(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121049
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】車線制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240830BHJP
【FI】
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027915
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】家氏 策
(72)【発明者】
【氏名】中井 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA11
3E127CA12
3E127CA13
3E127DA21
3E127EA03
3E127EA12
3E127FA09
3E127FA10
3E127FA18
(57)【要約】
【課題】バーリリース発生時に車線閉鎖を行わず料金収受処理を継続して実施可能とすることができる車線制御装置を提供する。
【解決手段】車線制御装置は、料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替える切替部と、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を許可し、料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金所の車線を走行する車両に対し料金収受処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置であって、
前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替える切替部と、
前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を規制せず、前記通常運用モードの機能を制限して前記料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御する制御部と、
を備える車線制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車両に搭載された車載器と無線通信を行うアンテナに対し、電波を常時放射するように指示する、
請求項1に記載の車線制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車両に向けて情報を表示する路側表示器に対し、表示を消灯するように指示する、
請求項2に記載の車線制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記発進制御機に隣接する位置で前記車両の退出を検知する退出側車両検知器に対し、バーリリース時に前記バーにより遮光される範囲を除外して前記車両の退出を検知するように指示する、
請求項1に記載の車線制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記料金所機械の一つであり前記車両に搭載された車載器と無線通信を行うアンテナを介して前記車両の通行料金を収受する料金収受処理を行い、
前記継続運用モードに切り替えた場合に、進入側車両検知器および通信用車両検知器が前記車両の前記アンテナの通信範囲への進入を検知してから通過を検知するまでの期間に、前記アンテナと前記車両の前記車載器との無線通信が行われなかった場合に、前記車両が前記車載器を搭載していない非ETC車両であると判断する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車線制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両が非ETC車両であると判断した場合に、前記料金所機械の一つであり前記車両に向けて通知を行う通知装置に対し、前記車両の停車を促す通知を出力するように指示する、
請求項5に記載の車線制御装置。
【請求項7】
料金所の車線を走行する車両に対し料金収受処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する制御方法であって、
前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替えるステップと、
前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を規制せず、前記通常運用モードの機能を制限して前記料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御するステップと、
を有する制御方法。
【請求項8】
料金所の車線を走行する車両に対し料金収受処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する制御装置に、
前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替えるステップと、
前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を規制せず、前記通常運用モードの機能を制限して前記料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車線制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、車両から通行料金を自動的に収受する電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標)システム、「自動料金収受システム」とも言う)が設けられている場合がある。ETCシステムは、車線に設けられたアンテナと車両に搭載された車載器との間で無線通信を行うことにより、自動的に通行料金の収受処理(料金収受処理)を行う。
【0003】
また、料金所には発進制御機が設けられている場合がある。発進制御機は、車両に対する料金収受処理が完了するまでバーを閉じて車線を閉塞(車両の退出を規制)し、料金収受処理の完了後にバーを開いて車線を開放(車両の退出を許可)する。
【0004】
閉じているバーに車両が接触した場合には、バーが下流側に向かって折れ曲がった(バーリリース)状態で固定される。ETCシステムは、バーリリースが発生した車線を「車線閉鎖」として扱うモード(車線閉鎖モード)に切り替わる。車線閉鎖モードでは、車線表示器に「閉鎖中」の表示を行って車両の車線への進入を抑制する(たとえば、特許文献1を参照)。ETCシステムは、係員がバーを通常位置に戻す復旧作業を行うまで車線閉鎖モードを継続する。係員は、直接車線に赴いて手動で、または監視制御装置の復旧ボタンによる遠隔操作で復旧作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ETCシステムは、車線閉鎖モードではアンテナの電波放射を停止する場合がある。そうすると、バーリリース発生時に既に車線内に進入していた車両や、車線閉鎖後に誤って車線内に進入した車両については、車載器とアンテナとの無線通信を行うことができない。したがって、これら車両は、車載器が正常に動作している場合であっても、料金収受処理を実施できない車両(異常ETC車両)として扱われてしまう。
【0007】
このとき、有料道路の事業者は、異常ETC車両については、後日、利用者(運転者や所有者など)を特定して通行料金の請求を行う必要がある。つまり、車線閉鎖に伴い異常ETC車両が増加すると、その分、作業負荷が増大する。また、利用者が特定できず、料金収受が困難となってしまうケースもある。一方、利用者は、請求に応じて通行料金の支払いを行わなければならないので、利便性が低下する。したがって、事業者の作業負荷や料金収受が困難となるケースを低減するため、また、利用者の利便性の向上のため、バーリリース時も車線閉鎖を行わずに料金収受処理を継続して実施可能とする仕組みが望まれている。
【0008】
本開示の目的は、バーリリース発生時に車線閉鎖を行わず料金収受処理を継続して実施可能とすることができる車線制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、車線制御装置は、料金所の車線を走行する車両に対し料金収受処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置であって、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替える切替部と、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を規制せず、前記通常運用モードの機能を制限して前記料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御する制御部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様によれば、制御方法は、料金所の車線を走行する車両に対し料金収受処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する制御方法であって、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替えるステップと、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を規制せず、前記通常運用モードの機能を制限して前記料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御するステップと、を有する。
【0011】
本開示の一態様によれば、プログラムは、料金所の車線を走行する車両に対し料金収受処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する制御装置に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機が前記車両との接触により前記バーが折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替えるステップと、前記継続運用モードに切り替えた場合に、前記車両の前記車線への進入を規制せず、前記通常運用モードの機能を制限して前記料金収受処理を継続するように前記料金所機械を制御するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記態様によれば、バーリリース発生時に車線閉鎖を行わず料金収受処理を継続して実施可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係る車線制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る料金収受システムのモード切り替え処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】一実施形態に係るバーリリース時の状態を示す第1の図である。
【
図5】一実施形態に係るバーリリース時の状態を示す第2の図である。
【
図6】一実施形態に係る継続運用モードの処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
【
図7】一実施形態に係る継続運用モードの処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体構成)
図1は、一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す概略図である。
料金収受システム1は、有料道路の料金所(入口料金所または出口料金所)に設けられる。料金収受システム1は、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行する車両から、有料道路の通行料金を収受する料金収受処理を行う。車線Lは、アイランドIによって仕切られている。アイランドIは、車線Lに車両Aが一台ずつ走行可能となるように規制する構造物である。車両Aは、車載器αを搭載するETC車両、または、車載器αを搭載しない非ETC車両である。
【0015】
本実施形態では、料金収受システム1が出口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。さらに、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0016】
簡略化のため、
図1では1つの車線Lのみを図示しているが、複数の車線Lが並行に並べて設置されていてもよい。
【0017】
図1に示すように、料金収受システム1は、料金所機械10と、車線制御装置20とを備える。また、料金収受システム1は、料金所の車線Lから離れた場所(料金所事務所など)に設置された監視装置30を備えていてもよい。
【0018】
車線制御装置20は、料金収受システム1の運用モードの切り替えを行い、運用モードに応じて料金所機械10の動作を制御する。
【0019】
料金収受システム1の運用モードは、「通常運用モード」と、「車線閉鎖モード」と、「継続運用モード」との3種類がある。通常運用モードは、料金収受システム1が正常に動作しており、機能制限なしに料金収受処理を行うモードである。車線閉鎖モードは、車線Lへの車両Aの進入を抑制して、料金収受処理を停止するモードである。継続運用モードは、車線Lへの車両Aの進入を規制せず、通常運用モードの一部機能を制限した状態で料金収受処理を継続するモードである。
【0020】
料金所機械10は料金所や、料金収受処理に関連する施設(料金所事務所など)に設置される機械、装置、またはシステムであり、たとえば、車両検知器S1,S2,S4と、アンテナ12と、車線表示器13と、料金自動収受機14と、発進制御機15と、路側表示器16とを含む。
【0021】
車両検知器S1,S2,S4は、車両Aの存在の有無を検知する。車両検知器S1,S2,S4は、たとえば
図1に示すように透過型の車両検知器である。車両検知器S1,S2,S4は、車線Lを挟んで互いに向き合う投光塔および受光塔を有する。投光塔は上下方向に並べて配置された複数の投光部を有し、受光塔は各投光部と対応するように上下に並べて配置された複数の受光部を有する。車両が存在しない場合、各受光部は、対応する投光部から投光された検査光を受光する。一方、車両が存在すると、車両により検査光が遮光されるので、受光部は検査光を受光しなくなる。これにより、車両検知器S1,S2,S4は、検査光を受光しない範囲に車両の車体や牽引棒などが存在することを検知することができる。なお、他の実施形態では、車両検知器S1,S2,S4はいわゆる反射型の車両検知器であってもよい。
【0022】
車両検知器S1は、車線方向の最も上流側に設置され、車両Aが車線L(後述のアンテナ12の通信範囲R1)へ進入したことを検知する。以下、車両検知器S1を進入側車両検知器とも記載する。
【0023】
車両検知器S2は、後述のアンテナ12よりも車線方向の下流側に設置され、車両Aがアンテナ12の通信範囲R1を通過したことを検知する。以下、車両検知器S2を通信用車両検知器とも記載する。
【0024】
車両検知器S4は、後述の発進制御機15よりも車線方向の下流側に設置され、車両Aが発進制御機15を通過したことを検知する。以下、車両検知器S4を退出側車両検知器とも記載する。
【0025】
アンテナ12は、進入側車両検知器S1よりも車線方向の下流側に設けられる。
図1に示すように、ガントリなどに取り付けて車線Lの上空に設けられてもよい。アンテナ12は、進入側車両検知器S1と通信用車両検知器S2との間の車線L上に通信範囲R1を有する。アンテナ12は、通信範囲R1内を走行する車両Aの車載器αと無線通信を行い、ETCシステムによる料金収受処理(ETC料金収受処理)に要する情報、信号などの送受信を行う。
【0026】
また、アンテナ12は、車線制御装置20の制御にしたがい、運用モードに応じて動作を変える。アンテナ12は、通常運用モードでは、進入側車両検知器S1が車両Aの進入を検知した場合に電波放射を開始し、通信用車両検知器S2が車両Aの通過を検知した場合に電波放射を停止する。アンテナ12は、車線閉鎖モードでは常に電波放射を停止する。アンテナ12は、継続運用モードでは常に電波放射を行う。
【0027】
車線表示器13は、利用者(車両Aの運転者など)に対し、信号灯や電光掲示板などによる車線Lの通行可否や料金収受方法(ETC専用、一般など)を通知する。
【0028】
車線表示器13は、通常運用モードおよび継続運用モードでは、信号灯を通行可能の表示とするとともに、電光掲示板の表示を料金収受方法に応じた表示とする。車線表示器13は、車線閉鎖モードでは信号灯を通行不可の表示とするとともに、電光掲示板の表示を「閉鎖」とする。
【0029】
料金自動収受機14は、アンテナ12よりも車線方向の下流側、発進制御機15よりも車線方向の上流側に設けられる。料金自動収受機14は、利用者の操作を受け付けて、非ETC車両の通行料金を収受する。また、料金自動収受機14は、ETC車両に対する無線通信によるETC料金収受処理がなんらかの理由で失敗した場合に、ETC車両の通行料金を収受してもよい。
【0030】
料金自動収受機14は、車線Lを向く面に通行料金などの案内表示を行う表示装置141(サイネージ)を有している。また、表示装置141は、無線通信によるETC料金収受処理が失敗した場合に、利用者へ停車を促す表示を行う。表示装置141には、本実施形態における「通知装置」の一態様である。なお、他の実施形態では、表示装置141は警告灯であってもよい。
【0031】
また、さらに他の実施形態において、車線Lに料金自動収受機14が設けられていない場合がある。この場合、表示装置141は、アンテナ12から発進制御機15までの区間に単体で(独立した構成として)設置されてもよいし、他の装置に取り付けられてもよい。他の装置は、たとえば、利用者と係員との間で通話するためのインターホンである。
【0032】
発進制御機15は、退出側車両検知器S4よりも車線方向の上流側に設けられる。発進制御機15は、通常運用モードでは、車両Aに対する料金収受処理が完了するまでバー151を閉じて車線Lを閉塞(車両の退出を規制)し、料金収受処理の完了後にバー151を開いて車線Lを開放(車両の退出を許可)する。また、発進制御機15は、退出側車両検知器S4が車両Aの通過を検知した場合に、再びバー151を閉じて、後続車両が料金収受処理を完了する前に車線Lを退出することを抑制する。
【0033】
発進制御機15は、車両Aとバー151との接触によりバー151が車線方向の下流側(
図1の+X側)に折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、バーリリース検知通知を送信することで車線制御装置20に通知する。また、バーリリース検知通知は、車線制御装置20から監視装置30へさらに通知されてもよい。
【0034】
路側表示器16は、発進制御機15の近傍に設けられる。路側表示器16は、利用者に対し、通行料金や、通過または停車を促す通知を表示する。路側表示器16は、本実施形態における「通知装置」の一態様である。
【0035】
また、路側表示器16は、車線制御装置20の制御にしたがい、運用モードに応じて動作を変える。路側表示器16は、通常運用モードでは、料金収受処理が完了したときに、車両Aの通行料金や割引適用の有無などの処理結果情報を表示する。また、路側表示器16は、継続運用モードでは通行料金などの処理結果情報の表示を行わない。
【0036】
監視装置30は、たとえば料金所事務所に駐在する係員が、車線Lの監視や、料金収受システム1の各機器の遠隔操作などを行う際に使用する装置である。
【0037】
(車線制御装置の機能構成)
図2は、一実施形態に係る車線制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車線制御装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信インタフェース24とを備える。
【0038】
プロセッサ21は、所定のプログラムに従って動作することにより、切替部210、制御部211としての機能を発揮する。
【0039】
切替部210は、発進制御機15がバーリリースを検知した場合に、料金収受システム1の運用モードを「車線閉鎖モード」および「継続運用モード」のいずれかに切り替える。
【0040】
制御部211は、車線閉鎖モードに切り替えた場合に、車両Aの車線Lへの進入を抑制し、料金収受処理を停止するように料金所機械10を制御する。また、制御部211は、継続運用モードに切り替えた場合に、車両Aの車線Lへの進入を許可し、料金収受処理を継続するように料金所機械10を制御する。
【0041】
メモリ22は、プロセッサ21の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0042】
ストレージ23は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。ストレージ23には、プロセッサ21の各部が処理中に取得、生成、参照するデータなどが格納される。
【0043】
通信インタフェース24は料金所機械や監視装置30との間で各種データや制御信号などの送受信を行うためのインタフェースである。
【0044】
なお、プロセッサ21が実行する所定のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。上記したストレージ23は、この記録媒体の一態様である。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。さらに、このプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0045】
(モード切り替え処理)
図3は、一実施形態に係る料金収受システムのモード切り替え処理の一例を示すシーケンス図である。
料金収受システム1を通常運用モードで運用中に、車両が接触してバー151が折れ曲がってしまったとする。そうすると、発進制御機15は、バーリリースを検知し(ステップS100)、車線制御装置20にバーリリース検知通知を送信する(ステップS101)。
【0046】
バーリリースの通知を受信すると、車線制御装置20の切替部210は、継続運用モードに切り替えるか否かの判断を行う(ステップS102)。
【0047】
たとえば、バーリリース検知通知は、車線制御装置20からさらに監視装置30に送信される。監視装置30は、バーリリースの通知を受信すると、モニタに表示するなどして係員に伝える。そうすると、係員は、料金所の状態(交通量など)に応じて車線Lを車線閉鎖モードに切り替えるか、継続運用モードに切り替えるかを判断して、監視装置30にいずれのモードに切り替えるかを指示する操作を行う。たとえば、係員は、交通量が多いときは継続運用モードへの切り替えを指示し、交通量が少ないときは車線閉鎖モードへの切り替えを指示してバーリリースの復旧作業を行うようにしてもよい。監視装置30は、係員の指示を車線制御装置20に送信する。
【0048】
また、係員は、車線制御装置20に対し、バーリリースの通知を受信した場合に、車線Lを車線閉鎖モードに切り替えるか、継続運用モードに切り替えるかを予め指示した設定ファイルを与えておいてもよい。設定ファイルは、複数の車線それぞれに個別に設定されてもよい。また、設定ファイルは、バーリリースを検知した日時や料金所の交通量などの条件に応じて異なるモードへ切り替えるように、条件および指示の組み合わせが設定されたものであってもよい。
【0049】
車線制御装置20の切替部210は、監視装置30から受信した、または設定ファイルに予め設定された係員の指示が「車線閉鎖モード」である場合(ステップS102;NO)、料金収受システム1の運用モードを車線閉鎖モードに切り替える(ステップS103)。一方、切替部210は、係員の指示が「継続運用モード」である場合(ステップS102;YES)、料金収受システム1の運用モードを継続運用モードに切り替える(ステップS104)。
【0050】
なお、切替部210は、設定ファイルまたは監視装置30から受信した指示に基づき運用モードを切り替えた後に、監視装置30から運用モードの切り替え指示を受信した場合には、最後に監視装置30から受信した指示を優先して、運用モードの切り替えを再度実施するようにしてもよい。これにより、たとえば料金所の状態が変化した場合に、係員の指示により適切に運用モードを切り替えることができる。
【0051】
また、車線制御装置20が継続運用モードに切り替えた後の処理について
図3を参照しながら説明する。なお、車線閉鎖モードに切り替えた場合の処理は、従来と同じであるため説明を省略する。
【0052】
継続運用モードへ切り替えた後、車線制御装置20の制御部211は、アンテナ12に電波を常時放射するように指示する(ステップS105)。そうすると、アンテナ12は、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2の検知状態に関わらず、常に電波放射を行う(ステップS106)。
【0053】
また、車線制御装置20の制御部211は、路側表示器16に表示を消灯するように指示する(ステップS107)。そうすると、路側表示器16は、以降、車線制御装置20から特別な表示指示を受信しない限り、表示は消灯したままとする(ステップS108)。すなわち、継続運用モードでは、路側表示器16は通行料金などの処理結果情報の表示を行わない。
【0054】
アンテナ12は、常時電波を放射する場合、かつ、2台の車両が前後に並んで走行している場合に、電波の反射などの影響で、後続車両と先に通信を行い、その後、先行車両と通信を行ってしまう可能性がある。つまり、ETC料金収受処理の処理順序が走行順序と逆になってしまう可能性がある。このとき、路側表示器16が通常運用モードと同様に通行料金の表示を行うと、先行車両から実際に収受した通行料金ではなく、後続車両の通行料金を誤って表示してしまうこととなる。このような表示の食い違いを回避するため、継続運用モードでは、路側表示器16は通行料金などの処理結果情報の表示を停止する。
【0055】
また、車線制御装置20の制御部211は、必要に応じて退出側車両検知器S4の検知範囲を制限する制御を行ってもよい。
【0056】
図4は、一実施形態に係るバーリリース時の状態を示す第1の図である。
図5は、一実施形態に係るバーリリース時の状態を示す第2の図である。
図4は、発進制御機15および退出側車両検知器S4を車線Lの上側(+Z側)から見下ろした図、
図5は車線Lの幅方向一方側(+Y側)から見た図である。
図4では、バーリリース時のバー151の位置を実線で、通常時のバー151の閉位置を破線で示している。
【0057】
図4および
図5に示すように、バーリリース時、発進制御機15のバー151は、車線方向の下流側(+X側)に折れ曲がる。このとき、発進制御機15のバー151の長さV1が、バー151の設置位置から退出側車両検知器S4の検知位置までの距離V2よりも大きいと、バー151が退出側車両検知器S4の一部の光軸を遮光する。
図5の例では、退出側車両検知器S4は、バーリリース時、検知範囲R2のうち範囲R22が常に遮光されることとなる。このような遮光範囲R22があると、退出側車両検知器S4は常に車両Aが存在するように誤検知してしまう。そうすると、車両Aが車線Lから退出していないと誤認識してしまい、車線L内に存在する車両台数を管理することができなくなる。
【0058】
一方で、発進制御機15および退出側車両検知器S4の設置時に、遮光範囲R22が存在するか否か、および、遮光範囲R22の位置を知ることができる。したがって、本実施形態では、設置時の情報に基づいて、車線制御装置20には、遮光範囲R22が存在するか否かを示す情報、および、遮光範囲R22の位置を示す情報を含む設定ファイルが予め与えられる。なお、退出側車両検知器S4が遮光範囲R22の位置を示す情報は、退出側車両検知器S4に予め与えられていてもよい。
【0059】
車線制御装置20の制御部211は、設定ファイルを参照し、遮光範囲R22が存在する場合に(ステップS109;YES)、退出側車両検知器S4に遮光範囲R22を除外して検知を行うように指示する(ステップS110)。そうすると、退出側車両検知器S4は、以降、予め設定された遮光範囲R22を除外して、車両Aが通過したか否かを検知する。具体的には、退出側車両検知器S4は、
図5の検知範囲R2のうち、遮光範囲R22の受光の有無は無視し、非遮光範囲R21の受光の有無のみに基づいて、車両Aの存在の有無を検知する。このとき、バー151の高さよりも車両Aの高さの方が十分に大きいため、非遮光範囲R21のみでも車両Aの存在の有無を検知することが可能である。これにより、バーリリース発生時であっても、継続運用モードでは車線L内に存在する車両台数の管理を継続して行うことが可能となる。なお、たとえば車両Aが牽引棒などにより被牽引車両を牽引しており、この牽引棒が遮光範囲R22に位置する場合に、退出側車両検知器S4は、車両Aおよび非牽引車両が連結された1台の車両ではなく、2台の分離した車両であると誤検知する可能性がある。そうすると、進入側車両検知器S1がカウントした車線Lに進入した車両の台数と、退出側車両検知器S4がカウントした車線Lから退出した車両の台数とが整合しなくなる。車線数の少ない料金所では、車線Lの閉鎖により渋滞が生じる可能性や、料金所そのものが閉鎖となる可能性がある。このような車線Lの閉鎖によるデメリットと比較して、継続運用モードで退出側車両検知器S4や車両台数管理の機能が制限される可能性があるというデメリットは非常に小さいものである。したがって、たとえ一部の機能に制限が生じるとしても、継続運用モードを用いた方が、車線Lを閉鎖するよりも有料道路の事業者や利用者の利便性を向上することができる。なお、車線L内の車両台数に不整合が生じた場合、係員は、監視装置30などを介して車線L内に車両が存在しなくなったことを確認してから、車線L内に存在する車両台数をクリアする(0にする)操作を行うようにしてもよい。これにより、車両台数管理機能を正常な状態に戻すことができる。
【0060】
一方、車線制御装置20の制御部211は、設定ファイルを参照し、遮光範囲R22が存在しない場合は(ステップS109;NO)、退出側車両検知器S4への指示を行わない。したがって、この場合は、退出側車両検知器S4は通常運用モードと同様に、検知範囲R2全体を使って車両の存在の有無を検知する。
【0061】
(継続運用モード時の処理;ETC料金収受処理成功時)
図6は、一実施形態に係る継続運用モードの処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
ここでは、継続運用モードにおいて、車両に対するETC料金収受処理が成功した場合の料金収受システム1の処理の流れについて説明する。継続運用モードでは、
図3を参照しながら説明したように、発進制御機15はバーリリース状態、アンテナ12は電波を常時放射する状態、路側表示器16は消灯した状態となっている。また、退出側車両検知器S4は、遮光範囲R22を除外して検知する状態となっているとする。
【0062】
進入側車両検知器S1は、車線Lに車両Aが進入したことを検知すると、検知信号を車線制御装置20およびアンテナ12に送信する(ステップS200)。アンテナ12は、継続運用モードでは電波を常時放射する状態となっているので、通常運用モードとは異なり電波放射を停止から開始に切り替える処理は行わない。車線制御装置20およびアンテナ12は、車両Aの車載器αと無線通信を行い、車両Aに対するETC料金収受処理を実行する(ステップS201)。ETC料金収受処理の内容は、従来の料金収受システムで実施されているものと同様であるため、詳細な説明を省略する。ここでは、ETC料金収受処理が正しく実行された(成功した)とする。
【0063】
ETC料金収受処理が成功した場合、通常運用モードでは、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15に対しバー151の開指令を送信する。しかしながら、継続運用モードでは、発進制御機15はバーリリース状態であり、バー151を開閉することができない。このため、車線制御装置20の制御部211は、継続運用モードでは開指令および閉指令の送信を停止する状態となっている。つまり、制御部211は、ETC料金収受処理が完了しても開指令を送信しない(ステップS202)。
【0064】
また、通信用車両検知器S2は、車両Aが通信範囲R1を通過したことを検知すると、通過検知信号を車線制御装置20およびアンテナ12に送信する(ステップS203)。アンテナ12は、継続運用モードでは電波を常時放射する状態となっているので、通常運用モードとは異なり電波放射を停止する処理は行わない。
【0065】
次に、退出側車両検知器S4は、車両Aが発進制御機15を通過したことを検知すると、退出検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS204)。このとき、退出側車両検知器S4は、遮光範囲R22の受光の有無は無視し、非遮光範囲R21の受光の有無のみに基づき、車両Aが退出したか否かを検知する。
【0066】
車両Aの退出を検知した場合、通常運用モードでは、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15に対しバー151の閉指令を送信する。しかしながら、継続運用モードでは、発進制御機15はバーリリース状態であり、バー151を開閉することができない。このため、車線制御装置20の制御部211は、車両Aの退出を検知した場合も、ステップS202と同様に閉指令の送信を行わない(ステップS205)。
【0067】
なお、
図6の例では、ステップS202およびS205において、車線制御装置20の制御部211がバー151の開閉指令の送信を停止する例について説明したが、これに限られることはない。発進制御機15は、バーリリース時はバー151の開閉を行えないので、車線制御装置20からの開閉指令を受信したとしても動作しない(無視する)。このため、他の実施形態では、車線制御装置20の制御部211は、通常運用モードと継続運用モードとで処理を変えず、開指令(ステップS202)および閉指令(ステップS205)を送信するようにしてもよい。
【0068】
(継続運用モード時の処理;ETC料金収受処理失敗時)
図7は、一実施形態に係る継続運用モードの処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
ここでは、継続運用モードにおいて、車両に対するETC料金収受処理が失敗した場合の料金収受システム1の処理の流れについて説明する。ETC料金収受処理の失敗は、たとえば、車両Aが車載器αを搭載していない非ETC車両であり、アンテナ12との無線通信が成立しなかった場合に発生する。
【0069】
進入側車両検知器S1は、車線Lに車両Aが進入したことを検知すると、検知信号を車線制御装置20およびアンテナ12に送信する(ステップS300)。車線Lに進入した車両Aは非ETC車両であるため、通信範囲R1を走行中にアンテナ12との無線通信は行われない。
【0070】
また、通信用車両検知器S2は、車両Aが通信範囲R1を通過したことを検知すると、通過検知信号を車線制御装置20およびアンテナ12に送信する(ステップS301)。
【0071】
車線制御装置20の制御部211は、車両が通信範囲R1に進入してから退出(通過)するまで(ステップS300~S301)の間に車両Aの車載器αとの無線通信が非成立であった場合、この車両Aは非ETC車両であると判断する(ステップS302)。
【0072】
この場合、車線制御装置20の制御部211は、車両Aが車線Lから退出してしまわないように、路側表示器16に停車を促す表示(たとえば、「停車」の文字)を行うように指示する(ステップS303)。そうすると、路側表示器16は、停車を促す表示を行う(ステップS304)。なお、車線制御装置20の制御部211は、ステップS303において、表示装置141に対しても同様の表示指示を行ってもよい。そうすると、表示装置141は、ステップS304において、表示装置141に停車を促す表示を行う。
【0073】
また、車線制御装置20の制御部211は、車両Aが発進制御機15の手前で停車している間、ETC以外の手法により車両Aの通行料金を収受する料金収受処理を行う(ステップS305)。このETC以外の料金収受処理は、既知の様々な技術を利用可能である。たとえば、車線制御装置20の制御部211は、料金自動収受機14に対し、車両Aの通行料金を収受するように指示を行ってもよい。また、車線制御装置20の制御部211は、車線Lに有人ブースが設けられており係員が駐在している場合、有人ブース内の端末(不図示)に指示を送信して、係員に料金収受処理を行うよう要求してもよい。また、係員は、利用者に対し、有料道路の退出後に通行料金を支払う事後料金収受の案内を行ってもよい。このとき、支払い方法などを記載した案内書を係員から利用者に渡してもよい。案内書は、予め発進制御機15付近に置かれた印刷物を利用者が自ら取っていくようにしてもよい。
【0074】
車線制御装置20の制御部211は、継続運用モードでは開指令および閉指令の送信を停止する状態となっている。したがって、
図6のETC料金収受処理の実施後(ステップS202)と同様に、車線制御装置20の制御部211は、ETC以外の料金収受処理(S305)が終わった場合も開指令の送信を行わない(ステップS306)。
【0075】
また、ETC以外の料金収受処理(S305)が完了すると、料金収受処理に用いられた機器(料金自動収受機14や有人ブース内の端末など)から車線制御装置20へ料金収受処理の完了通知が送信される。そうすると、車線制御装置20の制御部211は、路側表示器16に停車を促す表示を消灯するよう指示する(ステップS307)。そうすると、路側表示器16は、停車を促す表示を消す(ステップS308)。なお、車線制御装置20の制御部211は、表示装置141に停車を促す表示を指示していた場合、ステップS307において表示装置141にも消灯の指示を行う。そうすると、表示装置141は、ステップS308において、停車を促す表示を消す。なお、他の実施形態では、車線制御装置20の制御部211は、ステップS307において、退出側車両検知器S4が車両Aの退出を検知するまで、車両Aの発進を促す表示(たとえば、「通行可」の文字)を行うように路側表示器16に指示してもよい。この場合、路側表示器16は、ステップS308において、停車を促す表示に代えて、発進を促す表示を点灯する。表示装置141についても同様である。
【0076】
次に、退出側車両検知器S4は、車両Aが発進制御機15を通過したことを検知すると、退出検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS309)。なお、車線制御装置20の制御部211は、ステップS307において発進を促す表示を行うように路側表示器16に指示を行っていた場合、この表示を消灯するように路側表示器16に指示する。路側表示器16は、車線制御装置20の指示にしたがい発進を促す表示を消す。
【0077】
車線制御装置20の制御部211は、継続運用モードでは開指令および閉指令の送信を停止する状態となっている。したがって、
図6のステップS205と同様に、車線制御装置20の制御部211は、車両Aの退出検知時も開指令の送信を行わない(ステップS310)。
【0078】
継続運用モード中、料金収受システム1は、車両Aが料金所に到来する度に
図6または
図7の一連の処理を実施する。これにより、バーリリースが発生した場合であっても、一部の機能(たとえばアンテナ12の電波放射ON/OFFの制御や車両台数管理)が制限されるものの、車両Aに対する料金収受処理を継続して行うことができる。
【0079】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る車線制御装置20は、発進制御機15がバーリリースを検知した場合に、車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替える切替部210と、継続運用モードに切り替えた場合に、車両Aの車線Lへの進入を許可し、料金収受システム1による料金収受処理を継続するように料金所機械10を制御する制御部211と、を備える。
【0080】
このようにすることで、車線制御装置20は、バーリリース発生時に車線閉鎖を行わず料金収受処理を継続して実施可能とすることができる。これにより、事業者の作業負荷や料金収受が困難となるケースを低減するとともに、利用者の利便性の向上することができる。
【0081】
また、制御部211は、継続運用モードにおいて、アンテナ12に対し、電波を常時放射するように指示する。
【0082】
このようにすることで、車線制御装置20は、バーリリース発生時にETC車両に対する料金収受処理を継続して実施可能とすることができる。
【0083】
また、制御部211は、継続運用モードにおいて、路側表示器16に対し、表示を消灯するように指示する。
【0084】
このようにすることで、車線制御装置20は、アンテナ12が電波を常時放射することに伴い料金収受処理の処理順序が走行順序と逆になってしまった場合に、実際に収受された通行料金と、路側表示器16に表示される通行料金とが食い違ってしまうことを回避することができる。
【0085】
また、制御部211は、継続運用モードに切り替えた場合に、退出側車両検知器S4に対し、バーリリース時にバー151による遮光範囲R22を除外して車両Aの退出を検知するように指示する。
【0086】
バーリリース時にバーが退出側車両検知器の一部の光軸を遮光してしまうと、退出側車両検知器は常に車両が存在するように誤検知してしまう。そうすると、車両が車線Lから退出していないと誤認識してしまい、車線内に存在する車両台数を管理することができなくなる。しかしながら、本実施形態では、退出側車両検知器S4は、バー151による遮光範囲R22を除外して車両Aの検知を行う。これにより、退出側車両検知器S4は、非遮光範囲R21の受光の有無のみに基づいて、車両Aの存在の有無を検知することができる。これにより、車線制御装置20は、バーリリース発生時であっても、車線L内に存在する車両台数の管理を継続して行うことが可能となる。
【0087】
また、制御部211は、継続運用モードに切り替えた場合に、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2が車両Aのアンテナ12の通信範囲R1への進入を検知してから通過を検知するまでの期間に、アンテナ12と車両Aの車載器αとの無線通信が行われなかった場合に、車両Aが非ETC車両であると判断する。
【0088】
このようにすることで、車線制御装置20は、車線Lに進入した車両がETC車両であるか非ETC車両であるかを判別することができる。これにより、非ETC車両に対しては、無線通信を介したETC料金収受処理とは別に、ETC以外の料金収受処理などの対応を実施することができる。
【0089】
また、制御部211は、車両Aが非ETC車両であると判断した場合に、通知装置(路側表示器16、表示装置141)に対し、車両Aの停車を促す通知を出力するように指示する。
【0090】
このようにすることで、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことを抑制することができる。
【0091】
以上のとおり、本開示に係る実施形態を説明したが、上記した実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0092】
<付記>
上述の実施形態に記載の車線制御装置、制御方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0093】
(1)第1の態様によれば、車線制御装置20は、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し料金収受処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する車線制御装置20であって、料金所機械10の一つであり車線Lを開放または閉塞するバー151を有する発進制御機15が車両Aとの接触によりバー151が折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替える切替部210と、継続運用モードに切り替えた場合に、車両Aの車線Lへの進入を規制せず、通常運用モードの機能を制限して料金収受処理を継続するように料金所機械10を制御する制御部211と、を備える。
【0094】
このようにすることで、車線制御装置20は、バーリリース発生時に車線閉鎖を行わず料金収受処理を継続して実施可能とすることができる。これにより、事業者の作業負荷や料金収受が困難となるケースを低減するとともに、利用者の利便性の向上することができる。
【0095】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、継続運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車両Aに搭載された車載器αと無線通信を行うアンテナ12に対し、電波を常時放射するように指示する。
【0096】
このようにすることで、車線制御装置20は、バーリリース発生時にETC車両に対する料金収受処理を継続して実施可能とすることができる。
【0097】
(3)第3の態様によれば、第2の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、継続運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車両Aに向けて情報を表示する路側表示器16に対し、表示を消灯するように指示する。
【0098】
このようにすることで、車線制御装置20は、アンテナ12が電波を常時放射することに伴い料金収受処理の処理順序が走行順序と逆になってしまった場合に、実際に収受された通行料金と、路側表示器16に表示される通行料金とが食い違ってしまうことを回避することができる。
【0099】
(4)第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、継続運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり発進制御機15に隣接する位置で車両Aの退出を検知する退出側車両検知器S4に対し、バーリリース時にバー151により遮光される範囲R22を除外して車両Aの退出を検知するように指示する。
【0100】
バーリリース時にバーが退出側車両検知器の一部の光軸を遮光してしまうと、退出側車両検知器は常に車両が存在するように誤検知してしまう。そうすると、車両が車線Lから退出していないと誤認識してしまい、車線内に存在する車両台数を管理することができなくなる。しかしながら、本実施形態では、退出側車両検知器S4は、バー151による遮光範囲R22を除外して車両Aの検知を行う。これにより、退出側車両検知器S4は、非遮光範囲R21の受光の有無のみに基づいて、車両Aの存在の有無を検知することができる。これにより、車線制御装置20は、バーリリース発生時であっても、車線L内に存在する車両台数の管理を継続して行うことが可能となる。
【0101】
(5)第5の態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、料金所機械10の一つであり車両Aに搭載された車載器αと無線通信を行うアンテナ12を介して車両Aの通行料金を収受する料金収受処理を行い、継続運用モードに切り替えた場合に、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2が車両Aのアンテナ12の通信範囲R1への進入を検知してから通過を検知するまでの期間に、アンテナ12と車両Aの車載器αとの無線通信が行われなかった場合に、車両Aが車載器αを搭載していない非ETC車両であると判断する。
【0102】
このようにすることで、車線制御装置20は、車線Lに進入した車両がETC車両であるか非ETC車両であるかを判別することができる。これにより、非ETC車両に対しては、無線通信を介したETC料金収受処理とは別に、ETC以外の料金収受処理などの対応を実施することができる。
【0103】
(6)第6の態様によれば、第5の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、車両Aが非ETC車両であると判断した場合に、料金所機械10の一つであり車両Aに向けて通知を行う通知装置(路側表示器16、表示装置141)に対し、車両Aの停車を促す通知を出力するように指示する。
【0104】
このようにすることで、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことを抑制することができる。
【0105】
(7)第7の態様によれば、制御方法は、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し料金収受処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する制御方法であって、料金所機械10の一つであり車線Lを開放または閉塞するバー151を有する発進制御機15が車両Aとの接触によりバー151が折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替えるステップと、継続運用モードに切り替えた場合に、車両Aの車線Lへの進入を規制せず、通常運用モードの機能を制限して料金収受処理を継続するように料金所機械10を制御するステップと、を有する。
【0106】
(8)第8の態様によれば、プログラムは、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し料金収受処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する車線制御装置20に、料金所機械10の一つであり車線Lを開放または閉塞するバー151を有する発進制御機15が車両Aとの接触によりバー151が折れ曲がるバーリリースを検知した場合に、通常運用モードから車線閉鎖モードおよび継続運用モードのいずれかに切り替えるステップと、継続運用モードに切り替えた場合に、車両Aの車線Lへの進入を規制せず、通常運用モードの機能を制限して料金収受処理を継続するように料金所機械10を制御するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0107】
1 料金収受システム
10 料金所機械
12 アンテナ
13 車線表示器
14 料金自動収受機
141 表示装置
15 発進制御機
151 バー
16 路側表示器
20 車線制御装置
21 プロセッサ
210 切替部
211 制御部
22 メモリ
23 ストレージ
24 通信インタフェース
30 監視装置
S1 進入側車両検知器(車両検知器)
S2 通信用車両検知器(車両検知器)
S4 退出側車両検知器(車両検知器)
A 車両
α 車載器