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特開2024-121052アクティブマトリクス基板および液晶表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121052
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板および液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027919
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】原 健吾
(72)【発明者】
【氏名】大東 徹
(72)【発明者】
【氏名】原 義仁
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋平
【テーマコード(参考)】
2H192
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BC42
2H192CB08
2H192CB37
2H192CB83
2H192CC17
2H192CC33
2H192EA22
2H192EA43
2H192GD06
2H192JA06
2H192JA13
2H192JA33
(57)【要約】
【課題】ダブルゲート構造の酸化物半導体TFTを備えたアクティブマトリクス基板において、下部ゲート電極と上部ゲート電極とを電気的に接続するコンタクト部の好適な配置を実現する。
【解決手段】アクティブマトリクス基板は、各画素領域に対応して設けられた画素TFTと、画素TFTに電気的に接続された画素電極と、行方向に延びる複数本のゲート配線と、列方向に延びる複数本のソース配線とを備える。画素TFTは、下部ゲート電極、下部ゲート絶縁層、酸化物半導体層、上部ゲート絶縁層および上部ゲート電極を有する。各ゲート配線は、下部ゲート電極に電気的に接続された下部ゲート配線と、上部ゲート電極に電気的に接続された上部ゲート配線とを含む複層構造を有する。ゲート配線の本数をm、ソース配線の本数をnとするとき、各ゲート配線は3個以上n個未満のコンタクト部を有し、各コンタクト部はn個の交差領域のいずれかに位置しており、各ソース配線に重なるコンタクト部の個数はm未満である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素領域によって規定される表示領域を有し、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTと、
前記画素TFTに電気的に接続された画素電極と、
行方向に延びる複数本のゲート配線であって、それぞれが対応する画素TFTにゲート信号を供給する複数本のゲート配線と、
列方向に延びる複数本のソース配線であって、それぞれが対応する画素TFTにソース信号を供給する複数本のソース配線と、
を備えたアクティブマトリクス基板であって、
前記画素TFTは、
前記基板上に設けられた下部ゲート電極と、
前記下部ゲート電極を覆う下部ゲート絶縁層と、
前記下部ゲート絶縁層上に設けられた酸化物半導体層であって、前記下部ゲート絶縁層を介して前記下部ゲート電極に対向するチャネル領域と、前記チャネル領域の両側に位置するソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域とを含む酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の前記チャネル領域上に設けられた上部ゲート絶縁層と、
前記上部ゲート絶縁層上に設けられ、前記酸化物半導体層の前記チャネル領域に前記上部ゲート絶縁層を介して対向する上部ゲート電極と、
を有し、
各ゲート配線は、前記下部ゲート電極に電気的に接続された下部ゲート配線と、前記上部ゲート電極に電気的に接続された上部ゲート配線とを含む複層構造を有し、
前記複数本のゲート配線の本数をm、前記複数本のソース配線の本数をnとするとき、
各ゲート配線は、それぞれが前記下部ゲート配線と前記上部ゲート配線とを電気的に接続する3個以上n個未満のコンタクト部を有し、各コンタクト部は、当該ゲート配線と前記複数本のソース配線とが交差する領域であるn個の交差領域のいずれかに位置しており、各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は、m未満である、アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は、20以下である、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は、前記複数本のゲート配線の本数の1%以下である、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は互いに同じである、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
各ゲート配線が有する前記コンタクト部の個数をp、各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数をqとし、前記複数本のゲート配線の本数mおよび前記複数本のソース配線の本数nの最大公約数をGCDとするとき、
p=q/GCDおよびq=p/GCDの関係が満足される、請求項4に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
前記複数本のソース配線は、第1ソース配線と、第1ソース配線よりも短い第2ソース配線とを含み、
前記第2ソース配線に重なる少なくとも1個の前記コンタクト部は、前記第1ソース配線に重なる少なくとも1個の前記コンタクト部のそれぞれの面積よりも大きな面積を有するコンタクト部を含む、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項1から6のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項8】
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む請求項7に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項9】
請求項1に記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と、
を備える液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板に関し、特に、酸化物半導体TFTを備えたアクティブマトリクス基板に関する。また、本発明は、そのようなアクティブマトリクス基板を備えた液晶表示装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、画素ごとにスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス基板を備える液晶表示装置が広く用いられている。スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下では「TFT」と呼ぶ)が設けられたアクティブマトリクス基板は、TFT基板と呼ばれる。なお、本明細書においては、アクティブマトリクス基板の各画素に設けられたTFTを「画素TFT」と呼ぶことがある。
【0003】
近年、TFTの活性層の材料として、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わって、酸化物半導体を用いることが提案されている。酸化物半導体膜を活性層として有するTFTを、「酸化物半導体TFT」と称する。特許文献1には、In―Ga―Zn-O系の半導体膜をTFTの活性層に用いたアクティブマトリクス基板が開示されている。
【0004】
酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体膜は、多結晶シリコン膜よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【0005】
ただし、酸化物半導体の移動度は、アモルファスシリコンの移動度より高いものの、多結晶シリコンの移動度よりは低い。そのため、最近では、酸化物半導体TFTの駆動能力のいっそうの向上が求められている。
【0006】
酸化物半導体TFTの駆動能力を向上させる手法として、ダブルゲート構造が提案されている。ダブルゲート構造を有する酸化物半導体TFTでは、酸化物半導体層を挟み込むように一対のゲート電極が設けられる。つまり、酸化物半導体の下方にゲート電極(以下では「下部ゲート電極」と呼ぶ)が設けられるとともに、酸化物半導体層の上方にさらなるゲート電極(以下では「上部ゲート電極」と呼ぶ)が設けられる。ダブルゲート構造の酸化物半導体TFTは、例えば、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-134475号公報
【特許文献2】特開2016-184739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ダブルゲート構造の酸化物半導体TFTにおいて、下部ゲート電極と上部ゲート電極とを同電位にする場合、両者を電気的に接続するためのコンタクト部を設ける必要がある。しかしながら、画素TFTとして酸化物半導体TFTを用いる場合のコンタクト部の好適な配置はいまだ見出されていない。特許文献2には、そのようなコンタクト部の配置についての言及はない。
【0009】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダブルゲート構造の酸化物半導体TFTを備えたアクティブマトリクス基板において、下部ゲート電極と上部ゲート電極とを電気的に接続するコンタクト部の好適な配置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書は、以下の項目に記載のアクティブマトリクス基板および液晶表示装置を開示している。
【0011】
[項目1]
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素領域によって規定される表示領域を有し、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTと、
前記画素TFTに電気的に接続された画素電極と、
行方向に延びる複数本のゲート配線であって、それぞれが対応する画素TFTにゲート信号を供給する複数本のゲート配線と、
列方向に延びる複数本のソース配線であって、それぞれが対応する画素TFTにソース信号を供給する複数本のソース配線と、
を備えたアクティブマトリクス基板であって、
前記画素TFTは、
前記基板上に設けられた下部ゲート電極と、
前記下部ゲート電極を覆う下部ゲート絶縁層と、
前記下部ゲート絶縁層上に設けられた酸化物半導体層であって、前記下部ゲート絶縁層を介して前記下部ゲート電極に対向するチャネル領域と、前記チャネル領域の両側に位置するソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域とを含む酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の前記チャネル領域上に設けられた上部ゲート絶縁層と、
前記上部ゲート絶縁層上に設けられ、前記酸化物半導体層の前記チャネル領域に前記上部ゲート絶縁層を介して対向する上部ゲート電極と、
を有し、
各ゲート配線は、前記下部ゲート電極に電気的に接続された下部ゲート配線と、前記上部ゲート電極に電気的に接続された上部ゲート配線とを含む複層構造を有し、
前記複数本のゲート配線の本数をm、前記複数本のソース配線の本数をnとするとき、
各ゲート配線は、それぞれが前記下部ゲート配線と前記上部ゲート配線とを電気的に接続する3個以上n個未満のコンタクト部を有し、各コンタクト部は、当該ゲート配線と前記複数本のソース配線とが交差する領域であるn個の交差領域のいずれかに位置しており、各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は、m未満である、アクティブマトリクス基板。
【0012】
[項目2]
各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は、20以下である、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0013】
[項目3]
各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は、前記複数本のゲート配線の本数の1%以下である、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
【0014】
[項目4]
各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数は互いに同じである、項目1から3のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0015】
[項目5]
各ゲート配線が有する前記コンタクト部の個数をp、各ソース配線に重なる前記コンタクト部の個数をqとし、前記複数本のゲート配線の本数mおよび前記複数本のソース配線の本数nの最大公約数をGCDとするとき、
p=q/GCDおよびq=p/GCDの関係が満足される、項目4に記載のアクティブマトリクス基板。
【0016】
[項目6]
前記複数本のソース配線は、第1ソース配線と、第1ソース配線よりも短い第2ソース配線とを含み、
前記第2ソース配線に重なる少なくとも1個の前記コンタクト部は、前記第1ソース配線に重なる少なくとも1個の前記コンタクト部のそれぞれの面積よりも大きな面積を有するコンタクト部を含む、項目1から3のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0017】
[項目7]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目1から6のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【0018】
[項目8]
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む項目7に記載のアクティブマトリクス基板。
【0019】
[項目9]
項目1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と、
を備える液晶表示装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によると、ダブルゲート構造の酸化物半導体TFTを備えたアクティブマトリクス基板において、下部ゲート電極と上部ゲート電極とを電気的に接続するコンタクト部の好適な配置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を示す概略図である。
図2】アクティブマトリクス基板100を模式的に示す平面図である。
図3】アクティブマトリクス基板100を模式的に示す断面図であり、図2中の3A-3A’線に沿った断面を示している。
図4】アクティブマトリクス基板100を模式的に示す断面図であり、図2中の4A-4A’線に沿った断面を示している。
図5】アクティブマトリクス基板100におけるコンタクト部CPの配置の例を示す図である。
図6】比較例1のアクティブマトリクス基板800におけるコンタクト部CPの配置を示す図である。
図7】比較例2のアクティブマトリクス基板900におけるコンタクト部CPの配置を示す図である。
図8A】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8B】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8C】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8D】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8E】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8F】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8G】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8H】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8I】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8J】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図8K】アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。
図9】本発明の実施形態による他のアクティブマトリクス基板200を模式的に示す平面図である。
図10】本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板100(200)を備えた液晶表示装置1000を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下では、液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板を例として説明を行う。
【0023】
[実施形態1]
まず、図1を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板100の概略構成を説明する。図1は、アクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を示す概略図である。
【0024】
アクティブマトリクス基板100は、図1に示すように、表示領域DRと、非表示領域(「額縁領域」とも呼ばれる)FRとを有している。表示領域DRは、複数の画素領域Pによって規定される。複数の画素領域Pは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。画素領域Pは、液晶表示装置の画素に対応する領域であり、画素領域Pを単に「画素」と呼ぶこともある。非表示領域FRは、表示領域DRの周辺に位置し、表示に寄与しない領域である。
【0025】
アクティブマトリクス基板100の構成要素は、基板1によって支持されている。基板1は、例えばガラス基板である。
【0026】
基板1上には、行方向に延びる複数本のゲート配線(走査配線)2と、列方向に延びる複数本のソース配線(信号配線)3とが設けられている。典型的には、隣接する2本のゲート配線2と隣接する2本のソース配線3とによって囲まれる領域が、画素領域Pである。表示領域DRの各画素領域Pは、薄膜トランジスタ(以下では「画素TFT」と呼ぶ。)10と、画素電極PEとを含む。
【0027】
各画素領域Pに対応して設けられた画素TFT10は、基板1に支持されており、対応するゲート配線2からゲート信号(走査信号)を供給され、対応するソース配線3からソース信号(表示信号)を供給される。なお、図1では簡略化しているが、画素TFT10は、後述するようにダブルゲート構造を有している。
【0028】
画素電極PEは、画素TFT10に電気的に接続されている。アクティブマトリクス基板100を、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界モードの液晶表示装置に用いる場合には、アクティブマトリクス基板100に、複数の画素領域Pに対して共通の電極(共通電極)CEが設けられる。アクティブマトリクス基板100を縦電界モードの液晶表示装置に適用する場合には、共通電極CEは、アクティブマトリクス基板100に液晶層を介して対向するように配置された対向基板に設けられる。
【0029】
非表示領域FRには、周辺回路が配置されている。ここでは、非表示領域FRには、ゲート配線2を駆動するゲートドライバ(ゲート配線駆動回路)4Aおよび4Bが一体的(モノリシック)に形成されており、ソース配線3を駆動するソースドライバ(ソース配線駆動回路)5が実装(例えばCOG実装)されている。
【0030】
図示している例では、表示領域DRに対して左側に、奇数行のゲート配線2を駆動するゲートドライバ4Aが配置されており、表示領域DRに対して右側に、偶数行のゲート配線2を駆動するゲートドライバ4Bが配置されている。ゲートドライバ4Aが有する複数の出力端子(不図示)に、奇数行のゲート配線2が接続されている。また、ゲートドライバ4Bが有する複数の出力端子(不図示)に、偶数行のゲート配線2が接続されている。
【0031】
また、図示している例では、表示領域DRに対して下側に、ソースドライバ5が配置されている。ソースドライバ5が有する複数の出力端子(不図示)に、ソース配線3が接続されている。
【0032】
なお、非表示領域FRには、ソース配線3を時分割で駆動するソース切替(Source Shared Driving:SSD)回路などがさらに配置されていてもよく、SSD回路などがゲートドライバ4Aおよび4Bと同様にモノリシックに形成されていてもよい。
【0033】
続いて、図2図3および図4を参照しながら、アクティブマトリクス基板100のより具体的な構成を説明する。図2は、アクティブマトリクス基板100を模式的に示す平面図である。図3および図4は、アクティブマトリクス基板100を模式的に示す断面図であり、それぞれ図2中の3A-3A’線および4A-4A’線に沿った断面を示している。
【0034】
アクティブマトリクス基板100は、図2図3および図4に示すように、基板1、ゲート配線2、ソース配線3、画素TFT10および画素電極PEを備えている。
【0035】
基板1は、透明で絶縁性を有する。基板1は、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0036】
既に説明したように、ゲート配線2は行方向に延びており、ソース配線3は列方向に延びている。本実施形態では、各ゲート配線2は、下部ゲート配線2Lと、上部ゲート配線2Uとを含む複層構造を有する。下部ゲート配線2Lと、上部ゲート配線2Uとは、後述する下部ゲート絶縁層12および上部ゲート絶縁層14を介して少なくとも部分的に重なっている。
【0037】
画素TFT10は、下部ゲート電極11、下部ゲート絶縁層12、酸化物半導体層13、上部ゲート絶縁層14、上部ゲート電極15、ソース電極16およびドレイン電極17を有する。つまり、画素TFT10は、ダブルゲート構造を有する。
【0038】
下部ゲート電極11は、基板1上に設けられている。下部ゲート電極11は、対応する下部ゲート配線2Lに電気的に接続されている。図示している例では、下部ゲート配線2Lの一部(具体的には酸化物半導体層13に対向する部分)が下部ゲート電極11として機能する。つまり、下部ゲート電極11と下部ゲート配線2Lとは、同層に形成されている。下部ゲート絶縁層12は、下部ゲート電極11を覆っている。
【0039】
酸化物半導体層13は、下部ゲート絶縁層12上に設けられている。酸化物半導体層13は、下部ゲート絶縁層12を介して下部ゲート電極11に対向するチャネル領域13cと、チャネル領域13cの両側に位置するソースコンタクト領域13sおよびドレインコンタクト領域13dとを含む。
【0040】
上部ゲート絶縁層14は、酸化物半導体層13のチャネル領域13c上に設けられている。上部ゲート電極15は、上部ゲート絶縁層14上に設けられており、酸化物半導体層13のチャネル領域13cに上部ゲート絶縁層14を介して対向する。上部ゲート電極15は、対応する上部ゲート配線2Uに電気的に接続されている。図示している例では、上部ゲート配線2Uの一部(具体的には酸化物半導体層13に対向する部分)が上部ゲート電極15として機能する。つまり、上部ゲート電極15と上部ゲート配線2Uとは、同層に形成されている。本実施形態では、下部ゲート電極11と上部ゲート電極15とは、互いに同じ電位を与えられる。
【0041】
上部ゲート電極15および酸化物半導体層13を覆うように、層間絶縁層6が設けられている。ソース電極16およびドレイン電極17は、層間絶縁層6上に設けられている。
【0042】
層間絶縁層6には、酸化物半導体層13のソースコンタクト領域13sの一部およびドレインコンタクト領域13dの一部が露出するようにソースコンタクトホール6aおよびドレインコンタクトホール6bが形成されている。ソース電極16は、ソースコンタクトホール6aにおいて、ソースコンタクト領域13sに接しており、ソースコンタクト領域13sに電気的に接続されている。ドレイン電極17は、ドレインコンタクトホール6bにおいて、ドレインコンタクト領域13dに接しており、ドレインコンタクト領域13dに電気的に接続されている。
【0043】
ソース電極16は、対応するソース配線3に電気的に接続されている。図示している例では、ソース配線3の一部(具体的には酸化物半導体層13に対向する部分)がソース電極16として機能する。つまり、ソース電極16とソース配線3とは、同層に形成されている。
【0044】
画素TFT10を覆うように、平坦化層7が形成されている。平坦化層7は、例えば感光性樹脂材料から形成されている。平坦化層7上に、画素電極PEが設けられている。画素電極PEは、透明導電材料(例えばITO)から形成されている。平坦化層7には、ドレイン電極17の一部が露出するように画素コンタクトホール7aが形成されている。画素電極PEは、画素コンタクトホール7aにおいて、ドレイン電極17に接しており、ドレイン電極17に電気的に接続されている。なお、ここでは図示していないが、画素電極PEを覆うように配向膜が形成されている。
【0045】
本実施形態では、既に説明したように、各ゲート配線2は、下部ゲート電極11に電気的に接続された下部ゲート配線2Lと、上部ゲート電極15に電気的に接続された上部ゲート配線2Uとを含む複層構造を有する。各ゲート配線2は、それぞれが下部ゲート配線2Lと上部ゲート配線2Uとを電気的に接続する所定個数のコンタクト部CPを有する。具体的には、ゲート配線2の本数をm(mは2以上の整数)、ソース配線3の本数をn(nは2以上の整数)とするとき、各ゲート配線2は、3個以上n個未満のコンタクト部CPを有する。つまり、1本のゲート配線2に着目すると、コンタクト部CPの個数は、2よりも多く、ソース配線3の本数よりも少ない。
【0046】
図4に示している例では、各コンタクト部CPにおいて、下部ゲート絶縁層12および上部ゲート絶縁層14にコンタクトホールCHが形成されており、このコンタクトホールCHにおいて下部ゲート配線2Lと上部ゲート配線2Uとが接することにより、下部ゲート配線2Lと上部ゲート配線2Uとが電気的に接続されている。
【0047】
1本のゲート配線2に着目すると、そのゲート配線2と、n本のソース配線3とが交差する領域(以下では「交差領域」と呼ぶ)は、n個存在している。各コンタクト部CPは、n個の交差領域のいずれかに位置している。既に説明したように、各ゲート配線2のコンタクト部CPの個数は、ソース配線3の本数よりも少ない。そのため、各ゲート配線2について、すべての交差領域にコンタクト部CPが設けられているわけではない。言い換えると、各ゲート配線2について、コンタクト部CPは、n個の交差領域のうちの一部の交差領域にのみ選択的に設けられている。図2および図4に示されている領域には、それぞれ2つの交差領域が存在している。左側の交差領域には、コンタクト部CPが設けられているのに対し、右側の交差領域には、コンタクト部CPは設けられていない。
【0048】
また、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数は、m未満である。つまり、1本のソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数は、ゲート配線2の本数よりも少ない。
【0049】
図5に、本実施形態におけるコンタクト部CPの配置の例を示す。図5に示す例では、コンタクト部CPは、9個の画素Pに1個の割合で設けられている。また、a番目(aは任意の整数)のゲート配線2のコンタクト部CPと、(a+1)番目のゲート配線2のコンタクト部CPとは、行方向における位置が1画素列分ずれている。なお、図5に示した配置例は、あくまでも一例であり、コンタクト部CPの配置はこれに限定されるものではない。
【0050】
本実施形態のアクティブマトリクス基板100では、上述した構成により、以下に説明するような効果が得られる。以下、本実施形態のアクティブマトリクス基板100の効果を、図6に示す比較例1のアクティブマトリクス基板800および図7に示す比較例2のアクティブマトリクス基板900と比較して説明する。
【0051】
比較例1のアクティブマトリクス基板800では、図6に示すように、各ゲート配線2の両端部にのみコンタクト部CPが設けられている。つまり、各ゲート配線2は、コンタクト部CPを2個有している。また、コンタクト部CPは、ソース配線3に重なっていない。
【0052】
比較例2のアクティブマトリクス基板900では、図7に示すように、すべての交差領域にコンタクト部CPが設けられている。つまり、すべての画素に対応してコンタクト部CPが設けられている。従って、ゲート配線2の本数をm、ソース配線3の本数をnとすると、各ゲート配線2は、コンタクト部CPをn個有しており、各ソース配線3に、m個のコンタクト部CPが重なっている。
【0053】
比較例1のアクティブマトリクス基板800のように、コンタクト部CPをゲート配線2の両端部にのみ配置すると、表示領域の中央部でゲート信号の遅延が生じてしまう。また、比較例2のアクティブマトリクス基板900のように、コンタクト部CPを各画素ごとに配置すると、ソース配線3の負荷容量が増加したり、画素の開口率が低下したりする。
【0054】
これに対し、本実施形態のアクティブマトリクス基板100では、各ゲート配線2のコンタクト部CPの個数が、ゲート配線2の両端部にのみコンタクト部CPが設けられている場合に比べて多い(3以上である)ので、表示領域DRの中央部におけるゲート信号の遅延が抑制される。ゲート信号の遅延を抑制する観点からは、各ゲート配線2のコンタクト部CPの個数は、20以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましい。
【0055】
既に述べたように、コンタクト部CPは、開口率の低下の原因となる。そのため、高開口率が求められる用途(例えば高精細機種)では、本実施形態のように、交差領域(ゲート配線2とソース配線3とが交差する領域)にコンタクト部CPが配置されることが好ましい。これにより、コンタクト部CPに起因する開口率の低下が抑制される。ただし、コンタクト部CPを交差領域に配置すると、ソース配線3とゲート配線2との重なり面積が増加してソース配線3の負荷容量が増加するおそれがある。
【0056】
本実施形態のアクティブマトリクス基板100では、各ゲート配線2のコンタクト部CPの個数、および、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数が、各画素Pごとにコンタクト部CPが設けられている場合に比べて少ない(それぞれn未満、m未満である)ので、ソース配線3の負荷容量の増加や、画素Pの開口率の低下が抑制される。ソース配線3の負荷容量の増加を抑制する観点からは、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数は、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。また、ゲート配線2の本数との比較で言うと、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数は、ゲート配線2の本数の1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
【0057】
各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数は、互いに同じであることが好ましい。各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数が互いに同じであると、各ソース配線3の負荷容量が実質的に均等になるので、各ソース配線3の負荷容量のばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制される。
【0058】
ここで、各ゲート配線2が有するコンタクト部CPの個数をp、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数をqとし、ゲート配線2の本数mおよびソース配線3の本数nの最大公約数をGCDとする。このとき、p=q/GCDおよびq=p/GCDの関係が満足される(すなわち、pがqをGCDで除した数であり、qがpをGCDで除した数である)ように、pおよびqを設定することにより、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数を互いに同じにすることができる。
【0059】
例えば、ゲート配線2の本数mが2400、ソース配線3の本数nが11520である場合、これらの最大公約数GCDは480である。そのため、各ゲート配線2が有するコンタクト部CPの個数pを24(=11520/480)、各ソース配線3に重なるコンタクト部CPの個数qを5(=2400/480)に設定すればよい。
【0060】
ここで、図8Aから図8Kを参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板100の製造方法の例を説明する。図8Aから図8Kは、アクティブマトリクス基板100の製造工程を示す工程断面図である。図8Aから図8Kのそれぞれにおいて、左側には図3に対応する断面が示されており、右側には図4に対応する断面が示されている。
【0061】
まず、図8Aに示すように、基板1上に、下部ゲート電極11および下部ゲート配線2Lを形成する。例えば、スパッタ法により導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより導電膜をパターニングすることによって、下部ゲート電極11および下部ゲート配線2Lを形成することができる。
【0062】
基板1としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。下部ゲート電極11および下部ゲート配線2Lを形成するための導電膜(下部ゲートメタル膜)としては、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、下部ゲートメタル膜として、窒化タンタル(TaN)膜およびW膜をこの順で積層した膜を用いる。下部ゲートメタル膜の厚さは、例えば100nm以上500nm以下である。
【0063】
次に、図8Bに示すように、下部ゲート電極11および下部ゲート配線2Lを覆う下部ゲート絶縁層12を形成する。例えばCVD法により、下部ゲート絶縁層12を形成することができる。下部ゲート絶縁層12としては、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiNx)層、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)層等を適宜用いることができる。下部ゲート絶縁層12は、積層構造を有していてもよい。例えば、基板1側に下層として、基板1からの不純物等の拡散防止のためのSiNx層を形成し、その上に上層として、絶縁性を確保するためのSiO層を形成してもよい。下部ゲート絶縁層12の厚さは、例えば150nm以上400nm以下である。
【0064】
続いて、図8Cに示すように、下部ゲート絶縁層12上に、酸化物半導体層13を形成する。例えば、スパッタ法により酸化物半導体膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより酸化物半導体膜をパターニングすることによって、島状の酸化物半導体層13を形成することができる。酸化物半導体層13は、下部ゲート絶縁層12を介して下部ゲート電極11に対向するように形成される。ここでは、酸化物半導体層13として、In:Ga:Zn=1:1:1の組成比を有するIn-Ga-Zn-O系の半導体層を形成する。酸化物半導体層13の厚さは、例えば10nm以上60nm以下である。
【0065】
次に、図8Dに示すように、酸化物半導体層13を覆うように上部ゲート絶縁層14を堆積する。上部ゲート絶縁層14の堆積は、例えばCVD法により行われる。その後、酸化物半導体層13の酸化処理(例えばベークや過酸化処理)を行う。上部ゲート絶縁層14として、例えば、下部ゲート絶縁層12と同様の(下部ゲート絶縁層12として例示した)絶縁層を用いることができる。ここでは、上部ゲート絶縁層14として、酸化シリコン(SiO)層を形成する。上部ゲート絶縁層14として、酸化シリコン層などの酸化物層を用いると、酸化物半導体層13のチャネル領域13cに生じた酸素欠損を酸化物層によって低減できるので、チャネル領域の低抵抗化を抑制できる。上部ゲート絶縁層14の厚さは、例えば50nm以上150nm以下である。
【0066】
続いて、図8Eに示すように、下部ゲート絶縁層12および上部ゲート絶縁層14に、下部ゲート配線2Lの一部が露出するようにコンタクトホールCHを形成する。コンタクトホールCHは、例えば、フォトリソグラフィプロセスで下部ゲート絶縁層12および上部ゲート絶縁層14をパターニングすることにより形成することができる。
【0067】
次に、図8Fに示すように、上部ゲート絶縁層14上に、上部ゲート電極15および上部ゲート配線2Uを形成する。例えば、スパッタ法により導電膜(上部ゲートメタル膜)を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより上部ゲートメタル膜をパターニングすることによって、上部ゲート電極15および上部ゲート配線2Uを形成することができる。その後、上部ゲート絶縁層14のパターニングを行う。なお、上部ゲートメタル膜と一括して上部ゲート絶縁層14をパターニングすることもできる。上部ゲートメタル膜としては、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を用いることができる。ここでは、上部ゲートメタル膜として、Ti膜、Al膜およびTi膜をこの順で積層した膜を用いる。上部ゲートメタル膜の厚さは、例えば100nm以上400nm以下である。
【0068】
この後、上部ゲート絶縁層14および上部ゲート電極15をマスクとして、酸化物半導体層13の低抵抗化処理を行ってもよい。低抵抗化処理として、例えばプラズマ処理を用いることができる。低抵抗化処理により、酸化物半導体層13のうち上部ゲート絶縁層14および上部ゲート電極15に重ならない領域(ソースコンタクト領域13sおよびドレインコンタクト領域13dとなる領域)は、酸化物半導体層13のうち上部ゲート絶縁層14および上部ゲート電極15に重なる領域(チャネル領域13cとなる領域)よりも比抵抗の低い低抵抗領域となる。低抵抗領域は、導電体領域(例えばシート抵抗:200Ω/□以下)であってもよい。なお、プラズマ処理は、上部ゲート絶縁層14をパターニングせずに上部ゲート電極15をマスクとして行ってもよい。その場合、上部ゲート絶縁層14のフォトリソグラフィプロセスを省略することができるので、製造プロセスの短縮を行うことが可能である。また、低抵抗化処理の方法はプラズマ処理に限定されない。例えば、酸化物半導体層13の露出領域を、酸化物半導体を還元し得る還元性の絶縁膜に接触させることで低抵抗化することも可能である。あるいは、酸化物半導体層13への例えばイオンドーピングなどによるイオン注入処理によっても低抵抗化することができる。この場合も上部ゲート絶縁層14越しにイオン注入処理をすることができるので、プロセス短縮を行うことが可能である。
【0069】
続いて、図8Gに示すように、酸化物半導体層13、上部ゲート電極15および上部ゲート配線2Uを覆う層間絶縁層6を形成する。例えばCVD法により、層間絶縁層6を形成することができる。層間絶縁層6として、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiNx)層、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)層等の無機絶縁層を単層で、または積層させて用いることができる。層間絶縁層6の厚さは例えば200nm以上700nm以下である。ここでは、層間絶縁層6として、酸化シリコン層を用いる。
【0070】
次に、図8Hに示すように、層間絶縁層6に、酸化物半導体層13のソースコンタクト領域13sの一部およびドレインコンタクト領域13dの一部が露出するように、ソースコンタクトホール6aおよびドレインコンタクトホール6bを形成する。ソースコンタクトホール6aおよびドレインコンタクトホール6bは、例えば、フォトリソグラフィプロセスで層間絶縁層6をパターニングすることにより形成することができる。
【0071】
続いて、図8Iに示すように、層間絶縁層6上に、ソース電極16、ドレイン電極17およびソース配線3を形成する。例えば、スパッタ法により導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより導電膜をパターニングすることによって、ソース電極16、ドレイン電極17およびソース配線3を形成することができる。ソース電極16、ドレイン電極17およびソース配線3を形成するための導電膜(ソースメタル膜)としては、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、ソースメタル膜として、Ti膜、Al膜およびTi膜をこの順で積層した膜を用いる。ソースメタル膜の厚さは、例えば200nm以上700nm以下である。
【0072】
次に、図8Jに示すように、画素TFT10を覆う平坦化層7を形成する。例えば、感光性樹脂材料を塗布し、露光および現像を行うことにより、ドレイン電極17の一部が露出するように画素コンタクトホール7aが形成された平坦化層7が得られる。感光性樹脂材料として、例えば、感光性アクリル樹脂を用いることができる。平坦化層7の厚さは、例えば2.0μm~3.0μm程度である。
【0073】
続いて、図8Kに示すように、平坦化層7上に画素電極PEを形成する。例えば、スパッタ法により透明導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより透明導電膜をパターニングすることによって、画素電極PEを形成することができる。画素電極PEを形成するための透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)を用いることができる。ここでは、インジウム亜鉛酸化物を用いる。画素電極PEの厚さは、例えば30nm以上100nm以下である。このようにして、アクティブマトリクス基板100が得られる。
【0074】
[実施形態2]
図9を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板200を説明する。図9は、アクティブマトリクス基板200を模式的に示す平面図である。以下では、アクティブマトリクス基板200が、実施形態1のアクティブマトリクス基板100と異なる点を中心に説明を行う。
【0075】
アクティブマトリクス基板200は、厳密な矩形状ではない。図示している例では、アクティブマトリクス基板200は、右上および左上の角部が丸く切り欠かれた矩形状である。本願明細書では、厳密な矩形状ではない基板を「異形基板」と呼ぶ。
【0076】
このように、アクティブマトリクス基板200は、異形基板である。そのため、複数本のゲート配線2は、他のゲート配線2よりも短いゲート配線2を含んでいる。以下では、相対的に長いゲート配線2Aを「第1ゲート配線」と呼び、相対的に短い(つまり第1ゲート配線2Aよりも短い)ゲート配線2Bを「第2ゲート配線」と呼ぶ。図9に示す例では、アクティブマトリクス基板200の上端近傍に第2ゲート配線2Bが存在している。
【0077】
また、複数本のソース配線3は、他のソース配線3よりも短いソース配線3を含んでいる。以下では、相対的に長いソース配線3Aを「第1ソース配線」と呼び、相対的に短い(つまり第1ソース配線3Aよりも短い)ソース配線3Bを「第2ソース配線」と呼ぶ。図9に示す例では、アクティブマトリクス基板200の左端近傍および右端近傍に第2ソース配線3Bが存在している。
【0078】
本実施形態では、各第2ソース配線3Bに重なる少なくとも1個のコンタクト部CPは、各第1ソース配線3Aに重なる少なくとも1個のコンタクト部CPのそれぞれの面積よりも大きな面積を有するコンタクト部CPを含んでいる。
【0079】
異形基板であるアクティブマトリクス基板200では、第2ソース配線3Bが第1ソース配線3Aよりも短いので、第2ソース配線3Bに重なるコンタクト部CPの個数が、第1ソース配線3Aに重なるコンタクト部CPの個数よりも少なくなることがある。本実施形態のように、第2ソース配線3Bに重なるコンタクト部CPが上述したようなコンタクト部CPを含んでいることにより、第2ソース配線3Bの負荷容量の大きさを第1ソース配線3Aの負荷容量の大きさに近付ける(例えば実質的に同じにする)ことができるので、各ソース配線3の負荷容量のばらつきに起因する表示ムラの発生を抑制することができる。
【0080】
[酸化物半導体について]
酸化物半導体層13に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0081】
酸化物半導体層13は、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する酸化物半導体層13は、アモルファス酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、積層構造を有する酸化物半導体層13は、複数のアモルファス酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層13が積層構造を有する場合、各層のエネルギーギャップは、互いに異なり得る。
【0082】
アモルファス酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0083】
酸化物半導体層13は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。上述した実施形態では、酸化物半導体層13は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層13は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0084】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0085】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0086】
酸化物半導体層13は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層11は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【0087】
[液晶表示装置]
本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板100および200は、液晶表示装置に好適に用いることができる。液晶表示装置の例を図10に示す。
【0088】
図10に示す液晶表示装置1000は、アクティブマトリクス基板100(またはアクティブマトリクス基板200)と、アクティブマトリクス基板100に対向するように設けられた対向基板600と、アクティブマトリクス基板100と対向基板600との間に設けられた液晶層30とを備える。アクティブマトリクス基板100および対向基板600の液晶層30側の最表面には、それぞれ配向膜31、32が設けられている。対向基板600は、典型的には、カラーフィルタ層およびブラックマトリクス(いずれも不図示)を有する。
【0089】
液晶層30の厚さ(セルギャップ)は、対向基板600の液晶層30側に設けられる柱状スペーサ(不図示)によって規定される。
【0090】
液晶表示装置1000の表示モードは、公知の種々の表示モードであり得る。具体的には、表示モードは、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードのような縦電界モードであってもよいし、FFS(Fringe Field Switching)モードのような横電界モードであってもよい。縦電界モードでは、共通電極CEが対向基板600に設けられるのに対し、横電界モードでは、共通電極CEがアクティブマトリクス基板100に設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の実施形態によると、ダブルゲート構造の酸化物半導体TFTを備えたアクティブマトリクス基板において、下部ゲート電極と上部ゲート電極とを電気的に接続するコンタクト部の好適な配置を実現することができる。本発明の実施形態は、種々の表示装置用のアクティブマトリクス基板に用いることができ、例えば、高精細な液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 基板
2 ゲート配線
2L 下部ゲート配線
2U 上部ゲート配線
3 ソース配線
4A、4B ゲートドライバ
5 ソースドライバ
6 層間絶縁層
6a ソースコンタクトホール
6b ドレインコンタクトホール
7 平坦化層
7a 画素コンタクトホール
10 薄膜トランジスタ(画素TFT)
11 下部ゲート電極
12 下部ゲート絶縁層
13 酸化物半導体層
13c チャネル領域
13s ソースコンタクト領域
13d ドレインコンタクト領域
14 上部ゲート絶縁層
15 上部ゲート電極
16 ソース電極
17 ドレイン電極
30 液晶層
31、32 配向膜
100、200 アクティブマトリクス基板
600 対向基板
DR 表示領域
FR 非表示領域(額縁領域)
P 画素領域
PE 画素電極
CE 共通電極
CP コンタクト部
CH コンタクトホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図9
図10