(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121086
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】液体の汲み上げ方法
(51)【国際特許分類】
F04F 1/02 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
F04F1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027982
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】722013885
【氏名又は名称】坂巻 正健
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 正健
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA02
3H079BB10
3H079CC03
3H079CC30
3H079DD09
3H079DD13
3H079DD14
3H079DD28
3H079DD29
(57)【要約】
【課題】液体と接する気体の加圧と減圧を行うことでは、任意の高さまで液体を汲み上げることが出来ない。液体を水、気体を大気とすると、高真空まで減圧しても10mしか水を汲み上げることが出来ない。
【解決手段】気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器を液体の汲み上げ高さまで複数上下に設置する。および容器間に液体を流すための流路管と液体の流れを切り替える複数の電磁弁を設置する。隣接した容器間で、下方容器内の気体を加圧、上方容器内の気体を減圧して下方容器の液体を上方容器に汲み上げる。複数回、隣接する容器の組合せを切り替えて、液体をより高所の容器内に汲み上げる。これにより任意の高さまで液体の汲み上げを可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器を利用した液体の汲み上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水や油などの液体を任意の高さまで汲み上げる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
任意の高さまでの液体の汲み上げは、液体をポンプで加圧して行っている。また、井戸水の汲み上げは、大気を減圧することにより行っている。
【0003】
しかし、液体をポンプで加圧する場合は、液体を重力に逆らい持ち上げることとなり、大気などの気体を移動させる場合に比べ、大きな電力を消費する。また、大気を減圧する場合は、高真空まで減圧しても、10m程度しか水を汲み上げることが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本大百科全書、ウィキペディア 「連通管」
【非特許文献2】ウィキペディア 「パスカルの原理」
【非特許文献3】ウィキペディア 「サイフォンの原理」
【非特許文献4】栗津清蔵監修、國澤正和、西田秀行、福山和夫共著 「絵とき水理学」オーム社 平成30年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、液体と接する気体の減圧では、任意の高さまで液体を汲み上げることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器を利用し、任意の高さまで液体の汲み上げを可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、気体の移動により加圧または減圧して液体汲み上げを行うため、液体のポンプによる加圧移動による汲み上げと比べ、電力消費が小さいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器の実施方法を示した説明図である。気体による減圧状態を示している。
【
図2】
図2は、気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器の実施方法を示した説明図である。気体による加圧状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器を利用して、任意の高さまで液体を汲み上げることを実現した。
【実施例0011】
図1と
図2は、本発明装置の1実施例の断面図である。液体を貯蔵する容器1内の気体の減圧には真空ポンプ4と電磁弁3を使用する。気体の加圧には容器1周囲の気体圧と電磁弁2を使用する。なお、容器1内の気体の加圧にはコンプレッサーの付加と電磁弁2の使用も考えられる。
【0012】
図1と
図2では、液体の流路管5と液体の流れを切り替える電磁弁6、7とで、液体の流路切り替えを行う。
【0013】
図1では、電磁弁2を閉、電磁弁3を開し真空ポンプ4を稼働し、液体を貯蔵する容器1内の減圧を行う。同時に、電磁弁6閉、電磁弁7開により液体の流路管5の液体の流路を切り替える。これにより、液体を貯蔵する容器1に、より低い所からの液体の吸い上げを行う。
【0014】
図2では、電磁弁2を開、電磁弁3を閉し真空ポンプ4を停止し、液体を貯蔵する容器1内を容器1周囲の気体圧により加圧する。同時に、電磁弁6開、電磁弁7閉により液体の流路管5の水の流路を切り替える。これにより、液体を貯蔵する容器1から、より高い所への液体の押し上げを行う。
【0015】
図3、4、5では、
図1、2の気体による加圧と減圧機構を持つ液体を貯蔵する容器を利用した、液体の汲み上げ方法の説明を行う。1例として、本発明装置の容器11、12、13を3段に積み重ね、水源の容器21と汲み上げた水を貯蔵する容器22を加えた。また、気体は大気、液体は水を想定している。
【0016】
図3では、容器11、13の水面は真空ポンプで大気圧よりも減圧された状態。容器12の水面は大気圧で加圧された状態。水源の容器21と汲み上げた水を貯蔵する容器22の水面も大気圧と等しい。水の流路管20上の水流を切り替える電磁弁14、17、18開、電磁弁15、16、19閉とし、水の流路を切り替える。これにより、水源の容器21から容器11へ水の汲み上げを行う。同時に、容器12から容器13へ水の汲み上げを行う。
【0017】
図4では、容器12の水面は真空ポンプで大気圧よりも減圧された状態。容器11、13の水面は大気圧で加圧された状態。水源の容器21と汲み上げた水を貯蔵する容器22の水面も大気圧と等しい。水の流路管20上の水流を切り替える電磁弁15、16、19開、電磁弁14、17、18閉とし、水の流路を切り替える。これにより、容器11から容器12へ水の汲み上げを行う。同時に、容器13から汲み上げた水を貯蔵する容器22へ落下させる。
【0018】
図5では、本発明装置の容器11、12、13、水源の容器21と汲み上げた水を貯蔵する容器22も加えた動作の過程を示した説明図である。
【0019】
図5の1~3段目容器11、12、13の水の汲み上げ動作の初期状態43では、水源の容器21から容器11へ水の汲み上げ34を行う。この時、容器12、13は加圧も減圧も行わず水移動のない状態38、41。次に、容器11から容器12へ水の汲み上げ36、37を行う。
【0020】
図5の1~3段目容器の水の汲み上げ動作の定常状態44では、水源の容器21から容器11へ水の汲み上げ34と容器12から容器13へ水の汲み上げ39、40を同時に行う。次に、容器11から容器12へ水の汲み上げ36、37と容器13から水を貯蔵する容器22へ水を落下させる42を同時に行う。その後は、この動作の繰り返しとなる。
【0021】
図5の1~3段目容器の水の汲み上げ動作の終期状態45では、容器11から容器12へ水の汲み上げ36、37が終了後に、容器11の動作31が加圧も減圧も行わず水移動のない状態35となる。次に、容器12から容器13へ水の汲み上げ39、40を行う。その終了後に容器12が加圧も減圧も行わず水移動のない状態38となる。最後に、容器13から水を貯蔵する容器22へ水を落下させる42。その終了後に、容器13が加圧も減圧も行わず水移動のない状態41となる。
【0022】
容器の段数は1、3、5、7、9、11と奇数の任意の段数を選択。水流を切り替える電磁弁の組みも容器と同じ段数を選択する。これにより、
図5の水汲み上げ動作の定常状態44と同様となる。なお、容器の段数を増やすことにより、任意の高さまで液体または水を汲み上げることが可能となる。
【0023】
図3、4の大気による加圧と減圧機構を持つ水を貯蔵する容器11、12、13の高さの差は、減圧機構の真空ポンプ効率を考慮して決定する。一例では、真空ポンプの排気時間は50kPaより高い真空度を目指すと徐々に長くなる。10kPaより高い真空度を目指すと極めて長い排気時間を要する。従って、排気時間が比較的短い50kPaから20kPa程度の減圧を目指せば、排気時間も短く、消費電力も少なくなる。水を貯蔵する容器間の高さの差は、5mから8m程度となる。また、容器の段数も少なくできる。仮に、高さ100mの位置に水の汲み上げを行う場合、真空度50kPaとすると、21段の水を貯蔵する容器が必要となる。