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特開2024-121083活性エネルギー線硬化型組成物および積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121083
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物および積層体
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20240830BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20240830BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
C08F2/44 B
C09D11/101
C08F2/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027979
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】舞 幹子
(72)【発明者】
【氏名】沼野 美砂
(72)【発明者】
【氏名】太田 晶
【テーマコード(参考)】
4J011
4J039
【Fターム(参考)】
4J011PA44
4J011PA53
4J011PA57
4J011QA11
4J011QA12
4J011QA13
4J011QA14
4J011QA17
4J011QA21
4J011QA22
4J011QA23
4J011QA24
4J011QA27
4J011SA05
4J011SA06
4J011SA15
4J011SA21
4J011SA25
4J011SA64
4J011UA01
4J011WA05
4J039AC01
4J039BE01
4J039BE27
4J039EA04
4J039EA39
4J039EA43
4J039GA02
4J039GA09
4J039GA10
(57)【要約】
【課題】硬化塗膜の耐性と、印刷適性とが良好なコーヒー豆由来の材料を用いた活性エネルギー線硬化型組成物および積層体を提供すること。
【解決手段】コーヒー豆由来成分と、(メタ)アクリレート化合物とを含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型組成物を用いる。好ましくは、コーヒー豆由来成分の含有量が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中1~40質量%であり、活性エネルギー線硬化型組成物の分散度が、100μm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆由来成分と、(メタ)アクリレート化合物とを含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項2】
コーヒー豆由来成分の含有量が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中1~40質量%であることを特徴とする、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
活性エネルギー線硬化型組成物の分散度が、100μm以下であることを特徴とする、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
コーヒー豆由来成分が、コーヒー豆および/または、コーヒー豆残渣の粉砕物であることを特徴とする、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項5】
コーヒー豆由来成分が、コーヒー豆および/または、コーヒー豆残渣からの抽出物であることを特徴とする、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリレート化合物が、2~4官能(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項7】
基材上に、請求項1~6いずれか記載の活性エネルギー組成物を活性エネルギー線で硬化した層を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆由来の材料を用いた活性エネルギー線硬化型組成物および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性エネルギー線硬化型組成物は、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線をごく短時間照射することで硬化可能であり、生産性が高く、また、高い塗膜耐性を得ることが可能なことから耐久性が必要な分野で広く使用されている。
【0003】
さらに、近年、環境負荷低減のための取り組みとして、一般社団法人日本有機資源協会によって、新たにバイオマスマーク制度が制定されたことにより、組成物に含まれる原料をバイオマス(再生可能な、生物由来の有機資源で化石資源を除いたもの)の活用が推進されており、その比率を高めることが求められている。
【0004】
しかしながら、活性エネルギー線硬化型組成物において、バイオマス由来原料の比率を高めると、十分な塗膜耐性が得られないという課題があり、種々の検討がされている。
【0005】
例えば、特許文献1には、エチレン性不飽和結合を持たず、sp値(濁点滴定法による溶解性パラメータ)が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の動植物成分由来の構造を備えた化合物からなる特定成分がエチレン性不飽和結合を備えた化合物と良好に相溶する、ヒマシ油、ヤシ油、カシューナッツシェルオイル及びトール油並びにそれらの変性物、並びにエポキシ化植物油などのバイオマス材料を利用した活性エネルギー線硬化型ニス組成物が開示されている。
【0006】
例えば、特許文献2には、ロジンエポキシアクリレートを5~95重量%、炭素-炭素不飽和結合基を有する数平均分子量1,000~50,000のポリウレタン樹脂を5~95重量%、反応性希釈剤を0~70重量%を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
しかしながら、ヒマシ油やロジンアクリレートを使用することでバイオマス比率は高くなるが、十分な塗膜耐性が得られないという課題があった。
【0008】
一方で、最近の生活環境と嗜好の変化に伴い、わが国のコーヒー需要量は急速に増大している。缶入りコーヒー、コーヒー自動販売機、インスタントコーヒー等の比率が著しく増加したため、コーヒー抽出後のコーヒー残渣も、これらの製品を生産する工場で大量に発生する様になってきた。以前は廃棄、埋め立て、焼却等によって処分されていたが、発生量の増大と最近の環境問題に対する関心の高まりにより、この様な方法による処分が困難になりつつある。
【0009】
特許文献3においては、コーヒー残渣組成物とバインダーとしてポリマーを配合し、床材、建築材料、電機器具のキャビネット材等の成型物の他、増量剤、混合剤としても使用が検討されている。また、特許文献4には、コーヒーの抽出物をインキの着色剤としてラテアート等飲食物への印刷を目的とした可食インキとして利用することが提案されている。いずれも、植物由来の天然物を利用することから、環境面の負荷を減らすことができ、廃棄物を利用すれば廃棄物量を削減することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献3、特許文献4においては、活性エネルギー線硬化型組成物での検討はなされておらず、そのままでは、活性エネルギー線硬化型の印刷用途としては、十分な皮膜耐性や、印刷適性を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2020-169256号公報
【特許文献2】特開平8-143635号公報
【特許文献3】特開平5-277460号公報
【特許文献4】特表2010-506562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、硬化塗膜の耐性と、印刷適性とが良好なコーヒー豆由来の材料を用いた活性エネルギー線硬化型組成物および積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す活性エネルギー線硬化型組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、コーヒー豆由来成分と、(メタ)アクリレート化合物とを含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、コーヒー豆由来成分の含有量が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中1~40質量%であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物の分散度が、100μm以下であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、コーヒー豆由来成分が、コーヒー豆および/または、コーヒー豆残渣の粉砕物であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、コーヒー豆由来成分が、コーヒー豆および/または、コーヒー豆残渣からの抽出物であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、(メタ)アクリレート化合物が、2~4官能(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、基材上に、上記活性エネルギー組成物を活性エネルギー線で硬化した層を有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、硬化塗膜の耐性と、印刷適性とが良好なコーヒー豆由来の材料を用いた活性エネルギー線硬化型組成物および積層体を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0023】
本明細書で使用される用語について説明する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタアクリレートを意味する。「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線等、照射することによって照射されたものに化学反応等の化学的変化を生じさせ得る性質を有するエネルギー線を意味する。
【0024】
<活性エネルギー線硬化型組成物>
本発明は、コーヒー豆由来成分と、(メタ)アクリレート化合物とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物(以下、単に「組成物」ともいう)に含まれるか、または含まれ得る成分を説明する。
【0025】
[コーヒー豆由来成分]
本発明におけるコーヒー豆由来成分としては、コーヒー豆の粉砕物、コーヒー豆残渣の粉砕物、コーヒー豆からの抽出物、コーヒー豆残渣からの抽出物の形態がある。以下、それぞれの形態について詳述する。以下、それぞれの形態について詳述する。
【0026】
本発明におけるコーヒー豆由来成分は、粉末状であり、活性エネルギー線硬化型組成物への添加により、硬化塗膜の耐性を維持しながら、印刷適性が良好な活性エネルギー線組成物のバイオマス成分として使用することが可能である。
【0027】
一方、活性エネルギー線硬化型組成物へ、液状のバイオマス成分であるヒマシ油やロジンアクリレートを使用すると、硬化塗膜の耐性や印刷適性が悪くなる傾向がある。
【0028】
使用されるコーヒー豆の種類は、特に限定されず、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種のうちのいずれでもよい。また、コーヒー豆の産地も特に限定されず、例えば、エチオピア、コナ、ジャバ、ブラジル、エチオピア、コスタリカ、キリマンジャロ、ベトナム、コロンビア、タンザニア、モカ、ブルーマウンテン、クリスタルマウンテン、ケニア、マンデリン及びメキシコ産のうちのいずれであってもよい。また、コーヒー豆は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、コーヒー豆は、脱カフェイン処理が施されていてもよい。
【0029】
コーヒー豆は、未焙煎であっても、焙煎されたコーヒー豆でもよく、市販のコーヒー豆等を使用してもよい。また、既に焙煎されたコーヒー豆を入手する場合は、市販のコーヒー豆等であって、賞味期限切れで廃棄されるものを入手してもよい。
【0030】
本発明において、コーヒー豆残渣とは、豆を挽いたのち、コーヒー飲料用等として、水で抽出を行った後の滓を表す。
【0031】
(コーヒー豆粉砕物、コーヒー豆残渣の粉砕物)
本発明において、コーヒー豆粉砕物とは、コーヒー豆を粉砕してえられる粉末のことであり、コーヒー豆残渣の粉砕物成分とは、コーヒー豆を挽いたのち、コーヒー飲料用等として、水で抽出を行った後の滓を粉砕してえられる粉末のことである。
【0032】
粉砕は、粉砕機を使用して行うことができる。粉砕機としては、例えば、ビーズミル、ローターミル、ジェットミル、ピンミル、ハンマーミル、ターボミル、等が挙げられる。粉砕するには、粉砕機の選定、粉砕時間の設定等により適宜行うことができる。
【0033】
(コーヒー豆からの抽出物、コーヒー豆残渣からの抽出物)
本発明において、コーヒー豆からの抽出物、コーヒー豆残渣からの抽出物とは、コーヒー豆およびコーヒー豆残渣から抽出した成分をレーキ化して得られる成分をろ過、乾燥、粉砕した成分のことである。
【0034】
コーヒー豆から成分を抽出する方法は、特に制限はなく、公知の抽出方法により行うことができる。
【0035】
コーヒー豆残渣からの成分の抽出においては、コーヒー飲料用等として、使用された後のものであっても、さらなる抽出工程を実施することで、コーヒー飲料用としての使用は難しいが、コーヒー成分を抽出することが可能である。
【0036】
抽出した成分は水溶性であるが、本工程において、水溶性の色素をレーキ化することで、所定の粒子径を有する、水に不溶な顔料となる。
【0037】
レーキ化は、金属塩により行うことができる。金属塩としては、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄等の金属の硫酸塩、塩酸塩を用いることができる。粒子径の調整は、レーキ化における金属塩濃度の調整、レーキ化時の温度、レーキ化の時間の調整等に行うことができる。
【0038】
コーヒー豆からの抽出物としては、コーヒー飲料用途として抽出された成分も、使用可能であるが、飲料用に抽出された後のコーヒー豆残渣は、大量の廃棄物として処理する必要があり、廃棄物の削減および環境負荷低減の観点より、コーヒー豆残渣を利用することが好ましい。
【0039】
本発明の組成物において、コーヒー豆由来成分は、組成物全量中に1~40質量%含むことが好ましく、5~35質量%含むことがより好ましく、10~30質量%含むことが特に好ましい。コーヒー豆由来成分を組成物全量中1~40質量%含むことで、硬化皮膜の耐性と印刷適性とが良好となると共に、高いバイオマス度を得ることができる。
【0040】
[(メタ)アクリレート化合物]
本発明の組成物は、(メタ)アクリレート化合物を含有する。上記(メタ)アクリレート化合物として、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。また、「PO」は「プロピレンオキサイド」を、「EO」は「エチレンオキサイド」を表す。
【0041】
(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性(2)ノニルフェノールアクリレート、(2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリンなどの単官能(メタ)アクリレート化合物、
1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート化合物、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート化合物、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレート化合物、
などが挙げられる。
なお、「n官能(メタ)アクリレート化合物」とは、(メタ)アクリロイル基をn個有する(メタ)アクリレート化合物を意味する。
【0042】
また、(メタ)アクリレート化合物として、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等も用いることができる。
【0043】
ウレタンアクリレートは、例えば、ジイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート類とを反応させて得られるもの、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得られるもの等がある。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
【0044】
ウレタンアクリレートとして用いることのできる市販品としては、ダイセル・オルネクス社製「EBECRYL 230」、「EBECRYL 270」、「EBECRYL 284」、「EBECRYL 280/15IB」、「EBECRYL 4491」、「EBECRYL 4683」、「EBECRYL 4858」、「EBECRYL 8307」、「EBECRYL 8402」、「EBECRYL 8411」、「EBECRYL 8413 」、「EBECRYL 8804」、「EBECRYL 8807」、「EBECRYL 9270」、「KRM7735」、「KRM8191」、「EBECRYL 8800」、「EBECRYL 294/25H D 」、「EBECRYL 4220」、「EBECRYL 4513」、「EBECRYL 4738」、「EBECRYL 4820」、「EBECRYL 8311」、「EBECRYL 4740」、「EBECRYL 9260」、「EBECRYL 8701」、「KRM 8667」、「KRM 8296」、「EBECRYL 210」、「EBECRYL 246/20HEMA」、「EBECRYL 1271」、「EBECRYL 286」、「EBECRYL 4859」、「EBECRYL 8409」、「EBECRYL 8465」、「EBECRYL 8809」、「EBECRYL 8810」、「EBECRYL 8811」、「EBECRYL 1258」、「EBECRYL 4101」、荒川化学工業株式会社製「ビームセット550B」、Miwon Specialty Chemical社 製「Miramer UA5095X2」、「Miramer UA5216」、「Miramer SC2404」、「Miramer SC2565」、「Miramer MU3603」、「Miramer PU3701」、「Miramer PU210」、「Miramer PU256」、「Miramer PU217」、「Miramer PU2030I」、「Miramer PU2050」、「M iramer PU2100」、「Miramer PU2034C」、「Miramer PU2200」、「Miramer PU2300C」、「Miramer PU2560」、「Miramer PU320」、「Miramer PU330」、「Miramer PU340」、「Miramer PU3000」、「Miramer PU3200」、「Miramer PU3210」、「Miramer PU3450」、等が挙げられる。
【0045】
ポリエステルアクリレートは、例えば、多塩基酸及び多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルポリカルボン酸と、水酸基含有(メタ)アクリレート等とを反応させて得ることができる。
【0046】
エポキシアクリレートは、例えばエポキシ樹脂のグリシジル基を(メタ)アクリル酸でエステル化して、官能基を(メタ)アクリレート基としたものが挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等がある。
【0047】
エポキシアクリレートとして用いることのできる市販品としては、ダイセル・オルネクス社製「EBECRYL 600」、「EBECRYL 605」、「EBECRYL 645」、「EBECRYL 648」、「EBECRYL 860」、「EBECRYL 3500」、「EBECRYL 3603」、「EBECRYL 3700」、「EBECRYL 3701」、「EBECRYL 3702」、「EBECRYL 3708」、Miwon Specialty Chemical社製「Miramer PE230」、「Miramer PE310」、「Miramer EA2235」、「Miramer EA2255」、「Miramer EA2280」、「Miramer ME2100」、等が挙げられる。
【0048】
本発明において、上記(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
上記(メタ)アクリレート化合物は、硬化皮膜の耐溶剤性の観点から、2~4官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましく、2~4官能(メタ)アクリレート化合物を組成物全量中5~60質量%用いることがより好ましい。
【0050】
[光重合開始剤]
本発明の組成物を硬化させる活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、組成物に光重合開始剤を添加することができる。
光重合開始剤の種類は、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、具体例としては、ベンゾフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、α-アミノアルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物などが挙げられる。
【0051】
上記ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]-フェニルメタノンなどが挙げられる。
【0052】
上記ジアルコキシアセトフェノン系化合物としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0053】
上記α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0054】
上記α-アミノアルキルフェノン系化合物としては、2-メチル-1-[4-(メトキシチオ)-フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル-1-ブタノン、1-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2-イル)-2-メチル-2-モルホリン-4-イル-プロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0055】
上記のアシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、ジフェニルアシルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0056】
上記チオキサントン系化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0057】
本発明において、上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
本発明の組成物を硬化させる活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、硬化性をより向上させるために、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2-ジメチルアミノ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、および4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のアミン類が挙げられる。
【0059】
[樹脂]
本発明の組成物は、硬化塗膜の耐溶剤性を向上させるために、樹脂を含有することができる。
【0060】
本発明における樹脂としては、(メタ)アクリレート化合物と優れた相溶性を有するものが好ましく、ジアリルフタレート樹脂、ロジン変性樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、尿素樹脂、ブタジエンーアクリルニトリル共重合体のような合成ゴム、等が挙げられる。
【0061】
[着色剤]
本発明の組成物は、着色剤を添加することができる。
本発明における着色剤としては、顔料および染料のうち少なくとも一方を用いることができるが、耐光性の観点から、顔料を用いることが好ましい。
【0062】
本発明における顔料としては、特に制限はなく、公知の顔料を用いることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも用いることができる。
【0063】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタン、などが挙げられる。
【0064】
有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料; β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(例えば、塩素化または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系など)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系等の多環式顔料および複素環式顔料などが挙げられる。
【0065】
更に詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、黒顔料としては、C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、28、26、31などが挙げられる。
【0066】
白顔料としては、C.I.Pigment White 5、6、7、12、28などが挙げられる。
【0067】
黄顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、18、24、73、74、75、83、93、95、97、98、100、108、109、110、114、120、128、129、138、139、174、150、151、154、155、167、180、185、213などが挙げられる。
【0068】
青またはシアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、2、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62などが挙げられる。
【0069】
赤または紅顔料としては、C.I.Pigment RED 1、3、5、19、21、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、50、52、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、90、104、108、112、114、122、144、146、148、149、150、166、168、169、170、172、173、176、177、178、184、185、187、193、202、209、214、242、254、255、264、266、269、C.I.Pigment Violet 19などが挙げられる。
【0070】
緑顔料としては、C.I.Pigment Green 1、2、3、4、7、8、10、15、17、26、36、45、50などが挙げられる。
【0071】
紫顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、2、3、4、5:1、12、13、15、16、17、19、23、25、29、31、32、36、37、39、42などが挙げられる。
オレンジ顔料としては、C.I.Pigment Orange 13、16、20、34、36、38、39、43、51、61、63、64、74などが挙げられる。
【0072】
本発明において、上記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0073】
本発明における顔料は、目的の濃度が再現可能であれば任意の含有量で使用することが可能であり、組成物全量中5~30質量%であることが好ましく、より好ましくは10~25質量%である。
【0074】
[体質顔料]
本発明の組成物は、体質顔料を添加することができる。
本発明における体質顔料としては、無機微粒子を用いる事が好ましい。
【0075】
体質顔料として、具体的には、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、石膏、クレイ(ChinaClay)、シリカ、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料や、シリコーン、ガラスビーズなどがあげられる。これら無機微粒子は、組成物の流動性調整、ミスチング防止、紙等の印刷基材への浸透防止といった効果を付加する事が出来る。
【0076】
これらの中でも、ミスチングを抑制できる観点から、タルク、炭酸マグネシウムが好ましい。
【0077】
[添加剤]
本発明の組成物は、目的に応じて、添加剤として、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤等の各種添加剤を、さらに含んでもよい。各種添加剤は、常法によって組成物に添加することができる。
本発明の組成物に対して各種添加剤を添加する場合、他の材料の効果を阻害しない範囲で配合量を調整することが好ましい。各種添加剤の配合量は、組成物全量中15質量%以下であることが好ましい。
【0078】
[バイオマス成分]
本発明におけるバイオマス成分とは、二酸化炭素と水から光合成された植物、生物等から得られる有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる持続的に再生可能な資源のことである。例えば、ロジン変性樹脂、ヒマシ油、ヤシ油、カシューナッツシェルオイル及びトール油並びにそれらの変性物、エポキシ化植物油、大豆油変性アクリレート、等が挙げられる。
【0079】
本発明に使用するコーヒー豆由来成分もバイオマス成分であり、さらに、コーヒー豆由来成分は粉末状であることから、他の液状のバイオマス成分であるロジン変性樹脂や、ヒマシ油と比較して、硬化塗膜の耐性である耐溶剤性や耐ブロッキング性が良好となり、組成物では印刷適性が良好となる。
【0080】
なお、本発明において、「バイオマス度」は、下記式から求めることができる。

バイオマス度(%)=バイオマス原料の質量/インキ組成物の全質量×100
【0081】
本発明において、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波等が挙げられるが、ラジカル性活性種を発生させ得るならば、いかなるエネルギー種でもよく、可視光線、赤外線、およびレーザー光線でもよい。
紫外線を発生するものとしては、例えば、LED、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、ヘリウム・カドミウムレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、およびアルゴンレーザーなどが挙げられる。
【0082】
本発明の組成物は、各種基材や、フォーム用印刷物、各種書籍用印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール/ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの印刷物に適用される。
【0083】
本発明における印刷物は、本発明の組成物を、基材上に印刷することによって得られる。基材としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、アート紙、コート紙、キャスト紙などの塗工紙や上質紙、中質紙、新聞用紙などの非塗工紙、ユポ紙などの合成紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)のようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0084】
本発明の組成物を、基材上に印刷する方法としては、オフセット印刷( 湿し水を使用する通常の平版及び湿し水を使用しない水無し平版、湿し水を使用しない樹脂凸版)、樹脂凸版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等公知の印刷方法が挙げられる。中でも、オフセット印刷、フレキソ印刷、およびスクリーン印刷が好ましい。
【実施例0085】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本明細書に記載の「部」は質量部を表し、「%」は質量%を示す。
【0086】
<オフセット印刷用組成物>
実施例1~14、比較例1~8
[活性エネルギー線硬化型組成物1の製造]
コーヒー豆残渣からの抽出物を10.0部、樹脂としてダイソーダップAを15.0部、(メタ)アクリレート化合物としてMIRAMERM600を10.0部、MIRAMERM410を45.0部、MIRAMER M3130を4.9部、光重合開始剤としてOmnirad184を5.0部、OmniradBDKを7.0部、光重合禁止剤として、Q-1301を0.1部、添加剤としてワックス3.0部を加え、ミキサーを用いて攪拌混合し、3本ロールにて
分散を実施した。3本ロールでの分散条件は、温度40℃、ロール圧15バールに設定し、インキを供給、最終のドクターによりかき出されるまでの工程を3度繰り返す。分散工程後、分散度の確認を実施し、分散度が12.5μmであることを確認した。上記方法にて活性エネルギー線硬化型組成物1を作成した。
【0087】
[活性エネルギー線硬化型組成物2~10、13~22の製造]
表1に記載した原料と量を変更した以外は、活性エネルギー線硬化型組成物1と同様の方法で活性エネルギー線硬化型組成物2~10、13~22を得た。分散工程後、分散度の確認を実施した。分散度を表3に示す。
【0088】
[活性エネルギー線硬化型組成物11の製造]
コーヒー豆残渣からの抽出物を10.0部、樹脂としてダイソーダップAを15.0部、(メタ)アクリレート化合物としてMIRAMERM600を10.0部、MIRAMERM410を45.0部、MIRAMER M3130を4.9部、光重合開始剤としてOmnirad184を5.0部、OmniradBDKを7.0部、光重合禁止剤として、Q-1301を0.1部、添加剤としてワックス3.0部を加え、ミキサーを用いて攪拌混合し、3本ロールにて分散を実施した。3本ロールでの分散条件は、温度40℃、ロール圧および通し回数を調整し、インキを供給、最終のドクターによりかき出されるまでの工程で、分散度が50μmとなるように分散し、活性エネルギー線硬化型組成物11を作成した。
【0089】
[活性エネルギー線硬化型組成物12の製造]
コーヒー豆残渣からの抽出物を10.0部、樹脂としてダイソーダップAを15.0部、(メタ)アクリレート化合物としてMIRAMERM600を10.0部、MIRAMERM410を45.0部、MIRAMER M3130を4.9部、光重合開始剤としてOmnirad184を5.0部、OmniradBDKを7.0部、光重合禁止剤として、Q-1301を0.1部、添加剤としてワックス3.0部を加え、ミキサーを用いて攪拌混合し、3本ロールにて分散を実施した。3本ロールでの分散条件は、温度40℃、ロール圧および通し回数を調整し、インキを供給、最終のドクターによりかき出されるまでの工程で、分散度が120μmとなるように分散し、活性エネルギー線硬化型組成物12を作成した。
【0090】
<スクリーン印刷用組成物>
実施例15~27、比較例9~15
[活性エネルギー線硬化型組成物23~30、33~42の製造]
表2に記載した原料と量を変更した以外は、活性エネルギー線硬化型組成物1と同様の方法で活性エネルギー線硬化型組成物23~30、33~42を得た。分散工程後、分散度の確認を実施した。分散度を表4に示す。
【0091】
[活性エネルギー線硬化型組成物31の製造]
表2に記載した原料と量を変更した以外は、活性エネルギー線硬化型組成物11と同様の方法で活性エネルギー線硬化型組成物31を得た。
【0092】
[活性エネルギー線硬化型組成物32の製造]
表2に記載した原料と量を変更した以外は、活性エネルギー線硬化型組成物12と同様の方法で活性エネルギー線硬化型組成物32を得た。
【0093】
なお、表中の数値は特に断りがない限り「質量部」を表し、空欄は配合していないことを表す。また、分散度は、JIS K5701-1:2000 4.3練和度に基づき測定した。
【0094】
【表1】

【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表2】

【0098】
上記活性エネルギー線硬化型組成物の製造方法、および、表1、2中の略語は、以下の通りである。
[コーヒー豆由来成分]
・コーヒー豆残渣からの抽出物 : コーヒー豆から抽出した成分をレーキ化して得られる成分をろ過、乾燥、粉砕した粉末状成分 (バイオマス度 100%)
・コーヒー豆残渣の粉砕物:コーヒー豆を挽いたのち、コーヒー飲料用等として、水で抽出を行った後の滓を粉砕してえられる粉末状成分 (バイオマス度 100%)
・コーヒー豆の粉砕物:コーヒー豆を粉砕した成分 (バイオマス度 100%)
[コーヒー豆由来成分以外のバイオマス成分]
・ロジン変性樹脂:長興材料工業株式会社製:ETERCURE63575H (バイオマス度31%)
・大豆油変性アクリレート:IGM製フォトマー3005F (バイオマス度 70%)
・ヒマシ油:(バイオマス度 100%)
[樹脂]
・ダイソーダップA:株式会社大阪ソーダ製、ジアリルフタレート樹脂
・スチレンアクリル樹脂:荒川化学工業株式会社製:ビームセット271
[(メタ)アクリレート化合物]
・MIRAMER M220:MIWON社製、トリプロピレングリコールジアクリレート
・MIRAMER M370:MIWON社製、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸アクリル酸エステル
・MIRAMER M600:MIWON社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・MIRAMER M410:MIWON社製、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
・MIRAMER M3130:MIWON社製、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
・MIRAMER M202:MIWON社製、EOヘンセイ1、6ヘキサンジオールジアクリレート
・ビームセット550B:荒川化学工業株式会社製、ウレタンアクリレート
・EBECRYL 3708:ダイセルオルネクス社製、エポキシアクリレート
・4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
[顔料]
・LIONOL BLUE FG-7330:トーヨーカラー株式会社製、C.I.Pigment Blue15:3
[体質顔料]
・ハイフィラー5000PJ:松村産業株式会社:タルク
[光重合開始剤]
・Omnirad184:IGM社製、1-ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン
・OmniradBDK:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトンフェノン
・Omnirad379EG:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル-1-ブタノン
・OmniradDETX:2,4-ジエチルチオキサントン
・OmniradEMK:4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
[光重合禁止剤]
・Q-1301:富士フィルム和光純薬株式会社製、ニトロソ系化合物、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
[分散剤]
・アジスパーPB821:味の素ファインテクノ株式会社製、塩基性官能基含有の櫛形分散剤
[添加剤]
・WAX:三洋化成工業製 サンワックス161P ポリエチレン樹脂
・TEGORAD 2700:EVONIK社製 シリコーンアクリレート
・TEGO AIREX 920; EVONIK社製 消泡剤
【0099】
[活性エネルギー線硬化型インキ組成物の評価]
得られた活性エネルギー線硬化型組成物1~42について、下記の方法に従い、評価した。各評価の結果を表3、4に示す。
【0100】
<オフセット印刷用インキ組成物の評価>
【0101】
<印刷適性(ミスチング)>
ミスチング評価:インコメーター式ミスチング試験機にインキ1.5ccを載せて1800回転で2分間回転させた。回転前後での紙の重量増加変化でミスチングの優劣を比較した。ミスチングが悪い場合は、インキの飛ぶ量が増加し、紙の重量が増える。
評価は、基準となるインキ(東洋インキ製 FDDBBIOメジウム)を〇とし、ミスチングが良好な順に(良)◎、〇、△、×(劣)で示した。◎、〇が実用上好ましい。
【0102】
(積層体(印刷物)の製造)
得られた活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物を、RIテスター(テスター産業株式会社製)4分割ロール、インキ量0.75mlの条件にて展色物(片面コロナ処理PET 厚さ125μm)を作成した。その後アイグラフィックス社製紫外線硬化装置(160W/cm メタハライドランプ)を用いてコンベア速度30m/minにて紫外線を照射し、印刷面を完全に乾燥させた。
【0103】
<硬化塗膜の耐溶剤性>
耐溶剤性は、得られた印刷物にたいして、MEK(メチルエチルケトン)を浸した綿棒で印刷面を30回擦った後、印刷面の状態を目視にて観察した。評価基準は下記に示した通りであり、◎、〇が実用上好ましい。
◎:印刷面の変化なし。
〇:印刷面の一部(面積の10%未満)に剥離が見られる。
△:印刷面の一部(面積の10~50%未満)に剥離が見られる。
×:印刷面の一部(面積の50%以上)、又は全部に剥離が見られる。
【0104】
<スクリーン印刷用インキ組成物の評価>
<印刷適性(メッシュ詰まり・メッシュ上残渣)>
スクリーン印刷用インキをスクリーン刷版(ポリエステルメッシュ テトロンT-100(線径0.054mm、線数100mesh/Inch、乳剤厚20μm、バイアス角22.5°))を用いて市販の片面コロナ処理PET(厚さ125μm)の処理面上にスクリーン印刷し、初期5ショットの平均の転移量を基準とし、20ショット後の転移量の変化に基づき以下の◎~×でメッシュ詰まりを評価した。◎、〇が実用上好ましい。
[転移率変化]=100%-[20ショット後の転移量]/[初期5ショットの平均の転移量]
◎:転移率変化が0%以上5%未満
〇:転移率変化が5%以上20%未満
△:転移率変化が20%以上50%未満
×:転移率変化が50%以上もしくはメッシュを通過できない残渣が視認できる
【0105】
<積層体(印刷物)の製造>
活性エネルギー線硬化型スクリーン印刷用インキ組成物23~42について、スクリーン刷版(ポリエステルメッシュ テトロンT-100(線径0.054mm、線数100mesh/Inch、乳剤厚20μm、バイアス角22.5°))を用いて市販の片面コロナ処理PET(厚さ125μm)の処理面上にスクリーン印刷し、活性エネルギー線を照射することで積層体(印刷物)を得た。
【0106】
<硬化塗膜の耐溶剤性>
耐溶剤性は、MEK(メチルエチルケトン)を浸した綿棒で印刷面を30回擦った後、印刷面の状態を目視にて観察した。評価基準は下記に示した通りであり、◎、〇が実用上好ましい。
◎:印刷面の変化なし。
〇:印刷面の一部(面積の10%未満)に剥離が見られる。
△:印刷面の一部(面積の10%以上50%未満)に剥離が見られる。
×:印刷面の一部(面積の50%以上)、又は全部に剥離が見られる。
【0107】
<硬化塗膜の耐ブロッキング性>
実施例および比較例で得られたスクリーン印刷用インキを印刷した印刷物のうち、50mm×50mmのベタ印刷パターン形状箇所を40mm×40mmの大きさに切り取った印刷物の印刷面と、同様の大きさに切り取ったPETフィルムの裏面(コロナ未処理面)とを圧着し、温度:85℃、湿度:65%RH、荷重:1kg/mの高温・高湿度・高荷重条件下で、24時間静置したのち、以下の◎~×で圧着面を剥離した際の剥離抵抗、および剥離面の状態を評価した。◎、〇が実用上好ましい。
◎:剥離抵抗が全くない
〇:剥離抵抗はあるが、印刷層の取られは見られない
△:剥離抵抗が〇よりは強く、印刷面積の20%未満で印刷層が取られる
×:剥離抵抗が強く、印刷面積の20%以上で印刷層が取られる
【0108】
【表3】

【0109】
【表4】

【0110】
表3に示すように、実施例1~14は、硬化塗膜の耐性としての耐溶剤性、印刷適性のミスチングにおいて、いずれも実用上問題なく良好であった。
一方、コーヒー豆由来成分や、その他バイオマス成分を含有しない比較例1,2,6,7は、インキのバイオマス度が0%であり、印刷適性のミスチングが実用上不足している。また、コーヒー豆由来成分以外でのバイオマス成分を使用した比較例3、4,5場合、硬化塗膜の耐性としての耐溶剤性が実用上不足していた。
また、表4に示すように、実施例15~27は硬化塗膜の耐性としての耐溶剤性および耐ブロッキング性、印刷適性のメッシュ詰まり・メッシュ上残渣において、いずれも実用上問題なく良好であった。
一方、コーヒー豆由来成分や、その他バイオマス成分を含有しない比較例9,10,11,15は、印刷適性は良好なもののインキのバイオマス度が0%であり、硬化塗膜の耐性としての耐ブロッキング性が実用上不足している。また、コーヒー豆由来成分以外でのバイオマス成分を使用した比較例12、13,14の場合、硬化塗膜の耐性としての耐溶剤性および耐ブロッキング性が実用上不足していた。