(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121076
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、動作方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0483 20130101AFI20240830BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240830BHJP
G06F 16/338 20190101ALI20240830BHJP
【FI】
G06F3/0483
G06Q50/10
G06F16/338
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027965
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 耕作
【テーマコード(参考)】
5B175
5E555
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175DA09
5B175JB02
5E555AA26
5E555BA02
5E555BA04
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC08
5E555CA02
5E555CA12
5E555CA18
5E555CB42
5E555CC03
5E555DB04
5E555DB11
5E555DB18
5E555DB20
5E555DB53
5E555DC13
5E555DC25
5E555EA05
5E555EA13
5E555FA00
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】電子書籍の快適な読書環境を維持しつつ辞書機能を利用可能とする。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、第1の表示領域に電子書籍の内容を、第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させる処理(S10)と、第1表示領域内でユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行する処理(S7)と、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、前記第1の表示領域に電子書籍の内容を、前記第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させる処理と、
前記第1表示領域内で前記ユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行する処理と、を実行する
制御部を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部はさらに、
前記ユーザの操作に応じて、前記文字列に対するユーザの指定操作について、前記辞書検索と前記辞書検索以外との間で切り替える処理と、を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部はさらに、
前記文字列に対する指定操作が前記辞書検索以外であるときに、前記第1の表示領域内で前記文字列を選択する前記ユーザの操作に応じて、前記電子書籍の内容の前記文字列に対応する部分を識別表示させる処理を実行する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部はさらに、
前記ユーザの操作に応じて、前記電子書籍領域の分割を解除して前記電子書籍領域内の前記第1の表示領域よりも広い領域に前記電子書籍の内容を表示させる処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置の動作方法であって、
ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、前記第1の表示領域に電子書籍の内容を、前記第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させるステップと、
前記第1表示領域内で前記ユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行するステップと、
を含むを特徴とする動作方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、前記第1の表示領域に電子書籍の内容を、前記第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させる手順と、
前記第1表示領域内で前記ユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行する手順、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、情報処理装置、動作方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子書籍データに基づいて電子書籍を情報処理装置に表示する仕組みが普及している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、電子書籍のしおり情報に属性を自動的に設定する技術が記載されている。また、しおり情報が付された位置の単語の意味を辞書データベースから取得して、しおり情報に対するコメントとして表示することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術文献のように電子書籍において辞書機能が利用できる場合であっても、電子書籍が有する快適な読書環境を犠牲にしてしまうことが少なくない。
【0005】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、電子書籍の快適な読書環境を維持しつつ辞書機能を利用可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、前記第1の表示領域に電子書籍の内容を、前記第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させる処理と、前記第1表示領域内で前記ユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行する処理と、を実行する制御部を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る動作方法は、情報処理装置の動作方法であって、ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、前記第1の表示領域に電子書籍の内容を、前記第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させるステップと、前記第1表示領域内で前記ユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行するステップと、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、前記第1の表示領域に電子書籍の内容を、前記第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させる手順と、前記第1表示領域内で前記ユーザにより選択された文字列の辞書検索を実行する手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、電子書籍の快適な読書環境を維持しつつ辞書機能を利用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係るシステムの構成を例示した図である。
【
図2】第1の実施形態に係るサーバ装置の構成を例示した図である。
【
図3】ユーザ管理データベース内のユーザデータを例示した図である。
【
図4】第1の実施形態に係るサーバ装置が行う処理のフローチャートである。
【
図6】電子書籍の表示状態の別の例を示す図である。
【
図7】電子書籍の表示状態のさらに別の例を示す図である。
【
図8】電子書籍の表示状態のさらに別の例を示す図である。
【
図9】電子書籍の表示状態のさらに別の例を示す図である。
【
図10】電子書籍の表示状態のさらに別の例を示す図である。
【
図11】第2の実施形態に係るサーバ装置が行う処理のフローチャートである。
【
図12】電子書籍の表示状態の一例を示す図である。
【
図13】電子書籍の表示状態の別の例を示す図である。
【
図14】電子書籍の表示状態のさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を例示した図である。
図2は、本実施形態に係るサーバ装置100の構成を例示した図である。
図3は、ユーザ管理データベース内のユーザデータを例示した図である。
【0012】
図1に示すシステムは、サーバ装置100で管理される電子書籍データにネットワーク300経由でアクセスすることで、クライアント端末200に電子書籍を表示させる電子書籍システムである。この電子書籍システムは、電子書籍サービスを提供するサーバ装置100と、インターネットなどのネットワーク300経由でサーバ装置100へアクセスするクライアント端末200を含んでいる。
【0013】
本実施形態では、電子書籍システムがWebアプリケーションシステムとして構成され、クライアント端末200のWebブラウザ上で電子書籍を閲覧する場合を例に説明する。ただし、電子書籍システムはWebアプリケーションシステムに限らず、クライアント端末200に予めダウンロードしたリーダアプリケーションで電子書籍を閲覧するように構成されてもよい。
【0014】
クライアント端末200は、利用者が直接操作する端末である。クライアント端末200は、Webブラウザなどの電子書籍を表示するアプリケーションプログラムが動作すればよく、
図1に示すように、ノート型のクライアント端末210、タブレット型のクライアント端末220、スマートフォン型のクライアント端末230であってもよい。
【0015】
サーバ装置100は、情報処理装置の一例であり、
図2に示すように、プロセッサ110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、表示部150と、を備えている。
【0016】
プロセッサ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。プロセッサ110が記憶部120に記憶されているプログラム121を実行することで、サーバ装置100であるコンピュータでは、後述する
図4に示す処理が行われる。
【0017】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶装置として動作する半導体メモリ、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置として動作するストレージを含む。
【0018】
記憶部120は、プロセッサ110が実行するプログラム121、プログラム121を実行する際に利用する各種データベース(電子書籍データベース122、電子辞書データベース123、ユーザ管理データベース124)を記憶する。
【0019】
電子書籍データベース122は、様々な書籍に関する電子書籍データの集合である。電子書籍データには、少なくとも、タイトルなどの書誌情報と、書籍の内容情報が含まれている。電子辞書データベース123は、英和辞書、独和辞書、仏和辞書、国語辞書など様々な辞書に関する辞書データの集合である。辞書データには、少なくとも、見出し語である単語と、その見出し語に対応する訳、語義、例文、解説などの説明情報とが、対応付けられた状態で含まれている。
【0020】
ユーザ管理データベース124は、電子書籍システムのユーザに関するユーザデータの集合である。ユーザデータには、ユーザIDとパスワードなどの認証情報と、購入等によりユーザが利用可能な電子書籍を特定する情報と、購入等によりユーザが利用可能な電子辞書を特定する情報と、を含んでいる。例えば、
図3には、ユーザ毎に管理されたユーザデータ(ユーザデータ124A、ユーザデータ124B、ユーザデータ124C)が示されている。
図3に示す例では、ユーザデータ124Aは、ユーザAが5種類の電子書籍を閲覧可能であり、また、5種類の電子辞書を利用可能であることを示している。
【0021】
通信部130は、ネットワーク300経由でサーバ装置100と通信する通信モジュールである。入力部140は、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。表示部150は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。
【0022】
以上のように構成されたサーバ装置100は、クライアント端末200からの要求に応じて、電子書籍サービスを提供するとともに、電子書籍サービス内において辞書機能を利用できるように構成されている。以下、この点についてさらに詳細に説明する。
【0023】
図4は、本実施形態に係るサーバ装置100が行う処理のフローチャートである。
図5から
図10は、電子書籍の表示状態を例示した図である。以下、
図4から
図10を参照しながら、電子書籍が表示されたWebブラウザに対するユーザの操作によって生じる表示状態の変化について、具体的に説明する。
【0024】
まず、ユーザがクライアント端末200にインストールされているWebブラウザを起動して電子書籍システムへログインし、閲覧する電子書籍を選択することで、
図4に示す処理が開始される。
【0025】
図4に示す処理が開始されると、サーバ装置100は、初期設定を行う(ステップS1)。ここでは、サーバ装置100は、電子書籍上で選択された文字列に対する動作と、後述する電子書籍領域10の構成を設定する。
【0026】
選択された文字列に対する動作とは、クライアント端末200に表示されている電子書籍の内容中でユーザが明示的に特定の文字列を選択したときに、その文字列に関連付けて行われる動作のことである。ステップS1では、選択された文字列に対する動作を“マーキング”に設定する。
【0027】
また、電子書籍領域10の構成は、この実施形態では、領域30に表示領域31と辞書領域32が含まれる構成“分割中”(
図8参照)と、領域30に表示領域31よりも広い表示領域50を含む構成“非分割” (
図5参照)の何れかに設定される。ステップS1では、電子書籍領域10の構成を“非分割”に設定する。
【0028】
初期設定が行われると、サーバ装置100は、選択された電子書籍をクライアント端末200に表示させる(ステップS2)。
図5は、ステップS2でクライアント端末200のWebブラウザに表示された電子書籍(電子書籍領域10)の表示状態の一例であり、電子書籍領域10の構成が“非分割”構成である非分割状態を示している。
【0029】
図5に示すように、電子書籍領域10は、電子書籍のタイトルなどを表示する領域20と、電子書籍の内容などを表示する領域30を有している。領域20には、電子書籍を閲覧中に辞書機能を利用可能とするボタン21が設けられている。領域30は、電子書籍の内容を表示する表示領域50を有し、その表示領域50の周辺に、しおりやマーカーの設定を行うためのアイコン40と、電子書籍の内容の表示倍率を調整するアイコン60が設けられている。また、領域30の大部分は、電子書籍を快適に閲覧可能とするために、電子書籍の内容を表示する表示領域50によって占められている。
【0030】
その後、サーバ装置100は、ユーザの入力操作を監視する(ステップS3)。ここでは、サーバ装置100は、例えば、電子書籍の内容が表示される領域(
図5の表示領域50、
図8の表示領域31)内での文字列の選択操作と、領域20に設けられた「辞書で検索」と表示されたボタン21に対する操作を監視し、それらの操作を検出する。
【0031】
例えば、
図6に示すように、ユーザが表示領域50内を範囲指定して、文字列「アウトプット」を選択すると、サーバ装置100は、ステップS3において文字列の選択を検出し(ステップS3)、選択された文字列Cである「アウトプット」に対する動作の設定を判定する(ステップS4)。
【0032】
初期設定時から設定が変更されていない場合など、選択された文字列に対する動作に“マーキング”が設定されている場合であれば、サーバ装置100は、
図7に示すように、電子書籍領域10内に、選択された文字列Cに対してマーカーを設定するためのウィンドウWを表示させる(ステップS5)。ウィンドウWには、選択された文字列(この場合、アウトプット)が表示され、さらに、マーカーの色を選択する領域と、マーカーとともに記録するコメントを入力する領域が設けられている。
【0033】
ユーザがウィンドウW上で必要な情報を選択または入力して、保存ボタンを選択すると、サーバ装置100は、表示領域50内で選択された文字列Cに対してマーカーを設定する(ステップS6)。なお、サーバ装置100は、設定されたマーカーの表示/非表示を設定する機能や、設定されたマーカーのリストを表示する機能などを有しているが、この点についての詳細な記載は省略する。
【0034】
次に、ボタン21に対する操作が検出された場合について説明する。例えば、
図5に示すような非分割状態において、ユーザがボタン21を選択すると、サーバ装置100は、ステップS3において「辞書で検索」と表示されたボタン21が選択されたことを検出し、電子書籍領域10の構成を判定する(ステップS9)。
【0035】
初期設定時から設定が変更されていない場合など、電子書籍領域10の構成に“非分割”が設定されている場合であれば、サーバ装置100は、電子書籍領域10を分割して(ステップS10)、辞書領域32を電子書籍領域10に表示させる。ここでは、サーバ装置100は、例えば、
図8に示すように、領域30を左右に分割して、右側の領域に辞書機能に関する辞書領域32を表示させる。辞書領域32には、検索する文字列を入力するための検索窓が設けられている。また、サーバ装置100は、左側の領域に表示領域50より狭い表示領域31を設け、表示領域31に電子書籍の内容を表示させる。さらに、サーバ装置100は、表示領域31のその周辺にアイコン40とアイコン60を配置する。
【0036】
電子書籍領域10が分割されると、サーバ装置100は、電子書籍領域10の構成を“分割中”に設定し(ステップS11)、さらに、電子書籍上で選択された文字列に対する動作を“辞書検索”に設定する(ステップS12)。
【0037】
なお、
図8に示す各領域の配置は、電子書籍領域10の構成が“分割中”構成である分割状態における配置の一例である。分割状態における各領域の配置は、この例に限らない。例えば、辞書領域32は、電子書籍領域10内において上下左右のどの位置に配置されてもよい。または、辞書領域32は、必ずしも縦または横方向に領域30を横断するように設けられる必要はなく、例えば、電子書籍領域10内の右上部分や右下部分に配置されてもよい。
【0038】
辞書領域32は、電子書籍の内容を表示する領域と重ならないように配置されればよい。つまり、サーバ装置100は、ユーザの操作(この例ではボタン21を選択する操作)に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域10を分割して、電子書籍領域10の一部である表示領域31(第1表示領域)に電子書籍の内容を表示させ、電子書籍領域10の別の一部である辞書領域32(第2表示領域)に辞書機能に関する辞書領域を表示させる処理を行えばよい。
【0039】
また、
図8では、表示領域31に表示される電子書籍の内容の表示倍率を、非分割状態における表示倍率から変更しない例を示したが、表示倍率は変更されてもよい。表示領域31は、表示領域50よりも狭くなるため、サーバ装置100は、例えば、表示領域50に表示されていた電子書籍の内容のすべてが表示領域31に表示されるように倍率を自動的には低下させてもよい。
【0040】
辞書領域32が表示されている状態で、
図9に示すように、ユーザが表示領域31内を範囲指定して、文字列「アウトプット」を選択すると、サーバ装置100は、ステップS3において文字列の選択を検出し(ステップS3)、選択された文字列Cである「アウトプット」に対する動作の設定を判定する(ステップS4)。
【0041】
分割状態では、選択された文字列に対する動作に“辞書検索”が設定されているため、サーバ装置100は、選択された文字列に対して辞書検索を行う(ステップS7)。ここでは、サーバ装置100は、選択された文字列「アウトプット」を自動的に辞書領域32の検索窓に入力して、その文字列「アウトプット」に対して辞書検索を行う。検索に使用される辞書データベースは、そのユーザのユーザデータに基づいて特定される。即ち、サーバ装置100は、ユーザに予め紐づけられた1つ以上の辞書データベース内でその文字列を検索する。例えば、ユーザAが電子書籍を利用している場合であれば、
図3のユーザデータ124Aに登録されている5つの辞書内で「アウトプット」を検索する。
【0042】
その後、サーバ装置100は、辞書検索の結果を辞書領域32に表示させる(ステップS8)。ここでは、サーバ装置100は、例えば、
図9に示すように、辞書データベースに見出し語として登録されている文字列「アウトプット」のリストである見出しリスト33を表示させる。
【0043】
見出しリスト33の各項目は、辞書名が表示されるなど、どの辞書の見出し語かを特定できるように表示される。ユーザが見出しリスト33からいずれかの見出し語を選択することで、サーバ装置100は、
図10に示すように、選択された見出し語に対応する辞書データベースから検索された詳細な情報(説明文34)を辞書領域32に表示させる。このように、見出しリスト33に辞書を特定可能な情報が表示されているため、ユーザは適切な辞書情報に容易にアクセス可能となっている。
【0044】
図8から
図10に示すような辞書領域32が表示されている分割状態において、ユーザがボタン21を選択すると、サーバ装置100は、ステップS3において「辞書で検索」と表示されたボタン21が選択されたことを検出し、電子書籍領域10の構成を判定する(ステップS9)。
【0045】
この場合、電子書籍領域10の構成には“分割中”が設定されているため、サーバ装置100は、電子書籍領域10の分割を解除する(ステップS13)。ここでは、サーバ装置100は、辞書領域32を非表示に変更して、電子書籍領域10の構成を
図5に示す構成に戻す。即ち、サーバ装置100は、ボタン21を選択するユーザの操作に応じて、電子書籍領域10の分割を解除して、表示領域31よりも広い表示領域50に電子書籍の内容を表示させる。
【0046】
電子書籍領域10の分割が解除されると、サーバ装置100は、電子書籍領域10の構成を“非分割”に設定し(ステップS14)、さらに、電子書籍上で選択された文字列に対する動作を“マーキング”に設定する(ステップS15)。即ち、サーバ装置100は、電子書籍領域10の構成と選択された文字列に対する動作の設定を初期設定に戻す。
【0047】
なお、ステップS13においても、ステップS10と同様に、サーバ装置100は、電子書籍の内容の表示倍率を変更してもよく、しなくてもよい。また、表示倍率を変更するか否かは設定によりユーザが自由に選択できてもよい。
【0048】
以上のように、
図4に示す処理を実行するサーバ装置100では、
図5及び
図8で示すように、ユーザの操作に応じて、電子書籍が表示された電子書籍領域10を分割して、電子書籍領域10の一部である表示領域31に電子書籍の内容を表示させ、電子書籍領域10の別の一部である辞書領域32に辞書機能に関する辞書領域を表示させる処理が行われる。このように、電子書籍領域10を分割して表示領域31とは異なる領域に辞書領域32が表示されることで、表示領域31に表示される電子書籍の内容に辞書領域32に表示される辞書検索結果が重なって表示されることがない。そのため、ユーザが電子書籍を閲覧中に辞書機能を利用するために所定の操作を行って表示状態を切り替えた場合であっても、電子書籍の閲覧が妨げられることがない。従って、サーバ装置100によれば、電子書籍の快適な読書環境を維持しつつ辞書機能を利用可能とすることができる。
【0049】
また、サーバ装置100では、
図4のステップS12で説明したように、電子書籍領域10を分割して辞書領域32を表示させるときに、表示領域31内で選択された文字列に対する動作を、文字列に対する辞書検索へ切り替える処理が行われる。これにより、
図7に示すように、分割前に文字列の選択に対してある動作(例えば、マーキング)が行われるように構成されている場合であっても、文字列の選択という同じ動作に対して分割後は表示状態に応じた異なる動作(辞書検索)が行われる。このため、表示状態を切り替える操作とは別にユーザが文字列選択に対する動作設定を変更するといった手間を省くことができる。従って、サーバ装置100によれば、従来から利用されているマーキングなどの機能と、辞書機能を、ユーザに追加の負担を強いることなく適切に併存させることが可能である。
【0050】
また、サーバ装置100では、文字列に対する動作が文字列に対する辞書検索であるときに、表示領域31内で文字列を選択するユーザの操作に応じて、辞書検索の結果を辞書領域32に表示させる処理が行われる。これにより、
図9に示すように、ユーザは、表示領域31で文字列を選択するだけでその文字列に対する辞書検索結果を得ることができる。従って、サーバ装置100によれば、電子書籍を閲覧しながら行う簡単な操作で辞書機能を利用することができる。
【0051】
また、サーバ装置100では、辞書検索がユーザに予め紐づけられた1つ以上の辞書データベースに対して行われる。これにより、ユーザが購入等した辞書を有効に活用することができるとともに、出所が明らかな情報を辞書検索によって得ることができる。
【0052】
また、サーバ装置100では、
図9に示すように、辞書検索の結果として見出し語が表示される。これにより、多数の辞書から検索結果が得られた場合であっても必要な情報をユーザが選択することが可能であり、ユーザが必要とする情報に素早くアクセスすることができる。
【0053】
また、サーバ装置100では、ユーザの操作に応じて、電子書籍領域10の分割を解除して電子書籍領域10内の表示領域31よりも広い領域(表示領域50)に電子書籍の内容を表示させる処理が行われる。これにより、ユーザは、辞書機能を利用しない場合には、より広い領域に電子書籍の内容を表示させながら電子書籍を閲覧することが可能であり、必要に応じて辞書機能を利用することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図11は、本実施形態に係るサーバ装置が行う処理のフローチャートである。
図12から
図14は、電子書籍の表示状態を例示した図である。以下、
図11から
図14を参照しながら、電子書籍が表示されたWebブラウザに対するユーザの操作によって生じる表示状態の変化について、具体的に説明する。
【0055】
なお、本実施形態に係るサーバ装置は、
図2に示す第1の実施形態に係るサーバ装置100と同様の構成を有する。本実施形態に係るサーバ装置は、
図4に示す処理の代わりに
図11に示す処理を実行する点が、第1の実施形態に係るサーバ装置100とは異なる。
図11に示す処理は、ステップS3の代わりにステップS3aを含む点と、ステップS21からステップS23を含む点が、
図4に示す処理とは異なっている。
【0056】
また、本実施形態に係るサーバ装置は、
図12に示すように、分割状態において、電子書籍領域10内にトグルスイッチ22を表示させるまたは有効化させる点も、サーバ装置100とは異なっている。上述したステップS3a、ステップS21からステップS23は、いずれもこのトグルスイッチ22に関連するステップである。なお、有効化とは、無効化されたトグルスイッチ22を操作可能な状態とすることをいい、後述するトグルスイッチ22のON状態またはOFF状態とは無関係である。また、無効化されたトグルスイッチ22とは、表示されているが操作できない状態のトグルスイッチ22をいう。
【0057】
トグルスイッチ22は、選択された文字列に対する動作の設定を示すユーザインターフェースのパーツ(以降、コンポーネントと記す)であり、選択された文字列に対する動作の設定を切り替えるための入力手段としても機能する。
図12に示すようなトグルスイッチ22のON状態(丸が右にある状態)は、選択された文字列に対する動作の設定が辞書検索であることを示している。また、
図13及び
図14に示すようなトグルスイッチ22のOFF状態(丸が左にある状態)は、選択された文字列に対する動作の設定がマーキングであることを示している。
【0058】
本実施形態に係るサーバ装置は、ステップS3aにおいて、サーバ装置100は、文字列の選択操作とボタン21に対する操作に加えて、トグルスイッチ22に対する操作も監視し、それらの操作を検出する。
【0059】
図11に示す処理では、ステップS1の初期設定で電子書籍領域10の構成が非分割に設定されるため、その後、ボタン21が選択されてステップS11の処理により電子書籍領域10の構成が分割中に設定されるまで、トグルスイッチ22は非表示または無効化されている。
【0060】
ステップS11で電子書籍領域10の構成が分割中に設定されることで、トグルスイッチ22は表示または有効化されるが、この際、ステップS12において文字列に対する動作が辞書検索に設定されるため、トグルスイッチ22はON状態で表示または有効化される。
図12は、ステップS12終了時点における電子書籍の表示状態を示している。
【0061】
なお、トグルスイッチ22が表示または有効化されても、その後ユーザがトグルスイッチ22を操作しない限り、本実施形態に係るサーバ装置が行う処理は、サーバ装置100が行う処理と同様である。従って、ステップS1からステップS15について詳細な説明は省略する。
【0062】
トグルスイッチ22が表示または有効化された分割状態において、ユーザがトグルスイッチ22を操作すると、サーバ装置100は、ステップS3aにおいてトグルスイッチ22が操作されたことを検出し、操作後のトグルスイッチ22の状態を判定する(ステップS21)。
【0063】
サーバ装置100は、トグルスイッチ22がON状態である場合、選択された文字列に対する動作を“辞書検索”に設定し(ステップS22)、トグルスイッチ22がOFF状態である場合、選択された文字列に対する動作を“マーキング”に設定する(ステップS23)。即ち、サーバ装置100は、文字列に対する動作が文字列に対する辞書検索である状態で表示または有効化されるコンポーネント(トグルスイッチ22)に対するユーザの操作に応じて、表示領域31内で選択された文字列に対する動作を、文字列に対する辞書検索と辞書検索以外(ここではマーキング)との間で切り替える処理を実行する。
【0064】
このように、分割状態においてトグルスイッチ22を操作して選択された文字列に対する動作の設定を変更することで、辞書領域32を表示しながら辞書検索とマーキングを使い分けることが可能となる。これにより、例えば、
図13に示すように、検索した文字列(この例では、「アウトプット」)の検索結果(説明文34)が辞書領域32に表示された後でトグルスイッチ22をOFF状態に変更することで、
図14に示すように、ある文字列に対する検索結果(説明文34)を表示させながら任意の文字列C1にマーキングを行うことができる。
【0065】
図12に示す処理を実行する本実施形態に係るサーバ装置によっても、
図4に示す処理を行うサーバ装置100と同様に、電子書籍の快適な読書環境を維持しつつ辞書機能を利用可能とすることができる。また、本実施形態に係るサーバ装置では、電子書籍領域10の構成の設定と選択された文字列に対する動作の設定が一定の状況下で自動的に連動しつつ、必要に応じてユーザが手動でそれらの関係を調整することができる。
【0066】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、上述した実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、上述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。即ち、情報処理装置、動作方法、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0067】
上述した実施形態では、トグルスイッチ22に対するユーザの操作に応じて、文字列に対する動作を辞書検索とマーキングの間で切り替える例を示したが、サーバ装置100は、ユーザの操作に応じて、文字列に対する動作を、文字列に対する辞書検索と辞書検索以外との間で切り替える処理を行ってもよい。例えば、マーキングの代わりしおりを付す機能を辞書検索と切り替えてもよい。また、辞書検索を含む3つ以上の機能を切り替えてもよく、例えば、辞書検索とマーキングとしおりを付す機能を切り替えてもよい。この場合、トグルスイッチ22の代わり3つ以上の状態を選択可能な他のコンポーネントが用いられてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、トグルスイッチ22を領域20に配置した例を示したが、トグルスイッチ22は、辞書領域32に設けられてもよい。これにより、辞書領域32が表示されているときにトグルスイッチ22が表示され、辞書領域32が表示されていないときにはトグルスイッチ22も表示されないため、表示制御を簡略化することができる。
【0069】
また、上述した実施形態では、ボタン21を操作することで辞書領域32の表示と非表示を切り替える例を示したが、辞書領域32の表示と非表示は、ボタン21のようなグラフィカルユーザインターフェースのパーツ(コンポーネント)に対する操作に限らず、その他のユーザ操作に応じて切り替えてもよい。辞書領域32の表示・非表示の切り替えは、辞書検索と辞書検索以外の切り替えとは異なり、ユーザが操作可能なタイミングを制限する必要はない。このため、例えば、所定のキー操作などに応じて任意のタイミングで表示を切り替えてもよい。
【0070】
上述した実施形態では、ユーザが購入等により利用可能となった辞書データベースを用いて辞書検索を行う例を示したが、辞書データベースを用いた辞書検索に加えて、インターネット検索を行ってもよい。その場合、辞書領域32に辞書検索の結果とともにインターネット検索の結果を表示させてもよい。その場合、辞書検索の結果とインターネット検索の結果を区別できるように表示させることが望ましい。
【0071】
上述した実施形態では、サーバ装置側で表示制御を行う例を示したが、クライアント端末側で表示制御が行われてもよい。また、例えば、
図15に示すような記憶部420にプログラム421とデータベース(電子書籍データベース422、電子辞書データベース423、ユーザ管理データベース424)を有する電子書籍端末400であれば、表示制御に限らずデータベースの検索等もクライアント端末(電子書籍端末400)側で行ってもよい。この場合、電子書籍端末400は、ネットワーク300に接続されていなくてもよく、プロセッサ410が記憶部420に記憶されているプログラム421を実行することで、上述した
図4及び
図11の処理を実行してもよく、入力部430に対するユーザの操作に応じて表示部440に表示される電子書籍の表示状態を変更してもよい。
【0072】
上述した実施形態では、文字列を選択する操作とは別に領域分割を指示する例を示したが、特にこの例に限らない。電子書籍領域に含まれる文字列に対するユーザの指定操作に応じて、プロセッサ110が、表示画面における電子書籍領域を第1の表示領域と第2の表示領域とに分割し、第1の表示領域に電子書籍の内容を、第2の表示領域に辞書機能に関する辞書領域を、夫々表示させる処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 :電子書籍領域
20、30 :領域
21 :ボタン
22 :トグルスイッチ
31、50 :表示領域
32 :辞書領域
33 :見出しリスト
34 :説明文
40、60 :アイコン
100 :サーバ装置
110、410 :プロセッサ
120、420 :記憶部
121、421 :プログラム
122、422 :電子書籍データベース
123、423 :電子辞書データベース
124、424 :ユーザ管理データベース
124A、124B、124C :ユーザデータ
130 :通信部
140、430 :入力部
150、440 :表示部
200、210、220、230 :クライアント端末
300 :ネットワーク
400 :電子書籍端末
C、C1 :文字列