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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120944
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】医療機器用流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/08 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B18/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102207
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2020041355の分割
【原出願日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】19164955
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ハイシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ダヴィドフスキー
(57)【要約】
【課題】コンパクトで安価な構成の流体制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、医療機器(10)用の流体制御装置(12)、特に、アルゴンプラズマ凝固用の医療機器に関する。流体制御装置(12)は、流体が流れる流体制御部品(21)を少なくとも1つ備える流体制御回路(19)を有する。流体制御部品(21)を制御するために、少なくとも1つの電気および/または電子部品(51)を備える制御回路(20)が設けられる。流路部(22)のメイン流路(72)が流量測定器(32)の流量測定チャネル(33)を形成する。2つの圧力測定チャネル(34)を有する少なくとも1つの圧力測定チャネルペア(35または36)が設けられ、当該圧力測定チャネルペアの複数の圧力測定チャネル(34)は、流れ方向(F)に互いに離れた位置において流量測定チャネル(33)と接続する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器(10)用流体制御装置(12)であって、
流入点(23)と流出点(24)との間に配置された、少なくとも1つの流路部(22)および少なくとも1つの流体制御部品(21)を有する流体制御回路(19)と、
前記流体制御回路(19)の前記少なくとも1つの流体制御部品(21)を制御するように構成された制御回路(20)であって、少なくとも1つの電気および/または電子部品(51)を有する制御回路(20)とを備え、
前記流路部(22)のメイン流路(72)が流量測定器(32)の流量測定チャネル(33)を形成し、2つの圧力測定チャネル(34)を有する少なくとも1つの圧力測定チャネルペア(35または36)が設けられ、当該圧力測定チャネルペアの複数の圧力測定チャネル(34)は、流れ方向(F)に互いに離れた位置において前記流量測定チャネル(33)と接続する
流体制御装置。
【請求項2】
別個の圧力センサ(37)が各圧力測定チャネル(34)に接続されるか、または、圧力差センサが1つの圧力測定チャネルペア(35または36)の複数の圧力測定チャネル(34)に接続される
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
第1圧力測定チャネルペア(35)が設けられ、当該第1圧力測定チャネルペア(35)の複数の圧力測定チャネル(34)は、第1流れ断面を有する前記流量測定チャネル(33)の第1チャネル部分(33a)に通じており、
第2圧力測定チャネルペア(36)が設けられ、当該第2圧力測定チャネルペア(36)の複数の圧力測定チャネル(34)は、第2流れ断面を有する前記流量測定チャネル(33)の第2チャネル部分(33b)に通じており、
前記第1流れ断面と前記第2流れ断面とは異なる面積を有する
請求項1または2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
別個の圧力センサ(37)が各圧力測定チャネル(34)に接続されるか、または、圧力差センサが1つの圧力測定チャネルペア(35または36)の複数の圧力測定チャネル(34)に接続され、
前記圧力センサ(37)で測定された少なくとも2つの圧力値は、前記流量測定チャネル(33)を流れる流体の質量流量または体積流量を当該少なくとも2つの圧力値に基づいて決定するように構成された前記制御回路(20)の制御部(30)または評価部に伝送される
請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記流体制御回路(19)は、アクチュエータおよび前記流量測定器(32)の直列接続を備え、流れ方向(F)において、前記流量測定器(32)は、前記アクチュエータの上流側に配置される
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項6】
流れ方向(F)において、前記流量測定器(32)は、圧力制限装置または圧力制御装置または圧力調整装置とアクチュエータとの間に配置される
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項7】
第1実装面(46)および第1結合面(47)を有する第1キャリア部(45)と、第2実装面(49)および第2結合面(50)を有する第2キャリア部(48)とを備え、
前記流体制御回路(19)の前記少なくとも1つの流体制御部品(21)、ならびに、前記制御回路(20)の前記少なくとも1つの電気および/または電子部品(51)は、前記キャリア部(45、48)の前記実装面(46、49)に配置され、
少なくとも1つの第1流路空洞(60)が前記第1結合面(47)に設けられ、かつ/または、少なくとも1つの第2流路空洞(62)が前記第2結合面(50)に設けられ、
前記2つのキャリア部(45、48)は、前記少なくとも1つの第1流路空洞(60)および/または前記少なくとも1つの第2流路空洞(62)が前記流路部(22)の少なくとも1つのメイン流路(72)を規定するように前記結合面(47、50)で互いに接続される
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項8】
少なくとも1つの第1流路空洞(60)および少なくとも1つの第2流路空洞(62)が設けられ、各第1流路空洞(60)と、それに対応する1つの第2流路空洞(62)とは、前記流路部(22)の1つのメイン流路(72)を形成する
請求項7に記載の流体制御装置。
【請求項9】
各第1流路空洞(60)および各第2流路空洞(62)は、半円形状の断面を有する
請求項8に記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記第1キャリア部(45)および前記第2キャリア部(48)は、それぞれの射出成形部品によって形成される
請求項1~9のいずれか1項に記載の流体制御装置。
【請求項11】
前記第1実装面(46)と前記第1結合面(47)との間に延在し、かつ、前記第1実装面(46)から前記第1結合面(47)、または、前記第1結合面(47)から前記第1実装面(46)への少なくとも1つの延在方向にアンダーカットがない、少なくとも1つの流体第1分岐路(61)が前記第1キャリア部(45)に存在する
請求項7~9のいずれか1項に記載の流体制御装置。
【請求項12】
前記第2実装面(49)と前記第2結合面(50)との間に延在し、かつ、前記第2実装面(49)から前記第2結合面(50)、または、前記第2結合面(50)から前記第2実装面(49)への少なくとも1つの延在方向にアンダーカットがない、少なくとも1つの流体第2分岐路(63)が前記第2キャリア部(48)に存在する
請求項7~9のいずれか1項に記載の流体制御装置。
【請求項13】
1以上の第1流路空洞(60)および/または1以上の第2流路空洞(62)は、前記結合面(47、50)において、または、前記結合面(47、50)に沿って、互いに離れた複数のメイン流路(72)を形成する
請求項7~9のいずれか1項に記載の流体制御装置。
【請求項14】
各流体制御部品(21)は、前記第1実装面(46)に配置される
請求項7~9のいずれか1項に記載の流体制御装置。
【請求項15】
各電気および/または電子部品(51)は、前記第2実装面(49)に配置される
請求項7~9のいずれか1項に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用流体制御装置に関する。当該流体制御装置を用いることで、流体、特に、医療用ガスの体積流量または質量流量を制御またはフィードバック制御することができる。
【背景技術】
【0002】
流体制御用装置は、様々な技術分野において知られている。特許文献1は、それぞれの内側に流路の空洞がエッチングされ、折り畳み可能に接続された金属板の小型装置について記載している。折り畳むことによって、流体を導くために多層体を形成する。この装置は、小型化されるので、分析装置、例えば、クロマトグラフに適している。
【0003】
特許文献2は、統合分析化学センサ測定でサンプル抽出する方法および装置、ならびに、その装置を製造する方法について開示している。測定カートリッジは、化学センサまたはバイオセンサを備えており、ルアー接続で針とシリンジとの間に配置することができる。サンプル抽出後、シリンジを用いて測定カートリッジを手動測定装置に挿入することができる。
【0004】
直径が小さくなった流路のチャネル部分に配置された流量センサを備える流量測定装置は、特許文献3から周知である。下流方向に、渦流発生部と圧力測定チャネルとが配置されている。発生した渦周波数は、圧力測定チャネルを介して検出可能な流速の関数である。
【0005】
特許文献4は、流路における2接点間の圧力差の関数として流量を検出する装置および方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,888,390号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19546535号明細書
【特許文献3】米国特許第5,020,373号明細書
【特許文献4】国際公開第99/36747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術から、改良された医療機器用流体制御装置を提供することが本発明の目的として考えられる。特に、流体制御装置は、医療用ガスのガス流量を制御し、かつ、そうすることでコンパクトおよび安価な構成を実現するように構成されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、請求項1の特徴にかかる流体制御装置により解決される。
【0009】
特に、流体制御装置は、アルゴン、酸素、二酸化炭素、または、医療機器で用いられる他のガスなどのガス流を制御またはフィードバック制御するように構成されている。また、他の医療応用では、ガス流の代わりに、液体流を制御またはフィードバック制御できる。医療機器は、特に、アルゴンプラズマ凝固用の器具であってもよい。
【0010】
流体制御装置は、流路部と少なくとも1つの流体制御部品とを備える流体制御回路を有する。流路部および流体制御部品は、流入点と流出点との間に配置され、流入点と流出点との間の流体的接続を共に形成する。流体制御装置の動作中に、少なくとも1つの流体制御部品または設けられた全ての流体制御部品に流体が流れることが好ましい。流体制御部品は、流体が流れることができて流体を通すだけでなく、さらに、流れる流体の流体特性(圧力、体積流量、質量流量、純度など)を変更する、例えば、方向弁、比例弁、圧力制御弁もしくは圧力調整弁、フィルタ、または、他の部品であってもよい。
【0011】
制御回路は、流体制御回路の少なくとも1つの流体制御部品を制御するように構成される。このため、制御回路は、例えば、少なくとも1つの流体制御部品に対して制御信号を出力する制御部を備える少なくとも1つの電気および/または電子部品を備える。制御回路は、流体が流れる部品を何も含まないことが好ましい。制御回路の1以上の部品、例えば、圧力センサは、流体と接してもよいが、流体は流れないことが好ましい。
【0012】
流体制御装置は、第1実装面と第1結合面とを有する第1キャリア部と、第2実装面と第2結合面とを有する第2キャリア部とを備えることが好ましい。各キャリア部の実装面および結合面は、各キャリア部の両側に配置されることが好ましい。実施の形態において、第1実装面および/または第2実装面は、各平面内に延在する。第1実装面は、少なくとも1つの流体制御部品を実装するために構成される。第2実装面は、制御回路の少なくとも1つの電気および/または電子部品を実装するために構成される。流体制御回路の1つの流体制御部品または複数の流体制御部品は、第1キャリア部の第1実装面に配置され、かつ/または、制御回路の1つの部品または複数の部品は、第2キャリア部の第2実装面に配置される。流体制御回路の全ての流体制御部品および/または制御回路の全ての部品は、各実装面に直接または間接的に配置されることが好ましい。
【0013】
実施の形態において、いくつかまたは複数の設けられた流体制御部品は、第1実装面に直接配置され、流路部と流体的に接続される。第2実装面では、制御回路の少なくとも1つの電気および/または電子部品を支持する回路基板部を取り付けてもよい。制御回路の全ての電気および/または電子部品は、回路基板部に配置されることが好ましい。
【0014】
また、各実装面以外の第1キャリア部および/または第2キャリア部に部品が取り付けられていなければ、有利である。
【0015】
流路部の少なくとも1つのメイン流路を作成するために、少なくとも1つの第1流路空洞が第1結合面に設けられてもよく、かつ/または、少なくとも1つの第2流路空洞が第2結合面に設けられてもよい。そのため、少なくとも1つのメイン流路は、第1結合面と第2結合面との間の分離面に沿って延在してもよい。周方向において、少なくとも1つのメイン流路は、一部が第1結合面によって、一部が第2結合面によって規定されてもよい。第1結合面および第2結合面の領域において、第1キャリア部および第2キャリア部は互いに接続されてもよい。結合面は、直接2次元接触できる、または、ギャップ作成時に互いに向かい合う平坦面部分をそれぞれ有することが好ましい。これら平坦面部分は、キャリア部の流路空洞を取り囲んでいる。少なくとも1つの第1および第2流路空洞は、第1および第2結合面の周辺面部分と比べて掘り下げられている。2つのキャリア部が結合面領域において互いに接続されている場合、第1流路空洞は第2キャリア部と共に、および/または、第2流路空洞は第1キャリア部と共に、2つのキャリア部間の分離位置の領域においてメイン流路を規定する。オプションとしてシール部を用いる場合、キャリア部は、2つのキャリア部間の分離位置の領域において少なくとも1つのメイン流路が流体的にシールされるように結合面領域で互いに接続される。
【0016】
少なくとも1つのメイン流路は、キャリア部間の分離位置または分離面の領域に排他的に存在してもよく、特に全長に沿って両キャリア部によって規定される。特に、少なくとも1つのメイン流路は、第1キャリア部のチャネル壁により、および、第2キャリア部のチャネル壁により、同時に長さ全体に沿って規定される。流路部の追加流路は、第1キャリア部および/または第2キャリア部内に拡張してもよく、特に、流路空洞からまたは流路空洞へ分岐路を形成してもよい。流路部の全ての流路は、第1キャリア部の一体部分または第2キャリア部の一体部分であるチャネル壁によって規定されることが好ましい。流入点と流出点との間の流体制御回路内には、完全にキャリア部外で延在する別のライン、例えば、2つの流体制御部品間の直接ラインに流体接続が形成されないことが好ましい。
【0017】
各メイン流路は、第1キャリア部の第1流路空洞および第2キャリア部の第2流路空洞によって形成されれば好ましい。各第1流路空洞および/または第2流路空洞は、半円形状の断面を有することが好ましい。そうすることで、キャリア部間の接続がなされた場合に、各メイン流路は、円形断面を有することができる。少なくともいくつかのメイン流路は、略円形断面を有することが好ましい。
【0018】
流路部は、メイン流路から分岐する少なくとも1つの分岐路を備えてもよい。例えば、第1キャリア部において、第1実装面と第1結合面との間に延在する少なくとも1つの分岐路が存在してもよい。したがって、第2キャリア部には、第2実装面と第2結合面との間に延在する少なくとも1つの第2分岐路が存在してもよい。
【0019】
キャリア部を製造するため、第1キャリア部と第2キャリア部とをそれぞれ射出成形部品によって形成すれば、特に有利である。射出成形部品は、均一材料、特に、プラスチックまたは合成物から製造されることが好ましい。そうすることで、第1キャリア部および第2キャリア部は、つなぎ目および接続位置がない一体的なキャリア部として形成される。特に、キャリア部を製造した後、流路を形成するために材料を取り除く再作業の必要がない。流路部の全ての流路は、キャリア部を製造している間にキャリア部を製造することによって形成されることが好ましい。
【0020】
第1キャリア部に少なくとも1つの第1分岐路が存在する場合、少なくとも1つの第1分岐路は、少なくとも第1実装面から第1結合面、または、その逆の第1結合面から第1実装面の延在方向にアンダーカットがない。少なくとも1つの第1分岐路は、円錐形または円柱形でもよい。第2キャリア部に少なくとも1つの第2分岐路が設けられる場合、少なくとも1つの第2分岐路は、少なくとも第2実装面から第2結合面、または、その逆の第2結合面から第2実装面の延在方向にアンダーカットがない。少なくとも1つの第2分岐路は、円錐形または円柱形でもよい。そうすることで、射出成形部品としてキャリア部を製造するステップは、著しく簡略化される。
【0021】
実装面および結合面に対して横方向に延在する全てのカットアウトは、少なくとも、各結合面から各実装面、または、その逆の各実装面から各結合面の方向にアンダーカットがないことが好ましい。少なくとも1つの第1分岐路、および/または、少なくとも1つの第2分岐路は、特に、射出成形部品として第1キャリア部または第2キャリア部を製造するための射出成形型の型閉方向に延在する。
【0022】
上述したような、射出成形部品としてキャリア部を製造するステップ、および/または、アンダーカットのない少なくとも1つの分岐路構成は、本発明の独立した態様であり、特に、流体制御回路の流体制御部品および/または制御回路の部品が実装面に配置されているかどうかに関係なく提供することができる。
【0023】
少なくとも1つのメイン流路をシールするためのシール部は、第1結合面と第2結合面との間に配置されることが好ましい。シール部は、存在するメイン流路ごとに、リングシールを備えてもよい。キャリア部間の分離面または分離位置の領域に、複数の別個のメイン流路が形成される場合、周囲環境に関してメイン流路をシールするために、各メイン流路は、シール部のリングシールで完全に取り囲まれることが好ましい。このため、リングシールを挿入するためのリング溝が、第1結合面および/または第2結合面に存在してもよい。リング溝は、第1結合面において第1流路空洞を完全に取り囲んでもよいし、リング溝は、第2結合面において第2流路空洞を完全に取り囲んでもよい。
【0024】
キャリア部間の接続がなされた場合に、2つのキャリア部間の分離位置の領域においてシール部が正しい位置にあるかどうか外側から目視検査によって判断できるように、第1キャリア部および/または第2キャリア部が、少なくとも部分的に透明材料で作られていれば、さらに有利である。特に、少なくとも1つのリングシールが各リング溝に正しく配置されているかどうか判断することができる。
【0025】
流体制御回路の全ての流体制御部品は、第1実装面に配置されること、特に、第1実装面に直接配置されることが好ましい。加えてまたは代わりに、制御回路の全ての電気および/または電子部品は、第2実装面に間接的または直接的に配置され、好ましくは、回路基板部を用いて間接的に配置される。流体は、制御回路のいずれの部品にも流れないことが好ましい。
【0026】
本発明では、流路部のメイン流路が流量測定チャネルを形成する。流量測定チャネルは、流体制御装置の流量測定器の一部である。流量測定チャネルは、長さ全体に沿って略円形断面を有することが好ましい。2つの圧力測定チャネルを有する少なくとも1つの圧力測定チャネルペアが設けられ、当該圧力測定チャネルペアの圧力測定チャネルは、流れ方向に互いに離れた位置において流量測定チャネルと接続する。圧力測定チャネルペアの圧力測定チャネルは、同じキャリア部に存在することが好ましいが、代わりに、異なるキャリア部に設けられてもよい。圧力測定チャネルは、少なくとも第2キャリア部内および第2キャリア部を通り抜ける部分に延在することが好ましい。好適な実施の形態では、別個の圧力センサが、圧力測定チャネルそれぞれに割り当てられる。圧力センサは、圧力測定チャネル内部において各圧力測定チャネルと流量測定チャネルとの間の接続位置で圧力を測定するように構成される。代替構成では、圧力測定チャネルペアごとに1つの圧力差センサで十分なように、圧力差センサを圧力測定チャネルペアの圧力測定チャネルに接続する。圧力差センサは、圧力差信号を生成してそれを制御部に伝送するように構成される。
【0027】
上述したように、各圧力測定チャネルの少なくとも一部分は、分岐路によって形成されてもよい。好適な実施の形態において、各圧力測定チャネルのさらなる部分は、実装面を超えて延在し、特に、各キャリア部と一体的に形成されるノズル内に延在してもよい。
【0028】
また、圧力チャネルが同じ流量測定チャネルに接続された第1圧力測定チャネルペアおよび第2圧力測定チャネルペアを設ければ、有利である。流量測定チャネルは、第1流れ断面を有する第1チャネル部分と、第2流れ断面を有する第2チャネル部分とを有することが好ましく、2つの流れ断面は互いに異なっており、特に、大きさが異なる。第1圧力測定チャネルペアの圧力測定チャネルは、第1チャネル部分に接続し、第2圧力測定チャネルペアの圧力測定チャネルは、第2チャネル部分に接続している。この構成では、各圧力測定チャネルペアを用いた流量測定の実現可能性が提供され、大きさが異なる流れ断面により、流体流れの体積流量または質量流量を決定する異なる測定範囲が可能である。このように、提供総測定範囲は増加される。
【0029】
流量測定チャネルを流れる流体の体積流量または質量流量を決定するために、少なくとも1つの圧力測定チャネルペアの測定圧力値が伝送される制御回路の評価部を設けることが好ましい。流量測定チャネルにおける管摩擦により、共通圧力測定チャネルペアの圧力測定チャネル間に圧力差が生じる。ここで、圧力差とは、流量測定チャネルを流れる流体の体積流量または質量流量に対する特性であり、そうすることで体積流量または質量流量を評価部において決定することができる。
【0030】
流量測定器、特に、流量測定チャネル、および/または、圧力測定チャネル、および/または、接続済み圧力センサの上記説明した構成は、本発明の他の態様の追加または代わりとして実現されてもよい。
【0031】
また、流体制御回路は、アクチュエータ、特に、比例弁および流量測定器の直列接続を備えることが好ましい。流量測定器は、上述したように構成できることが好ましい。流れ方向で、流量測定器は、アクチュエータの前に配置されることが好ましい。そうすることで、流出点に接続された負荷、例えば、手術器具から独立した測定が保証される。
【0032】
さらに、流れ方向で圧力制限装置または圧力制御装置または圧力調整装置とアクチュエータとの間に流量測定器を配置すれば、有利である。圧力制限装置または圧力制御装置または圧力調整装置とアクチュエータとの間には、さらなる流体制御部品、特に、流量測定器の一部ではない流体圧力を変える流体制御部品が存在しないことが好ましい。
【0033】
ハイドロリック接続図に関する流体制御回路の回路構成、特に、さらなる流体制御部品と直列な流量測定器の配置は、流体制御装置の上述した特徴と関係なくまたは加えて用いることができ、特に、流体制御回路および/または制御回路の部品がキャリア部の実装面に配置されているかどうかに関わらない。
【0034】
本発明の好適な実施の形態は、従属請求項および図面から導出できる。以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、アルゴンプラズマ凝固装置形式の医療機器の実施形態のブロック図である。
図2図2は、図1の機器に対する流体制御回路の実施形態のハイドロリックブロック図である。
図3図3は、キャリア部に配置された流体制御回路と制御回路とを備える流体制御装置の実施形態の概略基本図である。
図4図4は、第1キャリア部の第1結合面上の平面視における第1キャリア部の実施形態の概略図と、シール部の実施形態の概略図とである。
図5図5は、図4の切断線V-Vに沿った切断面における図4の第1キャリア部である。
図6図6は、第2キャリア部の第2結合面上の平面視における第2キャリア部の実施形態の概略図である。
図7図7は、図6の矢印VII側から見た概略側面視における図6に係る第2キャリア部である。
図8図8は、互いに接続された、図3に係る流体制御装置のキャリア部を通る概略切断図である。
図9図9は、制御回路の圧力センサの構造の基本図である。
図10図10は、流体制御装置の流量測定器の実施形態の基本図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、一例としてアルゴンプラズマ凝固装置として構成された医療機器10を示している。医療機器10は、流体制御装置12が流体的に接続される流体源11を備える。器具13は、流体制御装置12が出力する流体の流れのチャネルとなる流体制御装置12に接続されてもよい。医療機器10の図示された実施形態では、さらに、器具13に高電圧を与えるために高電圧源14が存在する。器具13は、高電圧源14と電気的に接続されてもよい。
【0037】
実施の形態では、流体制御装置12により、器具13用のアルゴンガス流が出力され、器具13の流出端で電極15周辺に流れる。アルゴンプラズマ凝固のために、高電圧を電極15に加えてもよい。
【0038】
図1に示す医療機器は、単なる例である。また、発明的なこの流体制御装置12は、他の医療機器10に用いられてもよい。
【0039】
流体制御装置12は、流体制御回路19と制御回路20とを備える。流体制御回路19は、流体制御回路19の流路部22に流体的に接続される流体制御部品21を少なくとも1つ、実施の形態では複数備える。流路部22および流体制御部品21は、流体制御装置12または流体制御回路19の流入点23と流出点24との間に流体的接続をもたらす。流体源11は、流入点23と流体的に接続されてもよい。器具13は、流出点24と流体的に接続されてもよい。
【0040】
流体は、流体制御部品21を流れる。実施の形態において、流体制御回路19は、切り替え弁26と、圧力調整弁27と、アクチュエータとして比例弁28とを備える。また、オプションとして、流体制御回路19は、フィルタ29を備えてもよい。フィルタ29は、流入点23にすぐ隣接する下流側に配置されることが好ましい。
【0041】
実施の形態において、制御回路20は、少なくとも1つの制御可能な流体制御部品21に少なくとも1つの制御信号Sを出力する制御部30を備える。本例によると、少なくとも切り替え弁26および比例弁28はそれぞれ、制御部30の制御信号Sによって制御されてもよい。少なくとも1つの入力信号Eが制御部30に伝送されてもよい。少なくとも1つの入力信号Eは、例えば、センサ信号または測定信号でもよい。図2に図示された実施の形態では、センサ信号の形式で異なる入力信号Eを提供する複数のセンサ部31が存在する。例えば、流入点23またはフィルタ29に隣接する流入圧、および、流出点24における流出圧は、各圧力センサで検出され、制御部30に伝送されてもよい。
【0042】
また、実施の形態において、流体制御装置12は、流路部22の流量測定チャネル33に沿って体積流量もしくは質量流量、または、体積流量もしくは質量流量を特徴付ける信号を検出する流量検出器32を備える。図2のハイドロリックスキームによると、流体制御回路19は、流量検出器32が比例弁28の上流側に配置された回路構成を備える。器具13に対する質量流量または体積流量の制御用アクチュエータを形成する比例弁28は、流出点24直前の上流側に配置されることが好ましい。本例によると、圧力調整弁27は、流量検出器32の上流において流量測定チャネル33の流入口で加えられる流体圧力が所定のものとなるように、流量検出器32の上流側に配置される。圧力調整弁27の上流側に、流体の流れを遮断または解除できる切り替え弁26が配置される。
【0043】
実施の形態において、流量検出器32は、流量測定チャネル33における離れた2測定位置間の圧力差を検出し、圧力差を制御部30に伝送する2つのセンサ部31を備える。圧力差に基づいて、制御部30は、流量測定チャネル33を流れる流体の体積流量測定値または質量流量測定値を決定してもよい。本例によると、2つのセンサ部31の測定位置はそれぞれ、流れ断面が異なるチャネル部分にある。そうすることで、質量流量または体積流量を決定する総測定範囲を増加させることができる。
【0044】
流量検出器32の実施の形態は、図10に概略的に図示される。流量測定チャネル33は、第1チャネル部分33aと、第2チャネル部分33bと、それらの間に配置される接続チャネル部分33cとを備える。流体が流れる方向Fに、第1チャネル部分33a、接続チャネル部分33c、および、第2チャネル部分33bが、直列配置される。第1チャネル部分33aは、第2チャネル部分33bよりも大きい流れ断面を有する。接続チャネル部分33cの領域において、流量測定チャネル33の流れ断面は小さくなる。流量測定チャネル33の断面外形は、略円形であることが好ましい。
【0045】
第1チャネル部分33aにおいて、第1圧力測定チャネルペア35の2つの圧力測定チャネル34は、流れ方向Fに互いに離れて外方に通じている。流量測定チャネル33の第2チャネル部分33bにおいて、第2圧力測定チャネルペア36の2つの圧力測定チャネル34は、流れ方向Fに離れて外方に通じている。チャネル部分33a、33bそれぞれにおいて、流量測定チャネル33の流れ断面は一定である。流量測定チャネル33に沿って流れる間の流体摩擦により、圧力測定チャネルペア35、36それぞれの圧力測定チャネル34間に圧力損失が生じる。圧力センサ37は、各圧力測定チャネル34に接続され、各圧力センサ37は、各圧力測定チャネル34が流量測定チャネル33と接続する位置での流体圧力に相当する圧力信号を生成し、各圧力センサ37は、圧力信号を制御部30に出力する。各測定開口部38は、本実施の形態では、共通圧力測定チャネルペア35または36の圧力チャネル34の接続位置間の各チャネル部分33aのチャネル壁によって形成される。制御部30において、流量測定チャネル33を流れる流体に対する質量流量値または体積流量値は、2つの圧力信号、特に、共通圧力測定チャネルペア35または36の一部である圧力センサ37の2つの圧力信号から決定されてもよい。
【0046】
圧力測定チャネルペアの一方35もしくは36または全てに対する圧力測定チャネル34に圧力差センサを接続することも可能である。
【0047】
上述した、流れ方向Fに関する流体制御回路19内の流体制御部品21のハイドロリック構成は、後述するさらなる態様から独立した実現可能な本発明の一態様となる。アクチュエータを形成する比例弁28よりも上流側に流量検出器32を配置するので、体積流量または質量流量の測定を、器具13によって形成される本例に係る負荷と関係なく行うことができる。比例弁28の調節は制御部30において把握している。なぜなら、調節は、制御部30の制御信号Sによって規定されるからである。調節は、必要に応じて、体積流量値または質量流量値を決定する間に考慮されてもよい。
【0048】
さらに、発明的な流体制御装置12のさらなる態様または代替態様は、流体制御装置12の小型かつシンプルな構造、および/または、製造、および/または、組み立て品に関する。これらの発明的な態様について、図3図9を参照しながら以下に説明する。
【0049】
図3は、流体制御装置12の機械的構造に対する実施の形態を概略的に示している。本実施の形態において、流体制御装置12は、第1実装面46と第1結合面47とを有する第1キャリア部45と、第2実装面49と第2結合面50とを有する第2キャリア部48とを備える。本実施の形態において、第1実装面46は、流体制御回路19の少なくとも1つの流体制御部品21を支持するように構成される。特に、流体制御部品21は、図3に示すように、第1実装面に直接取り付けてもよい。第1実装面および第1結合面47は、本例によると、第1キャリア部45の表と裏にある。したがって、第2実装面49および第2結合面50も第2キャリア部48の表と裏にある。
【0050】
第1実装面46および/または第2実装面49は、平面内に延在することが好ましい。第1結合面47は、本例によると、特に途切れのない平坦面部分47aを有し、当該平坦面部分47aは、第1実装面46が延在する平面と平行な向きが好ましい平面内に延在する。第2結合面50は、本例によると、特に途切れのない平坦面部分50aを有し、当該平坦面部分50aは、第2実装面49が延在する平面と平行な向きが好ましい平面内に延在する。キャリア部45、48は、例えば、板形状でも立方体形状でもよい。
【0051】
結合面47、50は、2つのキャリア部45、48間の接続を確立するように構成され、結合面47、50の平坦面部分47a、50aは互いに当接してもよいし、ギャップ形成時には互いに向かい合って配置されてもよい。
【0052】
例えば、第2実装面49は、制御回路20の少なくとも1つの電気および/または電子部品を支持するように構成される。図3に図示されているように、制御回路20の複数、好ましくは全ての電気および/または電子部品51は、第2実装面49に取り付けられた回路基板部52に配置される。回路基板部52は、フレキシブル接続部分54を介して電気的および機械的に互いに接続された複数の部品支持回路基板部分53を備える。フレキシブル接続部分54は、各フレキシブル接続部分54により互いに接続された2つの部品支持回路基板部分53と一体化している。このように、回路基板部52は、全体として一体的に形成されるので、プラグ、および、回路基板部分53間の接続ケーブルとのプラグ接続を回避することができる。
【0053】
また、制御回路20の電気および/または電子部品51は、回路基板部52の第2実装面49に対面する側に配置されれば、好ましい。回路基板部52の第2実装面49と反対側の下面には、電気および/または電子部品51がないことが好ましい。そうすることで、部品51は、回路基板部52と第2キャリア部48との間の隙間に保護されるように配置され、組み立て中の処理が簡単になる。
【0054】
図3でも分かるように、1以上の電気制御配線55は、制御回路20から1以上の流体制御部品21、本例によれば、切り替え弁26および比例弁28につながっていてもよい。これらの制御配線55を介して、制御回路20を用いた流体制御部品21それぞれの制御が容易になる。
【0055】
実施の形態において、制御部30、および、流量検出器32の圧力センサ37、ならびに、オプションとして、流入圧力および/または流出圧力を検出する追加の圧力センサ(図2と比較)は、制御回路20の少なくとも1つの電気および/または電子部品51の一部である。
【0056】
回路基板部52、および、本例によると、部品支持回路基板部分53は、本例に係る1以上の実装ピン56を介して実装面49と接続される。本例によると、実装ピン56は、第2キャリア部48の一体部分であり、第2実装面49から略直交方向に延在している。好ましくは、各実装ピン56の断面は円形であってもよく、その自由端に内部ねじを有してもよい。回路基板部分を支持する部品には、実装ピン56の配置パターンに対応する実装穴があってもよい。部品支持回路基板部分53は、実装ピン56の自由端と接触させてもよく、図3で概略的に示すように、ねじ、または、他の適した取り付け手段を用いて取り付けてもよい。
【0057】
第1キャリア部45の第1結合面47は、少なくとも1つの第1流路空洞60、本実施の形態では、複数の第1流路空洞60を有する。第1流路空洞60は、第1結合面47の平坦面部分47aより掘り下げられている溝状の凹部によって形成される。延在方向と直交する断面において、第1流路空洞60は、半円形状であることが好ましい。実施の形態において、各流路空洞60は、直線状に延在している。好適な実施の形態の代わりに、1以上の第1流路空洞60は、円弧形状でも、第1結合面47に沿って延在方向に湾曲してもよい。
【0058】
第1キャリア部45には、さらに、第1結合面47から第1実装面46まで延在する複数の第1分岐路61が存在する。実施の形態において、第1分岐路61はそれぞれ、第1流路空洞60のうちの1つに通じている。好ましくは、少なくとも2つの第1分岐路61が、各第1流路空洞60に通じている。第1分岐路61によって、1以上の流体制御部品21と第1流路空洞60との間の流体接続を確立できる。
【0059】
第2キャリア部48の第2結合面50には、本例によると、複数の第2流路空洞62が存在する。第2流路空洞62は、第1流路空洞60に応じて、かつ、好ましくは、延在方向と直交する断面が半円形状の本例に係る溝状凹部に対して構成されてもよい。第2流路空洞62は、第2結合面50の平坦面部分50aより掘り下げられている。
【0060】
第2キャリア部48には、第2実装面49と第2結合面50との間に完全に延在し、1以上の第2流路空洞62に通じる第2分岐路63が存在する。図示された実施の形態において、全ての第2分岐路63が、1つの単一第2流路空洞62に通じており、2つの第2分岐路63はそれぞれ、流量検出器32の圧力測定チャネル34を形成するか、または、圧力測定チャネル34の一部である。図示された実施の形態において、第2分岐路63によって形成された各圧力測定チャネル34は、第2流路空洞62に通じる部分を備える。圧力測定チャネル34のさらなる部分は、ノズル64内に形成された第2分岐路63に接する ノズル64は、第2実装面49から自由端65へ斜めにまたは直交して延在する。この自由端65において、圧力測定チャネル34に割り当てられる圧力センサ37は、当該圧力測定チャネル34と流体的に結合される。
【0061】
ノズル64内の圧力センサの構成は、図9で概略的に図示されている。本例によると、圧力センサ37は、圧力測定チャネル34内部まで延在し、径方向シール部材67によって環状に取り囲まれる測定部材66を備える。径方向シール部材67は、ノズル64の自由端65領域におけるリング空洞68内に据え付けられる。径方向シール部材67は、半径方向外側はリング空洞68の周縁壁、半径方向内側は測定部材66で支持されて、このように半径方向のシール効果を生み出す。図7で分かるように、流量検出器32の全ての圧力センサ37はそれぞれ、別個のノズル64に配置され、好ましくは、共通の部品支持回路基板部分53で支持される。
【0062】
2つのキャリア部45、48は、結合面47、50を対向させて互いに機械的に接続されており、第1結合面47の平坦面部分47aは、第2結合面50の平坦面部分50aで当接してもよいし、ギャップまたは隙間形成時に配置されてもよい。本例によると、第1流路空洞60および第2流路空洞62は、各第1流路空洞60が、1つの第2流路空洞62と共に、2つのキャリア部45、48間の分離面または分離位置の領域において1つのメイン流路72を形成または規定するように選択される(図8)。本例によると、4つの第1流路空洞と4つの第2流路空洞62とが設けられるので、4つのメイン流路72が得られる。
【0063】
これらメイン流路72のうち1つが、流量測定チャネル33となる。図4および図6で分かるように、第1流路空洞60のうちの1つとそれに割り当てられる第2流路空洞62とは、断面がより大きな部分と、テーパー部分によって互いに接続された、断面がより小さな部分とを備える。流路空洞は、第1測定チャネル空洞73と名付けられてもよいし、第2測定チャネル空洞74と名付けられてもよい。第1圧力測定チャネルペア35の2つの圧力測定チャネル34と、第2圧力測定チャネルペア36の2つの圧力測定チャネル34とは、第2測定チャネル空洞74に通じている。流量検出器32のさらなる構成については、上記説明を参照し、特に、図2および図10を参照する。
【0064】
図示された好適な実施の形態に対する変形例では、第1流路空洞60が、第2結合面50の平坦面部分50aと共にメイン流路72を規定すること、および/または、第2流路空洞62が、第1結合面47の平坦面部分47aと共にメイン流路72を規定することも可能である。このように、メイン流路72を形成するために、一致する第1流路空洞60と第2流路空洞62とが存在する必要はない。
【0065】
結合面47、50領域において2つのキャリア部45、48をシールするために、例として図4に図示されているシール部78が存在する。実施の形態において、シール部78は、複数の別個のリングシール79を有する。実施の形態において、各リングシール79は、第1キャリア部45の第1結合面47で第1リング溝80に挿入される。第1リング溝80は、対応する1つの第1流路空洞60を完全に取り囲んでいる。第1リング溝80は、挿入されたリングシール79がリング溝80の外に拡張して第1結合面47の平坦面部分47aにはみ出るような大きさである。
【0066】
実施の形態では、第2結合面50にも、対応する1つの第2流路空洞62を完全に取り囲む第2リング溝81が存在する。第2リング溝81は、第1リング溝80に応じて構成されてもよい。対向結合面47、50を用いて第1キャリア部45および第2キャリア部48を互いに接続する場合、各リングシール79は、図8に概略的に図示されるように、第1リング溝80と第2リング溝81とに据え付けられる。そうすることで、リングシール79の良好な位置付けと、それぞれのシール効果とが保証できる。
【0067】
好適な実施の形態に対する変形例では、キャリア部45、48の組み立て後にメイン流路72をシールするために、少なくとも1つのリング溝80または81のみがキャリア部45、48のうち一方に存在してもよい。さらなる変形例では、第1流路空洞60および第2流路空洞62の領域に貫通孔を備え、結合面47、50の平坦面部分47a、50aで第1流路空洞60および第2流路空洞62を囲んで当接する板状のシール部材を2つのキャリア部45、48間に配置してもよい。
【0068】
他の実施の形態では、シール部78を、基板接合または接着接合により、キャリア部45、48のうちの一方と接続させてもよい。例えば、シール部78を結合面47、50のうち一方に接着してもよいし、キャリア部45、48の製造中に2部品用射出成形によってキャリア部45、48のうちの一方に取り付けてもよい。
【0069】
好適な実施の形態において、キャリア部45、48は、少なくとも結合面47、50の領域内にあるか、または、透明材料で完全に作られている。そうすることで、割り当てられたリング溝80または81にリングシール79が正しく配置されているかどうか、また、シール効果を保証できるかどうか、取り付けて組み立てた状態で目視検査を行うことができる。
【0070】
発明的な流体制御装置12のさらに別の独立態様は、キャリア部45、48の製造に関する。キャリア部45、48は、射出成形部品として構成されるのが好ましい。その際、分岐路61、63の延在方向と一致するように型閉方向を選択することが好ましい。射出成形において、型閉方向とは、射出成形金型を開閉するために2つの金型部分を互いに対して動かす方向のことである。
【0071】
キャリア部45、48の各分岐路61、63は、一端から他端までの延在方向にアンダーカットなく構成される。この延在方向において、各分岐路61、63は、円錐形のテーパー状に構成されてもよい。第1実装面46から第1結合面47へ生じる、または、その逆の第1結合面47から第1実装面46へ生じる各第1分岐回路61は、アンダーカットなく延在している。これに対応して、各第2分岐路63は、第1結合面50から第1実装面49もしくはノズル64の自由端まで、または、その逆のノズル64の自由端もしくは第2実装面49から第2結合面50までアンダーカットなく延在している。これにより、分岐路61、63の構成はアンダーカットがなく、キャリア部45、48を、非常に簡単な方法で射出成形部品として構成することができる。
【0072】
本発明は、医療機器10用流体制御装置12、特に、アルゴンプラズマ凝固用の医療機器に関する。流体制御装置12は、流体が流れる流体制御部品21を少なくとも1つ備える流体制御回路19を有する。少なくとも1つの流体制御部品21を制御するために、少なくとも1つの電気および/または電子部品51を備える制御回路20が設けられる。第1キャリア部45は、第1結合面47を有し、第2キャリア部48は、第2結合面50を有する。第1結合面47には、少なくとも1つの第1流路空洞60が設けられ、かつ/または、第2結合面50には、少なくとも1つの第2流路空洞62が設けられる。互いに向き合う結合面47、50でキャリア部45、48が接続している間、分離位置の領域に、少なくとも1つのメイン流路72が形成される。このように、各メイン流路74は、第1キャリア部45によって一部規定され、第2キャリア部48によって一部規定される。第1キャリア部45には、少なくとも1つの流体制御部品21用の第1実装面46が存在してもよい。第2キャリア部48には、制御回路20の少なくとも1つの電気および/または電子部品51用の第2実装面49が存在してもよい。実装面46、49での部品実装に加えてまたは代わりに、キャリア部45、48を射出成形部品として構成してもよい。他の独立態様は、流体制御回路19におけるハイドロリック接続に関し、アクチュエータの上流側に流量検出器32が配置され、それを介して、制御回路20の制御により、流体制御装置12の流出点24からの流体流れを制御またはフィードバック制御できる。
【符号の説明】
【0073】
10 医療機器
11 流体源
12 流体制御装置
13 器具
14 高電圧源
15 電極
19 流体制御回路
20 制御回路
21 流体制御部品
22 流路部
23 流入点
24 流出点
26 切り替え弁
27 圧力調整弁
28 比例弁
29 フィルタ
30 制御部
31 センサ部
32 流量検出器
33 流量測定チャネル
33a 第1チャネル部分
33b 第2チャネル部分
33c 接続チャネル部分
34 圧力測定チャネル
35 第1圧力測定チャネルペア
36 第2圧力測定チャネルペア
37 圧力センサ38 測定開口部
45 第1キャリア部
46 第1実装面
47 第1結合面
47a 第1結合面の平坦面部分
48 第2キャリア部
49 第2実装面
50 第2結合面
50a 第2結合面の平坦面部分
51 電気および/または電子部品
52 回路基板部
53 部品支持回路基板部分
54 フレキシブル接続部分
55 制御配線
56 実装ピン
60 第1流路空洞
61 第1分岐路
62 第2流路空洞
63 第2分岐路
64 ノズル
65 ノズルの自由端
66 測定部材
67 径方向シール部材
68 リング空洞
72 メイン流路
73 第1測定チャネル空洞
74 第2測定チャネル空洞
78 シール部
79 リングシール
80 第1リング溝
81 第2リング溝
E 入力信号
F 流れ方向
S 制御信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10