2-B2の長さが、第3のリンク(30A)の辺A3-B3の長さに等しい。
【0106】
最後に、連鎖された交叉平行四辺形ループの頂点に結合点が画定される、リンク(10A、20A、30A、40A)間のそれ自体の接続に関して、リンク(10A、20A、30A、40A)は次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
・第1のリンク(10A)の結合点C1が、旋回関節によって第3のリンク(30A)の結合点A3に結合され、
・第1のリンク(10A)の結合点B1が、旋回関節によって第2のリンク(20A)の結合点B2に結合され、
・第2のリンク(20A)の結合点A2が、旋回関節によって第4のリンク(40A)の結合点C4に結合され、
・第3のリンク(30A)の結合点B3が、旋回関節によって第4のリンク(40A)の結合点B4に結合される。
【0107】
リンク(10A、20A、30A、40A)が結合される、対応する結合点の対に設けられる旋回関節の実施に関して、図示の実施形態は、4つのリンク(10A、20A、30A、40A)の各結合点に設けられた穴と、複数のシャフトであって、各シャフトが2つのリンク(10A、20A、30A、40A)の対応する穴の対を通る、複数のシャフトとを備える。
【0108】
上記によれば、図示の駆動機構(1A)の構造により、多関節モジュールの一方の端部(すなわち、第1のリンク(10A)の点)に加えられた力を、その力が効果を生じることが望まれる他方の端部(すなわち、第4のリンク(40A)の点)に伝達することができる(例えば、空気力学的表面の可動後縁)。
【0109】
図3は、本発明の一実施形態による駆動機構(1A)の概略図を示している。特に、図示の実施形態は、互いに接続された2つの多関節モジュール(すなわち、
図2に示す多関節モジュールのような第1の多関節モジュール、及び第2の多関節モジュール)を備える。
【0110】
図示のように、第2の多関節モジュールは、4つのリンク(10A’、20A’、30A’、40A’)を備え、各リンク(10A’、20A’、30A’、40A’)が3つの結合点、すなわち、
・第1のリンク(10A’)のA1’、B1’、C1’と、
・第2のリンク(20A’)のA2’、B2’、C2’と、
・第3のリンク(30A’)のA3’、B3’、C3’と、
・第4のリンク(40A’)のA4’、B4’、C4’と
を備える。
【0111】
両方の多関節モジュール間の接続に関して、リンク(10A、20A、30A、40A、10A’、20A’、30A’、40A’)は、次の関係にしたがって結合される、すなわち、
・第2の多関節モジュールの第1のリンク(10A’)の結合点A1’が、旋回関節によって第1の多関節モジュールの第3のリンク(30A)の結合点C3に結合され、
・第2の多関節モジュールの第2のリンク(20A’)の結合点C2’が、旋回関節によって第1の多関節モジュールの第4のリンク(40A)の結合点A4に結合される。
【0112】
この接続方式を考えると、10個の関節によって接続された8つのリンク(10A、20A、30A、40A、10A’、20A’、30A’、40A’)が存在するため、2つの多関節モジュールを有する図示の実施形態の駆動機構は、1自由度の変形可能な構造体を提供する。
【0113】
したがって、第1の多関節モジュールの第1のリンク(10A)の点に力をかけたとき、例えば自由結合点A1(この点は、いかなる他のリンクとも結合されていない)に力が加えられると、上記力は上記第1のリンク(10A)をそれぞれの接続部を中心として時計回りに旋回させる傾向がある。それぞれの接続部とは、
・旋回関節による、第1のリンク(10A)の結合点C1の第3のリンク(30A)の結合点A3への接続部、
・旋回関節による、第1のリンク(10A)の結合点B1の第2のリンク(20A)の結合点B2への接続部である。
【0114】
上記力は、第1の多関節モジュール及び第2の多関節モジュールの対応するリンクの動きを通して第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)に伝達され、そうすると、第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)は、その接続部を中心として反時計回りに旋回する。それぞれの接続部とは、
・旋回関節によって第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)の結合点C4’に結合された第2のリンク(20A’)の結合点A2’、及び
・旋回関節によって第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)の結合点B4’に結合された第3のリンク(30A’)の結合点B3’である。
【0115】
このようにして、駆動機構の構造は、所望の長さの連鎖を形成するように拡張することができ、これにより、形成された連鎖の一方の端部に加えられた力を、力を加えることが望まれる上記運動連鎖の他方の端部に伝達することができる。特に、伝達される力が加えられる上記連鎖の端部は、第1の多関節モジュールの第1のリンク(10A)の点(例えば、自由結合点A1)である。一方、上記力を伝達することが望まれる端部は、連続する多関節モジュールから構成される連鎖に結合された最後の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)の点(例えば、自由結合点A4’)である。
【0116】
図4は、本発明の一実施形態による駆動システム(2)の概略図を示している。図示のように、第1の駆動機構(1A)及び第2の駆動機構(1B)は互いに並列に結合される。より具体的には、各駆動機構(1A、1B)は2つの多関節モジュールを備える。よって、第1の駆動機構(1A)は8つのリンク(10A、20A、30A、40A、10A’、20A’、30A’、40A’)を備え、第2の駆動機構は、対応する一式の8つのリンク (10B、20B、30B、40B、10B’、20B’、30B’、40B’)を備える。
【0117】
2つの駆動機構(1A、1B)間の結合により、単一の機構の能力を複製して、結果として得られる構造体を強化し、印加される力及び連鎖の両端の印加点の伝達能力を高めるように上記機構の能力を拡大するシステムが提供される。
【0118】
上述のように、上記第1の機構(1A)及び第2の機構(1B)は、一方及び他方の機構(1A、1B)の対応するリンクに設けられた異なる穴の対をそれぞれ通る一式のシャフト(100、200、300、400)を使用することにより、互いに並列に結合される。特に、図示のシャフト(100、200、300、400)はそれぞれ、
第1の駆動機構(1A)の第1の多関節モジュールの第1のリンク(10A)と第3のリンク(30A)との間の結合点に設けられた穴、及び第2の駆動機構(1B)の第1の多関節モジュールの第1のリンク(10B)と第3のリンク(30B)との間の結合点に設けられた穴、
第1の駆動機構(1A)の第1の多関節モジュールの第2のリンク(20A)と第4のリンク(40A)との間の結合点に設けられた穴、及び第2の駆動機構(1B)の第1の多関節モジュールの第2のリンク(20B)と第4のリンク(40B)との間の結合点に設けられた穴、
第1の駆動機構(1A)の第2の多関節モジュールの第1のリンク(10A’)と第2のリンク(20A’)との間の結合点に設けられた穴、及び第2の駆動機構(1B)の第2の多関節モジュールの第1のリンク(10B’)と第2のリンク(20B’)との間の結合点に設けられた穴、並びに
第1の駆動機構(1A)の第2の多関節モジュールの第2のリンク(20A’)と第4のリンク(40A’)との間の結合点に設けられた穴、及び第2の駆動機構(1B)の第2の多関節モジュールの第2のリンク(20B’)と第4のリンク(40B’)との間の結合点に設けられた穴
を通る。
【0119】
図示のように、
図4の駆動システム(2)は、駆動システム(2)の第1の駆動機構(1A)及び第2の駆動機構(1B)のそれぞれの第2のリンク(20A、20B)によって、また2つのそれぞれの旋回関節によって、平坦な表面の一部に結合されて示されている。上記第2のリンク(20A、20B)は、別の多関節モジュールのそれぞれの第4のリンク(40A、40B)とは結合されない。
【0120】
駆動システム(2)が空気力学的表面の一部として実施される異なる実施形態では、駆動システム(2)が結合される固定構造は、けた又はトーションボックスであり得る。
【0121】
図示のように、別のシャフトが、
・第1の駆動機構(1A)の第1のリンク(10A)に設けられた穴、及び
・第2の駆動機構(1B)の第1のリンク(10B)に設けられた穴
を通り、
第1の駆動機構(1A)の第1のリンク(10A)及び第2の駆動機構(1B)の第1のリンク(10B)の両方とも、別の多関節モジュールの対応する2つの第3のリンクに結合されない対応する第1のリンクであるように示されている。換言すれば、上記第1のリンク(10A、10B)は、形成された連鎖の一部として示される第1の端部であり、したがって、駆動システム(2)を介して伝達されることが意図される力の直接の印加を受けるように配置される。
【0122】
2つの駆動機構(1A、1B)に結合された上記シャフトにより、単一のアクチュエータ及び/又は単一の力印加点によってかけられた力を、2つの駆動機構(1A、1B)を変位させるためにこれらに同時に伝達することが可能となる。
【0123】
一実施形態によれば、作動手段は、2つの駆動機構(1A、1B)に結合された上記シャフトに対して、上記シャフトに垂直な平面に含まれる力を加えることによって作動させるように構成される。シャフトを変位させる上記作動の結果、駆動システム(2)のリンクが動き、各リンクがそれらの対応するシャフトを中心として回転する。各リンクのこの回転は、互いに平行であり、且つ作動手段の作動の面に平行である対応する平面において生じる。
【0124】
最後に、図示のように、システムの構造上の剛性を高めるために、いくつかのリンクが同じ駆動機構(1A、1B)内で重複され、上記重複されたリンクが、それらの双子の対と同じポジションに配置され、また、対応する結合点によって同じリンクに結合され、同じシャフトによって交差される。特に、各機構(1A、1B)の第1の多関節モジュールの第2のリンク(20A、20B)及び第4のリンク(40A、40B)と、各機構(1A、1B)の第2の多関節モジュールの第2のリンク(20A’、20B’)及び第3のリンク(30A’、30B’)とが重複していることが分かる。
【0125】
図5a及び
図5bは、
図4に示す駆動システム(2)の2つの動作ポジションを示しており、両方の図面のそれぞれが、その駆動システム(2)の2つの異なる作動モードの結果として得られるものである。これらのポジションによって、システムのある点における作動(すなわち、力の印加)が、連鎖全体、すなわちシステム(2)の関節運動をもたらすことを確認することが可能となる。
【0126】
特に、
図5aに関して、また図示の第1の駆動機構の要素(第2の機構は第1の機構の後ろに隠れており、したがって図示されていない)を参照すると、第1の多関節モジュールの第1のリンク(10A)の点に力が加えられており、上記第1のリンク(10A)は、それぞれの接続部を中心として反時計回りに旋回している。それぞれの接続部とは、すなわち、
・旋回関節による、第1のリンク(10A)の結合点の第3のリンク(30A)の結合点への接続部、
・旋回関節による、第1のリンク(10A)の結合点の第2のリンク(20A)の結合点への接続部である。
【0127】
上記力は、第1の多関節モジュール及び第2の多関節モジュールの対応するリンクの動きを通して第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)に伝達され、そうすると、第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)は、その接続部を中心として時計回りに旋回する。それぞれの接続部とは、
・旋回関節によって第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)の結合点に結合された第2のリンク(20A’)の結合点、及び
・旋回関節によって第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)の結合点に結合された第3のリンク(30A’)の結合点である。
【0128】
図5bに関して、また図示の第1の駆動機構の要素(第2の機構は第1の機構の後ろに隠れており、したがって図示されていない)を参照すると、第1の多関節モジュールの第1のリンク(10A)の点に力が加えられており、上記第1のリンク(10A)は、それぞれの接続を中心として時計回りに旋回している。
【0129】
上記力は、第1の多関節モジュール及び第2の多関節モジュールの対応するリンクの動きを通して第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)に伝達され、そうすると、第2の多関節モジュールの第4のリンク(40A’)は、その接続部を中心として反時計回りに旋回する。
【0130】
図6は、本発明の一実施形態による空気力学的表面(3)の一実施形態を示している。上記空気力学的表面(3)は、
・本発明の第1の態様の一実施形態による駆動機構(1A)、及び空気力学的表面(3)の後縁セクション(4)の外部形状を画定するモーフィング外板(5)と、
・駆動機構(1A)の多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
駆動機構が、空気力学的表面の固定構造に結合され、
モーフィング外板(5)が、駆動機構(1A)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、
モーフィング外板(5)が、駆動機構(1A)が作動されると変形するように構成される。
【0131】
例えば
図5bに示す動作ポジションの説明を参照すると、駆動機構(1A)は、作動手段(図示せず)によって、後縁の端部に最も近いその自由端が、空気力学的表面(3)の固定構造、より具体的にはトーションボックスに結合されている前縁に最も近い端部に対して時計回りにピッチ回転するように作動されていることが分かる。
【0132】
駆動機構(1A)とモーフィング外板(4)との間に図示された接続により、駆動機構(1A)のピッチング運動がモーフィング外板(4)の変形を引き起こすことを考えると、モーフィング外板(4)によってもたらされる空気力学的形状も時計回りに反らされる。
【0133】
図7は、本発明の一実施形態による空気力学的表面(3)を備える航空機(6)の一実施形態を示している。
【符号の説明】
【0134】
1A 第1の駆動機構
1B 第2の駆動機構
2 駆動システム
3 空気力学的表面
4 後縁セクション
5 モーフィング外板
6 航空機
10A、10A’、10B、10B’ 第1のリンク
20A、20A’、20B、20B’ 第2のリンク
30A、30A’、30B、30B’ 第3のリンク
40A、40A’、40B、40B’ 第4のリンク
100 シャフト
Ai、A1、A2、A3、A4、Bi、B1、B2、B3、B4、Ci、C1、C2、C3、C4 結合点
Ai-Ci、Bi-Ci、Ai-Bi 辺
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つのリンク(10A、20A、30A、40A)を備える少なくとも1つの多関節モジュールを備える駆動機構(1A)であって、
各リンク(10A、20A、30A、40A)が、3つの結合点Ai、Bi、Ciを備え、i(但し、i=1,...,4)が、それぞれ第1のリンク、第2のリンク、第3のリンク、及び第4のリンクを示し、
各リンクにおいて、前記3つの結合点が三角形の幾何学的形状を形成して配置され、ここで、
辺Ai-Ciが結合点Ai及びCiによって画定され、
辺Bi-Ciが結合点Bi及びCiによって画定され、
辺Ai-Biが結合点Ai及びBiによって画定され、
前記第1のリンク(10A)の前記辺B1-C1の長さが、前記第4のリンク(40A)の前記辺B4-C4の長さに等しく、
前記第2のリンク(20A)の前記辺A2-B2の長さが、前記第3のリンク(30A)の前記辺A3-B3の長さに等しく、
前記リンク(10A、20A、30A、40A)が、次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
前記第1のリンク(10A)の前記結合点C1が、旋回関節によって前記第3のリンク(30A)の前記結合点A3に結合され、
前記第1のリンク(10A)の前記結合点B1が、旋回関節によって前記第2のリンク(20A)の前記結合点B2に結合され、
前記第2のリンク(20A)の前記結合点A2が、旋回関節によって前記第4のリンク(40A)の前記結合点C4に結合され、
前記第3のリンク(30A)の前記結合点B3が、旋回関節によって前記第4のリンク(40A)の前記結合点B4に結合される、駆動機構(1A)。
【請求項2】
複数の多関節モジュールであって、
前記多関節モジュールjの前記第4のリンク(40A)の前記辺A4-B4の長さが、前記多関節モジュールj+1の第1のリンク(10A)の前記辺A1-B1の長さに等しく、
前記多関節モジュールjの前記第3のリンク(30A)の前記辺B3-C3の長さが、前記多関節モジュールj+1の前記第2のリンク(20A)の前記辺B2-C2の長さに等しく、
前記多関節モジュールが次のように結合される、すなわち、
前記多関節モジュールj+1の前記第1のリンク(10A)の前記結合点A1が、旋回関節によって前記多関節モジュールjの前記第3のリンク(30A)の前記結合点C3に結合され、
前記多関節モジュールj+1の前記第2のリンク(20A)の前記結合点C2が、旋回関節によって前記多関節モジュールjの前記第4のリンク(40A)の前記結合点A4に結合され、
ここで、j=1,...,Mであり、Mは、多関節モジュールの総数である、複数の多関節モジュールを備える、請求項1に記載の駆動機構(1A)。
【請求項3】
前記複数の多関節モジュールが、多関節モジュールのサブグループを少なくとも備え、
前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールk+1の前記第1のリンク(10A)の前記辺B1-C1の長さが、前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールkの前記第1のリンク(10A)の前記辺B1-C1の長さとは異なり、
前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールk+1の前記第2のリンク(20A)の前記辺A2-B2の長さが、前記多関節モジュールのサブグループのうちの前記多関節モジュールkの前記第2のリンク(20A)の前記辺A2-B2の長さとは異なり、
ここで、k=1,...,Hであり、Hは、前記多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールの総数であり、H≦Mである、請求項2に記載の駆動機構(1A)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の第1の駆動機構(1A)及び第2の駆動機構(1B)を備える駆動システム(2)であって、
前記第1の機構(1A)及び前記第2の機構(1B)が、
前記第1の駆動機構(1A)の2つのリンクが結合される旋回関節と、
前記第2の駆動機構(1B)の2つの対応するリンクが結合される対応する旋回関節と
を接続する少なくとも第1のシャフト(100)によって、互いに結合される、駆動システム(2)。
【請求項5】
航空機のための空気力学的表面(3)であって、前記空気力学的表面(3)が、
固定構造と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動機構(1A)、及び前記空気力学的表面(3)の後縁セクション(4)の外部形状を画定するモーフィング外板(5)と、
前記駆動機構(1A)の多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
前記駆動機構(1A)が、前記空気力学的表面(3)の前記固定構造に結合され、
前記モーフィング外板(5)が、前記駆動機構(1A)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、
前記モーフィング外板(5)が、前記駆動機構(1A)が作動されると変形するように構成される、空気力学的表面(3)。
【請求項6】
前記駆動機構(1A)が、前記多関節モジュールの前記第2のリンク(20A)によって前記空気力学的表面(3)の前記固定構造に結合され、前記第2のリンク(20A)が、別の多関節モジュールの前記第4のリンク(40A)には結合されない、請求項5に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項7】
航空機のための空気力学的表面(3)であって、前記空気力学的表面(3)が、
固定構造と、
請求項4に記載の駆動システム(2)、及び前記空気力学的表面(3)の後縁セクション(4)の外部形状を画定するモーフィング外板(5)と、
前記駆動システム(2)の多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
前記駆動システム(2)が、前記空気力学的表面(3)の前記固定構造に結合され、
前記モーフィング外板(5)が、前記駆動システム(2)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、
前記モーフィング外板(5)が、前記駆動システム(2)が作動されると変形するように構成される、空気力学的表面(3)。
【請求項8】
請求項7に記載の空気力学的表面(3)であって、シャフト(100)が、
前記第1の駆動機構(1A)の第1のリンク(10A)の結合点A1に設けられた穴、及び
前記第2の駆動機構(1B)の第1のリンク(10B)の前記結合点A1に設けられた穴
を通り、
前記作動手段が前記シャフト(100)を変位させるように構成される、空気力学的表面(3)。
【請求項9】
前記モーフィング外板(5)の少なくとも一部が弾性材料を含む、請求項5に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項10】
前記モーフィング外板(5)の少なくとも一部が可撓性グリッド構造体を備える、請求項5に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項11】
前記モーフィング外板(5)の少なくとも一部が複数の多関節スラットを備える、請求項5に記載の空気力学的表面(3)。
【請求項12】
請求項5に記載の空気力学的表面(3)を備える航空機(6)。
【誤訳訂正書】
【提出日】2024-03-27
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0008
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0008】
本発明の第1の態様では、本発明は、4つのリンクを備える少なくとも1つの多関節モジュールを備える駆動機構であって、
各リンクが、3つの結合点Ai、Bi、Ciを備え、i(但し、i=1,...,4)
が、それぞれ第1のリンク、第2のリンク、第3のリンク、及び第4のリンクを示し、
各リンクにおいて、3つの結合点が三角形の幾何学的形状を形成して配置され、ここで、
○辺Ai-Ciが結合点Ai及びCiによって画定され、
○辺Bi-Ciが結合点Bi及びCiによって画定され、
○辺Ai-Biが結合点Ai及びBiによって画定され、
・第1のリンクの辺B1-C1の長さが、第4のリンクの辺B4-C4の長さに等しく、
・第2のリンクの辺A2-B2の長さが、第3のリンクの辺A3-B3の長さに等しく、
リンクが、次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
・第1のリンクの結合点C1が、旋回関節によって第3のリンクの結合点A3に結合され、
・第1のリンクの結合点B1が、旋回関節によって第2のリンクの結合点B2に結合され、
・第2のリンクの結合点A2が、旋回関節によって第4のリンクの結合点C4に結合され、
第3のリンクの結合点B
3
が、旋回関節によって第4のリンクの結合点B
4
に結合される、駆動機構を提供する。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0016
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0016】
「多関節モジュール(articulated module)」に関しては、その構造及び幾何学的特性は交叉平行四辺形ループの構成に基づく。交叉平行四辺形ループは、自己交差四辺形の一種であり、対向する2つの短辺と、交差する2つの長辺とを有する。上記幾何学的形状を再現することに基づいて剛体リンクを接続して画定される多関節モジュールは、4つの頂点又は旋回軸を有するが、交点(交叉平行四辺形ループの長端どうしの交点)では旋回軸を持たない。加えて、このような構造は、上記交点を通る線を中心として対称である。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0037
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0037】
一実施形態では、複数の多関節モジュールが、多関節モジュールのサブグループを少なくとも備え、
・多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールk+1の第1のリンクの辺B1-C1の長さが、多関節モジュールのサブグループのサブグループのうちの多関節モジュールkの第1のリンクの辺B1-C1の長さとは異なり、
・多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールk+1の第2のリンクの辺A2-B2の長さが、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールkの第2のリンクの辺A2-B2の長さとは異なり、
ここで、k=1,...,Hであり、Hは、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールの総数であり、H≦Mである。
【誤訳訂正4】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0040
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0040】
特定の実施形態では、サブグループの一部を形成する連続する多関節モジュールごとに結合点B2とB3との間の距離は順次小さくなる。
【誤訳訂正5】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0092
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0092】
特に、三角形の幾何学的形状を有する2つの3節リンク(L1、L2)が概略的に表され、それぞれの頂点は各リンク(L1、L2)の結合点に対応する。特に、第1のリンク(L1)の頂点は、交叉平行四辺形ループグループのV
1
、V
4
/V
6
、及びV
5
と番号付けされた頂点と一致する。一方、第2のリンク(L2)の頂点は頂点V3、V4/V6、及びV8と一致する。図示のように、両方のリンク(L1、L2)は、交叉平行四辺形ループグループの共通の頂点V4/V6によって互いに結合される。
【誤訳訂正6】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0106
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0106】
最後に、連鎖された交叉平行四辺形ループの頂点に結合点が画定される、リンク(10a、20b、30c、40d)間のそれ自体の接続に関して、リンク(10A、20A、30A、40A)は次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
・第1のリンク(10A)の結合点C1が、旋回関節によって第3のリンク(30A)の結合点A3に結合され、
・第1のリンク(10A)の結合点B1が、旋回関節によって第2のリンク(20A)の結合点B2に結合され、
・第2のリンク(20A)の結合点A2が、旋回関節によって第4のリンク(40A)の結合点C4に結合され、
・第3のリンク(30A)の結合点B3が、旋回関節によって第4のリンク(40A)の結合点B4に結合される。
【誤訳訂正7】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0108
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0108】
上記によれば、図示の駆動機構(1A)の構造により、多関節モジュールの一方の端部(すなわち、第1のリンク(10A)の点)に加えられた力を、その力が効果を生じることが望まれる他方の端部(すなわち、第4のリンク(40A)の点)に伝達することができる(例えば、空気力学的表面の可動後縁。
【誤訳訂正8】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0130
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0130】
図6は、本発明の一実施形態による空気力学的表面(3)の一実施形態を示している。上記空気力学的表面(3)は、
・本発明の第1の態様の一実施形態による駆動機構(1A)、及び空気力学的表面(3)の後縁セクション(4)の外部形状を画定するモーフィング外板(5)と、
・駆動機構(1A)の多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
駆動機構
又は駆動システムが、空気力学的表面の固定構造に結合され、
モーフィング外板(5)が、駆動機構(1A)
又は駆動システム(2)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、
モーフィング外板(5)が、駆動機構(1A)が作動されると変形するように構成される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の第1の態様では、本発明は、4つのリンクを備える少なくとも1つの多関節モ
ジュールを備える駆動機構であって、
各リンクが、3つの結合点Ai、Bi、Ciを備え、i(但し、i=1,...,4)
が、それぞれ第1のリンク、第2のリンク、第3のリンク、及び第4のリンクを示し、
各リンクにおいて、3つの結合点が三角形の幾何学的形状を形成して配置され、ここで
、
○辺Ai-Ciが結合点Ai及びCiによって画定され、
○辺Bi-Ciが結合点Bi及びCiによって画定され、
○辺Ai-Biが結合点Ai及びBiによって画定され、
・第1のリンクの辺B1-C1の長さが、第4のリンクの辺B4-C4の長さに等しく
、
・第2のリンクの辺A2-B2の長さが、第3のリンクの辺A3-B3の長さに等しく
、
リンクが、次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
・第1のリンクの結合点C1が、旋回関節によって第3のリンクの結合点A3に結合さ
れ、
・第1のリンクの結合点B1が、旋回関節によって第2のリンクの結合点B2に結合さ
れ、
・第2のリンクの結合点A2が、旋回関節によって第4のリンクの結合点C4に結合さ
れ、
・第3のリンクの結合点B3が、旋回関節によって第4のリンクの結合点B4に結合さ
れる、駆動機構を提供する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
「多関節モジュール(articulated module)」に関しては、その構造及び幾何学的特性は交叉平行四辺形ループの構成に基づく。交叉平行四辺形ループは、自己交差四辺形の一種であり、対向する2つの短辺と、交差する2つの長辺とを有する。上記幾何学的形状を再現することに基づいて剛体リンクを接続して画定される多関節モジュールは、4つの頂点又は旋回軸を有するが、交点(交叉平行四辺形ループの長辺どうしの交点)では旋回軸を持たない。加えて、このような構造は、上記交点を通る線を中心として対称である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
一実施形態では、複数の多関節モジュールが、多関節モジュールのサブグループを少なくとも備え、
・多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールk+1の第1のリンクの辺B1-C1の長さが、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールkの第1のリンクの辺B1-C1の長さとは異なり、
・多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールk+1の第2のリンクの辺A2-B2の長さが、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールkの第2のリンクの辺A2-B2の長さとは異なり、
ここで、k=1,...,Hであり、Hは、多関節モジュールのサブグループのうちの多関節モジュールの総数であり、H≦Mである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
特定の実施形態では、サブグループの一部を形成する連続する多関節モジュールごとに結合点B
2
とB
3
との間の距離は順次小さくなる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
特に、三角形の幾何学的形状を有する2つの3節リンク(L1、L2)が概略的に表され、それぞれの頂点は各リンク(L1、L2)の結合点に対応する。特に、第1のリンク(L1)の頂点は、交叉平行四辺形ループグループのV
2
、V
4
/V
6
、及びV
5
と番号付けされた頂点と一致する。一方、第2のリンク(L2)の頂点は頂点V3、V4/V6、及びV8と一致する。図示のように、両方のリンク(L1、L2)は、交叉平行四辺形ループグループの共通の頂点V4/V6によって互いに結合される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
最後に、連鎖された交叉平行四辺形ループの頂点に結合点が画定される、リンク(10A、20A、30A、40A)間のそれ自体の接続に関して、リンク(10A、20A、30A、40A)は次の関係にしたがって互いに結合される、すなわち、
・第1のリンク(10A)の結合点C1が、旋回関節によって第3のリンク(30A)の結合点A3に結合され、
・第1のリンク(10A)の結合点B1が、旋回関節によって第2のリンク(20A)の結合点B2に結合され、
・第2のリンク(20A)の結合点A2が、旋回関節によって第4のリンク(40A)の結合点C4に結合され、
・第3のリンク(30A)の結合点B3が、旋回関節によって第4のリンク(40A)の結合点B4に結合される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
上記によれば、図示の駆動機構(1A)の構造により、多関節モジュールの一方の端部(すなわち、第1のリンク(10A)の点)に加えられた力を、その力が効果を生じることが望まれる他方の端部(すなわち、第4のリンク(40A)の点)に伝達することができる(例えば、空気力学的表面の可動後縁)。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
図6は、本発明の一実施形態による空気力学的表面(3)の一実施形態を示している。上記空気力学的表面(3)は、
・本発明の第1の態様の一実施形態による駆動機構(1A)、及び空気力学的表面(3)の後縁セクション(4)の外部形状を画定するモーフィング外板(5)と、
・駆動機構(1A)の多関節モジュールの少なくとも1つのリンクを作動させるように構成された作動手段と
を備え、
駆動機構が、空気力学的表面の固定構造に結合され、
モーフィング外板(5)が、
駆動機構(1A)を少なくとも部分的に包囲するように配置され、
モーフィング外板(5)が、駆動機構(1A)が作動されると変形するように構成される。
【外国語明細書】