(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121041
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】可搬型機器の電池収納構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/296 20210101AFI20240830BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240830BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240830BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/247
H01M50/50 101
H01M50/293
H01M50/289 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027889
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】黒川 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】進士 貴司
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA19
5H040AS18
5H040AT02
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC26
5H040CC33
5H040CC34
5H040DD06
5H040DD22
5H040JJ03
5H040LL01
5H040LL06
5H043AA04
5H043BA17
5H043CA04
5H043CA21
5H043DA05
5H043HA06D
5H043JA13D
5H043KA22D
5H043KA33D
(57)【要約】
【解決手段】可搬型機器12の電池収納構造10であって、電池14を収納可能な電池収納部16を有した筐体18と、筐体18の第1側面20に開口して電池収納部16に電池14を挿入するための第1開口部22と、筐体18の内部において電池収納部16に向かい合って配置され電池14に電気的に接続される接続端子28と、接続端子28と電池14とが接続された状態で、接続端子28が電池14に追従するように接続端子28を移動可能に保持する保持構造30とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型機器の電池収納構造であって、
電池を収納可能な電池収納部を有した筐体と、
前記筐体の第1側面に開口して前記電池収納部に前記電池を挿入するための第1開口部と、
前記筐体の内部において前記電池収納部に向かい合って配置され前記電池に電気的に接続される接続端子と、
前記接続端子と前記電池とが接続された状態で、前記接続端子が前記電池に追従するように前記接続端子を移動可能に保持する保持構造と、
を備える、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項2】
請求項1記載の電池収納構造において、
前記筐体は、複数の前記第1開口部と、
前記複数の前記第1開口部に隣接して連通する複数の前記電池収納部と、
複数の前記接続端子を保持する前記保持構造と、
前記筐体の第2側面に開口し前記保持構造が嵌合される第2開口部と、
を備える、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項3】
請求項1記載の電池収納構造において、
前記保持構造が複数設けられ、前記複数の保持構造の各々には、前記接続端子が設けられる、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電池収納構造において、
前記保持構造を前記電池に向けて付勢する弾発部材を備える、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項5】
請求項4記載の電池収納構造において、
前記電池収納部から離れる方向への前記保持構造の移動を所定位置で規制する移動規制部を備える、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項6】
請求項5記載の電池収納構造において、
前記移動規制部は、前記保持構造に設けられ、前記保持構造において前記接続端子が配置される側とは反対側に配置される、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項7】
請求項5記載の電池収納構造において、
前記移動規制部は、前記保持構造の移動方向に沿って形成され前記弾発部材が内部に収容される収容部を有する、可搬型機器の電池収納構造。
【請求項8】
請求項1記載の電池収納構造において、
前記保持構造は、基板と、
前記基板を保持する基板保持部材と、
を備え、
前記接続端子と前記基板とが固定される、可搬型機器の電池収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型機器に用いられ筐体内に電池を収納するための可搬型機器の電池収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、可搬型の医療機器が開示されている。医療機器は、筐体と、筐体に収容されるカートリッジ、複数のセンサ、電力制御装置、ディスプレイ及びバッテリとを備える。バッテリの電力によって、電力制御部を駆動すると共に診療情報をディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の医療機器では、移動時に付与される振動又は衝撃によってバッテリが筐体内で揺動し、バッテリの端子と医療機器の端子との相対移動が繰り返されることで、接触端子の摩耗が促進され、バッテリの端子と医療機器の端子との接触が不良となるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の態様は、可搬型機器の電池収納構造であって、電池を収納可能な電池収納部を有した筐体と、前記筐体の第1側面に開口して前記電池収納部に前記電池を挿入するための第1開口部と、前記筐体の内部において前記電池収納部に向かい合って配置され前記電池に電気的に接続される接続端子と、前記接続端子と前記電池とが接続された状態で、前記接続端子が前記電池に追従するように前記接続端子を移動可能に保持する保持構造と、を備える、可搬型機器の電池収納構造である。
【0007】
この電池収納構造によれば、可搬型機器の移動に伴って電池収納構造に振動が付与されたとき、保持構造によって接続端子が移動可能に保持されるため、接続端子と電池との相対移動が抑制され、それに伴って接続端子の摩耗が抑制される。
【0008】
(2)上記の(1)記載の電池収納構造において、前記筐体は、複数の前記第1開口部と、前記複数の前記第1開口部に隣接して連通する複数の前記電池収納部と、複数の前記接続端子を保持する前記保持構造と、前記筐体の第2側面に開口し前記保持構造が嵌合される第2開口部と、を備えてもよい。
【0009】
この構成により、複数の電池を1つの基板に接続することで、複数の接続端子の間の距離を一定に保つことができる。
【0010】
(3)上記の(1)記載の電池収納構造において、前記保持構造が複数設けられ、前記複数の保持構造の各々には、前記接続端子が設けられてもよい。
【0011】
この構成により、複数の保持構造によって、複数の接続端子の各々において、電池との相対移動を抑制することができる。
【0012】
(4)上記の(1)~(3)のいずれか1つに記載の電池収納構造において、前記保持構造を前記電池に向けて付勢する弾発部材を備えてもよい。
【0013】
この構成により、弾発部材の弾発力によって、接続端子を電池に対して押し付けることで、電池と接続端子との相対移動を効果的に抑制することが可能となる。
【0014】
(5)上記の(4)記載の電池収納構造において、前記電池収納部から離れる方向への前記保持構造の移動を所定位置で規制する移動規制部を備えてもよい。
【0015】
この構成により、保持構造の移動を所定位置で規制することで、弾発部材の弾発方向への圧縮量を抑制して耐久性の低下を防止できる。
【0016】
(6)上記の(5)記載の電池収納構造において、前記移動規制部は、前記保持構造に設けられ、前記保持構造において前記接続端子が配置される側とは反対側に配置されてもよい。
【0017】
この構成により、弾発部材の配置される方向への保持構造の移動を効果的に規制することができる。
【0018】
(7)上記の(5)又は(6)記載の電池収納構造において、前記移動規制部は、前記保持構造の移動方向に沿って形成され前記弾発部材が内部に収容される収容部を有してもよい。
【0019】
この構成により、弾発部材の収容部を移動規制部と共用できるため、保持構造を簡素化することができる。
【0020】
(8)上記の(1)~(7)のいずれか1つに記載の電池収納構造において、前記保持構造は、基板と、前記基板を保持する基板保持部材と、を備え、前記接続端子と前記基板とが固定されてもよい。
【0021】
この構成により、保持構造の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、可搬型機器の電池収納構造において、接続端子と電池とが接続された状態で、前記接続端子が電池に追従するように接続端子を移動可能に保持する保持構造を備えることで、可搬型機器の移動に伴って電池収納構造に振動が付与されたとき、保持構造によって接続端子が移動可能に保持されるため、接続端子と電池との相対移動が抑制され、それに伴って接続端子の摩耗が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る可搬型機器の電池収納構造を示す全体断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示されるように、本実施形態に係る電池収納構造10は、移動可能な可搬型機器12に用いられる。可搬型機器12は、例えば医療用に用いられる医療用機器である。具体的には、可搬型機器12は、人工肺及びポンプを有した体外式膜型人工肺(ECMO)の制御ユニットである。なお、可搬型機器12は、体外式膜型人工肺(ECMO)の制御ユニットに限定されない。可搬型機器12は、例えばシリンジポンプ、心電計、血圧計等のバイタル測定器、モニタ等であってもよい。
【0025】
図1に示すように、可搬型機器12は、ハウジング121を有し、ハウジング121の内部に電池14を収納可能な電池収納構造10が配置される。
【0026】
図1に示すように、電池収納構造10は、電池14を収納可能な電池収納部16を有した筐体18と、筐体18の第1側面20に開口する第1開口部22と、筐体18の第2側面24に開口する一対の第2開口部261、262とを備える。電池収納構造10は、筐体18の内部に配置される接続端子28と、筐体18内において接続端子28と電池14とが接続された状態で、接続端子28が電池14に追従するように接続端子28を移動可能に保持する保持構造30とをさらに備える。以下、複数の電池14が電池収納部16に収納される場合、具体的には、4個の電池14が電池収納部16に収納される場合について説明する。なお、電池収納構造10に収納される電池14の数は、4個に限定されるものではない。電池14の数が3個以下であってもよいし、電池14の数が5個以上であってもよい。
【0027】
電池14は、例えば、充電及び放電を繰り返すことが可能なリチウム電池である。
図2に示すように、電池14の軸線と直交する断面が、幅方向に長尺な扁平形状である。電池14の断面における幅方向両端には、一対の円弧部141を有する。電池14の断面は、電池14の軸線に沿って同一である。
図1に示すように、電池収納部16に対して電池14が軸線方向に沿って挿入される。以下、電池14の挿入側となる一端部を、電池14の先端部14Aと呼び、先端部14Aとは反対側となる電池14の他端部を基端部14Bと呼ぶ。
【0028】
図3に示すように、電池14の先端部14Aは、複数のバッテリ端子142を備える。複数のバッテリ端子142は、電池14の軸線と直交する幅方向に並列する。各バッテリ端子142は、電池14の先端部14Aに形成された端子孔143に収納され端子孔143内で露出する。端子孔143は、電池14の先端部14Aから基端部14Bに向けて窪む。
【0029】
図1に示すように、筐体18は、筐体18の下部に配置される底部フレーム32と、筐体18の上部に配置される上部プレート34と、上部プレート34と直交して筐体18の側面を構成する一組の第1及び第2側面20、24と、第1及び第2側面20、24と直交する一組の第3及び第4側面401、402とを備える。筐体18は、平面視で略矩形状に形成される。底部フレーム32と上部プレート34とが上下方向に離間して平行に配置される。以下、筐体18の上下方向と直交し、且つ幅方向(
図2中、矢印B方向)と延在する方向を、筐体18の長手方向(矢印A1、A2方向)という。
【0030】
第1側面20は、筐体18の前方(長手方向一方、矢印A1方向)に配置される。第1側面20は、上下方向に沿って延在する。第1側面20は、第1開口部22と、取付面42とを備える。
【0031】
第1開口部22は、筐体18の内部に電池14を挿入可能に形成される。筐体18に対して電池14が水平方向に挿入される。第1開口部22は、電池14の挿入口である。第1開口部22は、第1側面20の上下方向に延在すると共に、上下方向と直交する幅方向(
図2中、矢印B方向)に延在する。なお、第1開口部22は、電池14の数に対応した複数であってもよい。取付面42は、第1開口部22に対して幅方向一方に配置される。取付面42は、第1側面20の延在方向に沿って平坦な面である。なお、筐体18に対する電池14の挿入方向は水平方向に限定されない。例えば、筐体18に対して電池14を鉛直方向(上下方向)に挿入してもよい。
【0032】
第1側面20には、一対の第1カバー部材441、442が取り付けられる。第1カバー部材441、442は、プレート状に形成され幅方向(
図2中、矢印B方向)に長尺な長方形状に形成される。一対の第1カバー部材441、442は、第1側面20において上下方向に並列に配置され第1開口部22を覆う。第1カバー部材441、442の中央には、孔部46を備える。孔部46は、第1カバー部材441、442を厚さ方向に貫通し、幅方向に長尺な長方形状に開口する。第1カバー部材441、442の幅方向端部には取付部47を備える。取付部47は、第1側面20の取付面42に当接し、締結部材48によって第1側面20に固定される。一対の第1カバー部材441、442によって、第1開口部22が覆われる。第1カバー部材441、442を取り付けたとき、各孔部46を通じて筐体18の内部を外部から視認可能である。なお、一方の第1カバー部材441と他方の第1カバー部材442とが上下方向に離間して配置されてもよい。
【0033】
第1カバー部材441、442は、第1弾発部材50を備える。第1弾発部材50は、例えばウレタン、スポンジ、又はばね部材等から形成される。第1弾発部材50は、電池収納部16に向かい合う第1カバー部材441、442の内面に設けられる。第1弾発部材50は、所定厚さを有し、第1カバー部材441、442の内面に貼着又は融着される。第1弾発部材50は、孔部46を挟んで孔部46の上下方向に一対設けられる。一対の第1弾発部材50は並列する。第1カバー部材441、442の内面に対して、第1弾発部材50が電池収納部16に向けて筐体18の長手方向(矢印A2方向)に突出する。すなわち、第1カバー部材441、442に対する第1弾発部材50の突出方向は、電池収納部16に収納される電池14に向かう方向である。
【0034】
筐体18の電池収納部16に電池14が収納され、且つ第1カバー部材441、442が第1側面20に取り付けられたとき、第1弾発部材50が電池14の基端部14Bを押圧する。電池14の基端部14Bと第1弾発部材50とが接触したとき、第1弾発部材50の弾発力によって電池14が第2側面24に向けて付勢される。
【0035】
第2側面24は、筐体18の後方(長手方向他方、矢印A2方向)に配置され、第2側面24の下端には底部フレーム32が接続される。第2側面24と第1側面20とが筐体18の長手方向(矢印A1、A2方向)に向かい合う。第1側面20と第2側面24とが平行である。
【0036】
第2側面24の上端には、上部プレート34が接続される。第2側面24は、一対の第2開口部261、262を備える。第2開口部261、262は、第2側面24の上下方向に並列する。一対の第2開口部261、262は、第2側面24の上下方向に離間する。第2開口部261、262は、上下方向と直交する幅方向(
図2中、矢印B方向)に長尺な長方形状である。なお、第2開口部261、262の形状は、幅方向に長尺な長方形状に限定されない。
【0037】
電池収納部16は、上部プレート34、第1及び第2側面20、24、第3及び第4側面401、402によって囲まれた空間である。第1開口部22から電池収納部16に電池14が挿入され電池収納部16に収納される。このとき、筐体18に対する電池14の挿入方向は、筐体18の長手方向に沿った第1開口部22から第2側面24に向かう方向(後方、矢印A2方向、長手方向他方)である。
【0038】
図2に示すように、電池収納部16は、電池14を保持可能な複数のホルダ58を有する。ホルダ58の各々は、電池14の数に対応した4個設けられ、筐体18の上下方向に並列すると共に筐体18の長手方向に沿って配置される。各ホルダ58は、第3及び第4側面401、402に固定される。
【0039】
ホルダ58は、電池14を保持可能に形成される。
図1に示すように、ホルダ58は、第1側面20の近傍に配置される第1緩衝部601と、第2側面24の近傍に配置される第2緩衝部602とを備える。第1及び第2緩衝部601、602の各々は、ホルダ58の幅方向に離間した一対の緩衝片62を有し、一対の緩衝片62は、電池14の底面から天面にかけて側面の円弧部141を介して貼り付けられている緩衝材である(
図2参照)。一対の緩衝片62の間に電池14が収納され一体的に保持される。
【0040】
接続端子28は、金属製であり複数設けられて後述する保持構造30の基板64に電気的に接続される。接続端子28は、筐体18の内部において電池収納部16に向かい合って配置される。
図3に示されるように、接続端子28は、電池14のバッテリ端子142が電気的に接続される。電池収納部16に電池14が収納されたとき、接続端子28が電池14の端子孔143に挿入される。端子孔143において、バッテリ端子142と接続端子28とが接触して接続される。本実施形態では、接続端子28の接続方向(矢印A2方向)は、電池14の挿入方向(矢印A2方向)と同一である。このとき、バッテリ端子142と接続端子28とが、互いの接続方向に沿って面接触又は線接触する。電池14のバッテリ端子142を通じて接続端子28に電力が供給される。なお、接続端子28は複数設けられる場合に限定されず、1つの接続端子28であってもよい。
【0041】
図1に示すように、保持構造30は、接続端子28の接続方向(矢印A2方向)に沿って筐体18に対して移動可能である。保持構造30は、筐体18の第2側面24に配置され第2開口部261、262の各々に嵌合される。保持構造30は、複数設けられる。一方の保持構造30は、筐体18の上部に並列し、且つ第2開口部261に向かい合う2つの電池14の先端部14Aと対向する。他方の保持構造30は、筐体18の下部に並列し、且つ第2開口部262に向かい合う2つの電池14の先端部14Aと対向する。
【0042】
保持構造30は、基板64と、基板64を保持する基板保持部材66と、電池収納部16から離れる方向への保持構造30の移動を所定位置で規制する移動規制部68と、保持構造30を電池14に向けて付勢する第2弾発部材70とを備える。なお、保持構造30は、基板64を備える場合に限定されない。保持構造30が、基板64を備えず接続端子28を保持可能な端子保持部材から構成されてもよい。この場合、基板64は、保持構造30とは別に配置されて接続端子28と電気的に接続される。
【0043】
基板64は、回路を有したプレート状に形成される。基板64は、第2開口部261、262と略同等の大きさで形成される。基板64は、電池収納部16に向かい合う表面641を有し、表面641に接続端子28が固定される。基板64と接続端子28とが電気的に接続される。基板64の表面641に対して接続端子28が直交し、接続端子28が電池収納部16に向けて突出する。
図2に示すように、基板64の幅方向(矢印B方向)において、複数の接続端子28が互いに離間して並列する。なお、本実施形態では一対の基板64を備える場合について説明しているがこれに限定されるものではない。例えば複数の接続端子28を接続可能な1つの基板64を備える構成であってもよい。
【0044】
図1に示すように、基板保持部材66は、樹脂材料から形成され第2開口部261、262に向かい合う位置に配置される。基板保持部材66は、第2側面24の外側に配置され、第2開口部261、262を通じて筐体18の内部(電池収納部16)に向けて移動可能である。基板保持部材66は、ベース部72と、ベース部72に対して基板64を保持するフック74と、ストッパ部76とを備える。
【0045】
ベース部72は、プレート状に形成され第2開口部261、262に向かい合うと共に、第2開口部261、262に挿入可能である。ベース部72は、第2開口部261、262に向かい合う前面721に基板64が当接して保持される。
【0046】
フック74は、ベース部72の外縁部に設けられ電池収納部16に向けて突出する。フック74は、ベース部72の端部に配置される(
図3参照)。ベース部72の前面721に向かい合うように基板64が配置された状態で、基板64の外縁がフック74によって保持される。なお、フック74の配置箇所、配置方向及び個数については特に限定されるものではなく、フック74によってベース部72を保持可能な構成であればよい。
【0047】
図1に示すように、ストッパ部76は、ベース部72の外縁部に設けられ上下方向に突出した複数の突出片78を有する。ベース部72の上部に一対の突出片78を有し、ベース部72の下部に一対の突出片78を有する。基板保持部材66が電池収納部16に向けて移動し、第2開口部261、262を通じてベース部72が内部に移動するとき、複数の突出片78が第2側面24に当接する。これにより、ストッパ部76によって基板保持部材66の電池収納部16に向けた移動が所定位置で規制される。
【0048】
移動規制部68は、保持構造30の基板保持部材66に設けられる。移動規制部68は、基板保持部材66のベース部72に設けられ接続端子28が配置される前面721とは反対側となるベース部72の背面722に配置される。移動規制部68は、基板保持部材66の筐体18から離間する方向(矢印A2方向)への移動を所定位置で規制する。
【0049】
移動規制部68は、ベース部72の背面722から突出した一対の規制部材801、802と、一対の規制部材801、802を覆う第2カバー部材82とを備える。規制部材801、802の各々は、ベース部72から離間する方向(矢印A2方向)に開口した円筒状である。規制部材801、802の内部には収容部84を有する。規制部材801、802の各々は、ベース部72の背面722に対して直立する。
図2に示すように、一対の規制部材801、802は、ベース部72の幅方向略中央に配置され上下方向に離間して並列する。
【0050】
図1に示すように、第2カバー部材82は、規制部材801、802の端部に向かい合い規制部材801、802の後方(矢印A2方向)を覆う。第2カバー部材82は、上下方向に延在して第2側面24の上部と底部フレーム32とに接続される。第2カバー部材82は、規制部材801、802の端部に向かい合い基板保持部材66の移動方向と直交する壁部86を有する。基板保持部材66が筐体18から離間する方向に変位し、規制部材801、802の端部が第2カバー部材82の壁部86に当接する。これにより、規制部材801、802によって基板保持部材66の筐体18から離間する方向への移動が所定位置で規制される。また、電池14(基板保持部材66)が矢印A2方向へ移動した際に、第2弾発部材70が軸方向に圧縮され過ぎることがないため、過度な圧縮による第2弾発部材70の弾性が失われる現象(耐久性の低下)を回避することができる。なお、移動規制部68は、基板保持部材66に設けられる構成に限定されない。例えば、基板保持部材66に向かい合う第2カバー部材82の壁部86に移動規制部を設けてもよい。
【0051】
第2弾発部材70は、例えば軸方向に弾発力を有したばね部材である。なお、第2弾発部材70は、ばね部材に限定されるものではない。第2弾発部材70は、規制部材801、802の収容部84に配置される。第2弾発部材70は、ベース部72の背面722と第2カバー部材82の壁部86とに当接する。第2弾発部材70の弾発力は、基板保持部材66を電池収納部16に向けて押圧するように付勢する(矢印A1方向)。換言すれば、第2弾発部材70の弾発力によって、基板保持部材66を介して接続端子28が電池14に向けて押し付けられる。これにより、複数の接続端子28が電池14のバッテリ端子142に接続された状態で、複数の接続端子28が電池14に向けて付勢される。このとき、電池14の基端部14Bは、第1弾発部材50に当接していてもよい。
【0052】
本実施形態の電池収納構造10は以上の構成を有する。次に、電池収納構造10を備えた可搬型機器12を移動させる場合について説明する。
【0053】
ユーザが可搬型機器12を移動させ、可搬型機器12に対して振動又は衝撃等(以下、外力という)が付与されたとき、可搬型機器12と共に電池収納構造10に外力が付与される。電池収納構造10の電池収納部16において、ホルダ58に沿って電池14が筐体18の長手方向(矢印A1、A2方向)に移動する。筐体18の長手方向に沿って電池14が移動したとき、保持構造30における第2弾発部材70の弾発力によって、電池14の移動に追従するように、基板64と共に接続端子28が筐体18の長手方向に沿って移動する。すなわち、第2弾発部材70の弾発力によって、電池14の移動方向と同一方向に接続端子28が移動する。このとき、電池14が第1側面20の方向(矢印A1方向)に移動し、電池14の基端部14Bが第1弾発部材50に当接することで、第1弾発部材50の弾発力によって電池14が保持構造30に向けて付勢される。
【0054】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0055】
図1に示すように、可搬型機器12の電池収納構造10が、電池14を収納可能な電池収納部16を有した筐体18と、筐体18の第1側面20に開口して電池収納部16に電池14を挿入するための第1開口部22と、筐体18の内部において電池収納部16に向かい合って配置され電池14に電気的に接続される接続端子28と、接続端子28と電池14とが接続された状態で、接続端子28が電池14に追従するように接続端子28を移動可能に保持する保持構造30とを備える。これにより、可搬型機器12の移動に伴って電池収納構造10に振動又は衝撃等が付与されたとき、保持構造30によって接続端子28が移動可能に保持されるため、接続端子28と電池14との相対移動が抑制され、それに伴って接続端子28の摩耗が抑制される。接続端子28の摩耗に起因した電池14と接続端子28との導通不良が防止される。
【0056】
筐体18が、複数の第1開口部22と、複数の第1開口部22に隣接して連通する複数の電池収納部16と、複数の接続端子28を保持する保持構造30と、筐体18の第2側面24に開口し保持構造30が嵌合される第2開口部261、262とを備えている。これにより、複数の電池14を1つの基板64に接続することにより、複数の接続端子28の間の距離を一定に保つことができる。
【0057】
保持構造30が複数設けられ、複数の保持構造30の各々には接続端子28が設けられているため、複数の保持構造30によって、複数の接続端子28の各々において、電池14との相対移動を抑制することができる。
【0058】
保持構造30を電池14に向けて付勢する第2弾発部材70(弾発部材)を備えることで、第2弾発部材70の弾発力によって、接続端子28を電池14に対して押し付けることで電池14と接続端子28との相対移動を効果的に抑制することができる。またさらに、第2弾発部材70と第1弾発部材50とによって、外部からの振動や衝撃が電池14に対して直接伝わることを効果的に抑制することができる。
【0059】
電池収納部16から離れる方向(矢印A2方向)への保持構造30の移動を所定位置で規制する移動規制部68を備えることで、保持構造30に設けられた第2弾発部材70の弾発方向への圧縮量を抑制し、第2弾発部材70の耐久性の低下を防止することができる。
【0060】
移動規制部68が、保持構造30に設けられ保持構造30において接続端子28が配置される側とは反対側に配置されることで、第2弾発部材70の配置される方向(矢印A2方向)への保持構造30の移動を効果的に規制することが可能となる。
【0061】
移動規制部68は、保持構造30の移動方向に沿って形成され第2弾発部材70が内部に収容される収容部84を有しているため、第2弾発部材70の収容部84を移動規制部68と共用することが可能となり、保持構造30の構成を簡素化することができる。
【0062】
保持構造30は、基板64と、基板64を保持する基板保持部材66とを備え、接続端子28と基板64とが固定されるため、電池収納構造10の構成を簡素化できる。
【0063】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0064】
10…電池収納構造
12…可搬型機器
14…電池
16…電池収納部
18…筐体
22…第1開口部
28…接続端子
30…保持構造