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  • 特開-ステントデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120914
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ステントデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240829BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094955
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2021519136の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】1820898.3
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】503116084
【氏名又は名称】バスクテック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VASCUTEK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー マクドナルド
(57)【要約】
【課題】本発明は、ステントデバイスに関する。
【解決手段】ステントデバイスはスリーブを備える。スリーブは、長さに沿って配置された複数の圧縮可能なバネ製リング要素(21)で形成され、圧縮状態および拡張状態を有する。リング要素は、それぞれ、隣接するリング要素がデバイスの長手方向の範囲に沿って少なくとも部分的に重なり合うように、スリーブの表面に波状のプロファイルを備える。リング要素は、リング要素の自然な弾力性に抗して圧縮可能であり、圧縮されたステントデバイスをフランジブルシースに収容可能とするためにスリーブの外径を低減する。隣接するリング要素は、圧縮状態と拡張状態の間で軸方向の間隔を実質的に維持するように、相互結合されている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントデバイスであって、スリーブを備え、前記スリーブは、長さに沿って配置された複数の圧縮可能なバネ製リング要素で形成され、圧縮状態および拡張状態を有し、前記リング要素は、それぞれ、隣接する前記リング要素が前記デバイスの長手方向の範囲に沿って少なくとも部分的に重なり合うように、前記スリーブの表面に波状のプロファイルを備え、前記リング要素は、前記リング要素の自然な弾力性に抗して圧縮可能であり、圧縮された前記ステントデバイスをフランジブルシースに収容可能とするために前記スリーブの外径を低減し、隣接するリング要素は、圧縮状態と拡張状態の間で軸方向の間隔を実質的に維持するように、相互結合されている、ステントデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のステントデバイスであって、各リング要素の前記波状のプロファイルは、前記スリーブの外周で前記スリーブの表面の周りに延在する、ステントデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のステントデバイスであって、各リング要素は、双曲放物線のプロファイルを備える、ステントデバイス。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のステントデバイスであって、圧縮された構成で、1つのリング要素の山が、軸方向に隣接するリング要素の谷に重なる、ステントデバイス。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のステントデバイスであって、前記リング要素は、スリーブ材料に取り付けることによって相互接続される、ステントデバイス。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のステントデバイスであって、隣接するリング要素が軸方向に重なり合う部分で、前記隣接するリング要素の軸方向の間隔は、前記デバイスが開放構成にあるときに、拡張構成から圧縮構成へ移行するときの各リング要素の軸方向の広がりにおける最大変化以下であるように、前記リング要素が相互結合されている、ステントデバイス。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のステントデバイスであって、前記リング要素は、ニチノールワイヤから形成され、0.08~0.24mmの範囲の直径を有する、ステントデバイス。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のステントデバイスであって、近位端にソフトチップを備え、圧縮された前記デバイスがシースに収容されている場合、前記ソフトチップは、前記シースの端部を越えて延在する、ステントデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のステントデバイスであって、前記デバイスの近位端の一部は、1つまたは複数の軟縫合糸材料またはPTFE糸で覆われている、ステントデバイス。
【請求項10】
請求項8または9に記載のステントデバイスであって、前記ソフトチップは、スリーブの近位端で、1つまたは複数のリング要素における複数の縫合から形成される、ステントデバイス。
【請求項11】
長さに沿って配置された複数の圧縮可能なバネ製リング要素で形成されるスリーブを備えるステントデバイスであって、ソフトエンドチップは、スリーブの近位端で形成され、前記ソフトエンドチップは、1つまたは複数の軟縫合糸材料またはPEFE糸で覆われた前記スリーブの部分を備える、ステントデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のステントデバイスであって、前記ソフトエンドチップは、前記スリ
ーブの近位端で、1つまたは複数のリング要素における複数の縫合から形成される、ステントデバイス。
【請求項13】
請求項11または12に記載のステントデバイスであって、前記リング要素は円弧状のプロファイルを備える、ステントデバイス。
【請求項14】
請求項11~13の何れか一項に記載のステントデバイスであって、前記リング要素はサドルプロファイルを備える、ステントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連して、大動脈解離および動脈瘤に対する現在の治療方法では、主に、従来の外科的グラフトおよび開放手術が利用される。血管内治療法も可能である。しかしながら、純粋に血管内アプローチによって大動脈弓の頂部から放射状に伸びるすべての主要な分枝血管への灌流を維持することは複雑である。そのため、血管内治療法は現在のところ、非常に限られている。
【0003】
さらに、従来の外科的グラフトを使用する場合、しばしば完全な開胸、すなわち胸腔を大きく外科的に開口する必要がある。これは、典型的には、冠動脈バイパス術を必要とし、また低体温および心停止を誘導する必要がある。このような外科的処置を行うことは、更なる合併症の危険がないわけではない。
【0004】
さらに、既知の血管内ステントデバイスおよびそのデリバリーシステムは、内部のデリバリーサポートシャフトを使用することに依存しており、挿入を容易にするために、典型的にはその端部に一体成形されたチップを備え、ステントデバイスを支持し、展開するためのマウントループおよびリリースワイヤも備える。このタイプの装置では、ステントデバイスを、チップ端部でデリバリーシステムから吊り下げることができる。それは、シースからの抜き取りが終わるまでそこに保持される。その後、それをデリバリーシステムからリリースすることができる。典型的に、リリースワイヤによってリリースした後、次に、支持している内部のセントラルシャフトおよびチップアセンブリを、これらアイテムをデバイスルーメンの内側を通して引き込んで、ステントデバイス内部から完全に取り外さなければならない。意図せずに引っ掛かって、先に展開されたデバイスを外してしまうという潜在的なリスクを克服するために、これらのアイテムを注意深く取り外す必要がある。この機能を提供するために、典型的に、デリバリーシステムはシャフトの内部ルーメンおよびチップ成形品を通過するガイドワイヤなどの他の補助要素を必要とする。
【0005】
このようなコンポーネントでは、必要な場合でも、ステント装着部分を展開する前に、デバイスの非ステント装着端部を補助デバイスまたは本来の血管のいずれかに吻合することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現在利用可能なものに関連する問題を軽減することができる改良されたステントデバイスを提供することである。
【0007】
本発明によれば、ステントデバイスが提供される。ステントデバイスはスリーブを備える。スリーブは、長さに沿って配置された複数の圧縮可能なバネ製リング要素で形成され、圧縮状態および拡張状態を有する。リング要素は、それぞれ、隣接するリング要素がデバイスの長手方向の範囲に沿って少なくとも部分的に重なり合うように、スリーブの表面に波状のプロファイルを備える。リング要素は、リング要素の自然な弾力性に抗して圧縮可能であり、圧縮されたステントデバイスをフランジブルシースに収容可能とするためにスリーブの外径を低減する。隣接するリング要素は、圧縮状態と拡張状態の間で軸方向の間隔を実質的に維持するように、相互結合されている。
【0008】
このようにして、ステントデバイスを、挿入を目的として直径が低減されるように圧縮することができる。スリーブは、このようなフランジブルシース内に備えられるときには、圧縮された拘束状態にある。シースからリリースされると、スリーブは、リング素子によってより大きな直径をとるように拡張する。
【0009】
圧縮可能な形態でステントデバイスを提供することで、一体型のカラム剛性が得られる。そのため、ステントデバイスを展開するための内部デリバリー機構を不要にできる。これによって、ステントの展開過程が単純化される。また重要なことに、これによって、そのような内部デリバリー機構を引き出す手順に関連するリスク、特に挿入されたばかりのステントデバイスの外れを回避することができる。本発明のステントデバイスによって可能になるステントデバイスの展開の外部化は、さらに、ステントデバイスを他の補助デバイスまたは本来の血管に吻合する能力を高める。
【0010】
好適には、各リング要素の波状のプロファイルは、スリーブの外周でスリーブの表面の周りに延在する。異なる波状のリング要素プロファイル、例えば「Z」形状などを採用してもよい。しかしながら、各リング要素は、好適には、双曲放物線のプロファイルを備え、これによって実質的にサドル形状である。このようにして、圧縮された構成で、リング要素は鱗片状に重なることができる。そのため、リング要素は、重なり合う構成において、スリーブの長さに沿って軸方向に積み重なっている。圧縮された構成におけるリング要素の重なり合う性質は、展開装置での使用を容易にするカラム剛性の提供を促進させる。この点で、圧縮された構成で、1つのリング要素の山が、隣接するリング要素の谷に重なる。このように、圧縮された構成において、隣接するリング要素の部分が密に当接することによって、デバイスにカラム剛性が与えられる。
【0011】
好適には、リング要素は、相対的なリング位置を維持するために、隣接するリング要素がスリーブに沿って取り付けられるように配置される。このようにして、ステントデバイスの圧縮状態および展開状態に亘って、リング位置が維持される。
【0012】
好都合には、リング要素は、スリーブ材料に取り付けることによって相互結合される。好適には、隣接するリング要素が軸方向に重なり合う部分で、それらの周方向の間隔は、デバイスが開放構成にあるときに、拡張構成から圧縮構成へ移行するときの各リング要素の軸方向の広がりにおける最大変化以下である。そのため、圧縮状態にあるとき、隣接するリング要素の間のファブリックに張力がかかり、隣接するリングが相互に軸方向に衝突することが防止される。
【0013】
好都合には、スリーブ材料は、例えばゲルコーティングされたポリエステルのようなファブリックである。
【0014】
好適には、リング要素はニチノールワイヤから形成されている。好都合には、ワイヤは、0.08~0.24mmの範囲の直径を有する。
【0015】
さらに、ステントデバイスは、近位端にソフトチップを備えることができる。この点で、デバイスがシースに収容されている場合、ソフトチップはシースの端部を越えて延在してよい。ソフトチップは、ステントデバイスの機能性を高め、既知の装置のような内部デリバリーシャフトなしでステントデバイスを展開できる非外傷性の特性を提供する。
【0016】
このように、ステントデバイスの近位端の一部は、露出されて、1つまたは複数の軟縫合糸またはPTFE糸で覆われて、非外傷性チップを形成してもよい。これに関して、ソフトチップは、デバイスの端部でステント材料から形成することができる。それは、サドルプロファイル上に重い縫合糸を含んでよい。さらにそれは、ステントデバイスの近位端
で、1つまたは複数のリング要素上に1つまたは複数の追加の縫合糸の層を備えることができる。
【0017】
本発明の更なる態様によれば、長さに沿って配置された複数の圧縮可能なバネ製リング要素で形成されるスリーブを備えるステントデバイスが提供される。ソフトエンドチップは、スリーブの近位端で形成される。ソフトエンドチップは、1つまたは複数の軟縫合糸材料またはPTFE糸で覆われたスリーブの部分を備える。
【0018】
これに関して、ソフトエンドチップは、デバイスの端部でステント材料から形成され、リング状に折りたたまれ、縫合糸で保持されてよい。
【0019】
ソフトエンドチップは、サドルプロファイルを備えるリング要素上に重い縫合糸を備えることができる。さらに、それは、スリーブの近位端で、1つまたは複数のリング要素上に1つまたは複数の追加の縫合糸の層を備えることができる。サドルまたは双曲放物線プロファイルを備えるリング要素によって、ソフトチップは自然に丸みを帯び、その非外傷特性を最適化する。
【0020】
本発明の実施形態は、実施例によって、また以下の図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のシース付きステントデバイスがその中に配置されている適合性展開装置の断面図である。
図2A】本発明のステントデバイスを示す図である。
図2B】本発明のステントデバイスを示す図である。
図3】本発明のステントデバイスの隣接するリング要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これに関連して、図1は、本発明のステントデバイスと適合性のある展開装置1の断面図を示す。展開装置は、その中に本発明のシース付きステントデバイス3が配置される本体2を備える。
【0023】
この点に関して、本体はボア4を備える。ボア4は、シース付きステントデバイス3がボア内に位置可能とするが、シース材料がボアおよびステントデバイスに対して移動するのを妨げるほどきつくないように、寸法設定されている。
【0024】
ステントデバイスに関して、図2aおよび図2bにそれぞれシース無しおよびシース付きで示されるように、これは、好適には、典型的にはゲルコーティングされたポリエステルのファブリック製のルーメンまたはスリーブ20を備え、「ステント要素」のような一連のバネが装着され、典型的に、波状の「Z」形ステント、または好適な実施形態ではサドルリング、すなわち双曲放物線の形状のニチノールワイヤから形成されたリング要素21を備える。
【0025】
複数のリング要素21は、ルーメンの軸に沿って配置されている。これらは、縫合糸によってファブリックに周方向に取り付けられ、ステント装着デバイス部分を形成する。ステント装着デバイス部分は、著しく小さい直径のチューブ、すなわちシース40内に拘束される能力を有する。
【0026】
図2bに示すように、小口径のシース40内に圧縮すると、シース付きステントデバイス(適切に選択されたオーバーサイズを有する)を、分枝血管の内腔内に容易に挿入することができる。ステントデバイスからシースを取り外すと、ステント装着部分が放射状に
外側に拡張する本来の血管内に、ステントデバイスを展開することが可能となる。放射状に拡張するステント要素は、血管内壁に接触して押し付けられ、ぴったりとフィットする縫合されていない密封された接合部を形成する。
【0027】
圧縮された構成におけるリング要素の重なり合う性質は、図1に示すような適合性展開装置での使用を容易にするカラム剛性を有するスリーブを提供する。
【0028】
より具体的には、放射状に圧縮可能な形態でステントデバイスを提供することで、一体型のカラム剛性が得られる。そのため、ステントデバイスを展開するための内部デリバリー機構を不要にできる。これによって、ステントの展開過程が単純化される。また重要なことに、これによって、そのような内部デリバリー機構を引き出す手順に関連するリスク、特に挿入されたばかりのステントデバイスの外れを回避することができる。
【0029】
これに関連して、リング要素は、好適には、隣接する要素の軸方向の間隔が維持されるように、スリーブ内に配置される。このようにして、ステントデバイスの圧縮状態と展開状態に亘って、リング要素の位置が維持される。
【0030】
図3に示すように、リング要素21は、隣接するリング要素が軸方向に重なり合う部分で、それらの周方向の間隔a‐bが、デバイスが開放構成にあるときに、拡張構成から圧縮構成に移行するときの各リング要素の軸方向の広がりにおける最大変化dL以下になるように、スリーブ材料に接続されている。そのため、圧縮状態にあるとき、隣接するリング要素の間のファブリックに張力がかかり、隣接するリングが相互に軸方向に衝突するのを防ぐ。
【0031】
これに関連して、このデバイスは、サドル高さを比較的高くして、すなわちリングの山と谷との間の軸方向の差異を比較的大きくして構成することができる。さらに、好適には、リング間隔をサドル高さよりも小さくし、隣接するリングの山と谷が重なり合うようにする。この特性は、支持されたファブリックの隣接部分と組み合わせることにより、シースから抜き取るプロセスの前および最中に、本体2に対するステントデバイスの位置を維持するために利用される。
【0032】
図1に示すように、ステント装着部分の遠位端、またはその近傍に、典型的にはゲルコーティングされたポリエステルの伸縮性のあるクリンプ構造のファブリック15の部分を設けることができる。この部分は、縫合によって接合されて取り付けられ、血液密で連続的なエンドプロテーゼのルーメンを形成する。いくつかの実施形態において、この部分はまた、「Y」形の分岐ルーメンを含むことができる。非ステント装着部分は、エンドプロテーゼをプロテーゼ本体、または代替的に本来の血管の健全な部分のいずれかに縫合することによって接合可能とし、本来の分枝血管への血液の灌流を再開するために備えられている。
【0033】
好適には、シースは、追加的な溝または穿孔を必要とせずに、直線的に断裂する固有の事前位置を有する薄壁(典型的にはPTFE材料)である。シースは3つの部分を備えてよい。すなわち、圧縮されたステント装着部分の長さよりわずかに長い近位円形部分、その遠位端のテール部分、および円形部分が分割して2つのテール要素に伝搬する中間部である。
【0034】
図1に示す適合性展開装置では、これらの平坦なリボン状のテール要素7は、円形部分の端部から発し、折り畳みによって形成することができる。形成されたテールは、適合性展開装置の本体2内のリストリクション5を通って、または通過して、個別のストラップ要素に送り出される。そこで、これらを一緒に結ぶことができ、シースを取り外すための
単一のユーザインターフェイスを形成することができる。
【0035】
図1に示すように、ボア2内のリストリクション5は、ステントデバイスの走行を妨げるように構成されている。しかしながら、このリストリクションは、ステントデバイスシース材料、すなわちテール7が、本体2の遠位端でのアクセスのために、このリストリクションを通過することを可能にする。
【0036】
リストリクションを越えてシース材料の通過を可能にするために任意の適切な手段を採用することができる。しかしながら、適合性展開装置は、リストリクション5に面して2つの円弧状の開口部13を備える。開口部は、本体の軸方向で長手方向に延在する。開口部は、実質的に周方向であり、90~120度の角度をなす。これに関連して、開口部は、それぞれ、シース材料7のテールのための通路を提供する。シース材料は、ボア4内の点9で分割される。
【0037】
本体は、ステントデバイスのクリンプ構造部分15が窓を介して本体から側方に出る状態で、シース付きステントデバイスを本体内に配置可能とする側部窓10を備える。したがって、側部窓は、非ステント装着デバイスのファブリック15が、ボア内のシース付きシースの軸に対して実質的に垂直に本体2の範囲から外に通過するための経路を提供し、ステントデバイスの遠位端へのアクセスを可能にする。したがって、この端部は、個々の患者の解剖学的構造に合わせた長さでトリミングすることができ、補助的なグラフトまたは本来の血管への縫合を容易にする。
【0038】
ステントデバイスが十分に展開されたら、それを、適合性装置の本体2から取り外すことができる。
【0039】
上記の適合性展開装置で、本体2は、シース付きステントデバイス3を保持し、支持して、近位の圧縮された部分を、本来の血管または補助的なステントデバイス本体のいずれかに挿入可能とする。その結果、それを、続くシースからの抜き取りおよび展開のために保持し、次いで血管への灌流を再開させることができる。
【0040】
これにより、デリバリーシステムは、その複雑性の点で単純化される。そのため、コンポーネントが低減されるとともに、ユーザに対する手順のステップおよび潜在的リスクが減り、時間効率がより良く単純化されたデバイス展開が可能となる。
【0041】
本体内の内部配置により、ユーザがストラップ要素を引っ張るときに、シースの分割を制御することができる。シースが内部のボアリストリクションを越えて引っ張られると、シースの円形のルーメンの面は、2つのテール要素7に沿って伝播しながら分割を続ける。同時に、ストラップに加えられた動きがシースの近位端に伝達され、それがステントデバイスの上を滑るようになり、圧縮されたステントデバイスがその放射状の拘束からリリースされることを可能にする。そうすることで、ステントデバイスが開き、血管の内腔に係合する。
【0042】
図1図2a、および2bに示すように、ステントは、一体型のステントデバイスチップ24の特徴を有することができる。これは、ステントデバイス3のステント装着領域の近位端に設けることができる。これは、シースの拘束内で圧縮されると、シースの端部を越えて突出可能であり、軟縫合糸(またはPTFE糸)で覆われて圧縮されたステントデバイス要素を部分的に露出させて、非外傷性の先端のような特徴を提供する。
図1
図2A
図2B
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント展開装置であって、
本体であって、
前記本体内に画定されたボアと、
前記ボア内に配置されたリストリクションと、
前記リストリクションの長手方向に延在する少なくとも1つの開口部と、
前記本体の側部内に配置された窓と
を有する該本体と、
ステント軸を定義する近位端及び遠位端を有するステントデバイスであって、前記ボア内に配置され、
長さに沿って配置された複数の圧縮可能なバネ製リング要素で形成されるスリーブであって、前記スリーブは圧縮状態および拡張状態を有する該スリーブを有し、
前記リング要素は、それぞれ、隣接するリング要素がデバイスの長手方向の範囲に沿って少なくとも部分的に重なり合うように、前記スリーブの表面に波状のプロファイルを備え、
前記リング要素は、リング要素の自然な弾力性に抗して圧縮可能であり、圧縮されたステントデバイスをフランジブルシースに収容可能とするために前記スリーブの外径を低減し、
隣接するリング要素は、前記圧縮状態と前記拡張状態の間で軸方向の間隔を実質的に維持するように、相互結合されている、該ステントデバイスと、
前記ステントデバイスの少なくとも一部を覆うように配置されたシース材料であって、前記リストリクションは、ステントデバイスの走行を妨げ、前記シース材料の通過を許容するように構成されており、前記シース材料の少なくとも一部が前記本体の前記側部内の前記窓を通過し、前記ステント軸に垂直に前記本体から出る、該シース材料と
を備える、ステント展開装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開口部は、周方向形状を有する、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項3】
前記フランジブルシースは、前記ボア内で分割されるように構成されている、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口部は、シース材料のテールのための通路を提供する、請求項3に記載のステント展開装置。
【請求項5】
各リング要素の前記波状のプロファイルは、前記スリーブの外周で前記スリーブの表面の周りに延在する、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項6】
各リング要素は、双曲放物線のプロファイルを備える、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項7】
圧縮された構成で、1つのリング要素の複数の山が、軸方向に隣接するリング要素の複数の谷に重なる、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項8】
前記リング要素は、前記スリーブの材料に取り付けることによって相互接続される、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項9】
隣接するリング要素が軸方向に重なり合う部分で、前記隣接するリング要素の周方向の間隔は、前記デバイスが開放構成にあるときに、拡張構成から圧縮構成へ移行するときの各リング要素の軸方向の広がりにおける最大変化以下であるように、前記リング要素が相互結合されている、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項10】
前記リング要素は、ニチノールワイヤから形成され、0.08~0.24mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項11】
近位端にソフトチップを備え、圧縮された前記デバイスがシースに収容されている場合、前記ソフトチップは、前記シースの端部を越えて延在する、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項12】
前記デバイスの近位端の一部は、1つまたは複数の軟縫合糸材料またはPTFE糸で覆われている、請求項11に記載のステント展開装置。
【請求項13】
前記ソフトチップは、前記スリーブの近位端で、1つまたは複数のリング要素における複数の縫合から形成される、請求項11に記載のステント展開装置。
【請求項14】
前記リング要素は円弧状のプロファイルを備える、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項15】
前記リング要素はサドルプロファイルを備える、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項16】
遠位端に、非ステント部分を更に有する、請求項1に記載のステント展開装置。
【請求項17】
前記非ステント部分は、伸縮性のあるクリンプ構造のファブリックを有する、請求項16に記載のステント展開装置。
【外国語明細書】