(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120937
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】マトリックスメタロプロテアーゼ1のモノクローナル抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/40 20060101AFI20240829BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240829BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240829BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07K16/40 ZNA
C12N15/13
G01N33/53 D
G01N33/543 541Z
G01N33/543 545A
G01N33/543 521
C07K16/40
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101735
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2022547314の分割
【原出願日】2020-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】522308901
【氏名又は名称】エスアンドティー バイオメッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張雅▲テイ▼
(72)【発明者】
【氏名】余兆松
(72)【発明者】
【氏名】王俊勝
(72)【発明者】
【氏名】呉淑芳
(72)【発明者】
【氏名】陳致儒
(72)【発明者】
【氏名】劉晏君
(57)【要約】
【課題】マトリックスメタロプロテアーゼ1のモノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】モノクローナル抗体は、i)配列番号1、7、及び13からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号2、8、及び14からなる群から選択されるCDR2、及びiii)配列番号3、9、及び15からなる群から選択されるCDR3を含むアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有する。モノクローナル抗体はまた、i)配列番号4、10、及び16からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号5、11、及び17からなる群から選択されるCDR2、及びiii)配列番号6、12、及び18からなる群から選択されるCDR3を含むアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。前記モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド、及びその相補的ポリヌクレオチド配列もまた提供される。検出キット及び検出方法も提供され、検出キットはマトリックスメタロプロテアーゼ1のモノクローナル抗体を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)配列番号1、7、及び13からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号2、8、及び14からなる群から選択されるCDR2、及びiii)配列番号3、9、及び15からなる群から選択されるCDR3を含む重鎖可変領域配列、並びに
i)配列番号4、10、及び16からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号5、11、及び17からなる群から選択されるCDR2、及びiii)配列番号6、12、及び18からなる群から選択されるCDR3を含む軽鎖可変領域配列
を含む、モノクローナル抗体。
【請求項2】
前記重鎖可変領域配列は配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域配列は配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
前記重鎖可変領域配列は配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域配列は配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項4】
前記重鎖可変領域配列は配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域配列は配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
請求項1のアミノ酸配列をコードするか、又は請求項1のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列と相補的な配列を有する、ポリヌクレオチド。
【請求項6】
モノクローナル抗体Aを含み、前記モノクローナル抗体Aは、配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、検出キット。
【請求項7】
酵素免疫測定法試薬キット、金コロイド免疫測定法テストストリップ、又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項6に記載の検出キット。
【請求項8】
前記酵素免疫測定法試薬キットはモノクローナル抗体Bを含み、
前記モノクローナル抗体Bは、
配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、
請求項7に記載の検出キット。
【請求項9】
前記モノクローナル抗体Bは発色基に結合している、請求項8に記載の検出キット。
【請求項10】
前記金コロイド免疫測定法テストストリップは、
配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに
配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含むモノクローナル抗体Cを含む、
請求項7に記載の検出キット。
【請求項11】
前記金コロイド免疫測定法テストストリップは前記モノクローナル抗体Aをさらに含み、前記金コロイド免疫測定法テストストリップにおける前記モノクローナル抗体Aは金粒子に連結している、請求項6又は請求項10に記載の検出キット。
【請求項12】
請求項6に記載の検出キットを用いて試料中のマトリックスメタロプロテアーゼ1を検出することを含む、
マトリックスメタロプロテアーゼ1をin vitroで検出する方法。
【請求項13】
前記試料は体液又は血液を含む、請求項12に記載の検出方法。
【請求項14】
前記体液は口腔分泌物又は呼吸器分泌物を含む、請求項13に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、MMP-1、及び口腔がんの検出方法、特に、MMP-1モノクローナル抗体、MMP-1モノクローナル抗体を含む検出キット、及び検出キットを用いる検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関の統計によると、毎年529,000人以上の口腔がんの新規患者が診断されている。発症率の上昇により、患者数は2035年までに年間856,000人に達すると予測される。台湾では、衛生福利部国民健康署(以下、国民健康署という)からの2016年の死亡原因の統計によると、口腔がん、中咽頭がん、及び下咽頭がんは、男性の全ての悪性腫瘍の中で4番目に多い死亡原因であった。約7,000人の人々が毎年この疾患であると新たに診断され、約3,000人の人々が死亡する。2012年~2016年の間のステージI~IVの口腔がん患者の生存率は、それぞれ79.9%、71.0%、56.5%、及び35.6%であった。早期に検出された場合は、生存率は改善されることになる。
【0003】
現在のところ、口腔粘膜スクリーニングは口腔がんの臨床評価のための重要な方法であり、病変部での組織生検の結果が診断の根拠として用いられる。しかしながら、現在のところ、口腔粘膜スクリーニングは専門の口腔衛生従事者(例えば、歯科医、口腔衛生士、歯科療法士、口腔衛生療法士など)により行われる必要があり、多くの地域では、専門の口腔衛生従事者の不足により口腔がんの診断は遅れている。したがって、試料中の腫瘍マーカー(バイオマーカー)が存在するか否かを分析することが可能であれば、口腔がんの早期診断率は改善され得る。
【0004】
現在、口腔がんの日常的な同定のための腫瘍マーカーは存在していない。2016年のProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)における報告によると、マトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP-1)が質量分析による定量分析により定量化され、患者の唾液試料と対照の唾液試料の間のMMP-1の発現の差が83倍もの大きさであった(他の分子の差は-1.3倍~5.5倍であった)ことが示されており、MMP-1が口腔がんの腫瘍マーカーとして最も可能性のある分子である。
【0005】
MMP-1に対する既存の質量分析による定量分析法は多数の試料の日常的な定量分析には適していないので、口腔がんのスクリーニングのためのMMP-1に対する検出キットの開発が期待されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含むモノクローナル抗体を提供する。重鎖可変領域配列は、i)配列番号1、7、及び13からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号2、8、及び14からなる群から選択されるCDR2、並びにiii)配列番号3、9、及び15からなる群から選択されるCDR3を含む。軽鎖可変領域配列は、i)配列番号4、10、及び16からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号5、11、及び17からなる群から選択されるCDR2、並びにiii)配列番号6、12、及び18からなる群から選択されるCDR3を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域配列は配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域配列は配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域配列は配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列を含む。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態はポリヌクレオチドを提供し、このポリヌクレオチドは、前述のアミノ酸配列をコードするか、又は前述のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列と相補的な配列を有する。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態は検出キットを提供する。検出キットはモノクローナル抗体Aを含み、モノクローナル抗体Aは重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。重鎖可変領域は配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、検出キットは、酵素免疫測定法試薬キット、金コロイド免疫測定法テストストリップ、又はこれらの組み合わせをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、酵素免疫測定法試薬キットは、モノクローナル抗体Bを含む。モノクローナル抗体Bは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。重鎖可変領域は配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体Bは発色基に結合している。
【0015】
いくつかの実施形態では、金コロイド免疫測定法テストストリップはモノクローナル抗体Cを含む。モノクローナル抗体Cは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。重鎖可変領域は配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、金コロイド免疫測定法テストストリップはモノクローナル抗体Aをさらに含み、金コロイド免疫測定法テストストリップにおけるモノクローナル抗体Aは金粒子に連結している。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、マトリックスメタロプロテアーゼ1をin vitroで検出する方法を提供し、この方法は、前述の検出キットを用いて試料中のマトリックスメタロプロテアーゼ1を検出することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、試料は体液又は血液を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、体液は口腔分泌物又は呼吸器分泌物を含む。
【0020】
本開示の前述の及び他の目的、特徴、利点、及び実施形態をより明瞭に理解するため、添付の図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本開示の一実施形態における、酵素免疫測定法を用いたMMP-1に対する自己産生モノクローナル抗体の結合能力試験の比較グラフを示す図である。
【
図1B】本開示の一実施形態における、酵素免疫測定法を用いたMMP-1に対する自己産生モノクローナル抗体の結合能力試験の比較グラフを示す図である。
【
図2A】本開示の一実施形態における、酵素免疫測定法により測定された正常ヒト唾液試料中の濃度プロファイルを示す図であり、モノクローナル抗体の至適な4組のペアが酵素免疫測定法の捕捉抗体及び検出抗体としてそれぞれ用いられた。
【
図2B】本開示の一実施形態における、酵素免疫測定法により測定された口腔がん患者唾液試料中の濃度プロファイルを示す図であり、モノクローナル抗体の至適な4組のペアが酵素免疫測定法の捕捉抗体及び検出抗体としてそれぞれ用いられた。
【
図3A】本開示の一実施形態における、金コロイド免疫測定法テストストリップの模式図を示す図である。
【
図3B】本開示の一実施形態における、金コロイド免疫測定テストストリップにより得られた等級を示す比色カードの模式図を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態における、金コロイド免疫測定法テストストリップと酵素免疫測定法試薬キットの相互比較の散布図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示を詳細且つ完全に説明するために本開示の実施態様及び具体的実施形態を例示的な説明と共に示すが、これらは本開示の具体的実施形態の実施又は使用のための唯一の形態ではない。本明細書に開示される実施形態は、有利な方法で互いに組み合わされても置換されてもよく、追加の説明を伴わずに、ある実施形態に他の実施形態が加えられてもよい。以下の説明では、以下の実施形態の完全な理解を可能にするために多数の具体的詳細が詳細に説明されることになる。しかしながら、本開示の実施形態は、これらの具体的詳細なしでも実施されてもよい。
【0023】
本明細書では、文脈上、別段の具体的な定めがない限り、「不定冠詞」及び「定冠詞」は、1または複数を意味し得る。本明細書で使用される「含む」、「含有する」、「有する」、及び類似の用語は、記載された特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素を示すが、他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素を排除するものではないことがさらに理解されるだろう。
【0024】
本明細書に開示される方法を例示するために以下に一連の操作又はステップが説明されるが、操作又はステップの順番は制限するものとして解釈されない。例えば、ある操作又はステップは異なる順番で、及び/又は他のステップと同時に実施されてもよい。また、本開示の実施形態を実施するために全ての例示される操作、ステップ、及び/又は特徴が必要とされるとは限らない。さらに、本明細書に記載される操作及びステップのそれぞれは、複数のサブステップ及び作用を含み得る。
【0025】
本明細書では、「CDR」(相補性決定領域)は、抗原が抗体と接触する領域であり、抗体の可変領域の一部である。一般に、抗体の可変領域には3つのCDR、すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3が存在している。
【0026】
本明細書では、「誘導配列」とは、ヌクレオチド配列の3’末端又は5’末端で改変された配列をいう。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含む、マトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP-1)を認識するモノクローナル抗体が提供される。重鎖可変領域配列は、i)配列番号1、7、及び13からなる群から選択されるCDR1、ii)配列番号2、8、及び14からなる群から選択されるCDR2、並びにiii)配列番号3、9、及び15からなる群から選択されるCDR3を含む。軽鎖可変領域配列は、i)配列番号4、10、及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列であるCDR1、ii)配列番号5、11、及び17からなる群から選択されるCDR2、並びにiii)配列番号6、12、及び18からなる群から選択されるCDR3を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域配列は配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域配列は配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域配列は配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列を含む。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態ではポリヌクレオチドが提供され、このポリヌクレオチドは、前述のアミノ酸配列をコードするか、又は前述のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列と相補的な配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは誘導配列をさらに含んでいてもよい。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態では検出キットが提供される。検出キットは、体液(例えば、口腔分泌物又は呼吸器分泌物)又は血液などの臨床試料を検出するために用いられてもよい。検出キットはモノクローナル抗体Aを含む。モノクローナル抗体Aの重鎖可変領域は配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含み、モノクローナル抗体Aの軽鎖可変領域は配列番号4、5、及び6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体Aの重鎖可変領域は配列番号1であるCDR1、配列番号2であるCDR2、及び配列番号3であるCDR3のアミノ酸配列を含み、モノクローナル抗体Aの軽鎖可変領域は配列番号4であるCDR1、配列番号5であるCDR2、及び配列番号6であるCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、検出キットは、酵素免疫測定法試薬キット、金コロイド免疫測定法テストストリップ、又はこれらの組み合わせを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、酵素免疫測定法試薬キットは、捕捉抗体としてのモノクローナル抗体Aを用いるサンドイッチ酵素結合免疫吸着検定法(サンドイッチELISA)を使用する。ある実施形態では、免疫測定法試薬キットはモノクローナル抗体A及びモノクローナル抗体Bを含み、モノクローナル抗体Aは捕捉抗体として機能し、モノクローナル抗体Bは発色基に結合しており、且つ検出抗体として機能する。モノクローナル抗体Bの重鎖可変領域は配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列を含み、モノクローナル抗体Bの軽鎖可変領域は配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、モノクローナル抗体Bの重鎖可変領域は配列番号7であるCDR1、配列番号8であるCDR2、及び配列番号9であるCDR3のアミノ酸配列を含み、モノクローナル抗体Bの軽鎖可変領域は配列番号10であるCDR1、配列番号11であるCDR2、及び配列番号12であるCDR3のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、発色基は、蛍光基又は化学発光基(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP))を含む。
【0033】
注目すべき点は、本開示のいくつかの実施形態では、11種類のモノクローナル抗体の自己産生のため、及び酵素免疫測定法試薬キットにおいて用いられ得るモノクローナル抗体ペア(捕捉抗体:モノクローナル抗体A、及び検出抗体:モノクローナル抗体B)を選別するための免疫源としてヒト組換えMMP-1(全長MMP-1)を使用することが開示されるということであり、これは、MMP-1への結合能力の著しい低下、臨床試料の検出においてしばしば生じる高いバックグラウンド値、及び感度の不足など、発色基に結合しているモノクローナル抗体に由来する制限を克服し、(MMP-1の検出さえできないことがある)他のペアと比較して良好な感度を有する。さらに、そのようなペアはモノクローナル抗体がMMP-1に結合する能力と関連していないことが強調されるべきである。本開示のいくつかの実施形態のモノクローナル抗体ペアは、捕捉抗体として用いられる市販の抗体(免疫源はMMP-1の20番目~469番目のアミノ酸である)、免疫源としてプロテアーゼ不活性型MMP-1を用いて産生された他のモノクローナル抗体、免疫源としてMMP-1断片(例えば、MMP-1の100番目~300番目のアミノ酸の任意の断片、又はプロテアーゼ不活性断片)を用いて産生された他のポリクローナル抗体などの他の抗体ペアと比較して高い感度を有することは言及する価値がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、金コロイド免疫測定法テストストリップは、重なり合った金コロイドパッド及びアッセイプレートを含み、金コロイドパッドには検出抗体-金粒子複合体を含む金コロイドパッド溶液が噴霧されており、アッセイプレートの表面はニトロセルロース膜を有しており、その上に捕捉抗体を含む溶液が測定線として塗布される。ある実施形態では、金コロイド免疫測定法テストストリップは、モノクローナル抗体A及びモノクローナル抗体Cを含み、モノクローナル抗体Aは金粒子に連結している検出抗体として用いられ、モノクローナル抗体Cは捕捉抗体として用いられる。モノクローナル抗体Cの重鎖可変領域は配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列を含み、モノクローナル抗体Cの軽鎖可変領域は配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、モノクローナル抗体Cの重鎖可変領域は配列番号13であるCDR1、配列番号14であるCDR2、及び配列番号15であるCDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号16であるCDR1、配列番号17であるCDR2、及び配列番号18であるCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0035】
注目すべき点は、本開示のいくつかの実施形態では、金コロイド免疫測定法テストストリップにおいて用いられ得るモノクローナル抗体ペア(捕捉抗体:モノクローナル抗体C、及び検出抗体:モノクローナル抗体A)が、免疫測定法試薬キットにおいて用いられ得るモノクローナル抗体ペアから選別され、検出抗体が金粒子に連結することに成功していくつかのモノクローナル抗体が金粒子に連結できないという問題を克服し、いくつかの組み合わせが他の組み合わせと比べて良好な感度を有するということである。さらに、酵素免疫測定法試薬キットにおいて最良の感度を有するペアは、金コロイド免疫測定法テストストリップにおいては最良の感度を有しない可能性があることも明らかになった。すなわち、ある検出系における抗体ペアが他の検出系に適用される場合、実際の試験により感度の良い点と悪い点を検証する必要が依然としてあり、既存の既知の検出系と正の相関関係が必ずしもあるわけではない。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態ではMMP-1の検出方法が提供される。この方法は、前述の検出キットを用いて試料中のMMP-1を検出することを含む。例えば、MMP-1の存在/非存在又は含有量の検出は、酵素免疫測定法試薬キット、金コロイド免疫測定法テストストリップ、又はこれらの組み合わせの発色の存在/非存在、又は発色の値に関する定量化(例えば、光学濃度の値(OD値))により決定され得る。いくつかの実施形態では、試料は体液(例えば、口腔分泌物又は呼吸器分泌物)又は血液を含む。いくつかの実施形態では、検出キットは、定量化のために酵素免疫測定法試薬キットを用いることができ、迅速スクリーニングのために金コロイド免疫測定法テストストリップを用いることができるので、定性的結果及び定量的結果の両方を同時に得ることができる。
【0037】
MMP-1が口腔がんの検出インデックスとして用いられ得るので、本開示のいくつかの実施形態により提供されるMMP-1の検出キット及び検出方法は、口腔がんのスクリーニングのために同時に用いられ得る。そのような適用は専門の口腔医療従事者により行われる必要がなく、これにより、スクリーニングの需要が増加し、口腔がん患者の診断が加速され、治療の可能性が改善され得る。
【実施例0038】
本開示の種々の実施形態により提供されるMMP-1のモノクローナル抗体、ポリヌクレオチド、検出キット、及び検出方法をさらに説明するため、以下の実施例を実施した。以下の実施形態は例示目的のためにのみ提供されるものであり、本開示を限定することを意図していないことに留意すべきである。
【0039】
実施形態1.モノクローナル抗体の開発プロセス
最初に、プロテアーゼ活性を保持しているヒトMMP-1組み換えタンパク質を免疫源として用いて、マウスの免疫応答を介してマウスMMP-1モノクローナル抗体細胞株を開発し、11のマウスモノクローナル抗体細胞株を選別し、細胞液を回収及び精製して各モノクローナル抗体を得て、1-8A12株、4-26株、6-2株、20-4株、30-22株、31-34株、44-28株、57-41株、61-24株、73-1株、及び79-4株と名付けた。
【0040】
実施形態2-1.MMP-1検出のための酵素免疫測定法試薬キット:各モノクローナル抗体がMMP-1に結合する能力の試験
各モノクローナル抗体がMMP-1に特異的に結合可能であるか否かを試験するため、前述の11種類のモノクローナル抗体株を段階希釈した後、直接ELISAを用いてモノクローナル抗体のヒト組換えMMP-1への結合を試験した。結果を
図1Aに示す。
【0041】
図1Aは、各モノクローナル抗体はMMP-1に特異的に結合可能であり、これらのモノクローナル抗体はMMP-1に対する異なる結合能力を有し、結合能力の順番は、強いものから弱いものの順に、6-2株>73-1株>1-8A12株>4-26株>20-4株>31-34株>44-28株>61-24株>30-22株>57-41株>79-7株であったことを示した。
【0042】
さらに、モノクローナル抗体が酵素免疫測定法における抗体検出として使用可能であるか否か、すなわち、モノクローナル抗体が発色基に結合された後でも依然としてMMP-1に結合する能力を有しているか否かを試験するために、各モノクローナル抗体をHRPに結合した後、前述の
図1Aと同じ方法でMMP-1の結合能力試験を行った。結果を
図1Bに示す。
【0043】
図1Bは、HRPに結合した後の各モノクローナル抗体が、ヒト組換えMMP-1に特異的に結合する能力を依然として有していたことを示した。しかしながら、
図1Aと比較して、HRPに結合しているモノクローナル抗体はヒト組換えMMP-1に対する結合能力においてわずかな変化を示し、順番は、強いものから弱いものの順に、73-1-HRP>4-26-HRP=6-2-HRP>44-28-HRP>31-34-HRP>1-8A12-HRP>20-4-HRP>61-24-HRP>57-41-HRP>30-22-HRP>79-7-HRPであった。
【0044】
実施形態2-2.MMP-1検出のための酵素免疫測定法試薬キット:抗体ペアのスクリーニング
前述の11種類のモノクローナル抗体株を、それぞれ酵素免疫測定法試薬キットの捕捉抗体及び(HRPに結合している)検出抗体として用いて、ペア試験(paired test)を行った。理論上11×10=110ペアの組み合わせが生成され得るが、3種類のモノクローナル抗体株がペア試験において極めて非効果的であったため排除された。実際、合計で92の組み合わせのペア試験が完了し、MMP-1を検出可能な至適ペアが選別された。
【0045】
1-8A12株を例とした各ペアの試験プロセスは以下のように説明される。(1)捕捉抗体として1-8A12株及び検出抗体としての4-26-HRPを用いたサンドイッチELISAを行った。捕捉抗体は4種類の濃度を有し、検出抗体は6種類の濃度を有していた。1セットのペアが24種類の条件で試験されたことになる。ヒト組換えMMP-1を含む溶液(試料の値)とヒト組換えMMP-1を含まない溶液(バックグラウンドの値)のOD値の差(試料の値-バックグラウンドの値)をこれら24種類の条件の下で計算した。値が大きいほど、抗体ペアが検出可能なMMP-1に結合する能力は高くなる。(2)前述のステップ1にしたがって92の組み合わせのペア試験を完了した。結果を以下の表1に示す。表1の値は、ペア試験における各ペアのOD値の差の最大値である。
【0046】
【0047】
表1は、ペア試験においてより強いシグナル(より大きな差)を有するモノクローナル抗体ペアは、個々のモノクローナル抗体のMMP-1の結合能力と絶対的な相関関係がなかったこと示した。すなわち、酵素免疫測定法試薬キットに適した至適抗体ペアは、個々のモノクローナル抗体のMMP-1の結合能力により決定することはできず、実際のペア試験で選別される必要があった。
【0048】
実施形態2-3.MMP-1検出のための酵素免疫測定法試薬キット:各抗体ペアの濃度標準曲線
実施形態2-2の結果にしたがって、(表2に示される)12組の抗体ペアについてサンドイッチELISAを実施して、各抗体ペアから検出化可能なヒト組換えMMP-1濃度標準曲線の範囲を得た。結果を表3に示す。
【0049】
【0050】
【0051】
表3の結果は、ヒト組換えMMP-1の試験濃度範囲が0.01~2.5ng/mlの場合、各ペアのOD値はMMP-1濃度の上昇と共に増加したことを示した。
【0052】
次に、各抗体ペアにより検出可能な標準曲線の濃度範囲を回収率を用いて評価し、回収率80~120を信頼できる範囲であると設定した。この信頼できる範囲内である濃度はアスタリスク(*)で示される。結果は、12組の抗体ペアの標準曲線の濃度範囲は異なっており、いくつかのペアは低濃度で負の値を有していることからバックグラウンドの値が高く、低濃度試料の検出をもたらさなかったことを示した。
【0053】
実施形態2-4.MMP-1検出のための酵素免疫測定法試薬キット:臨床唾液試料中の内在性MMP-1の検出
次に、抗体ペアがヒト組換えMMP-1に加えて臨床唾液試料中の内在性MMP-1を検出可能であるか否かを確認するため、実施形態2-3の12組の抗体ペアを用いて既知の内在性MMP-1含有量(含有量はマルチプレックスLC-MRM-MSで分析した)の8種類の唾液試料を検出した。結果を表4に示す。
【0054】
【0055】
結果は、12組の抗体ペアの全てが唾液試料中の内在性MMP-1の検出が可能であり、前記ペアの大部分により検出されるMMP-1含有量は実際の含有量と一致していることから12組の抗体ペアが唾液試料中のMMP-1の検出に対する十分な特異性も有していたことを示した。表4の結果にしたがって、良好な感度を有する2番、4番、5番、及び10番をさらなる評価のために選択した。
【0056】
臨床応用の実現可能性を評価するため、正常な健康な人からの15種類の臨床唾液試料(健康対照、HC)及び口腔がん患者からの25種類の臨床唾液試料(口腔扁平細胞腫瘍、OSCC)を採取し、次に、酵素免疫測定法実験のために5倍に希釈した。結果を
図2A(正常ヒト群)及び
図2B(口腔がん患者群)に示す。追加のデータ分析を
図2A及び
図2Bを用いて行った。
【0057】
結果は4組の抗体ペアの測定値が正常ヒト群及び口腔がん患者群の両方において有意に相関していた(スピアマンのρ=0.953~0.988)ことを示しており、さらに、受信者動作特性曲線(ROC)分析は前記4組の抗体ペアが内在性MMP-1の検出に適していた(ROCの曲線下面積(ROCのAUC)=0.937~0.967)ことを示した。ROC分析による得られた前記4組の感度及び特異性を表5に要約する。
【0058】
【0059】
表5にしたがって、MMP-1酵素免疫測定法試薬キットの調製のために、高い感度を有する4番の抗体ペアを選択した。
【0060】
実施形態2-5.MMP-1検出のための酵素免疫測定法試薬キット:機能試験
米国臨床検査標準委員会により出版されているGlobal Laboratory Standards for a Healthier Worldにしたがって、4番の抗体ペアを用いてMMP-1酵素免疫測定法試薬キットについての機能試験を行った。結果は以下のようであった。
【0061】
1.感度分析(基準Ep17-A2を参照):ブランク限界(LoB)は57.40pg/mlであり、検出限界(LoD)は117.02pg/mlであった。
2.線形分析(基準Ep06-Aを参照):最良非線形多項式は3次回帰であり、濃度は140~8,000pg/mlの間に線形に分布した(非線形性≦5%)。
3.精度分析(基準Ep05-A3を参照):繰り返し精度の平均CV(%)は4.809%であり、試験室内精度の平均CV(%)は9.569%であった。
【0062】
実施形態3-1.MMP-1検出のための金コロイド免疫測定法テストストリップ:抗体マッチングの組み合わせの選択
次に、MMP-1検出のための金コロイド免疫測定法テストストリップに適した抗体の組み合わせを見出すために自己産生モノクローナル抗体をさらに試験した。金コロイドパッド110及びアッセイプレート120を含む金コロイド免疫測定法テストストリップ1の模式図である
図3Aを参照されたい。金コロイドパッド110及びアッセイプレート120は互いに積み重ねられてもよく、例えば、金コロイドパッド110がアッセイプレート120の上に重ねられるか、又はアッセイプレート120が金コロイドパッド110の上に重ねられた。検出抗体-金粒子複合体を含む金コロイドパッド溶液111が金コロイドパッド110上に噴霧されており、アッセイプレート120の表面はニトロセルロース膜で覆われており、捕捉抗体を含む溶液を前記ニトロセルロース膜上にコーティングすることにより測定線122が形成された。さらに、内部対照抗体を含む溶液を前記ニトロセルロース膜上に添加した。これは内部対照線121として機能し得た。試験中、試料は検出抗体-金粒子複合体を含む金コロイドパッド110に添加され、試料は免疫クロマトグラフィーにより金コロイドパッド110からアッセイプレート120上のニトロセルロース膜まで移動した。MMP-1が検出抗体-金粒子複合体に結合した場合、前記検出抗体-金粒子複合体に結合したMMP-1を測定ライン122上の捕捉抗体が捕捉して、凝集して橙色から赤色のシグナル(金粒子の色)を形成することになる。したがって、試験結果は、測定ライン122が着色されたか否かにより判断可能であった。
【0063】
抗体マッチングの組み合わせを選択するために、実施形態2-4で良好な感度を有していた4組の抗体ペア(2番、4番、5番、10番)において用いられたモノクローナル抗体である1-8A12株、6-2株、20-4株、31-34株、及び73-1株をペアにして以下のように試験した。
【0064】
最初に、5種類の抗体をナノスケールの金粒子(直径100nm未満)と反応させて「検出抗体-金粒子複合体」を形成した。しかしながら、1-8A12株及び73-1株は金粒子と十分に反応しなかったので、金粒子は前記検出抗体に連結できなかった。したがって、6-2-金粒子、20-4-金粒子、及び31-34-金粒子のみがヒト組換えMMP-1とペアにされ、合計10組の組み合わせであった。結果を表6に示す。
【0065】
【0066】
表6によると、組み合わせCは良好な感度を達成することができたので、次の臨床試料試験のために組み合わせCが選択された。
【0067】
実施形態3-2.MMP-1検出のための金コロイド免疫測定法テストストリップ:臨床試料の試験
上記組み合わせCを含む金コロイド免疫測定法テストストリップによる臨床試料の検出実現可能性を評価するため、215種類の唾液試料を試験して、酵素免疫測定法により相互比較した。
【0068】
金コロイド免疫測定法テストストリップについては、
図3Bを参照のこと。試料の反応度を、比色カードに対してスコア化した。比色カードは、測定線122の色の強さにしたがって、0~5点に分けられた。比色カードを用いて、0、0~1(0.5)、1、1~2(1.5)、2、2~3(2.5)、3、3~4(3.5)、4、4~5(4.5)、5、5より大きい(5.5)の合計12の等級にスコア化した。次に、比色カードの等級と酵素免疫測定法により測定されたMMP-1の濃度とのX-Y分布図を作成した。結果を
図4に示す。
【0069】
図4は、金コロイド免疫測定法テストストリップの結果及び酵素免疫測定法の結果が正に相関しており、相関分析結果はR=0.871(p<0.0001)であったことを示した。すなわち、組み合わせCを含む金コロイド免疫測定法テストストリップは、臨床唾液試料中のMMP-1の検出に使用可能であった。
【0070】
まとめると、本開示の実施形態は、臨床試料中の内在性MMP-1の検出に効果的な検出方法を開示する。検出方法は、4番のモノクローナル抗体ペア(捕捉抗体:31-34株、検出抗体:73-1株)を用いる酵素免疫測定法試薬、及び組み合わせC(捕捉抗体:1-8A12株、検出抗体:31-34株)のモノクローナル抗体ペアを用いる金コロイド免疫測定法テストストリップを少なくとも含む。各モノクローナル抗体のアミノ酸配列、主な特徴、及び対応する配列番号を以下の表7に示す。
【0071】
【0072】
実施形態4.対照群の結果との比較
実施形態2~3の開発プロセスにおいて、各検出のための捕捉抗体としていくつかの対照群も用いられ、自己産生された1-8A12が検出抗体として用いられ、検出結果は同時に比較及び分析された。市販の抗体(7番)、免疫源としてMMP-1ペプチド断片を用いて産生されたポリクローナル抗体(1番~4番)、免疫源としてプロテアーゼ不活性型MMP-1を用いて産生されたポリクローナル抗体(5番~6番)、及び免疫源としてプロテアーゼ不活性型MMP-1を用いて産生された他のマウスモノクローナル抗体(8番~16番)の合計16種類の抗体を含む、対照群の抗体を表8に示す。
【0073】
【0074】
比較結果は、抗体の大部分は、直接ELISAの段階においてヒト組換えMMP-1に効率的に結合可能であったが、ペア形成のプロセスに入ると、多くのペアの非特異的結合が非常に高く、それらの感度は一般に不十分であったことを示した。捕捉抗体としての対照群及び検出抗体としての自己産生抗体のペアにおいて、最良のペアは市販抗体MAB901と1-8A12-HRPであったが、その濃度標準曲線の範囲(表9A)及び唾液試料中のMMP-1の検出における効率(表9B)は、自己産生抗体ペアのものより劣っていた。したがって、本開示の実施形態において選別されたペアは、捕捉抗体が、市販抗体、免疫源としてプロテアーゼ不活性型MMP-1を用いて産生されたモノクローナル抗体、又は免疫源としてMMP-1断片を用いるポリクローナル抗体を用いる抗体ペアと比較して、より感度が高かった。
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