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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012102
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 5/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B43K5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097007
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】10 2022 117 786.6
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】507315210
【氏名又は名称】ツェー・ヨーゼフ・ラミー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム・ベルベリヒ
(72)【発明者】
【氏名】マリウス・ライネルト
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・ヴェーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ハンネス・ホルムート
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ツィーロンカ
(72)【発明者】
【氏名】イリナ・チュヒナー
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA01
2C350KC05
(57)【要約】
【課題】ペンポイントと、ペンポイントを有する筆記部分と、筆記部分に着脱自在に接続された、筆記部分内に配置可能な又は配置された筆記剤リザーバの取出しを支援するための取出し補助部と、を備える、筆記具を改良する。
【解決手段】接続部分27又は各接続部分は、接続部分が筆記剤リザーバの接続可能な部分に当接しながら、特に、接続部分によって、接続可能な部分の壁部を変形しながら、好ましくは、取出し補助部18と接続可能な部分との間で追加的に着脱自在の接続が確立されるように変形しながら、取出し補助部が接続可能な部分に摩擦接続に基づいて着脱自在に接続可能である又は接続されるように、構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具、特に万年筆であって、
ペンポイントと、
特にペンポイントを有する筆記部分(13)であって、筆記剤を含む(細長い)筆記剤リザーバ、特にインク又はインク類似の筆記剤を含む筆記カートリッジを収容できる、筆記部分(13)と、
筆記部分(13)に着脱自在に接続された、筆記部分(13)内に配置可能な又は配置された筆記剤リザーバの取出しを支援するための取出し補助部(18)であって、好ましくは端に位置する、筆記剤リザーバの接続可能な部分のための特に中空円筒状の収容空間と、取出し補助部(18)を筆記剤リザーバの接続可能な部分に着脱自在に接続するための1つ又は複数の接続部分(27)とを有する、取出し補助部(18)と、
を備える、筆記具において、
接続部分(27)又は各接続部分(27)は、
-接続部分(27)が筆記剤リザーバの接続可能な部分に当接しながら、
-特に、接続部分(27)によって、接続可能な部分の壁部を変形しながら、
-好ましくは、取出し補助部(18)と接続可能な部分との間で追加的に着脱自在の接続が確立されるように変形しながら、
取出し補助部(18)が接続可能な部分に摩擦接続に基づいて着脱自在に接続可能である又は接続されるように、
構成されている
ことを特徴とする、筆記具。
【請求項2】
取出し補助部(18)と筆記部分(13)とは、螺合によって相互に着脱自在に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
取出し補助部(18)と筆記部分(13)とは、ねじ山接続部を介して相互に螺合されていて、ねじ山接続部は、取出し補助部(18)に配置された、特に雄ねじ山として構成されたねじ山と、筆記部分(13)に配置された、特に雌ねじ山として構成されたねじ山とを有し、取出し補助部(18)と筆記部分(13)とを接続するために、好ましくは取出し補助部(18)の雄ねじ山が筆記部分(13)の雌ねじ山に螺入されることによって、取出し補助部(18)のねじ山と筆記部分(13)のねじ山とが螺合されていることを特徴とする、請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
取出し補助部(18)は、筆記剤リザーバの接続可能な部分のための収容空間を周方向で取り囲む、特に横断面が丸形又は略丸形又は横断面が多角形又は略多角形の内面を有し、
接続部分(27)又は各接続部分(27)は、内面及び/又は(場合によってはそれぞれ)内面の特に平坦な部分によって形成されている、及び/又は
接続部分(27)又は各接続部分(27)は、特に内面と一体的に接続しながら内面に配置されている、特に一体成形されている
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項5】
接続部分(27)又は各接続部分(27)は、ウェブ又はリブとして形成されていて、特に収容空間の内面に配置されたウェブ又はリブとして、及び/又は収容空間の内面によって形成されたウェブ又はリブとして、及び/又は収容空間内に突出するウェブ又はリブとして形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項6】
取出し補助部(18)が、筆記具の(後方の)好ましくはキャップ状の端部材の構成部分である、又は筆記部分(13)の、ペンポイントが配置された側とは反対の側において、特にねじ山接続部を介して筆記部分(13)に着脱自在に接続された端部材を形成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項7】
(端部材と筆記部分(13)とが互いに接続された状態で)端部材の後方の自由な端部から筆記部分(13)に接する端部材の端部までの端部材の外面の(軸方向の)長手延伸長さは、端部材に接する筆記部分(13)の端部からペンポイントまでの筆記部分(13)の(軸方向の)長手延伸長さの半分より短かく、好ましくは7/16より短いことを特徴とする、請求項6に記載の筆記具。
【請求項8】
接続部分又は各接続部分(27)は、
筆記剤リザーバの接続可能な部分との着脱自在の摩擦接続(及び場合によっては追加的に形状接続又は形状接続のための接続可能な部分の変形)が、取出し補助部(18)と筆記部分(13)との接続中(特に取出し補助部(18)と筆記部分(13)との螺合中)に、特に好ましくは、その際に接続部分又は各接続部分(27)が少なくとも部分的に筆記剤リザーバの接続可能な部分の壁部にくい込むことによってもたらされる又はもたらされることができるできるように、
構成されているとともに特に筆記剤リザーバに合わせて調整されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項9】
摩擦接続、特に筆記剤リザーバの接続可能な部分の壁部へのくい込みは、筆記剤リザーバと取出し補助部との線形の相対運動中に行われる又は行うことができることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項、特に請求項8に記載の筆記具。
【請求項10】
筆記部分(13)は、筆記部分(13)の壁部によって側方が取り囲まれた、筆記剤リザーバのための収容空間を有し、特に取出し補助部(18)の収容空間に直接的に又は接続中間空間を介して隣接する収容空間を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項11】
筆記剤リザーバが、筆記具を使用するために設定されたポジションで、特に筆記剤リザーバの筆記剤をペンポイントへ送ることができるポジションで、筆記部分(13)の収容空間内に位置するとき、筆記剤リザーバが収容空間から(取出し補助部(18)の方向へ)突出する長さは、筆記剤リザーバの長さの半分ではない又は最大でも半分、好ましくは最大でも筆記剤リザーバの長さの1/3、特に好ましくは最大でも筆記剤リザーバの長さの1/4であることを特徴とする、請求項10に記載の筆記具。
【請求項12】
筆記剤リザーバが、筆記具を使用するために設定されたポジションで、特に筆記剤リザーバの筆記剤をペンポイントへ送ることができるポジションで、収容空間内に位置するとき、筆記剤リザーバの接続可能な部分は、完全に又は部分的に、筆記部分(13)の収容空間内に配置されている、及び/又は筆記剤リザーバの自由な端部から、筆記剤リザーバの、この自由な端部を含む端部分によって、離間されていて、
端部分に、取出し補助部(18)が、特に端部分に対する接続部分(27)又は各接続部分(27)の半径方向の間隔に基づいて、摩擦接続されていない、及び場合によっては追加的に形状接続されていないことを特徴とする、請求項10又は11に記載の筆記具。
【請求項13】
筆記剤リザーバの、少なくとも接続可能な部分を含む部分、好ましくは筆記剤リザーバ全体が、特に変形可能な、好ましくは弾性的なプラスチックからなることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具、特に万年筆であって、ペンポイントと、特にペンポイントを有する筆記部分であって、筆記剤を含む(細長い)筆記剤リザーバ、特にインクを含む筆記カートリッジを収容できる、筆記部分と、筆記部分に着脱自在に接続された、筆記部分内に配置可能な又は配置されたそのような筆記剤リザーバの取出しを支援するための取出し補助部であって、好ましくは端に位置する、筆記剤リザーバの接続可能な部分のための特に中空円筒状の収容空間と、取出し補助部を筆記剤リザーバの接続可能な部分に着脱自在に接続するための1つ又は複数の接続部分とを有する、取出し補助部と、を備える、筆記具に関する。
【0002】
インクを充填した筆記カートリッジの取出しを容易にする取出し補助部を備えた筆記具は、従来技術より知られている。例えば特許文献1では、取出し補助部として、前方にある、ペンポイントをカバーする筆記具のキャップが開示されていて、キャップは、筆記具の筆記部分に相応に着脱自在に接続されていて、取り外された状態では、雄ねじ山を有する、筆記部分内に螺入された筆記カートリッジを、螺合状態から解放する又は筆記部分からねじ外すために用いることができる。この目的のために、筆記カートリッジは、接続可能な部分、つまり後端に、リブを有し、リブは、溝として形成されたキャップの接続部分内に収まる。それにより、キャップと筆記カートリッジとの間には、(一時的で着脱自在な)形状接続が形成され、その際、ユーザがキャップを回すことによって回転力が筆記カートリッジの後端に伝達され、その際、この回転力によって、筆記カートリッジと筆記部分との間のねじ山接続部がゆるむことに基づいて、自動的に、筆記カートリッジが筆記具から外方へ軸方向に動かされる。この解決法の欠点として、特に、そこに示されている取出し補助部を必ず使用することが前提となっていること、筆記カートリッジがねじ山接続部を介して筆記具に螺入されることが挙げられる。表面がほぼ滑らかで、特にねじ山が設けられていない標準カートリッジは使用できない。(雄)ねじ山を持つ筆記カートリッジの製造はコストが嵩み、複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5448250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明の課題は、冒頭で述べた種類の筆記具を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成を有する筆記具により解決される。
【0006】
したがって、冒頭で述べた筆記具は、本発明によれば、接続部分又は各接続部分(取出し補助部の、考慮された「複数の」接続部分のそれぞれ。各接続部分は、着脱自在の接続に寄与する取出し補助部の全ての接続部分であってよいが、全ての接続部分でなくてもよい)が、接続部分が筆記剤リザーバの接続可能な部分に当接しながら、特に、接続部分によって、筆記剤リザーバの接続可能な部分の壁部を変形しながら、好ましくは、取出し補助部と接続可能な部分との間で追加的に着脱自在の形状接続が確立されるように変形しながら、取出し補助部が、接続可能な部分に着脱自在に摩擦可能である又は摩擦接続されるように、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明による取出し補助部と筆記剤リザーバとの間の着脱自在の摩擦接続によって、特に、筆記剤リザーバがインクなどの入った筆記カートリッジである万年筆のような筆記具において、従来技術とは異なり、多かれ少なかれ滑らかな外面を有する(及び特にねじ山を有しない)プラスチック容器からなることが多い(特に)標準筆記カートリッジでも、これを、そのような取出し補助部によって筆記部分から取り出すことができる。しかも、このことは、場合によってはユーザが筆記カートリッジを手でつかめない又は非常につかみにくい場合にも当てはまる。
【0008】
また、場合によっては他の筆記剤リザーバを有する万年筆としての別の筆記具でも、本発明の解決法を取り入れることが考えられる。例えば、インク、ゲルなどの特に水様の及び/又はペースト状の様々な筆記剤が入った筆記剤リザーバを有する様々な他の筆記具が挙げられる。
【0009】
この場合、本出願の範囲内で、筆記部分は、好ましくは、筆記具の一部又はユーザが書くために握る筆記具の部分を形成する又は含む。
【0010】
ペンポイントは、例えばペンポイントがペン先によって形成される万年筆では、直接的に筆記部分に堅固に配置されていて、筆記部分に接続できることは自明である。しかもペンポイントは、例えば筆記剤リザーバの(筆記部分内に着脱自在に配置された)構成部分であってもよい。
【0011】
筆記剤リザーバが取出し補助部に摩擦接続された状態で筆記具内又は筆記具の筆記部分内に着座する場合、ユーザは、筆記剤リザーバを交換するために例えば着脱自在に筆記部分に接続された取出し補助部を筆記部分から緩めて、次に取出し補助部を、この時点ではまだ着脱自在な摩擦接続に基づいてまだ取出し補助部に接続された筆記剤リザーバと一緒に筆記部分から完全に取り外し、その際、筆記剤リザーバは、自動的に筆記部分から完全に引き出され、その際、そのためにまず筆記剤リザーバに強制的に触れなくてよい。これに続いて、ユーザは、次のステップで例えば筆記部分から離反するように筆記剤リザーバを取出し補助部から外し、(場合によってはユーザによって事前に取出し補助部に着脱自在に接続された)新しい筆記剤リザーバを筆記部分に挿入し、次いで取出し補助部を再び筆記部分に接続することができる。
【0012】
取出し補助部の接続部分又は各接続部分に関して述べると、取出し補助部は、筆記剤リザーバの接続可能な部分のための収容空間を周方向に取り囲む(そして画定する)、特に横断面で本質的に丸形の又は横断面で本質的に(特に規則的な)多角形の内面を有してよい。この場合、接続部分又は各接続部分は、内面によって及び/又は(場合によってはそれぞれ)内面の特に平坦な部分によって形成される、及び/又はこの場合、接続部分又は各接続部分は、特に内面と一体的に接続しながら内面に配置されていて、特に一体成形されている。
【0013】
換言すると、一方では、周方向の内面自体(場合によってはその1つ又は複数の部分)が接続部分又は各接続部分を形成してよい。
【0014】
この場合、例えば収容空間の(本例においては横断面が多角形の)周方向状の内面又は内側輪郭が、横断面で(場合によっては角を丸くした)正方形又は矩形であることが想定され得る。この場合、筆記剤リザーバの接続可能な部分の外側輪郭が適切に(例えば接続可能な部分が直方体に形成されている又はその外側輪郭が横断面で相応に正方形又は矩形に形成されていることによって)収容空間の内側輪郭に又は周方向の内面に適合されていて、接続可能な部分又はその外面が余剰寸法をもって、周方向の内面に又は内面の個々の4つの平坦な又は湾曲していない部分に接しながら収容空間内に挿入できるとき、そのようにして、着脱自在の摩擦接続及び形状接続を確立できる。
【0015】
しかも、内面がそれぞれ1つ又は複数のウェブ又はリブを形成し、ウェブ又はリブが接続部分又は各接続部分を形成するように、内面が成形されていると特に有利であり得る。
【0016】
他方、内面自体が接続部又は各接続部分を形成するのではなく、1つ又は複数の別個の接続部分が内面に配置されていることも想定され得る。その場合、ウェブ/リブ又は各ウェブ/リブが独自の又は別個の構成部分として形成されていて、内面に取り付けられてもよい。
【0017】
極めて一般的には、ウェブ又はリブとして形成された接続部分又は各接続部分が収容空間内に突出することが想定され得る。
【0018】
その他、ウェブ/リブ又は各ウェブ/リブは、それぞれ筆記具及び/又は取出し補助部の長手(中心)軸に対して平行に整列されていてよい。
【0019】
取出し補助部が複数の接続部分を有する場合、筆記剤リザーバの接続可能な部分は、例えば筆記剤リザーバが取出し補助部に接続された状態で、取出し補助部の収容空間に、それぞれ、収容空間において例えば(多かれ少なかれ)それぞれ対向する接続部分の、場合によっては複数の対の間で具体的には半径方向又は側方に押し付けられながら配置されているので、筆記カートリッジは、これにより、特に軸方向に保持されていて、軸方向に取出し補助部から外れて動かされ得ないことが想定される。
【0020】
その際、有利には、筆記剤リザーバ又は接続可能な部分は、同時に取出し補助部に対して半径方向においても保持又は固定されてよいので、取出し補助部と筆記カートリッジとの間に相対回転が起こり得ない。
【0021】
接続部分が前述のようにウェブ又はリブとして形成されている場合、これらは、円筒状の内面にわたって特に好適には均一に配分して配置されてよく、その際、それぞれ隣り合う接続部分は、互いに角距離を保っており、この角距離は、隣り合う全ての接続部分において同じである。
【0022】
その他、接続部分又は各接続部分は、細長く形成されて、それぞれが取出し補助部の長手中心軸に対して平行に整列されていてよい。
【0023】
取出し補助部について極めて一般的に言えることは、特に、取出し補助部がプラスチックの射出成形品であることが考えられる。
【0024】
筆記部分と取出し補助部との着脱自在の接続について言えることは、筆記部分と取出し補助部とは、好ましくは互いに螺合されてよい。
【0025】
このことは、例えば取出し補助部に配置された、特に雄ねじ山として形成されたねじ山と、筆記部分に配置された、特に雌ねじ山として形成されたねじ山とを有するねじ山接続部により行われ、このとき取出し補助部と筆記部分とを接続するために、取出し補助部のねじ山と筆記部分のねじ山とが螺合されている。好ましくは、取出し補助部の雄ねじ山が筆記部分の雌ねじ山に螺入されている。
【0026】
さらに好ましくは、本発明において、取出し補助部と、筆記剤リザーバ、特に筆記カートリッジの接続可能な部分との着脱自在の摩擦接続(及び場合によっては追加的に接続可能な部分の変形又はそれにより生じる形状接続)が、筆記部分内に配置された又は筆記部分によって収容された筆記剤リザーバにおいて、取出し補助部と筆記部分との接続中に、特に螺合中にもたらされる又はもたらされ得るように、接続部分又は各接続部分が構成されていて、特に筆記部分に着座する又は筆記部分のために設けられた筆記剤リザーバに合わせて調整されている。このことは、特に、事前に、接続可能な部分を取出し補助部の収容空間に収容しながら、取出し補助部を、ユーザが、筆記剤リザーバ、特に筆記カートリッジ又はその接続可能な部分に載置した後で、又は取出し補助部がそのように筆記剤リザーバ又は筆記剤リザーバの接続可能な部分の上に被せた後で、取出し補助部のねじ山を筆記部分のねじ山にねじ込んでいる間に行われる。
【0027】
この場合、この摩擦接続及び場合によっては追加的に形状接続は、取出し補助部の接続部分又は各接続部分が、特に接続中に又は特に螺合中に、少なくとも部分的に筆記剤リザーバの接続可能な部分の壁部にくい込むので、既に前述のように筆記剤リザーバが軸方向に取出し補助部の収容空間内に、特に側方の又は半径方向の押付けによって保持されることによってもたらされる又はもたらされ得る。
【0028】
くい込みの範囲内で、各接続部分によって及び/又は各接続部分のために、例えば特に軸方向に又は筆記具の長手(中心)軸に対して平行にそれぞれ延びる凹部が、筆記剤リザーバの接続可能な部分に形成され、この凹部に、それぞれの接続部分が位置してよい。
【0029】
この場合、摩擦接続及び場合によっては追加的に形状接続、特に筆記剤リザーバ、特に筆記カートリッジの接続可能な部分の壁部への前述のくい込みは、好ましくは、筆記剤リザーバと取出し補助部との線形の及び/又は軸方向の相対運動の間に又は相対運動によってもたらされ得る。筆記部分と取出し補助部とが、例えば、前述のように、螺合によって互いに接続されている場合、好ましくは専らその際に生じる筆記部分と取出し補助部との線形の又は軸方向の相対運動成分によって、接続部分又は各接続部分は、その際に接続可能な部分に沿って線形状に及び/又は軸方向に、特に接続可能な部分を変形しながら、好ましくはそれぞれの凹部を形成しながら動かされる。
【0030】
接続可能な部分の場合によっては追加的な変形又は筆記剤リザーバ、特に筆記カートリッジとの場合によっては追加的な形状接続は、この場合、接続工程又は場合によっては螺合工程の終了後に、筆記剤リザーバの、取出し補助部に対して半径方向の追加的に十分な固定又は確保をもたらすことができるので、筆記剤リザーバが、特にユーザにより行われる取出し補助部の(場合によってはさらなる又はさらに後の)回転運動において、自動的に一緒に回転し、筆記剤リザーバと取出し補助部との間の相対回転が完全に又はほとんど阻止される。
【0031】
取出し補助部のさらなる構成について述べると、取出し補助部は、好ましくは後方で後部の、特に前述のねじ山接続部を介して着脱可能に筆記部分に接続された、好ましくは筆記具のキャップ状の端部材である又はそのような端部材を形成する。このとき、キャップ状の端部材は、筆記部分の、ペンポイントが配置された側とは反対の側で、筆記部分に着脱自在に接続されている。
【0032】
他に、筆記具又は取出し補助部の本発明による構成によって、筆記具の個々の構成要素の特別な比率が実現可能となる。
【0033】
したがって、(端部材と筆記部分とが互いに接続された状態で)端部材の外面の、後部の自由な端部から筆記部分に接する端までの(軸方向の)長手延伸長さは、筆記部分の、端部材に接する端部からペンポイントまでの(軸方向の)長手延伸長さの半分より短い、好ましくは7/16より短いことが想定され得る。
【0034】
さらに、筆記部分は、筆記部分の壁部によって少なくとも側方で取り囲まれた、特に(後部の又は後方の)収容面(収容面を介して筆記剤リザーバが挿入可能である)の方では開いた、筆記剤リザーバのための収容空間を有し、好ましくは(インク又はインク類似の筆記剤が入った)筆記カートリッジの場合は筆記カートリッジ用の突刺し芯が設けられる収容空間を有することが想定され得る。このとき収容空間は、直接的に又は接続中間空間を介して、取出し補助部の収容空間に接してよい。
【0035】
さらに、筆記剤リザーバは、筆記具を使用するために設定されたポジションで、特に筆記剤リザーバの筆記剤をペンポイントへ向けて送ることができるポジションで、筆記部分の収容空間内に位置するとき、その長さの半分ではなく又は最大でも半分、好ましくはその長さの最大でも1/3、特に好ましくはその長さの最大でも1/4が収容空間から(取出し補助部の方へ)突出するようにことが想定され得る。
【0036】
筆記剤リザーバ、特に筆記カートリッジの収容空間からの突出がこのように比較的わずかであること、又は収容空間内に完全におさまっていることによって、ユーザは、筆記カートリッジを場合によっては手でつかみにくい又は全くつかめない。しかし、それにもかかわらず、筆記剤リザーバ、特に筆記カートリッジが取出し補助部に着脱自在に接続されていることによって、ユーザは、容易に筆記剤リザーバを取り出すことができる。
【0037】
筆記剤リザーバが、筆記具を使用するために設定されたポジションで、特に筆記剤リザーバの筆記剤をペンポイントへ向けて送ることができるポジションで、収容空間内に位置するとき、筆記剤リザーバの接続可能な部分は、その全体又は一部でもって、筆記部分の収容空間内に配置されてよい。
【0038】
追加的に又は代替的に、筆記剤リザーバの接続可能な部分は、(筆記剤リザーバのこのポジションで)、筆記剤リザーバの(特に取出し補助部の収容空間内にある)後方の自由な端部から、この自由な端部を含む筆記剤リザーバの端部分によって離間されてよく、取出し補助部とこの端部分とは、特に接続部分又は各接続部分が端部分に対して半径方向に間隔を置いていることに基づいて、摩擦接続されていない、及び場合によっては追加的に形状接続されていない。
【0039】
換言すると、その場合、摩擦接続又は場合によっては追加的な形状接続は、筆記剤リザーバの、この自由な筆記剤リザーバ端部を含む端部分に直接的に生じるのではなく、自由な筆記剤リザーバ端部から離間した領域において生じる。
【0040】
最後に筆記剤リザーバ(又は場合によっては筆記カートリッジ)自体について述べると、好ましくは前述のように、少なくとも、接続可能な部分を含む筆記剤リザーバの部分、特に好ましくは筆記カートリッジ全体が、特に変形可能な、好ましくは弾性的なプラスチックからなる。
【0041】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、好ましい実施例についての以下の説明及び添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る筆記具を概略縦断面図で示す。
図2】本発明に係る筆記具を一部断面図で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図示された筆記具10は、本形態ではいわゆる万年筆である。万年筆は、特にその前方の領域又はその前端に、ペンポイント12を具備するペン先11(本形態では金属製)を有する。
【0044】
ペン先11は、筆記具10の筆記部分13の一部であり、筆記部分13は、ハウジング17を有し、ハウジング17は、グリップ部分として用いられ、これに応じて、ユーザは、筆記時に適切に握ることができる。ハウジング17は、特に収容空間14を有し、収容空間14内で、公知のとおり本形態では筆記カートリッジ15として構成された細長い筆記剤リザーバが突刺し芯16上に着座している。
【0045】
筆記カートリッジ15内にはインクが入っていて、インクもまた公知のとおり、インクガイド溝などを介してペン先11へガイドされ、そこで特にペンポイント12へガイドされる。
【0046】
冒頭で述べたとおり、本発明は、図示された万年筆を基に述べられているが、そのような万年筆に限定されるわけではない。本発明は、場合によっては他の態様の筆記剤リザーバを有する他の筆記具との関連で用いられてもよい。
【0047】
図示された筆記具10は、本形態では、後端にキャップ状の端部材18を有し、端部材18は、筆記部分13に、すなわち筆記部分13又は筆記部分13のハウジング17の、端部材18寄りの端部に、着脱自在に、具体的にはねじ山接続部21を介して螺合されている。
【0048】
この場合、端部材18は、その目的のために本形態では端に位置する中空円筒状の突出部19を有し、突出部19は、ハウジング17のハウジング部分の後端の適切な、特に中空円筒状の突出部収容部20に係合する。
【0049】
この場合、突出部19と突出部収容部20とのねじ山接続部21は、突出部19の外側に配置された雄ねじ山によって生じ、雄ねじ山は、突出部収容部20内に配置された適切な雌ねじ山に螺入されている、又は当初の非接続状態ではこれらの部品を後から接続するために螺入される。
【0050】
本形態の場合、具体的には、ハウジング17の突出部収容部の雌ねじ山は、特に略円筒状の突出部収容部20の内面に配置されている、又は内面に加工されている。
【0051】
自明のことながら、ねじ山接続部21は、他の形態に構成してもよい。例えば、端部材18が雌ねじ山を有し、筆記部分13が雄ねじ山を有することも考えられる。
【0052】
突出部収容部20は、筆記部分13のハウジング17の収容空間14の端に位置する部分を形成し、この部分は、端部材18と筆記部分13とが接続されていない状態では開いた(端に位置する)収容側を有し、この場合、収容側を介して、筆記カートリッジ15は、この状態で収容空間14内に挿入される。
【0053】
端部材18は、(特に略円筒状の)収容空間26を有し、図1及び図2を参照すると、収容空間26中に、端部材18と筆記部分13とが接続された状態で、筆記カートリッジ15の後方部分が配置されている。この場合、本形態では、収容空間26は、端部材18の突出部19の内部空間と、この内部空間に面一に接続する、端部材18のさらなる内部空間部分とを含む。
【0054】
ここで特に重要であるのは、筆記カートリッジ15を必要に応じて簡単に交換できるように、本形態では、端部材18が、筆記カートリッジ15を筆記部分13のハウジング17から簡単に取り出すための取出し補助部として構成されていることである。
【0055】
というのも、図1及び図2から分かるように、筆記カートリッジ15は、インクを送ることができる図示されたポジションにおいて、筆記具10用に選択された比率では、本形態では、最大でもその長さの1/4だけしか収容空間14から突出しないので、ユーザは、カートリッジ15の後端を場合によってはつかみづらく、又は場合によっては後端に十分な力をかけるのが難しい。
【0056】
筆記カートリッジ15の取出しを容易にするために、端部材18は、本発明では、それぞれ軸方向に延在する、リブとして形成された細長い複数の接続部分27を有する。接続部分27は、収容空間26の内面に環状にそれぞれ互いに角距離を置いて配置されていて、本形態では内面の適切な成形により内面によって形成されていて、収容空間26内に突出するとともに、筆記カートリッジ15の、接続部分27に接続可能な(後方の/本形態では同様に円筒状の)部分25とともに着脱自在の接続部を形成する。
【0057】
この場合、接続部分27は、本形態では、それぞれいくらか狭くなっている収容空間26の部分空間を画定し、具体的には、収容空間26の、周方向に延在する内面の、それぞれ半径方向に引っ込んだ(半径方向にさらに外側に配置された)部分によって画定された空間に対して狭くなっている。
【0058】
もちろん、接続部分は、他の形態で構成されてもよい。というのも、次のことが特に重要であるからである。すなわち、着脱自在の接続部は、全体として、一方では、ねじ山接続部21をねじ外した後又はねじ山接続部21を緩めた後に、筆記部分13から端部材18を取り外す際に、筆記カートリッジ15が自動的に端部材18に連行され、その際に筆記部分13の収容空間14から引き出されるが、他方では、ユーザがこれに続いて接続部を手で簡単に外せ、これにより筆記カートリッジ15を端部材18から再び外せるように、構成されている。
【0059】
その目的のために、狭くなっている又は接続部分27によって画定された部分空間の直径は、筆記カートリッジ15の接続可能な部分25に合わせて(特にその部分25の外径に合わせて)調整されているため、その部分25は、収容空間26内で、半径方向又は側方に押圧されたまま少なくとも摩擦接続式に保持され(狭くなっている部分空間に対する余剰寸法)、しかも本形態では後述するように形状接続式にも保持される。
【0060】
最も単純な場合、代替例として理論上、また例示的にも、リブとして形成されたこの種の接続部分27を省いて、内面によって画定された収容空間26の直径が、少なくとも接続可能な部分25の領域で、この部分25が余剰寸法をもってそこに圧入できるように接続可能な部分25に合わせて調整されているとき、収容空間26の(場合によっては平滑な)内面のみを接続部分として用いてもよい。
【0061】
他に、本形態では、筆記カートリッジ15の接続可能な部分25には、端部材18の収容空間26内に位置する筆記カートリッジ15の後方の自由な端部が含まれず、接続可能な部分25は、筆記カートリッジ15の、この自由な端部を含む端部分によって、この自由な端部から分離されている。自由な端部において、接続部分27は、半径方向で端部分から離間していて、これに応じてそこでは筆記カートリッジ15又はこの端部分に当接せず、そこでは接続部も形成しない。これは、筆記カートリッジ15がこの端部分において先細りに形成されている、又は接続可能な部分25よりも小さな外径を有するからである。しかし、接続可能な部分25が、自由な端部も含めて、筆記カートリッジ15の自由な端部まで延在し得ることは自明である。
【0062】
リブ状の接続部分27を本形態のように用いると、接続可能な部分25の壁部が、接続部分27によって、他では有利には、追加的に、接続部分27が作用する又は接続部分27が接続可能な部分25に当接する箇所で、ある程度、場合によってはほとんど見えないほど半径方向内側へ変形される、又は接続部分27が幾分か接続可能な部分25の壁部にくい込むので、摩擦接続の他に、既に述べた形状接続が生じる。この場合、この摩擦接続は、一方では接続可能な部分25と他方では端部材18との間の相対回転運動を追加的に阻止する。
【0063】
接続部分27は、他では、筆記カートリッジ15の接続可能な部分25との前述の接続が、筆記カートリッジ15が既に筆記部分13内に又は筆記部分13の収容空間26内に配置されている状態で、端部材18と筆記部分13とを螺合する間にもたらされる、又は適切に操作するときに少なくとももたらすことができるように構成されているととともに筆記カートリッジ15に合わせて調整されている。
【0064】
この場合、実地においては、接続部分27がこのように構成されている又は接続部分27が筆記カートリッジ15に合わせてこのように調整されている場合、ユーザは、例えば、接続可能な部分25を収容空間26内に収容しながら、予め端部材18を筆記カートリッジ15又は筆記カートリッジ15の接続可能な部分25上に載置した後、又は端部材18をこのようにして筆記カートリッジ15又は筆記カートリッジ15の接続可能な部分25の上に被せた後、これに続いて端部材18と筆記部分13とを螺合し、それにより摩擦接続及び本形態では追加的に形状接続をもたらすことができる。
【0065】
本形態では、その際、各接続部分27は、螺合に際して(相対回転運動に加えて又は相対回転運動中に)生じる、筆記部分13と端部材18(又は相応にカートリッジ15と端部材18)との線形の及び/又は軸方向の相対運動の範囲内で、接続可能な部分25に又は接続可能な部分25の(外側)壁部にくい込み、具体的には、その際、本形態では、それぞれカートリッジ15又は筆記具10の長手延伸長さ対して平行に向けられた細長い凹部を形成しつつ、凹部には、螺合の終了時に接続部分27がそれぞれ位置する。
【0066】
このようにして、筆記カートリッジ15は、側方又は半径方向に押し付けられることによって、相応に軸方向で端部材18の収容空間26内に保持される。
【0067】
接続可能な部分25の追加的な変形又は筆記カートリッジ15との追加的な形状接続によって、追加的に、半径方向で端部材18に対する筆記カートリッジ15の十分な固定又は確保がもたらされるので、筆記カートリッジ15は、特にユーザによる端部材18の(さらなる又は後からの)回転運動に際して自動的に一緒に回転し、筆記カートリッジ15と端部材18との間の相対回転は完全に又はほぼ阻止される。
【0068】
前述の接続をもたらす前述の形態とは代替的に、ユーザがこの接続を全体的に又は部分的に確立することも理論的に可能である。このことは、ユーザが、筆記部分13と端部材18とがまだ接続されていない状態において既に筆記カートリッジ15に十分な軸方向の力をかけて、その後端を、端部材18に差し込む又は接続可能な部分25が説明した方法で適切に接続部分27に接続されるまで押し込むことによって行われる。
【符号の説明】
【0069】
10 筆記具
11 ペン先
12 ペンポイント
13 筆記部分
14 収容空間
15 筆記剤リザーバ又は筆記カートリッジ
16 突刺し芯
17 ハウジング
18 取出し補助部/端部材
19 突出部
20 突出部収容部
21 ねじ山接続部
25 接続可能な部分
26 収容空間
27 接続部分
図1
図2
【外国語明細書】