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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120961
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20240829BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106089
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2019202121の分割
【原出願日】2019-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】和田 幸人
(57)【要約】
【課題】煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知する。
【解決手段】ドライブレコーダ1は、制御部9が自車両後方を連続して撮像した前後する画像間において、変化量が基準値以下の非変化領域NCを検出することにより、他車両を検出し、非変化領域NCが、第1閾値よりも自車両に近い位置を示す後方を撮像した画像中における領域と重なる場合は、自車両に他車両が接近していると検知する。そして、速度情報取得部が自車両の移動速度を取得し、制御部9が第1閾値を自車両の移動速度に応じて変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の後方に接近する他の移動体を検出する検出部と、
前記他の移動体が、第1閾値よりも前記移動体に接近していることを検知する検知部と、
前記移動体の移動速度を取得する移動速度取得部と、
前記第1閾値を前記移動体の移動速度に応じて変化させる制御部と、
を備えることを特徴とする検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体の後方への接近を検知する検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
煽り運転とは、一般的に前方を走行する車両に対して進路を譲るよう強要する行為をいい、車間距離を詰めて異常接近したりする等の危険度が高い行為である。
【0003】
このような行為は煽られる側の車両でドライブレコーダ等の記録装置に記録することにより、例えば追突された場合等のトラブル発生時に対処することができる。一般的なドライブレコーダは、煽り運転は衝突等と異なり自動検出がされないので、手動で保存等の操作をする必要があった。しかし、煽られている状況で手動により操作するのは困難である。
【0004】
特許文献1には、運転支援装置が、撮像手段により撮影した画像に基づいて他車両が自車両に対して煽り運転状態であるか否か判定し、煽り運転状態が継続的であるかさらに判定して、煽り運転状態が継続的であると判定した場合に、他車両に関する情報を自車両の運転者に対して提供することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、煽り危険度判定部が、周辺状況、自車両状態、他車両状態から煽り危険度を算出し、算出結果に基づいて通知制御や動作制御を実行することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-112892号公報
【特許文献2】特開2006-205773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や2に記載には、煽り運転の検出方法が記載されているものの、固定的な車間距離に基づくものであり、煽りでない運転についても検出してしまう場合がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題としては、煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体の後方に接近する他の移動体を検出する検出部と、前記他の移動体が、第1閾値よりも前記移動体に接近していることを検知する検知部と、前記移動体の移動速度を取得する移動速度取得部と、前記第1閾値を前記移動体の移動速度に応じて変化させる制御部と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の検知装置と、前記移動体から後方を撮像した画像を記録する記録部と、を備え、前記記録部は、前記検知部が前記移動体の後方に他の移動体が接近していると検知した場合に前記画像を記録することを特徴としている。
【0011】
請求項10に記載の発明は、移動体の後方への接近を検知する検知装置で実行される検知方法であって、前記移動体の後方に接近する他の移動体を検出する検出工程と、前記他の移動体が、第1閾値よりも前記移動体に接近していることを検知する検知工程と、前記移動体の移動速度を取得する移動速度取得工程と、前記第1閾値を前記移動体の移動速度に応じて変化させる制御工程と、を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の検知方法をコンピュータにより実行させることを特徴としている。
【0013】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の検知プログラムを格納したことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例にかかる検知装置を備えたドライブレコーダの機能構成図である。
図2図1に示されたドライブレコーダの動作のフローチャートである。
図3】他車両の接近を検知するエリア及び第2閾値についての説明図である。
図4】非変化領域についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる検知装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる検知装置は、検出部が移動体の後方に接近する他の移動体を検出し、検知部が他の移動体が第1閾値よりも前記移動体に接近していることを検知する。そして、移動速度取得部が移動体の移動速度を取得し、制御部が第1閾値を移動体の移動速度に応じて変化させる。このようにすることにより、第1閾値を移動体の移動速度に応じて変化させることができるため、走行速度によって接近を検知する距離を変化させることができ、煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知することができる。
【0016】
また、検出部は、移動体から後方を連続して撮像した前後する画像間において、変化指標値が基準値以下の非変化領域を検出することにより、他の移動体を検出するようにしてもよい。他の移動体は自車両等の移動体に追従して走行しているので、略同じ速度で走行していることから画像中の他の移動体にかかる領域は非変化領域となる。そのため、前後の画像間の変化を検出することにより他の移動体を検出することができる。したがって、他の移動体の物体認識といった複雑なアルゴリズムを使用する必要がなく、簡易な方法で他の移動体を検出することができる。
【0017】
また、検知部は、非変化領域が、第1閾値よりも移動体に近い位置を示す後方を撮像した画像中における領域と重なる場合は、移動体に他の移動体が接近していると検知してもよい。このようにすることにより、非変化領域の画像における位置によって他の移動体の接近を検知することができる。
【0018】
また、検出部は、撮像された画像を複数の領域に分割し、複数の領域を対象として非変化領域を検出してもよい。このようにすることにより、前後の画像間の変化の検出処理がより単純化できる。
【0019】
また、移動体から後方を連続して撮像した画像において、当該移動体の走行する車線の領域を設定する車線設定部を備え、検出部は、車線設定部が設定した車線の領域を対象として非変化領域を検出してもよい。このようにすることにより、複数車線がある道路において、隣接する車線を走行する移動体を排除することができる。したがって、他の移動体の接近をより精度良く検知することができる。
【0020】
また、検知部が他の移動体が第1閾値よりも移動体に接近していることを検知した後に、第2閾値よりも移動体に接近していることを検知した場合は、移動体の搭乗者に警報する警報部を備えてもよい。このようにすることにより、移動体の搭乗者に対処を促す必要があることを警報することができる。
【0021】
また、第2閾値は、移動体の移動速度に応じて変化してもよい。このようにすることにより、第2閾値が移動体の移動速度に応じて変化させることができるため、走行速度によって警報する距離を変化させることができ、精度良く警報することができる。
【0022】
また、本発明の一実施形態にかかる画像記録装置は、上述した検知装置と、移動体から後方を撮像した画像を記録する記録部と、を備え、記録部は、検知部が移動体の後方に他の移動体が接近していると検知した場合に画像を記録する。このようにすることにより、煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知して記録することができる。
【0023】
また、記録部は、検知部が移動体の後方に他の移動体が接近していると検知した場合には、その検知より所定時間遡った時刻から画像を記録してもよい。このようにすることにより、他の移動体の接近を検知する前から画像の記録をすることができる。したがって、他の移動体の状態をより長く記録することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態にかかる検知方法は、検出工程で移動体の後方に接近する他の移動体を検出し、検知工程で他の移動体が第1閾値よりも前記移動体に接近していることを検知する。そして、移動速度取得工程で移動体の移動速度を取得し、制御工程で第1閾値を移動体の移動速度に応じて変化させる。このようにすることにより、第1閾値を移動体の移動速度に応じて変化させることができるため、走行速度によって接近を検知する距離を変化させることができ、煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知することができる。
【0025】
また、上述した検知方法を、コンピュータにより実行させている。このようにすることにより、コンピュータを用いて、第1閾値を移動体の移動速度に応じて変化させることができるため、走行速度によって接近を検知する距離を変化させることができ、煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知することができる。
【0026】
また、上述した検知プログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例0027】
本発明の一実施例にかかる検知装置を備える画像記録装置を図1図4を参照して説明する。本実施例にかかる画像記録装置としてのドライブレコーダ1は、例えば自動車等の移動体に設置されている。
【0028】
図1に示したように、ドライブレコーダ1は、速度情報取得部2と、カメラ3と、加速度センサ4と、操作部5と、ディスプレイ6と、内部メモリ7と、外部メモリ8と、制御部9と、を備えている。
【0029】
速度情報取得部2は、例えば車両のECU(Electronic Control Unit)と有線または
無線により通信接続し、車両の走行速度の情報(移動速度)を取得する。即ち、速度情報取得部2は、移動体の移動速度を取得する移動速度取得部として機能する。なお、速度情報取得部2は、車両の走行速度の情報を車両から取得するに限らず、GPS(Global Pos
itioning System)等の自車位置を検出する機能を有し、単位時間当たりの移動距離から
走行速度を算出して取得してもよい。
【0030】
カメラ3は、車両の後方を撮像するカメラである。本実施例ではカメラ3は、動画像を撮像する。カメラ3は、車両後方を撮影することが可能な部位に取り付けられている。例えば、車体の後端部や車室内の後端部等に取り付けるのが好ましい。ただし、車両後方に接近する他車両を検知できる範囲が撮像できるのであれば、例えばフロントガラス等に取り付けてもよい。なお、カメラ3は、車体の後端部や車室内の後端部等に取り付ける場合は、操作部5やディスプレイ6等と別体に構成されてケーブル等で接続する構成としてもよい。
【0031】
加速度センサ4は、ドライブレコーダ1にかかる加速度、即ち、車両の加速度を検出する。加速度センサ4が検出した加速度が所定以上の場合は、車両に何らかの衝撃が加わったとして制御部9からの制御により、内部メモリ7に記録した画像を外部メモリの保持領域にイベントレコーディングとして記録する。保持領域にイベントレコーディングとして記録すると、その画像は上書き等で消去されずに保持される。
【0032】
操作部5は、ドライブレコーダ1に対する各種操作を受け付けるためのインターフェースであり、例えば、操作ボタン、リモートコントローラ、電源スイッチなどを含む。
【0033】
ディスプレイ6は、例えば液晶ディスプレイで構成されている。ディスプレイ6は、カメラ3が撮像した画像や外部メモリ8に記録されている画像等を表示することができる。また、ディスプレイ6は、後述する警報を示す情報が表示される。
【0034】
内部メモリ7は、カメラ3で撮像された画像を一時的に記憶する画像バッファ等として機能する記憶領域である。内部メモリ7は、揮発性のメモリであってもよいし、不揮発性のメモリであってもよい。
【0035】
外部メモリ8は、制御部9からの制御により内部メモリ7に一時的に記憶された画像が転送されて記録される。即ち、外部メモリ8は、移動体から後方を撮像した画像を記録する記録部として機能する。外部メモリ8は、例えばSDカード等の記憶媒体であり、図示しないスロット等に装着されている。したがって、外部メモリ8は着脱自在となっている。外部メモリ8は、非保持領域と保持領域とを有している。非保持領域は、内部メモリ7から転送された画像を記録する領域であるが、当該領域が全て記録されると時間的に古い画像から上書きされる。保持領域は、上述したイベントレコーディングの際に使用される領域であり、上書きはされない。
【0036】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)などで構成されている。制御部9は
、カメラ3で撮像された画像に基づいて自車両の後方に他車両が接近しているか検知する。そして、検知後さらに接近することを検知した場合はディスプレイ6等を利用して、自車両の搭乗者(ドライバー等)に対して警報を行う。
【0037】
そして、上述した速度情報取得部2と制御部9とで本発明の一実施例にかかる検知装置を構成する。
【0038】
次に、上述した構成のドライブレコーダ1における他車両の接近を検知する方法(検知方法)について図2のフローチャートを参照して説明する。図2のフローチャートは、主に制御部9で実行される。また、このフローチャートを制御部9が有するCPUで実行されるプログラムとして構成することで検知プログラムとすることができる。また、この検知プログラムは、制御部9が有するメモリ等に記憶するに限らず、メモリカードや光ディ
スク等の記憶媒体に格納してもよい。
【0039】
まず、制御部9は、速度情報取得部2から走行速度情報を取得し(ステップS1)、取得した走行速度情報が示す走行速度が30km/h以上であるか判断する(ステップS2)。
【0040】
ステップS2の判断の結果30km/h未満の場合は(ステップS2:NO)、制御部9は、エンジンがOFFか判断する(ステップS13)。エンジンがOFFの場合はフローチャートを終了する(ステップS13:YES)。一方、エンジンがONの場合はステップS1に戻る(ステップS13:NO)。このステップS2は、低速走行時は一般的に車両間が接近することが多く誤検出を避けるために除外するものである。図2では、低速走行の基準を30km/hとしているが、20km/h等他の速度であってもよい。また、ステップS13のエンジンのON/OFFは、例えばイグニッションスイッチやエンジンスタートボタンの操作等により検出すればよい。
【0041】
次に、ステップS2の判断の結果30km/h以上の場合は(ステップS2:YES)、制御部9は、ステップS1で取得した走行速度が30km/h以上かつ100km/h未満か判断する(ステップS3)。走行速度が30km/h以上かつ100km/h未満である場合は、制御部9は、走行速度から15を引いた値を車間距離として第1閾値として設定する(ステップS4)。一方、走行速度が30km/h以上かつ100km/h未満でない場合は、制御部9は、取得した走行速度の値を車間距離として第1閾値として設定する(ステップS5)。この第1閾値は、自車両と後方を走行する他車両との車間距離の基準を示す閾値である。なお、この第1閾値は、制御部9が走行速度に応じて変化させる。例えば走行速度が50km/hの場合は35m(50-15)とし、その後走行速度が55km/hに変化した場合は40m(55-15)に変化する。
【0042】
ステップS4及びS5で設定した第1閾値の設定方法は、一般道では(走行速度の値-15)m、高速道路では(走行速度の値)mと一般的に言われているものを採用しているが、これは一例であり他の方法でも構わない。また、ステップS5では、100km/h以上は高速道路の車間距離としているが、例えばGPS等により自車位置を取得して高速道路を走行していることを検出した場合は100km/h未満であっても、(走行速度の値)mを第1閾値としてよい。あるいは、ドライブレコーダ1が、地図情報を取得し、当該地図情報から自車両が走行している道路種別(高速道、一般道、ゾーン30等)を判別
し、その判別結果に合わせて第1閾値を決定してもよい。
【0043】
図2の説明に戻る。第1閾値を設定すると、制御部9は、他車両の接近を検知するエリア及び第2閾値を決定する(ステップS6)。他車両の接近を検知するエリア及び第2閾値について図3を参照して説明する。
【0044】
図3は、自車両の後方を撮像した画像の例である。また、図3は片側3車線の道路である。図中左側の車線L1にはトラックV1が走行している。中央の車線L2には自車両と、自車両の後方に他の移動体(他車両)としての普通自動車V2が走行している。図中右側の車線L3には車両等は走行していない。
【0045】
ここで、図3では、自車両が走行している車線L2の領域かつ、第1閾値よりも画像下側の領域を検知エリアDとする。図3は、自車両の後方を撮像した画像であるため、検知エリアDは自車両に近い位置を示すこととなる。この検知エリアの決定は、まず、自車両が走行している車線を認識させる。これは、例えば事前に他の交通の妨げにならないような所定の道路等の車線上に停止した状態で、その車線の左側の車線境界線を示すラインLEと車線の右側の車線境界線を示すラインRIとを例えば操作部5により手動により設定
する。即ち、操作部5は、移動体の走行する車線の領域を設定する車線設定部として機能する。なお、白線等を自動的に認識して車線の領域を設定するようにしてもよい。
【0046】
そして、自車両が走行する車線を示す領域を対象として、第1閾値を示すラインよりも下側を検知エリアとする。第1閾値は、上述したように35m等の距離で設定されるが、この距離に相当する画像中の位置は、カメラ3の設置高さや画角と、ラインLE、RIの画像内での角度等から求めることができる。
【0047】
次に、第2閾値について説明する。第2閾値は、自車両が走行する車線を示す領域を対象として、第1閾値よりもさらに自車両に近い位置に設定する。つまり、画像中では、第1閾値を示すラインよりもさらに下側に設定される。この第2閾値は、自車両のドライバー等の搭乗者に警報するための基準となる閾値である。つまり、この第2閾値よりも他車両が接近した場合は、危険な状態であると見做して、ドライバー等に対処を促す。なお、この第2閾値の距離は第1閾値よりも近い位置を示す距離であればよく、例えば第1閾値の1/2の距離等、適宜設定すればよい。また、第2閾値も第1閾値と同様に自車両の走行速度に応じて変化させる。つまり、走行している自車両が一般道の場合は、一般道では(走行速度の値-15)/2m、高速道路では(走行速度の値)/2mなどとすることができる。勿論、GPSや地図情報に基づいて道路種別を判別してもよい。
【0048】
図2の説明に戻る。検知エリアD及び第2閾値の設定が終了すると、検知エリアD内で非変化領域が検出されたか否かを判断する(ステップS7)。ここで、非変化領域について図4を参照して説明する。非変化領域とは、カメラ3が撮像した画像(動画)の、前後する画像間において、変化が基準値以下の領域をいう。
【0049】
図4において、トラックV1及び普通自動車V2が自車両と同じ速度で走行していた場合、カメラ3が撮像した動画のフレーム間(前後の画像)ではトラックV1及び普通自動車V2の領域は変化しない。この変化しない領域を非変化領域NCと呼ぶ。一方、非変化領域NC以外の部分は街並み等の自車両の移動とともに変化する領域であり変化領域Cとなる。したがって、図3に示した自車両が走行している車線の範囲において、非変化領域NCとなる領域は自車両の後方に追従している他車両であると推定することができる。即ち、制御部9は、移動体の後方に接近する他の移動体を検出する検出部として機能する。
【0050】
そして、その非変化領域NCが、第1閾値よりも接近した位置、つまり、画像における第1閾値を示すラインより下側にある場合(検知エリアDと重なる場合)は、車両の後方に接近している車両があると推定することができる。即ち、制御部9は、他の移動体が、第1閾値よりも移動体に接近していることを検知する検知部として機能する。そして、制御部9は、非変化領域NCが、第1閾値よりも移動体に近い位置を示す後方を撮像した画像中における領域と重なる場合は、移動体に前記他の移動体が接近していると検知している。
【0051】
図4の説明では理解し易くするため、変化が無い領域として説明したが、厳密に変化が無い領域とすると、他車両を示す領域を検出できない場合があるので、変化量の基準値を設け、その基準値以下の領域は非変化領域とすればよい。また、前後の画像として1フレーム間隔に限らず、複数フレーム間隔が空いてもよい。
【0052】
また、画像を所定のセル等に分割してセル毎に非変化領域か否かを判断してもよい。この場合は、セル毎に変化量が基準値以下か否を判断すればよい(値の変化が無い画素が何個以下等)。即ち、制御部9は、撮像された画像を複数の領域に分割し、複数の領域を対象として非変化領域を検出してもよい。このようにすることにより、前後の画像間の変化の検出処理がより単純化できる。
【0053】
図2の説明に戻る。検知エリアD内で非変化領域が検出されない場合は(ステップS7:NO)、ステップS1に戻る。一方、検知エリアD内で非変化領域が検出された場合は(ステップS7:YES)、制御部9は、イベントレコーディングを開始する(ステップS8)。つまり、外部メモリ8の上書きされない保持領域に自動的に記録される。即ち、制御部9が移動体の後方に他の移動体が接近していると検知した場合に画像を記録している。
【0054】
次に、制御部9は、非変化領域が第2閾値よりも自車両に接近した位置にあるか、もしくは継続的に検知エリアDにあるか判断する(ステップS9)。非変化領域が第2閾値よりも自車両に接近した位置にある、もしくは継続的に検知エリアDにある場合(ステップS9:YES)は、制御部9は、ドライバー等の自車両の搭乗者に警報する(ステップS10)。警報は、ディスプレイ6への表示により行うに限らず、音声やランプの点滅等によって行ってもよい。また、継続的に検知エリアDにあることを判断する基準は、3分以上等適宜設定すればよい。即ち、制御部9は、他の移動体が第1閾値よりも移動体に接近していることを検知した後に、第2閾値よりも移動体に接近していることを検知した場合は、移動体の搭乗者に警報している。
【0055】
次に、制御部9は、非変化領域が第2閾値よりも自車両に接近した位置にない、もしくは継続的に検知エリアDにない場合(ステップS9:NO)、又は、ステップS10により警報した後に検知エリアD内で非変化領域が検出されたかを判断する(ステップS11)。検知エリアD内で非変化領域が検出された場合は(ステップS11:YES)、ステップS9に戻る。一方、検知エリアD内で非変化領域が検出されない場合は(ステップS11:NO)、制御部9は、イベントレコーディングを停止する(ステップS12)。なお、ステップS12において、直ちにイベントレコーディングを停止せずに一定時間後に停止してもよい。このステップS12は、他車両が遠ざかったあるいは、他車線に変更、右左折等したことにより検知エリアDから他車両が離れたのでイベントレコーディングを終了させている。
【0056】
以上のフローチャートの説明から明らかなように、ステップS1が移動速度取得工程、ステップS4、S5が制御工程、ステップS7が検出工程、検知工程として、それぞれ機能する。
【0057】
本実施例によれば、ドライブレコーダ1は、制御部9が自車両後方を連続して撮像した前後する画像間において、変化量が基準値以下の非変化領域NCを検出することにより、他車両を検出し、非変化領域NCが、第1閾値よりも自車両に近い位置を示す後方を撮像した画像中における領域と重なる場合は、自車両に他車両が接近していると検知する。そして、速度情報取得部が自車両の移動速度を取得し、制御部9が第1閾値を自車両の移動速度に応じて変化させる。このようにすることにより、第1閾値を自車両の移動速度に応じて変化させることができるため、走行速度によって接近を検知する距離を変化させることができ、煽り運転等の他の移動体の接近を精度良く検知することができる。
【0058】
また、他車両は自車両に追従して走行しているので、略同じ速度で走行していることから画像中の他車両にかかる領域は非変化領域NCとなる。そのため、前後の画像間の変化を検出することにより他車両を検出することができる。したがって、他車両の物体認識といった複雑なアルゴリズムを使用する必要がなく、簡易な方法で他の移動体を検出することができる。また、非変化領域NCの画像における位置によって他車両の接近を検知することができる。
【0059】
また、制御部9は、他車両が第1閾値よりも自車両に接近していることを検知した後に
、第2閾値よりも自車両に接近していることを検知した場合は、自車両の搭乗者に警報するディスプレイ6を備えている。このようにすることにより、自車両の搭乗者に対処を促す必要があることを警報することができる。そして、第2閾値が自車両の走行速度に応じて変化させているため、走行速度によって警報する距離を変化させることができ、精度良く警報することができる。
【0060】
また、制御部9は、自車両から後方を連続して撮像した画像において、自車両の走行している車線の領域を設定し、そして、設定した車線の領域を対象として非変化領域NCを検出している。このようにすることにより、複数車線がある道路において、隣接する車線を走行する他車両を排除することができる。したがって、他車両の接近をより精度良く検知することができる。
【0061】
また、ドライブレコーダ1は、制御部9が、自車両の後方に他車両が接近していると検知した場合はイベントレコーディングを開始させる。このようにすることにより、煽り運転等の他車両の接近を精度良く検知して記録することができる。
【0062】
なお、上述した実施例において、イベントレコーディングを開始する際には、検知より所定時間遡った時刻から画像を記録してもよい。これは、内部メモリ7には、常時一定時間分の画像を記録しているので、検知時点で内部メモリ7に記録されている画像を外部メモリ8の保持領域に記録すれば可能である。このようにすることにより、他車両の接近を検知する前から画像の記録をすることができる。したがって、他車両の状態をより長く記録することができる。
【0063】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の検知装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 ドライブレコーダ(画像記録装置)
2 速度情報取得部(移動速度取得部)
3 カメラ
5 操作部(車線設定部)
6 ディスプレイ(警報部)
7 内部メモリ
8 外部メモリ(記録部)
9 制御部(検出部、検知部、制御部)
10 検知装置
図1
図2
図3
図4