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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121011
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】夾雑物移送スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
E02B5/08 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107805
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2020132720の分割
【原出願日】2020-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢二
(72)【発明者】
【氏名】大原 利隆
(57)【要約】
【課題】上流側と下流側をつなぐ間隔を通過できずに上流側で該間隔を塞ぐ、液体に含まれていた夾雑物を、上流側で上方に向けて移送する夾雑物移送スクリーン装置に関し、固定スクリーン部材と可動スクリーン部材の間隔に関する工夫がなされた夾雑物移送スクリーン装置を提供する。
【解決手段】可動スクリーン部材621は、長手方向に間隔をあけ、隣合う固定スクリーン部材611に向けて突出した複数の間隔保持スペーサ6212が設けられたものであり、間隔保持スペーサ6212は、突出端部が可動スクリーン部材621に接触し、可動スクリーン部材621が循環動作を行うことで突出端部が固定スクリーン部材611に対して摺動するものである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側と下流側をつなぐ間隔を通過できずに該上流側で該間隔を塞ぐ、液体に含まれていた夾雑物を、該上流側で上方に向けて移送する夾雑物移送スクリーン装置において、
複数の固定スクリーン部材と、
隣合う前記固定スクリーン部材の間で該固定スクリーン部材と前記間隔をあけて配置され、循環動作を行うことで前記夾雑物を上方に移送する複数の可動スクリーン部材とを備え、
前記可動スクリーン部材は、長手方向に間隔をあけ、隣合う前記固定スクリーン部材に向けて突出した複数の間隔保持用スペーサが設けられたものであり、
前記間隔保持用スペーサは、突出端部が前記可動スクリーン部材に接触し、前記可動スクリーン部材が前記循環動作を行うことで該突出端部が前記固定スクリーン部材に対して摺動するものであることを特徴とする夾雑物移送スクリーン装置。
【請求項2】
前記可動スクリーン部材は、樹脂製のものであり、
前記間隔保持用スペーサは、前記可動スクリーン部材の樹脂よりも耐摩耗性が高い樹脂で形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【請求項3】
前記固定スクリーン部材は、前記間隔保持用スペーサよりも耐摩耗性が高いものであり、
前記間隔保持用スペーサは、交換可能なものであることを特徴とする請求項1又は2記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【請求項4】
前記可動スクリーン部材は、前記固定スクリーン部材よりも軽量であるが剛性は低いものであることを特徴とする請求項1記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側と下流側をつなぐ間隔を通過できずに該上流側で該間隔を塞ぐ、液体に含まれていた夾雑物を、該上流側で上方に向けて移送する夾雑物移送スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場からの廃液や、工業用水や農業用水といった処理水や、汚泥であったりスカム等を含んだ汚水から夾雑物を分離する装置として、回転するスクリーンを通して夾雑物と液体を分離するドラムスクリーン装置が知られている。このドラムスクリーン装置では、スクリーンが目詰まりしやすいといった欠点がある。
【0003】
そこで本願出願人は、特許文献1や特許文献2において、夾雑物移送スクリーン装置を提案している。この夾雑物移送スクリーン装置は、複数の固定スクリーン部材と、これら複数の固定スクリーン部材の間に配置された可動スクリーン部材とを備えている。固定スクリーン部材は、斜め上方に向かってそれぞれ延在し、最上部が水槽の水面から突出している。また、固定スクリーン部材は、複数の固定段部が延在方向に並んで設けられた階段状をしている。可動スクリーン部材も、斜め上方に向かって延在し、複数の可動段部が延在方向に並んで設けられた階段状をしている。可動スクリーン部材は、固定スクリーン部材に対して上方および下方に繰り返し移動することによって固定スクリーン部材の最上部に向けて夾雑物を移送するものである。特許文献1および特許文献2に記載された夾雑物移送スクリーン装置では、固定スクリーン部材と可動スクリーン部材の間隔を通過できずに捕捉された夾雑物によって、その間隔が埋まって目詰まりしても、可動スクリーン部材を移動させると捕捉された全ての夾雑物がすぐに移送され始めるので、目詰まりを素早く解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-114574号公報
【特許文献2】特開2015-017462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上説明した夾雑物移送スクリーン装置では、固定スクリーン部材と可動スクリーン部材の間隔が重要である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、固定スクリーン部材と可動スクリーン部材の間隔に関する工夫がなされた夾雑物移送スクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する夾雑物移送スクリーン装置は、
上流側と下流側をつなぐ間隔を通過できずに該上流側で該間隔を塞ぐ、液体に含まれていた夾雑物を、該上流側で上方に向けて移送する夾雑物移送スクリーン装置において、
複数の固定スクリーン部材と、
隣合う前記固定スクリーン部材の間で該固定スクリーン部材と前記間隔をあけて配置され、循環動作を行うことで前記夾雑物を上方に移送する複数の可動スクリーン部材とを備え、
前記可動スクリーン部材は、長手方向に間隔をあけ、隣合う前記固定スクリーン部材に向けて突出した複数の間隔保持用スペーサが設けられたものであり、
前記間隔保持用スペーサは、突出端部が前記可動スクリーン部材に接触し、前記可動スクリーン部材が前記循環動作を行うことで該突出端部が前記固定スクリーン部材に対して摺動するものであることを特徴とする。
【0008】
また、
前記可動スクリーン部材は、樹脂製のものであり、
前記間隔保持用スペーサは、前記可動スクリーン部材の樹脂よりも耐摩耗性が高い樹脂で形成されたものであることを特徴としてもよい。
【0009】
また、
前記固定スクリーン部材は、前記間隔保持用スペーサよりも耐摩耗性が高いものであり、
前記間隔保持用スペーサは、交換可能なものであることを特徴としてもよい。
【0010】
また、
前記可動スクリーン部材は、前記固定スクリーン部材よりも軽量であるが剛性は低いものであることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固定スクリーン部材と可動スクリーン部材の間隔に関する工夫がなされた夾雑物移送スクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】下水処理場の中の一部の施設を模式的に示す図である。
図2】本実施形態の生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置が設けられた生汚泥用スク リーンユニットの正面図である。
図3】生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の一部を示す分解斜視図である。
図4】固定スクリーン用位置規制部材によって位置が規制された固定スクリーン部 材と、可動スクリーン用位置規制部材によって位置が規制された可動スクリーン部材 を示す図である。
図5】(a)は固定スクリーン部材611を示す図であり、(b)および(c)は 可動スクリーン部材を示す図である。
図6】(a)は4つあるうちの1つの間隔保持用スペーサの周囲を断面した部分拡 大断面図であり、(b)は図3に示す可動フレームの変形例を示す図である。
図7】(a)は夾雑物除去スクリーン装置に設けられたスクリーン部材を水槽の上 流側から見た模式図であり、(b)は可動段部の循環動作を説明する図である。
図8】生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置によって夾雑物を上方へ移送する前半部 分の様子を段階的に示した図である。
図9図8に続く後半部分の様子を段階的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、下水処理場の中の一部の施設を模式的に示す図である。
【0015】
この図1には、沈殿池1と、生汚泥用スクリーンユニット2と、スカムピット3と、スカム用スクリーンユニット4が示されている。
【0016】
図1に示す沈殿池1は、長手方向の一端側(図1では左側)から、汚水(下水)を受け入れ、受け入れた汚水に含まれる汚泥を池底部に沈殿させ、他端側(図1では右側)から排水する。以下、図1における左方向を上流と称し、図1における右方向を下流と称する。この沈殿池1の上流側の池底部には、汚泥ピット11が設けられており、下流側の水面付近には排水樋12が設置されている。沈殿池1では、池底部に沈殿した汚泥を、不図示の汚泥掻寄機によって汚泥ピット11に集める。汚泥ピット11に集められた汚泥は、汚泥ポンプ13によって沈殿池1の外部に設置された生汚泥用スクリーンユニット2に送られる。汚泥ピット11に集められた汚泥には、し渣等の夾雑物が含まれている。以下、汚泥ピット11から生汚泥用スクリーンユニット2に送られる、汚泥を含んだ汚水を、生汚泥と称する。生汚泥用スクリーンユニット2には、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6が設けられている。詳しくは後述するように、この生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6によって、生汚泥に含まれている夾雑物を捕獲しその夾雑物を除去するために移送する。生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6によって夾雑物が取り除かれた生汚泥は、その後、汚泥濃縮処理設備や汚泥脱水処理設備に送られる。また、沈殿池1では、水面付近に浮いているスカムを、不図示のスカム掻寄機によって排水樋12まで掻き寄せる。排水樋12は、スカムピット3に接続しており、スカムを含んだ汚水(スカム水)は、スカムピット3に集められ、その後、スカムピット3からスカムポンプ31によって沈殿池1の外部に設置されたスカム用スクリーンユニット4に送られる。スカムピット3に集められたスカム水にも、し渣等の夾雑物が含まれている。スカム用スクリーンユニット4にはスカム用夾雑物移送スクリーン装置7が設けられている。このスカム用夾雑物移送スクリーン装置7によって、スカム水に含まれている夾雑物であるスカムを捕獲しその夾雑物を除去するために移送する。このスカム用夾雑物移送スクリーン装置7によってスカムが取り除かれた汚水は、下水処理場内に返水される。
【0017】
続いて、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6が設けられた生汚泥用スクリーンユニット2を例にあげて説明するが、スカム用夾雑物移送スクリーン装置7が設けられたスカム用スクリーンユニット4についても同様である。これら生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6およびスカム用夾雑物移送スクリーン装置7は、何れも夾雑物移送スクリーン装置の一例に相当する。
【0018】
図2は、本実施形態の生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置が設けられた生汚泥用スクリーンユニットの正面図である。
【0019】
図2示すように、生汚泥用スクリーンユニット2は、水槽5と、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6とを備えている。図2に示す生汚泥用スクリーンユニット2は、図の左側から生汚泥を受け入れる(図中の太い矢印参照)。以下、図2における左側を上流側と称し、右側を下流側と称する。また、図2において紙面に直交する方向を幅方向と称する。生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6は、詳しくは後述するスクリーン体60を備えている。図2では、スクリーン体60の上流側の面のみを太い破線で示している。
【0020】
図2に示す水槽5の上流側の側壁の下半分位には、底部5aに向かうほど下流側に傾斜した傾斜部51が設けられており、下流側の側壁の下半分位には、底部5aに向かうほど上流側に傾斜した傾斜部52が設けられている。したがって、水槽5は、底部5a側が狭くなった形状のものである。この水槽5は、図1に示す汚泥ピット11に集められた汚泥を、生汚泥として受け入れる受入槽である。水槽5の上流側には、流入管53が設けられている。生汚泥は、汚泥ポンプ13を駆動することによって流入管53に供給され、この流入管53の先端部531から水槽5内に流入し、下流側に向けて流れていく(図中の多数の細い矢印参照)。なお、流入管53の先端部531は、上方から見ると下流側に向かうにしたがって拡がった扇状に形成されている。また、生汚泥に含まれている、し渣等の夾雑物Xは、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6が備えているスクリーン体60に遮られ、スクリーン体60の上流側における水面付近に溜まった状態になっている。
【0021】
生汚泥用スクリーンユニット2には、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6におけるスクリーン体60よりも上流側に非常用オーバーフローユニット54が設けられている。また、スクリーン体60よりも下流側に排水用オーバーフローユニット55が設けられている。非常用オーバーフローユニット54も排水用オーバーフローユニット55も、排水枡541,551と、堰板542,552を有している。これらの排水枡541,551は、いずれも水槽5の幅方向外側に張り出すように設けられている。排水用オーバーフローユニット55の堰板552は、水槽5内と排水枡551内との境界部分に設けられ、水槽5内と排水枡551内は、堰板552よりも上の部分でつながっており、堰板552よりも下の部分ではつながっていない。水槽5の水位が、堰板552の上端の高さ位置を越えると、水槽5内の汚水は、堰板552を越えて、排水枡551内に流れ込む。ここにいう水槽5内の汚水は、スクリーン体60を通過した生汚泥、すなわち、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6によって夾雑物が除去された汚泥を含んだ汚水であり、この汚水は、後処理工程の設備である汚泥濃縮処理設備や汚泥脱水処理設備に送られる。このように、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6に設けられたスクリーン体60を通過した生汚泥は、排水用オーバーフローユニット55によって、生汚泥用スクリーンユニット2の外に排水される。
【0022】
非常用オーバーフローユニット54の構造も、排水用オーバーフローユニット55の構造と同じであるが、非常用オーバーフローユニット54は排水用オーバーフローユニット55よりも高い位置に設けられている。生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6が故障した場合など、水槽5の水位が通常の水位から上昇し、非常用オーバーフローユニット54の堰板542を越えると、非常用オーバーフローユニット54の排水枡541内に流れ込む。ここにいう水槽5内の生汚泥は、スクリーン体60を通過する前の生汚泥、すなわち、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6によって夾雑物が除去される前の汚泥を含んだ汚水であり、この汚水は、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の上流端に返水される。
【0023】
続いて、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6について説明する。生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6は、スクリーン体60と、ベースフレーム64と、駆動機構65と、制御部66と、シュート67を有する。ベースフレーム64の内部にスクリーン体60は配置されており、ベースフレーム64の上部は、取っ手6411の付いたフロントカバー641によって覆われている。このフロントカバー641は、ベースフレーム64に対して着脱自在なものである。ベースフレーム64は、ステンレス製のものであり、水槽5の縁に固定された一対の支持脚69に取り付けられている。なお、図2には一対の支持脚69のうちの一方が示されているが、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6を幅方向に挟んで他方の支持脚69が水槽5の反対側の縁に固定されている。ベースフレーム64と支持脚69は、回転軸69aによって回転可能に連結されており、不図示のボルトにより図2に示した角度で固定されている。
【0024】
駆動機構65は、モータ651とギヤボックス(不図示)とを備えている。ギヤボックスは、モータ651で発生した駆動力(回転力)と駆動方向(回転方向)を変換するものである。ギヤボックスには駆動軸652(図3参照)が連結されている。モータ651で発生した駆動力は、ギヤボックスを介して駆動軸652に伝達され、駆動軸652を回転させる力として作用する。モータ651はインバータモータであり、制御部66が、後述するリミットスイッチの信号を受けてモータ651の回転制御を行う。
【0025】
スクリーン体60は、下部が水槽5の上流側に位置し、上部が下流側に位置するように、傾斜した姿勢で水槽5内に配置されている。このスクリーン体60の最上部は、非常用オーバーフローユニット54の堰板542よりも上方に位置している。夾雑物はスクリーン体60によって捕捉され、詳しくは後述するようにスクリーン体60の長手方向に沿って最上部に向けて段階的に移送される。スクリーン体60の最上部に到達した夾雑物は、不図示のベルトコンベアでシュート67の投入口まで運搬される。シュート67は排出口671が生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の外に開口しており、夾雑物は、その排出口671から排出される。
【0026】
図3は、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の一部を示す分解斜視図である。この図3では、紙面右斜め手前側と紙面左斜め奥側を結ぶ方向が生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の幅方向になる。
【0027】
図3では、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6から図2に示すフロントカバー641および駆動機構65のモータ651が取り外されているが、スクリーン体60は示されている。スクリーン体60は、固定ユニット61と可動ユニット62で構成されている。
【0028】
固定ユニット61は、一対の固定スクリーン部材611を複数有するとともに、固定スクリーン部材611の位置を規制する固定スクリーン用位置規制部材612も有する。一方、可動ユニット62は、複数の可動スクリーン部材621と、可動スクリーン部材621の位置を規制する可動スクリーン用位置規制部材622と、可動スクリーン用位置規制部材622が取り付けられた一対の可動フレーム623を有する。一対の可動フレーム623はそれぞれ、ベースフレーム64の外側に配置されたステンレス製のものであり、図3の紙面手前側に一方の可動フレーム623は図示されているが、紙面奥側になる他方の可動フレームはベースフレーム64によって大部分が隠され一部しか見えていない。固定ユニット61には、この可動フレーム623のようなフレーム部材は設けられていない。可動フレーム623は、3角形状の金属プレートに2つの貫通孔6231、6232が設けられたものであり、2つの貫通孔6231、6232が設けられた分、軽量化されている。この結果、可動フレーム623を有する可動ユニット62が軽量化されていることになる。
【0029】
また、図3では、幅方向に複数設けられた可動スクリーン部材621のうちの1枚の可動スクリーン部材621しか図示されていない。さらに、図3には、複数の固定スクリーン部材611のうち、その可動スクリーン部材621の紙面奥に位置する1枚の固定スクリーン部材611に設けられたスペーサ受け部6112が示されている。
【0030】
また、図3には、駆動機構65の駆動軸652が図示されている。この駆動軸652は、回転プレート653の中心軸6531から偏心した位置に設けられたものである。図2に示すモータ651の回転力を受けて、駆動軸652は軸周りに回転する。この結果、駆動軸652を回転中心にして回転プレート653が回転運動を行う。回転プレート653は幅方向両側に設けられたものであって、中心軸6531は幅方向両側の回転プレート653を結ぶものである。すなわち、中心軸6531は幅方向に延在したものであり、回転プレート653とともに回転運動を行う。この中心軸6531の両端部分それぞれには可動フレーム623が固定されている。
【0031】
図4は、固定スクリーン用位置規制部材によって位置が規制された固定スクリーン部材と、可動スクリーン用位置規制部材によって位置が規制された可動スクリーン部材を示す図である。この図4でも、紙面右斜め手前側と紙面左斜め奥側を結ぶ方向が生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の幅方向になる。
【0032】
一対の固定スクリーン部材611の間に可動スクリーン部材621が位置し、固定スクリーン部材611と可動スクリーン部材621は、幅方向に所定間隔をあけて交互に配置されたものである。しかしながら、図4では、固定スクリーン用位置規制部材612と可動スクリーン用位置規制部材622それぞれが見えやすいように、一部のスクリーン部材しか示されていない。すなわち、幅方向一端側(右斜め手前側)の一部に数枚の固定スクリーン部材611と、数枚の可動スクリーン部材621を示すとともに、幅方向他端側(左斜め奥側)に1枚の可動スクリーン部材621を示し、幅方向中間部分では、固定スクリーン部材611も可動スクリーン部材621も図示省略してある。なお、この図4では、幅方向両端に可動スクリーン部材621が示されている。
【0033】
図4に示すように、可動スクリーン用位置規制部材622は、可動スクリーン部材621の長手方向の両側それぞれに設けられている。可動スクリーン用位置規制部材622には、長手方向に延在したスリット6221が幅方向に並んで設けられている。1つのスリット6221に1枚の可動スクリーン部材621が差し込まれ、間に固定スクリーン部材611が位置する状態で2枚の可動スクリーン部材621の間隔が、可動スクリーン部材621の長手方向両側それぞれの位置で一定間隔に維持されている。
【0034】
また、固定スクリーン用位置規制部材612は、固定スクリーン部材611の長手方向の両側それぞれに設けられている。固定スクリーン用位置規制部材612は、可動スクリーン用位置規制部材622よりも長手方向外側(上側又は下側)に設けられている。固定スクリーン用位置規制部材612にも、長手方向に延在したスリット6121が幅方向に並んで設けられている。1つのスリット6121に1枚の固定スクリーン部材611が差し込まれ、間に可動スクリーン部材621が位置する状態で隣合う固定スクリーン部材611の間隔が、固定スクリーン部材611の長手方向両側それぞれの位置で一定間隔に維持されている。
【0035】
以上説明した可動スクリーン用位置規制部材622および固定スクリーン用位置規制部材612によって、固定スクリーン部材611と可動スクリーン部材621の幅方向の間隔は所定間隔に維持される。所定間隔は、捕捉したい夾雑物の大きさによって決まるが、例えば、1mm以下であったり、1mm以上3mm以下の間隔であったり、2mm以上6mm以下の間隔であったりする。
【0036】
図3に示すベースフレーム64の幅方向両側の側壁に架け渡されるように固定スクリーン用位置規制部材612がベースフレーム64に固定されている。
【0037】
また、幅方向両側それぞれ設けられた図3に示す可動フレーム623に架け渡されるように可動スクリーン用位置規制部材622が可動フレーム623に固定されている。そして、上述のごとく、幅方向に延在した中心軸6531の両端それぞれには可動フレーム623が固定されていることから、駆動軸652が回転すると、可動フレーム623、可動スクリーン用位置規制部材622、およびそのスリット6221に差し込まれた可動スクリーン部材621は、駆動軸652の回転に合わせて循環動作を行う。
【0038】
図5(a)は、固定スクリーン部材611を示す図である。固定スクリーン部材611は厚さ1.5mmのステンレス製の部材であり、長手方向に2mほど延在したものである。また、高さ方向の長さは100mm程度である。
【0039】
固定スクリーン部材611には、複数の固定段部6111が長手方向に連続して設けられ、階段状になっている。固定段部6111は、固定段差部fgと固定載置部fsで構成されている。また、固定スクリーン部材611の長手方向の両側それぞれには取付片6113が設けられている。これらの取付片6113は、図4に示す固定スクリーン用位置規制部材612のスリット6121に差し込まれ、固定スクリーン用位置規制部材612を、長手方向で挟み込むものである。さらに、長手方向一端側(図の左斜め下側)の取付片6113と、長手方向他端側(図の右斜め上側)の取付片6113の間には、2つのスペーサ受け部6112が長手方向に間隔をあけて設けられている。長手方向一端側の取付片6113と、長手方向一端側のスペーサ受け部6112と、長手方向他端側のスペーサ受け部6112と、長手方向他端側の取付片6113は、等間隔に位置し、取付片6113は高さ方向下側に突出したものであり、スペーサ受け部6112も高さ方向下側に突出したものである。
【0040】
図5(a)に示す固定スクリーン部材611には、軽量化を目的とした切り欠きや貫通孔は設けられていない。
【0041】
図5(b)および同図(c)は、可動スクリーン部材を示す図である。
【0042】
可動スクリーン部材621には、形状が異なる2種類のものがある。形状が異なることで質量も異なり、両者を区別する場合には、図5(b)に示す可動スクリーン部材を通常可動スクリーン部材621Nと称し、図5(c)に示す可動スクリーン部材を軽量化可動スクリーン部材621Lと称する。
【0043】
図5(b)に示す通常可動スクリーン部材621Nにしても同図(c)に示す軽量化可動スクリーン部材621Lにしても、複数の可動段部6211が長手方向に連続して設けられ、階段状になっている。可動段部6211は、可動段差部mgと可動載置部msで構成されている。また、通常可動スクリーン部材621Nおよび軽量化可動スクリーン部材621Lはいずれも、図5(a)に示す固定スクリーン部材611と同じく、厚さ1.5mmのステンレス製の部材であり、長手方向に2mほど延在したものである。また、高さ方向の長さは100mm程度である。すなわち、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611と同じ厚さかつ同じ長さであって、同じ高さである。なお、厚さ、長さ、高さは、完全に同じである必要はなくほぼ同じであればよい。ただし、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611の固定段部6111の数と同じ数の可動段部6211を有するものである。また、可動段差部mgの長さ(高さ)は、固定段差部fgの長さ(高さ)と同じであり、可動載置部msの長さ(奥行)は、固定載置部fsの長さ(奥行)と同じである。
【0044】
図5(c)に示す軽量化可動スクリーン部材621Lは、同図(b)に示す通常可動スクリーン部材621Nに切り欠きCUを設けたものであり、切り欠かれた分、通常可動スクリーン部材621Nよりも軽量化されている。この軽量化可動スクリーン部材621Lは、図5(a)に示す固定スクリーン部材611よりも大きな切り欠きCUが設けられたものである。
【0045】
通常可動スクリーン部材621Nと軽量化可動スクリーン部材621Lは、交互に配置されている。すなわち、通常可動スクリーン部材621N、固定スクリーン部材611、軽量化可動スクリーン部材621L、固定スクリーン部材611、通常可動スクリーン部材621N・・・といった順番で幅方向に並べて配置されている。なお、幅方向両端の可動スクリーン部材を通常可動スクリーン部材621Nにして、残りの可動スクリーン部材を軽量化可動スクリーン部材621Lにしてもよい。
【0046】
また、通常可動スクリーン部材621Nの枚数と軽量化可動スクリーン部材621Lの枚数は同じ枚数であってもよいし、軽量化可動スクリーン部材621Lの枚数の方が、通常可動スクリーン部材621Nの枚数よりも多くてもよい。
【0047】
こうした軽量化可動スクリーン部材621Lによる軽量化によって、可動ユニット62に設けられた可動スクリーン部材621の総質量が、固定ユニット61に設けられた固定スクリーン部材611の総質量よりも軽いものになり、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6を低動力で駆動することができるようになる。
【0048】
なお、図5(b)に示す通常可動スクリーン部材621Nと同じ形状にして、材質を、ステンレスよりも比重の軽い材料にしたものを軽量化可動スクリーン部材として用いてもよい。比重の軽い材質としては、様々な樹脂材料があげられるが、比重が軽く強度が高いものとしては、繊維強化プラスチック(FRP)や、ポリアセタール樹脂があげられる。また、チタン等の比重の軽い金属であってもよいし、カーボンファイバであってもよい。
【0049】
また、切り欠きCUではなく、通常可動スクリーン部材621Nに貫通孔を設けて軽量化してもよい。例えば、通常可動スクリーン部材621Nにパンチングメタルの加工を施したものを軽量化可動スクリーン部材として用いてもよい。あるいは、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611と同じ厚さかつ同じ長さであって、同じ高さであったが、同じ材質のまま、可動スクリーン部材621の厚さを固定スクリーン部材611の厚さよりも薄くすることで軽量化可動スクリーン部材としてもよい。例えば、厚さ1.5mmの固定スクリーン部材611に対して、厚さ1.0mmの可動スクリーン部材621にしてもよい。あるいは、可動スクリーン部材621の長さを固定スクリーン部材611の長さよりも短くすることで軽量化可動スクリーン部材としてもよいし、可動スクリーン部材621の高さを固定スクリーン部材611の高さよりも低くすることで軽量化可動スクリーン部材としてもよい。
【0050】
以上説明した種々の軽量化方法を、適宜組み合わせて軽量化可動スクリーン部材としてもよい。例えば、可動スクリーン部材621を樹脂製にして切り欠きCUを設けてもよい。複数の軽量化方法を組み合わせることで軽量化がさらに進む。軽量化可動スクリーン部材621Lの枚数は、通常可動スクリーン部材621Nの枚数以上であってもよいが、この場合には、通常可動スクリーン部材621Nの枚数未満であってもよい。
【0051】
さらには、可動ユニット62が有する可動スクリーン部材621を総て、これまで説明した軽量化可動スクリーン部材にしてもよい。この場合、軽量化方法が異なる軽量化可動スクリーン部材を混ぜて用いてもよい。例えば、材質の異なる軽量化可動スクリーン部材を用いてもよい。より具体的には、樹脂製の軽量化可動スクリーン部材、固定スクリーン部材611、チタン製の軽量化可動スクリーン部材、固定スクリーン部材611、樹脂製の軽量化可動スクリーン部材・・・といった順番で幅方向に並べて配置してもよい。あるいは、形状の異なる軽量化可動スクリーン部材を用いてもよい。より具体的には、図5(b)に示す通常可動スクリーン部材621Nと同じ形状で樹脂製の軽量化可動スクリーン部材、固定スクリーン部材611、図5(c)に示す軽量化可動スクリーン部材621L、固定スクリーン部材611、樹脂製の軽量化可動スクリーン部材・・・といった順番で幅方向に並べて配置してもよい。
【0052】
また、可動スクリーン部材621にも、長手方向両側それぞれに取付片6213が設けられている。これらの取付片6213は、図4に示す可動スクリーン用位置規制部材622のスリット6221に差し込まれ、可動スクリーン用位置規制部材622を、長手方向で挟み込むものである。
【0053】
さらに、可動スクリーン部材621には、長手方向に間隔をあけた4箇所に、厚さ方向両側に突出した間隔保持用スペーサ6212が設けられている。図5(c)に示す軽量化可動スクリーン部材621Lでは、2つの取付片6213の間に設けられた間隔保持用スペーサ6212の周囲を残すようにして切り欠きCUが設けられている。間隔保持用スペーサ6212は、隣合う固定スクリーン部材611に向けて突出したものである。すなわち、取付片6213よりも長手方向一端側に設けられた間隔保持用スペーサ6212は、固定スクリーン部材611の長手方向一端側に設けられた取付片6113の付け根辺りに向けて突出している。また、その間隔保持用スペーサ6212の隣の間隔保持用スペーサ6212は、固定スクリーン部材611の長手方向一端側のスペーサ受け部6112に向けて突出している。一方、取付片6213よりも長手方向他端側に設けられた間隔保持用スペーサ6212は、固定スクリーン部材611の長手方向他端側に設けられた取付片6113の付け根辺りに突出している。また、その間隔保持用スペーサ6212の隣の間隔保持用スペーサ6212は、固定スクリーン部材611の長手方向他端側のスペーサ受け部6112に向けて突出している。可動スクリーン部材621が循環動作を行うことで、各間隔保持用スペーサ6212は、固定スクリーン部材611に向けて突出した位置で、環状の軌跡で固定スクリーン部材611に対して摺動する。図5(a)に示す固定スクリーン部材611には、灰色の線でその軌跡が示されている。間隔保持用スペーサ6212は、耐摩耗性の樹脂で形成されたものである。例えば、可動スクリーン部材621が樹脂製である場合には、可動スクリーン部材621の樹脂よりも耐摩耗性が高い樹脂で形成されたものである。
【0054】
図6(a)は、4つあるうちの1つの間隔保持用スペーサの周囲を断面した部分拡大断面図である。
【0055】
上方と下方それぞれに示されたクロスハッチングが施された部材は固定スクリーン部材611であり、その間に示された左下がりのハッチングが施された部材が可動スクリーン部材621である。間隔保持用スペーサ6212は、雄部mpと雌部fpが組み合わさったものである。雄部mpは、半球状の頭部mp1と、その頭部mp1から延在した脚部mp2と、脚部mp2の先端に設けられた係止部mp3を有する。脚部mp2は、可動スクリーン部材621の厚さ以上の長さである。この脚部mp2が、可動スクリーン部材621に設けられた取付孔621hに差し込まれ、可動スクリーン部材621を貫通している。雌部fpは、雄部mpの係止部mp3が入り込む係止穴fp1を有する半球状のものである。雌部fpの係止穴fp1を画定する縁部と、雄部mpの係止部mp3は、係止穴fp1に係止部mp3を入れ込む際に互いに弾性変形し、係止穴fp1に係止部mp3が入り込んだ後は、係止穴fp1の縁部と係止部mp3が係止することで、間隔保持用スペーサ6212は可動スクリーン部材621に固定される。雄部mpにおける頭部mp1は上方に示す固定スクリーン部材611に接触し、この間隔保持用スペーサ6212が取り付けられた可動スクリーン部材621と上方に示す固定スクリーン部材611との間隔が所定間隔Wに維持される。また、雌部fpは、下方に示す固定スクリーン部材611に接触し、この間隔保持用スペーサ6212が取り付けられた可動スクリーン部材621と下方に示す固定スクリーン部材611との間隔も所定間隔Wに維持される。
【0056】
また、間隔保持用スペーサ6212によって可動スクリーン部材621は補強される。特に、樹脂製の可動スクリーン部材や、厚さが薄い可動スクリーン部材に対しては間隔保持用スペーサ6212による補強は有効である。
【0057】
固定スクリーン部材611の方が、間隔保持用スペーサ6212よりも耐摩耗性が高く、間隔保持用スペーサ6212は交換可能である。なお、可動スクリーン部材621にネジ孔を設け、間隔保持用スペーサ6212をそのネジ孔に螺合させてもよく、この場合には間隔保持用スペーサ6212を、耐摩耗性がより高い金属製のものにすることができる。
【0058】
また、雄部mpの頭部mp1や雌部fpの形状は、半球状の形状以外に、固定スクリーン部材611に点接触や線接触する形状であってもよく、曲面で構成された形状であってもよいし、平面が組み合わされた形状であってもよい。
【0059】
なお、可動スクリーン部材621および/または固定スクリーン部材611に、長手方向に張力をかけて配置しておくことは、スクリーン部材の撓みを防止することができ、可動スクリーン部材621と固定スクリーン部材611との間隔を所定間隔Wに維持する場合にも有効である。
【0060】
図6(b)は、図3に示す可動フレームの変形例を示す図である。
【0061】
図3に示す可動フレーム623は2つの貫通孔が設けられたものであったが、この変形例における可動フレーム623’は、図3に示す中心軸6531が取り付けられる孔653hの他、貫通孔6233が一つ設けられているとともに、切り欠き6234も1箇所設けられている。図6(b)に示す可動フレーム623’は、貫通孔6233と切り欠き6234によって軽量化されている。なお、可動フレーム623にパンチングメタルの加工を施して軽量化してもよい。あるいは、比重の軽い材料に変更して軽量化してもよい。さらには、これらの軽量化方法を組み合わせてより軽量化してもよい。
【0062】
続いて、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の駆動について説明する。
【0063】
図7(a)は、夾雑物除去スクリーン装置に設けられたスクリーン部材を水槽の上流側から見た模式図である。
【0064】
この図7(a)に示すように、固定スクリーン部材611と可動スクリーン部材621は、水槽5の幅全体にわたって所定間隔Wをあけて交互に配置されている。なお、図7(a)では、図面を簡略するために幅方向中央部分のスクリーン部材を省略している。所定間隔Wは、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6を通過する生汚泥の流量と装置の大きさのバランスから設定された、上流側と下流側をつなぐ間隔であり、例えば、2mm以上6mm以下の間隔である。この図7(a)では、固定段部6111および可動段部6211をわかりやすく示すため、固定スクリーン部材611の厚さと可動スクリーン部材621の厚さを相当誇張して示している。固定スクリーン部材611も可動スクリーン部材621も厚さは1.5mmであり、所定間隔Wが2mm以上6mm以下の場合には、その所定間隔Wよりも薄いものである。
【0065】
固定スクリーン部材611は、下端が水槽5の底部5aよりも上方に位置した状態で固定されたものである。一方、可動スクリーン部材621は、一対の固定スクリーン部材611の間で上下動するものである。図6に示す可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611よりも上方に位置している。この結果、固定段部6111と可動段部6211は高さ方向にずれており両者は高さ方向で揃っていない。すなわち、固定載置部fsと可動載置部msの高さ位置がずれている。
【0066】
図7(b)は、可動段部の循環動作を説明する図である。
【0067】
上述のごとく、幅方向に延在した中心軸6531の両端それぞれには可動フレーム623が固定されていることから、駆動軸652が回転すると、可動スクリーン部材621は、駆動軸652の回転に合わせて循環動作を行う。図7(b)に示す2点鎖線は、可動スクリーン部材621が循環動作を行う際の、可動載置部msの上流端mstの軌跡rを示すものである。この軌跡rは、上下方向に隣合う可動載置部msの上流端mstを結んだ直線を直径とした円の軌跡になる。例えば、1段目の可動段部6211における可動載置部msの上流端mstと2段目の可動段部6211における可動載置部msの上流端mstを結んだ直線を直径とした円の軌跡になる。
【0068】
図8は、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置によって夾雑物を上方へ移送する前半部分の様子を段階的に示した図であり、図9は、図8に続く後半部分の様子を段階的に示した図である。
【0069】
図8及び図9の上方には、固定スクリーン部材611と可動スクリーン部材621を幅方向(側方)から表した模式図が左から右に向かって段階的に示されている(図8(a-1)~図8(a-4), 図9(a-5)~図9(a-8))。加えて、図8(a-1)~図8(a-4)及び図9(a-5)~図9(a-8)の各図には、軸周りに回転する駆動軸652と、その駆動軸652を回転中心にして回転動作を行う回転プレート653と、可動スクリーン部材621を循環動作させる中心軸6531も図示されている。中心軸6531は、各図に矢印で記すように、駆動軸652の周りを時計回りに回転する。この中心軸6531の回転角度が参考になる。
【0070】
また、図8(a-1)~図8(a-4)及び図9(a-5)~図9(a-7)の各図の下方には、固定スクリーン部材611と可動スクリーン部材621とで段数を揃えた特定の固定段部における固定載置部(ここでは下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2)と特定の可動段部における可動載置部(ここでは下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2)を真上から表した模式図が示されている(図8(b-1)~図8(b-4), 図9(b-5)~図9(b-7))。さらに、図9(a-8)の下方には、上記特定の固定段部における固定載置部(ここでは下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2)と、上記特定の可動段部よりも一段下の可動段部における可動載置部(ここでは最下段になる1段目の可動段部6211における可動載置部ms_1)を真上から表した模式図が示されている(図9(b-8))。下方に示す真上から表した模式図では、図7(a)と同じく、固定スクリーン部材611の厚さと可動スクリーン部材621の厚さを相当誇張して示している。また、下方に示した模式図では、可動段部を灰色で示している。上方に示された図と下方に示された図は1対1の関係で対応している。
【0071】
上方に示す幅方向から表した模式図では、生汚泥は、白抜きの矢印が示すように、図の左側から流れ込んできて、右側に向かって流れる。したがって、図の左側が上流側になり、右側が下流側になる。一方、下方に示す真上から表した模式図では、生汚泥は、白抜きの矢印が示すように、図の上側から流れ込んできて、下側に向かって流れる。したがって、図の上側が上流側になり、下側が下流側になる。
【0072】
図8(a-1)に示す可動スクリーン部材621の状態は、図7に示す可動スクリーン部材621の状態と同じであって、図8(a-1)に示すように、可動スクリーン部材621は固定スクリーン部材611よりも上方に位置している。したがって、同じ段数の固定段部6111と可動段部6211を比較すると、可動段部6211の方が高い位置にある。例えば、最下段になる1段目の固定段部6111における固定載置部fs_1と下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2の間に、最下段になる1段目の可動段部6211における可動載置部ms_1が位置している。
【0073】
また、図8(a-1)に示すように、可動スクリーン部材621は固定スクリーン部材611よりも下流側に位置している。すなわち、位置が固定されている固定スクリーン部材611の方が、相対的に上流側に位置しており、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611よりも下流側に後退した後退状態にある。高さ位置が異なる下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2と同じく下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2の関係も、図8(b-1)に示すように、可動載置部ms_2の方が下流側に位置している。
【0074】
図8(a-1)には、固定スクリーン部材611の固定載置部fsに、棒状の夾雑物X1が横になった状態で捕獲されている様子が模式的に示されている。固定スクリーン部材611の厚さは1.5mmであることから、実際には、複数の固定スクリーン部材611の固定載置部fsにわたって、棒状の夾雑物X1が横になった状態で載置されている。また、下流側へ後退した可動スクリーン部材621の可動載置部msに、紐状の夾雑物X2が入り込み捕獲されている様子も模式的に示されている。可動スクリーン部材621の厚さも1.5mmであり、紐状の夾雑物X2であることから、実際には、可動載置部ms、その横の固定載置部fs、またその横の可動載置部ms・・・といったように複数の載置部に引っ掛かるように捕捉されている。
【0075】
可動スクリーン部材621は、図2に示すモータ651が回転することによって行われる図3に示す駆動軸652の回転にしたがって循環動作を行う。すなわち、可動スクリーン部材621が、一対の固定スクリーン部材611,611の間で一対の固定スクリーン部材611,611よりも上流側に進出した進出状態と一対の固定スクリーン部材611,611よりも下流側に後退した後退状態とを交互に繰り返す動作を行う。
【0076】
図8(a-1)に示す可動スクリーン部材621は、下方へ向かうとともに下流側にも移動する。その結果、図8(a-2)に示すように、可動スクリーン部材621は、循環動作の中で下流側に最も後退した状態になる。この状態では、図8(a-2)に示すように、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611と同じ高さ位置まで下降している。また、図8(b-2)に示すように、下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2と、同じく下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2の関係も、可動載置部ms_2の方が下流側に後退している。
【0077】
最も後退した状態になった可動スクリーン部材621は、循環動作を継続し、下方へ向かい続ける一方、上流側へ向けての移動を開始する。その結果、図8(a-3)に示すように、可動スクリーン部材621は、循環動作の中で最も下方へ移動した状態になる。この状態では、図8(a-3)に示すように、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611よりも下方に位置している。
【0078】
最も下方へ移動した状態になった可動スクリーン部材621は、さらに循環動作を継続し、上流側へ向かい続ける一方、上方へ向けての移動を開始する。その結果、図8(a-4)に示すように、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611と同じ高さ位置まで上昇し、幅方向から見ると、可動スクリーン部材621は固定スクリーン部材611に重なり、同じ段数で固定段部6111と可動段部6211が揃う。例えば、下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2と、下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2が揃う。複数の固定載置部fsに載置されていた棒状の夾雑物X1は、これらの固定載置部fsの間に位置する可動載置部msにも載置された状態になる。また、図8(b-4)にも示すように、下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2は、同じく下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2に進退方向(上下流方向)において揃っており、可動スクリーン部材621全体で見た場合にも、図8(a-4)に示す可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611よりも上流側に進出することもなく下流側に後退もしておらず、固定スクリーン部材611に進退方向(上下流方向)において揃った並列状態にある。以下、同じ段数で固定段部6111と可動段部6211が揃った並列状態のことを、段数が一致した並列状態という。
【0079】
可動スクリーン部材621は、図8(a-4)に示す段数が一致した並列状態になった時点から移動速度を上げる。回転プレート653には、段数が一致した並列状態になったときの中心軸6531(図8(a-4)に示す中心軸6531)を検知する第1リミットスイッチ(不図示)が設けられている。制御部66は、第1リミットスイッチからの検知信号を受けてインバータを制御し、モータ651の回転速度を速める。すなわち、可動スクリーン部材621が段数が一致した並列状態になると、モータ651の回転速度が速められる。図8(a-4)に示す可動スクリーン部材621は、移動速度を速めて、上方かつ上流側に向けてさらに移動する。こうした可動スクリーン部材621の駆動を通常駆動と称し、それまでの駆動を低速駆動と称する。
【0080】
通常駆動によって、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611よりも上流側に進出し始め、進出状態になる(図9(a-5))。また、図9(b-5)に示すように、下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2と、同じく下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2の関係も、可動載置部ms_2の方が上流側に進出している。
【0081】
さらに、進出状態になった可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611よりも上方に位置している。すなわち、同じ段数の固定段部6111と可動段部6211を比較すると、可動段部6211の方が高い位置にある。例えば、下から2段目の固定段部における固定載置部fs_2よりも下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2の方が高い位置にある。また、図9(a-5)に示す、固定段部6111よりも上流側に進出した可動段部6211には、水面付近に浮かんでいた塊状の夾雑物X3が捕捉されている。紐状の夾雑物X2も塊状の夾雑物X3も、可動段部6211によって上方へ向けて移送される。
【0082】
上方かつ上流側に向けて通常駆動によってさらに循環動作が継続されると、図9(a-6)に示すように、可動スクリーン部材621は、循環動作の中で上流側に最も進出した状態になる。また、図9(b-6)に示すように、下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2と、同じく下から2段目の可動段部6211における可動載置部ms_2の関係も、可動載置部ms_2の方が上流側に進出している。
【0083】
最も進出した状態になった可動スクリーン部材621は、循環動作を継続し、上方へ向かい続ける一方、下流側へ向けての移動を開始する。その結果、図9(a-7)に示すように、可動スクリーン部材621は、循環動作の中で最も上方へ移動した状態になる。
【0084】
最も上方へ移動した状態になった可動スクリーン部材621は、循環動作を継続し、図9(a-8)に示すように、可動スクリーン部材621は、固定スクリーン部材611に進退方向において揃った並列状態に再びなる。ただし、図9(a-8)に示す並列状態では、固定段部6111は、一段上の可動段部6211の高さ位置まで上昇している。例えば、1段目の可動段部6211の高さ位置は2段目の固定段部6111の高さ位置に一致している。図9(b-8)に示すように、下から2段目の固定段部6111における固定載置部fs_2と、その固定載置部fs_2に高さ方向で一致した、最下段になる1段目の可動段部6211における可動載置部ms_1は、進退方向(上下流方向)において揃っている。以下、可動段部6211が一段上の固定段部6111に揃った並列状態のことを、一段上がった並列状態という。
【0085】
複数の可動載置部msに載置されて上方へ移送されたきた棒状の夾雑物X1は、1段上の固定載置部fsにも載置された状態になる。また、紐状の夾雑物X2も、1段上の固定載置部fsにも引っ掛かった状態になり、塊状の夾雑物X3も、1段上の固定載置部fsにも載置された状態になる。可動スクリーン部材621は、下方かつ下流側へ向けてさらに移動を継続するが、可動スクリーン部材621が移動しても、棒状の夾雑物X1も、紐状の夾雑物X2も、塊状の夾雑物X3も、1段上の固定載置部fsに留まり、1段上の固定段部6111(固定載置部fs)へ移送されたことになる。
【0086】
可動スクリーン部材621は、図9(a-8)に示す一段上がった並列状態になった時点から移動速度が低下する。回転プレート653には、一段上がった並列状態になったときの中心軸6531(図8(a-8)に示す中心軸6531)を検知する第2リミットスイッチ(不図示)も設けられている。制御部66は、第2リミットスイッチからの検知信号を受けてインバータを制御し、モータ651の回転速度を低下させる。すなわち、可動スクリーン部材621が一段上がった並列状態になると、モータ651の回転速度が低下し、通常駆動から低速駆動に切り替えられる。図9(a-8)に示す可動スクリーン部材621は、低速駆動によって、下方かつ下流側へ向けてさらに移動する。その結果、図9(a-8)に示す可動スクリーン部材621は、図8(a-1)に示す可動スクリーン部材621と同じ状態に戻り、可動スクリーン部材621の循環動作が1巡する。
【0087】
夾雑物X1~X3は、以上説明したようにして固定段部6111(固定載置部fs)を一段一段上方へ移送され、最終的には、固定スクリーン部材611の最上段の固定段部6111(固定載置部fs)に到達する。すなわち、夾雑物X1~X3は固定スクリーン部材611の長手方向に沿って段階的に移送される。最上段の固定段部6111(固定載置部fs)まで到達した夾雑物X1~X3は、上述のごとく、不図示のベルトコンベアで図2に示すシュート67の投入口まで運搬され、シュート67の排出口671から生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6の外に排出される。
【0088】
本実施形態では、可動スクリーン部材621は停止することなく循環動作を継続する。この循環動作のうち、可動スクリーン部材621が後退状態にある期間は、移送速度が相対的に低速である低速駆動であり、可動スクリーン部材621が進出状態にある期間は、移送速度が相対的に高速である通常駆動である。受け入れた生汚泥には、流木のかけら等の硬い夾雑物が含まれていることがあり、このような硬い夾雑物が可動スクリーン部材621に当たると、ギヤボックス等の駆動機構65(図2参照)がその衝撃で破損してしまう恐れがある。しかしながら、本実施形態の生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6では、可動スクリーン部材621が固定スクリーン部材611よりも下流側にある期間を相対的に長くとることができ、流れ込んできた硬い夾雑物が可動スクリーン部材621に当たる危険性が減り、結果として、駆動機構65が破損する恐れが低減される。
【0089】
また、可動スクリーン部材621の保護にもなる。すなわち、硬い夾雑物を、固定スクリーン部材611で受け止める回数が多くなり、可動スクリーン部材621で受け止める回数が減って、可動スクリーン部材621が摩耗したり変形したり破損してしまう恐れも低減される。例えば、図8(a-1)に示す状態では、紐状の夾雑物X2は、やわらかいことにより変形して可動スクリーン部材621にも当たるが、やわらかいことから問題はなく、棒状の夾雑物X1は、固定スクリーン部材611で受け止められ、可動スクリーン部材621に当たることはない。可動スクリーン部材621は、循環動作を行うことでそもそも摩耗しやすく、可動スクリーン部材621をなるべく保護する必要がある。これに加えて、可動スクリーン部材621が軽量化可動スクリーン部材621Lである場合には、可動スクリーン部材621よりも軽量化可動スクリーン部材621Lの方が強度が低いことが多く、特に有効である。例えば、金属製の可動スクリーン部材621に対して、樹脂製の軽量化可動スクリーン部材621Lを用いた場合等である。
【0090】
なお、低速駆動と通常駆動との切り替えは、可動スクリーン部材621の並列状態を検知するリミットスイッチからの検知信号に基づいてインバータ制御により行っているが、モータ651としてステッピングモータを用い、可動スクリーン部材621の上記基準位置からのステップ数に基づきステッピングモータの回転速度を制御することで行うようにしてもよい。
【0091】
また、可動スクリーン部材621が後退状態(図9(a-8)を超えた状態から図8(a-4)になるまでの状態)にある期間の中で所定期間停止する態様であってもよい。この態様では、制御部66が、第2リミットスイッチからの検知信号を受けてから所定時間経過後にモータ651の回転を所定期間停止させてもよいし、可動スクリーン部材621が所定の位置に到達したときの中心軸6531を検知する第3リミットスイッチを設けておきその第3リミットスイッチの検知信号を受信するとモータ651の回転を所定期間停止させてもよい。この所定の位置について、以下、詳細に説明する。
【0092】
可動スクリーン部材621を所定期間停止する停止位置は、可動スクリーン部材621が下流側に最も後退した位置(図8(a-2))であってもよい。この位置で停止した場合は、硬い夾雑物が停止した可動スクリーン部材621に当たる危険性をより低下させることができる。ただし、長時間停止した場合には、固定段部6111に対して可動段部6211が下流側に後退していることで生じる、固定段部6111と可動段部6211の間の窪み(下流側へ窪んだ窪み)が奥深いことから、この窪みに夾雑物が集積してしまうことも考えられ、短時間の停止の方が好ましい。
【0093】
また、停止位置は、可動スクリーン部材621が一段上がった並列状態になってから下流側に移動した位置であってもよい。すなわち、可動スクリーン部材621が図9(a-8)の位置から図8(a-1)の位置になるまでの間の位置であってもよい。この位置で停止した場合、可動スクリーン部材621が移動を開始する際に、位置エネルギを利用した初動が可能になる。さらに、停止位置は、可動スクリーン部材621が一段上がった並列状態になった直後の位置であることが好ましい。すなわち、図9(a-8)の位置寄りであることが好ましい。こうすることで、より多くの位置エネルギを利用することができる。言い換えれば、停止した状態から下方に向けて移動する距離が長くなればなるほど可動スクリーン部材621に勢いがつき好ましい。また、固定段部6111と可動段部6211の間の上記窪みが浅く、この窪みに夾雑物が集積することが低減され、好ましい。
【0094】
あるいは、停止位置は、可動スクリーン部材621が最も下がった位置から上方に移動した位置であってもよい。すなわち、可動スクリーン部材621が図8(a-3)の位置から同図(a-4)の位置になるまでの間の位置であってもよい。この位置で停止した場合、可動スクリーン部材621が移動を開始すると、夾雑物の上方への移送を早いタイミングで開始することができる。さらに、停止位置は、可動スクリーン部材621が段数が一致した並列状態になる直前の位置であることが好ましい。すなわち、図8(a-4)の位置寄りであることが好ましい。こうすることで、夾雑物の上方への移送をより早いタイミングで開始することができる。またここでも、固定段部6111と可動段部6211の間の上記窪みが浅くなり、この窪みに夾雑物が集積することが低減され、好ましい。
【0095】
以上説明した停止位置は、可動スクリーン部材621のホームポジションに相当する。
【0096】
ホームポジションで停止した可動スクリーン部材は、移動を開始し循環動作を行っている間は定速(通常駆動)で移動する。こうすることで、可動スクリーン部材621が固定スクリーン部材611よりも下流側にある期間を相対的に長くとることができ、硬い夾雑物が当たる危険性が減り、駆動機構65や可動スクリーン部材621が破損する恐れが低減される。なお、可動スクリーン部材621を所定期間停止させる場合であっても、循環動作を行っている間は、図8を用いて説明したように通常駆動と低速駆動を組み合わせるようにしてもよい。
【0097】
また、可動スクリーン部材621は、水槽5に生汚泥等の処理液を受け入れている間(液体が流入してきている間)は循環動作を繰り返し実行し、処理液の受け入れを停止(液体の流入が終了)した以降にホームポジションで停止するものであってもよい。あるいは、可動スクリーン部材621は、循環動作を所定回数行うとホームポジションで停止するものであってもよいし、循環動作を所定時間行うとホームポジションで停止するものであってもよいし、1回の循環動作を行うにあたりホームポジションで必ず停止するものであってもよい。
【0098】
また、本実施形態では、可動スクリーン部材621は、最大後退状態(図8(a-2))、段数が一致した並列状態(図8(a-4))、最大進出状態(図9(a-6))、一段上がった並列状態(図9(a-8))、最大後退状態(図8(a-2))・・・といった循環動作を繰り替えし行うが、最大後退状態(図8(a-2))、一段上がった並列状態(図9(a-8))、最大進出状態(図9(a-6))、段数が一致した並列状態(図8(a-4))、最大後退状態(図8(a-2))・・・といった、いわゆる逆回転の循環動作を繰り替えし行うようにしてもよい。逆回転の循環動作を行う場合でも、可動スクリーン部材621が固定スクリーン部材611よりも下流側にある期間を相対的に長くとるようにする。なお、逆回転の循環動作では、可動スクリーン部材621は、後退状態で上方に移動することになる。
【0099】
また、可動ユニット62は、固定ユニット61よりも、可動フレーム623を有する分、重くなっているが、図3に示す貫通孔6231、6232による可動フレーム623の軽量化に加えて、可動フレーム623をステンレスよりも比重の軽い材料にし、さらなる軽量化を行うことで、可動ユニット62を固定ユニット61よりも軽くすることができ、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6をより低動力で駆動することができるようになる。比重の軽い材質としては、様々な樹脂材料があげられるが、比重が軽く強度が高いものとしては、繊維強化プラスチック(FRP)や、ポリアセタール樹脂があげられる。また、チタン等の比重の軽い金属であってもよいし、カーボンファイバであってもよい。
【0100】
さらに、可動スクリーン用位置規制部材622による可動スクリーン部材621の位置規制をより強固なものにしたり、上述のごとく可動スクリーン部材621に張力を付与したり、可動スクリーン部材621の強度を高める等といった1又は複数の改良を施し、図2に示す駆動軸652側の可動スクリーン用位置規制部材622を駆動軸652に連結することで、可動フレーム623を省略することができ、可動ユニット62の軽量化をより一層進めることができる。
【0101】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置6を例にあげて説明したが、本発明は、下水処理施設に限らず、工業用水や農業用水等の水を処理する施設や、廃液等の液体を処理する施設でも適用することができる。
【0102】
以下、これまで説明したことを含めて付記する。
【0103】
(付記A)
上流側と下流側をつなぐ間隔を通過できずに上流側で該間隔を塞ぐ、液体に含まれていた夾雑物を、該上流側で上方に向けて移送する夾雑物移送スクリーン装置において、
複数の固定スクリーン部材と
隣合う前記固定スクリーン部材の間で該固定スクリーン部材と前記間隔をあけて配置され、上方に移動することによって前記夾雑物を上方に移送する複数の可動スクリーン部材とを有し、
この夾雑物移送スクリーン装置が有する全ての前記可動スクリーン部材の質量の方が、この夾雑物移送スクリーン装置が有する全ての前記固定スクリーン部材の質量よりも軽いことを特徴とする夾雑物移送スクリーン装置。
【0104】
(付記B)
前記複数の可動スクリーン部材には、前記固定スクリーン部材の材質よりも比重が軽い材質のものが含まれていることを特徴とする付記A記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0105】
(付記C)
前記複数の可動スクリーン部材には、前記固定スクリーン部材よりも大きな切り欠き又は貫通孔が設けられたものが含まれていることを特徴とする付記A又はB記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0106】
(付記D)
可動フレームと、
前記可動フレームに取り付けられ前記複数の可動スクリーン部材の位置を規制する可動スクリーン用規制部材とを有し、
前記複数の可動スクリーン部材は、前記可動フレームおよび前記可動スクリーン用規制部材とともに移動するものであり、
前記可動フレームは、切り欠き又は貫通孔が設けられたものであることを特徴とする付記AからCのうちいずれか1記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0107】
(付記1-1)
上流側と下流側をつなぐ間隔を有するスクリーン体を備え、該間隔を通過できずに該スクリーン体の上流側で該間隔を塞ぐ、液体に含まれていた夾雑物を、該スクリーン体の上流側で上方に向けて移送する夾雑物移送スクリーン装置において、
前記スクリーン体は、
一対の固定スクリーン部材と、
前記一対の固定スクリーン部材の間で該一対の固定スクリーン部材よりも上流側に進出した進出状態と該一対の固定スクリーン部材よりも下流側に後退した後退状態とを交互に繰り返す循環動作をモータが回転することにより行い、該進出状態と該後退状態のうちのいずれか一方の状態のときに上方に移動することによって前記夾雑物を上方に移送し他方の状態のときに下方に移動する可動スクリーン部材とを備え、
前記可動スクリーン部材は、前記進出状態にある時間よりも前記後退状態にある時間の方が長くなるように、かつ前記一対の固定スクリーン部材に進退方向において揃った並列状態にある時間よりも該後退状態にある時間の方が長くなるように前記モータの回転速度が制御されることで前記循環動作を行うものであることを特徴とする夾雑物移送スクリーン装置。
【0108】
この夾雑物移送スクリーン装置によれば、前記後退状態にある時間の方が長くなるため、流れ込んできた硬い夾雑物が前記可動スクリーン部材に当たる危険性が減り、結果として、該可動スクリーン部材を駆動する駆動機構等が破損する恐れが低減される。
【0109】
なお、前記可動スクリーン部材は、前記後退状態で上方に移動することによって上方に向けて夾雑物を移送した後、前記進出状態で下方に移動するものであってもよい。
【0110】
(付記1―2)
前記可動スクリーン部材は、前記進出状態で上方に移動することによって上方に向けて夾雑物を移送した後、前記後退状態で下方に移動するものであることを特徴とする付記1-1記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0111】
(付記1-3)
前記固定スクリーン部材が、長手方向に沿って固定段部が複数設けられたものであり、
前記可動スクリーン部材が、長手方向に沿って可動段部が複数設けられ、該可動段部に引っ掛かった夾雑物を、上方へ移動することで、当該可動段部よりも上方の前記固定段部に移送させるものであることを特徴とする付記1-1又は1-2記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0112】
(付記1-4)
前記可動スクリーン部材は、前記後退状態において前記循環動作を停止するホームポジションが設けられたものであることを特徴とする付記1-1から1-3のうちいずれか一つに記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0113】
なお、前記可動スクリーン部材は、前記後退状態において前記循環動作を一旦停止した後、該循環動作を再開し該循環動作を継続することで前記進出状態を経て該後退状態に再び戻るものであってもよい。
【0114】
前記可動スクリーン部材は、液体が流入してきている間は前記循環動作を繰り返し実行し、該液体の流入が終了した以降に前記ホームポジションで停止するものであってもよい。また、前記可動スクリーン部材は、前記循環動作を所定回数行うと前記ホームポジションで停止するものであってもよいし、前記循環動作を所定時間行うと前記ホームポジションで停止するものであってもよいし、1回の前記循環動作を行うにあたり前記ホームポジションで停止するものであってもよい。
【0115】
言い換えれば、前記可動スクリーン部材は、非常停止の場合を除き、前記進出状態では前記循環動作を継続するものである。また、前記可動スクリーン部材は、非常停止の場合を除き、前記並列状態では前記循環動作を停止するものではない。すなわち、前記可動スクリーン部材は、前記進出状態、前記並列状態、および前記後退状態のうち該後退状態にあるときに限って、前記循環動作を停止する場合がある。
【0116】
前記可動スクリーン部材は、前記後退状態における前記ホームポジションで停止する分、前記進出状態にある時間よりも前記後退状態にある時間の方が長くなり、かつ前記並列状態にある時間よりも該後退状態にある時間の方が長くなる。
【0117】
(付記1-5)
前記固定スクリーン部材は、前記可動スクリーン部材よりも剛性が高いものであることを特徴とする付記1-1から1-4のうちいずれか一つに記載の夾雑物移送スクリーン装置。
【0118】
なお、前記可動スクリーン部材は、前記固定スクリーン部材よりも軽量なものであってもよい。例えば、前記固定スクリーン部材は、金属製のものであり、前記可動スクリーン部材は、樹脂製のものであってもよい。
【0119】
以上説明した実施形態や変形例や付記の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例や付記に適用してもよい。
【符号の説明】
【0120】
2 生汚泥用スクリーンユニット
5 水槽
6 生汚泥用夾雑物移送スクリーン装置
61 固定ユニット
611 固定スクリーン部材
6111 固定段部
612 固定スクリーン用位置規制部材
62 可動ユニット
621 可動スクリーン部材
621 可動スクリーン部材
621N 通常可動スクリーン部材
621L 軽量化可動スクリーン部材
6211 可動段部
6212 間隔保持用スペーサ
622 可動スクリーン用位置規制部材
623 可動フレーム
65 駆動機構
66 制御部
W 所定間隔
X,X1,X2,X3 夾雑物
7 スカム用夾雑物移送スクリーン装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9