(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121047
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】予測装置、予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20240830BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G06F11/34 147
G06F3/06 305F
G06F3/06 305Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027903
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】上田 徹
(72)【発明者】
【氏名】中川 弘勝
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA33
5B042JJ23
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC30
5B042MC33
(57)【要約】
【課題】記憶領域に対するアクセスにおいて発生する遅延事象を予測することが可能な予測装置を提供する。
【解決手段】予測装置1は、取得部1a及び予測部1bを備える。取得部1aは、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得する。予測部1bは、分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得する取得部と、
前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する予測部と、
を備える予測装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記予測対象期間について予測した前記遅延発生期間及び前記遅延発生回数に基づき、前記予測対象期間についての遅延発生確率を算出する、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記分析結果は、前記差分の度合いごとに遅延事象の発生、開始時期、及び終了時期を分析した結果である、
請求項1又は2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記差分に基づき、過去の算出対象期間についての遅延発生確率である過去遅延発生確率を算出する算出部を備え、
前記取得部は、前記過去遅延発生確率を、前記分析結果の少なくとも一部として取得する、
請求項1又は2に記載の予測装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、
前記予測部は、前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する、
請求項1又は2に記載の予測装置。
【請求項6】
前記記憶領域に対するアクセス性能の快適さを示す性能快適指数を算出する算出部を備え、
前記取得部は、前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、
前記予測部は、前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間について、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測し、
前記算出部は、前記遅延発生確率と前記アクセス負荷比率とに基づき、前記性能快適指数を算出する、
請求項2に記載の予測装置。
【請求項7】
演算処理装置が、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得し、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する、
予測方法。
【請求項8】
前記演算処理装置が、前記予測対象期間について予測した前記遅延発生期間及び前記遅延発生回数に基づき、前記予測対象期間についての遅延発生確率を算出する、
請求項7に記載の予測方法。
【請求項9】
コンピュータに、
記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得し、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する
処理を実行させるプログラム。
【請求項10】
前記処理は、前記予測対象期間について予測した前記遅延発生期間及び前記遅延発生回数に基づき、前記予測対象期間についての遅延発生確率を算出する処理を含む、
請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予測装置、予測方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記憶部の応答遅延によるパフォーマンスの低下を抑制することを目的とした画像処理装置が記載されている。この画像処理装置は、第1記憶部が応答遅延状態であるか否かを判定する判定処理部と、判定処理部により第1記憶部が応答遅延状態であると判定された場合に、画像データの書き込み先を第1記憶部から第2記憶部へと切り替える切替処理部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、記憶部へのアクセスの応答遅延が発生している状態であるか否かを判定することはできるものの、その応答遅延が発生する可能性は予測できておらず、遅延事象を未然に防止することもできない。
【0005】
本開示の目的は、上記の課題を解決するためになされたもので、記憶領域に対するアクセスにおいて発生する遅延事象を予測することが可能な予測装置、予測方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る予測装置は、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得する取得部と、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する予測部と、を備えるものである。
【0007】
本開示に係る予測方法は、演算処理装置が、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得し、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する、ものである。
【0008】
本開示に係るプログラムは、コンピュータに、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得し、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する処理を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、記憶領域に対するアクセスにおいて発生する遅延事象を予測することが可能な予測装置、予測方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る予測装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の予測装置における予測方法の一例を説明するためのフロー図である。
【
図3】実施形態2に係る予測装置を備えた情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図3の情報処理装置における性能快適指数算出処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図5】
図4の性能快適指数算出処理における遅延時間予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図6】
図5の遅延時間予測処理を説明するための異常値データの一例を示す図である。
【
図7】
図4の性能快適指数算出処理における過去遅延発生確率算出処理の一例を説明するための図である。
【
図8】
図4の性能快適指数算出処理における遅延時間予測処理の一例を説明するための図である。
【
図9】装置に含まれるハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る予測装置の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る予測装置1は、取得部1a及び予測部1bを備えることができる。
【0013】
取得部1aは、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得する。
【0014】
ここで、記憶領域は、hard disk drive(HDD)、solid-state drive(SSD)等の記憶装置を指すことができるが、記憶領域としては、これらのような物理的な記憶装置に限らず、仮想的な記憶装置にも適用することができる。よって、記憶領域に対するアクセスは、物理的なドライブによるアクセス(ドライブアクセス)、あるいは仮想的なドライブによるアクセスなどとすることができる。仮想的なドライブとは、例えば、複数のHDDをRAID構成にすることによる仮想的なドライブや、仮想OS(Operating System)における仮想的なドライブなどを指すことができる。なお、RAIDはRedundant Arrays of Inexpensive Disksの略である。
【0015】
このように、分析対象となるアクセスにおいて、アクセス先となる記憶領域は、予測装置1の内部に設けられた記憶領域に限らず、予測装置1に接続された記憶領域とすることもできる。つまり、本実施の形態では、物理的なドライブ、仮想的なドライブのいずれも分析の対象とできる。
【0016】
取得部1aが取得する分析結果は、上述のように過去に発生した遅延事象について正常な状態との差分を分析した結果であればよく、この分析の手法は問わない。分析の手法の具体例については実施形態2において後述する。
【0017】
予測部1bは、取得部1aで取得された分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する。予測の手法、つまり予兆を得る手法は問わないが、具体例については実施形態2において後述する。
【0018】
予測対象期間は、予め現時点から所定期間などと決めておくこともできるし、図示しない操作部等から対象の開始時期と終了時期、あるいは開始時期とそこからの所定期間を指定できるようにしておいてもよい。
【0019】
予測する遅延発生期間は、遅延が発生する開始時期と終了時期とで表現することができるが、例えば開始時期で表現すること、あるいは開始時期と終了時期との例えば中間地点で表現すること、あるいは終了時期で表現することもできる。あるいは、予測する遅延発生期間は、遅延が発生する開始時期と終了時期との間の、最も遅延が大きい時期や平均的な遅延が発生する時期など、統計処理により得られた時期で表現することもできる。
【0020】
また、予測装置1は、図示しないが、予測結果を出力する出力部を備えることもできる。この出力部による出力先は、予測装置1に備えた表示装置、予測装置1に接続された表示装置、予測装置1の内部又は外部の記憶装置、及び予測装置1に接続された印刷装置のうち、少なくとも1つなどとすることができる。予測装置1の内部又は外部の記憶装置は、上記記憶領域としてアクセスの分析の対象とする記憶装置であってもよいし、それとは異なる記憶装置であってもよい。
【0021】
また、
図1に示す予測装置1は、例えば、サーバ又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータとすることができるが、専用のハードウェアを備えた装置であってもよい。具体的には、予測装置1は、例えば1以上のプロセッサと1以上のメモリとを含むハードウェアを含むコンピュータ装置を含んで構成され得る。予測装置1内の各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが、1以上のメモリから読み出したプログラムに従って動作することで実現され得る。
【0022】
換言すれば、予測装置1は、その全体を制御する制御部(図示せず)を備えることができる。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、取得部1a及び予測部1bの処理をCPU又はGPU等のプロセッサに実行させるためのプログラムとすることができる。
【0023】
なお、予測装置1は、単体の装置として構成される例に限らず、機能を分散させた複数の装置として、つまり予測システムとして構築することもでき、その分散の方法は問わない。複数の装置に機能を分散した予測システムを構築する場合、各装置に制御部、通信部、及び必要に応じて記憶部等を備えるとともに、無線又は有線の通信により上記複数の装置を必要に応じて接続して協働して予測装置1で説明した機能を実現させればよい。
【0024】
次に、
図2を参照しながら、予測装置1の処理例について説明する。
図2は、
図1の予測装置1における予測方法の一例を説明するためのフロー図である。
【0025】
まず、予測装置1のプロセッサ等の演算処理装置が、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得する(ステップS1)。次いで、この演算処理装置が、取得した分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測し(ステップS2)、処理を終了する。また、この予測の結果は、予測装置1に出力部を備えておくことで、出力することもできる。
【0026】
以上に説明したように、本実施形態によれば、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測すること、つまり、記憶領域に対するアクセスにおいて発生する遅延事象を予測することができる。また、本実施形態は、例えば、IT(Information Technology)システムの運用を監視する監視サービスや、ITシステムの運用をサポートするサポートサービスなどに利用されることができる。
【0027】
<実施形態2>
実施形態2について、
図3~
図8を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。まず、
図3を参照しながら本実施形態に係る予測装置を備えた情報処理装置の構成例について説明する。
図3は、実施形態2に係る予測装置を備えた情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【0028】
図3に示すように、本実施形態に係る情報処理装置10は、制御部11、記憶部12、アクセスデータ取得部13、遅延分析部14、遅延予測部15、過去遅延分析部16、負荷分析部17、負荷予測部18、及び性能快適指数算出部19を備えることができる。情報処理装置10は、その詳細は後述するが、遅延予測部15が遅延分析部14での分析結果を受けて予測を行う機能をもち、
図1の予測装置1の一例を含む構成であると言える。
【0029】
制御部11は、情報処理装置10の全体を制御する部位で、例えばCPU又はGPU等のプロセッサを含むことができ、また制御のためのプログラムを格納した記憶装置を含むことができる。制御部11は、演算処理装置としての機能を備える。
【0030】
制御部11に含まれるプログラムは、アクセスデータ取得部13、遅延分析部14、遅延予測部15、過去遅延分析部16、負荷分析部17、負荷予測部18、及び性能快適指数算出部19の機能をプロセッサに実行させるプログラムとすることができる。その場合、制御部11は、アクセスデータ取得部13、遅延分析部14、遅延予測部15、過去遅延分析部16、負荷分析部17、負荷予測部18、及び性能快適指数算出部19を含むことになる。
【0031】
また、アクセスデータ取得部13、遅延分析部14、遅延予測部15、過去遅延分析部16、負荷分析部17、負荷予測部18、及び性能快適指数算出部19の各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、上記の各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。この場合、制御部11は、記憶部12、アクセスデータ取得部13、遅延分析部14、遅延予測部15、過去遅延分析部16、負荷分析部17、負荷予測部18、及び性能快適指数算出部19を制御することになる。無論、制御部11も、上記の集積回路に含めることもできる。
【0032】
記憶部12は、アクセスの解析対象の記憶領域となる記憶装置であり、例えばメモリ又はHDD又はSSD等の記憶デバイスである。記憶部12は、例えばROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等である。このように、本実施の形態では、アクセスの対象が物理的な記憶装置であるため、以下、アクセスをドライブアクセスと称して説明を行う。無論、本実施の形態においても、仮想的なドライブによるアクセスに適用することもできる。
【0033】
アクセスデータ取得部13は、記憶部12へのドライブアクセスを監視し、ドライブアクセスについて、その日時、アクセス元、データ量、そのドライブアクセスに対する応答の日時などを示すアクセスデータを取得する。アクセスデータは、この例に限らず、ドライブアクセスの性能を示す情報を含むデータであればよい。
【0034】
アクセスデータ取得部13は、取得したアクセスデータを、遅延分析部14及び負荷分析部17から読み出し可能な状態で、アクセスデータ取得部13の内部のメモリ又は記憶部12などに蓄積する。なお、アクセスデータ取得部13は、アクセスデータを取得する度に遅延分析部14及び負荷分析部17へ渡すようにしてもよい。
【0035】
遅延分析部14は、アクセスデータ取得部13で取得されたアクセスデータの遅延事象の発生について、遅延のない正常な状態との差分を分析し、分析結果を得る。この分析は、記憶部12へのドライブアクセスの性能に基づく遅延の分析に相当する。よって、遅延分析部14は、性能遅延分析部と称することができる。
【0036】
分析手法の例を挙げる。遅延分析部14は、例えば、過去のドライブアクセス性能を示すアクセスデータを分析し、予め定義された複数の性能指標のそれぞれについて、正常動作時に対する検証時の距離を数値化したものを異常度として決定することができる。性能指標としては、ドライブアクセス日時から応答日時までの時間や、単位時間あたりに応答したデータ量など、様々な性能を示す指標を適用することができる。なお、ここでの距離とは遅延のない正常な状態との差分を示す数値の例であり、正常動作時の数値と検証時の数値との差を示す。
【0037】
つまり、遅延分析部14は、例えば、正常動作時と検証時のそれぞれの性能指標ごとの数値を入力し、その時点ごとの距離を異常度として算出することができる。算出される異常度は、遅延発生の有無の判定のための指標として用いることができ、特に、異常度の値の大きさは、遅延の度合いの大きさを判定するための指標として用いることができる。つまり、算出された異常度の値が大きいほど遅延の度合いが大きいと判定されることができる。
【0038】
このように、遅延分析部14での分析結果は、上記差分の度合いごとに遅延事象の発生、開始時期、及び終了時期を分析した結果とすることができる。つまり遅延分析部14は、上記差分の度合いごとに遅延事象の発生、開始時期、及び終了時期を分析する。
【0039】
遅延分析部14は、分析した結果である分析結果を、遅延予測部15及び過去遅延分析部16から読み出し可能な状態で、遅延分析部14の内部のメモリ又は記憶部12などに記憶させる。なお、遅延分析部14は、分析結果を遅延予測部15及び過去遅延分析部16に直接渡すこともできる。その場合、遅延予測部15及び過去遅延分析部16にそれぞれ設けられた図示しないメモリに分析結果が記憶され、予測時や分析時に参照されることになる。
【0040】
遅延予測部15は、記憶部12に対するドライブアクセスにおいて過去に発生した遅延事象についての上述した分析結果を取得し、取得した分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する。
【0041】
さらに、本実施形態では、遅延予測部15は、予測対象期間について予測した遅延発生期間及び遅延発生回数に基づき、予測対象期間についての遅延発生確率を算出する。つまり、本実施形態では、ドライブアクセス性能を予測する場合、遅延のない正常な状態との差分に基づき遅延発生期間及び遅延発生回数を予測し、過去の発生実績に基づいた遅延発生確率を数値として算出することができる。
【0042】
このような算出の例について説明する。このような算出のために、遅延予測部15は、異常度予測部15a、遅延期間予測部15b、及び遅延発生確率算出部15cを備えることができる。
【0043】
異常度予測部15aは、これまでのアクセス性能を示すアクセスデータに基づき、データ量及びアクセス回数の傾向を分析し、予測対象期間についてのデータアクセスの傾向を予測する。ここで、傾向とは、例えば時間帯、曜日、日付けなどに応じた時間的な傾向を指すことができる。さらに、異常度予測部15aは、この予測時において、情報処理装置10又は情報処理装置10を含むITシステムの運用の経過期間を元に予め定義された経年劣化度合いを考慮して、予測対象期間についての異常度の推移を予測することができる。異常度予測部15aは予測結果を遅延期間予測部15bに渡す。
【0044】
遅延期間予測部15bは、異常度予測部15aから入力された予測結果に基づき、例えば異常度の閾値及び最低継続期間などの予め定義された遅延発生条件との比較を行い、予測対象期間についての遅延発生期間を予測する。例えば、遅延期間予測部15bは、予測結果を上記遅延発生条件と比較して遅延発生箇所を抽出する。そして、遅延期間予測部15bは、抽出した遅延発生箇所の前後の異常度の変化(傾き)から異常値の上昇箇所の中間点を遅延発生時期、下降箇所の中間点を遅延終了時期として抽出することで、予測対象期間についての遅延発生期間を明確に予測することができる。
【0045】
さらに、遅延期間予測部15bは、予測した遅延発生期間を元に予測対象期間中の遅延発生回数を算出する。遅延期間予測部15bは、予測した遅延発生期間と算出した遅延発生回数を遅延発生確率算出部15cに渡す。
【0046】
過去遅延分析部16は、遅延分析部14から受け取った異常度の値を、例えば3段階など複数の段階に分け、それぞれの段階ごとにこれまでの遅延発生回数と期間を元に異常度の3段階ごとの過去遅延発生確率を算出し、遅延発生確率算出部15cに渡す。過去遅延分析部16は、過去遅延発生分析部と称することもできる。
【0047】
遅延発生確率算出部15cは、遅延期間予測部15bで算出された遅延発生期間と遅延発生回数と過去遅延分析部16で算出した異常度の段階ごとの過去遅延発生確率を元に、予測対象期間についての遅延発生確率を算出する。遅延発生確率算出部15cは、算出した遅延発生確率を性能快適指数算出部19に渡す。
【0048】
このように、過去遅延分析部16は、上記差分に基づき過去の算出対象期間についての遅延発生確率である過去遅延発生確率を算出し、遅延予測部15は、この過去遅延発生確率を、分析結果の少なくとも一部として取得することができる。そして、遅延予測部15における遅延発生確率算出部15cは、過去遅延発生確率と予測結果としての遅延発生確率とに基づき、予測対象期間についての遅延発生確率を算出する。
【0049】
負荷分析部17は、アクセスデータ取得部13で取得されたアクセスデータから、記憶部12に対する過去のドライブアクセスについての正常な状態でのアクセス負荷を分析する。分析の手法は問わない。例えば、負荷分析部17は、これまでのアクセス性能を示すアクセスデータに基づき、データ量及びアクセス回数の傾向を分析することで、正常な状態でのアクセス負荷を分析した結果を得る。負荷分析部17は、アクセス負荷分析部と称することもできる。負荷分析部17は、分析した結果である負荷分析結果を負荷予測部18へ渡す。
【0050】
負荷予測部18は、負荷分析部17から取得した負荷分析結果に基づき、予測対象期間についての、正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測し、性能快適指数算出部19に渡す。アクセス負荷とは、遅延に至らないアクセス負荷を指すことができる。また、アクセス負荷比率は、遅延が発生していない期間に対する、予め定義された負荷状態を超過した期間の割合(比率)を指し、過去においてアクセス負荷が影響している割合を指す。よって、アクセス負荷比率は、過去負荷影響率と称することもできる。また、負荷予測部18は、アクセス負荷比率を算出により予測するため、アクセス負荷比率算出部あるいはアクセス負荷比率予測部と称することもできる。
【0051】
例えば、負荷予測部18は、負荷分析結果に基づきアクセス傾向を予測し、情報処理装置10又は情報処理装置10を含むITシステムの運用の経過期間を元に予め定義された経年劣化度合いを考慮して、アクセス負荷状態を予測し、アクセス負荷比率を算出する。
【0052】
性能快適指数算出部19は、遅延発生確率算出部15cで算出された遅延発生確率と、負荷予測部18で算出されたアクセス負荷比率とに基づき、記憶部12に対するアクセス性能の快適さを示す性能快適指数を算出する。
【0053】
次に、
図4~
図8を用いて、情報処理装置10における性能快適指数を算出する処理の一例を説明する。但し、情報処理装置10における処理は、以下に説明する例に限ったものではない。
図4は、情報処理装置10における性能快適指数算出処理の一例を説明するためのフロー図である。
図5は、
図4の性能快適指数算出処理における遅延時間予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
図6は、
図5の遅延時間予測処理を説明するための異常値データの一例を示す図である。
図7は、
図4の性能快適指数算出処理における過去遅延発生確率算出処理の一例を説明するための図である。
図8は、
図4の性能快適指数算出処理における遅延時間予測処理の一例を説明するための図である。
【0054】
まず、遅延分析部14が過去の遅延発生を分析し、異常度を算出する(ステップS11)。次いで、過去遅延分析部16が、算出された異常度を複数段階に分け、段階ごとに過去遅延発生確率を算出する(ステップS12)。段階ごとの過去遅延発生確率の計算例については、ステップS15の例とともに後述する。
【0055】
また、異常度予測部15aが、算出された異常度に基づき予測対象期間における異常度の推移を予測する(ステップS13)。ステップS12,S13の順序は問わない。
【0056】
ステップS13に次いで、遅延期間予測部15bが、遅延期間の予測を行う(ステップS14)。ステップS14では、遅延期間予測部15bが、異常度の推移から予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する。
【0057】
ここで、
図5及び
図6を用いて、遅延期間予測部15bが遅延発生期間としての開始時期及び終了時期と遅延発生回数とを予測する処理の一例について説明する。遅延期間予測部15bは、異常度が異常度についての閾値を超過しているか否かを判定し(ステップS21)、超過していない場合には予測対象期間が終了しているか否かを判定し(ステップS22)、終了していれば処理を終了する。ステップS22の判定でNOの場合、つまり予測対象期間が終了していない場合には、ステップS21へ戻ることになる。
【0058】
ステップS21でYESとなった場合、つまり異常度が閾値を超過していた場合、遅延期間予測部15bが、最低継続期間以上、閾値を超えた状態が継続しているか否かを判定し(ステップS23)、継続していなかった場合にはステップS22へ進む。一方、ステップS23でYESの場合、つまり、最低継続期間以上、閾値を超えた状態が継続している場合、遅延期間予測部15bが、遅延発生箇所を特定し、カウントを加算する(ステップS24)。このカウントは、遅延発生回数を示す値を指す。
【0059】
次いで、遅延期間予測部15bが、ステップS24で特定した遅延発生箇所から時間を遡り(ステップS25)、前後の異常度で傾き(絶対値)が定義された値(定義値)より低いか否かを判定する(ステップS26)。ここで、定義値とは、遅延のない正常な状態を示す予め定められた値を指す。ステップS26でNOの場合には、ステップS25へ戻り、時間を更に遡る。
【0060】
ステップS26でYESであった場合、遅延期間予測部15bが、通常状態に戻った地点を元に、つまりステップS26でYESとなった段階においてステップS25で最終的に遡った時間を元に、中間点を計算し、遅延開始時期を特定する(ステップS27)。ステップS27では、
図6の開始時期として例示するような時間位置が遅延開始時期として特定されることになる。なお、
図6の縦軸は異常度を指し、横軸は時間を指す。
【0061】
次いで、遅延期間予測部15bが、ステップS24で特定した遅延発生箇所から時間を進め(ステップS28)、ステップS26と同様に、前後の異常度で傾き(絶対値)が定義値より低いか否かを判定する(ステップS29)。ステップS26でNOの場合には、ステップS28へ戻り、時間を更に進める。
【0062】
ステップS29でYESであった場合、遅延期間予測部15bが、通常状態に戻った地点を元に、つまりステップS29でYESとなった段階においてステップS28で最終的に進めた時間を元に、中間点を計算し、遅延終了時期を特定する(ステップS30)。ステップS30の処理後は、ステップS22へ進むことになる。ステップS30では、
図6の終了時期として例示するような時間位置が遅延終了時期として特定されることになる。
【0063】
ステップS27,S30の処理により、
図6の遅延期間として例示するような期間が遅延発生期間として予測され、
図5の処理終了時におけるステップS24でのカウントの値が遅延発生回数として予測されることになる。なお、ステップS25~S27の処理とステップS28~S30との処理の順序は逆であってもよい。
【0064】
ステップS14に次いで、遅延発生確率算出部15cが、予測対象期間についての最終的な遅延発生確率を算出する(ステップS15)。ステップS15では、ステップS14で算出された予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数及びステップS12で算出された段階ごとの過去遅延発生確率に基づき、予測対象期間についての最終的な遅延発生確率が算出される。
【0065】
ここで、
図7及び
図8を用いて、ステップS12、S14、及びS15の処理の一例について説明する。ステップS12において、過去遅延発生確率は次の式で算出されることができる。ここで、nを正の整数とし、Xnはnクラスの遅延発生期間(遅延延べ時間)、Znはnクラスの過去遅延発生確率(過去実績)である。下式での予測対象期間は、予測対象の延べ時間を指している。
Zn=(Xn/予測対象期間)
【0066】
図7には、n=3の場合における計算例を挙げている。
図7の計算例では、3段階として、異常度が0以上5未満(0~5と表記)のクラスA、異常度が5以上15未満(5~15と表記)のクラスB、異常度が15以上(15~と表記)のクラスCに分けている。
図7において、クラスAについての過去遅延発生率は20.8(%)(=300/1440)、クラスB、Cについての過去遅延発生率はいずれも4.2(%)(=60/1440)となっている。なお、1440は、予測対象期間に合わせた過去の対象期間の例としての1日(24時間)を分に換算した値である。
【0067】
ステップS14において、遅延期間予測部15bは、段階ごとの遅延発生回数及び遅延発生期間を算出することになるが、
図7の計算例の場合、
図8に示すように、段階ごとの遅延発生回数及び遅延発生期間が予測値として算出されることになる。
図8の計算例ではクラスAについて予測発生回数が2回、予測遅延発生期間が10分として、クラスBについて予測発生回数が1回、予測遅延発生期間が10分として、クラスCについて予測発生回数が1回、予測遅延発生期間が30分として、算出されている。
【0068】
ステップS15において、予測対象期間の遅延発生確率は次の式で算出されることができる。ここで、nを正の整数とし、Xは遅延発生回数、Ynはnクラスの遅延発生回数、Znはnクラスの過去遅延発生確率(過去実績)であり、以下の式ではn=3の例を挙げている。
遅延発生確率=(Y1/X)×Z1+(Y2/X)×Z2+(Y3/X)×Z3
【0069】
この式に、
図7及び
図8の例における値を代入した場合、下式に示す通り、予測対象期間における遅延発生確率は12.5(%)となる。
12.5(%)=(2/4)×0.208+(1/4)×0.042+(1/4)×0.042
【0070】
ステップS15に次いで、負荷分析部17がこれまでのアクセス負荷実績であるアクセスデータからアクセス負荷を分析し(ステップS16)、負荷予測部17がアクセス負荷比率を算出する(ステップS17)。ステップS16において、負荷分析部17は、遅延発生していない時間帯のアクセス負荷状態、つまり正常な状態におけるアクセス負荷状態を分析することになり、分析により例えば過去負荷影響率を算出することができる。
【0071】
図7の計算例に基づいて例示すると、1日(1440分)のうち遅延が発生した合計420分を除いた1020分が遅延発生していない時間となる。よって、定義された負荷状態を超過した期間の合計が例えば180分であった場合、過去負荷影響率は、17.6(%)(=180/1020)となる。
【0072】
次いで、性能快適指数算出部19は、ステップS15で算出された予測対象期間についての最終的な遅延発生確率とステップS17で算出されたアクセス負荷比率とに基づき、性能快適指数を算出し(ステップS18)、処理を終了する。なお、ステップS16,S17の処理は、ステップS18の前に実行されていればよく、
図4で示す順序に限らない。
【0073】
ここで、ステップS18では、性能快適指数算出部19が、遅延発生確率算出部15cで予測した遅延発生確率と負荷予測部18で予測したアクセス負荷比率に、負荷分析部17で算出した過去負荷影響率を加味して性能快適指数を算出することができる。性能快適指数は、例えば次式により算出されることができる。次式において、xは過去負荷影響率である。
【0074】
性能快適指数={(1-遅延発生確率)+(1-アクセス負荷比率)×(1-x)}×100
【0075】
図8の計算例に基づいて例示すると、1日(1440分)のうち遅延が発生する予測がなされた合計50分を除いた1390分が遅延発生していない時間となる。よって、定義された負荷状態を超過すると予測した期間の合計が例えば240分であった場合、性能快適指数は以下の式の通り、156となる。
156={(1-0.128)+(1-240/1390)×(1-0.176)}×100
【0076】
以上のように、本実施形態では、ドライブアクセス遅延の発生確率を算出するために、遅延のない正常な状態からの差分を分析して、差分度合ごとに遅延事象の発生、及び開始/終了時期を分析して予測対象期間に発生する遅延期間/回数を算出する手段を設けている。本実施形態では、かかる手段を設けることにより、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測すること、つまり、記憶領域に対するアクセスにおいて発生する遅延事象を予測することができる。
【0077】
また、本実施形態では、過去の遅延発生実績を分析して、過去の遅延発生確率を算出する手段を設けている。本実施形態では、かかる手段を設けることにより、ドライブアクセス遅延の性能予測において、過去の発生実績に基づいた遅延発生確率を予測することができるようになる。また、本実施形態では、遅延期間の開始/終了時期を予測できることにより、ドライブアクセスの低減を行うことにより、遅延発生を低減することができる。
【0078】
また、本実施形態では、ITシステム運用における性能快適指数を算出するために、過去のアクセス負荷実績を分析した結果に基づき予測対象期間のアクセス負荷比率を予測する手段を設けている。本実施形態では、かかる手段を設けることにより、ドライブアクセスによるシステム性能影響の予測において、アクセス負荷/遅延発生を考慮した性能快適指数を予測して、ITシステム影響度合を数値として認識することができる。このように、本実施形態では、遅延発生までには至らないがアクセス負荷が高く、ITシステム運用に影響が出てしまうケースについても、このようなITシステムの性能影響を予測することができる。
【0079】
本実施形態の効果をまとめると、以下のようになる。
第1に、本実施形態によれば、ドライブアクセス遅延発生を数値化した確率で示すことで、遅延が発生する可能性を定量的に判断することができる。第2に、本実施形態によれば、予測により遅延発生期間が明確になることで、遅延発生を低減する施策をピンポイントで実施することができる。第3に、本実施形態によれば、実施形態1に比して、ITシステム運用上の性能快適度合を上記性能快適指数として数値化することができるため、ITシステムが安定動作することを予想することできる。よって、ITシステムの作業実施など運用中のスケジュール計画において作業リスク低減を反映した計画立案を行うことができる。
【0080】
なお、アクセスデータとして説明したドライブアクセス性能情報は、例えば数分間隔で各種性能指標を取得することができ、これにより予測精度を保つことができる。無論、取得間隔がこれより長い場合でも本実施形態の手法は有効ではある。
【0081】
<変形例>
本開示は、上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した各装置の構成要素の1つ以上は、適宜省略可能である。また、例えば、上述したフロー図の各ステップの1つ以上は、適宜、省略可能である。また、上述したフロー図の各ステップの1つ以上の順序は、適宜、変更可能である。
【0082】
また、上述した様々な予測処理には、いずれも機械学習により得られた学習モデルを用いることもできる。この学習モデルのアルゴリズム等は問わず、予測に用いるデータから予測結果を得るような学習モデルであればよい。また、本開示は、このような学習モデルを生成する学習装置としての形態も含むことができる。
【0083】
また、本開示に係る予測装置は、その詳細な説明を省略するが、実施形態2において遅延事象に関する処理を除いた処理を行う装置として構築することもできる。その場合、実施形態1における取得部は、記憶領域に対する過去のドライブアクセスについての、遅延のない正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得する取得部となる。実施形態1における予測部は、取得された負荷分析結果に基づき、予測対象期間についての、正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する予測部となる。
【0084】
また、実施形態1、2に係る各装置、あるいは実施形態2において遅延事象に関する処理を除いた処理を行う装置は、いずれも次のようなハードウェア構成を有することができる。
図9は、装置に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【0085】
図9に示す装置1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、及びインタフェース1003を備える。各装置の機能は、プロセッサ1001がメモリ1002に記憶されたプログラムを読み込んでインタフェース1003と協働しながら実行することにより実現されることができる。インタフェース1003は、操作装置とのインタフェース、表示装置とのインタフェース、通信インタフェースなどとすることができる。
【0086】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0087】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0088】
(付記1)
記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得する取得部と、
前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する予測部と、
を備える予測装置。
(付記2)
前記予測部は、前記予測対象期間について予測した前記遅延発生期間及び前記遅延発生回数に基づき、前記予測対象期間についての遅延発生確率を算出する、
付記1に記載の予測装置。
(付記3)
前記分析結果は、前記差分の度合いごとに遅延事象の発生、開始時期、及び終了時期を分析した結果である、
付記1又は2に記載の予測装置。
(付記4)
前記差分に基づき、過去の算出対象期間についての遅延発生確率である過去遅延発生確率を算出する算出部を備え、
前記取得部は、前記過去遅延発生確率を、前記分析結果の少なくとも一部として取得する、
付記1又は2に記載の予測装置。
(付記5)
前記取得部は、前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、
前記予測部は、前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する、
付記1又は2に記載の予測装置。
(付記6)
前記記憶領域に対するアクセス性能の快適さを示す性能快適指数を算出する算出部を備え、
前記取得部は、前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、
前記予測部は、前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間について、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測し、
前記算出部は、前記遅延発生確率と前記アクセス負荷比率とに基づき、前記性能快適指数を算出する、
付記2に記載の予測装置。
(付記7)
記憶領域に対する過去のアクセスについての、遅延のない正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得する取得部と、
前記負荷分析結果に基づき、予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する予測部と、
を備える予測装置。
(付記8)
演算処理装置が、記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得し、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する、
予測方法。
(付記9)
前記演算処理装置が、前記予測対象期間について予測した前記遅延発生期間及び前記遅延発生回数に基づき、前記予測対象期間についての遅延発生確率を算出する、
付記8に記載の予測方法。
(付記10)
前記分析結果は、前記差分の度合いごとに遅延事象の発生、開始時期、及び終了時期を分析した結果である、
付記8又は9に記載の予測方法。
(付記11)
前記演算処理装置が、前記差分に基づき、過去の算出対象期間についての遅延発生確率である過去遅延発生確率を算出し、前記分析結果の少なくとも一部とする、
付記8又は9に記載の予測方法。
(付記12)
前記演算処理装置が、前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する、
付記8又は9に記載の予測方法。
(付記13)
前記演算処理装置が、
前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、
前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間について、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測し、
前記遅延発生確率と前記アクセス負荷比率とに基づき、前記記憶領域に対するアクセス性能の快適さを示す性能快適指数を算出する、
付記9に記載の予測方法。
(付記14)
演算処理装置が、記憶領域に対する過去のアクセスについての、遅延のない正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、前記負荷分析結果に基づき、予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する、
予測方法。
(付記15)
コンピュータに、
記憶領域に対するアクセスにおいて過去に発生した遅延事象について、遅延のない正常な状態との差分を分析した分析結果を取得し、前記分析結果に基づき、予測対象期間についての遅延発生期間及び遅延発生回数を予測する
処理を実行させるプログラム。
(付記16)
前記処理は、前記予測対象期間について予測した前記遅延発生期間及び前記遅延発生回数に基づき、前記予測対象期間についての遅延発生確率を算出する処理を含む、
付記15に記載のプログラム。
(付記17)
前記分析結果は、前記差分の度合いごとに遅延事象の発生、開始時期、及び終了時期を分析した結果である、
付記15又は16に記載のプログラム。
(付記18)
前記処理は、前記差分に基づき、過去の算出対象期間についての遅延発生確率である過去遅延発生確率を算出し、前記分析結果の少なくとも一部とする処理を含む、
付記15又は16に記載のプログラム。
(付記19)
前記処理は、前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する処理を含む、
付記15又は16に記載のプログラム。
(付記20)
前記処理は、
前記記憶領域に対する過去のアクセスについての前記正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、
前記負荷分析結果に基づき、前記予測対象期間について、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測し、
前記遅延発生確率と前記アクセス負荷比率とに基づき、前記記憶領域に対するアクセス性能の快適さを示す性能快適指数を算出する処理を含む、
付記16に記載のプログラム。
(付記21)
コンピュータに、
記憶領域に対する過去のアクセスについての、遅延のない正常な状態でのアクセス負荷を分析した負荷分析結果を取得し、前記負荷分析結果に基づき、予測対象期間についての、前記正常な状態に対してアクセス負荷が発生した比率であるアクセス負荷比率を予測する
処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0089】
1 予測装置
1a 取得部
1b 予測部
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 アクセスデータ取得部
14 遅延分析部
15 遅延予測部
15a 異常度予測部
15b 遅延期間予測部
15c 遅延発生確率算出部
16 過去遅延分析部
17 負荷分析部
18 負荷予測部
19 性能快適指数算出部
1000 装置
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 インタフェース(I/F)