IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社竹内製作所の特許一覧

<>
  • 特開-作業用車両 図1
  • 特開-作業用車両 図2
  • 特開-作業用車両 図3
  • 特開-作業用車両 図4
  • 特開-作業用車両 図5
  • 特開-作業用車両 図6
  • 特開-作業用車両 図7
  • 特開-作業用車両 図8
  • 特開-作業用車両 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121031
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027876
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲也
(57)【要約】
【課題】車載充電器として単相電源用充電器を搭載し、三相電源を含む2種類の外部電源および3種類の電源ケーブルによる電力の供給が可能な作業用車両を提供する。
【解決手段】本発明に係る作業用車両1は、外部電源PSから電力を供給する電源ケーブルCaが連結される中継部品60と、電動モータ18に電力を供給する並列配置の3台の単相電源用充電器62A、62B、62Cとを備え、中継部品60として、外部電源PSが三相電源であって電源ケーブルCaがアース線を含む4線式の出力プラグPgAを有する場合に第1中継部品60A、外部電源PSが三相電源であって電源ケーブルCaがアース線を含む5線式の出力プラグPgBを有する場合に第2中継部品60B、外部電源PSが単相電源であって電源ケーブルCaがアース線を含む3線式の出力プラグPgCを有する場合に第3中継部品60Cから対応する一つが選択されて車体3に取付けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、走行装置と、油圧により作動する作業装置と、前記走行装置もしくは前記作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両であって、
前記電動モータを駆動するための電力を供給する車載充電器と、
外部電源と接続する接続部と、
前記接続部と前記車載充電器とを接続する配線部と、
を備え、
前記接続部および前記配線部は、前記外部電源の仕様に応じて複数種類が準備されると共に、該複数種類の中から対応する一つが選択されて前記車体に取付け可能なように該接続部、該配線部、および前記車体が構成されていること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
車体と、走行装置と、油圧により作動する作業装置と、前記走行装置もしくは前記作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両であって、
前記電動モータを駆動するための電力を供給する車載充電器と、
外部電源から電力を供給する外部の電源ケーブルが連結されるインレット、および、前記インレットと前記車載充電器とを接続するための中間ハーネス、を有する中継部品と、を備え、
前記車載充電器として、3台の単相交流電源用充電器が並列回路を構成するように設けられており、
前記中継部品として、
前記外部電源が三相交流電源であって前記電源ケーブルがアース線を含む4線式の出力プラグを有する場合に、該出力プラグが着脱可能に連結される4線式の第1インレット、および、該インレットから配線分岐・組替えの少なくとも一方を伴って3本に分岐されると共に分岐先の各先端部に単相交流電源を出力する1個の出力端子が設けられる第1中間ハーネス、を有する第1中継部品、
前記外部電源が三相交流電源であって前記電源ケーブルがアース線を含む5線式の出力プラグを有する場合に、該出力プラグが着脱可能に連結される5線式の第2インレット、および、該インレットから配線分岐・組替えの少なくとも一方を伴って3本に分岐されると共に分岐先の各先端部に単相交流電源を出力する1個の出力端子が設けられる第2中間ハーネス、を有する第2中継部品、
前記外部電源が単相交流電源であって前記電源ケーブルがアース線を含む3線式の出力プラグを有する場合に、該出力プラグが着脱可能に連結される3線式の第3インレット、および、該インレットから配線分岐・組替えの少なくとも一方を伴って3本に分岐されると共に分岐先の各先端部に単相交流電源を出力する1個の出力端子が設けられる第3中間ハーネス、を有する第3中継部品、
から対応する一つが選択されて、前記車体に取付けられる構成であり、
前記中継部品の3個の前記出力端子は、それぞれ、対応する3台の前記車載充電器の入力端子に電気的に接続されること
を特徴とする作業用車両。
【請求項3】
電力供給の制御を行う制御部と、
前記電動モータを駆動するための電力を供給する蓄電池と、を備え、
前記制御部は、前記車載充電器から前記蓄電池に電力を供給して前記蓄電池を充電する制御と、前記車載充電器から前記電動モータに電力を供給して前記電動モータを駆動する制御とを、両方同時にもしくは片方ずつ切替えて行うこと
を特徴とする請求項2に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記第1中継部品、前記第2中継部品、および前記第3中継部品は、それぞれの前記出力端子の形状が同一に形成されていること
を特徴とする請求項2または請求項3に記載の作業用車両。
【請求項5】
前記第1中継部品、前記第2中継部品、および前記第3中継部品は、前記第1インレットを前記車体に固定する固定部の形状、前記第2インレットを前記車体に固定する固定部の形状、および前記第3インレットを前記車体に固定する固定部の形状が同一に形成されていること
を特徴とする請求項2または請求項3に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する作業装置と、作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、走行用のクローラもしくはタイヤが取付けられた下部体と、下部体の上に配設された上部体と、下部体もしくは上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備える油圧ショベル、トラックローダ等が従来より知られている。
【0003】
昨今では、従来のエンジンに代えて電動モータによって駆動される作業用車両が開発されている(特許文献1:特許第6463537号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6463537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に例示される電動モータによって駆動される作業用車両は、車体に搭載された車載充電器に外部の電源ケーブルを接続して、外部電源から電力を供給する方式が広く採用されている。
【0006】
ここで、電動モータによって駆動される作業用車両のユーザーが使用する外部電源および電源ケーブルは、複数の仕様がある。具体的に、(1)外部電源が三相交流電源であって電源ケーブルがアース線を含む4線式の出力プラグを有する場合、(2)外部電源が三相交流電源であって電源ケーブルがアース線を含む5線式の出力プラグを有する場合、(3)外部電源が単相交流電源であって電源ケーブルがアース線を含む3線式の出力プラグを有する場合、の少なくとも3種類の仕様がある(なお、三相交流電源には200Vおよび400V、また、単相交流電源には100Vおよび200V、等に例示される電圧の相違もあるが、それらは、配線や機器類の耐圧性能の変更で対応できるため、上記(1)~(3)の3種類に対応する基本構成を検討すれば足りる)。
【0007】
外部電源が三相交流電源と単相交流電源とで相違する場合、一案として、作業用車両に専用の車載充電器、すなわち三相交流電源用充電器もしくは単相交流電源用充電器のいずれかを搭載する対応手段が考えられる。その場合、車載充電器として単相交流電源用充電器が搭載された作業用車両に対しては、三相交流電源の外部電源から電力を供給することができず、同様に、車載充電器として三相交流電源用充電器が搭載された作業用車両に対しては、単相交流電源の外部電源から電力を供給することができないという課題が生じ得る。また、電源の仕様が同じであっても、電源ケーブルのピン数が相違する場合には、電力を供給することができないという課題が生じ得る。
【0008】
一方、電源の相違に対しては、別案として、作業用車両に電源の変換を行うトランス、相変換器等を搭載する対応手段も考えられる。しかしながらその場合、車両構造の複雑化、車両コストの上昇、組立て工数の増加という課題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、三相交流電源を単相交流電源に変換する機器を搭載せずに、車載充電器として単相交流電源用充電器のみを搭載する構成によって、少なくとも三相交流電源を含む2種類の外部電源および3種類の電源ケーブルによる電力の供給が可能となる作業用車両を実現することを目的とする。
【0010】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0011】
本実施形態に係る作業用車両は、車体と、走行装置と、油圧により作動する作業装置と、前記走行装置もしくは前記作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両であって、前記電動モータを駆動するための電力を供給する車載充電器と、外部電源と接続する接続部と、前記接続部と前記車載充電器とを接続する配線部と、を備え、前記接続部および前記配線部は、前記外部電源の仕様に応じて複数種類が準備されると共に、該複数種類の中から対応する一つが選択されて前記車体に取付け可能なように該接続部、該配線部、および前記車体が構成されていることを要件とする。
【0012】
本実施形態に係る作業用車両は、車体と、走行装置と、油圧により作動する作業装置と、前記走行装置もしくは前記作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両であって、前記電動モータを駆動するための電力を供給する車載充電器と、外部電源から電力を供給する外部の電源ケーブルが連結されるインレット、および、前記インレットと前記車載充電器とを接続するための中間ハーネス、を有する中継部品と、を備え、前記車載充電器として、3台の単相交流電源用充電器が並列回路を構成するように設けられており、前記中継部品として、前記外部電源が三相交流電源であって前記電源ケーブルがアース線を含む4線式の出力プラグを有する場合に、該出力プラグが着脱可能に連結される4線式の第1インレット、および、該インレットから配線分岐・組替えの少なくとも一方を伴って3本に分岐されると共に分岐先の各先端部に単相交流電源を出力する1個の出力端子が設けられる第1中間ハーネス、を有する第1中継部品、前記外部電源が三相交流電源であって前記電源ケーブルがアース線を含む5線式の出力プラグを有する場合に、該出力プラグが着脱可能に連結される5線式の第2インレット、および、該インレットから配線分岐・組替えの少なくとも一方を伴って3本に分岐されると共に分岐先の各先端部に単相交流電源を出力する1個の出力端子が設けられる第2中間ハーネス、を有する第2中継部品、前記外部電源が単相交流電源であって前記電源ケーブルがアース線を含む3線式の出力プラグを有する場合に、該出力プラグが着脱可能に連結される3線式の第3インレット、および、該インレットから配線分岐・組替えの少なくとも一方を伴って3本に分岐されると共に分岐先の各先端部に単相交流電源を出力する1個の出力端子が設けられる第3中間ハーネス、を有する第3中継部品、から対応する一つが選択されて、前記車体に取付けられる構成であり、前記中継部品の3個の前記出力端子は、それぞれ、対応する3台の前記車載充電器の入力端子に電気的に接続されることを要件とする。
【0013】
上記の構成によれば、車載充電器として単相交流電源用充電器のみを搭載する構成によって、少なくとも三相交流電源を含む2種類の外部電源および3種類の電源ケーブルによる電力の供給が可能となる作業用車両を実現することができる。その際、三相交流電源を単相交流電源に変換するトランス、相変換器等の機器を車両および外部のいずれにも設ける必要がない。したがって、車両構造の簡素化およびコストダウンを図ることができる。なお、電動モータに電力を供給する蓄電池が作業用車両に搭載される場合、搭載されない場合のいずれにおいても、車載充電器に電源ケーブルを接続したままの状態での稼働(いわゆる有線稼働)が可能となる。
【0014】
また、電力供給の制御を行う制御部と、前記電動モータを駆動するための電力を供給する蓄電池と、を備え、前記制御部は、前記車載充電器から前記蓄電池に電力を供給して前記蓄電池を充電する制御と、前記車載充電器から前記電動モータに電力を供給して前記電動モータを駆動する制御とを、両方同時にもしくは片方ずつ切替えて行うことが好ましい。
【0015】
また、前記第1中継部品、前記第2中継部品、および前記第3中継部品は、それぞれの前記出力端子の形状が同一に形成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記第1中継部品、前記第2中継部品、および前記第3中継部品は、前記第1インレットを前記車体に固定する固定部の形状、前記第2インレットを前記車体に固定する固定部の形状、および前記第3インレットを前記車体に固定する固定部の形状が同一に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、三相交流電源を単相交流電源に変換する機器を搭載せずに、車載充電器として単相交流電源用充電器のみを搭載する構成によって、少なくとも三相交流電源を含む2種類の外部電源および3種類の電源ケーブルによる電力の供給が可能となる作業用車両を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す作業用車両の車載充電器の搭載状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す作業用車両の中継部品および車載充電器の例を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示す作業用車両の電源回路の主要構成を説明する模式図である。
図5図5は、図4に示す模式図の一部を詳細に示す図である。
図6図6は、図1に示す作業用車両の中継部品の例を示す斜視図である。
図7図7は、第1中継部品の構成を説明する模式図である。
図8図8は、第2中継部品の構成を説明する模式図である。
図9図9は、第3中継部品の構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左後部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0020】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。作業用車両1として、油圧ショベルを例に挙げて説明する。ただし、作業用車両1は、油圧ショベルに限定されるものではない。
【0021】
図1に示すように、作業用車両1は、車体として下部体2および下部体2の上に配設される上部体3を備えている(なお、下部体2と上部体3とが一体の構成であってもよい)。
【0022】
作業用車両1は、下部体2や上部体3に取付けられて油圧(所定圧力の作動油)により作動する作業装置12、14を備えている。下部体2は、走行を行う走行装置10を備えている。上部体3は、前部にオペレータが乗車して走行や作業の操作を行う操作装置が設けられた運転室16を備えている。
【0023】
走行装置10の例として、左右に一対のクローラ(無限軌道)26を備えている。ただし、走行装置10は、クローラ26に限定されるものではない。他の例として、作業用車両1は、クローラ26に代えてタイヤを備える構成としてもよい(不図示)。クローラ26は、走行油圧モータ(不図示)によって駆動(走行)される。
【0024】
作業装置12の例として、排土板24を備えている。排土板24は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に下部体2に取付けられている。排土板24は、油圧シリンダ(排土板シリンダ)32によって駆動される。ただし、作業装置12は、上記の構成に限定されるものではない。
【0025】
作業装置14の例として、ブーム42、アーム44、およびアタッチメント(本実施形態においては、バケット)46を備えている。ただし、アタッチメント46はバケットに限定されるものではない。ブーム42は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に上部体3に取付けられている。本実施形態においては、上部体3とブーム42との間にブームブラケット(不図示)が設けられている。ブームブラケットによって、ブーム42は上部体3に対して左右(前後成分を含む)に揺動可能となる。なお、ブームブラケットは省略されてもよい。アーム44は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にブーム42に取付けられている。アタッチメント46は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にアーム44に取付けられている。ブーム42は、油圧シリンダ(ブームシリンダ)52によって駆動される。アーム44は、油圧シリンダ(アームシリンダ)54によって駆動される。アタッチメント46は、油圧シリンダ(バケットシリンダ)56によって駆動される。ただし、作業装置14は、上記の構成に限定されるものではない。
【0026】
上記の走行油圧モータ、および各油圧シリンダの駆動を行うための駆動機構は、一例として駆動源18により駆動される油圧ポンプ20、制御バルブ等から構成されている。オペレータが操作装置を操作することにより制御バルブを作動させて、油圧ポンプ20から送出される所定圧力の作動油を走行油圧モータ、および各油圧シリンダに供給する制御が行われる。これにより、走行装置10による走行、および作業装置12、14による作業を行うことができる。駆動機構を構成する油圧ポンプ20は、作業装置12、14や走行装置10の構成や負荷等に応じて、1個もしくは複数個が設けられる。
【0027】
本実施形態において、作業用車両1は、上記の駆動源18として電動モータを備えている。駆動源18を構成する電動モータは、上記の油圧ポンプ20の個数や定格出力等に応じて、1個もしくは複数個が設けられる。なお、駆動源18の他の例として、電動モータに加えてエンジンを併用する構成としてもよい(不図示)。
【0028】
また、作業用車両1は、電動モータ18に電力を供給する車載充電器62を備えている。図2はカバーや蓄電池等を非表示として車載充電器62の搭載状態を示す斜視図である。図3は車載充電器62および後述の中継部品60の構成を示す斜視図である。
【0029】
次に、作業用車両1の電源回路を構成する主要機器の構成例を図4に示す。外部電源PSから電力が供給される外部の電源ケーブルCaは、車体(本実施形態では、上部体3)に設けられる中継部品60に着脱可能に連結される。なお、中継部品60の構成、および中継部品60と車載充電器62とを接続する構成の詳細については後述する。車載充電器62から出力される電力は、バッテリパック64、インバータ66を介して電動モータ18に供給される。バッテリパック64は、供給された電力を蓄える第1蓄電池(例えば、リチウムイオン蓄電池)70、電動モータ18や蓄電池(第1蓄電池)70への電力供給の制御を行う制御部72、等を備えている。バッテリパック64には、第2蓄電池(例えば、鉛蓄電池)74、各スイッチ(コントローラ)76が接続されている。
【0030】
制御部72は、車載充電器62から蓄電池(第1蓄電池)70に電力を供給して蓄電池(第1蓄電池)70を充電する制御と、車載充電器62から電動モータ18に電力を供給して電動モータ18を駆動する制御とを、両方同時にもしくは片方ずつ切替えて行う。すなわち、電源ケーブルCaが中継部品60に接続された状態において、蓄電池(第1蓄電池)70を充電するモードと、電動モータ18を駆動するモードとを、適宜、両方もしくは片方ずつ実施することができる。
【0031】
なお、電源回路の他の例として、バッテリパック64に蓄電池(第1蓄電池)70を搭載せずに、外部の電源ケーブルCaを常に連結した状態で稼働(有線稼働)を行う構成とすることも可能である。
【0032】
本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構については、公知の作業用車両(油圧ショベル)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0033】
続いて、中継部品60の構成、および中継部品60と車載充電器62とを接続する構成の詳細について説明する。図5に中継部品60および車載充電器62の構成例を詳しく説明する模式図を示す。
【0034】
本実施形態に係る車載充電器62として、3台の単相交流電源用充電器62A、62B、62Cが並列回路を構成するように設けられている。
【0035】
本実施形態に係る中継部品60として、第1中継部品60A、第2中継部品60B、第3中継部品60Cのうちから、外部電源PSおよび電源ケーブルCaに対応する一つが選択されて、車体(上部体3)に取付けられる構成である。なお、図6に、着脱式のキャップ80aが嵌設された状態の中継部品60の斜視図を示す。
【0036】
第1中継部品60Aは、外部電源PSが三相交流電源であって、電源ケーブルCaがアース線を含む4線式の出力プラグPgAを有する場合に対応する構成を備えている。具体的に、第1中継部品60Aは、出力プラグPgAが着脱可能に連結される4線式のインレット80A(本願において「第1インレット」と称する場合がある)を備えている(図7参照)。第1中継部品60Aは、当該インレット80Aから配線分岐・組替えの少なくとも一方がなされて3本に分岐され、且つ、分岐先の各先端部に単相交流電源を出力するアース線を含む3線式(もしくは、アース線が省略された2線式)の出力端子84A、84B、84Cが設けられる中間ハーネス82A(本願において「第1中間ハーネス」と称する場合がある)を備えている。一例として、出力端子84Aと、出力端子84Bと、出力端子84Cとは、形状が同一に形成されている。
【0037】
第2中継部品60Bは、外部電源PSが三相交流電源であって、電源ケーブルCaがアース線を含む5線式の出力プラグPgBを有する場合に対応する構成を備えている。具体的に、第2中継部品60Bは、出力プラグPgBが着脱可能に連結される5線式のインレット80B(本願において「第2インレット」と称する場合がある)を備えている(図8参照)。第2中継部品60Bは、当該インレット80Bから配線分岐・組替えの少なくとも一方がなされて3本に分岐され、且つ、分岐先の各先端部に単相交流電源を出力するアース線を含む3線式(もしくは、アース線が省略された2線式)の出力端子84A、84B、84Cが設けられる中間ハーネス82B(本願において「第2中間ハーネス」と称する場合がある)を備えている。一例として、出力端子84Aと、出力端子84Bと、出力端子84Cとは、形状が同一に形成されている。
【0038】
第3中継部品60Cは、外部電源PSが単相交流電源であって、電源ケーブルCaがアース線を含む3線式の出力プラグPgCを有する場合に対応する構成を備えている。具体的に、第3中継部品60Cは、出力プラグPgCが着脱可能に連結される3線式のインレット80C(本願において「第3インレット」と称する場合がある)を備えている(図9参照)。第3中継部品60Cは、当該インレット80Cから配線分岐・組替えの少なくとも一方がなされて3本に分岐され、且つ、分岐先の各先端部に単相交流電源を出力するアース線を含む3線式(もしくは、アース線が省略された2線式)の出力端子84A、84B、84Cが設けられる中間ハーネス82C(本願において「第3中間ハーネス」と称する場合がある)を備えている。一例として、出力端子84Aと、出力端子84Bと、出力端子84Cとは、形状が同一に形成されている。
【0039】
上記の中継部品60は、車載充電器62に電気的に接続される。具体的に、中継部品60が、第1中継部品60A、第2中継部品60B、第3中継部品60Cのいずれであっても、中間ハーネス82A、82B、82Cの各先端に設けられる出力端子84A、84B、84Cは、それぞれ、対応する3台の車載充電器62A、62B、62Cの入力端子63A、63B、63Cに電気的に接続される(直接、連結してもよく、他の配線を介して連結してもよい)。
【0040】
本実施形態においては、中間ハーネス82A、82B、82Cの出力端子84Aが、車載充電器62Aの入力端子63A(なお、63Bもしくは63Cとする構成も可能である)に電気的に接続される。中間ハーネス82A、82B、82Cの出力端子84Bが、車載充電器62Bの入力端子63B(なお、63Cもしくは63Aとする構成も可能である)に電気的に接続される。中間ハーネス82A、82B、82Cの出力端子84Cが、車載充電器62Cの入力端子63C(なお、63Aもしくは63Bとする構成も可能である)に電気的に接続される。
【0041】
本実施形態によれば、車載充電器62として単相交流電源用充電器のみ(本実施形態では、3台の単相交流電源用充電器62A、62B、62C)を搭載する構成によって、少なくとも三相交流電源を含む2種類の外部電源PSおよび3種類の電源ケーブルCaに対して、作業用車両1に電力を供給することが可能となる。その際、三相交流電源を単相交流電源に変換するトランス、相変換器等の機器を車両および外部のいずれにも設ける必要がない。したがって、車両構造の簡素化およびコストダウンを図ることができる。
【0042】
なお、電動モータ18に電力を供給する蓄電池(前述の第1蓄電池70)が作業用車両1に搭載される場合、搭載されない場合のいずれにおいても、車載充電器62に電源ケーブルCaを接続したままの状態での稼働(有線稼働)が可能に構成されている。
【0043】
さらに、本実施形態においては、第1中継部品60Aの出力端子84A、84B、84Cと、第2中継部品60Bの出力端子84A、84B、84Cと、第3中継部品60Cの出力端子84A、84B、84Cとは、形状が同一に形成されている。
【0044】
この構成によれば、外部の電源ケーブルCaの出力プラグ(PgA、PgB、PgCのいずれか)に対応して、第1中継部品60A、第2中継部品60B、第3中継部品60Cのうちのいずれが選択される場合であっても、出力端子84A、84B、84Cが連結される車載充電器62(62A、62B、62C)側の入力端子63A、63B、63Cを共通化することができる。したがって、複数種類の入力端子を用意する必要がないため、製造コストを低減することができる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、第1中継部品60A、第2中継部品60B、第3中継部品60Cは、それぞれのインレット(第1インレット)80Aを車体(上部体3)に固定する固定部81と、インレット(第2インレット)80Bを車体(上部体3)に固定する固定部81と、インレット(第2インレット)80Cを車体(上部体3)に固定する固定部81とは、形状が同一に形成されている。
【0046】
この構成によれば、外部の電源ケーブルCaの出力プラグ(PgA、PgB、PgCのいずれか)に対応して、第1中継部品60A、第2中継部品60B、第3中継部品60Cのうちのいずれが選択される場合であっても、固定部81を固定するために車体(上部体3)に設けられる台座(不図示)を共通化することができる。したがって、複数種類の台座を用意する必要がないため、製造コストを低減することができる。
【0047】
以上説明した通り、本発明によれば、三相交流電源を単相交流電源に変換する機器(トランス、相変換器等)を搭載せずに、車載充電器62として単相交流電源用充電器のみ(62A、62B、62C)を搭載する構成によって、少なくとも三相交流電源を含む2種類の外部電源PSおよび3種類の電源ケーブルCaによる電力の供給が可能となる作業用車両1を実現することができる。
【0048】
なお、中継部品60は、上記の3種類に限定されるものではなく、外部電源PSや電源ケーブルCaがさらに異なる仕様の場合に、それに対応する構成として用意して選択すればよい。
【0049】
すなわち、本発明は、以下の上位概念によって表すことができる。具体的に、本発明に係る作業用車両1は、車体2、3と、走行装置10と、油圧により作動する作業装置12、14と、前記走行装置10もしくは前記作業装置12、14の駆動源となる電動モータ18と、を備える作業用車両であって、前記電動モータ18を駆動するための電力を供給する車載充電器62と、外部電源PSと接続する接続部と、前記接続部と前記車載充電器62とを接続する配線部と、を備え、前記接続部および前記配線部は、前記外部電源PSの仕様に応じて複数種類が準備されると共に、該複数種類の中から対応する一つが選択されて前記車体(上部体3)に取付け可能なように該接続部、該配線部、および前記車体(上部体3)が構成されていることを要件とする。なお、接続部は、前述の実施形態におけるインレット80A、80B、80C、または、インレット80A、80B、80Cおよびこれに接続されるケーブル(例えば、電源ケーブルCa、もしくは、中継ケーブル等)により例示される。また、配線部は、前述の実施形態における中間ハーネス82A、82B、82C、または、中間ハーネス82A、82B、82Cおよびこれに接続されるケーブル(例えば、中継ケーブル等)により例示される。
【0050】
本発明は、上記の例(油圧ショベル)に限定されるものではない。本発明は、その他の作業用車両(例えば、トラックローダ、キャリア等)に対して同様に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 作業用車両
10 走行装置
12、14 作業装置
18 駆動源(電動モータ)
60、60A、60B、60C 中継部品
62、62A、62B、62C 車載充電器
80A インレット(第1インレット)
80B インレット(第2インレット)
80C インレット(第3インレット)
82A 中間ハーネス(第1中間ハーネス)
82B 中間ハーネス(第2中間ハーネス)
82C 中間ハーネス(第3中間ハーネス)
84A、84B、84C 出力端子
Ca 電源ケーブル
PS 外部電源
PgA、PgB、PgC 出力プラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9