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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012097
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】フィルムロール供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/30 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B65H19/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092395
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2022113758
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】山根 雅行
(72)【発明者】
【氏名】市川 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 哲
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 宇川
(72)【発明者】
【氏名】新川 将基
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064BB00
3F064EB15
(57)【要約】
【課題】製袋包装機に対するフィルムロールの装着作業の作業負担を低減する。
【解決手段】フィルムロール交換装置200は、製袋包装機に対してフィルムロールを供給する。フィルムロール交換装置は、保持部230と、第2駆動部と、コントローラ290と、を備える。保持部は、製袋包装機が有するフィルムロールを支持する支持軸に少なくとも一時的に隣接して配置され、製袋包装機に供給するフィルムロールとしての第1フィルムロールR1aを保持する。第2駆動部は、保持部を上下方向に移動させる。コントローラは、第2駆動部の動作を制御して、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置が、製袋包装機の支持軸の中心の高さと一致する位置に、保持部を移動させる。
【選択図】図12E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製袋包装機に対してフィルムロールを供給するフィルムロール供給装置であって、
前記製袋包装機が有する前記フィルムロールを支持する支持軸に少なくとも一時的に隣接して配置され、前記製袋包装機に供給する前記フィルムロールとしての第1フィルムロールを保持する保持部と、
前記保持部を上下方向に移動させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御して、前記保持部の保持する前記第1フィルムロールの中心の高さ位置が、前記製袋包装機の前記支持軸の中心の高さと一致する位置に、前記保持部を移動させる制御部と、
を備える、フィルムロール供給装置。
【請求項2】
前記第1フィルムロールの直径を計測する第1計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1計測部の計測結果に基づき、前記駆動部の動作を制御して、前記保持部の保持する前記第1フィルムロールの中心の高さ位置が、前記製袋包装機の前記支持軸の中心の高さと一致する位置に、前記保持部を移動させる、
請求項1に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項3】
第1部材と、
前記第1部材を第1位置から前記第1フィルムロールの外周面に接触する第2位置まで移動させる移動機構と、
を更に備え、
前記第1計測部は、前記第1位置から前記第2位置までの前記第1部材の移動距離に基づいて、前記第1フィルムロールの前記直径を計測する、
請求項2に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項4】
第1部材と、
前記第1部材を前記第1フィルムロールの外周面に接触する位置まで移動させる移動機構と、
第1基準位置から前記第1フィルムロールの前記外周面に接触している前記第1部材までの第1距離を非接触で測定する第1センサと、
を更に備え、
前記第1計測部は、前記第1距離に基づいて、前記第1フィルムロールの前記直径を計測する、
請求項2に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項5】
前記保持部の保持する前記第1フィルムロールの中心の高さ位置を計測する第2計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2計測部の計測結果に基づいて、前記駆動部の動作を制御して、前記保持部の保持する前記第1フィルムロールの中心の高さ位置が、前記製袋包装機の前記支持軸の中心の高さと一致する位置に、前記保持部を移動させる、
請求項1に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項6】
第2基準位置から前記第1フィルムロールの外周面までの第2距離を非接触で測定する第2センサを更に備え、
前記第2計測部は、前記第2センサの前記第2距離の測定結果に基づき、前記保持部の保持する前記第1フィルムロールの中心の高さ位置を計測する、
請求項5に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項7】
前記保持部は、前記第1フィルムロールを支持する第1保持面及び第2保持面を有し、
前記制御部は、前記保持部の保持する前記第1フィルムロールの中心の高さ位置を、前記製袋包装機の前記支持軸の中心の高さ位置と一致させる際、前記駆動部の動作を制御し、鉛直面に対して傾斜する前記第1保持面と、前記鉛直面に対して前記第1保持面と対称に配置される前記第2保持面とで前記第1フィルムロールを支持している前記保持部を移動させ、
前記鉛直面に沿って前記駆動部によって移動させられる前記保持部を見た時、前記第1保持面と前記第2保持面とはV字形状に配置される、
請求項1又は2に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項8】
前記第1フィルムロールの外周面までの距離を非接触で計測する距離センサをさらに備え、
前記制御部は前記距離センサの計測する距離に基づき前記駆動部の動作を制御する、
請求項1に記載のフィルムロール供給装置。
【請求項9】
前記フィルムロールの径を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は前記記憶部が記憶する前記フィルムロールの径に基づき前記駆動部の動作を制御する、
請求項1に記載のフィルムロール供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に対してフィルムロールを供給するフィルムロール供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2002-337817号公報)のように、フィルムロールから繰り出されるフィルムを用いて物品を包装し、物品が収容された状態の袋を製造する製袋包装機が知られている。
【0003】
このような製袋包装機に対するフィルムロールの取り付けは、作業者がフィルムロールを持ち上げて製袋包装機の支持軸に直接フィルムロールを装着する、特許文献1(特開2002-337817号公報)に記載のように、作業者がフィルムロールを所定の高さまで持ち上げて台車に載置し、その後、台車上のフィルムロールを水平にスライドさせて製袋包装機の支持軸に装着する、というような、手動による方法で行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、フィルムロールは重量物であることから、フィルムロールの中心の高さ位置が、製袋包装機の支持軸の中心の高さ位置と一致するように持ち上げて高さ位置合わせをする作業は、作業者の負担となる。
【0005】
本発明の課題は、製袋包装機に対するフィルムロールの装着作業の作業負担を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係るフィルムロール供給装置は、製袋包装機に対してフィルムロールを供給する。フィルムロール供給装置は、保持部と、駆動部と、制御部と、を備える。保持部は、製袋包装機が有するフィルムロールを支持する支持軸に少なくとも一時的に隣接して配置され、製袋包装機に供給するフィルムロールとしての第1フィルムロールを保持する。駆動部は、保持部を上下方向に移動させる。制御部は、駆動部の動作を制御して、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置が、製袋包装機の支持軸の中心の高さと一致する位置に、保持部を移動させる。
【0007】
本発明の第1観点に係るフィルムロール供給装置は、製袋包装機に供給する重量物であるフィルムロールの高さ位置を自動調節するため、作業者の負担を低減できる。
【0008】
本発明の第2観点に係るフィルムロール供給装置は、第1観点のフィルムロール供給装置であって、第1計測部をさらに備える。第1計測部は、第1フィルムロールの直径を計測する。制御部は、第1計測部の計測結果に基づき、駆動部の動作を制御して、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置が、製袋包装機の支持軸の中心の高さと一致する位置に、保持部を移動させる。
【0009】
第2観点のフィルムロール供給装置では、第1フィルムロールの直径が一定でない場合にも、第1フィルムロールの中心の位置と支持軸の中心の位置とを位置合わせできる。
【0010】
本発明の第3観点に係るフィルムロール供給装置は、第2観点のフィルムロール供給装置であって、第1部材と、移動機構と、を更に備える。移動機構は、第1部材を第1位置から第1フィルムロールの外周面に接触する第2位置まで移動させる。第1計測部は、第1位置から第2位置までの第1部材の移動距離に基づいて、第1フィルムロールの直径を計測する。
【0011】
第3観点のフィルムロール供給装置では、第1フィルムロールの外周面に接触する第1部材の移動距離に基づいて第1フィルムロールの直径が計測されるので、精度良く第1フィルムロールの直径を計測できる。そのため、精度良く計測された第1フィルムロールの直径に基づいて、保持部の保持する第1フィルムロールの中心と製袋包装機の支持軸の中心とを精度良く位置合わせできる。
【0012】
本発明の第4観点に係るフィルムロール供給装置は、第2観点のフィルムロール供給装置であって、第1部材と、移動機構と、第1センサと、を更に備える。移動機構は、第1部材を第1フィルムロールの外周面に接触する位置まで移動させる。第1センサは、第1基準位置から第1フィルムロールの外周面に接触している第1部材までの第1距離を非接触で測定する。第1計測部は、第1距離に基づいて、第1フィルムロールの直径を計測する。
【0013】
第4観点のフィルムロール供給装置では、第1基準位置から第1フィルムロールの外周面に接触している第1部材までの第1距離に基づいて第1フィルムロールの直径が計測されるので、精度良く第1フィルムロールの直径を計測できる。そのため、第1計測部が計測する第1フィルムロールの直径に基づき、保持部の保持する第1フィルムロールの中心と製袋包装機の支持軸の中心とを精度良く位置合わせできる。
【0014】
本発明の第5観点に係るフィルムロール供給装置は、第1観点のフィルムロール供給装置であって、第2計測部をさらに備える。第2計測部は、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置を計測する。制御部は、第2計測部の計測結果に基づいて、駆動部の動作を制御して、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置が、製袋包装機の支持軸の中心の高さと一致する位置に、保持部を移動させる。
【0015】
第5観点のフィルムロール供給装置は、第2計測部を利用することで、交換されるフィルムロールのサイズがフィルムロールによって異なる場合であっても、第1フィルムロールの中心の位置と支持軸の中心の位置とを位置合わせできる。
【0016】
本発明の第6観点に係るフィルムロール供給装置は、第5観点のフィルムロール供給装置であって、第2センサを更に備える。第2センサは、第2基準位置から第1フィルムロールの外周面までの第2距離を非接触で測定する。第2計測部は、第2センサの第2距離の測定結果に基づき、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置を計測する。
【0017】
第6観点のフィルムロール供給装置では、非接触式の第2センサを用いた比較的シンプルな構成で、第1フィルムロールの中心の高さ位置を計測できる。
【0018】
本発明の第7観点に係るフィルムロール供給装置は、第1観点から第6観点のフィルムロール供給装置であって、保持部は、第1フィルムロールを支持する第1保持面及び第2保持面を有する。制御部は、保持部の保持する第1フィルムロールの中心の高さ位置を、製袋包装機の支持軸の中心の高さ位置と一致させる際、駆動部の動作を制御し、鉛直面に対して傾斜する第1保持面と、第2保持面とで第1フィルムロールを支持している保持部を移動させる。第2保持面は、鉛直面に対して第1保持面と対称に配置される。鉛直面に沿って駆動部によって移動させられる保持部を見た時、第1保持面と第2保持面とはV字形状に配置される。
【0019】
第7観点のフィルムロール供給装置では、上記構造の保持部を用いて第1フィルムロールを保持することで、第1フィルムロールの中心の高さ位置と製袋包装機の支持軸の中心の高さ位置とを精度よく一致させることができる。
【0020】
本発明の第8観点に係るフィルムロール供給装置は、第1観点に記載のフィルムロール供給装置であって、第1フィルムロールの外周面までの距離を非接触で計測する距離センサをさらに備え、制御部は距離センサの計測する距離に基づき駆動部の動作を制御する。
【0021】
第8観点のフィルムロール供給装置では、非接触式の距離センサを用いることで、短い時間で第1フィルムロールの中心の高さ位置を計測できる。
【0022】
本発明の第9観点に係るフィルムロール供給装置は、第1観点に記載のフィルムロール供給装置であって、フィルムロールの径を記憶する記憶部をさらに備えており、制御部は記憶部が記憶するフィルムロールの径に基づき駆動部の動作を制御する。
【0023】
第9観点のフィルムロール供給装置では、フィルムロールの径を記憶しておくことで、フィルム径を毎回計測することなく、さらに短い時間でフィルムロールの中心の高さ位置を取得できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るフィルムロール供給装置は、製袋包装機に供給する重量物であるフィルムロールの高さ位置を自動調節するため、作業者の負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のフィルムロール供給装置の一実施形態に係るフィルムロール交換装 置がフィルムロールを供給する製袋包装機を含む、計量包装システムの概略斜視図で ある。
図2図1の製袋包装機の概略構成図である。
図3図1の製袋包装機のフィルム供給部と本発明の一実施形態に係るフィルムロ ール交換装置とを、左後方側から見た概略斜視図である。
図4図1の製袋包装機のフィルム供給部と本発明の一実施形態に係るフィルムロ ール交換装置とを、右後方側から見た概略斜視図である。
図5】フィルムロール交換装置の概略平面図である。
図6】フィルムロール交換装置の概略左側面図である。
図7】製袋包装機及びフィルムロール交換装置の制御ブロック図である。
図8】フィルムロール交換装置の右側押し部材の概略右側面図である。
図9】フィルムロール交換装置の左側押し部材の概略左側面図である。
図10A】製袋包装機の支持軸からのフィルムロールの取り外しの際のフィルムロ ール交換装置の動作を説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図 である。
図10B】製袋包装機の支持軸からのフィルムロールの取り外しの際のフィルムロ ール交換装置の動作を説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図 である。
図10C】製袋包装機の支持軸からのフィルムロールの取り外しの際のフィルムロ ール交換装置の動作を説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図 である。
図10D】製袋包装機の支持軸からのフィルムロールの取り外しの際のフィルムロ ール交換装置の動作を説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図 である。
図11】製袋包装機の支持軸からの使用済みのフィルムロールの巻き芯の回収の際 の、フィルムロール交換装置の動作を説明するための概略左側面図である。
図12A】保持部へのフィルムロールの移動と、保持部の高さ位置調整と、を説明 するための、フィルムロール交換装置の一部の概略左側面図である。
図12B】保持部へのフィルムロールの移動と、保持部の高さ位置調整と、を説明 するための、フィルムロール交換装置の一部の概略左側面図である。
図12C】保持部へのフィルムロールの移動と、保持部の高さ位置調整と、を説明 するための、フィルムロール交換装置の一部の概略左側面図である。
図12D】保持部へのフィルムロールの移動と、保持部の高さ位置調整と、を説明 するための、フィルムロール交換装置の一部の概略左側面図である。
図12E】保持部へのフィルムロールの移動と、保持部の高さ位置調整と、を説明 するための、フィルムロール交換装置の一部の概略左側面図である。
図13A】フィルムロール交換装置による製袋包装機の支持軸へのフィルムロール の取り付けを説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図である。
図13B】フィルムロール交換装置による製袋包装機の支持軸へのフィルムロール の取り付けを説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図である。
図13C】フィルムロール交換装置による製袋包装機の支持軸へのフィルムロール の取り付けを説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図である。
図13D】フィルムロール交換装置による製袋包装機の支持軸へのフィルムロール の取り付けを説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図である。
図13E】フィルムロール交換装置による製袋包装機の支持軸へのフィルムロール の取り付けを説明するための、フィルムロール交換装置の一部の概略平面図である。
図14】フィルムロール交換装置の保持部の拡大図であり、第1フィルムロールの 中心までの高さ位置の計測方法を説明するための図である。
図15】変形例Aのフィルムロール交換装置の制御ブロック図である。
図16】変形例Bのフィルムロール交換装置の保持部の拡大図であり、第1フィル ムロールの中心までの高さ位置の計測方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照しながら、本開示のフィルムロール供給装置の一実施形態に係るフィルムロール交換装置200について説明する。なお、以下の記載は、本発明の具体例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0027】
以下の説明では、平行、垂直、水平、鉛直、直交、同一等の表現を用いる場合があるが、これらは厳密に平行、垂直、水平、鉛直、直交、同一等である場合だけではなく、実質的に平行、垂直、水平、鉛直、直交、同一等である場合を含む。
【0028】
また、以下の説明では、説明の便宜上、方向を表すために、「前(正面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「左」、「右」等の表現を使用する場合がある。特記無き場合、これらの方向を表す表現は、図面に付された矢印の向きを表す。
【0029】
(1)製袋包装機及び計量包装システム
初めに、フィルムロール交換装置200がフィルムロールを供給する対象である製袋包装機3、及び、製袋包装機3を含む計量包装システム1について、図1図2及び図7を参照しながら説明する。図1は、計量包装システム1の概略斜視図である。図2は、製袋包装機3の概略構成図である。図7の下部には、製袋包装機3の制御ブロック図が示されている。
【0030】
計量包装システム1は、組合せ計量機2と製袋包装機3とを主に有する(図1参照)。
【0031】
(1-1)組合せ計量機
組合せ計量機2は、図1のように複数の計量ホッパ2aを主に有する。組合せ計量機2は、複数の計量ホッパ2aを用いて、所定重量の物品P(例えばポテトチップス)を量り取り、下方に配置される製袋包装機3に供給する。具体的には、組合せ計量機2は、図示しない供給コンベア等から供給される物品Pを、図示しない搬送手段を用いて複数の計量ホッパ2aへと搬送供給する。組合せ計量機2は、各計量ホッパ2aに供給された物品Pの重量を、図示しない計量手段を用いて計量する。組合せ計量機2は、各計量ホッパ2aの物品Pの重量の合計値が所定重量範囲になるように、計量ホッパ2aの組み合わせを選択する。組合せ計量機2は、組み合わせに選択した計量ホッパ2a内の物品Pを下方に排出することで、所定重量の物品Pを製袋包装機3に供給する。
【0032】
(1-2)製袋包装機
製袋包装機3は、図2に示すように、組合せ計量機2から物品Pの供給を受け、シート状のフィルムFから袋Bを成形し、内部に物品Pが収容されている袋Bを製造する。製袋包装機3は、図1図2及び図7に示すように、製袋包装部3aと、フィルム供給部100と、包装機コントローラ4と、を主に備える。
【0033】
フィルム供給部100は、シート状のフィルムFが巻き回されたフィルムロールR1を保持し、フィルムロールR1から繰り出されるフィルムFを製袋包装部3aに供給する。製袋包装部3aは、組合せ計量機2から物品Pの供給を受けると共に、フィルム供給部100から供給されるシート状のフィルムFを成形して、物品Pの入った袋Bを製造する。包装機コントローラ4は、製袋包装機3の各種構成の動作を制御する。
【0034】
(1-2-1)フィルム供給部
フィルム供給部100は、図1のように、製袋包装部3aの後方に、製袋包装部3aに隣接して設けられ、製袋包装部3aの成形機構10にシート状のフィルムFを供給する。フィルム供給部100は、保持機構110と、支持フレーム120と、フレーム用シャフト130と、接合機構160と、切断機構162と、複数のローラ170と、張力調整機構180と、を主に含む。
【0035】
保持機構110は、一対の支持部112と、支持軸駆動部116と、を含む。一対の支持部112のそれぞれは、中空の巻き芯WCにフィルムFが巻き回されているフィルムロールR1を保持する。フィルム供給部100は、支持部112が保持するフィルムロールR1から繰り出されるフィルムFを製袋包装部3aに供給する。
【0036】
保持機構110が支持部112を複数(ここでは2つ)有することで、保持機構110は、製袋包装部3aにフィルムFを供給しているフィルムロールR1(使用中のフィルムロールR1)に加えて、交換用のフィルムロールR1も同時に保持できる。そのため、使用中のフィルムロールR1のフィルムFを使い切った際に、交換用のフィルムロールR1のフィルムFを用いることで、袋Bの製造を短期間で再開できる。
【0037】
フィルム供給位置に配置される支持軸114に支持されるフィルムロールR1から繰り出されるフィルムFは、フィルム供給部100の所定のフィルム搬送経路に沿って配置された複数のローラ170により案内されて、製袋包装部3aの成形機構10へと搬送される。
【0038】
シャフト184aの一端には、シャフト184aの回転角度を検出するためのエンコーダ188が取り付けられている。エンコーダ188は、可動ローラ185の移動を検知する。エンコーダ188の検出結果は、包装機コントローラ4による可動ローラ185の位置の制御等に用いられる。
【0039】
(1-2-2)包装機コントローラ
包装機コントローラ4は、製袋包装機3の各部の動作を制御する装置である。包装機コントローラ4は、例えば、CPUや、主記憶装置や補助記憶装置等の記憶装置や、入出力装置や、各種の電気回路や電子回路を有する。包装機コントローラ4では、CPUがメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、製袋包装部3a及びフィルム供給部100の各部の動作を制御する。
【0040】
(2)フィルムロール供給装置
(2-1)全体概要
本発明の一実施形態に係るフィルムロール交換装置200の概要について、図3図9を参照しながら説明する。
【0041】
図3は、製袋包装機3のフィルム供給部100とフィルムロール交換装置200とを、左後方側から見た概略斜視図である。図4は、製袋包装機3のフィルム供給部100とフィルムロール交換装置200とを、右後方側から見た概略斜視図である。図5は、フィルムロール交換装置200の概略平面図である。図6は、フィルムロール交換装置200の概略左側面図である。図7の上部には、フィルムロール交換装置200の制御ブロック図が示されている。図8は、フィルムロール交換装置200の右側押し部材240の概略右側面図である。図9は、フィルムロール交換装置200の左側押し部材250の概略左側面図である。
【0042】
フィルムロール交換装置200は、製袋包装機3にフィルムロールR1を供給する。以下では、説明の分かりやすさの観点から、フィルムロール交換装置200が製袋包装機3に供給するフィルムロールR1を、第1フィルムロールR1aと呼ぶ場合がある。
【0043】
また、本開示では、フィルムロール交換装置200は、製袋包装機3の支持軸114から、使用済みのフィルムロールR1や、使用を中断したフィルムロールR1を取り外す。使用済みのフィルムロールR1とは、巻き芯WCに巻き回されていたフィルムFが使い切られた(フィルムFの残量が所定量以下となった)フィルムロールR1を意味する。また、使用を中断したフィルムロールR1とは、フィルムFは使い切られていないものの、少なくとも一時的に、製袋包装機3で使用されなくなるフィルムロールR1を意味する。以下では、説明の分かりやすさの観点から、製袋包装機3の支持軸114から取り外されるフィルムロールR1を、第2フィルムロールR1bと呼ぶ場合がある。
【0044】
なお、フィルムロール交換装置200は、製袋包装機3に対してフィルムロールR1を供給する機能のみを有する装置であってもよい。この際には、第2フィルムロールR1b
、作業者により手作業で支持軸114から取り外されればよい。
【0045】
フィルムロール交換装置200は、図3及び図4のように、例えば、製袋包装機3のフィルム供給部100の右側に配置される。ただし、図3及び図4に描画されているフィルムロール交換装置200の配置は、一例に過ぎず、製袋包装機3やフィルムロール交換装置200の仕様に応じて、適宜変更されればよい。
【0046】
フィルムロール交換装置200は、図5及び図6に示すように、コンベア210と、ゲート220と、保持部230と、右側押し部材240と、左側押し部材250と、ストッパ260と、巻き芯回収機構270と、第1部材280と、を有する。また、フィルムロール交換装置200は、図7に示すように、ゲート駆動部222と、第1駆動部235と、第2駆動部236と、第3駆動部237と、右側押し部材駆動部242と、左側押し部材駆動部252と、ストッパ駆動部262と、第1部材駆動部282と、エンコーダ284と、距離センサ286と、コントローラ290と、を有する。なお、ここでの駆動部222,235,236,237,242,252,262,282は、駆動対象を動作させるためのモータやエアシリンダ等の機器である。駆動部222,235,236,237,242,252,262,282にどのような機器を使用するかは、適宜選択されればよい。
【0047】
(2-2-1)保持部
保持部230は、図5に示すように、製袋包装機3が有するフィルムロールR1を支持する支持軸114に少なくとも一時的に隣接して配置される。具体的には、保持部230は、前述のフィルムロール交換位置へと移動させられた支持軸114に隣接する位置に配置される。
【0048】
保持部230は、製袋包装機3に供給する第1フィルムロールR1aを保持する。また、保持部230は、支持軸114から取り外された第2フィルムロールR1bを保持する。
【0049】
保持部230は、図5に示すように、左右方向において、フィルムロール交換位置に配置される支持軸114の遠隔側に配置される第1端部231aと、第1端部231aの反対側であって、フィルムロール交換位置に配置される支持軸114の近接側に配置される第2端部231bと、を有する。保持部230は、第1端部231aと第2端部231bとの間で、巻き芯WCが左右方向に延びるような姿勢で、コンベア210により供給される第1フィルムロールR1aや、支持軸114から取り外される第2フィルムロールR1bを保持する。
【0050】
保持部230は、図5及び図6に示すように、第1保持部材232と、第2保持部材234と、を有する。第1保持部材232と第2保持部材234とは、前後方向に並べて配置されている。具体的には、第1保持部材232は、図5及び図6に示すように、第2保持部材234の後方に(コンベア210側に)配置されている。第1保持部材232及び第2保持部材234は、平板状の部材である。ただし、保持部230が以下に説明するように機能可能であれば、第1保持部材232及び第2保持部材234の形状は、平板状に限定されない。第1保持部材232は、第1フィルムロールR1aを支持する第1保持面232aを有し、第2保持部材234は、第1フィルムロールR1aを支持する第2保持面234aを有する。
【0051】
平板状の第1保持部材232及び第2保持部材234は、図6のように、右側面視において、V字形状を形成するように配置されている。言い換えれば、第1保持部材232と第2保持部材234とは、右側面視及び左側面視において、第1保持面232aと第2保持面234aとがV字形状を形成するように配置されている。さらに言い換えれば、第1保持部材232と第2保持部材234とは、製袋包装機3の支持軸114の軸方向視において、第1保持面232aと第2保持面234aとがV字形状を形成するように配置されている。特に、ここでは、第1保持面232aの垂線と第2保持面234aの垂線とは直交する。ただし、第1保持面232aの垂線と第2保持面234aの垂線とがなす角度は、90°以外であってもよい。
【0052】
なお、V字形状を形成するように配置されている第1保持部材232と第2保持部材234とは、V字形状における谷部において、第1保持部材232と第2保持部材234との間に隙間230aが形成されるように、距離を空けて配置されている。言い換えれば、保持部230には、その下部に隙間230aが形成されている。隙間230aの左右方向の幅は、フィルムロールR1の巻き芯WCの外径よりも大きい。保持部230の隙間230aは、支持軸114から取り外されて保持部230に移動させられた第2フィルムロールR1b、特には使用済みのフィルムロールR1の巻き芯WCを通過させて、巻き芯回収機構270へと使用済みのフィルムロールR1の巻き芯WCを落下排出するために用いられる。
【0053】
保持部230は、第1駆動部235、第2駆動部236及び第3駆動部237により駆動される。
【0054】
第1駆動部235は、左右方向に延びる、所定位置に配置される回転軸周りに、保持部230を回転させる。
【0055】
第2駆動部236は、保持部230を上下方向に移動させる。
【0056】
第3駆動部237は、保持部230を左右方向に移動させる。言い換えれば、第3駆動部237は、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114に接近するように左方に、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114から離隔するように右方に、第2姿勢の保持部230を移動させる。
【0057】
なお、本実施形態の第3駆動部237は、保持部230と、右側押し部材240及び左側押し部材250とを同時に左右に移動させる。言い換えれば、第3駆動部237は、保持部230と、右側押し部材240及び左側押し部材250とを一体として左右に移動させる。
【0058】
(2-2-2)右側押し部材
右側押し部材240は、図5に示すように、保持部230の第1端部231aに隣接して配置される部材である。右側押し部材240は、保持部230が保持する第1フィルムロールR1aの右端面を押す部材である。
【0059】
右側押し部材240は、右側押し部材駆動部242により上下方向に駆動される。右側押し部材駆動部242は、右側押し部材240を上下方向に駆動することで、右側押し部材240を、第1フィルムロールR1aの端面に接触可能な位置(接触位置と呼ぶ)に移動させる。また、右側押し部材駆動部242は、右側押し部材240を上下方向に駆動することで、右側押し部材240を、製袋包装機3の支持軸114に取り付けられているフィルムロールR1に接触しない位置(非接触位置と呼ぶ)に移動させる。
【0060】
さらに、右側押し部材240は、第3駆動部237により左右方向に駆動される。特に、第3駆動部237は、右側押し部材240が接触位置にある状態で、右側押し部材240を左方向に移動させることで、保持部230が保持する第1フィルムロールR1aの右端面を右側押し部材240で押して、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114に向かって第1フィルムロールR1aを左方に移動させる。
【0061】
右側押し部材240は、形状を限定するものではないが、図8のように、右側面視において略長方形形状を有する。右側押し部材240の上部には、好ましくは、製袋包装機3の支持軸114の外径形状に沿う切り欠き240aが形成されている。形状を限定するものではないが、切り欠き240aは、例えば、U字形状や、V字形状である。例えば、切り欠き240aがU字形状である場合には、切り欠き240aは、右側面視において、略長方形状の切り欠きであって、下端部が半円形状に形成されている。または、切り欠き240aがU字形状である場合には、切り欠き240aは、図8に示すように、右側面視において、半円形状の切り欠きであってもよい。本開示では、右側押し部材240の上部には半円形状の切り欠き240aが形成されている。そして、好ましくは、切り欠き240aの半円の直径Aは、第1フィルムロールR1aが取り付けられる支持軸114の直径D1より大きく、かつ、第1フィルムロールR1aの巻き芯WCの外周の直径D2より小さい。
【0062】
(2-2-3)左側押し部材
左側押し部材250は、図5に示すように、保持部230の第2端部231bに隣接して配置される部材である。左側押し部材250は、製袋包装機3の支持軸114に取り付けられる第1フィルムロールR1aの右端面を押す部材である。また、左側押し部材250は、製袋包装機3の支持軸114から取り外される第2フィルムロールR1bの左端面を押す部材である。
【0063】
左側押し部材250は、左側押し部材駆動部252により上下方向に駆動される。左側押し部材駆動部252は、左側押し部材250を上下方向に駆動することで、左側押し部材250を、第1フィルムロールR1aの端面や、第2フィルムロールR1bの端面に接触可能な位置(接触位置と呼ぶ)に移動させる。また、左側押し部材駆動部252は、左側押し部材250を上下方向に駆動することで、左側押し部材250を、製袋包装機3の支持軸114に取り付けられているフィルムロールR1に接触しない位置(非接触位置と呼ぶ)に移動させる。
【0064】
さらに、左側押し部材250は、第3駆動部237により左右方向に駆動される。
【0065】
第3駆動部237は、左側押し部材250が接触位置にあり、左側押し部材250が第1フィルムロールR1aの右側に配置されている状態で、左側押し部材250を左方向に移動させる。この際、左側押し部材250は、第1フィルムロールR1aの巻き芯WCの中空部の一部に支持軸114が挿入されている状態の第1フィルムロールR1aの右端面を押し、第1フィルムロールR1aを、左側に、支持軸114の所定位置まで移動させる。
【0066】
また、第3駆動部237は、左側押し部材250が接触位置にあり、左側押し部材250が第2フィルムロールR1bの左側に配置されている状態で、左側押し部材250を右方向に移動させる。この際、左側押し部材250は、支持軸114が挿入されている状態の第2フィルムロールR1bの左端面を押し、第2フィルムロールR1bを、保持部230へと移動させる。
【0067】
左側押し部材250は、形状を限定するものではないが、図9のように、左側面視において略長方形形状を有する。左側押し部材250の上部には、右側押し部材240の切り欠き240aと同様の形状の、切り欠き250aが形成されている。切り欠き250aの形状は、切り欠き240aの形状と同様であるので、切り欠き250aの形状の詳細については説明を省略する。左側押し部材250の上部に切り欠き250aが形成されていることで、左側押し部材250は、第1フィルムロールR1aの巻き芯WCや、第2フィルムロールR1bの巻き芯WCを押すことができる。
【0068】
(2-2-4)ストッパ
ストッパ260は、第2姿勢にある保持部230の隙間230aを塞ぎ(図6参照)、支持軸114から取り外された第2フィルムロールR1bが、隙間230aから下方の巻き芯回収機構270へと落下するのを防止するための部材である。
【0069】
(2-2-5)巻き芯回収機構
巻き芯回収機構270は、第2姿勢にある保持部230の隙間230aから落下する支持軸114から取り外された第2フィルムロールR1bを回収する機構である。特に、巻き芯回収機構270は、第2姿勢にある保持部230の隙間230aから落下する第2フィルムロールR1bとしての使用済みのフィルムロールR1の巻き芯WCを回収するための機構である。
【0070】
保持部230の隙間230aから落下した第2フィルムロールR1bは、巻き芯回収機構270の傾斜面272を滑り落ち、コンベア210の直下の回収エリア274に回収される(図6参照)。なお、保持部230の隙間230aから落下した第2フィルムロールR1bをどのように回収するかについては適宜設計されればよい。
【0071】
(2-2-6)第1部材及びエンコーダ
第1部材280及びエンコーダ284は、製袋包装機3に供給される第1フィルムロールR1aの直径を計測するために用いられる構成である。
【0072】
第1部材280は、コンベア210の上方に配置されている。
【0073】
第1部材280は、第1フィルムロールR1aの直径の計測のために使用されないタイミングでは、所定の第1位置(待機位置)に配置されている。第1位置は、その位置に第1部材280が存在していたとしても、第1部材280が、コンベア210を搬送される第1フィルムロールR1aに接触しない位置である。第1部材280が第1フィルムロールR1aの直径の計測のために使用されるタイミングでは、第1部材駆動部282は、第1部材280を、下方に、コンベア210に載置されている第1フィルムロールR1aの外周面(上端)に接触する第2位置まで移動させる。
【0074】
ここでの第1部材駆動部282は、エンコーダ284の取り付けられているモータである。エンコーダ284は、第1部材駆動部282が、第1部材280を第1位置から第2位置に移動させた際のモータの回転変位量を計測し、計測した回転変位量に応じた信号を後述するコントローラ290へと送信する。
【0075】
第1計測部としてのコントローラ290は、エンコーダ284の信号に基づいて第1位置から第2位置までの第1部材280の移動距離を算出する。さらに、コントローラ290は、算出した第1部材280の移動距離に基づいて、コンベア210上の第1フィルムロールR1aの直径を計測する。
【0076】
(2-2-7)距離センサ
距離センサ286は、所定の基準位置から、フィルムロールR1の外周面までの距離を非接触で測定するセンサである。例えば、距離センサ286は、保持部230の隙間230aの直下に配置される。距離センサ286は、その種類を限定するものではないが、例えばレーザ距離センサである。距離センサ286は、距離センサ286が配置される基準位置から、保持部230上に載置されているフィルムロールR1の外周面までの距離や、支持軸114に取り付けられているフィルムロールR1の外周面までの距離を測定できる。
【0077】
(2-2-8)コントローラ
コントローラ290は、フィルムロール交換装置200の各部の動作を制御する装置である。コントローラ290は、例えば、CPUや、主記憶装置や補助記憶装置等の記憶装置や、入出力装置や、各種の電気回路や電子回路を有する。
【0078】
コントローラ290は、図7に示すように、コンベア210と、ゲート駆動部222と、第1駆動部235と、第2駆動部236と、第3駆動部237と、右側押し部材駆動部242と、左側押し部材駆動部252と、ストッパ駆動部262と、第1部材駆動部282と、エンコーダ284と、電気的に接続されている。コントローラ290は、コンベア210、ゲート駆動部222、第1駆動部235、第2駆動部236、第3駆動部237、右側押し部材駆動部242、左側押し部材駆動部252、ストッパ駆動部262、及び第1部材駆動部282の動作を制御する。また、コントローラ290は、エンコーダ284や、距離センサ286の出力する信号を受信する。また、コントローラ290は、製袋包装機3の包装機コントローラ4と通信可能に接続されている。
【0079】
フィルムロール交換装置200が、支持軸114から第2フィルムロールR1bをどのように取り外し、支持軸114に交換用の第1フィルムロールR1aをどのように取り付けるかについて、以下に、図10図13を参照しながら説明する。図10A図10Eは、製袋包装機3の支持軸114からの第2フィルムロールR1bの取り外しの際のフィルムロール交換装置200の動作を説明するための、フィルムロール交換装置200の一部の概略平面図である。図11は、製袋包装機3の支持軸114からの第2フィルムロールR1bの取り外しの際の、フィルムロール交換装置200の動作を説明するための概略左側面図である。図12A図12Eは、保持部230への第1フィルムロールR1aの移動と、保持部230の高さ位置調整と、を説明するための、フィルムロール交換装置200の一部の概略左側面図である。図13A図13Eは、フィルムロール交換装置200による第1フィルムロールR1aの製袋包装機3の支持軸114への取り付けを説明するための、フィルムロール交換装置200の一部の概略平面図である。
【0080】
(A)第2フィルムロールの製袋包装機の支持軸からの取り外し
コントローラ290は、包装機コントローラ4からフィルムロールR1の交換要求が送信されてくると、初めに、製袋包装機3の支持軸114からフィルムロールR1(第2フィルムロールR1b)を取り外す。
【0081】
フィルムロール交換装置200の動作ではないが、まずは、包装機コントローラ4がフィルムロールR1の交換要求を送信する際の、製袋包装機3の動作について説明する。特に、ここでは、これまで製袋包装機3において使用されていたフィルムロールR1のフィルムFが使い切られた際の製袋包装機3の動作を例に説明する。
【0082】
包装機コントローラ4は、例えば、エンコーダ188の出力する信号に基づいて検出される可動ローラ185の動きに基づき、これまで使用されていたフィルムロールR1のフィルムFが使い切られたことを検知する。フィルムロールR1のフィルムFが使い切られたことを検知すると、包装機コントローラ4は、接合機構160を制御して、使用済みのフィルムロールR1のフィルムFの終端近傍と、交換用のフィルムロールR1のフィルムFの始端近傍と、を接合する。また、包装機コントローラ4は、切断機構162を制御して、使用済みのフィルムロールR1のフィルムFを、所定位置で切断する。
【0083】
そして、包装機コントローラ4は、フレーム駆動部132を駆動して、交換済のフィルムロールR1(これから包装に使用されるフィルムロールR1)を支持する支持軸114をフィルム供給位置に移動させるとともに、使用済みのフィルムロールR1を支持する支持軸114をフィルムロール交換位置に移動させる。
【0084】
続いて、フィルムロール交換装置200による、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114からの第2フィルムロールR1bの取り外しについて、図10A図10D及び図11を参照して説明する。なお、以下の説明は、フィルムロール交換装置200による第2フィルムロールR1bの取り外し動作の一例に過ぎず、適宜変更されればよい。
【0085】
コントローラ290は、包装機コントローラ4からフィルムロールR1の交換要求を受信すると、コントローラ290は、第3駆動部237の動作を制御して、保持部230をゲート220に隣接する図10Aに描画されている位置から、左側に、図10Bのフィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の直下まで移動させる。
【0086】
次に、コントローラ290は、第3駆動部237の動作を制御して、保持部230を図10Aに描画した位置から、右側に、図10Cの位置(図10Aの時点で、保持部230が配置されていた位置)まで移動させる。この過程で、第2フィルムロールR1bは、左側押し部材250に押されて移動し、図10Cに描画するように保持部230上に移動する。
【0087】
次に、コントローラ290は、ストッパ駆動部262によりストッパ260を開放位置まで移動させる。その結果、第2フィルムロールR1b(第2フィルムロールR1bの巻き芯WC)は、保持部230の隙間230aから落下する(図10D参照)。第2フィルムロールR1bが無事に落下したか否かの判断には、距離センサ286の検出結果を利用できる。
【0088】
コントローラ290が、ストッパ駆動部262によりストッパ260を開放位置まで移動させた場合には、保持部230の隙間230aから落下した第2フィルムロールR1bは、図11に示すように、巻き芯回収機構270の傾斜面272を滑り落ち、コンベア210の直下に配置された回収エリア274に回収される。
【0089】
(B)第1フィルムロールの製袋包装機の支持軸への取り付け
コントローラ290は、製袋包装機3の支持軸114からの第2フィルムロールR1bの取り外しが完了すると、第1フィルムロールR1aを製袋包装機3に供給し、第1フィルムロールR1aを支持軸114に取り付ける。
【0090】
ここでは、図12A図12Eを参照しながら、保持部230への第1フィルムロールR1aの移動と、保持部230の高さ位置調整と、を初めに説明する。その後、図13A図13Eを参照しながら、フィルムロール交換装置200による第1フィルムロールR1aの製袋包装機3の支持軸114への取り付けを説明する。
【0091】
(B-1)保持部への第1フィルムロールの移動と保持部の高さ位置調整
説明の前提として、図12Aに描画されている時点では、保持部230上にはフィルムロールR1は存在せず、前述の第2姿勢の保持部230は、ゲート220の前方に隣接する位置(初期位置)に配置されている。また、図12Aに描画されている時点では、ゲート220は、第1フィルムロールR1aの保持部230側への移動を規制する位置にあり、コンベア210上のゲート220と隣接した位置に、第1フィルムロールR1aが載置された状態にある。第1部材280は、第1フィルムロールR1aの上方の、第1フィルムロールR1aとは離れた上述の第1位置に配置されている。
【0092】
この状態で、コントローラ290は、第1部材駆動部282により、第1部材280を、コンベア210に載置されている第1フィルムロールR1aの外周面(上端)に接触する第2位置まで移動させる(図12B参照)。
【0093】
コントローラ290は、第1部材駆動部282が第1部材280を第1位置から第2位置に移動させた際に、エンコーダ284の送信してくるモータ(第1部材駆動部282)の回転変位量に応じた信号を受信する。コントローラ290は、エンコーダ284の信号に基づいて第1位置から第2位置までの第1部材280の移動距離を算出する。さらに、第1計測部としてのコントローラ290は、算出した第1部材280に基づいて、コンベア210上の第1フィルムロールR1aの直径を計測する。例えば、コントローラ290の記憶装置には、第1位置からコンベア210の搬送面(第1フィルムロールR1aの載置されている面)との距離が予め記憶されている。コントローラ290は、第1位置からコンベア210の搬送面までの距離から、第1位置から第2位置までの第1部材280の移動距離を差し引くことで、第1フィルムロールR1aの直径を算出する。
【0094】
次に、コントローラ290は、第1部材駆動部282により、第1部材280を第1フィルムロールR1aの外周面に接触しない第1位置まで移動させる。
【0095】
次に、コントローラ290は、第1駆動部235の動作を制御して保持部230を回転させ、保持部230の姿勢を、第2姿勢から第1姿勢に変更する。特に、本実施形態では、第1保持面232aが水平面となる状態にある保持部230を、第1姿勢の保持部230としており、コントローラ290は、左側面視において、第1駆動部235の動作を制御して保持部230を45°反時計回りに回転させ、保持部230の姿勢を、第2姿勢から第1姿勢に変更する(図12C参照)。なお、例えば、第1保持面232aが後方側から前方側に向かって低くなるように若干傾斜している保持部230を、第1姿勢の保持部230と定義する場合には、コントローラ290が保持部230を回転させる角度は、45°以外の所定の角度に適宜決定されればよい。
【0096】
また、コントローラ290は、ゲート駆動部222の動作を制御して、ゲート220を、第1フィルムロールR1aの保持部230側への移動を規制しない位置に移動させる(図12C参照)。また、コントローラ290は、コンベア210の動作を制御して、第1フィルムロールR1aを保持部230へと移動させる(図12C参照)。
【0097】
その後、コントローラ290は、第1駆動部235の動作を制御して保持部230を回転させ、保持部230の姿勢を、第1姿勢から第2姿勢に変更する。特に、本実施形態では、第1保持面232aが水平面となる状態にある保持部230を、第1姿勢の保持部230としているので、コントローラ290は、左側面視において、第1駆動部235の動作を制御して保持部230を45°時計回りに回転させ、保持部230の姿勢を、第1姿勢から第2姿勢に変更する(図12C参照)。なお、例えば、第1保持面232aが後方側から前方側に向かって低くなるように若干傾斜している保持部230を、第1姿勢の保持部230と定義する場合には、コントローラ290が保持部230を回転させる角度は、45°以外の所定の角度に適宜決定されればよい。
【0098】
また、コントローラ290は、ゲート駆動部222の動作を制御して、ゲート220を、第1フィルムロールR1aの保持部230側への移動を規制する位置に移動させる(図12D参照)。また、コントローラ290は、コンベア210の動作を停止する。
【0099】
次に、コントローラ290は、計測した第1フィルムロールR1aの直径に基づき、第2駆動部236の動作を制御して、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さと一致する位置に、保持部230を移動させる。
【0100】
例えば、具体的には、コントローラ290は、以下のようにして、保持部230の高さ位置を変更する。図14を参照しながら説明する。なお、図14は、フィルムロール交換装置200の保持部230の拡大図であり、第1フィルムロールR1aの中心までの高さ位置の計測方法を説明するための図である。
【0101】
前提として、コントローラ290の記憶装置には、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さ位置の情報(例えば、床面から支持軸114の中心までの高さH1)が記憶されている。また、前提として、コントローラ290は、例えば、左側面視において、第1保持面232aを延長した直線と第2保持面234aを延長した直線との交点Xが現在配置されている高さ位置(例えば、床面から交点Xまでの高さh1)を把握している。
【0102】
この条件において、コントローラ290は、以下のようにして、現時点において保持部230が保持している第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置を算出する。現在、床面から交点Xまでの高さh1が分かっているので、図14において、h2の値が分かれば、床面から第1フィルムロールR1aの中心(ここでは、符号Cで表す)までの高さが分かる。前述のように、コントローラ290は、第1フィルムロールR1aの直径Dは算出済みである。また、左側面視において、交点Xと中心Cとを結ぶ直線と中心Cから第1保持面232aに下ろした垂線とがなす角度θは、保持部230の設計によって決まるため、既知である。したがって、三角関数を利用すれば、h2は、D/2cosθという数式により算出できる。コントローラ290は、現時点において保持部230が保持している第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置を値h1と値h2とを足し合わせて算出する。そして、現時点において保持部230が保持している第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が算出されれば、Δh=H-(h1+h2)だけ保持部230が上方に移動させられれば、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さ位置と一致することになる。
【0103】
そこで、コントローラ290は、第2駆動部236の動作を制御して、図12Eのように、保持部230を、二点鎖線で描画された位置から、実線で描画された位置へと、Δhだけ上方に移動させる。この結果、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置は、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さ位置と一致する。なお、仮にΔhの値が負の値であれば、保持部230は下方に移動させられる。
【0104】
なお、保持部230の構造上、保持部230に保持される第1フィルムロールR1の中心Cは、前後方向において、前述の交点Xと同じ位置に配置される。言い換えれば、左側面視において、保持部230に保持される第1フィルムロールR1の中心Cは、交点Xを通過する鉛直方向に延びる直線上に配置される。そのため、このフィルムロール交換装置200において、交点Xの前後位置が変化しないような設計が採用されれば、前後方向において保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の位置と、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の位置との位置調整は不要である。
【0105】
なお、フィルムロール交換装置200は、第2駆動部236として、例えば、電動シリンダ及びエアシリンダの両方を有することが好ましい。その理由について説明する。
【0106】
フィルムロール交換装置200は、例えば、電動シリンダだけを第2駆動部236として利用しても、保持部230を、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置を、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さと一致する位置まで移動させることができる。ただし、第1フィルムロールR1aは重量物であるため、電動シリンダ単独で第1フィルムロールR1aの載置されている保持部230を移動させようとすると、大型の電動シリンダが必要となる。そのため、フィルムロール交換装置200は、電動シリンダに加えて、エアシリンダを併用することが好ましい。
【0107】
具体的な制御としては、例えば、コントローラ290は、保持部230を移動させる際、図示しない電空レギュレータを制御して、まず、エアシリンダの内圧を徐々に上昇させる。そして、コントローラ290は、距離センサ286等を用いて、保持部230の微小な移動(保持部230に保持されている第1フィルムロールR1aの移動)を検知すると、図示しない電空レギュレータの生じさせる圧力は一定に保ったまま、電動シリンダを制御して保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置を、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さと一致させる。
【0108】
(B-2)第1フィルムロールの製袋包装機の支持軸への取り付け
保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置と、フィルムロール交換位置に配置されている支持軸114の中心の高さ位置とが一致した後の、フィルムロール交換装置200による第1フィルムロールR1aの支持軸114への取り付けについて説明する。
【0109】
説明の前提として、図13Aに描画されている時点では、平面視において、保持部230はゲート220の前方に隣接する位置(初期位置)に配置され、右側押し部材240及び左側押し部材250は前述の非接触位置に配置されているものとする。
【0110】
まず、コントローラ290は、右側押し部材駆動部242の動作を制御して、右側押し部材240を、第1フィルムロールR1aの右端面に接触可能な接触位置、特には、第1フィルムロールR1aの巻き芯WCに少なくとも接触可能な接触位置に移動させる。
【0111】
次に、コントローラ290は、第3駆動部237の動作を制御して、保持部230を初期位置から、左側に、図13Bのフィルムロール交換位置に配置されている支持軸114に向かって左方に移動させ、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aを支持部112に受け渡す。具体的に説明する。
【0112】
コントローラ290が、第3駆動部237の動作を制御して保持部230を左方に移動させると、保持部230が保持している第1フィルムロールR1aの巻き芯WCの中空部に支持軸114が挿入され、保持部230の第1フィルムロールR1aが、支持軸114に受け渡される。ただし、特に、支持軸114の外径と巻き芯WCの中空部の径との差が小さい場合、保持部230を左側に移動させても、巻き芯WCの中空部の内面と支持軸114の外面との摩擦により、第1フィルムロールR1aがある程度以上は左側に移動しなくなる場合がある。しかし、ここでは、保持部230の第1端部231a(右端部)に隣接して右側押し部材240が配置されているので、第1フィルムロールR1aが保持部230の第1端部231aより右側に配置された状態となると、第1フィルムロールR1aの右断面が、第3駆動部237により駆動される右側押し部材240により押されて、支持軸114が、第1フィルムロールR1aの巻き芯WCの中空部により深く挿入される(図13B参照)。言い換えれば、ここでは、コントローラ290は、第3駆動部237の動作を制御し、保持部230が保持する第1フィルムロールR1aの端面を右側押し部材240で押して、第1フィルムロールR1aを支持軸114に移動させる。
【0113】
保持部230の左側への可動範囲が十分広い場合には、右側押し部材240だけでも、支持軸114を第1フィルムロールR1aの巻き芯WCの中空部に十分に挿入して、第1フィルムロールR1aを支持軸114の所定位置にセットすることができる。
【0114】
ただし、このような設計では、保持部230の移動するエリアを十分に確保する必要があるため、製袋包装機3及びフィルムロール交換装置200の設置に必要な床面積が増大するおそれがある。そこで、フィルムロール交換装置200は、好ましくは、以下のように設計される。
【0115】
保持部230の第2端部231bが、支持軸114の支持端の近傍まで到達すると、コントローラ290は、第2駆動部236の動作を制御して保持部230をやや下方に移動させると共に、第3駆動部237の動作を制御して保持部230を右方に初期位置まで移動させる。
【0116】
そして、コントローラ290は、右側押し部材駆動部242の動作を制御して、右側押し部材240を非接触位置に移動させる。また、コントローラ290は、左側押し部材駆動部252の動作を制御して、左側押し部材250を、支持軸114に移動させられた第1フィルムロールR1aの右端面に接触可能な接触位置、特には、第1フィルムロールR1aの巻き芯WCの右端面に少なくとも接触可能な接触位置に移動させる。
【0117】
次に、コントローラ290は、第3駆動部237の動作を制御して、保持部230と共に左側押し部材250を、左側に、所定位置(ここでは、図13Dに描画されている位置)まで移動させる。ここでの所定位置は、使用されるフィルムロールR1の寸法等によって予め定められた位置である。このようにコントローラ290がフィルムロール交換装置200の動作を制御する結果、第1フィルムロールR1aは、左側押し部材250により位置決めされて、支持軸114の適切な位置に配置されることになる。
【0118】
なお、図13Dに描画されている状態では、左右方向において、左側押し部材250と支持軸114とは重なる位置に配置されている。しかし、左側押し部材250には前述のように切り欠き250aが形成されているため、左右方向において、左側押し部材250と支持軸114とが重なる位置に配置されていても、支持軸114と左側押し部材250とは接触しない。
【0119】
この後、コントローラ290は、包装機コントローラ4に対して、第1フィルムロールR1aの支持軸114への供給が終了した旨を通知する。また、コントローラ290は、所定のタイミングで、第3駆動部237の動作を制御して、保持部230を初期位置(図13Aに描画されている位置と同じ位置)まで移動させる(図13E参照)。また、コントローラ290は、左側押し部材駆動部252の動作を制御して、左側押し部材250を、上記の非接触位置まで移動させる(図13E参照)。さらに、コントローラ290は、所定のタイミングで、第2駆動部236の動作を制御して、保持部230を図12Aに描画された高さ位置まで移動させる。
【0120】
なお、コントローラ290が、保持部230を初期位置へと移動させ、左側押し部材250を非接触位置に移動させるタイミングを、包装機コントローラ4が、支持軸114の固定機構の動作を制御して、第1フィルムロールR1aと支持軸114とを固定するタイミングまで遅らせれば、左側押し部材250に、第1フィルムロールR1aの位置規制機能も持たせることができる。
【0121】
フィルムロール交換装置200の動作に関する内容ではないが、包装機コントローラ4は、第1フィルムロールR1aの支持軸114への供給が終了し、第1フィルムロールR1aが支持軸114に固定された時点で、支持軸駆動部116により第1フィルムロールR1aを回転させ、フィルムロール交換位置に配置された支持軸114の近傍に配置されるスキャナ190で、フィルムロールR1に付された図示しないバーコードやマトリックス型二次元コードを読み取ることが好ましい。そして、包装機コントローラ4は、スキャナ190で読み取られたバーコードやマトリックス型二次元コードにより特定されるフィルムロールR1の種類が、支持軸114に取り付けられるべきフィルムロールR1の種類と一致するか否かを確認することが好ましい。このように構成されることで、自動で製袋包装機3にフィルムロールR1が供給される場合であっても、正しいフィルムロールR1が製袋包装機3に供給されたかをチェックできる。
【0122】
(3)特徴
(3-1)
特許請求の範囲におけるフィルムロール供給装置の一例としてのフィルムロール交換装置200は、製袋包装機3に対してフィルムロールR1を供給する。フィルムロール交換装置200は、保持部230と、特許請求の範囲における駆動部の一例としての第2駆動部236と、特許請求の範囲における制御部の一例としてのコントローラ290と、を備える。保持部230は、製袋包装機3が有するフィルムロールR1を支持する支持軸114に少なくとも一時的に隣接して配置され、製袋包装機3に供給するフィルムロールR1としての第1フィルムロールR1aを保持する。第2駆動部236は、保持部230を上下方向に移動させる。コントローラ290は、第2駆動部236の動作を制御して、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が、製袋包装機3の支持軸114の中心の高さと一致する位置に、保持部230を移動させる。
【0123】
フィルムロール交換装置200では、製袋包装機3に供給する、重量物であるフィルムロールR1の高さ位置を自動調節するため、作業者の負担を低減できる。
【0124】
(4)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。変形例は、互いに矛盾のない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【0125】
(4-1)変形例A
上記実施形態では、コントローラ290は、第1部材駆動部282としてのモータにとりつけられたエンコーダ284が出力する信号に基づいて第1フィルムロールR1aの直径Dを計測する。
【0126】
ただし、第1フィルムロールR1aの直径Dの計測方法は、エンコーダ284が出力する信号に基づいて計測する方法に限定されない。
【0127】
例えば、フィルムロール交換装置200は、図15に示すように、エンコーダ284に代えて、第1センサ285を有するものであってもよい。また、この場合には、第1部材駆動部282は、エアシリンダ等、モータ以外の駆動機構であってもよい。第1センサ285は、例えば、第1部材280の直下に、又は、第1部材280の直上に配置される。第1センサ285は、第1基準位置(例えば、第1センサ285の設置される位置)から第1フィルムロールR1aの外周面に接触している第1部材280までの第1距離(ここでは上下方向の距離)を非接触で測定するレーザ距離センサである。そして、第1計測部としてのコントローラ290は、第1センサ285が計測する第1距離に基づいて、第1フィルムロールR1aの直径Dを計測する。例えば、コントローラ290の記憶装置には、第1基準位置からコンベア210の搬送面(第1フィルムロールR1aの載置されている面)との距離が予め記憶されている。コントローラ290は、第1基準位置からコンベア210の搬送面までの距離と、第1距離とから、第1フィルムロールR1aの直径Dを算出する。
【0128】
(4-2)変形例B
上記実施形態では、第1計測部としてのコントローラ290が第1フィルムロールR1aの直径Dを計測し、さらに、コントローラ290が、第1フィルムロールR1aの直径Dに基づいて、第2駆動部236の動作を制御して、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が、製袋包装機3の支持軸114の中心の高さと一致する位置に、保持部230を移動させる。
【0129】
ただし、コントローラ290は、第1フィルムロールR1aの直径Dを計測せずに、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの高さ位置を計測し、その計測結果に基づいて、第2駆動部236の動作を制御して、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が、製袋包装機3の支持軸114の中心の高さと一致する位置に、保持部230を移動させてもよい。図16を参照しながら具体例を説明する。なお、図16は、フィルムロール交換装置200の保持部230の拡大図であり、第1フィルムロールR1aの中心までの高さ位置の計測方法を説明するための図である。
【0130】
変形例Bでは、フィルムロール交換装置200は、第1部材280、第1部材駆動部282、及びエンコーダ284を有さない。変形例Bでは、第2計測部としてのコントローラ290は、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置を計測する。コントローラ290は、例えば、前述の距離センサ286の測定結果を利用する。変形例Bでは、距離センサ286は、第2基準位置(距離センサ286の位置)から保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの外周面(最下部)までの第2距離を非接触で測定するセンサとして機能する。
【0131】
コントローラ290の記憶装置には、例えば、距離センサ286と床面との高さh1’と、第1保持面232aを延長した直線と第2保持面234aを延長した直線との交点Xと距離センサ286との高さh2’とが記憶されている’(図16参照)。また、ここでは保持部230の構造から、左側面視において、第1フィルムロールR1aの中心Cと、交点Xと、第1フィルムロールR1aの中心Cから第1保持面232aに下ろした垂線と第1保持面232aとの交点Yとは、直角二等辺三角形であることが分かっている。そのため、距離センサ286により、第2基準位置としての距離センサ286の位置から第2フィルムロールR1bの外周面(最下部)までの第2距離(h2’+h3’)を測定できれば、コントローラ290は、床面から第1フィルムロールR1aの中心Cまでの距離を、h1’+h2’+√2×h3’/(√2―1)という式で算出できる。なお、h1’及びh2’は既知の値であり、h3’は、距離センサ286により測定された第2距離から既知の値h2’を減ずることで算出できる値である。
【0132】
なお、ここでは、第1保持面232aと第2保持面234aとがなす角度が90°である場合を想定しているが、第1保持面232aと第2保持面234aとがなす角度が90°ではなくてもよい。この場合には、第1フィルムロールR1aの中心Cと、交点Xと、交点Yとを結んだ図形は、直角二等辺三角形ではなくなるが、第1フィルムロールR1aの中心Cと交点Xとを結んだ線分と、交点Xと交点Yとを結んだ線分とのなす角度等が分かれば、三角関数を利用して保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの高さ位置を計測できる。
【0133】
(4-3)変形例C
上記実施形態では、第1部材280は、上方から第1フィルムロールR1aの外周面に接触するが、これに限定されるものではない。例えば、第1部材280は、側方から(例えば後方から)第1フィルムロールR1aの外周面に接触するものであってもよい。この場合にも、上記実施形態と同様な方法を用いて、コントローラ290は、第1フィルムロールR1aの直径Dを計測できる。
【0134】
(4-4)変形例D
上記実施形態では、保持部230、右側押し部材240、及び左側押し部材250は、第3駆動部237により一体的に駆動されるが、これに限定されるものではない。例えば、保持部230、右側押し部材240、及び左側押し部材250は、それぞれ別の駆動部により駆動されてもよい。また、例えば、右側押し部材240及び左側押し部材250の一方と保持部230とは、第3駆動部237により駆動され、右側押し部材240及び左側押し部材250の他方は、第3駆動部237とは別の駆動部により駆動されてもよい。
【0135】
(4-5)変形例E
上記実施形態では、フィルムロール交換装置200は据付型の装置である。ただし、フ
ィルムロール交換装置200は、据付型に限定されるものではなく、例えば、車輪等の移動機構を有する自走式の装置であってもよい。
【0136】
(4-6)変形例F
上記実施形態では、コントローラ290が特許請求の範囲における第1計測部として機能し、変形例Bでは、コントローラ290が特許請求の範囲における第2計測部として機能する。ただし、これに限定されるものではなく、第1計測部又は第2計測部は、コントローラ290とは独立した構成であってもよい。
【0137】
(4-7)変形例G
上記実施形態では、コントローラ290は、第1フィルムロールR1aの直径を計測し、計測結果に基づいて、第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置調整を行う。ただし、これに限定されるものではなく、コントローラ290は、例えば、図示しない入力装置から入力される第1フィルムロールR1aの直径の値に基づいて、第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置調整を行ってもよい。
【0138】
(4-8)変形例H
フィルムロール交換装置200には、巻き芯回収機構270は設けられなくてもよい。ただし、自動で、支持軸114から第2フィルムロールR1bを取り外し、支持軸114に第1フィルムロールR1aを取り付ける場合には、第2フィルムロールR1b(使用済みのフィルムロールR1の巻き芯WC)を取り去る作業者の負担を減らすため、フィルムロール交換装置200に巻き芯回収機構270が設けられることが好ましい。
【0139】
(4-9)変形例I
巻き芯回収機構270が設けられず、保持部230の隙間230aから下方に使用済みのフィルムロールR1の巻き芯WCを落下させる必要が無い場合には、保持部230は、上記実施形態の第1保持部材232と第2保持部材234とが一体化されたV字形状の部材であってもよい。
【0140】
(4-10)変形例J
上記実施形態では、保持部230はV字形状の部材であるが、保持部230の形状はV字形状に限定されるものではない。例えば、保持部230は、前後方向における中央部に左右方向に延びる溝(フィルムロールR1が嵌まり込む溝)が形成されている平板状の部材であってもよい。
【0141】
(4-11)変形例K
上記実施形態では、フィルムロール交換装置200は、第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置の調整を行った後、製袋包装機3の支持軸114への第1フィルムロールR1aの取り付けも自動で行う。ただし、フィルムロール交換装置200は、支持軸114への第1フィルムロールR1aの取り付けを自動で行わない、第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置の調整だけを自動で行う装置であってもよい。この場合には、例えば、保持部230の左右方向の移動は、手動で行われてもよい。
【0142】
(4-12)変形例L
上記実施形態では、第1計測部としてのコントローラ290が第1フィルムロールR1aの直径Dを計測する。ただし、コントローラ290の記憶装置に、第1フィルムロールR1aの直径Dを記憶させてもよい。新品の第1フィルムロールR1aの直径Dが一定であれば、計測せずに、記憶装置が記憶した直径Dの高さ位置に基づいて、第2駆動部236の動作を制御して、保持部230の保持する第1フィルムロールR1aの中心の高さ位置が、製袋包装機3の支持軸114の中心の高さと一致する位置に、保持部230を移動させてもよい。また、記憶装置は複数のフィルムロールR1の直径Dを記憶してもよい。フィルムロールの種類に応じて保持部230の移動量を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、製袋包装機にフィルムロールを供給するフィルムロール供給装置として有用である。
【符号の説明】
【0144】
3 製袋包装機
114 支持軸
200 フィルムロール交換装置(フィルムロール供給装置)
230 保持部
232a 第1保持面
234a 第2保持面
236 第2駆動部(駆動部)
280 第1部材
282 第1部材駆動部(移動機構)
290 コントローラ(制御部、第1計測部、第2計測部)
R1 フィルムロール
R1a 第1フィルムロール
V 鉛直面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】
【特許文献1】特開2002-337817号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
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図13B
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図13D
図13E
図14
図15
図16