(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120921
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240829BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240829BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240829BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240829BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B60L3/00 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099116
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2021214401の分割
【原出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】青木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】西中 正昭
(72)【発明者】
【氏名】河端 真一
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】満井 健二
(57)【要約】
【課題】充電を行っている間における車体の安全管理を良好に行えるようにすることが要望されていた。
【解決手段】電動作業車は、車体を走行駆動可能な電動モータMと、電動モータMに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置KDにより充電可能なバッテリー4と、給電装置側の給電用コネクタ36が接続可能な接続部37と、電動モータMの作動を制御するとともに、給電装置KDによる充電状態を制御する制御装置34と、制御装置34を動作可能状態または非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けて、制御装置34の状態を切り換え可能な切換操作部44と、が備えられ、給電装置KDによるバッテリー4への充電作動中において、切換操作部44が制御装置34を非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けた場合、給電装置KDによる充電を継続して行い、充電が完了すると、制御装置34を非作動状態に切り換える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、
前記制御装置を動作可能状態または非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けて、前記制御装置の状態を切り換え可能な切換操作部と、が備えられ、
前記給電装置による前記バッテリーへの充電作動中において、前記切換操作部が前記制御装置を非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けた場合、前記給電装置による充電を継続して行い、充電が完了すると、前記制御装置を非作動状態に切り換える電動作業車。
【請求項2】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、
前記制御装置を動作可能状態または非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けて、前記制御装置の状態を切り換え可能な切換操作部と、が備えられ、
前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続された状態で前記給電装置による前記バッテリーへの充電を開始したのちの充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成され、
前記給電装置による前記バッテリーへの充電作動中において、前記切換操作部が前記制御装置を非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けた場合、前記給電装置による充電を継続して行い、充電が完了すると、前記制御装置を非作動状態に切り換える電動作業車。
【請求項3】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、
前記制御装置を動作可能状態または非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けて、前記制御装置の状態を切り換え可能な切換操作部と、
前記切換操作部に差し込み装着可能な操作キーと、が備えられ、
前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続された状態で前記給電装置による前記バッテリーへの充電を開始したのちの充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成され、
前記給電装置による前記バッテリーへの充電作動中において、前記切換操作部から前記操作キーが取り外された状態に切り換わった場合、前記給電装置による充電を継続して行う電動作業車。
【請求項4】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、
前記制御装置を動作可能状態または非作動状態に切り換えるための操作指令を受け付けて、前記制御装置の状態を切り換え可能な切換操作部と、
車体側に備えられる受信部との間で無線通信可能な操作キーと、が備えられ、
前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続された状態で前記給電装置による前記バッテリーへの充電を開始したのちの充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成され、
前記給電装置による前記バッテリーへの充電作動中において、前記操作キーが前記車体との通信可能距離よりも遠方に位置する状態に切り換わった場合、前記給電装置による充電を継続して行う電動作業車。
【請求項5】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、が備えられ、
前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続された状態で前記給電装置による前記バッテリーへの充電を開始したのちの充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成され、
前記電動モータの動力を、走行クラッチを介して車体走行装置に伝達するように構成され、
前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記走行クラッチの入り指令が指令されても前記走行クラッチの入り状態への切り換えを行わないように構成されている電動作業車。
【請求項6】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、が備えられ、
前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続された状態で前記給電装置による前記バッテリーへの充電を開始したのちの充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成され、
車体に対して作業装置が着脱可能であり、
前記電動モータの動力を、作業クラッチを介して前記作業装置に伝達するように構成され、
前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記作業クラッチの入り指令が指令されても前記作業クラッチの入り状態への切り換えを行わないように構成されている電動作業車。
【請求項7】
前記給電装置による充電を継続して行い、充電が完了すると、前記制御装置を非作動状態に切り換える請求項3又は4に記載の電動作業車。
【請求項8】
前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記電動モータを駆動させないように構成されている請求項1から6のいずれか1項に記載の電動作業車。
【請求項9】
前記バッテリーからの電力をインバータを介して前記電動モータに供給するように構成され、
前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記インバータへの出力を停止することにより前記電動モータを駆動させないように構成されている請求項8に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を走行させながら、例えば、対地作業やその他の作業を行うように構成され、且つ、車体を走行駆動可能な電動モータと電動モータに駆動用電力を供給するバッテリーとを備えた電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動作業車では、例えば、特許文献1に記載されるように、バッテリーの電力が消費されると、接続用コネクタを介して接続された外部の給電装置から充電が行われる。そして、充電が行われている間においては、車体側では特別な制御は行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記バッテリーに対する充電は長い時間が必要である場合がある。その結果、充電が行われている間に、例えば、運転者が充電中であることを忘れて誤って車体の運転部に着座して運転操作を行うことが考えられる。又、車体から運転者が離れたときに、他人が運転操作を行うことも考えられる。そうすると、車体が不測に移動して車体や給電装置が破損する等のおそれがあり、充電を行っている間における車体の安全管理が充分ではなかった。
【0005】
そこで、充電を行っている間における車体の安全管理を良好に行えるようにすることが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動作業車の特徴構成は、車体を走行駆動可能な電動モータと、前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、前記給電装置側の給電用コネクタが接続可能な接続部と、前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、が備えられ、前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続された状態で前記給電装置による前記バッテリーへの充電を開始したのち、前記バッテリーへの充電が完了するまでの間の充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成されている点にある。
【0007】
本発明によれば、バッテリーへの充電を開始してから充電が完了するまでの間の充電作動中においては、車体の移動走行が禁止される。その結果、充電に長い時間が必要である場合において、運転者が誤って車体の運転部に着座して運転操作を行ったり、他人が運転操作するようなことがあっても、車体が移動して車体や給電装置が破損する等の不利が回避される。
【0008】
従って、充電を行っている間における車体の安全管理を良好に行えるようにすることが可能となった。
【0009】
本発明においては、前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記電動モータを駆動させないように構成されていると好適である。
【0010】
本構成によれば、充電作動中においては、電動モータが駆動されることがないので、車体が電動モータの動力によって車体が移動走行することがない。車体に作業装置が装備されている場合には、電動モータにより作業装置が駆動されることがない。従って、動力源である電動モータが駆動できないので、安全性を確保することができる。
【0011】
本発明においては、前記バッテリーからの電力をインバータを介して前記電動モータに供給するように構成され、前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記インバータへの出力を停止することにより前記電動モータを駆動させないように構成されている。
【0012】
本構成によれば、インバータへの出力を停止することにより、電動モータの作動を確実に牽制することができる。
【0013】
本発明においては、前記電動モータの動力を、走行クラッチを介して車体走行装置に伝達するように構成され、前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記走行クラッチの入り指令が指令されても前記走行クラッチの入り状態への切り換えを行わないように構成されていると好適である。
【0014】
本構成によれば、充電作動中においては、走行クラッチが入り状態になることがないので、このとき、電動モータは駆動されることがあっても、車体が移動走行することがなく安全性を確保することができる。
【0015】
この場合、電動モータを駆動することが可能であるから、例えば、車体の移動を停止させた状態で作業装置を駆動させることができ、使用上の利便性を向上させることができる。
【0016】
本発明においては、車体に対して作業装置が着脱可能であり、前記電動モータの動力を、作業クラッチを介して前記作業装置に伝達するように構成され、前記制御装置は、前記充電作動中においては、前記作業クラッチの入り指令が指令されても前記作業クラッチの入り状態への切り換えを行わないように構成されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、充電中においては、車体の移動走行を禁止された状態で、作業クラッチが入り状態に切り換わることが禁止されるので、更なる安全性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】別実施形態の動力伝達の流れを示す図である。
【
図7】別実施形態の充電用の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0020】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本発明に係る電動作業車の一例としてのトラクタについて説明する。
図1に示すように、トラクタは、車体走行装置としての左右の前車輪10及び左右の後車輪11、カバー部材12を備えている。
【0021】
トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0022】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0023】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0024】
トラクタは、走行用バッテリー4を備えている。カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリー4は、カバー部材12に覆われている。
【0025】
図2に示すように、トラクタは、インバータ14及び電動モータMを備えている。走行用バッテリー4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリー4からの直流電力を交流電力に変換して電動モータMへ供給する。そして、電動モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15及びトランスミッション16を備えている。
図3に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15a及び油圧モータ15bを有している。
【0027】
油圧ポンプ15aは、電動モータMからの回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。尚、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速されるように構成されている。静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成されている。
【0028】
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10及び左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11が駆動する。
【0029】
図2及び
図3に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18を備えている。電動モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18が回転する。
【0030】
ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。例えば、
図2に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続されている。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
【0031】
〔電動モータの制御に係る構成〕
図4に示すように、電動モータMの制御に係る構成は、アクセル装置33と、電動モータMの作動を制御する制御装置34と、インバータ14と、を備えている。アクセル装置33は、ステアリングホイール32の近傍に備えられている。アクセル装置33は、図示はしないが、揺動操作可能なレバーと、レバーの揺動操作によって操作されるポテンショメータとを備えている。アクセル装置33は制御装置34と接続されている。制御装置34は、信号用ハーネス35を介してインバータ14と接続されている。制御装置34は、アクセル装置33の指令に応じて、インバータ14に指令するように構成されている。インバータ14は、制御装置34の指令に応じて、走行用バッテリー4から電動モータMに供給される電力を調整して電動モータMの出力を制御するように構成されている。
【0032】
〔充電に係る構成〕
図4に示すように、走行用バッテリー4は外部の給電装置KDにより充電可能である。トラクタには、給電装置KD側の給電用コネクタ36が接続可能な充電用接続部37が備えられている。充電用接続部37は、カバー部材12の内部に備えられ、カバー部材12を揺動開放すると、外方に露出する。制御装置34は、電動モータMの作動を制御するとともに、給電装置KDによる充電状態を制御する。
【0033】
充電用接続部37は、一般的に使用される標準的な規格に準拠したものである。給電装置KD側の給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続された状態で、電力供給線39を介して走行用バッテリー4に対する充電が行われる。走行用バッテリー4は、電力供給線39を介して高電圧(例えば、数十ボルト~数百ボルト)の電力を走行用電動モータMに供給する。
【0034】
走行用バッテリー4は、例えば、リチウムイオンバッテリーを用いて構成され、図示はしないが、低電圧の小型の単位電池(セル)を多数積層した状態で構成され、外側が収納ケースによって密閉状態で覆われて収納されている。従って、バッテリー内部に熱が籠り易く、内部温度が上昇すると温度が低下し難い。そこで、走行用バッテリー4には内部温度を検出する温度検出手段としての温度センサ40が備えられている。温度センサ40の検出情報は制御装置34に入力されている。
【0035】
トラクタには、走行用バッテリー4の他に、制御装置34及びその他の電装品に電力を供給する電装品用バッテリー41が備えられている。電装品用バッテリー41は、電装品を駆動するために低電圧(12ボルト)の電力を供給する。電装品用バッテリー41は、DC/DCコンバータ42を介して走行用バッテリー4から供給される電力にて充電される。
【0036】
運転部3に、制御装置34を動作可能状態と非作動状態とに切り換え可能な始動指令手段としての切換操作部44が備えられている。切換操作部44は、持ち運び可能な操作キー45が差し込み装着可能な被装着部としての差し込み部46と、手動にて押し操作可能な押しボタン式のスイッチ47とを備えている。操作キー45が差し込み部46に差し込み装着された状態で、スイッチ47が押し操作されることにより、制御装置34を非作動状態から動作可能状態に切り換えることができる。
【0037】
操作パネル43には、例えば、車体の走行状態、作業状態、バッテリーの情報(充電量や温度)等を表示するメータパネル48が備えられている。メータパネル48は、制御装置34に接続され、制御装置34にて作動が制御されている。
【0038】
制御装置34、インバータ14、走行用バッテリー4、DC/DCコンバータ42、メータパネル48、及び、充電用接続部37等は、CAN(Controller Area Network)方式の信号用ハーネス35を介してデータを通信可能に接続されている。制御装置34は、充電通信用ハーネス49を介して充電用接続部37との間で通信が行われ、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されているか否かについての情報、及び、作業車側で必要とされる充電電流の情報等が伝達される。充電用接続部37と給電装置KDとの間も信号が通信可能に構成されている。又、制御装置34に切換操作部44の操作情報が入力される。
【0039】
〔充電のための制御〕
制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されている状態で、動作可能状態に切り換えられると、充電モードに切り換わる。そして、充電モードにおいて、給電装置KDにより走行用バッテリー4への充電を行うように構成されている。
【0040】
制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続された状態で給電装置KDによる走行用バッテリー4への充電を開始したのち、走行用バッテリー4への充電が完了するまでの間の充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成されている。具体的には、制御装置34は、充電作動中においては、電動モータMを駆動させないように構成されている。
【0041】
制御装置34は、給電装置KDによる充電を開始したのちは、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わっても、給電装置KDによる充電を継続して行うように構成されている。又、制御装置34は、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わった後、給電装置KDによる充電を継続して行った場合、充電が完了すると、自動的に非作動状態に切り換わるように構成されている。
【0042】
以下、
図5のフローチャートを参照しながら制御装置34の具体的な充電制御について説明する。
【0043】
走行用バッテリー4に対して充電を行う場合には、作業者が給電装置KDの給電用コネクタ36を充電用接続部37に接続する。次に、運転部3の操作パネル43に備えられた切換操作部44において、操作キー45を差し込み部46に差し込み装着し、且つ、スイッチ47を押し操作する。制御装置34が、そのことを認識すると、充電モードに切り換わる(ステップ♯1,♯2,♯3)。
【0044】
充電モードに切り換えられると、インバータ14の出力を止めることにより電動モータMの作動を牽制する(ステップ♯4)。次に、給電装置KDに対して給電を行うように充電通信用ハーネス49を介して必要な情報を送信して、給電装置KDによる走行用バッテリー4に対する充電作動を開始する(ステップ♯5)。
【0045】
走行用バッテリー4が予め設定されている充電状態まで充電が行われ、満充電状態になると、充電を停止する(ステップ♯6,♯7)。
【0046】
充電が終了したときに、操作キー45が差し込み部46に差し込まれている状態であるか否かを判別する(ステップ♯8)。そのとき、操作キー45が抜き取られており、装着されていないことが判別されると、充電が行われている間に抜き取られて、運転者が持ち出したものと考えられるので、制御装置34を非作動状態に切り換えて、強制的に電源供給を遮断する(ステップ♯09)。
【0047】
従って、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わった後、給電装置KDによる充電を継続して行った場合、充電が完了すると、自動的に制御装置34が非作動状態に切り換わることになる。
【0048】
充電が終了したときに、操作キー45が差し込まれている状態であれば、作業者により給電装置KDの給電用コネクタ36が外されて充電用接続部37との接続が解除されたのちにスイッチ47が押し操作されると、充電モードが解除される(ステップ♯08、♯10、♯11)。このとき、インバータ14の出力を再始動することにより電動モータMを作動できるようにして、電動モータMの作動牽制状態を解除する(ステップ♯12)。従って、走行用バッテリー4に充電が行われている間は、車体を走行させるための操作が行われても電動モータMを作動させることがなく、車体が移動走行することは禁止される。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、制御装置34が充電作動中においては電動モータMを駆動させないようにしたが、この構成に代えて、次のように構成してもよい。
【0050】
図6に示すように、電動モータMの動力を静油圧式無段変速機15に伝達する伝動経路中に、動力を断続可能な走行クラッチ50が備えられ、電動モータMの動力をミッドPTO軸17に伝達する伝動経路中に、動力を断続可能な第1作業クラッチ51が備えられ、電動モータMの動力をリヤPTO軸18に伝達する伝動経路中に、動力を断続可能な第2作業クラッチ52が備えられる構成とする。そして、
図7に示すように、制御装置34により、走行クラッチ50、第1作業クラッチ51、第2作業クラッチ52の夫々の作動を制御するように構成される。
【0051】
静油圧式無段変速機15を用いる場合には、中立位置により走行停止状態を現出できるので、一般的にはクラッチは設けないが、本実施形態では、上記走行クラッチ50を設けて、制御装置34が、通常は、走行クラッチ50を入り状態に設定しておき、充電作動中においては、走行クラッチ50の入り指令が指令されても、制御装置34が走行クラッチ50を切り状態に維持してクラッチ入り状態への切り換えを行わないことにより、車体の移動を禁止する構成である。
【0052】
このとき、第1作業クラッチ51及び第2作業クラッチ52のうちのいずれかを入り状態に維持するようにすると、車体を移動停止している状態で、作業装置を駆動することができる。又、充電作業中には、第1作業クラッチ51及び第2作業クラッチ52の夫々をクラッチ切り状態に維持するようにしてもよい。
【0053】
尚、このような構成に代えて、第1作業クラッチ51及び第2作業クラッチ52のうちのいずれか一方だけを備える構成としてもよく、いずれの作業クラッチも備えない構成としてもよい。
【0054】
(2)上記実施形態では、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着可能に構成されるものを示したが、この構成に代えて、操作キー45が機体側の受信部との間で無線通信可能であり、操作キー45が車体に近接する状態でスイッチ47が操作されると、制御装置34が動作可能状態に切り換わる構成としてもよい。
【0055】
(3)上記実施形態では、制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されている状態で、動作可能状態に切り換えられると、充電モードに切り換わる構成としたが、この構成に代えて、制御装置34が予め動作可能状態に切り換えられたのちに、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されると、充電モードに切り換わる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、トラクタに限らず、田植機、コンバイン、建設機械等、種々の電動作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
4 バッテリー
36 給電用コネクタ
37 接続部
50 走行クラッチ
51 第1作業クラッチ
52 第2作業クラッチ
KD 給電装置
M 電動モータ