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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001209
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】表面特性の特定
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/88 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G01S13/88 200
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174695
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2021183062の分割
【原出願日】2018-01-29
(31)【優先権主張番号】62/451,313
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/529,740
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】スタンレー,バイロン マッコール
(72)【発明者】
【氏名】コーニック,マシュー タイラー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表面特性の特定方法が開示される。
【解決手段】この方法は、表面貫通レーダー(SPR)信号をSPRシステムから表面に向けて送信するステップを含み得る。この方法はまた、SPRシステムで応答信号を受信するステップを含み得る。応答信号は、少なくとも部分的に、表面に関連付けられた表面領域からのSPR信号の反射を含み得る。この方法は、応答信号の強度および位相のうちの少なくとも一方を測定するステップをさらに含み得る。この方法はさらに、応答信号の強度および位相の少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて、表面の表面特性を特定するステップを含み得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面特性を特定するための方法であって、
表面貫通レーダー(SPR)信号をSPRシステムから表面に向けて送信するステップと、
前記SPRシステムで、少なくとも部分的に、前記表面に関連する表面領域からのSPR信号の反射を含む応答信号を受信するステップと、
前記応答信号の強度と位相の少なくとも一方を測定するステップと、
前記応答信号の強度および位相の少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて、前記表面の表面特性を特定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記応答信号、前記応答信号の測定強度、前記応答信号の測定位相、および特定された表面特性のうちの少なくとも1つを乗物の1つまたはそれ以上の制御システムに送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記応答信号、前記応答信号の測定強度、前記応答信号の測定位相、および特定された表面特性のうちの少なくとも1つに基づいて車両を制御するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表面特性の特定は、伝達関数および周波数応答のうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表面特性が、雪、氷、水、泥、泥水、砂、および塩のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記表面特性の特定は、前記応答信号の測定された強度または位相を、複数の所定の表面特性に関連する信号応答の既知の強度または位相と相関させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記表面特性の特定は、
クリアな表面特性の既知の強度または位相と前記応答信号の測定された強度または位相との間の差と、
降水状態における表面特性の既知の強度または位相と、応答信号の測定された強度との差と、
のうちの少なくとも1つを計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。。
【請求項8】
前記表面特性の特定は、
前記応答信号の測定された強度または位相を、複数の所定の表面特性に関連する信号応答の既知の強度または位相と相関させるステップと、
クリアな表面特性の既知の強度または位相と前記応答信号の測定された強度との差、および、降水状態の表面特性の既知の強度または位相と前記応答信号の測定された強度との差のうちの少なくとも1つを計算するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記応答信号の測定された強度は、電圧および電力のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記SPRシステムは、車両の下に配置された複数のSPRアンテナおよびチャネルを備え、各チャネルは少なくとも1つの送信素子および少なくとも1つの受信素子を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SPRシステムは、前記車両の位置特定用途にも使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記表面特性の特定は、前記応答信号と、前記応答信号の測定された強度または位相と、別のセンサの出力とのうちの少なくとも1つを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記センサは、光学センサ、慣性航法システム(INS)、GPS、音響航法および測距(SONAR)システム、LIDARシステム、カメラ、慣性測定ユニット(MIU)、ホイールスリップセンサ/エンコーダ、および補助レーダーシステムのうちの1またはそれ以上に関連付けられる、請求項12に記載の方法。。
【請求項14】
表面特性を特定するためのシステムであって、
少なくとも1つのSPR送信素子と少なくとも1つのSPR受信素子とを備える少なくとも1つのSPRチャネルと、
前記少なくとも1つのSPR受信素子と通信するSPRプロセッサであって、前記SPR受信素子からの応答信号の受信に応答して、
前記SPR受信素子で受信される、表面に関連する表面領域からの、送信されたSPR信号の反射を少なくとも部分的に含む応答信号の強度および位相の少なくとも一方を測定し、
前記応答信号の強度または位相に少なくとも部分的に基づいて、前記表面の表面特性を特定する、SPRプロセッサとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記SPRプロセッサは、前記応答信号、前記応答信号の測定強度、前記応答信号の測定位相、および特定された表面特性のうちの少なくとも1つを乗物の1以上の制御システムに送信するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
表面特性を特定するためのSPRシステムにおいて、
乗物の下に配置可能なSPRアンテナアレイであって、当該SPRアンテナアレイは複数のSPRチャネルを形成し、各SPRチャネルはSPRアンテナ対を含み、SPRアンテナ対の一方のSPRアンテナはSPR送信アンテナで、SPRアンテナペアの他方のSPRアンテナはSPR受信アンテナである、SPRアンテナアレイと、
前記SPR受信アンテナと通信するSPRプロセッサであって、
前記SPR受信アンテナで受信される、表面に関連する表面領域からの、送信されたSPR信号の反射を少なくとも部分的に含む応答信号の強度または位相を測定し、
前記応答信号の強度または位相に少なくとも部分的に基づいて、前記表面の1またはそれ以上の表面特性を特定する、SPRプロセッサと、
を備えることを特徴とするSPRシステム。
【請求項17】
第1のSPRチャネルが、車両の運転席側タイヤの後ろに配置可能な第1のSPR送信アンテナと、前記車両の助手席側タイヤに向かって前記第1のSPR送信アンテナに実質的に平行に配置可能な第1のSPR受信アンテナとを含む、請求項16に記載のSPRシステム。
【請求項18】
前記SPRアンテナアレイのSPRアンテナ対は、互いに実質的に平行に配置可能であり、前記SPRアンテナアレイは、前記車両の前部運転者側タイヤの後ろから前部助手席側タイヤに向かって延びるように配置可能である、請求項16に記載のSPRシステム。
【請求項19】
前記SPRアンテナは、前記車両の前部運転席側タイヤの後方から前記車両の後部運転席側タイヤに向かって前記車両の長さに沿って縦方向に配置可能である、請求項16に記載のSPRシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]この出願は、2017年1月27日に出願された「LGPR Capability」という名称の米国仮特許出願第62/451,313号、および2017年7月7日に出願された「Localizing Ground-Penerating Radar」という名称の米国仮特許出願第62/529,740号の早い出願日の利益を請求するものであり、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明における政府の権利
[0002]本発明は、米国空軍により授与された契約番号FA8721-05-C-0002の下で政府の支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
[0003]本発明は、一般に、表面特性を特定するための方法およびシステムに関する。この方法およびシステムは、車両を制御するために使用され得る。
【0004】
発明の背景
[0004]車両の自律航法では、実世界の環境を感知したり、環境(道路など)の広範な事前知識を必要とする。実世界の環境は変化に富んでおり、詳細な事前のマップは路面状態などの航行条件の変化を考慮していない。したがって、表面特性の特定を実現する方法およびシステムが求められており、これは車両の自律航行を支援し得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本技術の例示的な実施形態は、表面特性を特定する方法を含む。
【0006】
[0006]一実施形態では、表面特性を特定する方法は、表面貫通レーダー(SPR)信号をSPRシステムから表面に向けて送信するステップを含み得る。この方法はまた、SPRシステムで応答信号を受信するステップを含み得る。応答信号は、少なくとも部分的に、表面に関連付けられた表面領域からのSPR信号の反射を含み得る。この方法はさらに、応答信号の強度および位相のうちの少なくとも一方を測定するステップを含み得る。この方法はさらに、応答信号の強度および位相の少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて、表面の表面特性を特定するステップを含み得る。
【0007】
[0007]様々な実装例において、この方法は、応答信号、測定された応答信号の強度、測定された応答信号の位相、および特定された表面特性の少なくとも1つを、乗物の1以上の制御システムに送信するステップを含み得る。この方法はまた、応答信号、応答信号の測定強度、応答信号の測定位相、および特定された表面特性のうちの少なくとも1つに基づいて乗物を制御することを含み得る。表面特性の特定は、伝達関数と周波数応答の少なくとも一方に基づいてもよい。表面特性は、雪、氷、水、泥、泥水、砂、塩の少なくとも1つであり得る。
【0008】
[0008]様々な実装例において、表面特性の特定は、応答信号の測定された強度または位相を、複数の所定の表面特性に関連する信号応答の既知の強度または位相と相関させるステップを含み得る。表面特性の特定はまた、クリアな表面特性の既知の強度または位相と測定された応答信号の強度または位相の差、および降水状態の表面特性の既知の強度または位相と測定された応答信号の強度または位相の差の少なくとも一方を計算するステップを含み得る。表面特性の特定はさらに、応答信号の測定された強度または位相を、複数の事前定義された表面特性に関連付けられた信号応答の既知の強度または位相と相関させるステップと、クリアな表面特性の既知の強度または位相と応答信号の測定された強度または位相、および降水状態の表面特性の既知の強度または位相と応答信号の測定された強度または位相との差の少なくとも一方を計算するステップとを含み得る。
【0009】
[0009]様々な実装例において、応答信号の測定された強度は、電圧および電力のうちの少なくとも1つであり得る。SPRシステムは、乗物の下に配置された複数のSPRアンテナおよびチャネルを含み得る。各チャネルは、少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を含み得る。SPRシステムは、車両の位置特定用途にも使用することができる。表面特性の特定は、応答信号と、応答信号の測定された強度または位相、および別のセンサの出力のうちの1以上を使用するステップを含み得る。センサは、光学センサ、慣性航法システム(INS)、GPS、音響航法および測距(SONAR)システム、LIDARシステム、カメラ、慣性測定ユニット(IMU)、ホイールスリップセンサ/エンコーダ、および補助レーダーシステムのうちの1以上に関連付けられる。
【0010】
[00010]一実施形態では、表面特性を特定するためのシステムは、少なくとも1つのSPR送信素子と少なくとも1つのSPR受信素子とを含む少なくとも1つのSPRチャネルを含み得る。システムはさらに、少なくとも1つのSPR受信素子と通信するSPRプロセッサを含み得る。SPRプロセッサは、SPR受信素子からの応答信号の受信に応じて、SPR受信素子で受信された応答信号の強度および位相の少なくとも一方を測定することができる。応答信号は、少なくとも部分的に、表面に関連付けられた表面領域からの送信されたSPR信号の反射を含み得る。SPRプロセッサは、応答信号の強度または位相に少なくとも部分的に基づいて、表面の表面特性を特定することができる。
【0011】
[00011]様々な実装例において、SPRプロセッサは、応答信号、応答信号の測定強度、応答信号の測定位相、および特定された表面特性のうちの少なくとも1つを乗物の1以上の制御システムに送信するように構成され得る。
【0012】
[00012]一実施形態では、表面特性を特定するためのSPRシステムは、車両の下に配置可能なSPRアンテナアレイを含み得る。このSPRアンテナアレイは、複数のSPRチャネルを形成し得る。各SPRチャネルはSPRアンテナ対を含み、SPRアンテナ対の一方のSPRアンテナはSPR送信アンテナであり、SPRアンテナ対の他方のSPRアンテナはSPR受信アンテナである。このシステムはさらに、SPR受信アンテナと通信するSPRプロセッサを含み得る。このSPRプロセッサは、SPR受信アンテナで受信された応答信号の強度または位相を測定するように構成され得る。応答信号は、少なくとも部分的に、表面に関連付けられた表面領域からの送信されたSPR信号の反射を含み得る。SPRプロセッサはまた、応答信号の強度または位相に少なくとも部分的に基づいて、表面の1以上の表面特性を特定するように構成され得る。
【0013】
[00013]様々な実装例において、第1のSPRチャネルは、車両の前部運転席側タイヤの後ろに配置可能な第1のSPR送信アンテナと、車両の助手席側タイヤの方へ第1のSPR送信アンテナに実質的に平行に配置された第1のSPR受信アンテナとを含み得る。SPRアンテナアレイのSPRアンテナ対は、互いに実質的に平行に配置可能であり、SPRアンテナアレイは、車両の前部運転席側タイヤの後ろから車両の助手席側タイヤに向かって延びるように配置可能であり得る。SPRアンテナは、車両の前部運転席側タイヤの後ろから車両の後部運転席側タイヤに向かって、車両の長さに沿って縦方向に配置可能であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0010]本発明の上記およびさらなる利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、よりよく理解することができ、同様の数字は、様々な図の同様の構造要素および特徴を示している。明確のために、すべての要素がすべての図において符号付けされているわけではない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
図1】[0011]図1は、本開示による表面特性を特定する方法の実施形態のフローチャートである。
図2】[0012]図2は、本開示によるSPRシステムを装備した車両の側面図を示す。
図3】[0013]図3は、本開示による、SPRシステムを装備した車両の正面図を示す。
図4】[0014]図4は、本開示によるSPRシステムを装備した車両の底面図を示す。
図5】[0015]図5は、本開示による例示的なSPRシステムを示す。
図6】[0016]図6は、本開示による路面特性を示す例示的なプロットを示す。
図7】[0017]図7も、本開示による路面特性を示す例示的なプロットを示す。
図8】[0018]図8も、本開示による路面特性を示す例示的なプロットを示す。
図9】[0019]図9も、本開示による路面特性を示す例示的なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0020]以下で説明する様々な実施形態では、地面(ground)および表面(surface)に言及している。地面には、土壌、アスファルト層やコンクリート層、砂利、砂などの路面または舗道が含まれ、表面とは空気、配列物、流体、雪、雨、スラッジ、泥、または自由空間との界面であることが理解されよう。場合によっては、表面には、トンネル、坑道、および乗物が移動する他の通路を囲む面も含まれる。本書で使用される表面領域という用語は、表面上の状態または物質の層の深さを含む。例えば、表面領域には、道路上の雪の層の中、または地面および/または地面自体の一部の泥の層の中にあるものも含まれ得る。
【0016】
[0021]より一般的には、本明細書では、表面貫通レーダー(SPR)および地面貫通レーダー(GPR)に言及する。本書で用いられる場合、SPRは、表面下領域からデータを取得するように構成されたレーダーシステムを意味する。SPRは、壁面、天井、床面、またはトンネルや通路に沿った1以上の表面の背後にある表面下領域のデータを取得するように構成および方向付けすることができる。場合によっては、SPRは表面のデータも取得することができる。GPRシステムは、地下領域からデータを取得するように構成されたSPRシステムの一種であり、地表のデータも取得できることが認識されよう。本書で使用される表面下領域とは、地表の下の地下領域など、表面の裏の領域をいう。あるいは、表面下領域は、壁や天井構造の内部および/または背後の領域など、構造物の表面の背後の領域であり得る。
【0017】
[0022]簡単な概要では、本開示は、表面特性を特定するための方法およびシステムに関する。この方法は、SPRシステムから車両下の表面に向かって表面貫通レーダー(SPR)信号を送信するステップを含み得る。この方法はまた、SPRシステムで応答信号を受信するステップを含み得る。応答信号は、少なくとも部分的に、表面に関連付けられた表面領域からのSPR信号の反射を含み得る。この方法はさらに、応答信号の強度または位相を測定するステップを含み得る。この方法はさらに、応答信号の強度または位相に少なくとも部分的に基づいて、表面の表面特性を特定するステップを含み得る。実装例では、SPRシステムは車両の位置特定用途にも使用することができる。
【0018】
[0023]SPRやGPRを用いた乗物の位置特定方法およびシステムは、例えば、「表面貫通レーダーを用いた車両の位置特定方法およびシステム」という名称の米国特許出願第15/830,398号と、米国特許第8,949,024号の「表面貫通レーダーを使用した車両位置特定」に記載されており、その開示は両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、地下領域における変化を検出および位置特定する方法およびシステムが、例えば、「モバイルコヒーレント変化検出地面貫通レーダー」という名称の米国特許第8,786,485号に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。本書記載の方法およびシステムは、自律的な地上車両航行を容易にするという文脈で説明されるが、この方法およびシステムは他のタイプの航行に有用であり得る。自動車両航行の円滑化は、自動車や陸上を走行する他の形態の地上車両に限定されない。代わりに、本開示で説明される自律車両航行の促進のための技術および特徴は、水上、水中、地下、屋内、または飛行(および、例えば、系外探査)による航行に適用することができる。
【0019】
[0024]図1を参照すると、本開示にかかる表面特性の特定方法100のフローチャートが示されている。図2を参照すると、本開示によるSPRシステム202を装備した車両200の側面図が示されている。本開示で説明するSPRシステム202および他のSPRシステムは、地面貫通レーダー操作を実行するように設計され、収集された表面下画像化のためのデータ、表面の情報またはデータ、すなわち、表面下領域と大気または局所環境との界面のデータも、SPRシステムによって収集することができる。SPRシステムが受信する最も強い戻り信号は、通常、表面によって引き起こされる反射に基づく。
【0020】
[0025]車両200は自動車として示されているが、非限定的な例として、乗客または機器、センサおよび他の物体などの荷物を輸送するためのプラットフォームを含む、任意の移動式プラットフォームまたは構造であり得る。車両200は、方向転換(すなわち、操縦)能力、加速および減速する能力を有し得る。図中の車両200は、その制御可能な自由度が総自由度よりも小さいことから一般に非ホロノミックであると解されるが、全方向車輪を有する車両などのホロノミック車両も考えられる。他の実施形態では、車両200は、その高さ(または地面からの距離)、ピッチ、ヨー、およびロールのうちの1つまたは複数を変更することができてもよい。車両200は、SPRベースの航行システムを含み、自律モードで動作することができる。言い換えれば、車両200の乗客の操作は制限されるか、または不要で、航行のために車両200によって受信されるリモートコマンドが存在しない場合がある。一例として、操作の制限には、乗客による速度制御が含まれてもよいが、他の操作は自律的な制御下にあるものとする。
【0021】
[0026]一実施形態では、方法100は、SPRシステム202から車両200の下の面(例えば、表面206)に向かって地面貫通レーダー(SPR)信号(例えば、信号204)を送信するステップ102を含み得る。SPRシステム202は、車両202の下側に固定されたアンテナアレイを含み得る。SPRアンテナアレイは、レーダー信号を送信および受信するための空間的に不変の送信および受信アンテナ要素の線形構成を含み得る。信号204は、SPRアンテナアレイの送信アンテナ素子のうちの1つによって送信され得る。他の実施形態では、SPRアンテナアレイは、車両202の他の場所に配置され(例えば、車両の前部に固定され)てもよいし、送信および受信アンテナ素子は直線的に配置されなくてもよい。SPRアンテナアレイは、地面206に名目上または実質的に平行であってもよく、進行方向に平行または垂直に延在してもよい。SPR信号(例えば、信号204)は、送信アンテナ素子から車両202の下の路面206へ、および/またはそれを通って下向きに伝搬する。SPR信号は、表面206から上方に後方散乱され、受信アンテナ素子によって検出され得る。
【0022】
[0027]様々な実装例において、SPR信号は、水や他の表面特性に対する感度に基づいて選択され得る周波数または周波数範囲を有し得る。周波数応答を分析して、SPR信号に適した周波数を決定することができる。例えば、周波数の選択は、様々な表面特性(雪、氷、水、泥、泥水、砂、および/または塩)からの反射に関連するため、各周波数の応答に基づくことができる。特定の深度範囲または特徴種類、安定性、散乱レベル、および特徴サイズがデータで強調または非強調されるように、周波数を選択することができる。したがって、周波数の選択により、雪、氷、水、泥、泥水、砂、および/または塩などの表面特性を強調することができる。例えば、周波数が高いほど、水や雪からの減衰および/または反射が多くなり、表面貫通が少なくなる。周波数が高くなると、位相シフトがわずかに異なる場合がある。
【0023】
[0028]図5を参照すると、本開示による例示的なSPRシステムが示されている。SPRシステム500は、モバイルSPRシステムであり、SPRアンテナアレイ502を含み得る。例えば、SPRアンテナアレイ502は、車両の下側に固定されてもよい。SPRアンテナアレイ502は、レーダー信号を送信および受信するための1以上の送信および受信アンテナ素子を含み得る。さらに、SPRアンテナアレイ502は、SPRアンテナアレイ502を制御し得るSPRプロセッサ504と通信し得る。レーダートランシーバーが信号を送受信することができる。プロセッサは、汎用プロセッサ、GPUなどであり得る。例えば、SPRプロセッサ504は、SPRアンテナアレイ502またはその中の1以上の送信および受信アンテナ素子の送信動作を制御し得る。SPRプロセッサ504は、SPRアンテナアレイ502またはその中の1以上のアンテナ素子から戻りレーダー信号を受信し得る。図2のSPRシステム202は、SPRシステム500と同一、類似、またはその一実装例であり得る。
【0024】
[0029]この実装例では、SPRシステム500はまた、車両の位置特定動作を実行するための1以上の構成要素を含み得る。例えば、SPRシステム500は、上述の米国特許出願第15/830,398号により詳細に説明されているように、位置合わせモジュール(registration module)、変換モジュール、ユーザインターフェース、および/または参照画像ソースを含み得る。このようにして、SPRシステムは、乗物(例えば、車両200)の位置特定アプリケーションで使用することができる。SPRシステムは、他の用途や操作の中でも、トラクション制御、オートパイロット、および人間オペレータの警告にも使用することができる。
【0025】
[0030]図1に戻ると、方法100は、SPRシステム202で応答信号を受信するステップ104を含み得る。応答信号は、少なくとも部分的に、車両200の下の面206に関連付けられた表面領域からのSPR信号(例えば、信号204)の反射を含み得る。応答信号は、SPRシステム202のSPRアンテナアレイの受信アンテナ素子の1つによって受信されてもよい。送信アンテナと受信アンテナは、同じタイプの素子、異なるスタイルの素子、または異なる場所に配置されてもよい。アンテナの種類や位置が異なると、結果のデータに影響を与える可能性があるため、マップとの互換性を考慮する必要がある。
【0026】
[0031]図3、4を参照すると、車両200の正面図および底面図が示されている。SPRシステム202は、SPRアンテナアレイ208を含み得る。SPRアンテナアレイ208は、アンテナ素子a~lを含み得る。このSPRアンテナアレイ208は12個のアンテナ素子a~lを含むが、この構成は例示目的のみのために示され、SPRアンテナアレイ208は他の数のアンテナ素子または他の構成を含むことができる。アンテナ要素a~lは、11個のチャネル(例えば、チャネル1~11)を形成し得る。各チャネルには、送信素子と受信素子、または送受信対が含まれる。例えば、運転席側から助手席側まで車両を横切って配置されたSPRアンテナアレイ208にわたって12個の素子があり得る。一実装例では、送信素子と受信素子またはアンテナは、同じ場所に配置してもよく、同じ素子であってもよい。
【0027】
[0032]一実装例では、チャネル1は、車両200の運転者側の前タイヤ210またはその近くに配置され得る。チャネル11は、車両200の乗客側の前タイヤ212またはその近くに配置され得る。アンテナのセット(アンテナa、bなど)は、約2フィートの長さである。各アンテナは、車両200の前タイヤと後タイヤの間に配置されてもよい。チャネルの1つのアンテナ(アンテナaなど)で送信され、1つのアンテナ(アンテナbなど)で受信されてもよい。アンテナは棒状であってもよく、互いに5インチ離れていてもよい。例えば、アンテナaは、運転席側の前タイヤ210の隣にあり、アンテナbは、助手席側の前タイヤ212に5インチ近くてもよい。さらなるアンテナc~lが助手席側に向かって5インチ間隔で配置され、最後のアンテナ(l)は助手席側の前タイヤ212の近くにくる。このように、本明細書で説明されるSPRシステムは、車両の下に配置された複数のSPRアンテナおよびチャネルを含むことができ、各チャネルは少なくとも1つの送信素子と少なくとも1つの受信素子を含み得る。
【0028】
[0033]図1を参照すると、方法100はまた、応答信号の強度または位相を測定するステップ106を含み得る。応答信号の強度または位相は、SPRプロセッサ(SPRプロセッサ504など)および/または、電圧計や電流計などのSPRシステムに含まれる1以上の他の機器によって測定することができる。SPRプロセッサは、1またはそれ以上のSPRアンテナ素子から応答信号を受信し得る。応答信号の測定された強度または位相は、電圧および電力または電流の少なくとも1つであり得る。信号がアンテナで受信されると、強度と位相の情報を保存するように、信号は適応化、フィルタリング、および/またはサンプリングされる。
【0029】
[0034]方法100はさらに、応答信号の強度または位相に少なくとも部分的に基づいて、乗物(例えば車両200)の下の面(例えば表面206)の表面特性を特定するステップ108を含み得る。表面特性は、雪、氷、水、泥、泥水、砂、砂利、土、岩、破片、塩などの1以上であり得る。
【0030】
[0035]一実施例において、表面特性の特定は、伝達関数または周波数応答に基づいてもよい(114)。伝達関数は、2以上の周波数に対する応答の大きさ(強度)と位相を記録することで作成することができる。この応答は、表面領域の応答から分離して、既知の以前の経路(クリーンまたはそれ以外)、または特定の材料種類の応答と比較することができる。土壌の水分含有量が増加すると、地下応答のピーク周波数がシフトすることが示されている。
【0031】
[0036]表面特性の特定は、応答信号の測定された強度または位相を、複数の事前定義された表面特性(例えば、雪、氷、水、泥、泥水、砂、および塩)に関連する既知の強度または信号応答の位相と相関させるステップ116を含み得る。例えば、雪に関連する信号応答の既知の強度の範囲を、信号204に関連する応答信号の測定された強度または位相と相関させて、所与の時間の表面206の表面特性が雪であることを特定することができる。一実装例では、この相関動作116は、例えば雪または氷についての応答信号特性または範囲が既知であり、現在の応答信号が表面特性を特定するための事前情報と相関している場合、利用することができる。このようにして、表面特性をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで特定することができ、これは車両のアクティブな駆動制御またはリアルタイム制御に役立ち得る。
【0032】
[0037]代替的または追加的に、表面特性の特定は、クリアな表面特性(例えば、道路上に降水または流体がない)の既知の強度または位相と、応答信号の測定された強度または位相との差を計算するステップ118を含み得る。クリアな表面特性の既知の強度は、ベースラインの数値または範囲とすることができる。既知の(または測定された)路面反射が与えられた場合、路面およびその周辺領域への応答を分離することにより、しきい値を設定して、反射が予想よりも高く路面状態の変化(例えば、雪)を示すことができる。雨の日に設定されたデータを使用して比較を行う場合は、逆の操作を実行することもできることに留意すべきである(例えば、乾燥、雨、雪など)。例えば、降水状態の表面特性(例えば、雨、氷、または雪の日)からのデータをベースラインとして用いて、乾燥または濡れた路面特性または状態を特定するための計算および相関を行うことができる。したがって、表面特性の特定は、代替的または追加的に、降水状態の表面特性の既知の強度または位相と応答信号の測定された強度または位相との差を計算するステップ118を含み得る。様々な実装例において、表面特性の特定は、上述の相関ステップ116と計算ステップ118の両方を含むことができ、これにより、状態の表面特性のより正確な特定が可能になる。
【0033】
[0038]一実装例では、一連のスイープを用いて、表面特性を特定するためのより正確なデータを取得することができる。1のスイープは、SPRアンテナアレイ全体の1セットの応答であり得る。さまざまな環境要因によりSPRシステムの感度が高くなったり低くなったりする場合があり、そのような場合の表面特性や状態を正確に特定するには複数回のスイープが必要になる場合がある。一実装例では、1のスイープは1/126秒で実行することができる。8~10秒の複数回スイープにより、表面の特性や状態を特定するのに十分な応答を得ることができる。
【0034】
[0039]様々な実装例において、表面特性の特定は、応答信号自体、応答信号の測定された強度または位相、および/または別のセンサの出力、のうちの1以上を使用するステップ112を含み得る。別のセンサが、表面特性を特定するために使用できる情報またはデータを提供し、慣性航法システム(INS)、GPS、音響航法および測距(SONAR)システム、LIDARシステム、カメラ、慣性測定ユニット(IMU)、車輪スリップセンサ/エンコーダ、および補助レーダーシステムに関連する光学センサまたは1つ以上の他のセンサを含むことができる。これらの他のセンサからのデータは補完的であるため、結果をSPRシステムの結果と融合させると、より正確で堅牢な特定の表面状態の識別に利用することができる。
【0035】
[0040]ここで図6を参照すると、本書で説明する技術と特徴を用いて特定した路面特性と状態を示すプロット例が示されている。上下のプロットは、2つの異なる路面状態のケースを示す。プロット602は、雪のない乾いた路面または舗装を示す。プロット602の上から下に、SPRアンテナアレイのチャネル1~11からの応答が示されている(すなわち、左側に2、4、6、8、10の間隔でマークされている)。信号強度の測定値が取得され、車両全体で左から右に表示されている。下軸(すなわち、2000~16000ポイントとマークされている)は時間を表し、これは車両が移動した距離に変換される。プロット602は、道路の最上層(すなわち、表面)からの応答強度を示す。信号強度の測定値は、実際に測定される電圧に変換することができる。プロット602の明暗は、路面の最上部からの反射強度がの大きさを示す。表示された測定値は、道路の最上部から出る信号応答の強度(電圧または電力など)を表す。プロットは、SPRアンテナアレイを搭載した車両が、一定の時間、一定の距離にわたって運転された場合に、反射信号強度がどのように見えるかを示している。
【0036】
[0041]表面の信号反射データは、1秒間に126回記録される。各ポイントは、11チャンネルすべてにわたる1回のスイープまたは1セットの測定値を表す。したがって、約16000ポイントが示されている。126で割ると、各プロットの大まかな期間を計算することができる。状況によっては、SPRアンテナアレイからのデータ収集が制限される。例えば、車両の十分な動きがない場合、データが記録されず、サンプルは1/126秒よりも長い期間になり得る。例えば、車両が静止している場合、データは記録されなくてもよい。
【0037】
[0042]プロット602、604の右側には、0、2、4、6の×10のスケールが示されている。これは、電力に比例する強度の尺度である。スケール内の色を、例えばプロット602内の色に合わせると、1×10のオーダーの低い場合の応答信号強度を見ることができる。これは、プロット602がクリアな路面状態のデータを表しているためである。プロット604は雪道の路面状態からのデータを表しており、応答信号強度が6×10近くで比較的高く、2×10や4×10近くにいくつかの測定値があることがわかる。プロット602では、12000の時点の範囲で、路面で反射異常値が検出されたことがわかる。これは、水または金属の道路構造がある地域であった可能性がある。
【0038】
[0043]このようにして、表面特性データを測定し、車両制御システムに渡して自動車両制御に使用することができる。雨、雪などを認識するための様々なしきい値を使用して、提供された表面状態データを処理することができる。状況によっては、車両制御システムは生のSPRアンテナデータを受信してもよい。表面特性の特定に使用されるこの基礎となるデータは、位置特定用途に用いられるデータと同じか類似であり得る。
【0039】
[0044]図7は、データが地面を貫通するときの側部断面を示す。深度軸の上部は、道路の表面である。濡れた路面が上のプロットに示され、乾いた路面が下のプロットに示されている。応答強度の増加が、色または暗さの変化によって示されている。
【0040】
[0045]図8は、11チャネルにわたるアレイのデータと深度対幅の前部断面を示す。雪や濡れた路面の反射が、上のプロットの上部に示されている。クリアな状況が下のプロットに示されている。
【0041】
[0046]図9は、雪や降水がある路面(上)とない路面(下)を示す。
【0042】
[0047]一実装例では、方法100は、応答信号、応答信号の測定された強度または位相、および特定された表面特性(例えば、雪、氷、水、泥、泥水、砂、および塩)を乗物(例えば車両200)の1以上の制御システム(例えば車両制御システム506)に送信するステップ110を含み得る。車両制御システムはSPRプロセッサ(例えば、SPRプロセッサ504)と通信しているので、応答信号、応答信号の測定された強度または位相、および/または特定された表面特性は、有線接続を介して、または無線で車両制御システムに送信することができる。方法100はまた、応答信号、応答信号の測定された強度または位相、および特定された表面特性に基づいて、車両(例えば、車両200)を制御するステップ112を含み得る。車両の制御は、例えば、車両制御システム506または車両200と統合された1以上の他の制御システムまたはアルゴリズムによって実行することができる。
【0043】
[0048]車両制御システムは、他のシステムや変形例の中でも特に、自律車両制御装置または状態を警告されている人間または牽引制御システムであり得ることに留意されたい。自律走行車両制御装置または人間は、例えば、状況の警告を受け取った場合に滑りやすい状況でトラクションを失わないように、より慎重に運転することができる(例えば、広くまたはゆっくりと回転するなど)。
【0044】
[0049]車両の制御には、車両の速度、加速度、向き、角速度および/または角加速度の制御が含まれ、車両は、1以上の車両航行コマンドを介して継続的に制御され、車両をトリップ経路に沿った所望の位置に維持するか、または本開示に記載の技術および特徴を使用して特定された表面特性または表面状態に部分的に基づいて、車両または車両内の乗客の安全性を維持することができる。車両の制御はまた、トラクション制御システムに情報を提供したり、トラクション制御システムを支援したりすることも含まれる。車両の制御には、個々のホイールトルクまたはトラクション制御を含んでもよく、人間のドライバーに警告を発し、その結果として動作してもよい(例えば、回転速度の変更など)。いくつかの実装例では、車両の位置データは、車両を誘導または制御するために、SPRシステムおよび/または1以上の他のセンサまたはナビゲーションシステムによって提供される表面特性データと組み合わせて使用してもよい。そのようなセンサやナビゲーションシステムには、例として、慣性航法システム(INS)、GPS、音響航法および測距(SONAR)システム、LIDARシステム、カメラ、慣性測定ユニット(IMU)および補助レーダーシステムが含まれる。
【0045】
[0050]一実装例において、自律車両航行システムによって生成されるコマンドは、本書記載の表面特性または状態データを使用して車両経路の変更に影響を与え、車両軌道とトリップ経路との差を低減または最小化し得る。例えば、車両の速度をトリップ経路の区画に沿って変更して、安全な動作を維持し、速度制限(例えば、路面状態に影響される可能性がある)に対応し、トリップ経路を通り抜けるための所望の完了時間を達成することができる。
【0046】
[0051]一実装例では、ステアリング、方向、速度、ポーズ、加速/減速を、本書で説明する表面特性または状態データに基づいて、車両またはその乗客の安全を維持するように制御することができる。例えば、車両制御システムは、ステアリングおよび速度制御を達成するために、車両内の電気的、機械的、および空気圧的装置を含むか、それらと協働してもよい。様々なタイプの推進および制御機構を有する他の実施形態では、車両制御システムはまた、1以上の油圧、タービン、プロペラ、制御面、形状変化、および化学システムまたは装置を含むか、それらと協働し得る。
【0047】
[0052]このようにして、本開示に記載される技術および特徴を使用して、様々な表面状態(例えば、雪、氷、水、泥、泥水、砂、および塩)に対して調整されたリアルタイムまたはほぼリアルタイムの制御を達成することができる。路面状況が悪い状況下で、車両または車両の乗客の安全性を最大化するために、自律車両航行または制御システムまたはマニュアル運転システム(例えば、本書記載の表面特性の特定方法およびシステムで支援された)のリアルタイムまたはほぼリアルタイムの制御を実現することができる。
【0048】
[0053]一実装例において、本書記載の表面特性を特定する方法およびシステムは、複数の車両から表面情報を収集し、同じ表面に向かって移動する後続の車両を制御するためにその事前情報を使用するように用いられてもよい。この特徴は、車両間通信、車両と設備間の通信、または表面状態情報を中央の表面状態または自律車両制御ネットワークに送信し、制御したい車両に戻すことによって実現することができる。
【0049】
[0054]一実装例では、位置特定用途の場合、地表ベースのレーダー信号応答を使用して、再舗装が生じたマップのバージョン間の違いを判断することができる。例えば、道路が舗装されたり再舗装されたりした場合、以前の地面が除去されて、新しいアスファルトが適用される。古いアスファルトと新しいアスファルトには密度などの違いがあり、レーダー信号の反射が異なる場合がある。地表ベースのレーダー信号応答を他のセンサデータ(例えば、光学センサから)と組み合わせて、より堅牢なデータセットを取得してもよい。他のセンサは路面状態の異なる特性を測定し得るため、様々なセンサからのデータを組み合わせることにより、路面特性を特定する正確で堅牢な方法を実現することができる。
【0050】
[0055]特定の実施形態を参照して本発明を示し説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく形態および詳細の様々な変更を行うことができることを当業者は理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面特性を特定するための方法であって、
表面貫通レーダー(SPR)信号をSPRシステムから表面に向けて送信するステップと、
前記SPRシステムで、少なくとも部分的に、前記表面に関連する表面領域からのSPR信号の反射を含む応答信号を受信するステップと、
前記応答信号の強度と位相の少なくとも一方を測定するステップと、
前記応答信号の強度および位相の少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて、前記表面の表面特性を特定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【外国語明細書】