(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121062
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】複合フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 7/06 20190101AFI20240830BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240830BHJP
B32B 7/08 20190101ALI20240830BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20240830BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
B32B7/06
B32B27/32 E
B32B7/08
B65D77/20 L
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027933
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 仙
(72)【発明者】
【氏名】八木 周和
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E067AA01
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4F100JL14B
(57)【要約】
【課題】バリア部と通気部の界面で容易に分離可能な複合フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る複合フィルムは、基材層と分離層とが積層されたバリア部と、押出ポリエチレン層とシール層とが積層された通気部とを有し、前記バリア部の前記分離層と前記通気部の前記押出ポリエチレン層とが隣り合うように積層された複合フィルムであって、前記分離層は、前記押出ポリエチレン層側の表面の、ISO25178に定義される算術平均高さSaが0.20μm以上である二軸延伸ポリプロピレン樹脂層である。本発明に係る複合フィルムは、前記バリア部を形成する積層フィルムと、前記シール層を形成するシーラントフィルムとを、溶融されたポリエチレンにより押出ラミネートする工程を有する方法により、製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と分離層とが積層されたバリア部と、
押出ポリエチレン層とシール層とが積層された通気部と
を有し、
前記バリア部の前記分離層と前記通気部の前記押出ポリエチレン層とが隣り合うように積層された複合フィルムであって、
前記分離層は、前記押出ポリエチレン層側の表面の、ISO25178に定義される算術平均高さSaが0.20μm以上である二軸延伸ポリプロピレン樹脂層である
複合フィルム。
【請求項2】
前記分離層と前記押出ポリエチレン層との接着強度は、0.1~3.0N/15mmである
請求項1に記載の複合フィルム。
【請求項3】
容器の開口部を覆う蓋材として用いる
請求項1又は2に記載の複合フィルム。
【請求項4】
請求項1に記載の複合フィルムの製造方法であって、
前記バリア部を形成する積層フィルムと、前記シール層を形成するシーラントフィルムとを、溶融されたポリエチレンにより押出ラミネートする工程
を有する
複合フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記基材層を形成するフィルムと、前記分離層を形成するフィルムとをドライラミネートすることで、前記バリア部を形成する積層フィルムを得る工程
をさらに有する
請求項4に記載の複合フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の複合フィルムを用いた、容器の開口部を覆うための蓋材。
【請求項7】
内容物が投入された容器の開口部が、請求項6に記載された蓋材により覆われた
物品。
【請求項8】
前記容器が、その周縁に形成されたフランジ部を有し、
前記蓋材の前記シール層が、前記フランジ部の上面にシールされている
請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記フランジ部の下面から前記蓋材の前記押出ポリエチレン層までを貫通させるハーフカット加工が施された開封部を有する
請求項8に記載された物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分を蒸散・揮発させる内容物が投入された容器の開口部を覆う蓋材として好適な複合フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消臭剤、芳香剤、除湿剤、防虫剤、香料など、有効成分を蒸散・揮発させることで機能を発揮する内容物が投入された容器の開口部を覆う蓋材には、(1)保存時には有効成分を蒸散・揮発させにくい、(2)使用時には有効成分を蒸散・揮発させやすい、(3)使用時に容器を転倒させた場合でも内容物を漏出させにくい、という機能を有することが求められる。そのような機能を有する蓋材となるフィルムとしては、バリア性を有する上層と通気性を有する下層からなり、開封時に上層と下層の界面で分離させることが可能な複合フィルムが知られている。
【0003】
特許文献1には、フランジ付きプラスチック成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分と密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材において、外側から基材、分離層、透過層が順次積層された複合フィルムからなる蓋材であって、前記分離層はポリマーアロイ単層からなり、透過層の分離層側に溶融押出法によって形成されたポリエチレン樹脂層が配置された、分離可能な蓋材が記載されている。特許文献2には、フランジ付き成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分と密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材において、外側から透明バリア性フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂シーラントからなるバリア性を有する上層と、溶融押出法によって形成されたポリエチレンとシーラントからなる通気性を有する下層とが順次積層された複合フィルムからなる分離可能な透明蓋材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-131233号公報
【特許文献2】特開2012-51632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2に記載された蓋材では、溶融押出法によって形成されたポリエチレン層(溶融PE層)との界面で剥離させるための分離層としてポリマーアロイや無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いているため、コシが弱く蓋材としての張りが出にくいばかりか、耐衝撃性・強度が弱くなるという問題点があった。分離層として二軸延伸ポリプロピレン(OPP)を用いることで上記の問題点の改善が期待できるものの、溶融PE層との界面で剥離しにくく、OPPが凝集破壊してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、バリア部と通気部の界面で容易に分離可能な複合フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
基材層と分離層とが積層されたバリア部と、
押出ポリエチレン層とシール層とが積層された通気部と
を有し、
前記バリア部の前記分離層と前記通気部の前記押出ポリエチレン層とが隣り合うように積層された複合フィルムであって、
前記分離層は、前記押出ポリエチレン層側の表面の、ISO25178に定義される算術平均高さSaが0.20μm以上である二軸延伸ポリプロピレン樹脂層である
複合フィルムである。
【0008】
本発明は、前記の複合フィルムの製造方法であって、
前記バリア部を形成する積層フィルムと、前記シール層を形成するシーラントフィルムとを、溶融されたポリエチレンにより押出ラミネートする工程を有する
複合フィルムの製造方法である。
【0009】
本発明は、前記の複合フィルムを用いた、容器の開口部を覆うための蓋材である。また、本発明は、内容物が投入された容器の開口部が、前記の蓋材により覆われた物品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バリア部と通気部の界面で容易に分離可能な複合フィルム及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る複合フィルム(蓋材)の構成を示す模式的断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る蓋材により容器の開口部が覆われた物品の構成を示す模式的部分断面図である。
【
図3】
図2に示す物品の開封部から開封して蓋材のバリア部を分離させている状態を示す模式的部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る複合フィルム1は、
図1にその断面図を示すように、基材層11と分離層12とが積層されたバリア部10と、押出ポリエチレン(PE)層21とシール層22とが積層された通気部20とを有し、バリア部10の分離層12と通気部20の押出PE層21とが隣り合うように積層されたものである。ここで、バリア部10は、気体を通しにくい性質(バリア性)を有する積層体であり、通気部20は、気体を通しやすい性質(通気性)を有する積層体である。
【0013】
基材層11としては、複合フィルム1の基材として機能し、かつバリア性を有する層であればよい。基材層11を形成する材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PETや二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のプラスチックフィルムの片面に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法によりに設けた無機化合物蒸着フィルムが挙げられる。また、より高度なバリア性を発揮させるために、基材層11として、アルミニウム(Al)、ステンレス、スズ等の金属からなる層を併用することができる。金属からなる層を単独で基材層11とすることもできる。さらに、基材層11と分離層12との接着性を高める層、各層間を接着させる接着剤からなる層、各層間を接着させる押出ラミネート樹脂層、基材層11を構成する層間に印刷層などを有していてもよい。基材層11は、1層でもよく、2層以上でもよい。なお、
図1に示した複合フィルム1における基材層11は、PET層11a、接着剤層(不図示)、Al層11b、接着剤層(不図示)、及びPET層11cがこの順に積層されたものである。
【0014】
基材層11の厚さは、例えば10~100μmとすることができ、15~80μmとすることが好ましく、20~60μmとすることがより好ましく、25~40μmとすることが更に好ましい。2層以上の層で形成された基材層11における各層の厚みは、目的に応じて、適宜調整することができる。
【0015】
分離層12は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層である。分離層12を二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層とすることで、コシが強く蓋材としての張りが出るようになり、耐衝撃性・強度も強くなる。なお、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のバリア性はそれほど高くないが、基材層11がバリア性を有しているため、バリア部10は全体としてバリア性を有している。
【0016】
分離層12の厚さは、例えば5~50μmとすることができ、10~40μmとすることが好ましく、15~30μmとすることがより好ましい。
【0017】
バリア部10は、基材層11と分離層12とが積層されたものであり、かつ分離層12が表面に露出している必要があるが、例えば、基材層11側の表面上に印刷層、基材層11と分離層12を接着する接着剤層、基材層11と分離層12を接着する押出ラミネート樹脂層などが配されていてもよい。
【0018】
押出ポリエチレン(PE)層21としては、ポリエチレン(PE)の単独重合体や共重合体を押出ラミネートすることで形成された層であり、かつ通気性を有する層であればよい。押出PE層21を形成する材料の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー(IO)が挙げられる。
【0019】
押出PE層21の厚さは、例えば5~50μmとすることができ、10~40μmとすることが好ましく、15~30μmとすることがより好ましい。
【0020】
シール層22としては、蓋材としたときの容器にヒートシール可能であり、かつ通気性を有する層であればよい。シール層22を形成する材料の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリオレフィンを主成分としたイージーピール等が挙げられる。
【0021】
シール層22の厚さは、例えば10~100μmとすることができ、20~70μmとすることが好ましく、30~50μmとすることがより好ましい。
【0022】
通気部20は、押出ポリエチレン(PE)層21とシール層22とが積層されたものであり、かつ押出PE層21及びシール層22が表面に露出している必要があるが、例えば、押出PE層21とシール層22との間に印刷層などが配されていてもよい。
【0023】
本発明に係る複合フィルム1では、バリア部10の分離層12と通気部20の押出ポリエチレン(PE)層21とが隣り合うように積層されている。そして、分離層12と押出PE層21の層間で分離させることで、バリア部10と通気部20とを分離させることが可能なものである。そのような観点から、分離層12と押出PE層21との接着強度は、0.1~3.0N/15mmであることが好ましく、それ以外の層間の接着強度は、4.0~15.0N/15mmであることが好ましい。なお、層間の接着強度は、JIS K6854-3に準拠し、幅15mmのサンプル片を300mm/minの速度でT字剥離試験を行った剥離強度を意味する。
【0024】
ただし、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)とポリエチレン(PE)は親和度が高いことから、分離層12とそれと隣り合う押出ポリエチレン(PE)層21は界面で剥離しにくく、分離層12の二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が凝集破壊してしまうという問題がある。そこで、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなる分離層12の押出PE層21側の表面の算術平均高さSa(ISO25178に定義されるもの、以下同様)を0.20μm以上とする。このように、分離層12の押出PE層21側の表面を荒くすることで、分離層12と押出PE層21との接触面積が小さくなるため、それらの層間で界面剥離しやすくなる。
【0025】
分離層12の押出PE層21側の表面の算術平均高さSaは、0.30μm以上とすることが好ましく、0.40μm以上とすることが更に好ましく、0.50μm以上とすることが特に好ましく、0.60m以上とすることが最も好ましい。また、分離層12と押出PE層21との接着性を確保する観点から、分離層12の押出PE層21側の表面の算術平均高さSaは、2.00μm以下とすることが好ましく、1.50μm以下とすることがより好ましく、1.00μm以下とすることが更に好ましい。
【0026】
本発明に係る複合フィルム1は、基材層11と分離層12とが積層されたバリア部10を形成する積層フィルムと、シール層22を形成するシーラントフィルムとを、溶融されたポリエチレン(PE)により押出ラミネートすることにより、製造することができる。得られる複合フィルム1は、基材層11/分離層12/押出ポリエチレン(PE)層21/シール層22がこの順に積層されている。バリア部10を形成する積層フィルムは、例えば、基材層11を形成するフィルムと分離層12を形成するフィルムとをドライラミネートすることで、製造することができる。基材層11が複数の層からなる場合、基材層11の各層を形成するフィルムをドライラミネートし、さらに分離層12を形成するフィルムとドライラミネートしてもよく、基材層11の各層を形成するフィルムと分離層12を形成するフィルムとを同時にドライラミネートしてもよい。なお、複合フィルム1の製造方法は、上記に限定されず、例えば、金属層を蒸着で形成してよく、押出PE層以外の層をコーティングや押出ラミネートにより形成してもよい。
【0027】
以上のような本発明に係る複合フィルム1は、容器の開口部を覆う蓋材として用いるこことができる。特に、本発明に係る複合フィルム1は、バリア性を有するバリア部10と、通気性を有する通気部20とが積層されたものであり、必要に応じてバリア部10と通気部20とを分離させることが可能なものであることから、有効成分を蒸散・揮発させることで機能を発揮する内容物が投入された容器の開口部を覆う蓋材として好適である。そのような内容物の具体例としては、消臭剤、芳香剤、除湿剤、防虫剤、香料、除菌剤、害獣忌避剤が挙げられる。
【0028】
すなわち、本発明は、上記の複合フィルム1を用いた、容器の開口部を覆うための蓋材でもある。また、本発明は、内容物が投入された容器の開口部が、上記の蓋材により覆われた物品でもある。本発明の一実施形態に係る物品では、
図2にその部分断面図を示すように、例えば、内容物(不図示)が投入された容器2が有するフランジ部3の上面に、上記の複合フィルム(蓋材)1のシール層22がシールされることで、容器2の上部の開口部が、蓋材1により覆われた構造となっている。
【0029】
このとき、容器2のフランジ部3の下面から、蓋材1の押出ポリエチレン(PE)層21までを貫通させるハーフカット加工が施された開封部4を有することが好ましい。こうすることで、
図3に開封時の部分断面図を示すように、物品の開封部4から開封して蓋材1のバリア部10と通気部20を分離させることで、容易に通気部20のみを残すことができる。すなわち、(1)保存時には、容器2の上部は蓋材1のバリア部10で覆われているため、内容物の有効成分を蒸散・揮発させにくい、(2)使用時には、容器2の上部から蓋材1のバリア部10が取り除かれて通気部20のみとなっているため、内容物の有効成分を蒸散・揮発させやすい、(3)使用時に容器2を転倒させた場合でも、容器2の上部は蓋材1の通気部20で覆われているため、内容物を漏出させにくい、という機能を有するようになる。
【0030】
以上のように、本発明によれば、バリア部と通気部の界面で容易に分離可能な複合フィルム及びその製造方法を提供することができる。
【実施例0031】
<実施例1>
図1に示す構成の複合フィルム1を作製した。具体的には、基材層11となるPETフィルム(12μm)、Alフィルム(9μm)、及びPETフィルム(12μm)、並びに分離層12となるマット調OPPフィルム(20μm、表面の算術平均高さSa=0.94μm)をこの順にドライラミネートすることで、PET層11a//Al層11b//PET層11c//マット調OPP層12がこの順に積層された層構成からなる積層フィルムを作製した。その後、得られた積層フィルムの分離層(マット調OPP層)12側の表面と、シール層22となるLLDPEフィルム(40μm)との間に、押出ポリエチレン(PE)層21となるLDPE(20μm)を押出ラミネート加工機にて押出ラミネートすることで、PET層11a//Al層11b//PET層11c//マット調OPP層12/押出LDPE層21/LLDPE層22がこの順に積層された層構成からなる複合フィルムE1を得た。なお、押出ラミネートの条件としては、押出ラミネート時のダイ直下のLDPEの温度が320℃となるように設定した。
【0032】
得られた複合フィルムE1における分離層(マット調OPP層)12と押出PE層(押出LDPE層)21の間の接着強度を測定した。具体的には、複合フィルムE1から幅15mmのサンプル片を5つ切り出し、分離層12と押出PE層21の間を少し剥がした後、剥離速度300mm/minの条件でT字剥離試験を行い、得られた接着強度の平均値を算出した結果、0.20N/15mmであった。また、剥離面の状態を観察したところ、分離層12と押出PE層21の界面で剥離していた。以上の結果を、表1に纏めて示す。
【0033】
<実施例2>
分離層12としてマット調OPPフィルム(20μm、表面の算術平均高さSa=0.83μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により複合フィルムE2を得た。得られた複合フィルムE2における分離層12と押出PE層21の間の接着強度を実施例1と同様の方法で測定したところ、0.10N/15mmであった。また、剥離面の状態を観察したところ、分離層12と押出PE層21の界面で剥離していた。以上の結果を、表1に纏めて示す。
【0034】
<実施例3>
分離層12としてマット調OPPフィルム(20μm、表面の算術平均高さSa=0.48μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により複合フィルムE3を得た。得られた複合フィルムE3における分離層12と押出PE層21の間の接着強度を実施例1と同様の方法で測定したところ、0.20N/15mmであった。また、剥離面の状態を観察したところ、分離層12と押出PE層21の界面で剥離していた。以上の結果を、表1に纏めて示す。
【0035】
<比較例1>
分離層12としてクリア調OPPフィルム(20μm、表面の算術平均高さSa=0.12μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により複合フィルムC1を得た。得られた複合フィルムC1における分離層12と押出PE層21の間の接着強度を実施例1と同様の方法で測定したところ、1.08N/15mmであった。また、剥離面の状態を観察したところ、分離層12の凝集破壊が起きていた。以上の結果を、表1に纏めて示す。
【0036】
<比較例2>
分離層12としてクリア調OPPフィルム(20μm、表面の算術平均高さSa=0.05μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により複合フィルムC2を得た。得られた複合フィルムC2における分離層12と押出PE層21の間の接着強度を実施例1と同様の方法で測定したところ、0.65N/15mmであった。また、剥離面の状態を観察したところ、分離層12の凝集破壊が起きていた。以上の結果を、表1に纏めて示す。
【0037】
【0038】
以上の結果より、分離層12の表面の算術平均高さSaが本発明の条件を満たす実施例1~3で得られた複合フィルムE1~E3では、バリア部10の分離層12と通気部20の押出PE層21の界面で容易に分離可能であることが分かった。それに対し、分離層12の表面の算術平均高さSaが本発明の条件を満たさない比較例1~3で得られた複合フィルムC1~C3では、分離層12が凝集破壊を起こしてしまい、その一部が通気部20の押出PE層21の表面に残存してしまうことが分かった。