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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120907
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】植込み式シャントシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20240829BHJP
【FI】
A61F2/04
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091413
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2022533472の分割
【原出願日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】62/944,193
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/952,894
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/952,903
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン フェイヒー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アンドリオラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェイソン フォックス
(57)【要約】
【課題】好適な植込み式シャントシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本技術は、心房間シャントシステム及び方法に関する。いくつかの実施形態では、本技術は、シャント要素が患者に植込まれるときに左心房と右心房を流体結合するように構成された、貫通して伸びる管腔を有するシャント要素を含む心房間シャントシステムを含む。システムはまた、体の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るためのエネルギー受取構成要素、受取ったエネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵構成要素、及び/または管腔の形状を調整するための流れ制御機構を含むことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、以下の係属中の出願の利益を主張する。
【0002】
(a)2019年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/944,193号、
【0003】
(b)2019年12月23日に出願された米国仮特許出願第62/952,894号、
【0004】
(c)2019年12月23日に出願された米国仮特許出願第62/952,903号。
【0005】
前述の出願のすべては、それらの全体が本明細書に参照により援用されている。さらに、参照により援用されている、本願に開示される実施形態の構成要素及び特徴は、本願に開示され、特許請求される様々な構成要素及び特徴と組み合わされ得る。
【0006】
本技術は、概して、植込み可能な医療機器に関し、特に、心臓の右心房と左心房との間の血流を選択的に制御するための植込み可能な心房間システム及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0007】
心不全は、心臓が血液を身体に効率的にポンピングすることができずにいることに関連する病状である。心不全は、世界中で数百万人が発症しており、複数の根本的な原因から生じることがあるが、一般に心筋スティフネス、心筋形状再構築、及び/または心血管系異常のダイナミクスに関連付けられる。慢性心不全は、進行性の疾患であり、経時的にかなり悪化する。最初に、身体の自律神経系は、交感神経と副交感神経のバランスを変えることによって心不全に適応する。これらの適応は、短期的には有用であるが、長期的には疾患を悪化させるように機能することがある。
【0008】
心不全(HF)は、駆出率が低下した心不全(HFrEF)と、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)との両方を含む医学用語である。HFpEF及びHFrEFの両方の予後は不良であり、ある疫学研究によれば、1年死亡率はそれぞれ26%及び22%である。HFpEFの有病率が高いにもかかわらず、HFpEF患者の選択肢は限られている。薬理学的療法はHFrEF患者の死亡率に影響することが示されているが、HFpEF患者を治療するための同様に有効なエビデンスに基づいた薬物療法はない。現在の慣行は、患者の健康が悪化している中で、患者を管理してサポートすることである。
【0009】
心不全患者によく見られる症状は、左心房圧の上昇である。過去に、臨床医は、ブレードまたはバルーン中隔裂開術を使用して左心房と右心房との間にシャントを作製することにより、左心房圧が上昇した患者を治療してきた。シャントは、右心房(RA)と体静脈への圧力を開放することにより、左心房(LA)を減圧する。ただし、時間の経過と共に、シャントは、通常、閉じるかサイズが小さくなる。さらに最近では、左心房圧を効果的に低下させることが示されている経皮的心房間シャントデバイスが開発された。しかしながら、これらの経皮的デバイスは、直径が固定された環状通路を含むことが多く、これは、患者の変化する生理機能及び状態を考慮することができない。このため、既存の経皮的シャントデバイスは、一定期間後に臨床効果が低下する可能性がある。そのうえ、多くの既存の経皮的シャントデバイスは、通常、単一のサイズでのみ利用可能であり、ある患者にはうまく機能するが、別の患者にはうまく機能しないことがある。また、最初の手技中に作製されたシャントの量は、数ヶ月後に最適ではないと後に判定される場合もある。したがって、心不全患者、特に左心房圧が上昇している患者を治療するために改良されたデバイス、システム、及び方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術は、一般に、植込み式シャントシステム及び関連する方法を対象とする。本明細書に記載の植込み式シャントシステムは、第1の身体領域と第2の身体領域との間で血液などの体液をシャントするために使用することができる。植込み式シャントシステムは、とりわけ、第1の身体領域及び第2の身体領域を流体接続するための管腔を画定するシャント要素、管腔の形状を調整するための作動機構、エネルギー受取構成要素、エネルギー貯蔵構成要素、及び/または1つ以上のセンサを含むことができる。
【0011】
例えば、いくつかの実施形態では、本技術は心房間シャントシステムを提供する。それらのようなシステムは、中隔壁で、またはそれに隣接して患者に植込み可能なシャント要素を含む。シャント要素は、患者のLA及びRAを流体連結し、それらの間の血流を促進することができる。例えば、シャント要素は、LAに配置可能な第1のオリフィスとRAに配置可能な第2のオリフィスとの間に、貫通して伸びる管腔を有することができる。システムは、(i)管腔、第1のオリフィス、及び/または第2のオリフィスの形状を選択的に調整するように構成された作動機構、(ii)患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成された植込み式エネルギー受取構成要素、及び(iii)植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素をさらに含むことができる。植込み式エネルギー貯蔵構成要素は、蓄積されたエネルギーを選択的に放出して、作動機構及び/または1つまたは複数のセンサなどのシステムの1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給することができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、
前記左心房に配置可能な第1のオリフィスと前記右心房に配置可能な第2のオリフィスとの間を貫通して伸びる管腔を有するシャント要素であって、前記管腔は、前記シャント要素が前記患者に植込まれるときに、前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、シャント要素、
エネルギーを受取るように構成された植込み式エネルギー受取構成要素、及び
前記エネルギー受取構成要素と電気的に通信するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素、を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素内に貯蔵された前記エネルギーを使用して、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの形状を選択的に調整することができる、システム。
(項目2)
前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するように構成された作動機構をさらに備え、
前記エネルギー受取構成要素は、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成され、
前記エネルギー貯蔵構成要素は、(a)前記エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵し、(b)前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記作動機構に電力を供給するようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記作動機構が1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを放出して前記1つまたは複数の形状記憶要素を加熱するように構成される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記エネルギー受取構成要素が、(i)前記患者の外部に配置された前記エネルギー源からエネルギーを受取り、及び/または(ii)前記患者の外部に配置された前記エネルギー源によって生成される磁場または電場に曝されたときにエネルギーを生成するように構成された金属ワイヤである、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記エネルギー受取構成要素が、前記エネルギー貯蔵構成要素から放出されたエネルギーを受取るように構成され、
前記エネルギー受取構成要素で受取られた前記エネルギーが、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調節するために使用される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記エネルギー受取構成要素が、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するように構成された形状記憶作動要素を含む、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記エネルギー受取構成要素で受取られた前記エネルギーが、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するために前記形状記憶作動要素を加熱する、項目6に記載のシステム。
(項目8)
患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、
前記左心房に配置可能な第1のオリフィスと前記右心房に配置可能な第2のオリフィスとの間を貫通して伸びる管腔を有するシャント要素であって、前記管腔は、前記シャント要素が前記患者に植込まれるときに、前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、シャント要素、
前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの形状を選択的に調整するように構成された作動機構、
エネルギー源からエネルギーを受取るように構成された植込み式エネルギー受取構成要素、及び
前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素であって、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記作動機構及び/または前記システムの1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するようにさらに構成される、植込み式エネルギー貯蔵構成要素、
を含む、システム。
(項目9)
植込まれると、前記エネルギー受取構成要素及び前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記患者の中隔壁の反対側に存在するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記エネルギー貯蔵構成要素の内皮化を促進するように構成された1つまたは複数の組織内部成長特徴を含む、項目8に記載のシステム。
(項目11)
前記1つまたは複数の組織内部成長特徴が、外部コーティング、格子構造、粗面化された表面、及び/またはメッシュ構造を含む、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記エネルギー貯蔵構成要素が、電池またはコンデンサを含む、項目8に記載のシステム。
(項目13)
前記エネルギー貯蔵構成要素は、第1のエネルギー貯蔵構成要素であり、前記システムは、第2のエネルギー貯蔵構成要素をさらに含む、項目8に記載のシステム。
(項目14)
前記第1のエネルギー貯蔵構成要素が電池を含み、前記第2のエネルギー貯蔵構成要素がスーパーキャパシタを含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記エネルギー受取構成要素が、(i)前記エネルギー源からエネルギーを受取り、及び/または(ii)前記エネルギー源によって生成された磁場または電場に曝されたときにエネルギーを生成するように構成された金属ワイヤを含む、項目8に記載のシステム。
(項目16)
前記エネルギー受取構成要素が、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目17)
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記作動機構を作動させるように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目18)
前記作動機構が1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを放出して前記1つまたは複数の形状記憶要素を加熱するように構成される、項目17のいずれかに記載のシステム。
(項目19)
前記形状記憶要素が転移温度を有し、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記1つまたは複数の形状記憶要素を、前記転移温度を超える温度に加熱するのに十分なエネルギーを放出するように構成される、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記シャント要素が外径を有し、前記管腔が管腔直径を有し、
前記作動機構が、前記外径を実質的に変更することなく前記管腔直径を選択的に調整するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目21)
前記作動機構がモータを含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記モータに電力を供給するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目22)
前記1つまたは複数の能動構成要素は、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータを測定するように構成された1つまたは複数のセンサを含み、
前記エネルギー貯蔵要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記1つまたは複数のセンサに電力を供給するように構成される、項目8に記載のシステム。
(項目23)
前記1つまたは複数のセンサは、前記左心房の第1の生理学的パラメータを測定するために前記患者の体内に植込まれ得る第1のセンサと、前記右心房の第2の生理学的パラメータを測定するために前記患者に植込まれ得る第2のセンサとを含む、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記中隔壁を横断するように構成された植込み式ハウジングをさらに備え、前記ハウジングが、
前記左心房内に延びるように構成される第1の端部であって、前記第1のセンサを収容する、第1の端部、及び
前記右心房内に延びるように構成される第2の端部であって、前記第2のセンサを収容する、第2の端部、
を備える、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記第1の生理学的パラメータは左心房圧であり、前記第2の生理学的パラメータは右心房圧である、項目23に記載のシステム。
(項目26)
前記測定された第1の生理学的パラメータ及び前記測定された第2の生理学的パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を計算するように構成されたプロセッサをさらに備える、項目25に記載のシステム。
(項目27)
前記第1及び/または第2の生理学的パラメータ及び/または前記左心房と前記右心房との間の前記圧力差に少なくとも部分的に基づいて、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するために前記作動機構を方向付けるように構成されたコントローラをさらに備える、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記コントローラは、前記圧力差が所定の閾値上限を超える、及び/または所定の閾値下限を下回る場合に、前記作動機構を調整するように構成される、項目27に記載のシステム。
(項目29)
前記コントローラは、前記圧力差の変化率が所定の閾値を超えた場合に前記作動機構を調整するように構成される、項目27に記載のシステム。
(項目30)
前記シャント要素、前記作動機構、前記エネルギー受取構成要素、または前記エネルギー貯蔵構成要素のうちの少なくとも1つに無線で接続されるコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、前記作動機構の作動を開始させるユーザインターフェースを提供する、項目8に記載のシステム。
(項目31)
植込み式ハウジングであって、前記ハウジングの外部の環境から流体を隔離するように構成されたチャンバを含み、前記チャンバは、前記システムの1つまたは複数の構成要素を含む、植込み式ハウジングをさらに備える、項目8に記載のシステム。
(項目32)
前記ハウジングが、前記左心房内に配置されるように構成された第1の端部と、前記右心房内に配置されるように構成された第2の端部とを有する、項目31に記載のシステム。
(項目33)
前記シャント要素に結合された膜をさらに含み、
前記シャント要素が前記患者に植込まれるとき、前記膜は前記中隔壁を備えたチャンバを画定し、
前記チャンバは前記左心房と前記右心房とから流体的に隔離され、
前記エネルギー受取構成要素、前記エネルギー貯蔵構成要素、前記作動機構、及び/または前記ハウジングは、前記チャンバ内に配置されている、項目8に記載のシステム。
(項目34)
患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、
前記患者の中隔壁を横切って植込まれ得るシャント要素であって、前記患者に植込まれたときに前記患者の前記左心房と前記右心房とを流体的に接続するように構成される、シャント要素、
前記中隔壁の第1の側に配置されるように構成された植込み式エネルギー受取構成要素であって、エネルギーを受取るようにさらに構成された、エネルギー受取構成要素、及び
前記第1の側とは反対側の前記中隔壁の第2の側に配置されるように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素であって、(i)前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵し、及び/または(ii)前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記システムの1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するようにさらに構成される、エネルギー貯蔵構成要素、
を備える、システム。
(項目35)
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成される、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記エネルギー貯蔵構成要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記システムの前記1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するように構成される、項目34に記載のシステム。
(項目37)
前記エネルギー貯蔵構成要素は、(i)前記植込まれたエネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵し、(ii)前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記システムの前記1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するように構成される、項目34に記載のシステム。
(項目38)
前記中隔壁の前記第1の側が前記左心房側であり、前記中隔壁の前記第2の側が前記右心房側である、項目34に記載のシステム。
(項目39)
前記中隔壁の前記第1の側が前記右心房側であり、前記中隔壁の前記第2の側が前記左心房側である、項目34に記載のシステム。
(項目40)
前記システムの前記1つまたは複数の能動構成要素が、前記患者の生理学的パラメータを測定するように構成された1つまたは複数のセンサを含む、項目34に記載のシステム。
(項目41)
前記1つまたは複数のセンサが、血圧、流速、pH、SpO2、SpC、SpMet、心拍数、心拍出量、及び/または心筋ストレインを測定するように構成される、項目40に記載のシステム。
(項目42)
前記1つまたは複数の能動構成要素が、前記シャント要素の形状を選択的に調整するように構成された作動機構を含む、項目34に記載のシステム。
(項目43)
前記1つまたは複数の能動構成要素は、前記エネルギー受取構成要素を含み、
前記エネルギー受取構成要素は、前記エネルギー貯蔵構成要素からエネルギーを受取るように構成される、項目34に記載のシステム。
(項目44)
前記エネルギー受取構成要素が、前記シャント要素の形状を選択的に調整するように構成された作動要素を含む、項目43に記載のシステム。
(項目45)
前記エネルギー受取構成要素が、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、項目34に記載のシステム。
(項目46)
左心房と右心房を流体的に接続する管腔を有する調整可能な心房間シャントシステムを使用して、患者の前記左心房と前記右心房との間の血流を選択的に制御する方法であって、
植込まれたエネルギー受取構成要素を介して、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取ること、
前記植込まれたエネルギー受取構成要素で受取られた前記エネルギーを、植込まれたエネルギー貯蔵構成要素に転送することであって、前記エネルギー貯蔵構成要素は、前記エネルギーを貯蔵する、こと、
前記植込まれたエネルギー貯蔵構成要素からの前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記管腔の形状を調整し、前記管腔を通る流れを選択的に変更すること、
を備える、方法。
(項目47)
前記エネルギーを受取ることは、高周波エネルギー及び/または磁気エネルギーを受取ることを含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
1つまたは複数のセンサを介して、1つまたは複数の生理学的パラメータを測定することをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目49)
少なくとも部分的に前記1つまたは複数の測定された生理学的パラメータに基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を判定することをさらに含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記管腔の前記直径を調整することは、少なくとも部分的に、所定の範囲以外にある前記判定された圧力差に基づく、項目49に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】心臓に植込まれ、本技術の選択された実施形態に従って構成される心房間デバイスの概略図である。
図2】本技術の選択された実施形態に従って構成される、心房間シャントシステムの概略図を示す。
図3】本技術の選択された実施形態に従って構成される、心房間シャントシステムの部分的な切欠等角図である。
図4】A~Cは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、心房間シャントシステムを示す。
図5】A及びBは、本技術の選択された実施形態に従って構成された心房間シャントシステムを示す。
図6】本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能な心房間シャントデバイスを示す。
図7A図6に示され、本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能な心房間シャントデバイスの断面図である。
図7B図6に示され、本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能な心房間シャントデバイスの断面図である。
図7C図6に示され、本技術の選択された実施形態に従って構成される、調整可能な心房間シャントデバイスの断面図である。
図8】A~Cは、本技術の選択された実施形態に従って構成された経中隔構成要素の様々な態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に提示される説明で使用される用語は、本技術のある特定の具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されるが、最も広く合理的なように解釈されることを意図している。以下では、ある特定の用語を強調することもある。ただし、限定的に解釈されることを意図した任意の用語は、この「発明を実施するための形態」のセクションでは、そのように明示的かつ具体的に定義される。さらに、本技術は、例の範囲内であるが、図1図8Cに関して詳細に説明されていない他の実施形態を含むことができる。
【0014】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な所に登場する「一実施形態では」または「実施形態では」という表現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0015】
本明細書全体を通して、例えば、「実質的に」「約」及び「おおよそ」などの相対的な用語の言及は、本明細書では、記載された値のプラスまたはマイナス10%を意味するものとして使用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、様々な実施形態では、「心房間デバイス」、「心房間シャントデバイス」、「IAD」、「IASD」、「心房間シャント」、及び「シャント」という用語は、互換的に用いられ、少なくとも1つの構成では、患者の第1領域(例えば、心臓のLA)と第2領域(例えば、心臓のRAまたは冠状静脈洞)との間の血流を供給するシャント要素を指す。心房、すなわち、LAとRAとの間のシャントの観点から説明されているが、本技術が他の医療機器にも同様に適用されることができることが理解されよう。例えば、シャントは、心臓の他の心腔及び流路、または心臓血管系の他の部位の間に位置決めされてもよい。例えば、「心房間」と称されるものを含む、本明細書に記載されているシャントのいずれかは、それにもかかわらず、LAと冠状静脈洞との間、または右肺静脈と上大静脈との間で短絡するために使用される、及び/または変更され得る。さらに、本明細書での本開示が主にLAからRAへの血液の短絡を説明しているが、本技術は、肺高血圧症など、ある特定の状態を治療するためにRAからLAへの血液を短絡するのに容易に適応することができる。例えば、ある特定の患者には、LAからRAへの血液を短絡するために使用される実施形態の鏡像、または場合によっては同一の実施形態を使用して、RAからLAへの血液を短絡することができる。別の例では、シャントを使用して、臓器と臓器との間、臓器と血管との間などの流れを促進することができる。シャントは、血液以外の流体にも使用されてよい。本明細書に記載の本技術を使用して、眼科用シャントが胃腸疾患を治療する水溶液または流体を流してもよい。本明細書に記載の本技術を使用して、生理食塩水、薬物、または薬剤などの他の流体の送達を制御してもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「心房間シャント(shunt)システム」、「心房間シャント(shunting)システム」、「シャントシステム」などの用語は、とりわけ、心房間シャント(例えば、シャント要素)を含む植込み式システムを指すために交換可能に使用される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「形状(geometry)」という用語は、要素のサイズ及び/または形状を含むことができる。したがって、本開示が形状における変化を説明するとき、それは、要素のサイズにおける変化(例えば、小さな円から大きな円への移動)、要素の形状における変化(例えば、円から楕円への移動)、及び/または要素の形状及びサイズにおける変化(例えば、小さな円から大きな楕円への移動)を指すことができる。様々な実施形態では、「形状(geometry)」は、それぞれのシステムでの要素の相対的な配置及び/または位置を指す。
【0019】
本明細書で提供される表題は、便宜のためだけのものであり、本願により特許請求される本技術の範囲または意味を解釈するものではない。
【0020】
A. 心不全の治療のための心房間シャント
心不全は、患者が経験する駆出率に基づいて、(1)病歴的に拡張期心不全と称されるHFpEF、または(2)病歴的に収縮期心不全と称されるHFrEF、という少なくとも2つのカテゴリのうちの1つにクラス分類され得る。HFrEFの1つの定義は、左心室駆出率が35%~40%よりも低いことである。心不全のクラス分類ごとの根底にある病態生理と治療計画とは、関連があるにもかかわらず、かなり異なる場合がある。例えば、HFrEFの症状を治療し、時には疾患の進行を遅らせる、または元に戻すのに有用であることができる確立された薬物療法があるが、HFpEFに利用できる薬物療法は限られており、有効性は疑わしいだけである。
【0021】
心不全患者では、左心室(LV)での機能異常は、LAでの圧力上昇につながる。これは、LAに与えられる、肺静脈系での圧力が高くなることに直接つながる。肺静脈圧が上昇すると、流体が毛細血管から押し出され、肺に押し込まれる。この流体の蓄積は、肺のうっ血、及び軽い身体活動でも息切れと労作の兆候を含む心不全の症状の多くを引き起こす。HFのリスク因子は、腎障害、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満症、老齢、及び閉塞性睡眠時無呼吸を含む。HF患者は、LVの硬化が進んでいる可能性があることが原因で、拡張期の左心室の弛緩が減少した結果、圧力が上昇し、心室の充満が不十分になる。また、HF患者は、心房細動及び肺高血圧症のリスクが高い可能性があり、通常、治療の選択肢を複雑にする可能性のある他の併存疾患を有する。
【0022】
心房間シャントは、上昇した左心房圧を低下させる方法として最近提案されており、この新たなクラスの心血管の治療的介入は、意義深い臨床的な有望性を備えていることが実証されている。例えば、図1は、LAとRAとの間の中隔壁内での従来のシャント配置を示す。ほとんどの従来型心房間シャント(例えば、シャント10)は、穴部を作製することによって、または管腔を備えたインプラントを心房中隔壁内に挿入することによって、LAとRAとの間に流体連通路を作製することを伴う。そのため、左心房圧の上昇は、LAをRAに除荷することで部分的に緩和されることがある。早期の臨床試験では、このアプローチは心不全の症状を改善することが示されている。
【0023】
多くの従来型心房間シャントに関する課題の1つは、シャント管腔の最も適切なサイズ及び形状を決定することである。管腔が小さすぎると、LAが適切に除荷されず、症状が緩和されない場合がある。管腔が大きすぎると、RAと右心が概ね過負荷になり、患者に新たな問題が発生する可能性がある。さらに、一部にはHFpEF(及び程度は低いがHFrEF)の病態生理が完全に理解されていないため、圧力低下と臨床転帰との間の関連性、及び最適化された転帰に必要な圧力低下の程度は、まだ完全には理解されていない。そのため、臨床医は適切なサイズのシャントを選択する(限られた臨床エビデンスに基づいて)際に最善の推測をすることを余儀なくされ、通常、時間の経過と共にサイズを調整することはできない。さらに悪いことに、臨床医は、個々の患者の健康及び予測された反応ではなく、一般因子(例えば、患者の解剖学的構造のサイズ、一度に一枚のスナップショットで撮られた患者の血行動態測定値など)に基づいてシャントのサイズ及び/または利用可能なデバイスの設計を選択する必要がある。従来のデバイスについては、臨床医は、デバイスが植込まれると、例えば疾患の進行などの患者の状態の変化に応じて、治療を調整するまたは量を決定することができない。対照的に、本技術の実施形態に従って構成される心房間シャントシステムにより、臨床医は、患者に基づいて、周術期または植込み後、サイズを選択することができる。
【0024】
従来型心房間シャントのさらなる課題は、LA(及びより一般には心臓血管系)の機能が、例えば運動中、患者の服薬アドヒアランスが順守されていない期間、患者の疾患の進行時、または他の期間などに、複数の要因に応じて変化する可能性があることである。既存の従来型シャントは、一般に静的な性質であり、治療を最適化するような方法で患者の状態に適応することができない。
【0025】
既存の従来型心房間シャントの他の欠点は、(1)シャントには未来の経中隔アクセスを複雑または防止する方法で中隔壁に恒久的に植込まれる傾向があること、これは、一般に経中隔アクセスを必要とする追加の左心手術を阻止または複雑にする可能性がある、(2)シャントが固定され、疾患の進行などの患者の状態の変化に適応できない傾向があること、及び(3)センサ及び/または機械学習機能の欠如により、患者から入手できる情報を制限し、時間の経過と共に患者(またはより大きな患者コホート)の治療を改善するための機能を制限すること、が挙げられる。
【0026】
B. 心房間シャントシステム
上記のように、本技術は、概して植込み式シャントシステムを対象とし、例えば植込み式心房間シャントシステムが挙げられる。図2は、本技術の選択された実施形態に従って構成される、心房間シャントシステム200(「システム200」)の概略図を示す。システム200は、それを通る管腔204を画定するシャント要素またはデバイス202を含む。シャント要素202は、LAに配置可能な第1の端部203aと、RAに配置可能な第2の端部203bとを含むことができる。したがって、システム200は、中隔壁Sに植込まれたとき、管腔204を介してLA及びRAを流体接続する。システム200がHFpEFを治療するために植込まれるとき、血液は、一般に、管腔204を通って流れ方向F(すなわち、LAからRAへ)に流れる。様々な対象の条件下で、管腔204は、反対方向(すなわち、RAからLAへ)、または腔部間の圧力勾配が交互になるときに両方向への流れを可能にし得る。
【0027】
シャント要素202は、システムの態様によって(例えば、以下に説明する流れ制御機構250によって)組織の領域(例えば、中隔壁)に加えられる力によって位置を安定させることができ、及び/または1つ以上の固定要素によって所定の位置に固定することができる。例えば、システム200は、中隔壁SのLA側に配置された1つまたは複数の第1の固定要素220a、及び/または中隔壁SのRA側に配置された1つまたは複数の第2の固定要素220b(固定要素220と総称)を含み得る。第1の固定要素220aは、LAに面する中隔壁Sの一部に係合することができ、第2の固定要素220bは、RAに面する中隔壁Sの一部に係合することができる。いくつかの実施形態では、固定要素220は、組織壁と直接接触しない。いくつかの実施形態では、固定要素220は、シャント要素202の複数の側面から延出する、及び/またはそれらと一体になる。これは、溶接などのプロセスを介した直接的な接続、接着剤を介した、または当業者に知られている別の接続機構を介した直接的な接続であり得る。あるいは、シャント要素202及び固定要素220は、超弾性合金(例えば、ニチノール)から構成される一体構造などの単一の構造から構成され得、デバイスの各部分が所望の形状をとるように処理される。様々な実施形態では、ストラットまたはアームなどの接続要素を使用して、固定要素220をシャント要素202の水平体部分に接続することができる。この水平体部分は、経中隔、部分的に経中隔であり得るか、または主に中隔壁Sの片側に位置し得、管腔204を画定する略管状の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、システム200は、固定要素220と、中隔壁Sと直接接続する外枠部分(図示せず)とを含むステント様構造を含む。いくつかの実施形態では、外枠部分は、図6~7Bに関してより詳細に説明されるように、流体連通管腔として機能する別個の水平体部分から区別され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、シャント要素202は、中隔壁Sの片側のみに配置された1つまたは複数の固定要素を使用して所定の位置に固定される。さらに別の実施形態では、システム200は第1及び第2の固定要素220a及び220bを含まず、シャント要素202は、その一般的な形状によって、半径方向外向きの圧力を加えることによって、システム200の別の構成要素によって、及び/または他の適切な機構によって、所定の位置に固定される。
【0029】
システム200はさらに、様々な電子的構成要素を含む。例えば、システム200は、1つまたは複数のエネルギー受取構成要素230及び1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素232を含むことができる。以下でより詳細に論じられるように、1つまたは複数のエネルギー受取構成要素230は、(i)患者の体の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取り、及び/または(ii)システムの植込まれた構成要素の外部に配置されたエネルギー源によって生成された(例えば、患者の体の外部のエネルギー源によって生成された、患者の体内のカテーテルによって生成された、など)磁場または電場に曝されたときにエネルギーを生成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー受取構成要素230は、高周波RF範囲(例えば、3~30MHzの間)及び/または極超短波RF範囲(例えば、300~3,000MHz)を含む、無線周波数(RF)周波数範囲で送信されるエネルギーを受信するように構成することができる。他の実施形態では、エネルギー受取構成要素230は、磁気または他の形態のエネルギー(例えば、熱)を受取るように構成することができる。エネルギー受取構成要素230は、金属コイル、ワイヤ、または他のアンテナであり得、銅、銀、またはそれらの複合体などの高導電性金属の少なくとも一部で構成され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー受取構成要素230は、管腔204と同軸の複数のループの略円形のループまたはコイルであり得る。他の実施形態では、エネルギー受取構成要素230は、管腔204の周りに曲げられた楕円形または他の非円形ループまたは複数のループのコイルであり得る。別の実施形態は、配向に関係なく、外部磁場に結合するように構成された前述のループまたは複数のループのコイルの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、シャント構造の一部(例えば、固定要素220)は、コイルまたはアンテナの全部または一部として機能し得る。
【0030】
エネルギー貯蔵構成要素232は、エネルギー受取構成要素230によって受取られた及び/または生成されたエネルギーを貯蔵するように構成することができる。エネルギー貯蔵構成要素232は、電池、スーパーキャパシタ、コンデンサ、及び/またはエネルギーを保持することができる他の適切な要素を含むことができる。以下に説明するように、エネルギー受取構成要素230によって受取られ、及び/またはエネルギー貯蔵構成要素232内に蓄積されたエネルギーは、(i)流れ制御機構250を作動させて、管腔204の形状(及び/または管腔のオリフィスの形状)を調整するために使用され得、それにより、管腔204を通る血液の流れを変更するため、(ii)以下に説明するセンサ240などの様々な植込み式電子的構成要素に電力を供給するために使用され得、及び/または(iii)エネルギーの投入を必要とする他の操作のために使用され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、システム200は、2つ以上のエネルギー受取構成要素230を含む。例えば、システム200は、第1のエネルギー受取構成要素及び第2のエネルギー受取構成要素を含むことができる。第1のエネルギー受取構成要素及び第2のエネルギー受取構成要素は両方とも、エネルギー貯蔵構成要素232と電気的に通信することができる。第1のエネルギー受取構成要素は、第1のエネルギー受取構成要素とインターフェースするか、さもなければ通信するように構成された1つまたは複数の外部供給源からエネルギーを受取るように構成することができる。例えば、1つまたは複数の外部供給源は、体の外部に配置され、エネルギーをエネルギー受取構成要素に遠隔に送達するように構成されたエネルギー源、及び/またはエネルギー受取構成要素とドッキングまたは他の方法でインターフェースするカテーテルを含むことができる。第2のエネルギー受取構成要素は、エネルギー貯蔵構成要素232からのエネルギーを受取るように構成することができる。したがって、エネルギーは、外部供給源から第1のエネルギー受取構成要素に、第1のエネルギー受取構成要素からエネルギー貯蔵構成要素に、またエネルギー貯蔵構成要素から第2のエネルギー受取構成要素に転送することができる。いくつかの実施形態では、第2のエネルギー受取構成要素は、以下に説明する流れ制御機構250の一部であり得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、同時に及び/または交互に、エネルギー受取構成要素及びエネルギー貯蔵構成要素の両方として機能し得る。
【0032】
第1のエネルギー受取構成要素は、電磁界からエネルギーを抽出することができる導電性(例えば、ワイヤまたはPCBモノポールまたはダイポールアンテナ)及び誘電体(例えば、誘電体ロッドアンテナ)要素、またはAC磁場からエネルギーを抽出できる導電性要素(例えば、ワイヤコイル)の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー受取構成要素は、エネルギーを受取るときに実質的に温度の上昇を伴わないが、第2のエネルギー受取構成要素は、エネルギーを受取るときに温度の上昇を伴う。そのような実施形態では、第1のエネルギー受取構成要素は、外部供給源からエネルギーを受取り、意味のある散逸なしにそれを貯蔵し(例えば、受取りエネルギー合計の10%、15%、または20%未満の散逸)、後にそれを、意図的に放散する第2のエネルギー受取構成要素に転送することができる。例えば、第2のエネルギー受取構成要素は、熱が加えられたときに様々な構成間で転移することができる温度感受性形状記憶合金材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー受取構成要素及び第2のエネルギー受取構成要素は、異なる周波数で発生するパルスを介してエネルギーを受取ることができる。例えば、第1のエネルギー受取構成要素は、第1の周波数で供給されるエネルギーを受取ることができ、第2のエネルギー受取構成要素は、第1の周波数とは異なる第2の周波数で供給されるエネルギーを受取ることができる。いくつかの実施形態では、第2のエネルギー受取構成要素は、直流信号を受信する。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー受取構成要素は、交流信号を受信する。いくつかの実施形態では、第2のエネルギー受取構成要素は、外部供給源からACエネルギーを直接受信することができる。1つまたは複数の電気構成要素(例えば、エネルギー受取構成要素またはエネルギー貯蔵構成要素)は、中隔インプラント管腔の軸方向の長さに沿って延びることができる。
【0033】
したがって、本明細書に記載される中隔インプラントは、外部供給源からエネルギーを受取り、エネルギー貯蔵構成要素にインプラントのエネルギーを貯蔵することができる。選択的に活性化されると、エネルギー貯蔵構成要素は離散した部分でエネルギーを放出する。離散した部分は、放出されるエネルギーの量及び/またはエネルギー放出の期間(例えば、200ミリ秒以下)によって定めることができる。いくつかの実施形態では、エネルギーは、2つ以上の第2のエネルギー受取構成要素及び/または第2のエネルギー受取構成要素の2つ以上の場所に選択的に放出され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素は、エネルギーが事前に充填されていてもよく、したがって、外部供給源からエネルギーを受取るように構成されていない可能性がある。例えば、エネルギー貯蔵構成要素は、患者に植込まれたときに完全に充電されるか、または実質的に完全に充電され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、システム200は、2つ以上のエネルギー貯蔵構成要素232を含む。例えば、システム200は、第1のエネルギー貯蔵構成要素及び第2のエネルギー貯蔵構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー貯蔵構成要素は「エネルギー密度が高い」ものであり、第2のエネルギー貯蔵構成要素は「電力密度が高い」ものである。「エネルギー密度が高い」という用語は、特定の質量または体積であるエネルギーの量を指し、一方で「電力密度が高い」という用語は、特定の質量または体積である電力の量を指す。第1のエネルギー貯蔵構成要素のエネルギー密度が高い実施形態では、第1のエネルギー貯蔵構成要素は電池であり得る。第2のエネルギー貯蔵構成要素の電力密度が高い実施形態では、第2のエネルギー貯蔵構成要素はコンデンサであり得る。さらに、2つ以上のエネルギー貯蔵構成要素を有する実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素の1つ(例えば、第1のエネルギー貯蔵構成要素)は、一次の非充電式構成要素であり得、別のエネルギー貯蔵構成要素(例えば、第2のエネルギー貯蔵構成要素)は、二次の再充電可能な構成要素であり得る。さらに、システム200が植込まれるとき、第1のエネルギー貯蔵構成要素(例えば、電池)は、その完全な貯蔵エネルギー容量またはその近くにあってよく、第2のエネルギー貯蔵構成要素(例えば、コンデンサ)は、実質的に貯蔵エネルギーが欠如していてもよい。そのような実施形態では、第2のエネルギー貯蔵構成要素は、植込み処置後に充電することができる。いくつかの実施形態では、第2のエネルギー貯蔵構成要素は、体の外部に配置されたエネルギー源を使用して充電することができる。他の実施形態では、第2のエネルギー貯蔵構成要素は、電源に結合されたカテーテルなどの侵襲的充電機構を使用して充電することができる。そのような実施形態では、カテーテルは、システム200の1つまたは複数の植込まれた態様とドッキングするか、さもなければインターフェースして、第2のエネルギー貯蔵構成要素を充電することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232は、植込まれたデバイスの外部に配置されたエネルギー源、例えば、患者の外部に配置された供給源を使用して充電(最初に充電、再充電など)することができる。いくつかの実施形態では、充電は直接行われる。代替の実施形態では、充電は、エネルギー貯蔵構成要素232をエネルギー受取構成要素230に電気的に接続することによって行われ、それは、外部供給源からエネルギーを取得し、それを適切な形態に変換し、それをエネルギー貯蔵構成要素232に供給する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232は、リチウムポリマーまたはリチウムイオン電池などの二次(充電式)電池であり得る。様々な実施形態において、エネルギー貯蔵構成要素232は、スーパーキャパシタ(二重電気層キャパシタ)であり得る。様々な実施形態において、エネルギー貯蔵構成要素232は、スーパーキャパシタと、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、または多層セラミックコンデンサなどの従来型コンデンサとの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、エネルギー受取構成要素230は、外部エネルギー源からAC磁気または電磁エネルギーを受取ることができる。受信したACエネルギーは、同期または非同期(ダイオード)整流を使用してDCに変換できる。いくつかの実施形態では、変換されたDCエネルギーは、ブースト、バックブースト、SEPIC、ゼータ、チャージポンプ、または他のスイッチモード電力変換回路を介して、植込まれたプロセッサ及び他の植込まれた電子機器による使用に適したレベルに、ブースト及び調整され得る。様々な実施形態において、外部で生成された磁場または電磁場は、エネルギー源によって変調されて、植込まれた電子機器に送信するためのデータを符号化することができる。様々な実施形態において、植込まれた電子機器によって提示される負荷は、磁場または電磁場を生成する外部機器にデータを伝達するように変調され得る。様々な実施形態において、NFC(近距離無線通信)技術は、エネルギー及び/またはデータ転送を実施するために使用され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232は、組織の内部成長及び/または過成長を促進して局所組織によって内皮化されるように構成することができる。例えば、エネルギー貯蔵構成要素232は、組織の内部成長を促進する材料でコーティングすることができ、及び/または組織の内部成長を促進する様々な構造(例えば、格子、メッシュなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232は、内皮化を促進するように構成された外側ジャケット材料を含む。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232は、内皮化を促進する粗面(例えば、ビードブラスト、ローレット加工、化学エッチングなどを介して)を有することができる。理論に拘束されることなく、エネルギー貯蔵構成要素232の内皮化は、エネルギー貯蔵構成要素232の血栓形成性を低減し得、及び/またはエネルギー貯蔵構成要素232及びシステム200の他の植込まれた構成要素を標的位置に固定するのを助長し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素232は、固定要素220に結合されるか、さもなければそれとインターフェースすることができる。例えば、エネルギー貯蔵構成要素232は、中隔壁Sの表面とインターフェースすることができ、固定要素220は、固定要素220が中隔壁Sと直接係合しないように、エネルギー貯蔵構成要素232とインターフェースすることができる。
【0038】
システム200はまた、1つまたは複数のセンサ(例えば、第1のセンサ240a、第2のセンサ240bなど、センサ240と総称)を含むことができる。センサ240は、局所的な血圧(例えば、LAの血圧、RAの血圧など)、流速、pH、SpO2、SpC、SpMet、心拍数、心臓出力、心筋ストレインなど、システム200またはセンサ240に近接する環境に関連する1つまたは複数の生理学的パラメータを測定するように構成することができる。センサは、例えば、(1)システム200の植込み式構成要素に埋込まれ、(2)システム200の他の植込み式構成要素から離れて植込まれ、及び/または(3)体外のウェアラブルパッチまたはデバイスに含まれ得る。ウェアラブルパッチまたはデバイスに含まれている場合、ウェアラブルパッチまたはデバイスは、センサ(RFID/NFCなど)に電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、ウェアラブルパッチまたはデバイスは、センサデータを読み取ることもできる。センサは継続的に記録することも、選択した時間にオンにすることもできる。
【0039】
一実施形態では、第1のセンサ240aは、LA内に配置可能な圧力センサであり、第2のセンサ240bは、RA内に配置可能な圧力センサである。いくつかの実施形態では、システム200は、センサ240によって測定された情報または他の情報に基づいて、LAとRAとの間の圧力差を計算するように構成されたプロセッサ(図示せず)をさらに含むことができる。以下に説明するように、システム200は、センサ240によって測定されたパラメータ及び/または圧力差またはプロセッサによって計算された他の情報に基づいて調整され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、センサ240は、圧力センサとして構成され得る。例えば、圧力センサは、膜で覆われた空洞を含むことができ、膜は、ひずみ感知要素、共振回路の周波数を変化させる要素、及び/または膜のたわみによって変化し、電気的に測定可能な量を変更する他の要素と通信する。膜は、測定領域と直接接触していてもよく、測定領域と直接接触している材料でコンフォーマルにコーティングされていても、及び/または測定領域と接触している膜と連通している流体で満たされた剛性容器に封入されていてもよく、この場合、流体はシリコーンオイルなどの液体、または空気などの気体であってよい。測定領域と直接接触するセンサまたはコンフォーマルコーティングされたセンサに関する実施形態は、圧力の情報をハウジングに封入された電子機器に伝達する手段を、さらに組み込む。
【0041】
システム200はまた、流れ制御機構250(例えば、作動機構、流れ制御アセンブリ、作動アセンブリなど)を含む。流れ制御機構250は、シャント要素202及び/または管腔204の形状または他の特性を選択的に変更して、管腔204を通る流体の流れを変更するように構成される。例えば、流れ制御機構250は、入力に応答して、管腔204(または管腔オリフィス)の直径を選択的に増加させ、及び/または管腔204(または管腔オリフィス)の直径を選択的に減少させるように構成することができる。他の実施形態では、流れ制御機構250は、別の場合であれば管腔204の形状に影響を与えるように構成される。したがって、流れ制御機構250は、シャント要素202に結合することができ、及び/またはシャント要素202内に含めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、流れ制御機構250は、シャント要素202の一部であり、少なくとも部分的に管腔204を画定する。他の実施形態では、流れ制御機構250は、シャント要素から離間されるが、シャント要素202に動作可能に結合される。
【0042】
いくつかの実施形態では、流れ制御機構250の少なくとも一部は、形状記憶材料を含むことができる。形状記憶部分は、ニチノール、ニチノールベースの合金、形状記憶ポリマー、pHベースの形状記憶材料、または本明細書の説明から当業者によって理解されるように移動または他の方法で調整するように構成された任意の他の適切な材料を含むことができる。形状記憶部分は、特定の入力(例えば、応力が加わる)に応答して部分が変形する量を定める曲線によって、特徴付けることができる。例えば、流れ制御機構250は、熱などのエネルギーへの曝露に応答して形状を変化させるように構成されたニチノール要素を含むことができる。そのような実施形態では、流れ制御機構250は、エネルギーを直接的または間接的にニチノール要素に印加することによって、選択的に作動させることができる。1つまたは複数の形状記憶構成要素を組み込んだ流れ制御機構のさらなる特徴及び例は、国際特許出願第PCT/US2020/049996に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、流れ制御機構250は、管腔204を通る流れを変化させる1つまたは複数の作動要素に動作可能に結合された能動モータを含む。適切なモータには、電磁モータ、植込み式電池及び機械式モータ、MEMSモータ、マイクロブラシレスDCモータ、圧電ベースのモータ、ソレノイド、及びその他のモータが含まれる。流れ制御機構250は、他の適切な形態をとることもできる。流れ制御機構を有するシャントデバイスのさらなる特徴及び例は、国際特許出願第PCT/US2020/038549に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
いくつかの実施形態では、流れ制御機構250は、エネルギー貯蔵構成要素232に貯蔵されたエネルギーを使用して作動させることができる。したがって、臨床医は、エネルギーを流れ制御機構250に直接適用するのではなく、コントローラ(後述)を使用して、エネルギー貯蔵構成要素232に貯蔵されているエネルギーを使用して流れ制御機構250を作動させる(それにより、シャント要素202及び/または管腔204の形状を調整する)ことができる。これにより、臨床医は、(1)エネルギー受取構成要素230にエネルギーを適用するプロセス、及び(2)シャント要素202を調整するプロセスを分断することができる。したがって、エネルギー貯蔵構成要素232は、一定期間(例えば、分、時間、日、月など)エネルギーを貯蔵することができ、シャント要素202を通る流れを変更すべきであるとの決定に基づいて、使用者は、エネルギー貯蔵構成要素232に、貯蔵されたエネルギーを放出し、それを流れ制御機構250の1つまたは複数の諸態様に向けるため方向付けることができる。他の実施形態では、システム200は、エネルギー貯蔵構成要素232に、蓄積されたエネルギーを放出するように自動的に方向付け、それを流れ制御機構250に指示して、シャント要素202を通る流れを調整することができる。
【0045】
一実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232は、エネルギーを放電して(例えば、放電パルスの形で)、流れ制御機構250の作動要素を加熱するように構成することができる。例えば、エネルギー貯蔵構成要素232は、金属材料にエネルギーを印加することが抵抗加熱、誘導加熱、またはその両方をもたらすように、金属材料から構成される1つまたは複数の作動要素にエネルギーを放出することができる。金属材料は、抵抗加熱が第1の材料相または状態(例えば、マルテンサイト相、R相など)から第2の材料相または状態(例えば、R相、オーステナイト相など)に、材料の少なくとも部分的な転移をもたらすように製造されたニチノールなどの形状記憶材料であり得る。形状記憶作動要素がその好ましい形状(例えば、製造後の形状、元の形状、ヒートセット形状、形が設定された形状など)に対して変形される場合、形状記憶作動要素を第1の材料相から第2の材料相に転移させることは、形状記憶作動要素の幾何学的変化をその好ましい形状に、及び/またはその方向に誘発することができる。したがって、熱を1つまたは複数の形状記憶作動要素に加えて、該構成要素の特性(例えば、長さ、幅、位置、剛性など)に影響を与えることができる。形状記憶作動要素の動きは、管腔204の形状または寸法の変化をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、加熱された要素(例えば、形状記憶作動要素)は、シャント要素202及び/または管腔204の形状を変更するために移動する機構とは異なる。例えば、作動要素は、図8A~8Cを参照して以下に説明するように、作動要素の動きを、デバイスの異なる構成要素(例えば、水平管腔構成要素)の特徴における変化(例えば、サイズ、形状などの変化)に変換する接続機構に機械的に接続され得る。
【0046】
別の実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素に蓄積されたエネルギーは、加熱されると軟化または溶融する材料(例えば、ワックスまたは同様の成分)を含むシャント要素202の領域に伝達される。軟化した材料は、デバイスの1つまたは複数の構成要素に対して調整を行うことを可能にすることができる(例えば、それによって、本明細書に記載されるように、構成要素の形状、長さ、向き、または位置を変更する)。エネルギーがシャント要素202のこの領域にもはや適用されなくなると、材料は元の機械的特性を取り戻すことができ(例えば、再硬化)、構成要素に加えられたいずれかの調整が所定の位置に保持される。
【0047】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素232及び/またはエネルギー受取構成要素230は省いてもよく、流れは、エネルギーを流れ制御機構250に直接適用することによって調整され得る。そのような実施形態では、流れ制御機構250の一部は、体の外部に配置されたエネルギー源(例えば、RF送信機)からエネルギー(例えば、熱、光、RF、超音波、マイクロ波など)を受取るように構成することができ、受取ったエネルギーに応じて、管腔204を通る流れを調整する。例えば、流れ制御機構250は、熱活性化形状記憶要素を含むことができ、流れ制御機構250を介して管腔204を調整することは、形状記憶要素を加熱して形状記憶合金要素の形状を変更し、それによって、前述のように、シャント要素202を通して流れを調整することを含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、流れ制御機構250は、センサ240によって行われた測定に少なくとも部分的に基づいて、LAとRAとの間の圧力差を計算するプロセッサ(図示せず)に結合されている。計算された圧力差が所定の範囲外である場合、プロセッサは、流れ制御機構250に、シャント要素202を通る流れを変更するように指示することができる。いくつかの実施形態では、センサ240、プロセッサ、及び流れ制御機構250は、閉ループシステムで動作して、シャント要素202を調整する。他の実施形態では、センサ240によって感知された圧力差は、患者の外部のディスプレイに伝達され、使用者(例えば、臨床医)は、測定された圧力差に少なくとも部分的に基づいて、シャント要素202を通る流れを調整する。そのような実施形態では、医師は、非侵襲的エネルギー源(例えば、RF送信機)を使用して、及び/またはコントローラ260(後述)と接続することによって、流れを調整することができる。
【0049】
上記のように、システム200は、システム200の1つまたは複数の植込まれた態様に接続可能であるか、またはそれと統合されているコントローラ260を含むことができる。適切なコントローラには、例えば、モバイルデバイスアプリケーション、コンピュータ、専用コントローラなどが含まれる。コントローラ260は、WiFi、ブルートゥース(登録商標)(例えば、BLE5.0)、電磁波、超音波、無線周波数、または他のワイヤレス手段を介してシステム200の様々な植込まれた態様に接続できる。あるいは、コントローラ260は、有線接続を介して植込まれた態様に結合することができる。コントローラ260は、ユーザ(例えば、患者、医師など)がコントローラを介してシステム200を選択的に制御できるように、ユーザインターフェースを備える。例えば、医師は、所望の流量、圧力/圧力勾配、または他の入力を入力することができ、コントローラ260は、流れ制御機構250がシャント要素202を操作して、シャント要素202を通る所望の流量及び/または流れの抵抗を達成するように、流れ制御機構250と(直接的または間接的に)通信することができる。
【0050】
上記のように、コントローラ260は、有線接続と無線接続の組み合わせを介して、システム200の様々な植込まれた態様に結合することができる。複数のデバイスやモダリティに通信を分散させると、柔軟性が向上し、電力が節約される可能性がある。皮膚のかなり下にある「深部」のインプラント(例えば、システム200の植込まれた構成要素)との無線通信は、無線データ及び電力の伝送に関してより大きな課題を提示することが理解される。いくつかの実施形態では、システム200は、無線技術を利用して外部構成要素をハブに接続し、有線技術を利用してハブをデバイスの電子機器に接続することができる。例えば、システム200は、有線接続を介して皮下のデバイスと通信することができ、皮下のデバイスは、無線接続を介して外部デバイスに通信することができ、またはその逆も可能である。
【0051】
本技術のいくつかの実施形態は、シャント要素202及び/または管腔204の形状を一貫して(例えば、継続的に、毎時、毎日など)調整する。例えば、1日のうちに頻繁に変化する、患者の労作レベル、及び/または心拍数に基づいて血液の流れを調整するために、一貫した調整が行われてもよい。例えば、システム200は、管腔204が実質的に閉じて、血液がLAとRAとの間で実質的に流れることを許容しないベースライン状態、ならびに管腔204が開いて、血液がLAとRAとの間で流れることを可能にするアクティブ状態を有することができる。システム200は、運動、ストレス、または他の要因のために患者の労作レベル(例えば、心拍数によって測定される)が増加するときはいつでも、ベースライン状態からアクティブ状態に移行することができる。他の実施形態では、例えば、センサ240を使用して感知されたLA圧及び/またはRA房圧を含む、検出される生理学的パラメータに基づいて、またはそれらに応じて、一貫した調整が行われ得る。LA圧が上昇すると、システム200は、LAとRAとの間で自動的に管腔204の直径を拡大させ、血流を増加させることができる。別の例では、システム200は、肺動脈圧センサ、植込み型心臓モニタ、ペースメーカー、除細動器、カルディオバーター、ウェアラブル、外部ECGまたはPPGなどの別のデバイスからの入力パラメータに基づいて、またはそれに応じて調整するように構成され得る。
【0052】
本技術のいくつかの実施形態は、閾値に達した後にのみ(例えば、十分な時間が経過した後にのみ)、管腔204の形状を調整する。これは、例えば、不必要な前後の調整を回避するために、及び/または臨床的に治療不要な変化に基づいた調整を回避するために行われてもよい。いくつかの実施形態では、患者の状態が変化するにつれて、調整が時折発生する可能性があり、例えば、LA圧、肺動脈圧、体重、または別の生理学的関連パラメータの持続的な上昇を患者が経る場合(例えば、変化の割合が所定の閾値より高い場合、またはLA圧が所定の時間より長く所定の閾値よりも高いままである場合)、管腔204は徐々に開くことができる。さらに、またはあるいは、圧力が閾値より高い、または一定期間(例えば、数日以上)にわたって閾値量まで上昇する場合に調整が発生することができる。次に、管腔204の形状が調整され(例えば、管腔204の直径が上昇する)て、LAとRAとの間の血流が増加し、代償不全が回避される。患者が安定していると見なされる場合(例えば、圧力または別のパラメータが正常レベルに戻った場合)、管腔204の形状を、より小さな以前の構成に再び調整することができる。
【0053】
システム200はまた、臨床医が定期的に(例えば、毎月、隔月、毎年、必要に応じてなど)管腔204の形状を調整して患者の転帰を向上させることを可能にすることができる。例えば、患者の診察中に、臨床医は、多くの患者パラメータを評価し、管腔204の形状を調整するかどうかを決定することで、LAとRAとの間の血流を変えることができるため、より良い治療を提供する、及び/または患者の生活の質を高める。患者パラメータは、例えば、生理学的パラメータ(例えば、LAの血圧、RAの血圧、LAの血圧とRAの血圧との間の差、流速、心拍数、心拍出量、心筋ストレインなど)、主観的パラメータ(例えば、患者が疲労しているかどうか、患者が運動中にどのように感じるかなど)、及びHFpEFの治療が効いているかどうかを評価するために当技術分野で知られている他のパラメータを含むことができる。臨床医が管腔204の直径を調整すると決定する場合、臨床医は、本明細書に記載の技法を使用してデバイスの管腔を調整することができる。
【0054】
図3は、本技術の選択された実施形態に従って構成される、心房間シャントシステム300(「システム300」)の部分的な切欠等角図である。システム200と同様に、システム300は、第1の端部303aがLA内に存在し、第2の端部303bがRA内に存在するように中隔壁Sを横断することができるシャント要素302を含む。シャント要素302は、LAとRAとの間に流体を向けるために、第1の端部303aと第2の端部303bとの間に延びる管腔304を含むことができる。シャント要素302は、シャント要素302の態様を少なくとも部分的に包含し、及び/または管腔304を少なくとも部分的に画定する膜310を含むことができる。シャント要素302は、第1の固定要素320a及び/または第2の固定要素320bによって所定の位置に固定される。
【0055】
システム300は、ハウジング325をさらに含む。ハウジング325は、中隔壁Sを横断するように示されているが、他の実施形態では、ハウジング325は、心腔内(例えば、RA内、LA内など)に存在することができ、及び/または中隔壁S内またはその上に配置することができる。いくつかの実施形態では、システム300は、複数のハウジング325を含むことができる。図示の実施形態では、ハウジング325は、シャント要素302から少なくとも部分的に離間されているが、他の実施形態では、ハウジング325は、シャント要素302に結合されているか、またはシャント要素302と一体である。ハウジング325の外面は、組織の内部成長を促進してハウジング325を所定の位置に固定する生体適合性材料を含むことができる。
【0056】
ハウジング325は、電気構成要素326a~c(総称して電気構成要素326)などの様々なシステム構成要素を保管するための流体的に隔離されたチャンバを画定することができる。電気構成要素326は、とりわけ、エネルギー受取構成要素(例えば、図2に示されるエネルギー受取構成要素230)、エネルギー貯蔵構成要素(例えば、図2に示されるエネルギー貯蔵構成要素232)、マイクロコントローラまたはプロセッサ、1つまたは複数のセンサ(例えば、図2に示されるセンサ240)、モータ、または他のシステム構成要素(複数可)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジング325は、LA圧を監視するためにLA内に配置されるように構成された第1のセンサ(例えば、電気構成要素326a)と、RA圧の監視のためにRA内に配置されるように構成された第2のセンサ(例えば、電気構成要素326c)とを含むことができる。上で論じたように、センサは、LAとRAとの間の圧力差を判定するように構成することができる。理論に拘束されることなく、中隔壁を横断する単一のハウジング構成要素内に複数のセンサを配置することは、システム300の植込まれた態様の全体的なサイズを制限し、送達手順の複雑さを軽減しながら、複数の心腔の測定を可能にするので、有用である。このようなシステムはまた、複数の心腔で測定を実行しているセンサに電力を供給して操作するために必要な構成要素と接続の数を減らし、システムの信頼性を高める。いくつかの実施形態では、システム300は、別個のエネルギー貯蔵構成要素332(例えば、電池、スーパーキャパシタなど)をさらに含む。
【0057】
システム300は、システム200に関して説明された流れ制御機構250などの流れ制御機構(図示せず)をさらに含むことができる。流れ制御機構は、シャント要素302上に含まれ、及び/または操作可能に結合され得、管腔304の形状を能動的に調整することができる。いくつかの実施形態では、例えば、流れ制御機構は、作動されると、管腔304及び/またはシャント要素302を画定する1つまたは複数の構造的な要素を操作する。いくつかの実施形態では、流れ制御要素は、前述のように、形状記憶アクチュエータ及び/またはモータを含むことができる。いくつかの実施形態では、流れ制御機構(例えば、モータ)の1つまたは複数の構成要素を、ハウジング325内部に配置することができる。ハウジング325内に配置された構成要素は、シャント要素302に結合されて(例えば、無線で結合され、有線で、など)、管腔304の形状及び/またはサイズを変更して、それを通る流れの抵抗を調整することができる。
【0058】
図4A~4Cは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、心房間シャントシステム400(「システム400」)を示す。より具体的には、図4Aは、(例えば、LAから見た)中隔壁Sの左側からのシステム400の等角図であり、図4Bは、(例えば、RAから見た)中隔壁Sの右側からのシステム400の等角図であり、図4Cは、中隔壁Sの左側からのシステム400の断面図である。システム400は、システム200及び300に関して説明したものと同様の構成要素を有することができる。例えば、システム400の実装は、とりわけ、貫通して伸びる管腔404を有するシャント要素402、固定要素420、ハウジング425、エネルギー受取構成要素430、第1のエネルギー貯蔵構成要素432a、及び第2のエネルギー貯蔵構成要素432bを含むことができる。シャント要素402は、RAとLAを流体接続するために、中隔壁Sを横切って配置可能である。ハウジング425はまた、第1の端部425aが第1の心腔(例えば、LA)内に存在し、第2の端部425bが第2の心腔(例えば、RA)内に存在するように、中隔壁Sを横断することができる。図3に関して論じたように、ハウジング425は、図4Cに示されるセンサ440などの様々な電子的構成要素を保管するための流体的に隔離された環境を含むことができる。システムには、マイクロコントローラ/プロセッサ及び/またはコントローラなどの追加の構成要素が含まれる場合がある。いくつかの実施形態では、システムのいくつかの構造は、血栓形成性を低減するため、インプラントを通るまたはインプラントの周りの流体の層流を促進するため、内皮化を促進するため、または他の理由のために、材料で覆われ得る。例えば、いくつかの実施形態では、いくつかの構造的構成要素は、ePTFE、PTFEなどの生体適合性及び/または可撓性材料で覆われ得る。
【0059】
1つまたは複数のセンサ440は、デバイスまたはセンサに近接する環境に関連するパラメータを測定するように適合させることができる。いくつかの実施形態では、システム400は、局所的な圧力レベルを測定するように適合された1つまたは複数の圧力センサを含む。他の実施形態では、密閉されたハウジング425に取り付けられた、またはその中に含まれるセンサ440などの複数の圧力センサが含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力センサは、中隔壁Sの第1の側の圧力を測定するためにハウジング425の第1の端部425aに含まれ、第2の圧力センサは、中隔壁Sの第2の側の圧力を測定するために第2の端部425bに含まれる。上記のように、センサによって感知されたパラメータは、2つ以上の心腔間の圧力差を計算するために使用することができる。必要に応じて、シャント要素402を通る流れは、圧力差に基づいて調整することができる。図4Cに示されるように、ハウジング425は、第1の端部425a及び第2の端部425bがそれぞれ心腔内の環境に曝されるように、中隔壁Sの全長にわたることができる。他の実施形態では、ハウジング425は、中隔壁Sの一部のみを横断することができ、または完全に心臓の単一の腔部内に存在することができる。様々な実施形態において、ハウジング425は、中隔壁Sを超えて、LA及びRAのそれぞれに延びることができる。いくつかの実施形態では、システム400は、複数の別個のハウジング425を含むことができる。
【0060】
様々な実施形態において、管腔404は、中隔壁の厚さより長くあり得る。様々な実施形態において、管腔404は、中隔壁の面を越えて、LA及びRAの一方または両方に延びることができる。様々な実施形態において、第1のセンサ、第2のセンサ、またはその両方は、管腔404内に配置される。様々な実施形態において、第1のセンサ、第2のセンサ、またはその両方は、中隔欠損または中隔壁によって画定される領域内に配置される。様々な実施形態において、第1のセンサ、第2のセンサ、またはその両方は、中隔壁によってまたは個々の心房の中に画定される領域外に配置される。様々な実施形態において、ハウジング425は、主要ハウジング本体から延びる突起、例えば、それらを覆う組織の異常成長の量を制限するように配置された延長部を含み得る。さらに他の実施形態では、システム400は、複数の別個のハウジング425を含むことができる。
【0061】
エネルギー受取構成要素430は、外部供給源からシステム400に送信される電磁エネルギーまたは他のエネルギーを受取るように適合された金属ループまたはコイル状の複数のループまたは他のワイヤであり得る。いくつかの実施形態では、ループまたはコイルは、RF周波数範囲で送信されるエネルギーを受信するように適合させることができる。いくつかの実施形態では、エネルギー受取構成要素430は、銅または別の適切な材料などの材料から構成され、送達カテーテル、例えば、16Fr、18Fr、20Fr、24Fr、26Fr、27Fr、28Fr、29Fr、30Fr、35Fr、または40Fr以下の外径を有するカテーテル内で折り畳むことができる。いくつかの実施形態では、エネルギー受取構成要素430は、送達カテーテルから展開されたときに中隔壁Sに対して実質的に平坦になるように構成される(例えば、心臓の腔部の1つに2mm未満突出する)。いくつかの実施形態では、これは、図4Aに示されるように、エネルギー受取構成要素430の1つまたは複数の点を固定要素420に機械的に結合することによって達成され得る。図示の実施形態では、エネルギー受取構成要素430は、中隔壁SのLA側に示されているが、他の実施形態では、エネルギー受取構成要素は、中隔壁SのRA側に配置され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1のエネルギー貯蔵構成要素432a及び第2のエネルギー貯蔵構成要素432b(エネルギー貯蔵構成要素432と総称)は、エネルギー受取構成要素430に対して中隔壁Sの反対側に配置される。例えば、図示の実施形態では、エネルギー貯蔵構成要素432は、中隔壁SのRA側に配置され、エネルギー受取構成要素430は、中隔壁のLA側に配置される。理論に拘束されることなく、中隔壁の反対側にエネルギーの取得及びエネルギー貯蔵構成要素を配置することは、システム400の植込まれた構成要素の全体的なサイズが比較的小さいままであることを可能にしながら、エネルギー伝達の物理現象を促進する形状を可能にし得るので、有用であり得る。しかしながら、他の実施形態では、エネルギー受取構成要素430は、1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素432と同じ側の中隔壁に配置され得る。
【0063】
図5A及び5Bは、本技術の選択された実施形態に従って構成された心房間シャントシステム500(「システム500」)を示す。より具体的には、図5Aは、中隔壁S(例えば、LAから見た)の左側からのシステム500の等角図であり、図5Bは、中隔壁Sの右側からのシステム500の等角図(例えば、RAからの図)である。システム500は、図4A~4Cを参照して上記で説明したシステム400と概ね同様であり得る。したがって、図4A~4Cに関して説明した特定の特徴の説明は、わかりやすくするために省略されている。システム400に関して上記の特徴に加えて、システム500は、シャント要素502の少なくとも一部を包むか、さもなければ結合される膜510をさらに含む。いくつかの実施形態では、膜510の形状は、シャント要素502の構造的要素520によって少なくとも部分的に定められ得る。いくつかの実施形態では、構造的要素520は、シャント要素502を所定の位置に固定するためのアンカーとしてさらに機能することができ、及び/または管腔504の一部を画定することができる。
【0064】
膜510は、少なくとも部分的に可撓性及び/または不浸透性であり得、そして抗血栓性、生体適合性、及び/または他の適切な材料(例えば、シリコーン)を含み得る。膜510は、とりわけ、血液または他の流体がシステム500の1つまたは複数の構成要素に干渉するのを防ぐための流体バリアを設けることができる。例えば、膜510は、エネルギー貯蔵構成要素532などの様々なシステム構成要素を収容するために成形及びサイズ決定された密閉チャンバ512を形成することができる。これは、図4A~4Cに示される実施形態とは対照的であり、それにおいてエネルギー貯蔵構成要素432がRAに直接さらされている。いくつかの実施形態では、展開中に膜510の下(例えば、チャンバ512内)に閉じ込められた任意の流体(例えば、血液)は、その後、排出され得る。いくつかの実施形態では、流体(例えば、シリコンオイル、凝固剤など)は、チャンバ512が設けられた後、そこに挿入することができる。流体は、様々なシステム構成要素の電気的及び/または熱的絶縁をもたらし得る。いくつかの実施形態では、密閉されたチャンバ512は、膜510と中隔壁Sの一部との間に形成される。いくつかの実施形態では、ハウジング525は、チャンバ512内に存在することもできるが、他の実施形態では、ハウジングは、図3に関して上で説明したように、チャンバ512の外部に配置される。
【0065】
膜510はまた、システム500が患者に植込まれるときにLAとRAを流体接続する管腔504を画定することができる。膜510の柔軟性は、シャント要素502が形状及び/またはサイズを動的に変化させて、様々なシステム構成要素を収容する流体的に隔離された密閉チャンバ512を維持しながら、管腔504を経る流体の抵抗を変更することを可能にし得る。
【0066】
本明細書で説明されるシステムは、上で明示的に議論されていない追加の特徴を含むことができる。非限定的な例として、システムは、データ及び/またはエネルギーを、植込まれた構成要素から植込まれていない構成要素に送信するように構成された1つまたは複数の構成要素を含み得る。例えば、システムには、植込まれたセンサによって記録されたデータを患者の体の外部にあるディスプレイデバイスに送信できるアンテナなどの送信要素を含めることができる。送信要素は、ブルートゥース(登録商標)、RF通信、NF通信、WiFi、セルラー、または他の通信プロトコルなどの任意の適切な通信ネットワークを介してデータを送信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、システムは、エネルギーの送信及び/または受信の目的で使用することができる金属部分(例えば、フレーム部分、固定部分など)を含む。
【0067】
当業者が本明細書の開示から理解するように、上記の心房間シャントシステムの様々な構成要素は、本技術の範囲から逸脱することなく省かれ得る。同様に、上で明示的に説明されていない追加の構成要素は、本技術の範囲から逸脱することなく、心房間シャントシステムに追加することができる。したがって、本明細書で説明されるシステムは、明示的に識別された構成に限定されず、むしろ、説明されたシステムの変形及び変更を包含する。さらに、以下の段落は、本技術の様々な態様の追加の説明を提示する。当業者は、以下の態様を上記のシステムのいずれかに組み込むことができることを理解するであろう。
【0068】
C. シャント要素と流れ制御機構の選択された実施形態
上記のように、本技術は、シャント要素またはデバイスを通る流れを制御するために選択的に調整することができる心房間シャントシステムを提供する。理論に制限されることを望まないが、本明細書で提供されるシャントシステムの調整機能は、心不全の治療に関連する多くの課題に有利に対処することが期待される。第1に、心不全は不均一な疾患であり、多くの患者は様々な併存症を有し、結果として生じる疾患の症状は多様である可能性がある。したがって、心不全の治療での「1つのサイズがすべてに適合する」という手法では、各患者に同じ治療の利益をもたらさない。第2に、心不全は慢性で進行性の疾患である。調整不可能な(すなわち、静的な)デバイスが使用されると、治療は疾患の進行における変化に適応することができない。しかしながら、本明細書に記載されている調整可能なシャントシステムは、特定の患者及び/または様々な病期に対しより良好に仕立てられた治療へと可撓性の向上を有利にもたらすことが期待される。
【0069】
シャントデバイス及び流れ制御機構の様々な実施形態などのシャントシステムの様々な態様の追加の特徴が、図6~7Cに関して以下に説明される。以下に記載されるシャントデバイスは、図2~5Bに関連させて上記したシャントシステムと共に使用するように適合させることができる。例えば、上記のシステムのいずれにも、以下に説明する機能の一部を組み込むことができる。しかし、本明細書で説明されるシステムは、本明細書に明示的に記載されているシャントデバイスに限定されない。国際特許出願番号PCT/US2020/049996及びPCT/US2020/038549に記載されているものなど、他の適切なシャントデバイスを利用することができ、これらの開示は、参照により本明細書に以前に組み込まれた。
【0070】
図6は、本技術の実施形態に従って構成される、例示的な調整可能な心房間シャントデバイス600(「デバイス600」)を示す。デバイス600は、外側フレーム610及び調整可能な内側管腔630を含む。フレーム610は、デバイス600のスキャフォールドを画定する複数のアーム612を含む。フレーム610は、複数のRAアンカー622及びLAアンカー624をさらに含むことができる。RAアンカー622及びLAアンカー624は、デバイス600が配置されていることを固定するためにデバイス600が心臓に植込まれるときに、本来の心臓組織と係合するように構成される。フレーム610は、本来の心臓組織を係合するのに適した外側メンブラン614に包まれることができる。例えば、外側メンブラン614は、ePTFE、ポリエステル、ポリウレタン、またはシリコーンなどの生体適合性及び/または抗血栓性材料または織物であることができる。いくつかの実施形態では、外側メンブラン614は、少なくとも部分的に伸縮性及び/または可撓性であるエラストマー材料である。調整可能な内側管腔630は、ヒトの心臓のRA内に位置決め可能な近位端部632を含む。調整可能な内側管腔630は、デバイス600の長さに沿って長手方向に、または遠位端部分(図示せず)への1つまたは複数の連結ストラット640と一致するほぼ円錐形の平面に沿って角度方向に延びることができる。いくつかの実施形態では、デバイス600が植込まれるとき、調整可能な内側管腔630の遠位端部は心臓のLA内に存在するように構成される。したがって、いくつかの実施形態では、調整可能な内側管腔630は、植込まれたとき、心臓のLA及びRAを流体接続できる。調整可能な内側管腔630は、管腔630の軸方向の長さに沿って(図6に示されるように)、または連結ストラット640によって囲まれる円錐形によって一般に画定される角平面に延びる複数のストラット634によって画定される。いくつかの実施形態では、複数のストラット634は、管腔630の中心軸に概して平行である。ストラット634は、ニチノールなどの形状記憶材料及び/または超弾性材料、ステンレス鋼などの可鍛性材料、コバルトクロム、または他の適切な材料を含むことができる。ストラット634は、1つ以上の連結ストラット640を介してフレーム610(例えば、フレーム610のアーム612)に連結され得る。また、連結ストラット640も、ニチノールなどの形状記憶材料及び/または超弾性材料、ステンレス鋼などの可鍛性材料、コバルトクロム、または他の適切な材料を含むことができる。図7A~7Cを参照して以下に説明されるように、1つ以上の連結ストラット640は、ストラット634の位置を変更し、管腔630及び/または管腔オリフィスの直径を変化させるように作動することができる。
【0071】
管腔630は、内側メンブラン633によってさらに画定される。いくつかの実施形態では、内側メンブラン633は、ストラット634の周りにシースを形成する(例えば、ストラット634は内側メンブラン633内に埋め込むことができる)。他の実施形態では、ストラット634は、内側メンブラン633に隣接して位置決めされ得るが、この内側メンブランに包まれないことも可能である。例えば、ストラット634は、内側メンブラン633の内部(例えば、管腔630内)、または内側メンブラン633の外部(例えば、管腔630の外側)にあることができる。ストラット634が内側メンブラン633に包まれていないとき、ストラット634は、別様であれば内側メンブラン633に連結されることができる、ただし他の実施形態では、ストラット634は、内側メンブラン633に連結されない。ストラット634及び内側メンブラン633の相対的な位置決めに関係なく、内側メンブラン633は、単一の、及び/または連続したメンブランをフレーム610の外側メンブラン614と形成することができる(それらのような実施形態では、外側メンブラン614及び内側メンブラン633は単一またはユニタリメンブランと総称されることができる)。外側メンブラン614と内側メンブラン633との間の空間の容積部は、以下でより詳細に説明されるように、概してトロイダル形状のチャンバ650を形成することができる。内側メンブラン633は、フレーム610の外側メンブラン614と同じ材料を含むことができる。例えば、内側メンブラン633は、ePTFEなどの生体適合性及び/または抗血栓性材料、及び/または少なくとも部分的に伸縮性及び/または可撓性であるエラストマー材料であることができる。例えば、例示的な実施形態では、内側メンブラン633はePTFEであり、ストラット634の周りにシースを形成する。いくつかの実施形態では、内側メンブラン633及び外側メンブラン614は、異なる材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、デバイス600は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、及び/または12本のストラット634を含む。図7A~7Cに関してより詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では、ストラット634は、可鍛性である、及び/または1つ以上のヒンジを含むことができることにより、ストラットは、動的に形状を変化させて(例えば、膨張して、折り畳まれて、または別様には曲げられて)、それにより内側管腔630の直径を変化させることができる。
【0072】
上記のように、フレーム610の外側メンブラン614と調整可能な内側管腔630の内側メンブラン633との間の容積部は、略トロイダル形状のチャンバ650を画定する。チャンバ650は、内側メンブラン633を介して管腔の内部から流体的に絶縁され得る。また、チャンバ650は、外側メンブラン614を介してデバイス600を取り巻く環境から流体的に絶縁され得る。したがって、いくつかの実施形態では、デバイスは、血液がチャンバ650に流入するのを防ぐように構成される。いくつかの実施形態では、チャンバ650は、圧縮可能な、及び/または変位可能な液体、気体、及び/またはゲルを含むことができる。したがって、管腔の直径が調整されると、液体または気体は、圧縮する、膨張する、及び/または変位することのいずれかが可能である。チャンバ650はまた、図5A~5Bを参照して上で説明したように、1つまたは複数の電子的構成要素(例えば、電池、センサなど)を収容することができる。それらのような実施形態では、電子的構成要素は、他のシステム構成要素から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、フレーム610の外側メンブラン614と内側メンブラン633との間の容積部は、ストラット634がフレーム610によって画定される空間内に部分的にのみ延びるように調整されるとき、またはストラット634が連結ストラット640によって画定される略円錐形の平面と整列するか、またはほぼ整列するような角にされるとき、減少させるか除去することができる。
【0073】
図7A~7Cは、デバイス600の調整可能な内側管腔630を概略的に示す。図7Aを参照すると、ストラット634は、近位端(例えば、RA)部分で第1の連結ストラット640aを介して、及び近位端(例えば、LAの近くの位置)部分(総称して「連結ストラット640」)の遠位の位置で、第2の連結ストラット640bを介して、フレーム610(例えば、図6に示されるアーム612)に接続される。上記のように、ストラット634は、管腔630の形状を少なくとも部分的に画定する。第1の連結ストラット640aは、デバイス600のRA側の近位連結部636でストラット634をフレーム610に連結することができる。第2の連結ストラット640bは、デバイス600のRA側(例えば、図7Aに示されるようにデバイス600の極端なLA側)の遠位にある遠位接続638でストラット634をフレーム610に接続することができる。第1の連結ストラット640aとストラット634との間の移行は、ヒンジまたは他の曲げ可能な態様635a(以降本明細書では「ヒンジ635a」と称される)を含むことができる。同様に、ストラット634と第2の連結ストラット640bとの間の移行もまた、ヒンジまたは曲げ可能な態様635b(以降本明細書では「ヒンジ635b」と称される)を含むことができる。以下に説明されるように、ヒンジ635は、第1及び第2の連結ストラット640に対してストラット634を曲げる、及び/または折り畳むことにより、内側管腔630の直径を動的に調整することを可能にする。
【0074】
図7Aを参照すると、デバイス600は、ストラット634により画定される管腔630が第1内径Xを有する第1構成で示される。フレーム610は直径Dを有し、近位連結部636及びヒンジ635aは距離Yだけ分離される。管腔630の内径を縮小させるために、内側管腔630の近位端部632が遠位に(例えば、LAに向けて)移動すると、ストラット634はヒンジ635a、635bで曲げられる。より具体的には、図示された実施形態において、ヒンジ635aでは第1の連結ストラット640a及びストラット634によって規定される角度が拡大し、ヒンジ635bでは第2の連結ストラット640b及びストラット634によって規定される角度が減少する。したがって、様々な実施形態では、ストラット634は、固定の長さを有するが、連結ストラット640によって範囲の位置を可動であることにより、管腔630の直径が変化する。それらのような実施形態では、ストラット634によって画定される管腔630は、管腔630の直径が変化しているときでさえ、一定の長さのままである(例えば、長さLは実質的に同じままである)。さらに、Lは、連結ストラット640a及び640bがそれぞれRA及びLAの近くで接続するように意図的に長くすることができ、それにより、より大きなトロイダルキャビティ650を作成する。あるいは、Lは、連結ストラット640a及び640bが互いに実質的に近接し得、それにより、より小さなまたは無視できるトロイダルキャビティ650を形成し得るように、意図的に小さくし得る。本技術の様々な実施形態が、図7A~7Cに示される実施形態のミラーを含み、それにより、X~Xを規定する調整可能なテーパ直径が、RA側ではなくLA側に向けられ、固定した直径Dは、LA側ではなくRA側に向けられることは、当業者には明らかである。
【0075】
図7Bは、デバイス600の第2構成を示し、それにおいては、内側管腔630は、第1内径Xよりも小さい第2内径Xを有する。近位端部636及びヒンジ635aは、距離Yより小さい距離Yだけ分離される。フレーム610の直径Dは実質的に変化しない。図7Cは、デバイス600の第3構成を示し、それにおいては、内側管腔630は、第2内径Xより小さい第3内径Xを有する。近位端部636及びヒンジ635aは、距離Yより小さい距離Yだけ分離される。フレーム610の直径Dは変化しない。上で議論されているように、ストラット634及び/または連結ストラット640は、形状記憶材料を含むことができる。したがって、ストラット634及び連結ストラット640が所望の位置に移行すると、能動的な入力が受信される(例えば、以下で議論されるような、作動機構を介して)まで、ストラットはそれらの構成を保定することができ、管腔は一定の直径を保定する。
【0076】
様々な実施形態では、デバイス600は、第1構成または形状から第2構成または形状に調整するように構成される。第1構成では、管腔630は、実質的に一定の第1直径を有する。第2構成では、管腔630は、実質的に一定の第1直径とは異なる実質的に一定の第2直径を有する。管腔は、その全長のすべて、または実質的にすべてに沿って実質的に一定の直径を有してもよい。ただし、他の実施形態では、管腔は、その長さの大部分のみに沿って実質的に一定の直径を有してもよい。例えば、管腔の直径は、中隔壁を通って延在する部分に沿って実質的に一定であってもよい。別の例では、管腔は、その全長に沿って実質的に一定の直径を有し、フレア状、漏斗状、テーパ状などのような、一端または両端で管腔に隣接する追加の特徴を含む。例えば、以下でより詳細に説明されるように、デバイス600は、心臓のLA(図示せず)との流体連通のために構成される漏斗形状の流入構成要素637と、心臓の右心房(図示せず)との流体連通のために構成される円筒形状の流出部分639とを含む管腔630を示す。
【0077】
図7A~7Cが3つの管腔直径を示すのみだが、当業者は、ストラット634が複数の構成または形状(図示せず)を介して作動した結果、複数の別個の管腔直径(図示せず)になることができることを理解するであろう。例えば、管腔630は、完全に開いた構成と完全に閉じた構成との間で任意の直径をとることができる。さらに、図示されるように管腔630の直径を縮小させることに加えて、ストラット634は、管腔630の直径を拡大させるように、連結ストラット640を介して選択的に作動することができる。内側管腔630の直径を拡大させるために、ヒンジ635aでは第1の連結ストラット640a及びストラット634によって規定される角度が縮小し、ヒンジ635bではストラット634及び第2の連結ストラット640bによって規定される角度が拡大するように、内側管腔630の近位端部632は、近位で(例えば、さらにRA内で)移動する。したがって、デバイス600は、管腔630の直径が管腔630を通る血液の流量を制御するように選択的に調整されることを可能にする。管腔630の具体的な直径は、患者のニーズに基づいて選択され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、デバイス600は、デバイス600の近くで血管内に送達される可膨張性バルーンを使用して調整され得る。例えば、バルーン(図示せず)は、カテーテルを介して送達され、管腔630内に位置決めされ得る。バルーンを膨張させることにより、ストラット634が半径方向の外向きに押し出され、管腔630が拡大することができる(例えば、図7Bに示される構成から図7Bに示される構成に移行する)。また、バルーンを使用して、ヒンジ635aなどで近位端部632を遠位に押し出すことによって、管腔630の直径を縮小させることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、デバイス600は、デバイス(図示せず)と共に植込まれる作動アセンブリを使用して調整され得る。いくつかの実施形態では、作動アセンブリは、デバイスに含まれ、1つ以上の連結ストラット640を作動させることによって内側管腔の直径を能動的に調整することができると、今度はストラット634の位置が変化する。いくつかの実施形態では、例えば、作動アセンブリは、作動したとき、近位端部632を遠位に引き込むので、ストラット634は、上述したように曲げられる。また、作動アセンブリは、ストラット634を直接曲げて管腔630の直径を変えるように構成され得る。いくつかの実施形態では、作動アセンブリはモータであることができる。さらに、エネルギーを線形運動に変換することができる他の材料(例えば、ニチノール)を使用することができる。いくつかの実施形態では、ニチノール要素は、ニチノール要素の作動によって可動なポールまたは他の機械的要素に結合される。
【0080】
デバイス600は、図2~5Bを参照して上で説明したように、1つまたは複数のセンサを含むか、または動作可能に結合することができる。センサは、例えばLAの血圧、RAの血圧、流速、心拍数、心臓出力、心筋ストレインなどの1つまたは複数の生理学的パラメータを検知するように構成することができる。センサは、例えば、(1)デバイスに埋込まれ得る、(2)デバイスから依然離れて植込まれ得る(例えば、LA、RA、CSなど)、及び/または(3)体外のウェアラブルパッチまたはデバイスに含まれ得る。いくつかの実施形態では、ウェアラブルパッチまたはデバイスは、センサデータを読み取ることもできる。センサは継続的に記録することも、選択した時間にオンにすることもできる。一実施形態では、例えば、センサは電池式であり、電池は環境発電を介して再充電される。センサは、感知された生理学的パラメータを、外部ディスプレイ要素、外部コントローラ、デバイスに含まれる制御回路、及び/またはデバイスに無線で結合された制御回路に送信することができる。いくつかの実施形態では、例えば、センサデータ(例えば、感知された生理学的パラメータ)を使用して、患者を能動的に監視し、及び/または本明細書で説明するように調整可能なデバイスを自動的に制御することができる。別の例では、センサは、LA及び/またはRA圧などのセンサデータを、外部表示要素及び/またはメモリ記憶装置に送信する。
【0081】
管腔の直径に加えて、管腔の形状もまた、デバイス600を通る流れを促進することができる。例えば、図7A~7Cに戻り参照すると、第2の連結ストラット640bは、心臓のLA(図示せず)との流体連通のために構成される漏斗形状の流入部分637を画定することができ、管腔630は、心臓のRAとの流体連通のために構成される円筒形状の流出部分639を含むことができる。図7Bに示されるように、円筒形状の流出部分639は長さLを有することができ、隣接する漏斗形状の流入部分637は長さLを有することができる。長さLに沿った円筒形状の流出部分639内の管腔630の直径は、実質的に一定である。長さLに沿った管腔630の実質的に一定の直径は、長さLに沿った漏斗形状の流入部分637の可変直径よりも小さい。図示された実施形態では、長さLは長さLよりも大きいものとして示されているが、他の実施形態は、長さLよりも大きい長さLを有する。いくつかの実施形態では、長さLは管腔630の長さの大部分に沿って延在し、長さLは管腔630の長さの小部分に沿って延在する。他の実施形態では、円筒形状の流出部分639を画定するストラット634は、遠位流入アパーチャと近位流出アパーチャとの間に延在し、漏斗形状の流入部分637は存在しない。また、円筒形状の流出部分639は、長さLに沿って実質的に一定の内寸を有する他の非円形断面形状を有することができる。例えば、長さLを有する流出部分の断面形状は、楕円形、三角形、矩形、五角形などであることができる。
【0082】
デバイス600が心臓内に植込まれるとき、血液は、漏斗形状の流入部分637では管腔630に流入し(例えば、遠位流入アパーチャを通って)、円筒形状の流出部分639を通ってRAに流入する。例示的な実施形態では、漏斗形状の流入部分637及び円筒形状の流出部分639の組み合わせは、デバイス600にいくつかの有益な流量特性をもたらすことが期待される。例えば、漏斗形状の流入部分637は、LAから管腔630への血流量を増加させることができる。遠位流入アパーチャが比較的大きくなることにより、集める血液量が多くなり得る。次に、血液は、比較的大きい直径の漏斗形状の流入部分637から、比較的小さい直径の円筒形状の流出部分639に流れる。ベンチュリ効果(数学用語ではベルヌーイの定理)に基づいて、圧力は下流で低減し、流速は、血液が漏斗形状の流入部分637から比較的小さい直径の円筒形状の流出部分639に流れるにつれて上がる。例示的な実施形態では、流出部分639は、長さLに沿って実質的に一定の直径を有する円筒形状を有する。円筒形状の流出部分639は、そこを通る流量を維持する。対照的に、漏斗形状の流出部はディフューザとして機能する。ベルヌーイの定理に基づいて、流出部での直径が拡大すると、流速が低下する。例示的な円筒形状の流出部は、流入部からのスワール効果及び乱流を低減させ、圧力上昇を最小にする。これらの効果を組み合わせることで、LAとRAとの間の血流を促進することが期待される。さらに、図7A~7Cに示されるように、デバイスは、構成間で移行すると、漏斗形状の流入部分637及び円筒形状の流出部分639を保定する。
【0083】
当業者は、本明細書の説明から、他の管腔形状が可能であり、本技術の範囲内にあることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、管腔は、漏斗形状の流入部分を含まず、むしろ管腔の実質的に全長に沿って実質的に一定の直径を保定する。例えば、管腔は、実質的に一定の直径が遠位端部と近位端部との間に延在している、実質的に円筒形であることができる。他の実施形態では、管腔は、テーパ状であり、遠位端部と近位端部との間に延在する可変直径を有する。例えば、管腔は、遠位端部に比較的大きい流入アパーチャ、及び近位端部に比較的小さい流出アパーチャを有することができ、管腔は、流入アパーチャと流出アパーチャとの間で内向きに一定のテーパ状で、漏斗形状を形成する。さらに他の実施形態では、管腔は、中央のピンチ点を有する略砂時計形状を有することができる。上で議論されるように、管腔の形状を変化させると、管腔を通る血流量に影響し得る。したがって、管腔の形状は、本技術に従って構成される、シャントを介したLAとRAとの間の血液の流量に対する制御の向上を容易にするための追加の機構を備える。
【0084】
図8A~8Cは、本技術の選択された実施形態に従って構成される、別の調整可能な心房間シャントデバイス800(「デバイス800」)を示す。特に、図8A~8Cは、デバイス800の断面図であり、シャント要素802と、シャント要素802を経る流れに対する抵抗を選択的に変更するための流れ制御機構850とを示している。いくつかのデバイス構成要素及び機能は、明確にするために図8A~8Cから削除されている。流れ制御機構は、第1の形状記憶合金構成要素851、第2の形状記憶合金構成要素852、アクチュエータ構成要素853、及び連結ストラット構成要素854を含む。シャント要素802は、調節可能な管腔ストラット805及び水平ストラット806を含み、これらは、デバイスを通る管状または他の方法で細長い導管を作成するように(すなわち、デバイスの第1の側から第2の側へ)配置され得る。図8Aは、第1の構成のデバイス800を示しており、第1の形状記憶合金構成要素851は長さが比較的短い第1の位置にあり、第2の形状記憶合金構成要素852は、長さが比較的拡張されている第1の位置にある。結果として、アクチュエータ構成要素853は、アセンブリの左側に向かう位置にバイアスされ、連結ストラット構成要素854は、比較的垂直である。図8Aに示される構成の連結ストラット構成要素854で、調整可能な管腔ストラット805は、管状導管に対して角度が付けられ、その結果、水平ストラット806によって作成された導管の比較的狭い左側開口部がもたらされる。この開口部は、第1の直径Dを有すると説明することができる。図8Bにおいて、デバイス800は、第2の構成で示され、これは、例えば、エネルギー構成要素(図示せず)に蓄積されたエネルギーが放出されて、第1の形状記憶合金構成要素851を直接的または間接的に加熱した後に達成され得る。この加熱により、第1の形状記憶合金構成要素851は、形状を比較的拡張された長さに変化させ、この拡張から生じる力により、第2の形状記憶合金構成要素852は、長さが比較的コンパクトな第2の位置に移動する。したがって、アクチュエータ構成要素853は、アセンブリの右側により偏った第2の位置に駆動され、したがって、連結ストラット構成要素854は、配向が比較的水平である及び/または流体導管を作成する水平ストラット806とよく整列している第2の位置に移動された。結果として、導管の左側の開口部は、比較的大きな第2の直径Dを有する。様々な実施形態において、経中隔構成要素の構成要素は、導管の1つまたは複数のセクションの形状または断面の直径を、導管の長さを変えずに(例えば、L=L)変化させて、移動し得る(エネルギー適用法、機械的調整法、または他の方法のいずれかを介して)。
【0085】
図8Cは、図8A及び8Bに関する上記のデバイス800の特定の態様の変形例の断面図である。多くの態様は、図8A及び8Bで上記したものと同様であるが、この実施形態では、調整可能な管腔ストラット805は、水平ストラット806によって画定される導管の内部構成要素である。示されるように構成されたデバイスの管腔の直径は、2つのパラメータによって特徴付けることができる。水平ストラット806によって定められる導管の直径を表すD、及び1つまたは複数の調整可能な管腔ストラット805の位置によって定められる導管の内径を表すDである。導管の全長は、長さLで表すことができる。様々な実施形態において、アクチュエータ構成要素853の動きは、直径Dを変えることができるが、パラメータD及びLによって記述されるサイズ/長さ/直径は、アクチュエータ構成要素853の位置に関係なく、概して変化しないままである。
【0086】
様々な実施形態では、経中隔デバイスは、複数の調整可能なストラットアーム805、複数の第1及び第2の形状記憶合金構成要素851及び852、複数のアクチュエータ構成要素853、及び様々な組み合わせの他の構成要素を含み得る。様々な実施形態において、エネルギー貯蔵構成要素(図示せず)に貯蔵されたエネルギーは、形状記憶可能構成要素に直接送達されない場合がある(例えば、エネルギー及び/または熱を形状記憶合金構成要素に次に伝達し得る中間構成要素に送達され得る)。例では、エネルギー貯蔵構成要素に蓄積されたエネルギーは、形状記憶合金構成要素のセクションと接続する1つまたは複数の金属コイルに伝達され、コイルが抵抗的に加熱されると、それらはこの熱を形状記憶合金構成要素に伝達する。
【0087】
本明細書の開示から、他のシャントデバイス、シャント要素、及び流れ制御機構を、本明細書に記載のシャントシステムと共に使用できることが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、シャントシステムはゲート状バルブを含むことができ、このゲート状バルブは、フロー管腔を遮断する、または少なくとも部分的に遮断する第1位置と、フロー管腔を遮断解除する、または少なくとも部分的に遮断解除する第2位置との間で移動することができる。それらのような実施形態では、ゲート状バルブは1つ以上の形状記憶要素に結合されることができ、これら1つ以上の形状記憶要素は、エネルギー貯蔵構成要素に貯蔵されるエネルギー、または患者の外部に位置決めされるエネルギー源を介して形状記憶要素に直接与えられるエネルギーなどのエネルギーを使用して操作され得る。別の例として、シャントシステムは、フロー管腔を画定するシャント要素の一部分の周りにラップされる1つ以上の形状記憶コイルを含むことができる。形状記憶コイルは、フロー管腔の一部を制限する(例えば、緊締する)または緩める(例えば、緊締解除する)ために、選択的に巻かれる、または解かれることができる。さらに他の実施形態では、シャント要素は、流体または気体で充填される可撓性ブラダーを含むことができる。可撓性ブラダーは、それを通るフロー管腔を画定するように略トロイダル形状であることができる。流体または気体はブラダーに送り込み、またはそれから送り出すように向けられ、管腔のサイズを縮小させる、または拡大させることができる。さらに他の実施形態では、シャント要素は、2つの心腔間の圧力差に基づいてフロー管腔のサイズまたは形状を調整することができる、少なくとも部分的に受動的な概念を組み込むことができる。したがって、本明細書で説明されるシステムは、本明細書に明示的に記載されている流量制御機構及び/またはシャントデバイスに限定されない。国際特許出願番号PCT/US2020/049996及びPCT/US2020/038549に記載されているもののいずれかなどの、他の適切なシャントデバイスは、利用することができ、本技術の範囲内にあり、これらの開示は、参照により本明細書に以前に組み込まれた。
【実施例0088】
本技術のいくつかの態様は、以下の実施例に記載される。
【0089】
1. 患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、
前記左心房に配置可能な第1のオリフィスと前記右心房に配置可能な第2のオリフィスとの間を貫通して伸びる管腔を有するシャント要素であって、前記管腔は、前記シャント要素が前記患者に植込まれるときに、前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、シャント要素、
エネルギーを受取るように構成された植込み式エネルギー受取構成要素、及び
前記エネルギー受取構成要素と電気的に通信するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素、を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素内に貯蔵された前記エネルギーを使用して、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの形状を選択的に調整することができる、システム。
【0090】
2. 前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するように構成された作動機構をさらに備え、
前記エネルギー受取構成要素は、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成され、
前記エネルギー貯蔵構成要素は、(a)前記エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵し、(b)前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記作動機構に電力を供給するようにさらに構成される、実施例1に記載のシステム。
【0091】
3. 前記作動機構が1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを放出して前記1つまたは複数の形状記憶要素を加熱するように構成される、実施例2に記載のシステム。
【0092】
4. 前記エネルギー受取構成要素が、(i)前記患者の外部に配置された前記エネルギー源からエネルギーを受取り、及び/または(ii)前記患者の外部に配置された前記エネルギー源によって生成される磁場または電場に曝されたときにエネルギーを生成するように構成された金属ワイヤである、実施例2または3に記載のシステム。
【0093】
5. 前記エネルギー受取構成要素が、前記エネルギー貯蔵構成要素から放出されたエネルギーを受取るように構成され、
前記エネルギー受取構成要素で受取られた前記エネルギーが、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調節するために使用される、実施例1に記載のシステム。
【0094】
6. 前記エネルギー受取構成要素が、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するように構成された形状記憶作動要素を含む、実施例5に記載のシステム。
【0095】
7. 前記エネルギー受取構成要素で受取られた前記エネルギーが、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するため前記形状記憶作動要素を加熱する、実施例6に記載のシステム。
【0096】
8. 患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、前記左心房に配置可能な第1のオリフィスと前記右心房に配置可能な第2のオリフィスとの間を貫通して伸びる管腔を有するシャント要素であって、前記管腔は、前記シャント要素が前記患者に植込まれるときに、前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、シャント要素、
前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの形状を選択的に調整するように構成された作動機構、
エネルギー源からエネルギーを受取るように構成された植込み式エネルギー受取構成要素、及び
前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素であって、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記作動機構及び/または前記システムの1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するようにさらに構成される、植込み式エネルギー貯蔵構成要素、
を含む、システム。
【0097】
9. 植込まれると、前記エネルギー受取構成要素及び前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記患者の中隔壁の反対側に存在するように構成される、実施例8に記載のシステム。
【0098】
10. 前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記エネルギー貯蔵構成要素の内皮化を促進するように構成された1つまたは複数の組織内部成長特徴を含む、実施例8または9に記載のシステム。
【0099】
11. 前記1つまたは複数の組織内部成長特徴が、外部コーティング、格子構造、粗面化された表面、及び/またはメッシュ構造を含む、実施例10に記載のシステム。
【0100】
12. 前記エネルギー貯蔵構成要素が、電池またはコンデンサを含む、実施例8~11のいずれかに記載のシステム。
【0101】
13. 前記エネルギー貯蔵構成要素は、第1のエネルギー貯蔵構成要素であり、前記システムは、第2のエネルギー貯蔵構成要素をさらに含む、実施例8~12のいずれかに記載のシステム。
【0102】
14. 前記第1のエネルギー貯蔵構成要素が電池を含み、前記第2のエネルギー貯蔵構成要素がスーパーキャパシタを含む、実施例13に記載のシステム。
【0103】
15. 前記エネルギー受取構成要素が、(i)前記エネルギー源からエネルギーを受取り、及び/または(ii)前記エネルギー源によって生成された磁場または電場に曝されたときにエネルギーを生成するように構成された金属ワイヤを含む、実施例8~14のいずれかに記載のシステム。
【0104】
16. 前記エネルギー受取構成要素が、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、実施例8~15のいずれかに記載のシステム。
【0105】
17. 前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記作動機構を作動させるように構成される、実施例8~16のいずれかに記載のシステム。
【0106】
18. 前記作動機構が1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを放出して前記1つまたは複数の形状記憶要素を加熱するように構成される、実施例17に記載のシステム。
【0107】
19. 前記形状記憶要素が転移温度を有し、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記1つまたは複数の形状記憶要素を、前記転移温度を超える温度に加熱するのに十分なエネルギーを放出するように構成される、実施例18に記載のシステム。
【0108】
20. 前記シャント要素が外径を有し、前記管腔が管腔直径を有し、
前記作動機構が、前記外径を実質的に変更することなく前記管腔直径を選択的に調整するように構成される、実施例8~19のいずれかに記載のシステム。
【0109】
21. 前記作動機構がモータを含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記モータに電力を供給するように構成される、実施例8~20のいずれかに記載のシステム。
【0110】
22. 前記1つまたは複数の能動構成要素は、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータを測定するように構成された1つまたは複数のセンサを含み、
前記エネルギー貯蔵要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記1つまたは複数のセンサに電力を供給するように構成される、実施例8~21のいずれかに記載のシステム。
【0111】
23. 前記1つまたは複数のセンサは、前記左心房の第1の生理学的パラメータを測定するために前記患者の体内に植込まれ得る第1のセンサと、前記右心房の第2の生理学的パラメータを測定するために前記患者に植込まれ得る第2のセンサとを含む、実施例22に記載のシステム。
【0112】
24. 前記中隔壁を横断するように構成された植込み式ハウジングをさらに備え、前記ハウジングが、
前記左心房内に延びるように構成される第1の端部であって、前記第1のセンサを収容する、第1の端部、及び
前記右心房内に延びるように構成される第2の端部であって、前記第2のセンサを収容する、第2の端部、
を備える、実施例23に記載のシステム。
【0113】
25. 前記第1の生理学的パラメータは左心房圧であり、前記第2の生理学的パラメータは右心房圧である、実施例23または24に記載のシステム。
【0114】
26. 前記測定された第1の生理学的パラメータ及び前記測定された第2の生理学的パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を計算するように構成されたプロセッサをさらに備える、実施例25に記載のシステム。
【0115】
27. 前記第1及び/または第2の生理学的パラメータ及び/または前記左心房と前記右心房の間の前記圧力差に少なくとも部分的に基づいて、前記管腔、前記第1のオリフィス、及び/または前記第2のオリフィスの前記形状を選択的に調整するために前記作動機構を方向付けるように構成されたコントローラをさらに備える、実施例26に記載のシステム。
【0116】
28. 前記コントローラは、前記圧力差が所定の閾値上限を超える、及び/または所定の閾値下限を下回る場合に、前記作動機構を調整するように構成される、実施例27に記載のシステム。
【0117】
29. 前記コントローラは、前記圧力差の変化率が所定の閾値を超えた場合に前記作動機構を調整するように構成される、実施例27に記載のシステム。
【0118】
30.前記シャント要素、前記作動機構、前記エネルギー受取構成要素、または前記エネルギー貯蔵構成要素のうちの少なくとも1つに無線で接続されるコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、前記作動機構の作動を開始させるユーザインターフェースを提供する、実施例8~29のいずれかに記載のシステム。
【0119】
31. 植込み式ハウジングであって、前記ハウジングの外部の環境から流体を隔離するように構成されたチャンバを含み、前記チャンバは、前記システムの1つまたは複数の構成要素を含む、植込み式ハウジングをさらに備える、実施例8~30のいずれかに記載のシステム。
【0120】
32. 前記ハウジングが、前記左心房内に配置されるように構成された第1の端部と、前記右心房内に配置されるように構成された第2の端部とを有する、実施例31に記載のシステム。
【0121】
33. 前記シャント要素に結合された膜をさらに含み、
前記シャント要素が前記患者に植込まれるとき、前記膜は前記中隔壁を備えたチャンバを画定し、
前記チャンバは前記左心房と前記右心房から流体的に隔離され、
前記エネルギー受取構成要素、前記エネルギー貯蔵構成要素、前記作動機構、及び/または前記ハウジングは、前記チャンバ内に配置されている、実施例8~32のいずれかに記載のシステム。
【0122】
34. 患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、
前記患者の中隔壁を横切って植込まれ得るシャント要素であって、前記患者に植込まれたときに前記患者の前記左心房と前記右心房とを流体的に接続するように構成される、シャント要素、
前記中隔壁の第1の側に配置されるように構成された植込み式エネルギー受取構成要素であって、エネルギーを受取るようにさらに構成された、エネルギー受取構成要素、及び
前記第1の側とは反対側の前記中隔壁の第2の側に配置されるように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素であって、(i)前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵し、及び/または(ii)前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記システムの1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するようにさらに構成される、エネルギー貯蔵構成要素、
を備える、システム。
【0123】
35. 前記エネルギー貯蔵構成要素が、前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成される、実施例34に記載のシステム。
【0124】
36. 前記エネルギー貯蔵構成要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記システムの前記1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するように構成される、実施例34に記載のシステム。
【0125】
37. 前記エネルギー貯蔵構成要素は、(i)前記植込まれたエネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵し、(ii)前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記システムの前記1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するように構成される、実施例34に記載のシステム。
【0126】
38. 前記中隔壁の前記第1の側が前記左心房側であり、前記中隔壁の前記第2の側が前記右心房側である、実施例34~37のいずれかに記載のシステム。
【0127】
39. 前記中隔壁の前記第1の側が前記右心房側であり、前記中隔壁の前記第2の側が前記左心房側である、実施例34~38のいずれかに記載のシステム。
【0128】
40. 前記システムの前記1つまたは複数の能動構成要素が、前記患者の生理学的パラメータを測定するように構成された1つまたは複数のセンサを含む、実施例34~39のいずれかに記載のシステム。
【0129】
41. 前記1つまたは複数のセンサが、血圧、流速、pH、SpO2、SpC、SpMet、心拍数、心拍出量、及び/または心筋ストレインを測定するように構成される、実施例40に記載のシステム。
【0130】
42. 前記1つまたは複数の能動構成要素が、前記シャント要素の形状を選択的に調整するように構成された作動機構を含む、実施例34~41のいずれかに記載のシステム。
【0131】
43. 前記1つまたは複数の能動構成要素は、前記エネルギー受取構成要素を含み、
前記エネルギー受取構成要素は、前記エネルギー貯蔵構成要素からエネルギーを受取るように構成される、実施例34に記載のシステム。
【0132】
44. 前記エネルギー受取構成要素が、前記シャント要素の形状を選択的に調整するように構成された作動要素を含む、実施例43に記載のシステム。
【0133】
45. 前記エネルギー受取構成要素が、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、実施例34~44のいずれかに記載のシステム。
【0134】
46. 左心房と右心房を流体的に接続する管腔を有する調整可能な心房間シャントシステムを使用して、患者の前記左心房と前記右心房との間の血流を選択的に制御する方法であって、
植込まれたエネルギー受取構成要素を介して、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取ること、
前記植込まれたエネルギー受取構成要素で受取られた前記エネルギーを、植込まれたエネルギー貯蔵構成要素に転送することであって、前記エネルギー貯蔵構成要素は、前記エネルギーを貯蔵する、こと、
前記植込まれたエネルギー貯蔵構成要素からの前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して、前記管腔の形状を調整し、前記管腔を通る流れを選択的に変更すること、
を備える、方法。
【0135】
47. 前記エネルギーを受取ることは、高周波エネルギー及び/または磁気エネルギーを受取ることを含む、実施例46に記載の方法。
【0136】
48. 1つまたは複数のセンサを介して、1つまたは複数の生理学的パラメータを測定することをさらに含む、実施例46または47に記載の方法。
【0137】
49. 少なくとも部分的に前記1つまたは複数の測定された生理学的パラメータに基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を判定することをさらに含む、実施例48に記載の方法。
【0138】
50. 前記管腔の前記直径を調整することは、少なくとも部分的に、所定の範囲以外にある前記判定された圧力差に基づく、実施例49に記載の方法。
【0139】
51. 患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、
貫通して伸びる管腔を有するシャント要素であって、前記管腔は、前記シャント要素が前記患者に植込まれるときに、前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、シャント要素、
前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、エネルギー受取構成要素、及び
前記エネルギー受取構成要素によって受取られるエネルギーを介して前記管腔のサイズ及び/または形状を選択的に変更するように構成された作動機構、
を含む、システム。
【0140】
52. エネルギー貯蔵構成要素であって、前記エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成される、エネルギー貯蔵構成要素をさらに備える、実施例51に記載のシステム。
【0141】
53. 前記エネルギー貯蔵構成要素に貯蔵された前記エネルギーが、前記作動機構を作動させるために使用され得る、実施例52に記載のシステム。
【0142】
54. 前記シャント要素が外径を有し、前記管腔が管腔直径を有し、
前記作動機構が、前記外径を実質的に変化することなく前記管腔直径を選択的に変更するように構成される、実施例51~53のいずれかに記載のシステム。
【0143】
55. 前記シャント要素が、前記管腔を少なくとも部分的に画定する1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記作動機構が、前記1つまたは複数の形状記憶要素にエネルギーを加えて前記管腔の前記サイズ及び/または形状を変更するように構成される、実施例51~54のいずれかに記載のシステム。
【0144】
56. 前記形状記憶要素が転移温度を有し、
前記作動機構が、前記1つまたは複数の形状記憶要素を、前記転移温度を超える温度に加熱するように構成される、実施例55に記載のシステム。
【0145】
57. 前記エネルギーが前記形状記憶要素の応力-ひずみ曲線に沿って前記形状記憶要素にひずみを引き起こす、実施例55または56に記載のシステム。
【0146】
58. 前記作動機構が、1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記1つまたは複数の形状記憶要素が、前記管腔の前記サイズ及び/または形状を選択的に変更するように形状を変えるよう構成される、実施例51~57のいずれかに記載のシステム。
【0147】
59. 前記作動機構がモータを含む、実施例51~58のいずれかに記載のシステム。
【0148】
60. 前記左心房の第1の生理学的パラメータを測定するために前記患者の体内に植込まれ得る第1のセンサと、前記右心房の第2の生理学的パラメータを測定するために前記患者に植込まれ得る第2のセンサとをさらに含む、実施例51~59のいずれかに記載のシステム。
【0149】
61. 前記第1の生理学的パラメータは左心房圧であり、前記第2の生理学的パラメータは右心房圧である、実施例60に記載のシステム。
【0150】
62. 前記測定された第1の生理学的パラメータ及び前記測定された第2の生理学的パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を計算するように構成されたプロセッサをさらに備える、実施例60または61に記載のシステム。
【0151】
63. 前記第1及び/または第2の生理学的パラメータ及び/または前記左心房と前記右心房との間の前記圧力差に少なくとも部分的に基づいて、前記管腔のサイズ及び/または形状を選択的に変更するために前記作動機構を方向付けるように構成されたコントローラをさらに備える、実施例60~62のいずれかに記載のシステム。
【0152】
64. 前記コントローラは、前記圧力差が所定の閾値上限を超える、及び/または所定の閾値下限を下回る場合に、前記作動機構を調整するように構成される、実施例63に記載のシステム。
【0153】
65. 前記コントローラが、前記圧力差の変化率が所定の閾値を超えた場合に前記作動機構を調整するように構成される、実施例63に記載のシステム。
【0154】
66. 前記シャント要素、前記作動機構、または前記エネルギー受取構成要素のうちの少なくとも1つに無線で接続されるコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、前記作動機構の作動を開始させるユーザインターフェースを提供する、実施例51~65のいずれかに記載のシステム。
【0155】
67. 植込み式ハウジングであって、前記ハウジングの外部の環境から流体を隔離するように構成されたチャンバを含む、植込み式ハウジングをさらに備える、実施例51~66のいずれかに記載のシステム。
【0156】
68. 前記ハウジングが、前記左心房内に配置されるように構成された第1の端部と、前記右心房内に配置されるように構成された第2の端部とを有する、実施例67に記載のシステム。
【0157】
69. 前記第1のセンサが前記ハウジングの前記第1の端部に隣接して配置され、前記第2のセンサが前記ハウジングの前記第2の端部に隣接して配置される、実施例68に記載のシステム。
【0158】
70. 前記シャント要素に結合された膜をさらに含み、
前記シャント要素が前記患者に植込まれるとき、前記膜は前記中隔壁に関しチャンバを画定し、
前記エネルギー受取構成要素、前記エネルギー貯蔵構成要素、前記作動機構、及び/または前記ハウジングは、前記チャンバ内に配置されている、実施例51~69のいずれかに記載のシステム。
【0159】
71. 左心房と右心房を流体的に接続する管腔を有する調整可能な心房間シャントシステムを使用して、患者の前記左心房と前記右心房との間の流れを選択的に制御する方法であって、
前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取ること、及び
前記エネルギーを使用して前記管腔の直径を調整することであって、前記管腔の前記直径を調整することが、前記管腔を通る流れを変更する、こと、
を含む、方法。
【0160】
72. 前記エネルギーを受取った後、前記エネルギーを使用して前記管腔の前記直径を調整する前に、エネルギー貯蔵構成要素に前記エネルギーを貯蔵することをさらに含む、実施例71に記載の方法。
【0161】
73. 前記エネルギーを受取ることは、高周波エネルギー及び/または磁気エネルギーを受取ることを含む、実施例70または71に記載の方法。
【0162】
74. 1つまたは複数のセンサを介して、1つまたは複数の生理学的パラメータを測定することをさらに含む、実施例71~73のいずれかに記載の方法。
【0163】
75. 少なくとも部分的に前記1つまたは複数の測定された生理学的パラメータに基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を判定することをさらに含む、実施例74に記載の方法。
【0164】
76. 前記管腔の前記直径を調整することは、少なくとも部分的に、所定の範囲以外にある前記判定された圧力差に基づく、実施例75に記載の方法。
【0165】
77. 左心房と右心房を流体的に接続する管腔を有する調整可能な心房間シャントシステムを使用して、患者の前記左心房と前記右心房との間の流れを選択的に制御する方法であって、
前記患者の外部に配置された単一の供給源から信号を受取ること、及び
前記信号に応じて、前記管腔の直径を調整して、前記管腔を通る前記流れを変更すること、を含む、方法。
【0166】
78. 前記管腔の直径を調整することは、前記管腔に作動可能に結合された、または前記管腔を画定する1つまたは複数の要素に熱を加えることを含む、実施例77に記載の方法。
【0167】
79. 中隔インプラントであって、
前記中隔インプラントが心臓に植込まれるときに、前記中隔壁の第1の側を前記中隔壁の第2の側と流体接続するように構成された管腔、及び
1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素であって、局所的な組織によって内皮化されるように構成される1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素を含む、中隔インプラント。
【0168】
80. 前記1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素が、内皮化を促進するように構成された外部コーティングを含む、実施例79に記載の中隔インプラント。
【0169】
81. 前記1つまたは複数のエネルギー貯蔵構成要素が、内皮化を促進するように構成された外側ジャケット材料を含む、実施例79または80に記載の中隔インプラント。
【0170】
82. 前記エネルギー貯蔵構成要素は、(i)体の外部の供給源から供給されるエネルギーを貯蔵し、(ii)前記貯蔵されたエネルギーを前記中隔インプラントの一部に供給して、前記管腔の形状または他の特性を変化させるように構成される、実施例79~81のいずれかに記載の中隔インプラント。
【0171】
83. 中隔インプラントであって、
前記中隔壁を横切り、心臓に植込まれるときに、前記中隔壁の第1の側を前記中隔壁の第2の側と流体接続するように構成された細長い管状要素、
前記中隔インプラントが前記心臓に植込まれるときに前記中隔壁の前記第1の側に配置される第1の電子的構成要素、及び
前記中隔インプラントが前記心臓に植込まれるときに前記中隔壁の前記第2の側に配置される第2の電子的構成要素、
を備える、中隔インプラント。
【0172】
84. 前記第1の電子的構成要素がエネルギー受取要素であり、前記第2の電子的構成要素がエネルギー貯蔵要素である、実施例83に記載の中隔インプラント。
【0173】
85. 前記第1の電子機器が前記中隔壁から6mm未満離れて延びる、実施例83または84に記載の中隔インプラント。
【0174】
86. 前記細長い管状要素を所望の位置に固定するように構成された固定要素をさらに含み、
前記第1の電子的構成要素及び/または前記第2の電子的構成要素が前記固定要素と前記中隔壁との間に配置される、実施例83~85のいずれかに記載の中隔インプラント。
【0175】
87. 前記中隔インプラントの少なくとも一部を包み、前記心臓内の血液から流体的に隔離された1つまたは複数のチャンバを画定するように構成された膜をさらに含む、実施例83~86のいずれかに記載の中隔インプラント。
【0176】
88. 前記第1の電子的構成要素及び/または前記第2の電子的構成要素が前記1つまたは複数のチャンバ内に配置されている、実施例87に記載の中隔インプラント。
【0177】
89. 前記中隔インプラントが植込まれた後、前記1つまたは複数のチャンバが少なくとも部分的に流体で満たされるように構成される、実施例87に記載の中隔インプラント。
【0178】
90. 患者に植込まれた中隔インプラントの形状を調整するための方法であって、
前記中隔インプラントと結合されたエネルギー受取構成要素にエネルギーを向けることであって、前記エネルギーは、前記患者の外部に配置され、前記エネルギー貯蔵構成要素に貯蔵されるエネルギー源から向けられる、こと、及び
前記エネルギー貯蔵構成要素から貯蔵されたエネルギーを放出することにより、前記中隔インプラントの前記形状を選択的に調整すること、
を含む、方法。
【0179】
91. 前記中隔インプラントの前記形状を選択的に調整することは、前記放出されたエネルギーを使用して前記中隔インプラントの1つまたは複数の構成要素を選択的に加熱することを含む、実施例90に記載の方法。
【0180】
結論
本開示の実施形態は、以下の、電池、スーパーキャパシタ、または他の適切な電源;インプラントの動作を駆動するソフトウェア及び/またはファームウェアを格納し実行することができるマイクロコントローラ、FPGA、ASIC、または他のプログラマブル構成要素もしくはシステム;インプラント及び/またはその動作に関連するデータ及び/またはソフトウェア/ファームウェアを格納するRAMまたはROMのようなメモリ;Bluetooth(登録商標)、WiFi、または当該技術で知られている他のプロトコルを介して伝送するように構成されたアンテナシステムなどの無線通信ハードウェア;エネルギーハーベスティング手段、例えば、デバイスへの電力供給、電池の充電、センサからの読み出し開始、または他の目的のために使用されることができる外部から提供された信号を受信する、及び/または読み出すことができるコイルまたはアンテナ、という構成要素の一部または全部を含んでもよい。また、実施形態は、圧力センサ、インピーダンスセンサ、加速度計、力/ひずみセンサ、温度センサ、流量センサ、光センサ、カメラ、マイクロフォンまたは他の音響センサ、超音波センサ、ECGまたは他の心調律センサ、組織及び/または血液ガスレベルの測定に適合したSpO2及び他のセンサ、血液量センサ、ならびに当業者に知られている他のセンサなど、1つ以上のセンサを含んでもよい。実施形態は、蛍光透視法、超音波法、または他の撮像法などの技法を用いた画像誘導植込みまたは画像誘導手技を容易にするために、放射線不透過性及び/または超音波反射性である部分を含んでもよい。システムの実施形態は、インプラントを送達する、及び/または手技を実行するように適合される特殊な送達カテーテル/システムを含んでもよい。システムは、ガイドワイヤ、シース、ダイレータ、及び複数の送達カテーテルなどの構成要素を含んでもよい。構成要素は、オーバーザワイヤ、ラピッドエクスチェンジ、コンビネーション、またはその他の手法で交換されてもよい。
【0181】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本技術を上記に開示された精密な形態に限定することを意図するものではない。本技術の特定の実施形態、及び本技術のための実施例は、説明のために上で述べたが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の変更が可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行することができる。また、本明細書に記載の様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するように組み合わされてもよい。例えば、本開示は、左心房と右心房、左心室と右心室、または左心房と冠状静脈洞との間の流体連通の経路を作製するために使用されると概して説明されるデバイスを説明するために書かれているが、同様の実施形態が他の心腔間のシャント、または身体の他の領域のシャントに利用されることができることを理解されたい。
【0182】
前述のことから、本技術の特定の実施形態は、説明の目的で本明細書に記載されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造及び機能は詳細に示されていないかまたは説明されていないことが理解されよう。文脈が許容する場合、単数または複数の用語はまた、それぞれ、複数または単数の用語を含み得る。
【0183】
文脈上明らかに別の解釈を必要とする場合を除き、明細書及び実施例全体を通して、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」等の用語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「~を含むが~に限定されない(including,but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。本明細書で使用するとき、用語「接続され(connected)」、「結合され(coupled)」、またはその任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の接続または結合を意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであってよい。さらに、「本明細書では(herein)」、「上に(above)」、「以下(below)」、及び類似の意味の用語は、本出願において使用される場合、本出願全体を指し、本出願の特定の部分を指すものではない。文脈上許容される場合、単数または複数の数を使用する上記の発明を実施するための形態における語は、それぞれ複数または単数の数を含むこともできる。本明細書で使用される場合、「A及び/またはB」における字句「及び/または」は、Aのみ、Bのみ、ならびにA及びBを指す。加えて、用語「備える(comprising)」は、任意のより多数の同じ特徴及び/または追加の種類の他の特徴が排除されないように、少なくとも列挙された特徴(複数可)を含むことを意味するために、本開示を通して使用される。また、具体的な実施形態が本明細書で例証の目的で記載されているが、本技術から逸脱することなく種々の修正が行われてもよいことが理解されよう。さらに、本技術の一部の実施形態と関連付けられた利点は、それらの実施形態に照らして記載されたが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、すべての実施形態が、その技術の範囲内に入るように必ずしもそのような利点を呈することを要するとは限らない。したがって、本開示及び関連付けられた技術は、本明細書に明示的に示されないまたは記載されない他の実施形態を包含することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、前記システムは、
前記左心房に配置可能な第1の部分と、前記右心房に配置可能な第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間を貫通して伸びる管腔とを有するシャント要素であって、前記管腔は、前記シャント要素が前記患者に植込まれるときに、前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、シャント要素と、
エネルギー源からエネルギーを受取るように構成された植込み式エネルギー受取構成要素と、
前記植込み式エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素と
を含み、
前記植込み式エネルギー貯蔵構成要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記システムの1つまたは複数の能動構成要素に電力を供給するようにさらに構成される、システム。
【請求項2】
前記1つまたは複数の能動構成要素は、前記管腔の形状を選択的に調整するように構成された作動機構を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作動機構は、1つまたは複数の形状記憶要素を含み、
前記エネルギー貯蔵構成要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記1つまたは複数の形状記憶要素を加熱するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の能動構成要素は、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータを測定するように構成された1つまたは複数のセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のセンサは、前記左心房の第1の生理学的パラメータを測定するために前記患者内に植込まれ得る第1のセンサと、前記右心房の第2の生理学的パラメータを測定するために前記患者内に植込まれ得る第2のセンサとを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の生理学的パラメータは左心房圧であり、前記第2の生理学的パラメータは右心房圧である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記測定された第1の生理学的パラメータ及び前記測定された第2の生理学的パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を計算するように構成されたプロセッサをさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記植込み式エネルギー貯蔵構成要素は、電池、コンデンサ、及び/またはスーパーキャパシタを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記植込み式エネルギー受取構成要素は、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記植込み式エネルギー受取構成要素は、前記患者内に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
患者の左心房と右心房との間で血液をシャントするためのシステムであって、前記システムは、
前記患者の前記左心房と前記右心房との間の中隔壁に固定されるように構成されたフレームと、
前記フレームを通って伸びる管腔であって、前記管腔は、前記システムが前記患者に植込まれるときに前記左心房と前記右心房とを流体連結するように構成されている、管腔と、
前記患者の前記左心房及び/または前記右心房に関連する1つまたは複数の生理学的パラメータを測定するように構成された1つまたは複数の植込み式センサと、
エネルギー源からエネルギーを受取るように構成されたエネルギー受取構成要素と
を含み、
前記受取られたエネルギーは、前記1つまたは複数の植込み式センサに電力を供給するために使用される、システム。
【請求項12】
前記エネルギー受取構成要素によって受取られたエネルギーを貯蔵するように構成された植込み式エネルギー貯蔵構成要素をさらに含み、前記植込み式エネルギー貯蔵構成要素は、前記貯蔵されたエネルギーを選択的に放出して前記1つまたは複数のセンサに電力を供給するようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のセンサは、前記左心房の第1の生理学的パラメータを測定するために前記患者内に植込まれ得る第1のセンサと、前記右心房の第2の生理学的パラメータを測定するために前記患者内に植込まれ得る第2のセンサとを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の生理学的パラメータは左心房圧であり、前記第2の生理学的パラメータは右心房圧である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記測定された第1の生理学的パラメータ及び前記測定された第2の生理学的パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記左心房と前記右心房との間の圧力差を計算するように構成されたプロセッサをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記植込み式エネルギー受取構成要素は、前記患者の外部に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記植込み式エネルギー受取構成要素は、前記患者内に配置されたエネルギー源からエネルギーを受取るように構成される、請求項11に記載のシステム。
【外国語明細書】