(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121040
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】医療機器保持構造
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A61M1/16 155
A61M1/16 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027888
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】江崎 伸
(72)【発明者】
【氏名】進士 貴司
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA03
4C077BB06
4C077CC03
4C077CC06
4C077DD01
4C077EE01
(57)【要約】
【解決手段】医療機器保持構造10は、支柱16に取り付け可能なクランプ部18と、医療機器12を保持するホルダ14と、クランプ部18とホルダ14とを連結する連結部20とを備える。連結部20は、クランプ部18に対してホルダ14を接近・離間する方向に回動可能に支持する回動部136を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に取り付け可能なクランプ部と、
医療機器を保持するホルダと、
前記クランプ部と前記ホルダとを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、前記クランプ部に対して前記ホルダを接近・離間する方向に回動可能に支持する回動部を有する、医療機器保持構造。
【請求項2】
請求項1記載の医療機器保持構造において、
前記回動部は、前記クランプ部に対して前記ホルダを複数の回動位置で固定可能な固定機構を備える、医療機器保持構造。
【請求項3】
請求項2記載の医療機器保持構造において、
前記固定機構は、前記ホルダに設けられる第1係合部と、
前記クランプ部に設けられ前記第1係合部と係合する第2係合部と、
を備え、
前記第1及び第2係合部の少なくともいずれか一方の係合部が複数設けられる、医療機器保持構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の医療機器保持構造において、
医療機器は、ポンプと、人工肺とを有し、
前記ホルダは、前記ポンプを保持するポンプ保持面を有したポンプ保持部と、
前記人工肺を保持する人工肺保持部と、
前記ポンプを駆動する駆動機構が収容され、且つ前記ポンプ保持部が固定される筐体と、
前記筐体の第1側面に回動可能に支持される支持端を有したアームと、
を備え、
前記アームは、前記支持端から延出した自由端を備え、前記自由端に前記人工肺保持部を備える、医療機器保持構造。
【請求項5】
請求項4記載の医療機器保持構造において、
前記人工肺保持部は、前記アームの延在方向に対して交差する方向に突出し、
前記支持端を支点として前記アームが回動して前記人工肺保持部が前記筐体から離間した前記アームの展開状態において、前記人工肺保持部が前記アームの前記自由端から上方に突出し、
前記支持端を支点として前記アームが前記展開状態とは反対方向に回動して前記人工肺保持部が前記筐体に接近し、且つアームが前記筐体に沿って前記筐体の上方に配置された前記アームの収容状態において、前記人工肺保持部が、前記筐体を間にして前記筐体の前記第1側面とは反対側となる前記筐体の第2側面に向かい合う、医療機器保持構造。
【請求項6】
請求項5記載の医療機器保持構造において、
前記ポンプ保持面を含む前記ポンプ保持部の一部は、前記第1側面及び前記第2側面とを繋ぐ前記筐体の上面に対して上方に突出しており、
前記ポンプ保持部と前記アームとが、前記アームの回動軸線に沿う方向においてオフセットして配置される、医療機器保持構造。
【請求項7】
請求項5記載の医療機器保持構造において、
前記筐体の前記第2側面には、前記筐体に対して回転可能に支持され、且つ前記駆動機構に接続され前記駆動機構を介して前記ポンプを駆動させるハンドルを備える、医療機器保持構造。
【請求項8】
請求項1記載の医療機器保持構造において、
前記ホルダに固定され前記ホルダから上方に突出した把持部を備える、医療機器保持構造。
【請求項9】
請求項4記載の医療機器保持構造において、
前記回動部が、前記筐体の前記第1側面に取り付けられる、医療機器保持構造。
【請求項10】
請求項7記載の医療機器保持構造において、
前記回動部は、前記筐体の前記第1側面に取り付けられ、
前記ハンドルは、前記筐体の前記第2側面に取り付けられる、医療機器保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器を保持可能な医療機器保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、支柱等の固定物に取り付けられ人工肺(医療機器)を保持可能な医療機器保持構造が開示されている。医療機器保持構造は、医療機器を保持すると共に固定物に固定されるホルダを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療現場において医療機器を用いて治療を行う際、医療機器の周辺に他の医療機器が配置されていることがある。医療機器保持構造に医療機器を取り付ける際、又は医療機器保持構造と共に医療機器を移動させる際、他の医療機器と接触することが懸念される。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の態様は、支柱に取り付け可能なクランプ部と、医療機器を保持するホルダと、前記クランプ部と前記ホルダとを連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記クランプ部に対して前記ホルダを接近・離間する方向に回動可能に支持する回動部を有する、医療機器保持構造である。
【0007】
この医療機器保持構造によれば、回動部によってクランプ部に対してホルダを回動させることで、クランプ部が取り付けられる支柱に対して医療機器を接近・離間させ、医療機器の位置を適宜調整することができる。これにより、医療現場において、周辺の他の医療機器との接触を回避することができる。
【0008】
(2)上記の(1)記載の医療機器保持構造において、前記回動部は、前記クランプ部に対して前記ホルダを複数の回動位置で固定可能な固定機構を備えてもよい。
【0009】
この構成により、回動部を介してホルダをクランプ部に対して回動させ、固定機構によって医療機器の保持されたホルダを任意の回動位置で固定することができる。
【0010】
(3)上記の(2)記載の医療機器保持構造において、前記固定機構は、前記ホルダに設けられる第1係合部と、前記クランプ部に設けられ前記第1係合部と係合する第2係合部と、を備え、前記第1及び第2係合部の少なくともいずれか一方の係合部が複数設けられてもよい。
【0011】
この構成により、複数の第1及び第2係合部のうち、いずれか1つの係合部を選択して相互に係合させることで、クランプ部に対するホルダの回動動作を容易且つ確実に規制することができる。
【0012】
(4)上記の(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療機器保持構造において、医療機器は、ポンプと、人工肺とを有し、前記ホルダは、前記ポンプを保持するポンプ保持面を有したポンプ保持部と、前記人工肺を保持する人工肺保持部と、前記ポンプを駆動する駆動機構が収容され、且つ前記ポンプ保持部が固定される筐体と、前記筐体の第1側面に回動可能に支持される支持端を有したアームと、を備え、前記アームは、前記支持端から延出した自由端を備え、前記自由端に前記人工肺保持部を備えてもよい。
【0013】
この構成により、筐体に対してアームを回動させることで、自由端に設けられた人工肺保持部に人工肺を保持することができる。
【0014】
(5)上記の(4)記載の医療機器保持構造において、前記人工肺保持部は、前記アームの延在方向に対して交差する方向に突出し、前記支持端を支点として前記アームが回動して前記人工肺保持部が前記筐体から離間した前記アームの展開状態において、前記人工肺保持部が前記アームの前記自由端から上方に突出し、前記支持端を支点として前記アームが前記展開状態とは反対方向に回動して前記人工肺保持部が前記筐体に接近し、且つアームが前記筐体に沿って前記筐体の上方に配置された前記アームの収容状態において、前記人工肺保持部が、前記筐体を間にして前記筐体の前記第1側面とは反対側となる前記筐体の第2側面に向かい合ってもよい。
【0015】
この構成により、アームの収容状態において、アームの自由端で筐体に向けて突出した人工肺保持部と筐体との接触が効果的に防止される。また、医療機器を保持する前(使用前)の医療機器保持構造の占有スペースを小さくすることができるため、医療機器保持構造の収納や搬送に好適である。
【0016】
(6)上記の(4)又は(5)記載の医療機器保持構造において、前記ポンプ保持面を含む前記ポンプ保持部の一部は、前記第1側面及び前記第2側面とを繋ぐ前記筐体の上面に対して上方に突出しており、前記ポンプ保持部と前記アームとが、前記アームの回動軸線に沿う方向においてオフセットして配置されてもよい。
【0017】
この構成により、アームを回動させて展開状態又は収容状態とするとき、アームの回動軌跡上にポンプ保持部が配置されていないため、アームとポンプ保持部との接触が好適に防止される。また、この構成によって、ポンプ保持面がアームに干渉することなく常に露出した状態にあるため、アームが展開状態であるか収容状態であるかに関わらず、ポンプ保持面に対してポンプを即座に装着することができる。
【0018】
(7)上記の(5)記載の医療機器保持構造において、前記筐体の前記第2側面には、前記筐体に対して回転可能に支持され、且つ前記駆動機構に接続され前記駆動機構を介して前記ポンプを駆動させるハンドルを備えてもよい。
【0019】
この構成により、ユーザがハンドルを回転させることで、駆動機構を介して医療機器を手動で作動させることができる。アームの展開状態において人工肺保持部に人工肺を保持した際、人工肺とハンドルとが筐体を間にして反対側に配置され互いに干渉することがないため、人工肺保持部に対して人工肺を取り付けやすい。ハンドルを作動させるときに、ハンドルと人工肺とが干渉しない。
【0020】
(8)上記の(1)~(7)のいずれか1つに記載の医療機器保持構造において、前記ホルダに固定され前記ホルダから上方に突出した把持部を備えてもよい。
【0021】
この構成により、把持部によってホルダを含む医療機器保持構造を持ち運びすることができ、しかも、医療機器保持構造を支柱に取り付けることが容易である。
【0022】
(9)上記の(4)記載の医療機器保持構造において、前記回動部が、前記筐体の前記第1側面に取り付けられてもよい。
【0023】
この構成により、アームの展開状態において人工肺保持部に人工肺を保持した際、アームと回動部とが筐体の同じ側面(第1側面)に配置されることで、支柱によって重量物である人工肺を安定して支持することができる。
【0024】
(10)上記の(7)記載の医療機器保持構造において、前記回動部は、前記筐体の前記第1側面に取り付けられ、前記ハンドルは、前記筐体の前記第2側面に取り付けられてもよい。
【0025】
この構成により、ユーザがハンドルを回してポンプを作動させる際、ハンドルと回動部とが筐体を間にして反対側に配置されるため、ハンドルと回動部との接触が効果的に防止される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、医療機器保持構造において、支柱に取り付けられたクランプ部に対し、医療機器を保持するホルダを回動部を回動して回動させることで、支柱に対して医療機器を接近・離間させ、医療機器の位置を適宜調整することができる。これにより、医療現場において、医療機器と周辺の他の医療機器との接触を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る医療機器保持構造に医療機器が保持された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1において医療機器を取り外した状態の医療機器保持構造を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図6のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、
図4の医療機器保持構造のホルダが第2回動位置に回動した状態を示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図4の医療機器保持構造のホルダが第3回動位置に回動した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示されるように、本実施形態に係る医療機器保持構造10は、医療機器12を保持するホルダ14と、支柱16に取り付けられるクランプ部18と、ホルダ14とクランプ部18とを連結する連結部20とを備える。医療機器保持構造10は、ホルダ14の前面に医療機器12を保持する。
【0029】
図2に示すように、本実施形態の医療機器12は、人工肺22と、ポンプ24とを有した体外式膜型人工肺(ECMO)の一部を構成する。医療機器12は、人体の心臓外科等の手術や心臓や肺が何らかの機能不全に陥った場合において一時的に肺の機能を代行する。すなわち、人工肺22は、体外循環において、血液温度調整と血液への酸素付加及び二酸化炭素の除去を行うための装置である。人工肺22及びポンプ24は、持ち手26を有する連結部材28によって一体的に連結される。持ち手26は、医療機器12を医療機器保持構造10に対して着脱するために使用される。医療機器12は、人工肺22及びポンプ24の接続ポート(不図示)には、患者からの血液を人工肺22に導く脱血チューブと、ポンプ24から送血する送血チューブとが接続される。
【0030】
人工肺22は、円筒状のハウジング30を有する。ハウジング30の内部には、図示しない熱交換部及びガス交換部が収容される。ハウジング30の外周面には、被固定部材32が取り付けられる。
図7に示すように、被固定部材32は、ハウジング30に固定されるベース部34と、ベース部34に対して下方に突出した第1突部36と、ベース部34に対して上方に突出した第2突部38とを備える。第1及び第2突部36、38の各々は、板状に形成されベース部34に対して互いに離間する方向に延出する。
【0031】
図2に示すように、ポンプ24は、図示しない送血チューブを通じて患者へ血液を送血すると共に、患者からの血液を、脱血チューブ(図示せず)を通じて人工肺22に導く。ポンプ24は、略円形状の外形を有したポンプハウジング40を備える。ポンプ24の軸方向に沿ったポンプハウジング40の端部には、ホルダ14に保持される固定端部42を有する。固定端部42は、ポンプハウジング40の外周面から径方向外方に環状に突出した鍔状である。ポンプ24の軸線と人工肺22の軸線とが上方から見て直交して配置される。ポンプハウジング40のポンプ出口とハウジング30の人工肺入口とが連結部材28によって連結される。
【0032】
図1に示すように、医療機器保持構造10のホルダ14は、ポンプ24を保持するポンプ保持部44と、ポンプ保持部44が固定される筐体46と、筐体46に回動可能に支持されるアーム48と、アーム48の端部に設けられ人工肺22を保持する人工肺保持部50とを備える。以下、医療機器保持構造10において、医療機器12が取り付けられる方向を前方として説明する。すなわち、前方とは、筐体46に対してポンプ保持部44が配置される方向である。
【0033】
図3に示すように、ポンプ保持部44は、ポンプ保持面52を有した保持ベース54と、保持ベース54に設けられポンプ24を固定可能な一組の第1及び第2固定部56、58とを有する。
【0034】
保持ベース54は、ポンプ24の固定端部42の形状に対応した略円形である。保持ベース54は、ポンプ24の固定端部42が当接可能なポンプ保持面52を有する。ポンプ保持面52は、ポンプ保持部44の軸線と直交した平坦面である。
【0035】
図4に示すように、第1及び第2固定部56、58は、保持ベース54(ポンプ保持面52)の中心を挟んで上下に向かい合う。第1固定部56は、保持ベース54の下部に配置され、保持ベース54の外周面から径方向外方に突出する。
図5に示すように、第1固定部56の端部は、ポンプ保持面52に対して筐体46から離間する方向(前方)に突出し、且つ保持ベース54の外周面に対して径方向内方に突出した第1固定端60を有する。
【0036】
図5に示すように、第1固定部56は、第1固定端60に対して径方向外方に窪んだ第1係合溝62を有する。第1係合溝62は、第1固定部56の内部に形成されると共に、ポンプ保持面52の一部を切り欠いて形成される。第1係合溝62の一部は、ポンプ保持面52を筐体46の方向に向けて窪んで形成される。ポンプ24の固定端部42がポンプ保持面52に当接した状態で、ポンプハウジング40の固定端部42が第1係合溝62に係合されて第1固定端60によってポンプ24の下部(固定端部42)が保持される。
【0037】
第2固定部58は、保持ベース54の上部に配置され、保持ベース54の外周面から径方向外方に突出する。第2固定部58は、保持ベース54に固定される固定部材64と、固定部材64に対して上下方向に移動可能な可動部材66とを備える。可動部材66は、固定部材64に対して前方に配置され、ポンプ保持面52に対して筐体46から離間する方向(前方)に突出して配置される。
【0038】
可動部材66は、径方向内方に突出した第2固定端68と、第2固定端68に対して径方向外方に窪んだ第2係合溝70とを有する。第2係合溝70は、第2固定端68に対して固定部材64側に形成される。第2固定端68と第1固定部56の第1固定端60とが上下方向に向かい合う。第2係合溝70と第1固定部56の第1係合溝62とが上下方向に向かい合う。
【0039】
可動部材66と固定部材64との間にスプリング72が配置される。スプリング72の弾発力によって、固定部材64に対して可動部材66が第1固定部56に向けて付勢される。すなわち、可動部材66は、スプリング72の弾発力によって下方に向けて付勢される。
【0040】
ポンプハウジング40の固定端部42がポンプ保持面52に当接した状態で、可動部材66がスプリング72の弾発力で下方に移動することで、固定端部42が第2係合溝70に係合され第2固定端68によってポンプ24の上部が保持される。これにより、第1及び第2固定部56、58によって、ポンプ24の固定端部42が上下の2点で保持される。
【0041】
ポンプ保持部44に保持されたポンプ24を取り外すとき、第2固定部58の可動部材66を上方に引き上げることで、第2固定端68がポンプ24の固定端部42よりも径方向外側となり、第2係合溝70に対するポンプ24の固定端部42の係合が解除される(
図5中、二点鎖線形状参照)。
【0042】
図3に示すように、筐体46は、ポンプ24を駆動する駆動機構74を収容可能な箱体である。
図4に示す筐体46の軸方向から見たとき、筐体46は略矩形状である。筐体46の軸方向における一端部461は、医療機器保持構造10の前面となり、ポンプ保持部44の保持ベース54が固定される(
図5参照)。筐体46の軸線とポンプ保持部44のポンプ保持面52とが直交する。
図5に示すように、ポンプ保持部44の保持ベース54の一部が、筐体46の上面763に対して上方に突出して設けられる。
【0043】
図4に示すように、筐体46は、筐体46の一端部461と直交する第1及び第2側面761、762を有する。第1及び第2側面761、762の各々は、筐体46の軸線と平行な面である。筐体46を中心として第1側面761と第2側面762とが互いに反対側に配置される。
【0044】
医療機器保持構造10が支柱16に取り付けられたとき、筐体46の上面763は上方に配置される。筐体46の上面763は、筐体46の軸線と平行に形成されると共に、第1側面761の上端と第2側面762の上端とを繋ぐ。上面763は、第1側面761及び第2側面762と直交する面である。
【0045】
図6に示すように、第1側面761には、板状の取付部材78が固定される。取付部材78は、第1側面761に固定される本体部781と、本体部781から上方に突出した突出片782と、本体部781に対して直角に折曲された折曲片783とを有する。突出片782は、筐体46の上面763から上方に突出する(
図4参照)。折曲片783は、筐体46の一端部461と平行に配置される。
【0046】
図4に示すように、筐体46は、筐体46の上面763から上方に突出して医療機器保持構造10を把持可能な把持部80を備える。把持部80は、軸状に形成され筐体46の上面763に向かい合う把持部材82を備える。把持部材82は、筐体46の上面763に対して上方に離間して平行に配置される。把持部材82の軸方向における端部は、取付部材78の突出片782に固定される。すなわち、把持部材82は、一方の端部のみが取付部材78に固定された片持ち構造である。
【0047】
図6に示すように、筐体46の第2側面762には、筐体46に対して回転可能に支持されたハンドル84を備える。ハンドル84は、駆動機構74に接続され、ユーザが操作することで駆動機構74を作動させると共に、駆動機構74を介してポンプ24を手動で作動可能である。
【0048】
ハンドル84は、駆動機構74と接続されるハンドル軸86と、図示しないユーザが把持して操作可能な操作部88と、操作部88とハンドル軸86とを接続する接続アーム90とを備える。ハンドル軸86は、第2側面762と直交し、且つ第2側面762から筐体46の外側に突出する。
【0049】
ハンドル軸86は、筐体46に対して回転可能に設けられ、筐体46の内部に挿入されて駆動機構74と連結される。ハンドル軸86は、筐体46の軸方向における他端部近傍に配置される。
【0050】
接続アーム90は、第2側面762と平行に配置され、接続アーム90の延在方向における一端部がハンドル軸86に連結される。ハンドル軸86と接続アーム90とが一体で回転可能である。ハンドル軸86の軸線と接続アーム90の延在方向とが直交する。接続アーム90の延在方向における他端部は、ハンドル軸86から所定距離だけ離間して配置される。接続アーム90の他端部には、操作部88を支持可能な支持部92を有する。支持部92は、接続アーム90の延在方向に対して直交し、且つ接続アーム90に対して第2側面762から離間する方向に突出した円筒状である。
図4に示すように、支持部92の内部には、操作部88の一部が挿入される挿入溝94を有する。挿入溝94は、支持部92の軸方向に開口すると共に、接続アーム90の一端部に向けて開口する。
【0051】
操作部88は、ユーザが把持可能な軸状に形成され、接続アーム90の支持部92に対して回動可能に支持される。操作部88の軸方向における端部に、支持部92の挿入溝94に挿入される挿入端部96を有する。挿入端部96には、上下方向に貫通した貫通孔(不図示)を有する。支持部92の挿入溝94に対して挿入端部96が挿入され、支持部92に支持されたピン100が貫通孔(不図示)に挿通される。ピン100によって操作部88が接続アーム90の支持部92に対して回動可能に支持される。ユーザがハンドル84を操作するとき、ハンドル軸86を中心として第2側面762に沿ってハンドル84が回転可能である。
【0052】
図6に示す操作部88と接続アーム90とが直交した位置(操作可能位置)から、操作部88が接続アーム90に接近して操作部88と接続アーム90とが略平行となる位置(収容位置、
図6中、二点鎖線形状参照)までの約90°の範囲内で、接続アーム90に対して操作部88が回動可能である。操作可能位置は、ユーザがハンドル84を操作するときのハンドル84の位置であり、収容位置は、ハンドル84の操作を行わないときのハンドル84の位置である。
【0053】
図4に示すように、アーム48は、筐体46の第1側面761に対して回動可能に支持される。アーム48は、一直線状に形成され筐体46の軸線と直交するように配置される(
図6参照)。アーム48は、一直線状に形成される。アーム48は、アーム48の延在方向に沿った一端に設けられる支持端102と、支持端102から延出してアーム48の延在方向に沿った他端に設けられる自由端104とを備える。筐体46の軸方向において、アーム48は、ポンプ保持部44に対して筐体46の他端部寄りに配置される(
図6参照)。
【0054】
支持端102は、第1側面761に固定された取付部材78の折曲片783に水平方向の軸線を中心に回動可能に支持される。支持端102は、アーム48の延在方向と直交する方向に突出した支軸1021を有し、折曲片783の孔部(図示せず)に対して挿入されることで、支軸1021を介してアーム48の支持端102が第1側面761に回転可能に支持される。
【0055】
支軸1021の軸線方向において、ポンプ保持部44を備える筐体46の一端部461に対してアーム48が筐体46の他端部寄りに配置される。すなわち、支軸1021の軸線方向において、アーム48とポンプ保持部44とがオフセットして配置される(
図6参照)。
【0056】
図4に示すように、支軸1021を支点としてアーム48の自由端104が筐体46から離間するように時計回りに回動させることで、支持端102に対して自由端104が右方に配置されアーム48が右方に向けて延在したアーム48の展開状態となる。展開状態においてアーム48が水平方向に延在する。アーム48と筐体46の上面763とが略平行である。
【0057】
支軸1021を支点としてアーム48の自由端104が筐体46に接近するように反時計回りに回動させることで、筐体46の上方にアーム48が配置され支持端102に対して自由端104が左方に配置されアーム48が左方に向けて延在したアーム48の収容状態となる(
図4中、二点鎖線形状参照)。アーム48の収容状態において、アーム48が水平方向に延在する。アーム48と筐体46の上面763とが略平行である。すなわち、支軸1021を支点としてアーム48が約180°回動可能に設けられる。アーム48の収容状態は、支軸1021を支点として展開状態とは反対方向にアーム48を回動させた状態である。
【0058】
人工肺保持部50は、アーム48の自由端104に設けられる。
図7に示すように、人工肺保持部50は、アーム48の自由端104に設けられる第1凹部106と、第1凹部106の前方に配置される係止部材108と、アーム48の延在方向に対して交差する上方向(上方)に突出したホルダ部材110とを備える。アーム48の展開状態において、第1凹部106は、アーム48の上面に対して下方に窪む。第1凹部106は、アーム48の延在方向に沿って一定深さである。係止部材108は、アーム48の自由端104に設けられ、アーム48の延在方向と直交する方向(前方)に配置される。係止部材108は、医療機器保持構造10の前面となるアーム48の側面に配置される。係止部材108は、第1凹部106の底面から上方に向けて突出した係止部1081を有する。
【0059】
図7に示すように、ホルダ14に対して医療機器12を取り付けるとき、人工肺22に取り付けられた被固定部材32の第1突部36が第1凹部106に挿入され係合される。これにより、第1突部36がアーム48の自由端104に保持される。このとき、係止部材108の係止部1081が、第1突部36の下端より上方に配置されるため、第1突部36が第1凹部106から前方に移動することがなく、第1突部36が第1凹部106内で保持される。
【0060】
ホルダ部材110は、連結プレート111を介してアーム48の自由端104に連結される。アーム48の展開状態において、ホルダ部材110がアーム48の自由端104から上方に突出する。ホルダ部材110と係止部材108とが上下方向に向かい合う。ホルダ部材110は、連結プレート111の上部に連結される第1ホルダ112と、第1ホルダ112に対して上下方向に移動可能な第2ホルダ114とを有する。
【0061】
第1ホルダ112の内部には、上下方向に延在するガイド孔116を有する。第2ホルダ114は、ガイド孔116に挿入されるガイド部118を有する。第1ホルダ112のガイド孔116に沿って第2ホルダ114のガイド部118が上下方向に所定距離だけ移動可能である。なお、図示しない係止機構によって、ガイド部118とガイド孔116とが係合されることで、第2ホルダ114が第1ホルダ112に対して脱抜することが防止される。
【0062】
第2ホルダ114は、前方に向けて突出した突出部120と、人工肺22を保持可能な第2凹部122とを有する。突出部120は、係止部材108に向かい合うガイド面124を有する。ガイド面124は、第1ホルダ112に向けて徐々に係止部材108に向かう傾斜面である。
【0063】
第2凹部122は、第1凹部106に向かい合いガイド面124の下端に対して上方に窪んで形成される。第2凹部122と第1凹部106とが上下方向に向かい合う。ホルダ14に対して医療機器12を取り付けるとき、人工肺22に取り付けられた被固定部材32の第2突部38が第2凹部122に挿入され係合される。これにより、第2突部38がアーム48の自由端104に保持される。このとき、突出部120(ガイド面124)の下端が、第2突部38の上端より下方に配置されるため、第2突部38が第2凹部122から前方に移動することがない。第2突部38の保持状態が維持される。これにより、展開状態にあるアーム48の自由端104及びホルダ部材110によって、被固定部材32を介して人工肺保持部50に人工肺22が保持される。人工肺保持部50によって人工肺22が略水平に保持される。
【0064】
図4の二点鎖線形状で示されるように、支持端102を支点としてアーム48を展開状態とは反対方向に回動させたアーム48の収容状態では、人工肺保持部50は、アーム48の自由端104に対して下方に突出し、筐体46の第2側面762に向かい合い第2側面762から離間した位置に配置される。
【0065】
図6に示すように、クランプ部18は、クランプ本体126と、クランプ本体126から延出する一組のクランプアーム部1281、1282と、一組のクランプアーム部1281、1282の間に設けられる可動片130とを有する。クランプアーム部1281、1282は、クランプ本体126に対して直交する方向に突出する。一組のクランプアーム部1281、1282は互いに離間する。一方のクランプアーム部1281に設けられたノブ132によって、可動片130が他方のクランプアーム部1282に対して接近又は離間する。可動片130と他方のクランプアーム部1282との間の間隔が変化する。ノブ132を回転させることで可動片130がクランプアーム部1282に向かって移動し、可動片130とクランプアーム部1282との間に配置された支柱16を把持する。これにより、クランプ部18が支柱16に固定される。支柱16は、上下方向に沿って配置される(
図4参照)。
【0066】
連結部20は、ホルダ14の筐体46とクランプ部18とを連結する。連結部20は、クランプ部18を保持する保持部134と、クランプ部18に対してホルダ14を接近・離間する方向に回動可能に支持する回動部136とを備える。
【0067】
保持部134は、クランプ部18のスライド動作によってクランプ部18を保持する接続構造である。保持部134は、箱型の形状を有し、クランプ部18のガイド板(不図示)が、支柱16に沿った上方又は下方から保持部134に対して挿入され係合されることで、クランプ部18と連結部20とが接続される。
【0068】
回動部136は、筐体46の第1側面761に設けられる。回動部136は、筐体46に固定される筐体側プレート138と、連結部20に固定される連結部側プレート140と、筐体側プレート138と連結部側プレート140とを互いに回動可能に支持するシャフト142と、クランプ部18に対してホルダ14を複数の回動位置で固定可能な固定機構144とを備える。
【0069】
筐体側プレート138は、取付部材78を介して筐体46の第1側面761に固定される。筐体側プレート138は、シャフト142を支持する図示しないシャフト支持部を有し、シャフト支持部に対して直交した第1鍔部148を備える。シャフト支持部は、筐体46の他端部寄りとなる筐体側プレート138の端部に設けられる。第1鍔部148は、筐体側プレート138の上部に設けられ筐体側プレート138に対して直角に折曲される。筐体46の第1側面761に筐体側プレート138が固定された状態で、第1鍔部148は、筐体46の第1側面761から離間する方向に延出する。
【0070】
連結部側プレート140は、連結部20における保持部134の端面に固定される。連結部側プレート140は、シャフト142を支持するシャフト支持部(不図示)を有し、シャフト支持部に対して直交した第2鍔部152を備える。シャフト支持部は、筐体46の第1側面761に隣接する連結部側プレート140の端部に設けられる。シャフト142を介して筐体側プレート138と連結部側プレート140とが相対的に回動可能に支持される。
【0071】
連結部側プレート140が連結部20を介してクランプ部18に固定されているため、クランプ部18が支柱16に取り付けられたとき、連結部側プレート140に対して筐体側プレート138が鉛直方向の軸線を中心に回動し、筐体側プレート138と共にホルダ14が回動可能である。すなわち、回動部136は、筐体側プレート138、連結部側プレート140及びシャフト142を備えたヒンジ構造である。
【0072】
第2鍔部152は、連結部側プレート140の上部に設けられ連結部側プレート140に対して直角に延在する。第2鍔部152は、第1鍔部148の下方に配置され、且つ第1鍔部148と略平行である。
【0073】
固定機構144は、ホルダ14に設けられる第1係合部154と、クランプ部18に設けられ第1係合部154と係合する第2係合部156とを備える。
【0074】
第1係合部154は、筐体46に固定された筐体側プレート138の第1鍔部148に設けられる。第1係合部154は、第1鍔部148の上部に固定されるプランジャ158を備える。プランジャ158は、第1鍔部148と直交し、且つ、第1鍔部148から上方に突出して配置される。プランジャ158は、第1鍔部148において筐体46の第1側面761から離間した位置に配置される。
【0075】
図8に示すように、プランジャ158は、第1鍔部148に固定されるプランジャボディ160と、ユーザが操作可能なキャップ部材162と、プランジャボディ160に支持されキャップ部材162と連結された係止ピン164とを備える。プランジャボディ160の一部が、第1鍔部148の孔部1481に挿入され第1鍔部148の下方に配置されたナット166が螺合される。ナット166によって、プランジャボディ160の下部が第1鍔部148の上面に固定される。キャップ部材162は、プランジャボディ160の上部を覆い、プランジャボディ160の軸線に沿って上下方向に移動可能に設けられる。係止ピン164は、プランジャボディ160の内部に形成された貫通孔168に沿って移動可能に配置される。係止ピン164の上端は、キャップ部材162に連結される。すなわち、キャップ部材162及び係止ピン164は、プランジャボディ160の軸線に沿って上下方向に一体で移動可能である。係止ピン164の段差部1641とプランジャボディ160との間には、弾発力を有した弾発部材170を備える。弾発部材170の弾発力は、係止ピン164を下方に向けて付勢する。すなわち、弾発部材170の弾発力によって、係止ピン164と共にキャップ部材162が常に下方に向けて付勢されている。
【0076】
弾発力によって係止ピン164が下方に移動したとき、係止ピン164の下端が、プランジャボディ160の下端に対して下方へ突出する。弾発力に抗してキャップ部材162及び係止ピン164を上方に移動させたとき、係止ピン164の下端は上方へと移動する(
図8中、二点鎖線形状参照)。
【0077】
図6に示すように、第2係合部156は、連結部側プレート140の第2鍔部152に設けられる。第2係合部156は、複数の係合孔(第1~第3係合孔1721、1722、1723)を有する。第1~第3係合孔1721、1722、1723は、第2鍔部152を上下方向(厚さ方向)に貫通する。第1~第3係合孔1721、1722、1723は、第1係合部154の係止ピン164が挿入可能である。このとき、係止ピン164は、弾発部材170の弾発力によって、第1~第3係合孔1721、1722、1723のいずれか1つに挿入される。第1~第3係合孔1721、1722、1723は、互いに等間隔離間し、且つシャフト142を中心とした円弧状に配置される。なお、第1~第3係合孔1721、1722、1723は、不等間隔離れて配置されてもよい。
【0078】
回動部136によってクランプ部18に対してホルダ14を回動させ、クランプ本体126に対して筐体46の第1側面761が約90°に配置された第1回動位置としたとき、第1係合部154の係止ピン164と第1係合孔1721とが同軸に配置される。係止ピン164が第1係合孔1721に挿入される(
図8参照)。係止ピン164と第1係合孔1721との係合によって、回動部136によるホルダ14の回動が規制されてクランプ部18に対してホルダ14及び医療機器12が約90°の位置(第1回動位置)で固定される。
【0079】
図9に示すように、回動部136によってクランプ部18に対してホルダ14を回動させ、クランプ本体126に対して筐体46の第1側面761が約45°に配置された第2回動位置としたとき、第1係合部154の係止ピン164と第2係合孔1722とが同軸に配置される。係止ピン164が第2係合孔1722に挿入される。係止ピン164と第2係合孔1722との係合によって、回動部136によるホルダ14の回動が規制されてクランプ部18に対してホルダ14及び医療機器12が約45°の位置(第2回動位置)で固定される。
【0080】
図10に示すように、回動部136によってクランプ部18に対してホルダ14を回動させ、クランプ本体126に対して筐体46の第1側面761が約0°に配置された第3回動位置としたとき、第1係合部154の係止ピン164と第3係合孔1723とが同軸に配置される。係止ピン164が第3係合孔1723に挿入される。係止ピン164と第3係合孔1723との係合によって、回動部136によるホルダ14の回動が規制されてクランプ部18に対してホルダ14及び医療機器12が約0°の位置(第3回動位置)で固定される。
【0081】
すなわち、第1~第3係合孔1721、1722、1723は、回動部136によってクランプ部18に対してホルダ14を回動させたとき、クランプ部18に対するホルダ14の相対角度(回動角度)を任意の位置で固定するために設けられる。なお、固定機構144は、係止ピン164の挿入される第1~第3係合孔1721、1722、1723を有し、クランプ部18に対するホルダ14の回動位置を3位置(第1~第3回動位置)で固定可能な構成に限定されない。係合孔の数量は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。4つ以上の係合孔を備える場合、クランプ部18に対してホルダ14を4つの回動位置で固定することが可能となる。
【0082】
また、第2係合部156を構成する係合孔を単一として、第1係合部154のプランジャ158を複数設けてもよいし、係合孔及びプランジャ158をそれぞれ複数設けるようにしてもよい。
【0083】
なお、固定機構144は、互いに係合される第1係合部154及び第2係合部156を備える場合に限定されない。固定機構144は、例えば回動部136の回動動作を所定位置で規制可能なラッチ式であってもよいし、筐体側プレート138と連結部側プレート140とをボルトで締結する構造であってもよいし、筐体側プレート138と連結部側プレート140との間に生じる摩擦力によって固定する構造であってもよい。
【0084】
本実施形態の医療機器保持構造10は以上の構成を有する。次に、医療機器保持構造10に対して医療機器12を取り付ける場合について説明する。以下、回動部136によって、クランプ部18に対してホルダ14を第1回動角度(
図6参照)で固定した場合について説明する。
【0085】
図1に示すように、医療機器保持構造10のクランプ部18が予め支柱16に固定され、ユーザが、医療機器12の持ち手26を把持し、人工肺22における被固定部材32を人工肺保持部50に取り付ける。人工肺22の取り付けに先立って、アーム48を筐体46から離間させた展開状態にしておく(
図4参照)。
図7に示すように、人工肺22における被固定部材32の第1突部36を第1凹部106に挿入した後、第2突部38を第2ホルダ114のガイド面124に沿って第2ホルダ114に向けて押し付ける。ガイド面124に沿って第2突部38が第2凹部122に向けて案内され、突出部120の下端を第2突部38が乗り越えることで第1及び第2突部36、38が人工肺保持部50の第1及び第2凹部106、122に係合され保持される。人工肺22は、アーム48の自由端104及びホルダ部材110によって上下方向に2点で保持される。
【0086】
図5に示すように、医療機器12におけるポンプ24の固定端部42を、ポンプ保持部44のポンプ保持面52に向かい合わせ、固定端部42を第1固定部56の第1係合溝62に係合させると共に、第2固定部58の第2係合溝70に係合させる。これにより、ポンプ24の固定端部42が、第1固定部56及び第2固定部58によって上下方向の2点で保持される。
図1に示すように、医療機器12は、人工肺保持部50に人工肺22が保持され、ポンプ保持部44にポンプ24が保持される。
【0087】
支柱16に対する医療機器12の角度を調整する場合には、ユーザがプランジャ158を上方に引き上げることで、係止ピン164を孔部1481から離脱させる。これにより、プランジャ158によるホルダ14とクランプ部18との回動規制状態が解除される。把持部80を把持し、支柱16(クランプ部18)に対してホルダ14を所定角度だけ回動させた後、第2係合孔1722又は第3係合孔1723のいずれか1つと係止ピン164とを向かい合わせる。プランジャ158からユーザが手を離すことで、弾発部材170の弾発力によって係止ピン164が下方へと移動して第2係合孔1722又は第3係合孔1723に係合される。これにより、支柱16に対する医療機器12の回動動作が規制され、医療機器12の位置が所望の位置で固定される。
【0088】
ユーザがハンドル84の操作部88を把持し、ハンドル軸86を支点として所定の方向に回転させることで、ハンドル軸86の回転力によって駆動機構74が駆動してポンプ24に動力が伝達されポンプ24が駆動する。ポンプ24の駆動によって、人工肺22による血液温度調整と血液への酸素付加及び二酸化炭素の除去が行われる。
【0089】
また、医療機器保持構造10から医療機器12を取り外す際、人工肺保持部50において第2ホルダ114を第1ホルダ112に対して上方へ移動させることで、第2凹部122に対する被固定部材32の第2突部38の係合が解除される。ポンプ保持部44において、第2固定部58の可動部材66を上方へと移動させることで、第2係合溝70に対するポンプ24の固定端部42の係合が解除される。これにより、持ち手26を把持して医療機器12を医療機器保持構造10から離間させることで、医療機器12の取り外しが完了する。
【0090】
医療機器保持構造10を使用しない場合は、支軸1021を支点としてアーム48を反時計回りに回動させることで収容状態とする。アーム48の収容状態では、アーム48が筐体46の上部に配置されると共に人工肺保持部50を筐体46の第2側面762に向かい合う位置に配置される。ハンドル84の操作部88を、支持部92(挿入端部96)を支点として接続アーム90に向けて回動させることで、操作部88が接続アーム90と略平行となる。
【0091】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0092】
図1に示すように、医療機器保持構造10は、支柱16に取り付け可能なクランプ部18と医療機器12を保持するホルダ14とを連結する連結部20とを備える。連結部20が、クランプ部18に対してホルダ14を接近・離間する方向に回動可能に支持する回動部136を備える。これにより、回動部136によってクランプ部18に対してホルダ14を回動させることで、クランプ部18の取り付けられる支柱16に対して医療機器12を接近・離間させ、医療機器12の位置を適宜調整することができる。そのため、医療現場において、周辺の他の医療機器と医療機器12との接触を回避することができる。回動部136によって医療機器12の位置を適宜調整することで、患者に近い最適な位置に医療機器12を配置することができる。
【0093】
図6に示すように、回動部136は、クランプ部18に対してホルダ14を複数の第1~第3位置(回動位置)で固定可能な固定機構144を備えることにより、回動部136を介してホルダ14をクランプ部18に対して回動させ、固定機構144によって医療機器12の保持されたホルダ14を任意の回動位置で固定することができる。
【0094】
固定機構144は、ホルダ14に設けられる第1係合部154と、クランプ部18に設けられ第1係合部154と係合する第2係合部156とを備え、第1係合部154及び第2係合部156の少なくともいずれか一方の係合部を複数設ける。これにより、複数の第1及び第2係合部154、156のうち、いずれか1つを選択して相互に係合させることで、クランプ部18に対するホルダ14の回動動作を容易且つ確実に規制することができる。
【0095】
図4に示すように、ホルダ14は、医療機器12のポンプ24を保持するポンプ保持部44と、医療機器12の人工肺22を保持する人工肺保持部50と、ポンプ24を駆動する駆動機構74が収容され、且つポンプ保持部44が固定される筐体46と、筐体46の第1側面761に回動可能に支持される支持端102を有したアーム48とを備える。アーム48が、支持端102から延出した自由端104を備え、自由端104に人工肺保持部50を備えている。これにより、筐体46に対してアーム48を回動させることで、自由端104に設けられた人工肺保持部50に人工肺22を保持することができる。
【0096】
人工肺保持部50は、アーム48の延在方向に対して交差する方向に突出し、支持端102を支点としてアーム48が回動して人工肺保持部50が筐体46から離間したアーム48の展開状態において、人工肺保持部50がアーム48の自由端104から上方に突出し、支持端102を支点としてアーム48が展開状態とは反対方向に回動して人工肺保持部50が筐体46に接近し、且つアーム48が筐体46に沿って筐体46の上方に配置されたアーム48の収容状態において、人工肺保持部50が、筐体46を間にして筐体46の第1側面761とは反対側となる筐体46の第2側面762に向かい合う。これにより、アーム48の収容状態において、アーム48の自由端104で筐体46に向けて突出した人工肺保持部50と筐体46との接触が効果的に防止される。また、医療機器12を保持する前(使用前)の医療機器保持構造10の占有スペースを小さくすることができるため、医療機器保持構造10を収納するとき、又は、医療機器保持構造10を搬送するときに好適である。
【0097】
図6に示すように、ポンプ保持部44の一部は、第1側面761及び第2側面762とを繋ぐ筐体46の上面763に対して上方に突出しており、ポンプ保持部44とアーム48とが、アーム48の回動軸線に沿う方向においてオフセットして配置されるため、アーム48を回動させて展開状態又は収容状態とするとき、アーム48の回動軌跡上にポンプ保持部44が配置されていない。そのため、アーム48の回動時において、アーム48とポンプ保持部44との接触が好適に防止される。
【0098】
この構成によって、ポンプ保持面52(ポンプ保持部44)がアーム48に干渉することなく常に露出した状態にあるため、アーム48が展開状態であるか収容状態であるかに関わらず、ポンプ保持面52に対してポンプ24を即座に装着することができる。この構成を採用することで、ユーザにとって以下の利点がある。ユーザが駆動機構74によって手動でポンプ24を駆動させる場合は、ポンプ24を駆動するためのモーターが故障する等の緊急時での使用が想定される。このような場合、ユーザにとっては心理的プレッシャーから、医療機器保持構造10のアーム48を展開して使用することを失念してしまう可能性がある。このとき、ポンプ保持部44のポンプ保持面52が常に露出しているため、ユーザがポンプ保持面52を直ぐに視認することが可能であり、ユーザが、ポンプ24だけを迷わずにポンプ保持面52に装着してポンプ24の循環(駆動)を再開することが可能であるという利点が得られる。換言すれば、緊急時においてユーザが駆動機構74によってポンプ24を手動で作動させるとき、より少ないアクションでポンプ24の循環を再開することが可能である。
【0099】
筐体46の第2側面762には、筐体46に対して回転可能に支持され、且つ駆動機構74に接続され駆動機構74を介してポンプ24を駆動させるハンドル84を備える。これにより、ユーザがハンドル84を回転させることで、駆動機構74を介して医療機器12を手動で作動させることができる。アーム48の展開状態において人工肺保持部50に人工肺22を保持した際、人工肺22とハンドル84とが筐体46を間にして反対側に配置され互いに干渉することがないため、人工肺保持部50に対して人工肺22を取り付けやすい。ハンドル84を回転させるときにハンドル84と人工肺22とが干渉しない。
【0100】
図4に示すように、ホルダ14には、ホルダ14に固定されホルダ14から上方に突出した把持部80を備えるため、把持部80によってホルダ14を含む医療機器保持構造10を持ち運びすることができ、しかも、医療機器保持構造10を支柱16に取り付けることが容易である。
【0101】
図6に示すように、回動部136が、筐体46の第1側面761に取り付けられるため、アーム48の展開状態において人工肺保持部50に人工肺22を保持した際、アーム48と回動部136とが筐体46の同じ側面(第1側面761)に配置されることで、支柱16によって重量物である人工肺22を安定して支持することができる。
【0102】
回動部136は、筐体46の第1側面761に取り付けられ、ハンドル84が、筐体46の第2側面762に取り付けられるため、ユーザがハンドル84を回してポンプ24を作動させる際、ハンドル84と回動部136とが筐体46を間にして反対側に配置されるため、ハンドル84の回動部136との接触が防止される。
【0103】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0104】
10…医療機器保持構造
12…医療機器
14…ホルダ
16…支柱
18…クランプ部
20…連結部
136…回動部