(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120940
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】二重作用灌注ポンプにおけるシリコーンOリングの使用
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61M5/142 500
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024101900
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2019237799の分割
【原出願日】2019-12-27
(31)【優先権主張番号】16/585,264
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/786,407
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/786,404
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/786,406
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/786,402
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
(57)【要約】
【課題】使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を提供すること。
【解決手段】使い切り二重作用往復動式ポンプ部品は、ピストン及びシリンダと、複数のシリコーンOリングと、を含む。ピストンは、シリンダの内側で双方向に移動するように構成されている。複数のシリコーンOリングは、ピストンをシリンダに対して密封するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い切り二重作用往復動式ポンプ部品であって、
流体入力ポートと、
流体出力ポートと、
ピストン及びシリンダであって、前記ピストンが、前記流体入力ポートから前記流体出力ポートを通って流体を圧送する二重作用の圧送を生じさせるように前記シリンダの内側で双方向に移動するように構成されており、前記シリンダと前記流体出力ポートは、前記ピストンの第1の側に配置された第1のチャネル、および、前記第1の側の反対側である前記ピストンの第2の側に配置された第2のチャネルによって、接続されている、ピストン及びシリンダと、
前記ピストンが前記第1のチャネルの方に移動している間、流体が前記第2のチャネルを通らず前記第1のチャネルを通って流れるように、前記第1のチャネルに配置された第1の逆止弁と、
前記ピストンが前記第2のチャネルの方に移動している間、流体が前記第1のチャネルを通らず前記第2のチャネルを通って流れるように、前記第2のチャネルに配置された第2の逆止弁と、
前記シリンダの第1及び第2の端部に位置付けられた貫通孔に移動可能に配置されたロッドであって、前記ピストンが前記シリンダの前記第1及び第2の端部の間で前記ロッドに固定されている、ロッドと、
前記流体出力ポートを通って圧送される流体の出力流れプロファイルを平滑にするためのバルーンダンパであって、前記バルーンダンパは前記第1のチャネルと前記第2のチャネルの間に位置付けられたチャンバ内に配置されており、前記第1のチャネルから前記流体出力ポートに入る流体および前記第2のチャネルから前記流体出力ポートに入る流体の前記出力流れプロファイルが平滑にされるように、前記チャンバは第3のチャネルと第4のチャネルを介して前記流体出力ポートに接続されている、バルーンダンパと、
前記ピストンを前記シリンダに対して密封し、かつ、前記ロッドを前記シリンダの前記第1及び第2の端部に位置付けられた前記貫通孔に対して密封するように構成された複数のシリコーン製Oリングと、を備える、使い切り二重作用往復動式ポンプ部品。
【請求項2】
前記シリコーン製Oリングのうちの少なくとも1つが、前記ピストンに対して固定され、前記シリンダに対して摺動するように構成されている、請求項1に記載のポンプ部品。
【請求項3】
請求項1に記載の使い切り二重作用往復動式ポンプ部品の製造方法であって、
前記ピストン及び前記シリンダを有する前記使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を部分的に組み立てることであって、前記ピストンが、前記シリンダの内側で双方向に移動するように構成されている、組み立てることと、
前記ピストンを前記シリンダに対して密封するように構成された前記複数のシリコーン製Oリングを嵌合することと、
前記使い切り二重作用往復動式ポンプ部品の前記組み立てを完了することと、を含む、製造方法。
【請求項4】
前記複数のシリコーン製Oリングを嵌合することが、前記ピストンの上に少なくとも1つのシリコーン製Oリングを嵌合することを含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
組み立てられた前記使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を滅菌パッケージに梱包することを含む、請求項3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/786,406号、2018年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/786,402号、2018年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/786,404号、及び2018年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/786,407号の利益を主張するものであり、それらの開示内容が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療用ポンプに関し、特に、単回使用医療用ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
一回使用され得る医療用ポンプの様々な設計が、特許文献に提案されている。例えば、米国特許出願公開第2008/0195058号は、ポンプ駆動を用いてポンピングカートリッジを係合するための装置及び方法を記載している。ある特定の実施形態では、シリンダ及び移動可能なピストン組み立てを備えるカートリッジは、最初に組み立てられるか、又は後で、駆動組み立てと連結するためのピストン組み立て上の取り付け点と、シリンダ上の基準点との間の距離が使用中のピストンの通常の振動中に遭遇することになる最大距離よりも大きくなるように、位置付けされる。ある特定の実施形態では、カートリッジは、カートリッジを不動化するための手段と、ピストン組み立てを駆動シャフトと連結させるための手段と、を有する駆動組み立て内に圧入され得る。ある特定の実施形態では、カートリッジが駆動組み立て内に完全に挿入されると、ピストンは、選択された距離を確立するのに十分にシリンダ内に押圧され、その結果、ピストンシャフトは、駆動シャフトに担持された連結機構に係合するように、適切な位置にある。
【0004】
別の例として、米国特許出願公開第2015/0327875号は、真空源と連結させるように構成された吸引内腔を有するカテーテルを含む、血栓吸引用システムを記載している。このシステムは、吸引カテーテルの供給内腔を流体源と連結させるように構成された第1の導管と、第1の導管と関連付けられ、駆動ユニットと取り外し可能に連結させるように構成されたポンプ構成要素と、を有する、使い切りチュービングセットを更に有する。
【0005】
医療用ポンプの出力流れを制御するための様々な設計は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許出願公開第2013/0123689号は、真空ポンプと、流体連通して一緒に連結された可変容積緩衝容積と、を備える、搾乳ポンプ装置を記載している。この装置はまた、真空ポンプ及び緩衝容積と連結された乳房受容部分を含み、それにより、真空ポンプは、ミルクの圧搾を刺激するために乳房受容部分で負圧を発生させるように動作可能であり、乳房受容部分で発生した負圧は、緩衝容積を制御することによって制御され得る。
【0006】
別の例として、米国特許出願公開第2003/0220608号は、腹膜透析を実施するための方法、システム、及び装置を記載している。この目的のために、一部では、医療用流体ポンプ内の圧力を制御する方法が提供される。この方法は、ポンプストロークの第1の部分の間にポンプ部材の加速度を制御するステップと、ポンプストロークの第2の部分の間にポンプ部材の速度を適応的に変更するステップと、を含む。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0326282号は、血液透析及び類似の透析システムを記載している。1つの態様によると、システムの血液ポンプは、血液を血液透析装置の透析器に圧送するように構成され、血液ポンプは、空気圧作動式ポンプ又は制御型往復動式ダイヤフラムポンプを含む。一実施形態では、ポンプのダイヤフラムは、ポンプの圧送チャンバ又は制御チャンバの湾曲した内壁に概ね適合するように形成又は成形された可撓性膜を備え、ダイヤフラムは、凸状形状をとる制御側を有するように予め形成又は成形され、その結果、ポンプの制御チャンバ内に完全に延在すると、ダイヤフラムへのいずれの弾性張力も最小限に抑えられる。
【0008】
米国特許第5,921,951号は、安定した比率で流体を圧送するための装置を記載している。移動可能な外側表面を有する第1の駆動チャンバと、移動可能な外側表面を有する第2の駆動チャンバと、が提供される。この装置は、ブロックを更に含み、ブロックは、ブロック内に流体を受容するための第1の通路と、安定した比率でブロックから流体を排出するための第2の通路と、を含む、複数の内部通路を有する。ブロックは、第1及び第2の通路と流体連通している第1及び第2の内部チャンバを有する。第1の内部チャンバは、第1の駆動チャンバの移動可能な外側表面と噛合するための第1の可撓性表面を有し、第2の内部チャンバは、第2の駆動チャンバの移動可能な外側表面と噛合するための第2の可撓性表面を有する。正圧を第1の可撓性表面に加え、同時に負圧を第2の可撓性表面に加えるため、並びに負圧を第1の可撓性表面に加え、同時に正圧を第2の可撓性表面に加えるために、少なくとも1つのアクチュエータが提供される。アクチュエータは、第1及び第2の駆動チャンバによって第1及び第2の可撓性表面にそれぞれ連結される。
【0009】
米国特許第3,771,918号は、駆動が第1及び第2の対の関連付けられた再循環ボールベアリングナット及びねじを有する、アナログのターンバックルによって駆動される、複数段線形往復動式平衡非対向圧縮機(balanced-unopposed compressor)を記載している。ボールベアリングナットは、軸方向の変位に対して拘束され、回転動力源によって駆動される。再循環ボールベアリングナット及びねじの対は、反対向きに螺刻合され、ねじは、一緒に往復動するために一緒に連結される。ねじは、往復動を生み出すように連続的に制動される。動力下のねじは、複数のピストンを駆動することによって、異性体内の複数の段階でガスを圧縮する。ねじの動力ストロークが完了すると、そのブレーキが解放され、他方のねじは、第1のものと同一の第2の異性体においてガスを圧縮するように制動される。圧縮機のストロークは、暖機運転用に可変である。
【0010】
医療用ポンプに使用するための様々なタイプの密封要素が、特許文献に提案された。例えば、米国特許出願公開第2014/0224829号は、駆動及び作動システムによって動作可能な流体ポンプデバイスを記載している。流体ポンプデバイスは、ポンプマニホールド、複数のポンプシリンダ、ポンプシリンダの各々において往復動式に動作可能なプランジャ、及び少なくとも1つの入口セレクタ弁を含む。入口セレクタ弁は、ポンプシリンダの横方向外側に位置し、ポンプシリンダに対して概ね平行に延在し得る。一実施形態では、Oリングシールは、例えば、密封された部品が静的であるか、又は一方が他方に対して移動しているかどうかに応じて、ポリウレタン、シリコーン、又はEPDMゴムを含む、任意のタイプの好適なエラストマー材料で作製され得る。
【0011】
別の例として、米国特許出願公開第2011/0144586号は、材料を分注するための携帯用注入デバイス、システム、及びその使用方法を記載している。場合によっては、このデバイス、システム、及び方法は、薬剤、例えば、インスリンなどの材料を、それを必要とする身体に注入するために使用され得る。場合によっては、使用されるシールは、約70Aのショア硬度を有するブチル、シリコーン、ポリウレタンなどのような材料から作製され得る。
【0012】
米国特許出願公開第2011/0106003号は、少なくとも1つのポンプ穴を含むインターフェースを有する使い切りカセットを含む、腹膜透析システムを記載している。少なくとも1つのピストンヘッドは、使い切りカセットの可撓性シートの対応する圧送部分を移動させるために、少なくとも1つのポンプ穴から外に移動可能であり、かつ少なくとも1つのポンプ穴へと後退可能であり、ピストンヘッドは、真空チャンバ内で移動し、真空チャンバは、真空がピストンヘッドの周りで、使い切りカセットの可撓性シートに引っ張られることを可能にする。一実施形態では、以下でOリングと称される任意の既知のタイプのものであり得るシャフトシールもまた、チャンバ内の真空を維持するために、シャフト開口部とピストンとの間のハウジング内に留置される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態は、回転モータと、使い切りポンプ部品を挿入するための区画と、1つ又は2つ以上の脈動低減要素と、を含む、ポンプデバイスを提供する。使い切りポンプ部品は、入力ポート、出力ポート、及び二重作用往復動式組み立てを含む。入力ポートは、流体を吸い込むように構成されている。出力ポートは、流体を出力するように構成されている。二重作用往復動式組み立ては、流体を圧送するように構成されている。組み立ては、単一ピストンと、回転モータと連結されてピストンを駆動するように構成されたロッドと、を含む。1つ又は2つ以上の脈動低減要素は、単一ピストン二重作用往復動式組み立てによって引き起こされる、出力された流体の脈動を低減するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の脈動低減要素は、単一ピストンの運動速度の変動を低減するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の脈動低減要素は、ポンプ部品の出力ポートに嵌合されたバルーンダンパを含む。
【0016】
一実施形態では、1つ又は2つ以上の脈動低減要素は、ガイドチャネル(例えば、スリット)を含む機械的平滑化機構と、回転モータのシャフトをロッドと連結させるように構成されたバーと、を含む。バーは、ガイドチャネル内で回転可能に移動するようにシャフトと連結され、ガイドチャネルのプロファイルは、バーの回転運動によってロッドの往復動運動を加速及び減速するように構成されている。
【0017】
別の実施形態では、1つ又は2つ以上の脈動低減要素は、回転モータの回転速度を変化させるように構成されたプロセッサを含む。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ポンプデバイスの区画に挿入するための使い切りポンプ部品が更に提供され、使い切りポンプ部品は、入力ポート、出力ポート、及び単一ピストン二重作用往復動式組み立てを含む。入力ポートは、流体を吸い込むように構成されている。出力ポートは、流体を出力するように構成されている。二重作用往復動式組み立ては、流体を圧送するように構成されている。組み立ては、単一ピストン、逆止め弁、ロッド、及び機械的脈動低減要素を含む。逆止め弁は、二重作用往復動式圧送を提供するように、単一ピストンによる圧送に応答して、交互に開閉するように構成されている。ロッドは、単一ピストンを駆動するように、ポンプデバイスの回転モータと連結されるように構成されている。機械的脈動低減要素は、単一ピストンによって引き起こされる、出力された流体の脈動を低減するように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、入力ポート、出力ポート、及び組み立ては、ポンプデバイスに嵌合されるように構成され、後で使用終了時にポンプデバイスから取り外される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、単回使用ポンプ部品を組み立てることを含む製造方法が更に提供され、単回使用ポンプ部品は、(a)流体を吸い込むための入力ポート、(b)流体を出力するための出力ポート、及び(c)流体を圧送するための単一ピストン二重作用往復動式組み立てリ、を含む。組み立ては、(i)二重作用往復動式圧送を提供するために、圧送に応答して、交互に開閉するように構成された逆止め弁と、(ii)二重作用往復動式組み立てを駆動するように、回転モータと連結されるように構成されたロッドと、(iii)単一ピストン二重作用往復動式組み立てによって引き起こされる、出力された流体の脈動を低減するように構成された1つ又は2つ以上の脈動低減要素と、を含む。組み立てられたポンプ部品は、滅菌パッケージにパッケージ化される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、使い切り単一ピストン二重作用往復動式ポンプ部品をポンプデバイスの区画に挿入することを含む、製造方法が更に提供される。ポンプ部品は、単一ピストン二重作用往復動式組み立てによって引き起こされる、ポンプ部品から出力された流体の脈動を低減するように構成された1つ又は2つ以上の脈動低減要素を含む。ポンプ部品の入力ポートは、流体供給部に接続される。出力ポートは、医療用デバイスの流体供給ラインに接続される。ポンプデバイスは、ポンプデバイスの制御パネルから操作される。
【0022】
本発明の別の実施形態は、単一ピストン、出力ポート、及びバルーンダンパ、を含む使い切り単一ピストン二重作用往復動式ポンプ部品を提供する。出力ポートは、単一ピストンによって圧送された流体を出力するように構成されている。バルーンダンパは出力ポートに嵌合され、バルーンダンパは、出力された流体の流速の脈動を抑制するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、バルーンダンパは、内部にバルーンが嵌合されるチャンバの形状を受け入れるように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、バルーンダンパは、出力流速が低減されたときに、バルーンダンパによる出力された流体の流速の脈動を、非圧縮容積に抑制し、出力ポートを通して余分な流体を押し出すように構成されている。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、流体を出力するための出力ポートを有する使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を部分的に組み立てることを含む、製造方法が更に提供される。バルーンダンパは出力ポートに嵌合され、バルーンダンパは、出力された流体の流速の脈動を抑制するように構成されている。次いで、ポンプ部品の組み立てが完了する。
【0026】
いくつかの実施形態では、製造方法は、組み立てられたポンプ部品を滅菌パッケージにパッケージ化することを更に含む。
【0027】
本発明の別の実施形態は、入力ポートと、出力ポートと、流体を圧送するための単一ピストン二重作用往復動式組み立てと、機械的平滑化機構と、を含む、使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を提供する。入力ポートは、流体を吸い込むように構成されている。出力ポートは、単一ピストンによって圧送された流体を出力するように構成されている。流体を圧送するための単一ピストン二重作用往復動式組み立ては、単一ピストンと、回転モータのシャフトと連結されるように構成されたロッドと、を含む。機械的平滑化機構は、回転モータのシャフトをロッドと連結させるガイドチャネル及びバーを含み、それにより、内部でバーが回転して移動するガイドチャネルのプロファイルが、バーの回転運動によってロッドの往復動運動を加速及び減速するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ポンプ部品は、二重作用往復動式圧送を提供するように、単一ピストンによる圧送に応答して、交互に開閉するように構成された、逆止め弁を更に含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ポンプ部品は、出力ポートに嵌合されたバルーンダンパを更に含み、バルーンダンパは、出力された流体の流速の脈動を抑制するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポンプ部品は、ピストンをポンプ部品のシリンダに対して密封するように構成された、複数のシリコーンOリングを更に含む。
【0031】
本発明の別の実施形態は、ピストン及びシリンダと、複数のシリコーンOリングと、を含む、使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を提供する。ピストンは、シリンダの内側で双方向に移動するように構成されている。複数のシリコーンOリングは、ピストンをシリンダに対して密封するように構成されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、シリコーン製Oリングのうちの少なくとも1つは、ピストンに対して固定され、シリンダに対して摺動するように構成されている。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、ピストン及びシリンダを有する使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を部分的に組み立てることを含む製造方法が更に提供され、ピストンは、シリンダの内側で双方向に移動するように構成されている。ピストンをシリンダに対して密封するように構成された、複数のシリコーン製Oリングが嵌合される。次いで、ポンプ部品の組み立てが完了する。
【0034】
いくつかの実施形態では、複数のシリコーン製Oリングを嵌合することは、ピストンの上に少なくとも1つのシリコーン製Oリングを嵌合することを含む。
【0035】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態による、使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品を備える医療用ポンプデバイスの概略的な容積レンダリングである。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1の使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、バルーンダンパを含む使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、圧送システムの回転モータの角度の関数としての、
図1の使い切り二重作用ポンプのピストンの運動を説明するグラフである。
【
図5】本発明の一実施形態による、機械的平滑化機構の概略的な容積レンダリングである。
【
図6】本発明の一実施形態による、
図5の機械的平滑化機構の一部分の設計方法を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態による、シリコーンOリングを含む、
図1の使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、
図1の使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
概論
いくつかの医療用途では、一定の流速で出力流れを提供するために、使い切り医療用ポンプが必要とされる。同時に、かかる医療用ポンプは、低コストの製品である必要がある。ある特定の蠕動ポンプなどのいくつかのタイプの低コストポンプは、安定した流れを生み出すことができ、蠕動ポンプは、典型的には、圧送中に一定に屈曲されるプラスチック構成要素を包含する。プラスチック部品の一定の屈曲は、医療手技で使用されるいくつかの医療用デバイスによって拾い上げられ、それらの性能を低下させ得る電気ノイズを発生させる。
【0038】
以下に記載される本発明の実施形態は、ポンプ部品の単一ピストンの往復動運動によって引き起こされる、出力流れの脈動を低減するように構成された1つ又は2つ以上の脈動低減要素を含み、かつ/又はそれと連結される、屈曲自在の使い切り単一ピストン二重作用往復動式ポンプ部品を提供する。
【0039】
開示される実施形態の文脈において、脈動は、ピストンの往復動運動と相関する、開示されるポンプ部品の出力流れの周期的に交互に繰り返し発生する増加及び減少として定義される。したがって、流体の安定した流れを、脈動の完全な欠如とみなすことができる。
【0040】
開示される使い切りポンプ部品は、医療用ポンプデバイス(以下「圧送システム」とも呼ばれるポンプデバイス)の区画内に簡単に嵌合(即ち、挿入)されるように構成されている。ポンプ部品は、「一度限り」単回使用のために構成され、後で、例えば、使用終了時にポンプデバイスから容易に取り外される。使い切りポンプ部分は、流体と接触するポンプの部分をポンプ駆動装置から分離する。使い切りポンプ部品全体は、使用前に滅菌を必要とせず、ほとんどプラスチックで作製されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポンプデバイスが提供され、ポンプデバイスは、(a)回転モータと、(b)使い切りポンプ部品を挿入するための区画と、(c)ポンプデバイスに含まれる1つ又は2つ以上の脈動低減要素と、を備える。使い切りポンプ部品は、(i)流体を吸い込むための入力ポート、及び流体を出力するための出力ポートと、(ii)流体を圧送するための二重作用往復動式組み立てと、を備え、組み立ては、単一ピストンと、回転モータと連結されてピストンを駆動するように構成されたロッドと、を備える。
【0042】
脈動低減要素の例としては、減衰バルーン、プロセッサ、機械的平滑化機構のガイドチャネルが挙げられ、ガイドチャネルは、以下に全て記載される非線形プロファイルを有する。概して、開示される技術は、単一ピストンポンプと共に動作する任意の他の脈動低減要素に適用可能である。
【0043】
ポンプ部品の出力ポートを通って流れる流体と流体連結されたバルーンダンパは、出力流れの平滑化「コンデンサ」として機能する。開示されるバルーンダンパは、ポンプ部品の内側のチャンバに嵌合される。出力流れが低減すると、バルーンは元の圧縮されていない容積に戻り、出力ポートを通して余分な流体を押し出し、それによって、脈動出力を最小値まで低減する。
【0044】
したがって、バルーンは、ピストン運動によって調節される出力流速を、(i)ピストンが一定速度で進行するセクションの間にバルーンが圧縮されることと、(ii)ピストン進行の終了点で、出力圧力が低下すると、バルーンが膨張し、ピストンの方向が変化することによって引き起こされるより低い値から流速を増加させることと、によって規制する。この解決策では、バルーンダンパは、ポンプ部品の出力ポートの一部であり、これらの全ては、使い切りである。
【0045】
プロセッサ要素は、進行の終了点を除いて、ピストンが一定速度で進行するように、ポンプモータの回転速度を制御する。ピストン進行の終了点において、プロセッサは、脈動を低減するためにモータの回転速度を変化させる。
【0046】
代替的に又は追加的に、ピストン(即ち、ロッド)の加速及び減速は、いくつかの実施形態では、ポンプデバイス(即ち、圧送システム)が備え得る機械的平滑化機構を利用して、機械的に達成される。開示される機械的平滑化機構は、圧送デバイスの回転モータのシャフトに単回使用ポンプ部品の一部であるロッドを連結して、モータシャフトの回転をロッドの周期的な可変速度運動に変換する。
【0047】
運動を変換するために、機械的平滑化機構は、シャフトと連結され、非線形プロファイルを有するガイドチャネル内で自由に移動するバーを備える。このように、開示される平滑化機構は、ピストンが停止する進行終了点に到達する直前に、ロッドに嵌合されたポンプ部品のピストンを加速させる。開示されるピストン運動は、ピストン旋回点で減少する流速を補正するように作用する。一実施形態では、開示される機械的平滑化機構の設計は、均一な流れを誘発する可変速度ピストン運動を提供するために、出力経路に沿った流速の減衰を更に考慮する。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態は、シリコーン製Oリングを含む使い切り単一ピストン二重作用往復動式ポンプ部品を提供する。シリコーン製Oリングは、ピストンがシリンダの内側で双方向に移動する際に、流体を圧送することを可能にするように、ピストンをシリンダに対して密封する。いくつかの実施形態では、シリコーン製Oリングのうちの少なくとも1つは、ピストンに対して固定され、シリンダに対して摺動するように構成されている。
【0049】
シリコーン製Oリングは、典型的には、不十分な引裂強さ、摩耗、及び引張強度を呈する。シリコーン製Oリングの磨耗耐性が不十分であるとは、かかるOリングが、概して、移動可能な部品とのシールとして使用するのに好適ではないと考慮されることを意味する。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、部品は「一度限り」単回使用のために意図されているため、シリコーン製Oリングもまた単回使用であり、ひいては、上記の欠点は関係ない。更に、ピストンの速度は、シリコーンOリングがそのタスクを「一度限り」単回使用で確実に満たすことを保証するのに十分に低く保たれる。
【0050】
「一度限り」単回使用のために意図されたポンプ部品において低コストのOリングを使用することは、かかるポンプ部品のコストを下げることができ、したがって、薬物の静脈内注射などの医療用途における使い切りポンプの採用が増加する。
【0051】
出力流れの脈動を抑制するための開示技術を備える、開示される低コストの使い切り単一ピストン二重作用ポンプは、例えば、使い切り蠕動ポンプを使用することにより電気擾乱を伝えることができる、医療手技で使用され得る。例えば、開示される単回使用ポンプ部品は、他のデバイスによって検知された低振幅電気生理学的信号に電気ノイズを加えることなく、灌注式高周波心臓アブレーションカテーテルと共に使用され得る。したがって、開示される低コストのポンプ部品は、医療手技における使い切りポンプの採用を増加させ得る。
【0052】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品10を備える医療用ポンプデバイス100の概略的な容積レンダリングである。ポンプ部品(部品10)全体は、単回使用のためにデバイス100に簡単に嵌合され、使用終了時にデバイス100から容易に取り外されるように構成されている。
【0053】
デバイス100は、ポンプモータの回転作用を二重作用ポンプ部品10の往復動運動に変換する接続機構(図ではマークせず)を介してポンプに接続された、回転ポンプモータ30を更に備える。
【0054】
二重作用ポンプ部品10は、流体供給部が接続される流体入力ポート14と、例えば、高周波アブレーションカテーテルの灌注ポートなどの医療用デバイスの流体供給ラインに接続され得る流体出力ポート16と、を有する。デバイス100は、制御パネル50から動作及び監視されるスタンドアロンデバイスである。
【0055】
インセット25は、デバイス100に嵌合されるように構成された単一部分である、ポンプ部品10を示す。部品の唯一のインターフェースは、流体入力ポート14、流体出力ポート16、及び移動ロッド12であり、移動ロッド12は、ポンプ部品10の内側でピストンを移動させて、圧送作用を提供するように連結される。
【0056】
図1に示される例示的な図は、純粋に概念を分かりやすくするために選択されたものである。本発明に関連する要素のみが記載されているが、簡略化のために、デバイス100に含まれる多くの他の部品は省略されている。例えば、開示される単回使用ポンプ部品10は、接続ロッド及びねじ機構を介して回転ポンプモータ30に接続される。ねじ機構は、ポンプモータの回転作用を接続ロッドの往復動運動に変換する。
【0057】
インセット25に示される例示的な図は、純粋に概念を分かりやすくするために選択されたものである。代替的な実施形態では、ポンプ部品10の工業設計は、医療用ポンプデバイス100の他の設計に適合するように異なり得る。
【0058】
使い切り二重作用往復動式ポンプ組み立て
図2は、本発明の一実施形態による、
図1の使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品10の概略的な絵画図である。見られるように、圧送部品10は、デバイス100に嵌合されるように構成された一部品要素であり、部品の唯一のインターフェースは、流体入力ポート14、流体出力ポート16、及び移動ロッド12であり、移動ロッド12は、以下に記載されるように、ポンプ部品10の内側でピストンを移動させて、圧送作用を提供するように連結される。
【0059】
見られるように、ロッド12は、二方向圧送作用で、シリンダ20の内側でピストン18を駆動する。4つの逆止め弁22は、二重作用の圧送を提供するように、交互に(対で)開閉する。対向する両方方向で使用可能な、ピストン18の往復動運動は、流体を、ほぼ連続的な流れで入力ポート14から出力ポート16へと圧送する。
【0060】
更に、かかる二重ストローク構成を使用することにより、ポンプ部品10は、流体を、広範囲の流速、数mL/分~数十mL/分で、及び広い出力圧力範囲、サブPSI~数十PSIで、ほぼ連続的に圧送することができる。
【0061】
ポンプ部品10は、主に、開示されるポンプデバイスの一回使用モデルを可能にする、逆止め弁22などの低コストのプラスチック部品で作製されている。
【0062】
図2に示される例示的な図は、純粋に概念を分かりやすくするために選択されたものである。代替的な実施形態では、ポンプ部品10の工業設計は、デバイス100の他の設計に適合するように異なり得る。本発明に関連する要素のみが記載されているが、簡略化のために、Oリングなどの、ポンプ部品10に含まれる多くの他の構成要素は記載されていない。
【0063】
ポンプのポートのためのダンパとしてバルーンの使用
図3は、本発明の一実施形態による、バルーンダンパ40を含む使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品11の断面図である。見られるように、バルーン40は、部品11の出口ポートでポンプ部品11の内側に嵌合されている。ポンプ部品11は、
図2の部品10について説明したように機能し、部品10と11との間の変化のみが、バルーンダンパ40を使用して部品10の出力流れプロファイルを平滑化する。
【0064】
ポンプ部品11の遅く緩徐な流速の変化を確立するために、バルーン40は、ピストン18の一定速度で進行するセクションの間に周囲の流体によって圧縮されるように構成されている。ピストン終了点では、流体圧力が低下すると、バルーンは膨張し、ピストンの変化方向によって引き起こされるより低い値から流速を増加させる。インセット45は、バルーン40を使用せずに実証された流速53プロファイルと比較して、バルーン40を使用する場合に、より均一な流速55を実証するグラフを示す。網掛け領域によって見られるように、終了点-X0及び+X0に向かって、バルーンダンパ40が使用されない限り、ポンプの出力流れは実質的に低下する。
【0065】
いくつかの実施形態では、バルーン40は、特別な半三日月形円筒形状を有し、これは、バルーンの容積を最大化するように、及び出力流れにおける脈動に対するバルーン40の減衰効果を最大化するように、部品11の内側の利用可能な空間に最もよく嵌合する。
【0066】
図3に示される例示的な図は、純粋に概念を分かりやすくするために選択されたものである。バルーン40の形状、並びにチャネル44の形状、場所、及び数は変化し得る。
【0067】
二重作用往復動式ポンプにおける脈動の低減
図4は、本発明の一実施形態による、圧送システムの回転モータの角度の関数としての、
図1の使い切り二重作用ポンプのピストンの運動を説明するグラフである。
【0068】
開示されるグラフ52及び55は、可能な限り均一である、グラフ60に見られる流出要件から、設計者によって導き出される。
【0069】
周期的なグラフ52は、回転駆動モータのシャフト角度の関数としてのピストン位置を示す。見られるように、ピストン進行の旋回点近く(即ち、回転角度0、π、2π...を中心として)、ピストン位置Xは、シャフト角度に対して非線形に依存する。ピストンの可変速度運動の根本的な原因がグラフ55に見られ、ピストン速度VXは、ピストンがシリンダの旋回端で瞬時に停止するため、ピストン速度が減速する前と後に増加する。
【0070】
上述のように、システム100の内側のプロセッサは、例えば、脈動を低減するように、モータの回転を加速することと、減速することとの組み合わせによって、システムに出力流速を変化させるように命令することができる。
【0071】
図5は、本発明の一実施形態による、機械的平滑化機構40の概略的な容積レンダリングである。いくつかの実施形態では、機械的平滑化機構40は、プロファイル60などの部品10の出力流れの所望のプロファイルを達成するために使用される。
【0072】
見られるように、ロッド12は、ガイドチャネル48を有するガイドハブ47と連結される。機構40のシリンダヘッド42は、駆動モータ(図示せず)の回転シャフト41と連結される。ガイドハブ47は、バー46が回転シャフト41と共に回転するように、ヘッド42にねじ込まれるバー46によってヘッド42と連結される。ガイドチャネル48のため、ガイドハブ47はロッド12と回転可能に連結されず、要素47は、バー46がガイドチャネル48に沿って回転して移動するとき、要素47(及びそれと共にロッド12、ひいては、ピストン18)を押し出し、引っ張るバー46によって誘導される可変速度運動で前後に移動し、ガイドハブ47を、ガイドチャネル48によって画定された経路に従ってロッド12をその軸線に沿って並進させる。
【0073】
ガイドチャネル48プロファイルは、ポンプ部品10の内側のシリンダの旋回端-X0と+X0との間でピストンが進行する関数として、シャフト41の回転をインセット45に見られるロッド12の可変速度プロファイル55V(X)に変換するように設計されている。
【0074】
図5に示される例示的な図は、純粋に概念を分かりやすくするために選択されたものである。本発明に関連する機械的平滑化機構40の要素のみが記載されているが、簡略化のために、機械的平滑化機構40がねじなどを含み得る多くの他の部品は省略されている。
【0075】
図6は、本発明の一実施形態による、
図5の機械的平滑化機構40の設計方法を説明するフローチャートである。プロセスは、必要とされる可能な限りの一定さを定義することで開始し、出力流れ要件ステップ70で、ポンプ部品10の流れプロファイルを出力する。次に、ステップ70で提供された出力流れの必要とされるプロファイルに基づいて、設計者は、ピストン速度計算ステップ72でピストン速度プロファイル55を計算する。速度プロファイルを使用して、設計者は、機械的ガイドチャネルプロファイル計算ステップ74でポンプ部品10の必要とされる必要な出力流れプロファイルを生み出すであろう、機械的平滑化機構40のガイドチャネル(例えば、スリット)48のプロファイルを計算する。最後に、設計者は、設計保存ステップ76において、製造業者が使用するためのファイル内に、スリット48を含む機械的平滑化機構40の設計を保存する。
【0076】
二重作用灌注ポンプにおけるシリコーンOリングの使用
図7は、本発明の一実施形態による、シリコーンOリング66を含む、
図1の使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品10の断面図である。部品10の機能を
図2に記載する。
【0077】
3つのシリコーンOリング40(即ち、66a、66b、及び66c)は、以下に記載されるように、ピストン18が流体を圧送するために双方向に移動するときに、効率的な圧送機能を確立し、漏れを回避するように、ポンプ部品10に嵌合されて、ピストン18をシリンダ20に対して密封する。
【0078】
見られるように、シリコーンOリング66a及び66cは、Oリング66a及び66cがポンプ部品10の外側に漏れるのを防ぐ方法で、シリンダ20に嵌合される。Oリング66bは、圧送される流体(即ち、圧力下の流体)がピストン18の周囲でピストン18によって分離されたシリンダ20の容積内に漏れることを防ぎ、その増加した容積が流体を吸い込むのに役立つように、ピストン18の外周上に嵌合される。ピストンが方向を逆転させると、Oリング66bは、反対方向の流れに対して密封するのに役立つ。
【0079】
図7に示される例示的な図は、純粋に概念を分かりやすくするために選択されたものである。シリコーンOリング66の断面、場所、及び数は、変化し得る。
【0080】
ポンプ部品の製造プロセス
図8は、本発明の一実施形態による、
図3の使い切り単一ピストン二重作用ポンプ部品11の製造方法を説明するフローチャートである。
【0081】
プロセスは、ポンプ部品組み立てステップ80で、使い切り二重作用往復動式ポンプ部品11を部分的に組み立てることで開始する。次に、シリコーンOリング66を、シリコーンOリング嵌合ステップ82で、部分的に組み立てられたポンプ部品11に嵌合する。次に、バルーンダンパ40を、バルーンダンパ嵌合ステップ84で、部分的に組み立てられたポンプ部品11に嵌合する。代替的に又は追加的に、脈動は、開示される機械的平滑化機構によって、及び/又はプロセッサが上に記載されるように回転速度を変更することによって制御される。
【0082】
次いで、製造方法は、ポンプ完全組み立てステップ86で、ポンプ部品11の組み立てを、使い切り二重作用往復動式ポンプに仕上げるステップを含む。最後に、完全に組み立てられたポンプ部品10は、滅菌パッケージ化ステップ88で、滅菌パッケージにパッケージ化される。
【0083】
図8に示す例示的なフローチャートは、単に概念を明確化する目的のために選ばれたものである。本発明の実施形態に関連する製造ステップのみを示す。
【0084】
本明細書に記載される実施形態は、主にカテーテル灌注用の滅菌可能なポンプ部分に対処するが、本明細書に記載される、開示される単回使用ポンプ部品は、医療用撮像及び静脈内注入のための造影剤の注入などの他の医療用途にも使用することができる。
【0085】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上文に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献においていずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 使い切り二重作用往復動式ポンプ部品であって、
ピストン及びシリンダであって、前記ピストンが、前記シリンダの内側で双方向に移動するように構成されている、ピストン及びシリンダと、
前記ピストンを前記シリンダに対して密封するように構成された複数のシリコーンOリングと、を備える、使い切り二重作用往復動式ポンプ部品。
(2) 前記シリコーン製Oリングのうちの少なくとも1つが、前記ピストンに対して固定され、前記シリンダに対して摺動するように構成されている、実施態様1に記載の単回使用ポンプ部品。
(3) 製造方法であって、
ピストン及びシリンダを有する使い切り二重作用往復動式ポンプ部品を部分的に組み立てることであって、前記ピストンが、前記シリンダの内側で双方向に移動するように構成されている、組み立てることと、
前記ピストンを前記シリンダに対して密封するように構成された複数のシリコーン製Oリングを嵌合することと、
前記ポンプ部品の前記組み立てを完了することと、を含む、製造方法。
(4) 複数のシリコーン製Oリングを嵌合することが、前記ピストンの上に少なくとも1つのシリコーン製Oリングを嵌合することを含む、実施態様3に記載の製造方法。
(5) 前記完全に組み立てられたポンプ部品を滅菌パッケージにパッケージ化することを含む、実施態様3に記載の製造方法。
【外国語明細書】