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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012103
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B65D1/02 220
B65D1/02 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097361
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2022113569
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 瑛亮
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033CA05
3E033DA04
3E033DA05
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD05
3E033EA03
3E033EA04
3E033EA05
3E033EA07
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】容器の軽量化においても耐荷重性、耐熱性を確保でき、充填後の減圧変形を抑制できるパネル構造を備えた容器を提供する。
【解決手段】肩部3は、口部2から胴部4に向けて円錐台状に広がるパネル面部12と、肩部3と胴部4の境をなすパネル面部外側縁13に、容器1の軸心周りに沿って断続的に形成する円弧状の縁補強リブ部14と、縁補強部リブ14の相互間に容器1の軸心周りに沿って間欠的に形成する支保リブ部15を有し、縁補強リブ部14は、容器1の径方向内側へ窪む凹部16をなし、支保リブ部15は、縁補強リブ部14の凹部16から容器1の径方向外側へ膨らむ凸部19をなし、パネル面部外側縁13に凹部16と凸部19を交互に形成したパネル構造を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の軸心方向一側から他側に向けて順次に口部と肩部と胴部を有し、
口部は、筒状をなして容器の軸心方向一側に開口を有し、
胴部は、筒状をなして容器の軸心方向他側に底部を有し、
肩部は、口部から胴部に向けて円錐台状に広がるパネル面部と、肩部と胴部の境をなすパネル面部外側縁に、容器の軸心周りに沿って断続的に形成する円弧状の縁補強リブ部と、縁補強部リブの相互間に容器の軸心周りに沿って間欠的に形成する支保リブ部を有し、
縁補強リブ部は、容器の径方向内側へ窪む凹部をなし、
支保リブ部は、縁補強リブ部の凹部から容器の径方向外側へ膨らむ凸部をなし、
パネル面部外側縁に凹部と凸部を交互に形成したパネル構造を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
縁補強リブ部は、容器の軸心方向の耐力壁をなす筒状片部と、容器の径方向の耐力壁をなす環状片部を有することを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
支保リブ部は、パネル面部から胴部に至る天面部が、容器の軸心に対して傾斜角を有する平坦面をなすことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関し、容器の熱変形、座屈変形の抑制に貢献する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載する耐圧性ブロー成形ボトルがある。これは、口頸部の下端に連続する肩部に変形吸収凹陥部を有しており、変形吸収凹陥部は、下方から上方へ漸次大きく陥没させた平面の変形吸収板を有し、口頸部下端を中心に等間隔で放射状に複数個周設している。また、変形吸収凹陥部は水平断面形状が、四角形又は三角形状である。
【0003】
また、特許文献2には、合成樹脂製丸形壜体が記載されている。これは、口筒部、テーパー筒状の肩部、円筒状の胴部、そして底部を有し、胴部と底部の少なくとも一方に壜体内の減圧時に減圧吸収機能を発揮する減圧吸収機能部を配設した丸形壜体である。
【0004】
減圧吸収機能部は、肩パネルと肩柱部からなる。肩パネルは、肩部の周壁に周方向の五箇所に並列状に陥没形成したものであり、周囲を段部で囲うようにして上方に向かって縮幅する形状をなす。肩柱部は、隣接する肩パネルの間に残存する部分からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-79925
【特許文献2】特開2011-230829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ペットボトル等の熱可塑性樹脂からなる容器の成形方法の一つに、射出延伸ブロー成形がある。この成形方法では、別工程であらかじめ射出成形した中間成形品のプリフォーム(PF)をブロー成形用材料としている。
【0007】
このプリフォームを加熱後にブロー成形用の金型にセットし、空気を吹き込んで膨らませることでペットボトルの形状に成形する。
【0008】
ところで、環境配慮の取り組みとして、ペットボトルの原料となるPET樹脂の使用量を削減し、ペットボトル生産時や廃棄時に排出する二酸化炭素の削減のために、容器の軽量化が求められている。
【0009】
しかし、軽量化、すなわち容器の薄肉化は強度や熱収縮に対する耐熱性が低下する要因であり、製品の搬送時や保管時における耐荷重の低下、容器への内容物の充填時の耐熱性の低下、あるいはシュリンクラベラーで容器に熱収縮性フィルムを装着する際の耐熱性の低下が問題となる。
【0010】
ブロー成形した容器の一般的な形状は、口部と円筒状の胴部の間に、口部から胴部に向けて容器の径方向に広がる肩部を有している。軽量化の影響は肩部に現れやすく、シュリンクラベラーの使用時に肩部に熱収縮に起因する熱変形が生じることがある。
【0011】
熱収縮に対する耐熱性を高めるために、成形時の金型温度やプリフォームの温度を上げて成形後の成形品の冷却を遅らせて十分な結晶化を促し、容器として必要な剛性を付与する。
【0012】
しかし、耐熱性を高めるために成形時の金型温度やプリフォームの温度を上げると、製品外観や成形条件に制約が生じる。すなわち、成形した容器の外側面に張り付き模様が発生して製品外観を損なう問題や、容器の肉厚分布の制御に困難性があり、偏肉が発生する要因となり、成形時の条件コントロールが難しくなる。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであり、容器の軽量化においても耐荷重性、耐熱性を確保でき、充填後の減圧変形を抑制できるパネル構造を備えた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る容器は、容器の軸心方向一側から他側に向けて順次に口部と肩部と胴部を有し、口部は、筒状をなして容器の軸心方向一側に開口を有し、胴部は、筒状をなして容器の軸心方向他側に底部を有し、肩部は、口部から胴部に向けて円錐台状に広がるパネル面部と、肩部と胴部の境をなすパネル面部外側縁に、容器の軸心周りに沿って断続的に形成する円弧状の縁補強リブ部と、縁補強部リブの相互間に容器の軸心周りに沿って間欠的に形成する支保リブ部を有し、縁補強リブ部は、容器の径方向内側へ窪む凹部をなし、支保リブ部は、縁補強リブ部の凹部から容器の径方向外側へ膨らむ凸部をなし、パネル面部外側縁に凹部と凸部を交互に形成したパネル構造を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る容器において、縁補強リブ部は、容器の軸心方向の耐力壁をなす筒状片部と、容器の径方向の耐力壁をなす環状片部を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る容器において、支保リブ部は、パネル面部から胴部に至る天面部が、容器の軸心に対して傾斜角を有する平坦面をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記の構成により、肩部はパネル面部外側縁に縁補強リブ部の凹部と支保リブ部の凸部を交互に形成したパネル構造をなすことで、内容物充填後の減圧変形に抗するのに必要な十分な剛性を確保できる。
【0018】
支保リブ部は、容器の周方向の複数個所において口部から胴部に向けて円錐台状に広がるパネル面部を、縁補強リブ部を介することなく、胴部に直接に接続する。この構造により、容器の軸心方向に作用する力に対して座屈することのない十分な強度をパネル構造に実現する。
【0019】
パネル面部外側縁に円弧状の凹部をなす縁補強リブを容器の周方向の複数個所に配置し、縁補強リブの相互間を支保リブ部で接続することで、容器の径方向に作用する熱収縮の負荷に対する十分な強度を確保するとともに、容器の軸心方向に作用する力に対して座屈することのない十分な強度を確保し、容器に必要とする剛性を実現する。
【0020】
すなわち、円弧状の縁補強リブ部の凹部は、容器の軸心方向の耐力壁をなす筒状片部と、容器の径方向の耐力壁をなす環状片部を有するので、座屈補強および耐熱補強を果たすことができる。また、支保リブ部の凸部の天面部が、容器の軸心に対して傾斜角を有する平坦面をなすことで、容器の軸心方向の力に対する座屈強度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る容器を示す斜視図
図2】同実施の形態に係る容器を示す正面図
図3】同実施の形態に係る容器を示す上面図
図4】同実施の形態に係る容器を示し、図3のA-A矢視図
図5】同実施の形態に係る容器の要部を示す拡大図
図6】本発明の他の実施の形態に係る容器を示す斜視図
図7】同実施の形態に係る容器を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る容器の実施の形態を図1から図5を参照して説明する。
(実施例1)
図1から図5において、本発明に係る容器1は、容器1の軸心方向一側から他側に向けて順次に口部2と肩部3と胴部4を有している。口部2は、筒状をなして容器の軸心方向一側に開口5を有し、胴部4は、筒状をなして容器の軸心方向他側に底部6を有している。
【0023】
胴部4には容器1の軸心方向の中ほどの位置と底部6の近くの位置に、容器1の軸心周りに沿って環状をなす中間リブ部7と下方リブ部8を有しており、中間リブ7および下方リブ8は容器1の径方向内側に窪んだ溝からなる。
【0024】
胴部4は、中間リブ7から容器1の軸心方向一側の上部領域9が肩部3に向けて漸次に容器1の径方向に広がり、中間リブ7から容器1の軸心方向他側の下部領域10が下方リブ部8に向けて漸次に容器1の径方向に広がっている。
【0025】
また、下部領域10には、中間リブ7から下方リブ部8に向けて伸びる複数の窪み11を、容器1の周方向に間隔をあけて並列に形成してある。窪み11は、底部が平板状に広がる胴下部パネル部11aと、胴下部パネル部11aを囲む周壁11bからなる。 肩部3は、口部2から胴部4に向けて円錐台状に広がるパネル面部12を有し、肩部3と胴部4の境をなすパネル面部外側縁13に複数の縁補強リブ部14と支保リブ部15を有している。
【0026】
縁補強リブ部14は、容器1の軸心周りに沿って断続的に形成し、容器1の軸心周りに円弧状をなす。支保リブ15は縁補強部リブ14の相互間に容器1の軸心周りに沿って間欠的に形成している。
【0027】
縁補強リブ部14は、容器1の径方向内側へ窪む凹部16からなる。パネル面部12に続く凹部16の一側壁は、容器1の軸心方向に延びるとともに、容器1の軸心周りに湾曲して、筒体の一部のような筒状片部17を形成し、筒状片部17が容器1の軸心方向の耐力壁となる。
【0028】
胴部4に続く凹部16の他側壁は、容器1の径方向内側に向けて延びるとともに、容器1の軸心周りに環状をなすテーパーの一部のような環状片部18を形成し、環状片部18が容器1の径方向の耐力壁となり、容器1の軸心に対して傾斜角を有することで、容器1の軸心方向の力に対する座屈強度の向上に寄与する。
【0029】
支保リブ部15は、縁補強リブ部14の凹部16から容器1の径方向外側へ膨らむ凸部19からなり、パネル面部12から胴部4に至る天面部20が、容器1の軸心に対して傾斜角を有する平坦面をなし、天面部20が小さなR形状の繋部21を介してパネル面部12と胴部4に続いている。凸部19は容器1の周方向の両側の側壁面22が天面部20と筒状片部17と環状片部18に続いている。
【0030】
この構成により、容器1は肩部3がパネル面部外側縁13に凹部14と凸部19を交互に形成したパネル構造をなし、内容物充填後の減圧変形に抗するのに必要な十分な剛性を確保できる。
【0031】
支保リブ部15は、容器1の周方向の複数個所において口部2から胴部4に向けて円錐台状に広がるパネル面部12を、縁補強リブ部14を介することなく、胴部4に直接に接続する。この構造により、容器1の軸心方向に作用する力に対して座屈することのない十分な強度をパネル構造に実現する。
【0032】
パネル面部外側縁13に円弧状の凹部16をなす縁補強リブ14を容器1の周方向の複数個所に配置し、縁補強リブ14の相互間を支保リブ部15で接続することで、容器1の径方向に作用する熱収縮の負荷に対する十分な強度を確保するとともに、容器1の軸心方向に作用する力に対して座屈することのない十分な強度を確保し、容器1に必要とする剛性を実現する。
【0033】
すなわち、円弧状の縁補強リブ部14の凹部16は、容器の軸心方向の耐力壁をなす筒状片部17と、容器1の径方向の耐力壁をなす環状片部18を有するので、座屈補強および耐熱補強を果たすことができる。また、支保リブ部15の凸部19の天面部20が、容器1の軸心に対して傾斜角を有する平坦面をなすことで、容器1の軸心方向の力に対する座屈強度が高まる。
(実施例2)
次に、本発明に係る容器の他の実施の形態を図6から図7を参照して説明する。先の実施例1において説明したものと同様の構成部材には同符号を付して説明を省略する。
【0034】
この実施例2の構造において特徴的な部位は、胴部1の上部領域9に設けた複数の胴上部パネル部31と、下部領域10に設けた複数の補強凹部32である。
【0035】
各胴上部パネル部31は、容器1の軸心方向において各胴下部パネル部11aと対をなす位置に設けており、容器1の外周面が容器1の径方向内側に変形した形状をなし、平板状もしくは緩やかに湾曲する曲面状をなす。胴上部パネル部31は、周囲を容器1の通常の外周面に囲まれており、容器1の軸心方向一側が支保リブ部15の近くにまで広がり、容器1の軸心方向他側が中間リブ部7の近くにまで広がっている。
【0036】
胴上部パネル部31は容器1の周方向の両側縁が折れ線部31aを介して容器1の通常の外周面に繋がり、容器1の軸心方向一側が径方向外側に向く傾斜面31bを介して容器1の通常の外周面に繋がり、容器1の軸心方向他側が中間リブ部7の近傍において容器1の通常の外周面に繋がっている。
【0037】
補強凹部32は、下方リブ部8の近傍に位置し、容器1の周方向において胴下部パネル部11aの相互間に位置しており、容器1の外周面が容器1の径方向内側に曲面状に窪んだ形状をなしている。
【0038】
この構成により、胴下部パネル部11aによる減圧吸収作用に加えて胴上部パネル部31による減圧吸収作用によって容器1としての減圧吸収性能が向上する。また、補強凹部32によって、下方リブ部8による減圧強度の確保に加えて、胴部下部の減圧強度が向上し、胴下部パネル部11aによる減圧吸収時における胴部下部の変形を防止できる。
【0039】
また、胴上部パネル部31が支保リブ部15の近くにまで広がることで、肩部3のパネル構造と相まって容器1の上部における座屈補強および耐熱補強を果たすことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
5 開口
6 底部
7 中間リブ部
8 下方リブ部
9 上部領域
10 下部領域
11 窪み
11a 胴下部パネル部
11b 周壁
12 パネル面部
13 パネル面部外側縁
14 縁補強リブ部
15 支保リブ部
16 凹部
17 筒状片部
18 環状片部
19 凸部
20 天面部
21 繋部
22 側壁面
31 胴上部パネル部
31a 折れ線部
31b 傾斜面
32 補強凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7