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特開2024-121087情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121087
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20240830BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H04N1/407
H04N1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027984
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 順一
【テーマコード(参考)】
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
5C077LL04
5C077PP15
5C077PP25
5C077PP32
5C077PP51
5C079HA11
5C079HB01
5C079HB06
5C079LA02
5C079LA10
5C079LA12
5C079LA21
5C079LB11
5C079NA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】グレースケール画像から文字以外の画素のコントラストを低減させる。
【解決手段】制御部と、カラー画像格納部と、文字データ格納部と、離間度合い算出部としての角度データ格納部と、ドロップアウト画像格納部と、OCR変換部とを備える情報処理装置において、補正部及びグレースケール画像格納部であるドロップアウト画像生成部は、RGB座標からなる3次元空間において、白色点(255,255,255)、黒色点(0,0,0)および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標PGと文字のRGB座標PKを通る直線と、カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを示す角度θや距離dを算出する離間度合い算出部と、カラー画像をグレースケール化したグレースケール画像の各画素SG1を、角度θや距離dが大きい程、白方向に補正する補正量ΔLを多くし、角度θや距離dが小さい程、補正量ΔLを少なくする補正部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納部と、
文字画素のRGB座標が予め格納されている文字データ格納部と、
前記RGB座標からなる3次元空間において、白色点、黒色点および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標と前記文字画素のRGB座標を通る直線と、前記カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出部と、
グレースケール画像の各画素を、前記離間度合いが大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、前記離間度合いが小さい程、該補正量を少なくする補正部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記文字画素は、前記カラー画像に含まれており、
前記グレースケール画像は、前記カラー画像をグレースケール化したものである
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記離間度合い算出部は、前記カラー画像の各画素のRGB座標及び前記特定のRGB座標を通る直線と、前記文字画素のRGB座標及び前記特定のRGB座標を通る直線とが成す角度を算出するするものであり、
前記補正部は、前記グレースケール画像の各画素に対し、前記角度の大きさに比例して白方向に補正する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記離間度合い算出部は、前記文字画素のRGB座標及び前記特定のRGB座標を通る直線と前記カラー画像の各画素のRGB座標との距離を算出するするものであり、
前記補正部は、前記グレースケール画像の各画素に対し、前記距離の長さに比例して白方向に補正する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記グレースケール画像を出力するモノクロカメラをさらに備え、
前記モノクロカメラは、第1インクおよび第2インクが塗布された媒体を撮像するものであり、
前記カラー画像は、前記第1インクが塗布され、第2インクが塗布されていない媒体の媒体画像であり、
前記文字画素のRGB座標は、前記第1インクの色のRGB座標である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
第1インクが塗布され、第2インクが塗布されていない媒体のカラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納部と、
文字画素のRGB座標が予め格納されている文字データ格納部と、
前記RGB座標からなる3次元空間において、白色点、黒色点および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標と前記文字画素のRGB座標を通る直線と、前記カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出部と、
モノクロカメラが出力する輝度信号を用いて生成され、前記カラー画像に対応するグレースケール画像の各画素を、前記離間度合いが大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、前記離間度合いが小さい程、該補正量を少なくする補正部と、
を備える情報処理装置。
【請求項7】
スキャナ装置と該スキャナ装置が撮像する画像を情報処理する情報処理装置とが接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
カラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納部と、
文字画素のRGB座標が予め格納されている文字データ格納部と、
前記RGB座標からなる3次元空間において、白色点、黒色点および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標と前記文字画素のRGB座標を通る直線と、前記カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出部と、
グレースケール画像の各画素を、前記離間度合いが大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、前記離間度合いが小さい程、該補正量を少なくする補正部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
前記カラー画像は、前記スキャナ装置が撮像するカラー画像であり、
前記文字画素は、前記カラー画像に含まれており、
前記グレースケール画像は、前記カラー画像をグレースケール化したものである
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
カラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納ステップと、
文字画素のRGB座標を予め格納する文字データ格納ステップと、
前記RGB座標からなる3次元空間において、白色点、黒色点および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標と前記文字画素のRGB座標を通る直線と、前記カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出ステップと、
グレースケール画像の各画素を、前記離間度合いが大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、前記離間度合いが小さい程、該補正量を少なくする補正ステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
カラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納ステップと、
文字画素のRGB座標を予め格納する文字データ格納ステップと、
前記RGB座標からなる3次元空間において、白色点、黒色点および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標と前記文字画素のRGB座標を通る直線と、前記カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出ステップと、
グレースケール画像の各画素を、前記離間度合いが大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、前記離間度合いが小さい程、該補正量を少なくする補正ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関し、例えば、帳票を読み取って得たカラー画像データから、罫線等の文字色以外を除去したグレースケール画像データを作成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラー画像をH(色相)、S(彩度)、V(明度)又は輝度に変換して、色で罫線等を除去するドロップアウトさせていた。例えば、特許文献1には、入力したRGB画像をHSV変換し、あらかじめ指定したドロップアウト色範囲内の画素をドロップアウトする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-159185号公報(段落0028)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スキャン装置に用いられるカラーカメラには、RGB信号を出力するとは限らず、輝度信号Yおよび色差信号Cb,Crを出力することもある。また、モノクロカメラを使用できた方が安価に構成することができる。そのようなときは、輝度信号Yからグレースケール画像が得られるので、そのグレースケール画像から罫線等の文字以外の画素のコントラストを低減することが好ましい。
【0005】
本発明は、グレースケール画像から文字以外の画素のコントラストを低減させることができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本願発明の情報処理装置(画像処理装置)は、カラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納部(30)と、文字画素のRGB座標が予め格納されている文字データ格納部(40)と、前記RGB座標からなる3次元空間において、白色点(255,255,255)、黒色点(0,0,0)および媒体の素地色の何れかを示す特定のRGB座標と前記文字画素のRGB座標を通る直線と、前記カラー画像の各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出部(角度算出部50)と、グレースケール画像の各画素を、前記離間度合いが所定値よりも大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、前記離間度合いが該所定値よりも小さい程、該補正量を少なくする補正部(ドロップアウト画像生成部70)と、を備えることを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グレースケール画像から文字以外の画素のコントラストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態である情報処理システムの構成図である。
図2】情報処理システムで使用される媒体の断面図である。
図3】媒体をスキャンするスキャナの一例を示す図である。
図4】媒体の一例を示す図である。
図5】情報処理方法の概念を説明するための説明図である。
図6】本発明の情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
図7】情報処理における角度と補正量との関係を説明する図である。
図8】媒体のスキャン画像を情報処理した図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるにすぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0010】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態である情報処理システムの構成図である。
情報処理システム100は、スキャナ20と、情報処理装置90とを備え、スキャナ20を用いて帳票(媒体P(図2図4))をカラースキャンし、その帳票画像から罫線をドロップアウトする機能を有する。また、情報処理装置90は、ドロップアウトした帳票画像をOCR(Optical Character Reader)変換する機能をも有する。
【0011】
情報処理装置90は、制御部10と、カラー画像格納部30と、文字データ格納部40と、離間度合い算出部としての角度データ格納部60と、補正部としてのドロップアウト画像格納部80と、OCR変換部85とを備える画像処理装置である。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)から構成されたコンピュータであり、情報処理プログラムを実行することにより、角度算出部50と、ドロップアウト画像生成部70との機能を実現する。なお、カラー画像格納部30と、文字データ格納部40と、角度データ格納部60とは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部やROM(Read On Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性記憶部の格納領域として存在する。
【0012】
図2は、情報処理システム100で使用される媒体Pの断面図である。
帳票P0は、紙葉類であり、基材P1と、基材P1の上面に第1インクP2で印刷されたものである。媒体P(図4参照)は、帳票P0の基材P1の上面に筆記具(例えば、黒ボールペン)の第2インクP3が塗布された紙葉類である。基材P1は、例えば、白色であり、その色彩が媒体Pの素地色を規定する。第1インクP2は、黒色を含む多色インクである。なお、媒体Pや基材P1は、紙葉類でなく、板材であっても構わない。
【0013】
図3は、媒体Pをスキャンするスキャナ20の一例を示す図である。
スキャナ20は、レンズ付きのカメラ21が載置台22に載置された媒体Pを撮影するように構成されている。なお、カメラ21の近傍に破線で示すカラーフィルタ25が配設されているが、後記する比較例で説明する。また、スキャン装置は、カメラ21の代わりにラインセンサを設け、媒体Pを搬送させて画像を読み込む構成でも構わない。
【0014】
図1の説明の戻り、文字データ格納部40は、あらかじめ、基材P1(図2)に筆記具の第2インクP3(図2)を撮像した画素データをRGB座標で格納しておく格納部である。角度算出部50は、カラー画像格納部30に格納されたカラー画像の各画素のRGB座標と文字データ格納部40に格納されたRGB座標とから、後記するように、角度θ(図5)を算出し、角度データ格納部60に角度θを格納する。この角度θは、図5の一点鎖線と各画素のRGB座標との離間度合いを示している。
【0015】
ドロップアウト画像生成部70は、カラー画像格納部30に格納されたカラー画像をグレースケール化し、このグレースケール画像を角度データ格納部60に格納された角度データ(角度θ)を元にグレースケール画像を補正する。ドロップアウト画像生成部70は、グレースケール画像格納部および補正部として機能する。また、ドロップアウト画像生成部70は、補正されたグレースケール画像をドロップアウト画像格納部80に格納する。
【0016】
図4は、媒体Pの一例として帳票200を示す図である。
帳票200は、白色の用紙に罫線および文字が印刷された「振込依頼書」であり、筆記文字が空白に記入されている。罫線201は、矩形状の複数の文字記入領域以外は、例えば、メッシュ表現されているように、特定の色(例えば、薄緑色)でベタ印刷されている。また、罫線201には、例えば、「お振込先」領域204、「お受取人」領域205、「ご依頼人」領域206、金額欄207等がある。文字枠202は、白色文字「他銀行機関あて」の周囲を、罫線201と異なる色(例えば、赤色)でベタ印刷した長方形状の領域である。文字枠203は、白色文字「電信扱」の周囲をベタ印刷(例えば、赤色)した長方形状の領域である。また、下部右側には、赤色の印鑑209が捺印されている。
【0017】
印刷文字は、黒色であり、例えば、上部に印刷された文字列「振込依頼書」、「お振込先」領域204に印刷された文字列「お振込先」、「お受取人」領域205に印刷された文字列「お受取人」、「ご依頼人」領域206に印刷された文字列「ご依頼人」等がある。
筆記文字は、筆記具(例えば、黒色ボールペン)で罫線201の白枠に記入された文字列である。筆記文字には、例えば、「お振込先」領域204の振込先銀行「アアアアア」およびその支店名「イイイイイ」、「お受取人」領域205の受取人口座番号「1239876」や受取人「ウウウウウ」、「ご依頼人」領域206の氏名「オオオオオ」、住所「カカカカカ」、金額欄207の数字「12345」がある。
【0018】
図5は、情報処理方法の概念を説明するための説明図である。
本実施形態では、、スキャナ20(図1)で撮像したスキャン画像をRGBの三次元空間で表現する。RGB座標は、0から255の8bitであり、K(黒)の座標(0,0,0)を原点として、R(赤)は座標(255,0,0)で表現され、G(緑)は座標(0,255,0)で表現され、B(青)は座標(0,0,255)で表現される。このとき、W(白)は座標(255,255,255)で表現され、Y(黄)は座標(255,255,0)で表現され、C(シアン)の座標は座標(0,255,255)で表現され、M(マゼンタ)は座標(255,0,255)で表現される。なお、W(白)の座標(255,255,255)を白色点といい、K(黒)の座標(0,0,0)を黒色点という。
【0019】
K(黒)の座標(0,0,0)とW(白)の座標(255,255,255)とを結んだ直線(一点鎖線)がグレーラインを示す。また、この一点鎖線は、8bitで規格化された輝度Lを表現する軸でもある。つまり、輝度Lは、0~255の一次元で表現される。
【0020】
画素PWは、白色用紙の代表画素を示す。画素PKは、黒色の筆記文字の代表画素を示し、黒色の印刷文字は、画素PKの近傍に位置する。また、画素PGは、罫線201(図4)のベタ印刷(例えば、薄緑色)の代表画素を示す。画素PRは、文字枠202(図4)のベタ印刷(例えば、赤色)の代表画素を示す。画素PKおよび画素PWは、一点鎖線を通過するように記載されているが、一点鎖線の近傍に位置しても構わない。また、画素PGは、罫線201の代表画素であり、画素PRは、文字枠202、203の代表画素である。
【0021】
ここで、代表画素とは、スキャナ20の照明(不図示)の照度バラツキ、白色用紙やインクの色バラツキを考慮した代表色を示す。なお、筆記文字(黒色インク)であれば、ハネや払いで濃度が薄くなったりもする。
【0022】
図6は、本発明の実施形態である情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
以下、図5を参照しつつ、図6を用いて、制御部10が、スキャン画像をグレースケール化し、そのグレースケール画像から罫線201のベタ印刷(例えば、薄緑色)や文字枠202のベタ印刷(例えば、赤色)のコントラストを低減させる方法について説明する。この方法により、結果的に、黒色の文字成分が強調される。
【0023】
制御部10は、あらかじめ、スキャナ20で取得した筆記具(例えば、黒ボールペン)のRGB座標(画素PKのRGB座標)を文字データ格納部40に格納しておくものとする。その上で、制御部10は、スキャナ20に対して、帳票200(図4)をカラースキャンさせ、取得したスキャン画像(カラー画像)の各画素のRGB座標をカラー画像格納部30に格納する(S1)。S1の処理後、制御部10は、カラー画像格納部30に格納されたスキャン画像を用いて、画素毎に角度θ(図5)のデータ(角度データ)を生成し、生成した角度データを角度データ格納部60に格納する(S2)。
【0024】
角度θは、各画素(例えば、罫線201(図4)の画素PG)のRGB座標と白色点(255,255,255)を通る直線(二点鎖線)と文字データ格納部40にあらかじめ格納された筆記具の色のRGB座標(画素PKのRGB座標)と白色点(255,255,255)とを通る直線(一点鎖線に近似する直線)とが成す角度である。つまり、角度θは、画素PGの文字データ格納部40に予め格納された筆記具の色のRGB座標(画素PKのRGB座標)と白色点(255,255,255)とを通る直線(一点鎖線に近似する直線)との離間度合いを表現する。なお、画素PKは一点鎖線の近傍に位置ので、画素PKの角度θは、θ≒0である。
【0025】
S2の処理後、制御部10は、カラー画像(スキャン画像)を用いて、グレースケール画像を生成する(S3)。具体的には、制御部10は、スキャン画像のRGB座標を用いて、各画素の輝度Lを演算することにより、グレースケール画像を生成し、生成されたグレースケール画像をドロップアウト画像生成部70に格納する。8bitで規格化された輝度Lは、公知の演算、例えば、L=0.299×R+0.587×G+0.114×Bで求めることができる。これにより、各画素(例えば、罫線201の画素PG)の輝度Lは、K(黒)の座標(0,0,0)とW(白)の座標(255,255,255)とを結んだ一点鎖線(グレーライン)の線上(例えば、画素SG1)に位置する。なお、同様に、文字枠202,203の画素PRの輝度Lも一点鎖線の線上に位置する。
【0026】
なお、グレースケール画像は、カラー画像から生成することなく、スキャナ20のカメラ21(図3)の輝度信号を用いて生成しても構わない。このとき、後記する変形例(3)で説明するように、カラー画像は、帳票P0(図2)のカラー画像をあらかじめ、カラー画像格納部30に格納しておいても構わない。
【0027】
S3の処理後、制御部10は、生成したグレースケール画像の各画素に対して、角度データ格納部60に格納された角度θの大きさに比例して白方向に輝度Lを補正する(S4)。つまり、制御部10は、一点鎖線に沿って、グレースケール画像の画素SG1を白色方向の画素SG2に補正量ΔLだけ移動させる。
【0028】
図7は、情報処理における角度θと輝度Lの補正量ΔLとの関係を説明する図である。
横軸が角度θであり、縦軸が輝度Lの補正量ΔLである。つまり、輝度Lの補正量ΔLは、角度θの大きさに比例させている。なお、黒丸の画素PK(図5)や白丸の画素PWの輝度の補正量ΔLは、θ≒0なので、補正量ΔL≒0である。つまり、黒色インクや媒体Pの素地(基材P1(図2))の画素は、殆ど補正されない。
【0029】
言い換えれば、グレースケール画像は、各画素(例えば画素PG)のRGB座標が筆記具の画素(画素PK)のRGB座標と白色点の座標(255,255,255)とを結んだ一点鎖線(グレーライン)から離間するほど、白方向の補正量ΔLが多く、各画素(例えば画素PG)のRGB座標がグレーラインに近いほど補正量ΔLが少ない。言い換えれば、色の彩度が高い画素が白方向に補正され、彩度が低い画素が補正されない。これにより、着色された罫線枠が白色方向に補正される一方、黒色の印刷文字や筆記文字は、補正されない。つまり、着色された罫線201のコントラストが低減し、罫線201が、グレースケール画像からドロップアウトされる。
【0030】
図8は、媒体のスキャン画像を情報処理した図の一例を示す図である。
帳票210では、罫線201(図4)および文字枠202,303が削除され、黒色の印刷文字や筆記文字のみのグレースケール画像になっている。
【0031】
OCR変換部85(図1)は、印刷文字や筆記文字のみになったグレースケール画像をOCR変換する。
【0032】
(比較例)
前記実施形態の情報処理システム100(図1)では、スキャン画像をグレースケールにしたグレースケール画像の補正により、着色された罫線201等のコントラストを下げたが、カラーフィルタを介して、媒体Pをカメラで撮像することによっても、着色した罫線201がドロップアウトされる。
【0033】
図3において、破線で示すカラーフィルタ25は、罫線201の色の波長を通過させないフィルタである。これにより、カメラ21で撮像したカラー画像は、濃度が薄い罫線201の画像となる。このカラー画像を、単に、グレースケール画像に変換することのみにより、着色された罫線201等をドロップアウトすることができる。また、この光学的ドロップアウトでは、カメラ21は、モノクロカメラであっても構わない。
【0034】
この比較例のような光学的ドロップアウトでは、ドロップアウト可能な濃度まで罫線201の色を薄める必要があった。しかしながら、前記実施形態の情報処理システム100(図1)によれば、濃度の濃い色に対しても、ドロップアウト画像を生成することができる。
【0035】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形が可能である。
(1)前記実施形態では、角度θを演算するときの基準点を白色点(255,255,255)としたが、媒体Pの素地色(例えば、画素PW(図5))の座標を基準点としても構わない。つまり、角度θは、スキャン画像の各画素のRGB座標及び媒体Pの素地色のRGB座標を通る直線と、前記文字のRGB座標及び前記媒体Pの素地色のRGB座標を通る直線との角度としても構わない。
【0036】
(2)前記実施形態では、輝度Lを補正するときの補正量ΔLを角度θの大きさに比例させていたが、スキャン画像の各画素のRGB座標と、文字(例えば画素PK)のRGB座標と白色点(255,255,255)とを結んだ直線(一点鎖線に近似する直線)との距離d(図5)に補正量ΔLを比例させても構わない。また、角度θの代わりに内積cosθを用いても構わない。
【0037】
言い換えれば、本比較例の情報処理装置は、白色点(255,255,255)又は媒体Pの素地色(基材P1の色)を示す特定のRGB座標と文字(例えば、画素PK)のRGB座標を通る直線(一点鎖線に近似する直線)と、カラー画像の各画素(例えば、画素PG)のRGB座標との離間度合い(距離dや角度θ)を算出する離間度合い算出部(角度算出部50)と、カラー画像をグレースケール化したグレースケール画像の各画素(例えば、画素SG1)を、離間度合いが大きい程、白方向に補正する補正量ΔLを多くし、離間度合いが小さい程、該補正量を少なくする補正部と、を備える。
【0038】
(3)前記実施形態では、スキャナ20を用いて取得した媒体Pのカラー画像をグレースケールに変換し、そのグレースケール画像に対してカラー画像を用いて輝度補正した。筆記具の黒色や黒色印刷文字では、この補正量ΔLが少ない。そのため、帳票P0(図2)のカラー画像をあらかじめ記憶部に格納しておき、黒色の筆記文字が記載された帳票である媒体P(図2)をモノクロカメラで撮像し、撮像したグレースケール画像に対して輝度補正しても構わない。なお、このときには、あらかじめ取得した帳票P0のカラー画像と、モノクロカメラの輝度信号で取得したグレースケール画像との位置決めが必要である。
【0039】
本変形例の情報処理装置は、第1インクP2が塗布され、第2インクP3が塗布されない媒体P(図2)のカラー画像をRGB座標で格納するカラー画像格納部30と、文字画素のRGB座標が予め格納されている文字データ格納部40と、RGB座標からなる3次元空間において、白色点(255,255,255)又は媒体Pの素地色(基材色)を示す特定のRGB座標と筆記文字のRGB座標を通る直線と、カラー画像に含まれる各画素のRGB座標との離間度合いを算出する離間度合い算出部と、カメラ(モノクロカメラやカラーカメラ)が出力する輝度信号を用いて生成されるグレースケール画像の各画素を、離間度合いが所定値よりも大きい程、白方向に補正する補正量を多くし、離間度合いが該所定値よりも小さい程、該補正量を少なくする補正部と、を備える。
【0040】
(4)前記実施形態では、角度θ(図5)を演算するときの基準点を白色点(255,255,255)としていたが、黒色点(0,0,0)を基準にすることもできる。黒色点(0,0,0)と筆記具の画素PK(図5)とを結ぶ直線(一点鎖線に近似する直線)と、黒色点(0,0,0)と画素PGとを結ぶ直線(不図示)との角度(不図示)は、角度θよりも大きくなる。そのため、グレースケール画像を白方向に移動させる移動量ΔLが増加するものの、筆記具の画素PKを移動させるわけでないからである。
【0041】
(5)前記実施形態では、輝度Lを用いて、カラー画像をグレースケール画像に変換したが、明度Vを用いてグレースケールに変換しても構わない。明度Vは、例えば、V=Vmax=Max(R,G,B)で定義したものでよい。
【符号の説明】
【0042】
10 制御部(コンピュータ)
20 スキャナ
21 カメラ
25 カラーフィルタ
30 カラー画像格納部
40 文字データ格納部
50 角度算出部(離間度合い算出部)
60 角度データ格納部
70 ドロップアウト画像生成部(補正部、グレースケール画像格納部)
80 ドロップアウト画像格納部
90 情報処理装置(画像処理装置)
100 情報処理システム
200,210 帳票
P 媒体
P0 帳票
P1 基材
P2 第1インク(印刷用インク)
P3 第2インク(筆記具用インク)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8