(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121071
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】アコースティック・ギター用単弦牽引装置のための台座
(51)【国際特許分類】
G10D 3/14 20200101AFI20240830BHJP
【FI】
G10D3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027959
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】719001783
【氏名又は名称】千田 守男
(72)【発明者】
【氏名】千田 守男
【テーマコード(参考)】
5D002
【Fターム(参考)】
5D002AA04
5D002CC48
(57)【要約】
【課題】ブリッジ31にストリングベンダーの機能を加えた台座1を装着した後、操作する際に台座1の終端の浮き上がりや台座1の横ブレが生じないように固定する必要がある。また弦40をサドル34から弦40の牽引機構まで張って牽引する際に、弦40が台座1に接触しないようにする必要がある。
【解決手段】台座の浮き上がりは終端をL字金具で押さえて対処する。横ブレに対しては、台座の先端部2を牽引対象弦の両脇のブリッジピン32が受け止めて位置決めができる形状に成形しブレを制限する。さらに先端部2にはブリッジピン装着孔33と重なり合う位置に圧着アンカー孔5を設け、固定器具であるアンカーを用いて台座1をブリッジ31に固定する。弦40の接触を避ける対策として、段差をつけた台座1の上段から下段かけて弦避け溝7を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジの断面A―A'の形状に沿って段差をつけて折り曲げ加工した金属板の上段に、ブリッジピンの装着孔に重ねて固定器具を装着できる専用の孔を具え、該装着孔の両脇のブリッジピンの間に挿入するために、面取り処理をしたL字形または内側に角丸の切り落としを先端部に施すと共に、弦がサドルから弦の牽引機構に至る間に、台座に接触しないように上段から下段に至るまで弦避け溝を持たせ、下段にストリングベンダー奏法を可能にする単弦牽引機構の要素となる回転軸の支柱となる金具および音程調整用ネジを装着できる複数のネジ穴を有することを特徴とするアコースティック・ギター用単弦牽引装置のための台座
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギター演奏におけるストリングベンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
弦を牽引して音程を1音変化させるストリングベンダーは主にエレキギターに採用され、バリエーションは豊富にあるが、アコースティック・ギターにおいては、製作時にボディ内部に弦の牽引装置を組み込んだ製品がいくつか存在するほかに、表板上のブリッジに具わるブリッジピンの装着孔を利用して、後付でストリングベンダーの機能を追加できるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://bowdenbbenders.com/acoustic-peg-hole-bender
【非特許文献2】https://pktguitars.com/acoustic-guitars/stringbender/
【非特許文献3】https://www.stringbender.com/acoustic.php
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アコースティックギター向けに後付で装着できるストリングベンダーの内で、取付位置がブリッジ31上に装着するものは装置自体に高さがあるので、誤操作によりベンダー本体を押し込んだりすれば、ブリッジ31や表板35に損害を与える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ブリッジ断面A―A'の形状に沿うように段差をつけて曲げ加工を施して成形した金属板の、段差の下段に位置する部位に弦の牽引機構と音程の調整機構を装着し、表板35に接する金属板の裏面にフェルト11を貼ることにより、表板35に密着させても傷が付き難くした台座1を提供する。
【発明の効果】
【0007】
装着位置を下げ台座部分が表板35に密着するようにしたことで、弦40の牽引操作が安定することに加え、ギターの演奏においてブリッジ付近に手のひらの手根部を置いて行うミュート奏法に好影響を与える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を使用したアコースティック・ギター用単弦牽引装置の概念図である。
【
図5】アコースティック・ギターでよく使われる形状のブリッジで、A―A’およびB―B’おける断面の位置を示した図である。
【
図6】断面A―A’において傾斜をもって段差をつけて曲げた台座における、弦の架かり具合を示した図である。
【
図7】断面A―A’において階段状に段差をつけて曲げた台座における、弦の架かり具合を示した図である。
【
図8】断面A―A’において一部曲線をもって段差をつけて曲げた台座における、弦の架かり具合を示した図である。
【
図9】台座の先端部におけるアンカー装着孔と、ブリッジピンを抜いた装着孔との位置合せを現した図である。
【
図10】ブリッジ断面B―B’において、ブリッジにアンカーを用いて台座を固定する例を示した図である。
【
図11】弦の牽引機構と音程調整機構を搭載した台座を、ブリッジピンの装着孔を利用してブリッジに固定する場合の模式図である。
【
図12】アコースティック・ギターに、ストリングベンダーの機構を載せた台座を装着し、調弦した際に起きる台座の終端の浮き上がりを押える金具類を装着する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ブリッジ31の断面A―A'の形状にそって段差をつけて折り曲げ加工した金属板の、上段の先端部2にL字形または内側に角丸の切り落とし3を施し、その部位に面取り加工をする。その先端部2を牽引対象弦の装着孔の両脇にあるブリッジピン32の間に差し込むと、該ブリッジピン32が先端部2の切り落とし部分を受け止めて、台座1の固定位置を決めることができる。先端部2には圧着アンカー29の挿入孔を設けて、該装着孔に重ねてアンカーを挿入しブリッジ31に圧着すれば、台座1をブリッジ31に固定できる。下段にはストリンベンダーの機能を構成する単弦を牽引する機構と、音程を調整する機構を設ける。
【実施例0010】
図3に示した台座1には、軸受支柱13と音程調整用ネジ9のための取り付け孔を複数設ける。軸受支柱の取り付け孔の位置を選択することにより、支点である軸の位置と力点であるハンドルの長さを奏者が調整できる。先端部2には面取り処理したL字形または内側に角丸の切り落とし3を施し、さらにアンカー装着孔5も設ける。圧着アンカー29には空回りを防ぐ安定ヒレ42がついており、その形状に合わせたアンカー装着ガイド6をアンカー装着孔5に設ける。
【0011】
図6、
図8においてサドル34はブリッジ31上面から2.5ミリ飛び出た高さに図面上設定しているが、サドル34の高さがこれよりも低い場合や、折加工の形状によっては
図7に示したように、弦40が牽引機構に至るまでに台座に接触する可能性があることを考慮して、台座1につけた段差の上段から下段に至る間に弦40を逃がす溝を設ける。
【0012】
図11に示すように、台座1に軸受支柱13をネジ止めまたはリベットで固定する。同様に音程調整用ネジ9を台座1に装着し、台座1の裏面および表面からナットで締め固定する。
【0013】
表板35の保護のため、台座1の裏面に飛び出したネジやナットの高さより、厚みのあるフェルト11をネジやナットを避ける形状で成型し、台座1の裏面に貼る。
【0014】
牽引対象の弦40(主にB弦)の位置にあるブリッジピン装着孔33に差し込まれたブリッジピン32を抜き、その両脇のブリッジピン32の間に台座1の先端部分を
図9および
図10に示すように差込み、該ブリッジピン装着孔33と台座1のアンカー挿入孔5を重ねて位置を合わせる。
【0015】
図11に示すように圧着アンカー29をアンカー挿入孔5からブリッジピン装着孔33へと差込み、タップネジ30をねじ込むと、
図10に示すように圧着アンカー29の先端が開き、ブリッジピン装着孔内33でアンカーが圧着され台座1がブリッジ31に固定される。
【0016】
ハンドルレバー20と軸孔付きハンドル台26の間に止め板23を挟み、タップネジ30にて合体させる。以後これをハンドル部と定義する。
【0017】
台座1に載せた軸受支柱13にハンドル部を装着し、弦通し孔21から弦40をサドル側に引き出し、弦巻器にて調弦する。
【0018】
弦40を調弦すると、台座1の終端部が持ち上がり音程が不安定になるため、終端部ベロ12にL字金具37を当てて上から押える。L字金具37は
図12に示すようにストラップピン38と中空アンカー39を用い、タップネジ30にてエンドピンホール41に圧着する。
【0019】
ハンドルレバー操作で音程を1音上げるの場合の終点は、止め板部突起24の停止位置で決まり、終点の位置の調整は台座1上の音程調整用ネジ9に装着したナットの位置を変更することで決定する。