(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120892
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】組立ハウス
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240829BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240829BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E04D13/18
E04F13/08 Z ETD
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025992
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2023027777
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】599019672
【氏名又は名称】有限会社美鈴
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 勇一
【テーマコード(参考)】
2E108
2E110
【Fターム(参考)】
2E108KK04
2E108LL01
2E108NN07
2E110AA04
2E110AB02
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB41
2E110BB03
2E110CA07
2E110CA08
2E110DB03
2E110DB17
2E110GA32W
2E110GA33X
(57)【要約】
【課題】発電のためのソーラーパネルを取り付けるだけでなく、それ自体が他の用途にも有用に用いることが可能な組立ハウスを提供する。
【解決手段】ハウス本体2の屋根部分及び壁部分を形成すると共に角度調整可能となっている複数のパネル部材3、4と、パネル部材3、4の室外面に取り付けられたフィルム状のソーラーパネル8と、パネル部材3、4の室内面に取り付けられた板状の収納用部材11と、ソーラーパネル8が発電した電力を蓄電する蓄電池18と、蓄電池18と電気的に接続された状態で収納用部材11に設けられた負荷21とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウス本体の屋根部分及び壁部分を形成すると共に角度調整可能となっている複数のパネル部材と、
前記パネル部材の室外面に取り付けられたフィルム状のソーラーパネルと、
前記パネル部材の室内面に取り付けられた板状の収納用部材と、
前記ソーラーパネルが発電した電力を蓄電する蓄電池と、
前記蓄電池と電気的に接続された状態で前記収納用部材に設けられた負荷と、を備えていることを特徴とする組立ハウス。
【請求項2】
前記複数のパネル部材は、その外縁部分が隣接するパネル部材の外縁部分と相互に重ね合わされ、この重ね合わせ状態で前記複数のパネル部材が前記屋根部分及び壁部分を形成していることを特徴とする請求項1に記載の組立ハウス。
【請求項3】
前記ソーラーパネルと前記パネル部材との間に、前記蓄電池と電気的に接続されるヒーターシートが挟まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の組立ハウス。
【請求項4】
前記複数のパネル部材が操作ベルトによって連結されており、前記操作ベルトへの操作によって複数のパネル部材が同時に角度調整可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の組立ハウス。
【請求項5】
前記負荷は、前記蓄電池に電気的に接続される発熱シート、冷却シート、扇風機、照明部材、スピーカー部材、カメラ部材の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の組立ハウス。
【請求項6】
前記ハウス本体は、屋根枠と屋根枠を支承する複数の支柱とを備え、
前記パネル部材の長さ方向の両端部を回転可能に支持する取り付けフレームが前記屋根枠及び前記支柱に取り付けられており、
前記取り付けフレームに支持された状態で前記パネル部材が回転することにより前記ハウス本体に対するパネル部材の角度調整が可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の組立ハウス。
【請求項7】
前記取り付けフレームにおけるパネル部材の回転範囲を覆う封止カバーがパネル部材の長さ方向の両端部に一体回転するように取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の組立ハウス。
【請求項8】
前記パネル部材を回転させる駆動シャフトが前記支持プレートに回転可能に取り付けられており、前記駆動シャフトはモーターによって往復直線運動する連結シャフトに連結されていることを特徴とする請求項6に記載の組立ハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレハブハウス等に用いられる組立ハウスに関し、特に、太陽光発電機能を備えた組立ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギーによって発電するソーラーパネルを用いた設備が数多く開発されている。例えば、特許文献1には、ビニールハウスの屋根及び壁の一部または全部をソーラーパネルとし、ソーラーパネルが発電した電力をビニールハウス内の電気ヒーターに供給する設備が開示されている。また、特許文献2には、回転する天窓にソーラーパネルを取り付け、天窓を回転させることによりソーラーパネルが太陽に向くようにして発電量を増大させる設備が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-213633号公報
【特許文献2】特開2021-181720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、ソーラーパネルの発電だけに注目した構造に過ぎない。すなわち特許文献1の従来技術では、ソーラーパネルが発電した電力をビニールハウスの加温に用いるだけであり、特許文献2の従来技術では、ソーラーパネルの発電効率向上のために天窓を回転させるだけである。
本発明は、発電のためのソーラーパネルを取り付けるだけでなく、それ自体が他の用途にも有用に用いることが可能な組立ハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の組立ハウスは、ハウス本体の屋根部分及び壁部分を形成すると共に角度調整可能となっている複数のパネル部材と、前記パネル部材の室外面に取り付けられたフィルム状のソーラーパネルと、前記パネル部材の室内面に取り付けられた板状の収納用部材と、前記ソーラーパネルが発電した電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池と電気的に接続された状態で前記収納用部材に設けられた負荷と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明では、前記複数のパネル部材は、その外縁部分が隣接するパネル部材の外縁部分と相互に重ね合わされ、この重ね合わせ状態で前記複数のパネル部材が前記屋根部分及び壁部分を形成していることを特徴とする。
【0007】
また、前記ソーラーパネルと前記パネル部材との間に、前記蓄電池と電気的に接続されるヒーターシートが挟まれていることを特徴とする。
【0008】
また、前記複数のパネル部材が操作ベルトによって連結されており、前記操作ベルトへの操作によって複数のパネル部材が同時に角度調整可能となっていることを特徴とする。
【0009】
また、前記負荷は、前記蓄電池に電気的に接続される発熱シート、冷却シート、扇風機、照明部材、スピーカー部材、カメラ部材の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0010】
本発明では、前記ハウス本体は、屋根枠と屋根枠を支承する複数の支柱とを備え、 前記パネル部材の長さ方向の両端部を回転可能に支持する取り付けフレームが前記屋根枠及び前記支柱に取り付けられており、前記取り付けフレームに支持された状態で前記パネル部材が回転することにより前記ハウス本体に対するパネル部材の角度調整が可能となっていることを特徴とする。
【0011】
また、前記取り付けフレームにおけるパネル部材の回転範囲を覆う封止カバーがパネル部材の長さ方向の両端部に一体回転するように取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
また、前記パネル部材を回転させる駆動シャフトが前記支持プレートに回転可能に取り付けられており、前記駆動シャフトはモーターによって往復直線運動する連結シャフトに連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発電のためのソーラーパネルを取り付けるだけでなく、それ自体が他の用途にも有用に用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の組立ハウスの全体斜視図である。
【
図2】第1実施形態の組立ハウスの開き状態の全体斜視図である。
【
図4】第2パネル部材の角度調整を示す斜視図である。
【
図5】パネル部材の分解斜視図及び組み付け状態の斜視図である。
【
図6】(A)は第1パネル部材の角度調整の構造を示す斜視図、(B)は変形例の斜視図である。
【
図7】第1パネル部材の角度調整の構造を示す側面図である。
【
図8】第1パネル部材を角度調整して開いた状態を示す側面図である。
【
図9】ソーラーパネルの電気接続状態を示す回路図である。
【
図10】第2実施形態の組立ハウスの全体斜視図である。
【
図11】第2実施形態のパネル部材の斜視図である。
【
図12】第2実施形態のハウス本体の斜視図である。
【
図13】第2実施形態の第2パネル部材の角度調整を示す斜視図である。
【
図14】第2実施形態の第1パネル部材の斜視図である。
【
図15】第2実施形態の第1パネル部材の角度調整を示す側面図である。
【
図16】第2実施形態の第1パネル部材を開いた状態の側面図である。
【
図17】第3実施形態の組立ハウスの閉鎖状態の斜視図である。
【
図18】第3実施形態の組立ハウスの開き状態の斜視図である。
【
図19】第3実施形態のハウス本体の斜視図である。
【
図21】取り付けフレーム及び駆動シャフトを示す斜視図である。
【
図22】(A)、(B)はモーターを示す斜視図である。
【
図24】(A)、(B)は封止カバー及び第2パネル部材の動作を示す側面図である。
【
図26】第4実施形態の取り付けフレームの斜視図である。
【
図27】(A)、(B)は第4実施形態の封止カバーの動作を示す側面図である。
【
図28】第3実施形態の変形形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図9は、本発明の第1実施形態を示す。
図1及び
図2に示すように第1実施形態の組立ハウス1は、プレハブハウスを構成するハウス本体2と、ハウス本体2の屋根部分を形成する複数の第1パネル部材3と、ハウス本体2の壁部分を形成する複数の第2パネル部材4とを備えている。第1パネル部材3及び第2パネル部材4によって、この実施形態のパネル部材が構成される。パネル部材3、4はいずれも平坦な板形状となっている。なお、
図1及び
図2では、ハウス本体2の左右の壁部分は開放されており、この開放状態の左右の壁部分には、ドアや窓を有した壁材が設けられる。また、床部を設けるか否かは任意である。
【0016】
図3はハウス本体2の骨格を示し、4本の支柱5(5a、5b)と、4本の支柱5の上端部を連結する屋根枠6とによって四角形立体に形成されている。前側の2本の支柱5aは後側の2本の支柱5b、5bよりも幾分低くなっており、これにより屋根枠6が前側に低く傾いて、屋根に降った雨水が前側に流れ落ちるようになっている。これに限らず、屋根枠6を後側が低く、前側が高くなるように形成して雨水が後側に流れ落ちるようにしても良い。
【0017】
前側の2本の支柱5a及び後側の2本の支柱5bの上下方向に沿って、鋸歯状の取り付けフレーム7が左右両側に設けられる。左右の取り付けフレーム7には、第2パネル部材4が掛け渡されることにより前側の壁部分が形成される。一方、屋根枠6には、第1パネル部材3が左右に沿って掛け渡されることにより屋根部分が形成される(
図1及び
図2参照)。
【0018】
第1パネル部材3及び第2パネル部材4(パネル部材3、4)の室外面には、フィルム状のソーラーパネル8が取り付けられる。フィルム状のソーラーパネル8としては、例えば、商品名「ペロブスカイト太陽電池」や商品名「FWAB太陽電池セル」(エフウエイブ(社)製などを使用することができる。フィルム状のソーラーパネルは厚さが薄く、軽量で容易に折り曲げることができるため、取り付けを簡単に行うことができる。
【0019】
図5は、パネル部材3、4を示す。パネル部材3、4はパネル板9を有しており、パネル板9の室外面にソーラーパネル8及びヒーターシート10が接着剤や面ファスナー等によって取り付けられ、パネル板9の室内面に板状の収納用部材11が接着剤や面ファスナー等によって取り付けられる。ヒーターシート10は発熱線10aが埋設されており、発熱線10aに対してソーラーパネル8が発電した電力が後述する回路(
図9)から供給されて発熱する。発熱によってソーラーパネル8を加温するため、ソーラーパネル8に付着した水分を蒸発させ、ソーラーパネル8の劣化を防止することができる。
【0020】
室内面の板状の収納用部材11には、発熱シート、冷却シート、扇風機、照明部材、スピーカー部材、カメラ部材等の用途部材(負荷)が差し込みや組み付けによって着脱可能に取り付けられる。これにより組立ハウス1に加温、冷房、照明、スピーカー、撮影等の他の機能を付与することができる。従って、組立ハウス1に多くの機能が付与され、組立ハウス1の用途を広げることができる。これらの用途部材を着脱可能とするため、収納用部材11の室内側は、鉤状に屈曲され、この鉤状屈曲部に用途部材の差し込みが行われる。
【0021】
パネル部材3、4のハウス本体2への取り付けを説明する。
図3に示すように、ハウス本体2の前側の支柱5a、5a及び後側の支柱5b、5bの取り付けフレーム7には、上下方向に連続するギザギザ突部12が形成され、このギザギザ突部12に沿って複数の第2パネル部材4が上下方向に並べられて取り付けられる。これにより第2パネル部材4がハウス本体2の壁部分を形成する。また、ハウス本体2の屋根枠6には、前後方向に沿ったギザギザ突部13が形成され、このギザギザ突部13に沿って複数の第1パネル部材3が横並びとなって配置される。これにより第1パネル部材3がハウス本体2の屋根部分を形成する。
【0022】
図5に示すように、パネル部材3、4のパネル板9は、ソーラーパネル8及び収納用部材11の取り付け部分よりも外側に広がる外縁部分9aを有しており、この外縁部分9aが隣接するパネル部材3、4の外縁部分9aと相互に重ね合わされてハウス本体2の屋根部分及び壁部分が形成される。
図7は屋根部分を形成する第1パネル部材3が隣接する第1パネル部材3と重なり合った状態を示す。壁部分を形成する第2パネル部材4も同様に隣接する第2パネル部材4と重なり合うようになっている。このように隣接するパネル部材3、4の外縁部分9aが重なり合う構造では、隣接するパネル部材3、4の間から雨水が入り込むことを防止できるため、野外での使用を可能とすることができる。
【0023】
この実施形態では、屋根部分及び壁部分を形成するパネル部材3、4はハウス本体2に対して角度調整可能となっている。角度調整を可能とするため、第1パネル部材3は屋根枠6に対して回転可能、第2パネル部材4は取り付けフレーム7に対して回転可能となっていると共に、角度調整操作のための操作ベルト14によって連結されている(
図6、
図7、
図8参照)。このように角度調整が可能となっていることにより、ソーラーパネル8の発電効率を調整することができる。
【0024】
図6(A)は、屋根部分を形成するパネル部材3の回転構造を示す。パネル部材3のパネル板9の長さ方向の両側には、ギヤ16を備えた軸体15が左右方向に沿って延びている。軸体15は屋根枠6のギザギザ突部13に回転可能に支持される(
図7及び
図8参照)。
図6(B)は
図6(A)の変形例であり、軸体15がパネル板9を短手方向の両端部分を支持するようになっている。
壁部分を形成する第2パネル部材14には、操作ベルト14が長さ方向の2箇所に連結され、操作ベルト14への操作によって第2パネル部材14が回転する。
【0025】
図7及び
図8は、屋根部分を形成する第1パネル部材3の角度調整の構造であり、
図7は第1パネル部材3が閉じた状態、
図8は第1パネル部材3が開いた状態を示す。ギザギザ突部13に回転可能に支持された全ての第1パネル部材3は、操作ベルト14によって連結されている。操作ベルト14はそれぞれの第1パネル部材3のギヤ16に噛み込んでおり、操作ベルト14を操作することにより全ての第1パネル部材3が屋根枠6に対して同時に角度変更する。これにより
図7のように屋根部分を閉じた状態と、
図8のように屋根部分を開いた状態とを繰り返すことができる。屋根部分を閉じることにより、雨水の浸入を防止できる。このときには、
図7に示すように、第1パネル部材3は前側に低くなるため、雨水を流し落とすことができる。一方、
図8のように、屋根部分を開くことによりハウス本体2内の換気及び日差しの取り入れを行うことができる。
【0026】
図4は、壁部分を形成する第2パネル部材4の角度調整の構造を示す。それぞれの第2パネル部材4は両端部の軸体がギザギザ突部12に回転可能に支持されている。全ての第2パネル部材4は操作ベルト14によって連結されており、操作ベルト14を操作することにより第2パネル部材4の角度調整を行うことができ、壁部分を閉じたり、開いたりすることが可能である。これにより、壁部分の閉止、壁部分の開放を行うことができる。
【0027】
図1はパネル部材3、4を閉じた状態の組立ハウス1、
図2はパネル部材3、4を角度調整によってパネル部材3、4を開いた状態の組立ハウス1を示す。このようにパネル部材3、4を角度変更可能とした構造では、組立ハウス1の使用態様を変更できるため、組立ハウス1の利用価値が向上する。
【0028】
図9は、屋根部分及び壁部分に設けたソーラーパネル8の電気接続回路を示す。隣接する一対のソーラーパネル8が直列に接続されると共に、各直列接続が並列に接続されてチャージコントローラ17に接続される。そしてチャージコントローラ17が蓄電池18に接続されることによりソーラーパネル8が発電した直流の電気が蓄電池18に蓄電される。蓄電池18はスイッチ19及びインバータ20を介して負荷21に交流電力を供給する。負荷21は、発熱シート、冷却シート、扇風機、照明部材、スピーカー部材、カメラ部材等の用途部材であり、これらの用途部材がソーラーパネル8の発電電力で駆動する。
【0029】
用途部材(負荷)が発熱シートの場合には、暖房及び騒音防止ができ、冷却シートの場合には、冷房及び騒音防止ができ、扇風機の場合には、温度調整、結露防止ができる。照明部材の場合には、ハウス内の照明や植物育成ができ、スピーカー部材の場合には、警告、カメラ部材の場合には、撮影、作業管理や防犯を行うことができる。これによりパネル部材3、4の角度調整による使用形態の変更に加えて、組立ハウス1に多くの機能が付与され、組立ハウス1の用途を広げることができる。
以上の組立ハウス1の設置場所としては、駐車場、倉庫、各種作業場、農場、養鶏養豚場、緊急避難場所とすることができる。
さらに、組立ハウスをビルの屋上、公園等の施設に設置することができ、組立ハウスを用いて植物育成することにより、施設の緑化に寄与することが可能となる。
【0030】
図10~
図16は、本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態では、パネル部材3、4が平坦な板状となっているのに対し、第2実施形態では、屋根部分を形成する第1パネル部材33及び壁部分を形成する第2パネル部材34が波形状に形成される点で相違する。
【0031】
図10は第2実施形態の組立ハウス31の斜視図、
図11はパネル部材33、34の斜視図、
図12はハウス本体32の斜視図、
図13は壁部分を形成する第2パネル部材34の角度調整を示す斜視図、
図14は屋根部分を形成する第1パネル部材33の斜視図、
図15及び
図16は屋根部材を形成する第1パネル部材33の角度調整を示す側面図であり、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付してある。
【0032】
パネル部材33、34はいずれも波状に形成された波板となっている。このため
図11、
図14に示すように、パネル部材33、34のそれぞれのパネル板39は波板状に形成される。パネル部材33、34が取り付けられるハウス本体32においては、
図12に示すように、支柱5(5a、5b)の取り付けフレーム37に波突部42が形成され、屋根枠36に波突部43が形成される。
【0033】
壁部分のパネル部材33及び屋根部分のパネル部材34は、
図13及び
図15に示すように、それぞれのパネル板39の外縁部分39aが、隣接するパネル部材33、34のパネル板39の外縁部分と相互に重なり合うことにより雨水の浸入を防止する。
ここで、屋根部分のパネル部材33は前側が低く、後側が高くなるように傾斜しており(
図10)、雨水を前側に流し落とすことができる。
【0034】
図13に示すように、壁部分の第2パネル部材34は操作ベルト14によって連結されており、操作ベルト14を操作することにより角度調整がなされて組立ハウス31の壁部分が閉止状態及び開放状態となる。
【0035】
図15及び
図16に示すように、屋根部分の第1パネル部材33はギヤ16を備え、ギヤ16が操作ベルト14によって連結される。このことにより操作ベルト14を操作することにより角度調整がなされて組立ハウス31の屋根部分が閉止状態及び開放状態となる。
【0036】
それぞれのパネル部材33、34のパネル板39には、ソーラーパネル8が室外面に取り付けられる。また、パネル部材39とソーラーパネル8との間には、ヒーターシートが挟まれる。パネル板39の室内面には波板形状の収納用部材41が設けられ、この収納用部材41に負荷としての発熱シート、冷却シート、扇風機、照明部材、スピーカー部材、カメラ部材等の用途部材が着脱自在に取り付けられる。これらの用途部材はソーラーパネル8の発電電力で駆動する。
この実施形態では、第1パネル部材33、第2パネル部材34を波形状に形成することにより面積が大きくなるため、ソーラーパネル8の発電効率を増大させることができると共に、パネル部材33、34の強度を増大させることができる。
【0037】
図17~
図23は、本発明の第3実施形態の組立ハウス51を示し、第1実施形態及び第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付して対応させてある。
図17、
図18に示すように、組立ハウス51は、ハウス本体52と、ハウス本体52の屋根部分を形成する複数の第1パネル部材53と、ハウス本体52の壁部分を形成する複数の第2パネル部材54とを備えている。
【0038】
ハウス本体52の骨格は、高さ調整可能となっている複数(4本)の支柱55と、支柱55の上端部に設けられて支柱55に支承された屋根枠56とによって四角形立体に形成されている。支柱55が高さ調整可能となっていることにより、ハウス本体52の高さ変更が可能となっている。
【0039】
図19に示すように、前側の2本の支柱55には、取り付けフレーム57が対となって設けられており、図示を省略するが、後側の2本の支柱55にも取り付けフレームが対となって設けられる。同様に屋根枠56の前後部分にも取り付けフレーム58が対となって設けられている。前側及び後側の取り付けフレーム57には、壁部分を形成する複数の第2パネル部材54が掛け渡され、屋根枠56の取り付けフレーム58には、屋根部分を形成する第1パネル部材53が掛け渡される。
【0040】
第2パネル部材54及び第1パネル部材53は、長さ方向の両端部がそれぞれの取り付けフレーム57、58に回転可能に支持されており、取り付けフレーム57、58に対して回転することにより、ハウス本体52に対する第2パネル部材54及び第1パネル部材53の角度調整が可能となっている。これにより
図17の閉鎖状態及び
図18の開放状態となることができる。
【0041】
第2パネル部材54及び第1パネル部材53の全体は、S字の波形に形成されている。これらのパネル部材53、54を回転可能に支持する取り付けフレーム57、58もその支持部分がパネル部材53、54に相応したS字の波形に形成される(
図19、
図21)。
【0042】
第2パネル部材54及び第1パネル部材53のそれぞれの室外面には、第1実施形態及び第2実施形態と同様なフィルム状のソーラーパネル8が取り付けられている。ソーラーパネル8は第2パネル部材54及び第1パネル部材53における外縁部分54a、53aに内方側に位置するように取り付けられる。外縁部分53a、54aは隣接するパネル部材53、54の外縁部分と相互に重ね合わせられる。このことによりハウス本体52の壁部分及び屋根部分が形成される。
【0043】
第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第2パネル部材54及び第1パネル部材53の室内面には、図示を省略した収納用部材が取り付けられる。収納用部材には、発熱シート、冷却シート、扇風機、照明部材、スピーカー部材、カメラ部材等の用途部材(負荷)が差し込みや組み付けによって着脱可能に取り付けられる。これにより組立ハウス51に加温、冷房、照明、スピーカー、撮影等の他の機能を付与することができる。
【0044】
次に、壁部分を形成する第2パネル部材54の回転構造を
図20~
図22により説明する。屋根部分を形成する第1パネル部材53も同様な構造のため、説明を省略する。それぞれの第2パネル部材54の長さ方向の両端部は、取り付けフレーム57を貫通した駆動シャフト61の一端が取り付けられる。駆動シャフト61の他端は、上下方向に伸びる連結シャフト62に連結される(
図17、
図18)。
【0045】
連結シャフト62は、
図17、
図18、
図22に示すステッピングモーター等のモーター63に取り付けられている。モーター63はハウス本体52の支柱55に取り付けられた支持金具64に固定されており、その回転によって連結シャフト62を上下動させる。この動作によって
図18のように連結シャフト62を下方に移動させて第2パネル部材54を開方向に回転させたり、
図17のように連結シャフト62を上方向に移動させて第2パネル部材54を閉方向に回転させることができる。
【0046】
この実施形態では、
図20、
図24に示す封止カバー65が設けられる。封止カバー65は取り付けフレーム57の波部分を覆う形状に形成されている。封止カバー65は第2パネル部材54の長さ方向の両端部に位置し、且つ取り付けフレーム57の外側に位置するように設けられる。また、封止カバー65は第2パネル部材54と一体回転するように、第2パネル部材54の長さ方向の両端部に取り付けられる。封止カバー65を設けることにより第2パネル部材54が閉鎖状態のとき、第2パネル部材54が存在しない取り付けフレーム57の空き部分を封止することができる(
図24(A))。このため、取り付けフレーム57の長さ方向両端の空き部分から雨水が浸入することを防止することができる。
【0047】
図25は封止カバー65の別例を示し、第2パネル部材54の端部が引っ掛かるフック部65aが形成されている。これにより封止カバー65と第2パネル部材54との間の隙間を封止することができ、雨水の浸入を防止できる。封止カバー65は屋根部分を形成する第1パネル部材53に対しても同様に形成することができる。
【0048】
図28は、第3実施形態の変形形態を示す。この形態では、壁部分の取り付けフレーム57を支柱55の上下部位に横方向に沿って取り付け、上下の取り付けフレーム57に第2パネル部材54を縦方向に掛け渡した構造となっている。これにより複数の第22パネル部材54が縦方向に横並びされて配置される。
上下の取り付けフレーム57には、第2パネル部材54を回転させるための駆動シャフト(図示省略)が取り付けられ、駆動シャフトがモーターにより横方向に往復直線運動する連結シャフト(いずれも図示省略)に連結されている。このため、壁部分を形成する第2パネル54が縦方向に沿って回転して角度調整が可能となっていると共に閉じ状態及び開状態となることができる。なお、屋根部分を形成する第1パネル部材53は
図17、
図18の第3実施形態と同様に角度調整及び開閉動作するものである。
【0049】
図26、
図27は本発明の第4実施形態を示す。第4実施形態は第3実施形態と概略同様であるが、パネル部材53、54が波形ではなく、フラット形の場合を示す。パネル部材53、54がフラット形の場合には、取り付けフレーム57、58のパネル部材当接部分もフラット形となる。この実施形態においても、封止カバー65を取り付けフレーム57、58の長さ方向両端の円弧部分を覆う形状に形成されることにより、第2パネル部材54、第1パネル部材53が閉鎖したときに、取り付けフレーム57、58の円弧部分を覆うため、雨水の浸入を防止することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 31 51 組立ハウス
2 32 52 ハウス本体
3 33 53 第1パネル部材
4 34 54 第2パネル部材
5 支柱
6 36 56 屋根枠
7 37 57 58 取り付けフレーム
8 ソーラーパネル
9 39 パネル板
9a 39a 外縁部分
10 ヒーターシート
11 41 収納用部材
12 13 ギザギザ突部
14 操作ベルト
15 軸体
16 ギヤ
18 蓄電池
19 スイッチ
21 負荷
44 45 波突部
61 駆動シャフト
62 連結シャフト
63 モーター
64 支持金具
65 封止カバー