(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121032
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】外置充電器台車および外置充電器の運搬方法
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20240830BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B62B3/00 Z
E02F9/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027877
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】粂内 健吾
【テーマコード(参考)】
2D015
3D050
【Fターム(参考)】
2D015AA00
2D015GB07
3D050AA13
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050HH01
3D050KK02
(57)【要約】
【課題】外置充電器を容易に運搬し、且つ、運搬中の落下を確実に防止する。
【解決手段】電動モータによって駆動される作業用車両に電力を供給する外置充電器2を運搬する外置充電器台車1であって、外置充電器2が載置される台座10と、台座10に取付けられるキャスター12および支柱14とを備え、台座10もしくは支柱14には、作業用車両の排土板122が係止可能な係止部20が設けられており、係止部20は、排土板122を係止させた状態からさらに排土板122を上昇させることによってキャスター12を地面から離間させた状態において、排土板122に対してガタツキの発生を防止する移動規制部材30が取付け可能に構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータによって駆動される作業用車両に対して電力を供給する外置充電器を運搬するための外置充電器台車であって、
前記外置充電器が載置される台座と、
前記台座に取付けられるキャスターおよび支柱と、を備え、
前記台座もしくは前記支柱には、作業用車両の排土板の上端部を係止可能な係止部が設けられており、
前記係止部は、前記上端部を係止させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記キャスターを地面から離間させた状態において、前記排土板に対してガタツキの発生を防止する移動規制部材が取付け可能に構成されていること
を特徴とする外置充電器台車。
【請求項2】
前記係止部は、
側面視で下向きに開口するU字状に形成されており、
前記上端部を進入させて開口の底部となる位置に当接させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記キャスターを地面から離間させた状態において、後部側の内面が前記排土板の後面と当接し、前部側の内面が前記排土板の前面と当接せずに所定寸法の空間部が生じる構成であり、且つ、前記空間部の内部において前記排土板の前面が前記前部側の内面に当接する方向へ移動することを規制する前記移動規制部材が取付け可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の外置充電器台車。
【請求項3】
前記移動規制部材として、U字状の形状を有する部材が用いられる構成であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の外置充電器台車。
【請求項4】
前記移動規制部材として、U字状の形状を有し、且つ、外置充電器台車に設けられたホルダに収納・取出しが可能に保持されると共に、前記キャスターに対して係止・取外しが可能に構成されており、前記キャスターに対して係止することによって前記キャスターの回転を防止する輪止めが兼用される構成であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の外置充電器台車。
【請求項5】
前記係止部は、前記排土板の前記上端部に代えて、もしくは前記排土板の前記上端部に加えて、作業用車両のバケットの接地側部分の前端部が進入可能に構成されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の外置充電器台車。
【請求項6】
電動モータによって駆動される作業用車両に対して電力を供給する外置充電器の運搬方法であって、
外置充電器を外置充電器台車に載置する載置工程と、
前記外置充電器台車に設けられた係止部に対して、作業用車両の排土板の上端部を係止させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記外置充電器台車のキャスターが地面から離間した状態とする上昇工程と、
前記排土板に対してガタツキの発生を防止する移動規制部材を前記係止部に取付ける取付け工程と、
前記排土板を有する作業用車両を走行させて前記外置充電器を運搬する運搬工程と、を備えること
を特徴とする外置充電器の運搬方法。
【請求項7】
前記上昇工程は、前記外置充電器台車に設けられた側面視で下向きに開口するU字状の前記係止部に対して、前記排土板の前記上端部を進入させて開口の底部となる位置に当接させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記外置充電器台車の前記キャスターが地面から離間した状態とする工程を有し、
前記取付け工程は、前記係止部の後部側の内面が前記排土板の後面と当接し、前記係止部の前部側の内面が前記排土板の前面と当接せずに所定寸法の空間部が生じた状態とし、前記空間部の内部において前記排土板の前面が前記前部側の内面に当接する方向へ移動することを規制する前記移動規制部材を前記係止部に取付ける工程を有すること
を特徴とする請求項6に記載の外置充電器の運搬方法。
【請求項8】
前記移動規制部材として、前記キャスターの回転を防止する輪止めが兼用される構成であること
を特徴とする請求項6または請求項7に記載の外置充電器の運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータによって駆動される作業用車両に対して電力を供給する外置充電器を運搬するための外置充電器台車および外置充電器の運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、走行用のクローラもしくはタイヤが取付けられた下部体と、下部体の上に配設された上部体と、下部体もしくは上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備える油圧ショベル、トラックローダ等が従来より知られている。
【0003】
昨今では、従来のエンジンに代えて電動モータによって駆動される作業用車両が開発されている(特許文献1:特許第6463537号公報参照)。このような作業用車両に対して電力を供給する外部の外置充電器が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電動モータによって駆動される作業用車両は、作業現場において作業を行うにあたり、作業用車両と外置充電器とを接続して電力を供給しなければならない状況が少なからず発生する。しかし、作業現場は整地されていない土の地面である場合がほとんどのため、重量物である外置充電器をいかにして運搬するかが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、整地されていない作業現場であっても、重量物である外置充電器を容易に運搬することができ、且つ、運搬中の落下を確実に防止できる外置充電器台車および外置充電器の運搬方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本実施形態に係る外置充電器台車は、電動モータによって駆動される作業用車両に対して電力を供給する外置充電器を運搬するための外置充電器台車であって、前記外置充電器が載置される台座と、前記台座に取付けられるキャスターおよび支柱と、を備え、前記台座もしくは前記支柱には、作業用車両の排土板の上端部を係止可能な係止部が設けられており、前記係止部は、前記上端部を係止させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記キャスターを地面から離間させた状態において、前記排土板に対してガタツキの発生を防止する移動規制部材が取付け可能に構成されていることを要件とする。一実施形態として、前記係止部は、側面視で下向きに開口するU字状に形成されており、前記上端部を進入させて開口の底部となる位置に当接させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記キャスターを地面から離間させた状態において、後部側の内面が前記排土板の後面と当接し、前部側の内面が前記排土板の前面と当接せずに所定寸法の空間部が生じる構成であり、且つ、前記空間部の内部において前記排土板の前面が前記前部側の内面に当接する方向へ移動することを規制する前記移動規制部材が取付け可能に構成されている。
【0009】
上記の構成によれば、外置充電器が載置された状態の外置充電器台車を、作業用車両の排土板によって持上げることができる。さらに、その状態で作業用車両を走行させることによって当該外置充電器台車を運搬することができる。したがって、重量物である外置充電器を容易に運搬することができる。一方、整地されていない地面上で作業用車両を走行させると、作業用車両ひいては排土板の上下方向の揺動が生じて、運搬中の外置充電器台車が排土板から外れて落下する不具合が生じ易くなる。これに対して、排土板を係止させる外置充電器台車の係止部に、当該係止部の空間部内部における排土板の移動を規制する移動規制部材を設けている。したがって、運搬中における外置充電器の落下を確実に防止することができる。
【0010】
また、前記移動規制部材として、U字状の形状を有する部材が用いられる構成であることが好ましい。特に、前記移動規制部材として、U字状の形状を有し、且つ、外置充電器台車に設けられたホルダに収納・取出しが可能に保持されると共に、前記キャスターに対して係止・取外しが可能に構成されており、前記キャスターに対して係止することによって前記キャスターの回転を防止する輪止めが兼用される構成であることが好ましい。これによれば、外置充電器台車の転動を防止するための輪止めを、排土板の移動規制部材として用いることができる。したがって、移動規制部材を別途、専用部材として製造し、用意する必要がないため、コストダウンを図ることができる。また、輪止めは外置充電器台車に備え付けられているため、作業現場への持ち込みを失念するおそれがなく、確実に使用することができる。
【0011】
なお、前記係止部は、前記排土板の前記上端部に代えて、もしくは前記排土板の前記上端部に加えて、作業用車両のバケットの接地側部分の前端部が進入可能に構成されていてもよい。
【0012】
また、本実施形態に係る外置充電器の運搬方法は、電動モータによって駆動される作業用車両に対して電力を供給する外置充電器の運搬方法であって、外置充電器を外置充電器台車に載置する載置工程と、前記外置充電器台車に設けられた係止部に対して、作業用車両の排土板の上端部を係止させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記外置充電器台車のキャスターが地面から離間した状態とする上昇工程と、前記排土板に対してガタツキの発生を防止する移動規制部材を前記係止部に取付ける取付け工程と、前記排土板を有する作業用車両を走行させて前記外置充電器を運搬する運搬工程と、を備えることを要件とする。一実施形態として、前記上昇工程は、前記外置充電器台車に設けられた側面視で下向きに開口するU字状の前記係止部に対して、前記排土板の前記上端部を進入させて開口の底部となる位置に当接させた状態からさらに前記排土板を上昇させることによって前記外置充電器台車の前記キャスターが地面から離間した状態とする工程を有し、前記取付け工程は、前記係止部の後部側の内面が前記排土板の後面と当接し、前記係止部の前部側の内面が前記排土板の前面と当接せずに所定寸法の空間部が生じた状態とし、前記空間部の内部において前記排土板の前面が前記前部側の内面に当接する方向へ移動することを規制する前記移動規制部材を前記係止部に取付ける工程を有する。
【0013】
また、前記移動規制部材として、前記キャスターの回転を防止する輪止めが兼用される構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動モータによって駆動される作業用車両に対して電力を供給するために用いられる外置充電器を、整地されていない作業現場であっても容易に運搬することができる。また、運搬中における外置充電器の落下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る外置充電器台車の例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す外置充電器台車に外置充電器が載置された状態の例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す外置充電器台車の例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る外置充電器台車の運搬方法を説明する説明図である。
図4Aは、排土板の上端部を係止部に進入させる前の状態の側面図である。
図4Bは、排土板の上端部を係止部に進入させて開口の底部となる位置に当接させた状態の側面図である。
図4Cは、排土板をさらに上昇させてキャスターを地面から離間させた状態の側面図である。
図4Dは、係止部に移動規制部材を取付けた状態の側面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示す外置充電器台車の係止部に移動規制部材を取付けた状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す外置充電器台車の移動規制部材として兼用される輪止めの例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す輪止めをキャスターに係止させた状態の斜視図である。
【
図9】
図9は、電動モータによって駆動される作業用車両、および外置充電器台車を運搬する作業用車両の例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、外置充電器台車を運搬する作業用車両の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る外置充電器台車1の例を示す概略図(左後部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0017】
本発明は、電動モータによって駆動される作業用車両101に対して、当該電動モータを駆動するための電力を供給する外部の外置充電器2を運搬する際に用いられる外置充電器台車1、および外置充電器台車1の運搬方法に関するものである。
【0018】
はじめに、電動モータによって駆動される作業用車両101の構成例について説明する。作業用車両101として、油圧ショベルを例に挙げて説明する(
図9参照)。ただし、作業用車両101は、油圧ショベルに限定されるものではない。
【0019】
図9に示すように、作業用車両101は、走行装置110が取付けられた下部体102を備えている。作業用車両101は、下部体102の上に配設された上部体103を備えている(なお、下部体102と上部体103とが一体の構成であってもよい)。作業用車両101は、下部体102や上部体103に取付けられて油圧(所定圧力の作動油)により作動する作業装置112、114を備えている。
【0020】
上部体103は、前部にオペレータが乗車して走行や作業の操作を行う操作装置が設けられた運転室116を備えている。
【0021】
走行装置110の例として、左右に一対のクローラ(無限軌道)126を備えている。ただし、走行装置110は、クローラ126に限定されるものではない。他の例として、作業用車両101は、クローラ126に代えてタイヤを備える構成としてもよい(不図示)。クローラ126は、走行油圧モータ(不図示)によって駆動(走行)される。
【0022】
作業装置112の例として、排土板122を備えている。排土板122は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に下部体102に取付けられている。排土板122は、油圧シリンダ(排土板シリンダ)132によって駆動される。ただし、作業装置112は、上記の構成に限定されるものではない。
【0023】
作業装置114の例として、ブーム142、アーム144、およびアタッチメント(本実施形態においては、バケット)146を備えている。ただし、アタッチメント146はバケットに限定されるものではない。ブーム142は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に上部体103に取付けられている。本実施形態においては、上部体103とブーム142との間にブームブラケット(不図示)が設けられている。ブームブラケットによって、ブーム142は上部体103に対して左右(前後成分を含む)に揺動可能となる。なお、ブームブラケットは省略されてもよい。アーム144は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にブーム142に取付けられている。アタッチメント146は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にアーム144に取付けられている。ブーム142は、油圧シリンダ(ブームシリンダ)152によって駆動される。アーム144は、油圧シリンダ(アームシリンダ)154によって駆動される。アタッチメント146は、油圧シリンダ(バケットシリンダ)156によって駆動される。ただし、作業装置114は、上記の構成に限定されるものではない。
【0024】
上記の走行油圧モータ、および各油圧シリンダの駆動を行うための駆動機構は、一例として駆動源118により駆動される油圧ポンプ、制御バルブ等から構成されている。オペレータが操作装置を操作することにより制御バルブを作動させて、油圧ポンプから送出される所定圧力の作動油を走行油圧モータ、および各油圧シリンダに供給する制御が行われる。これにより、走行装置110による走行、および作業装置112、114による作業を行うことができる。駆動機構を構成する油圧ポンプは、作業装置や走行装置の構成や負荷等に応じて、一個もしくは複数個が設けられる。
【0025】
本実施形態において、作業用車両101は、上記の駆動源118として電動モータを備えている。駆動源118を構成する電動モータは、上記の油圧ポンプの個数や定格出力等に応じて、一個もしくは複数個が設けられる。なお、駆動源118の他の例として、電動モータに加えてエンジンを併用する構成としてもよい(不図示)。
【0026】
また、作業用車両101は、電動モータ118に電力を供給する蓄電池、インバータ等の変換装置、および、制御装置等を備えている(不図示)。この蓄電池への電力供給は、外部電源(単相交流電源、三相交流電源等)と外置充電器2とを接続し、さらに、外置充電器2からの出力ケーブルを上部体103に設けられるインレット120に接続して供給する方式としている。なお、蓄電池への電力供給方式の他の例として、上部体103に搭載された車載充電器を介して供給する方式を併用する構成としてもよい(不図示)。
【0027】
なお、本実施形態に係る作業用車両101における走行および作業のためのその他の機構については、公知の作業用車両(油圧ショベル)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0028】
続いて、外置充電器2を運搬する外置充電器台車1について詳しく説明する。
図1は外置充電器台車1の斜視図である。
図2は外置充電器台車1に外置充電器2が載置された状態の例を示す斜視図であり、
図3はその側面図である。
【0029】
外置充電器台車1は、外置充電器2が載置される台座10を備えている。また、外置充電器台車1は、台座10の四隅に取付けられて回転する四輪のキャスター12を備えている。また、外置充電器台車1は、台座10の後部に左右一対で立設される二本の支柱14を備えている。また、外置充電器台車1は、台座10の後部に外置充電器2を固定(一例として、ボルト留め)する固定部16を備えている。一例として、固定部16は、板状部材を用いて支柱14に連結(溶接)されているが、この構成に限定されるものではない。
【0030】
支柱14(あるいは、台座10としてもよい)には、「作業用車両」の排土板の上端部が進入および係止が可能な形状の係止部20が設けられている。ただし、この場合における「作業用車両」は、外置充電器台車1の運搬に用いられる「運搬用作業用車両」の趣旨であるため、外置充電器2が接続されて電力の供給を受ける「電動モータによって駆動される作業用車両」に限定されるものではない。すなわち、「エンジン(ガソリン、ディーゼル等)によって駆動される作業用車両」が用いられてもよい。なお、本実施形態においては、排土板122を備える作業用車両101を例として説明する。
【0031】
一例として、係止部20は、側面視(
図3参照)で下向きに開口するU字状(J字状のように一部にU字状の部分を有する構造も含む)に形成されている。本実施形態では左右一対で二個が設けられているが、これに限定されるものではない。係止部の他の例として、左右方向に所定長さで連続する一個が設けられる構成や、三個以上が設けられる構成、等でもよい(不図示)。
【0032】
係止部20は、排土板(作業用車両101の排土板122で例示する)の上端部を進入および係止させて、さらに排土板122を上昇させることによって外置充電器台車1を持ち上げることができるように構成されている。
【0033】
ここで、
図4を参照しながら、作業用車両101の排土板122によって外置充電器台車1を持ち上げて運搬する動作(すなわち、本実施形態に係る「外置充電器台車の運搬方法」)を説明する。先ず、外置充電器2を外置充電器台車1に載置する(本願において「載置工程」と称する場合がある)。
【0034】
次に、
図4Aに示すように、作業用車両101の排土板122を外置充電器台車1に近づけて、排土板122を係止部20の下方に位置させる。その状態で、排土板122を上昇させて係止部20の開口20aの内部へ進入させる(
図4AにおけるV部拡大図を
図5に示す)。さらに、
図4Bに示すように、排土板122を開口20aの底部20dとなる位置に当接させる。さらに、
図4Cに示すように、さらに排土板122を上昇させて、キャスター12を地面から離した状態とする(本願において「上昇工程」と称する場合がある)。
【0035】
次に、外置充電器台車1が排土板122によって持上げられた状態のまま、作業用車両101を走行させることによって外置充電器台車1を運搬する(本願において「運搬工程」と称する場合がある)。なお、本実施形態では、後述するように、移動規制部材30を取付けた状態で運搬する。これにより、重量物(一例として、数十~百数十kg程度)である外置充電器2を容易に運搬することができる。
【0036】
ところで、
図4Cに示すように外置充電器台車1が排土板122によって持上げられたときに、係止部20は、排土板122に対して以下の状態となるように構成されている。具体的に、係止部20の後部側の内面20bが、排土板122の後面122bと当接する構成である。係止部20の前部側の内面20cが排土板122の前面122cと当接せずに、前後方向に所定寸法(一例として、側面視で数十mm程度)の空間部20eが生じる構成である。
【0037】
なお、外置充電器台車1が排土板122によって持上げられたときに、排土板122の前面122cの下部と当接する樹脂(エラストマーを含む)製の支持部22が、外置充電器台車1(一例として、各支柱14)の後部且つ下部に設けられている(外置充電器台車1の重心に作用する重力の作用によって上記の当接が生じる)。これによれば、排土板122による外置充電器台車1の持上げおよび支持を安定させることができる。
【0038】
本実施形態では、
図4Cに示す状態とした後、
図4Dに示すように、係止部20に移動規制部材30を取付けて、排土板122の前面122cが、係止部20の前部側の内面20cに当接する方向へ移動しないように規制する(本願において「取付け工程」と称する場合がある)。これによれば、運搬中に、空間部20eの内部で排土板122のガタツキの発生を防止する効果が得られる。なお、構造の理解容易化のため、移動規制部材30(一例として、左側の一個)をホルダ32から取出し、係止部20に取付けた状態の斜視図を
図6に示す。
【0039】
前述の通り、整地されていない地面上で作業用車両を走行させて外置充電器台車1を運搬すると、作業用車両の排土板(排土板122によって例示する)の上下方向の揺動が生じて、運搬中の外置充電器台車1が排土板122から外れて落下する不具合が生じ易くなる。これに対して、排土板122を係止させる係止部20に移動規制部材30を取付けることによって、当該係止部20の空間部(開口20a内に排土板122が進入した状態で生じている空間部)20eの内部において排土板122の移動を規制することができる。したがって、排土板122に係止させて運搬している途中で、外置充電器2がガタついて落下してしまうことを確実に防止できる。
【0040】
移動規制部材30は、一例として、金属材料もしくは樹脂材料からなるU字状(J字状のように一部にU字状の部分を有する構造も含む)の形状を有する部材が用いられる構成である。
【0041】
本実施形態に係る移動規制部材30は、
図7に示すように、U字状の形状を有し、且つ、キャスター12に対して係止・取外しが可能に構成された輪止めが兼用される構成である。
図8に示すように、輪止め30は、地面に載置・離脱させる方式によって、キャスター12に対して前進および後進の両方向の位置に所定隙間(数mm~数cm程度)を空けて係止・取外しが可能な形状に形成されている。輪止め30は、キャスター12に対して係止することによって、キャスター12の意図しない回転(すなわち、外置充電器台車1の転動)を防止することができる。輪止め30は、外置充電器台車1に設けられたホルダ32に収納・取出しが可能に保持される。本実施形態では、二個の輪止め30を備える構成としているが、一個の輪止め30を備える構成としてもよい。
【0042】
上記の構成によれば、外置充電器台車1の転動を防止するための輪止めを、排土板122の移動規制部材30として兼用することができる。したがって、移動規制部材を別途、専用部材として製造し、用意する必要がないため、コストダウンを図ることができる。また、輪止め30は外置充電器台車1に備え付けられているため、作業現場への持ち込みを失念するおそれがなく、確実に使用することができる。
【0043】
なお、上記の実施形態においては、
図9に示す作業用車両(油圧ショベル)101の排土板122を外置充電器台車1の係止部20に係止させて持上げて運搬する構成を例に挙げて説明した。ただし、この構成に限定されるものではない。他の例として、
図10に示す作業用車両(トラックローダ)201のバケット222の接地側部分の前端部222aを上向きの状態とし、外置充電器台車1の係止部20に係止させて持上げて運搬する構成としてもよい。バケット222は、油圧で駆動される。
【0044】
以上説明した通り、本実施形態に係る外置充電器台車1および外置充電器2の運搬方法によれば、電動モータによって駆動される作業用車両101に対して電力を供給するために用いられる外置充電器2を、整地されていない作業現場であっても容易に運搬することができる。また、運搬中における外置充電器2の落下を確実に防止することができる。
【0045】
なお、外置充電器2から電力供給を受ける作業用車両101(電動モータによって駆動される作業用車両)として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、その他の作業用車両(例えば、トラックローダ、キャリア等)にも適用できる。
【0046】
また、外置充電器台車1を運搬する作業用車両として、作業用車両101(電動モータによって駆動される作業用車両)を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、その他の作業用車両(エンジンによって駆動される作業用車両)にも適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 外置充電器台車
2 外置充電器
10 台座
12 キャスター
14 支柱
16 固定部
20 係止部
22 支持部
30 移動規制部材(輪止め)
101 作業用車両
122 排土板
201 作業用車両
222 バケット