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特開2024-121092回路装置、発振器及び発振器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121092
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】回路装置、発振器及び発振器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
H03B5/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027991
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 壮洋
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA37
5J079BA38
5J079BA53
5J079FA02
5J079FA04
5J079FA14
5J079FA22
5J079FB03
5J079FB39
(57)【要約】
【課題】デューティー調整に伴うクロック信号のノイズ特性悪化を抑制できる回路装置等を提供すること。
【解決手段】回路装置100は、クロック信号CKを生成するクロック信号生成回路110と、クロック信号CKに基づく出力クロック信号CKQを出力する出力回路140と、出力クロック信号CKQを出力するクロック端子TCKと、を含む。また回路装置100は、テスト端子TVTと、デューティー調整値AJを記憶する記憶回路160と、クロック信号CKのデューティーをデューティー調整値AJに基づいて調整するデューティー調整回路150と、を含む。出力回路140は、第1状態のときに、クロック信号CKの正転信号に基づく第1直流電圧をテスト端子TVTに出力する。また出力回路140は、第2状態のときに、クロック信号CKの反転信号に基づく第2直流電圧をテスト端子TVTに出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を生成するクロック信号生成回路と、
前記クロック信号に基づく出力クロック信号を出力する出力回路と、
前記出力クロック信号を出力するクロック端子と、
テスト端子と、
デューティー調整値を記憶する記憶回路と、
前記クロック信号のデューティーを前記デューティー調整値に基づいて調整するデューティー調整回路と、
を含み、
前記出力回路は、
第1状態のときに、前記クロック信号の正転信号に基づく第1直流電圧を前記テスト端子に出力し、
第2状態のときに、前記クロック信号の反転信号に基づく第2直流電圧を前記テスト端子に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載された回路装置において、
前記出力回路は、
前記第1状態のとき、前記クロック信号の正転信号を出力し、前記第2状態のとき、前記クロック信号の反転信号を出力する切り替え回路と、
前記切り替え回路の出力信号をバッファーリングして前記クロック端子に出力するバッファー回路と、
前記バッファー回路の出力ノードと前記テスト端子との間に直列に設けられた抵抗及びスイッチと、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載された回路装置において、
前記切り替え回路は、信号経路内に並列に設けられたトランスファーゲート及びクロックドインバーターを含み、
前記第1状態のとき、前記トランスファーゲートがオンであり、前記第2状態のとき、前記クロックドインバーターが出力状態であることを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項2に記載された回路装置において、
前記切り替え回路は、
第1クロックドインバーターを有し、前記切り替え回路の入力ノードと出力ノードとの間に設けられ、前記第1クロックドインバーターが出力状態のとき前記クロック信号の正転信号を出力する正転回路と、
前記正転回路に並列に設けられる第2クロックドインバーターと、
を含み、
前記第1状態のとき、前記第1クロックドインバーターが出力状態であり、前記第2状態のとき、前記第2クロックドインバーターが出力状態であることを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1に記載された回路装置において、
前記出力回路は、
前記クロック信号が入力されるボルテージフォロア接続の第1アンプ回路と、
前記第1アンプ回路の出力信号を反転する第2アンプ回路と、
前記第1アンプ回路の出力ノードと前記テスト端子との間に設けられる第1ローパスフィルター及び第1スイッチと、
前記第2アンプ回路の出力ノードと前記テスト端子との間に設けられる第2ローパスフィルター及び第2スイッチと、
を含み、
前記第1状態のとき、前記第1スイッチがオンであり、前記第2状態のとき、前記第2スイッチがオンであることを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5に記載された回路装置において、
前記第1アンプ回路は、非反転入力端子に前記クロック信号が入力され、反転入力端子と出力端子が接続される第1演算増幅器を含み、
前記第2アンプ回路は、
非反転入力端子に基準電圧が入力される第2演算増幅器と、
前記第1演算増幅器の出力端子と前記第2演算増幅器の反転入力端子との間に設けられる第1抵抗と、
前記第2演算増幅器の反転入力端子と前記第2演算増幅器の出力端子との間に設けられる第2抵抗と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1に記載された回路装置において、
前記第1状態と前記第2状態を切り替える状態設定信号を記憶するレジスターと、
前記状態設定信号を外部から受信し、受信した前記状態設定信号を前記レジスターに書き込むインターフェース回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された回路装置において、
前記クロック信号生成回路は、
発振信号を生成する発振回路と、
前記発振信号を波形整形することで前記クロック信号を出力する波形整形回路と、
を含み、
前記デューティー調整回路は、前記波形整形回路に入力される前記発振信号のバイアス電圧を、前記デューティー調整値に基づいて設定することを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された回路装置と、
前記クロック信号を生成するための振動子と、
を含むことを特徴とする発振器。
【請求項10】
回路装置を含む発振器の製造方法であって、
前記回路装置は、
クロック信号を生成するクロック信号生成回路と、
前記クロック信号に基づく出力クロック信号を出力する出力回路と、
前記出力クロック信号を出力するクロック端子と、
テスト端子と、
デューティー調整値を記憶する記憶回路と、
前記クロック信号のデューティーを前記デューティー調整値に基づいて調整するデューティー調整回路と、
を含み、
前記回路装置を、前記出力回路が前記クロック信号の正転信号に基づく第1直流電圧を前記テスト端子に出力する第1状態に設定し、
前記第1直流電圧を測定し、
前記回路装置を、前記出力回路が前記クロック信号の反転信号に基づく第2直流電圧を前記テスト端子に出力する第2状態に設定し、
前記第2直流電圧を測定し、
前記第1直流電圧と前記第2直流電圧の差分値に基づいて、前記デューティー調整値を設定し、設定した前記デューティー調整値を前記記憶回路に書き込むことを特徴とする発振器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、発振器及び発振器の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ローパスフィルターと第1インバーターと第2インバーターと第1抵抗と第2抵抗とキャパシターと演算増幅器と第3抵抗とを有するクロックデューティー補償回路が開示されている。ローパスフィルターが入力クロック信号をなめらかにし、その信号を第1インバーターが反転し、その信号を第1抵抗とキャパシターが積分し、その第1DCレベルが演算増幅器の非反転入力へ供給される。第2インバーターが第1インバーターの出力信号を反転し、その信号を第2抵抗とキャパシターが積分し、その第2DCレベルが演算増幅器の反転入力へ供給される。演算増幅器は、第1DCレベルと第2DCレベルの差分値を第3抵抗を介してローパスフィルターの出力信号に加えることでバイアス補正する。そのバイアス補正されたローパスフィルターの出力信号が第1インバーターへ供給される。差分値がゼロになるようにバイアス補正されることで、クロックデューティーが補償される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-252007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、クロックデューティー補償回路が常時動作し、演算増幅器が第1インバーターの入力ノードにフィードバックを行っている。このためノイズの回り込みが発生し、クロック信号のノイズ特性が悪化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、クロック信号を生成するクロック信号生成回路と、前記クロック信号に基づく出力クロック信号を出力する出力回路と、前記出力クロック信号を出力するクロック端子と、テスト端子と、デューティー調整値を記憶する記憶回路と、前記クロック信号のデューティーを前記デューティー調整値に基づいて調整するデューティー調整回路と、を含み、前記出力回路は、第1状態のときに、前記クロック信号の正転信号に基づく第1直流電圧を前記テスト端子に出力し、第2状態のときに、前記クロック信号の反転信号に基づく第2直流電圧を前記テスト端子に出力する回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記の回路装置と、前記クロック信号を生成するための振動子と、を含む発振器に関係する。
【0007】
また本開示の更に他の態様は、回路装置を含む発振器の製造方法であって、前記回路装置は、クロック信号を生成するクロック信号生成回路と、前記クロック信号に基づく出力クロック信号を出力する出力回路と、前記出力クロック信号を出力するクロック端子と、テスト端子と、デューティー調整値を記憶する記憶回路と、前記クロック信号のデューティーを前記デューティー調整値に基づいて調整するデューティー調整回路と、を含み、前記回路装置を、前記出力回路が前記クロック信号の正転信号に基づく第1直流電圧を前記テスト端子に出力する第1状態に設定し、前記第1直流電圧を測定し、前記回路装置を、前記出力回路が前記クロック信号の反転信号に基づく第2直流電圧を前記テスト端子に出力する第2状態に設定し、前記第2直流電圧を測定し、前記第1直流電圧と前記第2直流電圧の差分値に基づいて、前記デューティー調整値を設定し、設定した前記デューティー調整値を前記記憶回路に書き込む発振器の製造方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】回路装置の第1構成例。
図2】回路装置の第2構成例、及びテスト時の接続構成例。
図3】デューティー調整のフローチャート例。
図4】デューティー調整の手法を説明する図。
図5】デューティー調整の手法を説明する図。
図6】クロック信号が平滑化された直流電圧そのものを用いてデューティー調整する場合における、デューティー誤差を説明する図。
図7】本実施形態におけるデューティー誤差を説明する図。
図8】発振回路、波形整形回路及びデューティー調整回路の詳細構成例。
図9】出力回路の第1詳細構成例。
図10】出力回路の第1詳細構成例の動作説明図。
図11】出力回路の第2詳細構成例。
図12】出力回路の第2詳細構成例の動作説明図。
図13】出力回路の第3詳細構成例。
図14】出力回路の第3詳細構成例の動作説明図。
図15】波形がなまったクロック信号のデューティーと高調波歪みの関係を示す図。
図16】本実施形態におけるクロック信号のデューティーと高調波歪みの関係を示す図。
図17】本実施形態の回路装置を含む発振器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.回路装置
図1は、回路装置の第1構成例である。回路装置100は、クロック信号生成回路110と出力回路140とデューティー調整回路150と記憶回路160とクロック端子TCKとテスト端子TVTと抵抗RAとを含む。回路装置100は、例えば複数の回路素子が半導体基板上に集積された集積回路装置である。
【0011】
クロック信号生成回路110は、周期的な矩形パルス信号であるクロック信号CKを、生成する。クロック信号生成回路110は、発振回路120と波形整形回路130とを含む。但し、クロック信号生成回路110が発振回路120を含まず、回路装置100の外部から発振信号OSCが入力されてもよい。
【0012】
発振回路120は、発振信号OSCを生成する。発振信号OSCは正弦波信号であるが、これに限らず、正弦波が歪んだ信号、或いは正弦波信号の上下がクリップされた信号等であってもよい。発振回路120の構成は種々想定される。例えば、回路装置100の外部に振動子が設けられ、発振回路120が振動子を駆動することで発振信号OSCを生成してもよい。或いは、発振回路120は、インダクター及びキャパシターによる共振回路と、共振回路を駆動することで発振信号OSCを生成する駆動回路と、を含んでもよい。このとき、共振回路の一部又は全部が回路装置100の外部に設けられてもよい。
【0013】
波形整形回路130は、発振信号OSCを波形整形することでクロック信号CKを出力する。即ち、波形整形回路130は、正弦波信号等である発振信号OSCを、矩形パルス信号であるクロック信号CKに整形する。波形整形回路130は、例えば直列接続された1段又は複数段のインバーターである。なお、本実施形態において回路要素間の接続は電気的な接続である。電気的な接続とは、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子又は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0014】
記憶回路160は、デューティー調整値AJを記憶する。記憶回路160は、不揮発性メモリー、揮発性メモリー又はレジスター等である。不揮発性メモリーは、例えばOTPメモリー或いはEEPROMである。揮発性メモリーは、例えばSRAM或いはDRAMである。
【0015】
デューティー調整回路150は、デューティー調整値AJに基づいてクロック信号CKのデューティーを調整する。デューティーとは、クロック信号の1周期に対するハイレベル期間の比である。デューティー調整値AJはバイアス電圧VBSの電圧値を制御するデータである。デューティー調整回路150は、抵抗RAを介してバイアス電圧VBSを波形整形回路130の入力ノードに設定することで、発振信号OSCのバイアス電圧を設定する。発振回路120は、キャパシター等のACカップリングにより発振信号のAC成分を出力する。そのAC成分に対してバイアス電圧VBSが設定された信号が、発振信号OSCとして波形整形回路130へ入力される。バイアス電圧VBSが変化するとクロック信号CKのデューティーが変化するので、デューティー調整値AJによってクロック信号CKのデューティーが設定されることになる。
【0016】
出力回路140は、クロック信号CKをバッファーリングし、そのバッファーリング後の信号を出力クロック信号CKQとしてクロック端子TCKへ出力する。クロック端子TCKには、出力クロック信号CKQを用いる様々な外部回路が接続されてよい。また、回路装置100は、検査工程等のテスト時においてテストモードに設定される。このとき、出力回路140は、クロック信号CKに基づく直流電圧VTESTをテスト端子TVTへ出力する。出力回路140は、クロック信号CKの正転信号に基づく第1直流電圧を直流電圧VTESTとして出力する第1状態と、クロック信号CKの反転信号に基づく第2直流電圧を直流電圧VTESTとして出力する第2状態と、を有する。第1直流電圧は、クロック信号CKの正転信号が平滑化された信号であり、第2直流電圧は、クロック信号CKの反転信号が平滑化された信号である。平滑化回路は、出力回路140に含まれてもよいし、その一部が回路装置100の外部に設けられてもよい。
【0017】
検査装置等の外部装置は、第1直流電圧と第2直流電圧の差分値が最小となるようにデューティー調整値AJを決定することで、デューティー50%の出力クロック信号CKQが得られるデューティー調整値AJを決定する。回路装置100は、製品に組み込まれて使用されるとき等の通常動作時において通常動作モードに設定される。このとき、デューティー調整回路150は、テストで決定されたデューティー調整値AJを用いる。これにより、デューティー50%の出力クロック信号CKQが出力される。
【0018】
図2は、回路装置の第2構成例、及びテスト時の接続構成例である。以下、図1と同様な構成要素には図1と同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。回路装置100は、インターフェース回路170を含む。また、記憶回路160は、レジスター161と不揮発性メモリー162とを含む。
【0019】
検査装置300は、回路装置100又は回路装置100を含む発振器の検査工程においてテスト端子TVTに接続される。インターフェース回路170は、検査装置300と回路装置100の間の通信を行う。デューティー調整時においては、インターフェース回路170は、第1状態と第2状態を切り替える状態設定信号CTL、及びデューティー調整値AJを検査装置300から受信し、その状態設定信号CTL及びデューティー調整値AJをレジスター161に書き込む。また、最終的なデューティー調整値AJが決定された後、インターフェース回路170は、決定されたデューティー調整値AJを検査装置300から受信し、そのデューティー調整値AJを不揮発性メモリー162に書き込む。インターフェース回路170は、様々なデジタル通信インターフェース回路であってよいが、一例としては、SPI方式又はI2C方式等のシリアル通信インターフェース回路である。
【0020】
デューティー調整回路150は、レジスター161に記憶されるデューティー調整値AJを用いる。デューティー調整時においては、検査装置300からレジスター161に書き込まれたデューティー調整値AJが用いられる。通常動作時には、回路装置100の初期化等において不揮発性メモリー162からデューティー調整値AJがレジスター161にロードされ、そのデューティー調整値AJが用いられる。
【0021】
図3は、デューティー調整のフローチャート例である。ステップS1において、検査装置300がデューティー調整値AJをレジスター161に書き込む。初回のステップS1においては、デューティー調整値AJの初期値が書き込まれる。
【0022】
ステップS2において、検査装置300が、出力クロック信号CKQがクロック信号CKの正転信号になるように状態設定信号CTLをレジスター161に書き込む。出力回路140は、第1状態に設定され、クロック信号CKの正転信号に基づく第1直流電圧をテスト端子TVTに出力する。第1直流電圧をVDC1とする。
【0023】
ステップS3において、検査装置300が、テスト端子TVTから出力された第1直流電圧VDC1の電圧値を測定する。
【0024】
ステップS4において、検査装置300が、出力クロック信号CKQがクロック信号CKの反転信号になるように状態設定信号CTLをレジスター161に書き込む。出力回路140は、第2状態に設定され、クロック信号CKの反転信号に基づく第2直流電圧をテスト端子TVTに出力する。第2直流電圧をVDC2とする。
【0025】
ステップS5において、検査装置300が、テスト端子TVTから出力された第2直流電圧VDC2の電圧値を測定する。
【0026】
検査装置300は、第1直流電圧VDC1と第2直流電圧VDC2の差分値の絶対値がゼロであるか否かを判定する。検査装置300は、差分値の絶対値がゼロでない場合、ステップS1に戻り、前回のデューティー調整値とは異なるデューティー調整値をレジスター161に書き込む。検査装置300は、差分値の絶対値がゼロである場合、ステップS7において、現在のデューティー調整値を不揮発性メモリー162に書き込む。これにより、第1直流電圧VDC1と第2直流電圧VDC2の差分値の絶対値がゼロとなるときのデューティー調整値が不揮発性メモリー162に書き込まれ、そのデューティー調整値が回路装置100の通常動作において用いられる。
【0027】
図4及び図5を用いて、デューティー調整の手法を説明する。図4は、回路装置100の信号波形例である。
【0028】
図4の上段及び中段に示すように、波形整形回路130は、正弦波信号である発振信号OSCを、矩形波信号であるクロック信号CKに整形する。発振信号OSCが所定電圧を超えている期間においてクロック信号CKがハイレベルとなる。このため、発振信号OSCのバイアス電圧VBSが変化すると、クロック信号CKのデューティーが変化する。
【0029】
図4の下段に示すように、出力回路140は、第1状態において、クロック信号CKの正転信号PCKが平滑化された第1直流電圧VDC1を出力する。例えば、第1状態は、クロック信号CKに対して正転論理の出力クロック信号CKQを出力する状態であり、出力回路140は、出力クロック信号CKQを正転信号PCKとして用いて第1直流電圧VDC1を出力する。但し、第1直流電圧の生成手法は上記に限定されず、正転信号PCKは、クロック信号CKに対して正転論理のクロック信号であればよい。
【0030】
出力回路140は、第2状態において、クロック信号CKの反転信号NCKが平滑化された第2直流電圧VDC2を出力する。例えば、第2状態は、クロック信号CKに対して反転論理の出力クロック信号CKQを出力する状態であり、出力回路140は、出力クロック信号CKQを反転信号NCKとして用いて第2直流電圧VDC2を出力する。但し、第2直流電圧の生成手法は上記に限定されず、反転信号NCKは、クロック信号CKに対して反転論理のクロック信号であればよい。
【0031】
図5は、デューティー調整値と出力クロック信号のデューティーとの関係を説明する図である。
【0032】
図5の上段に示すように、検査装置300は、ΔVDC=|VDC1-VDC2|=0となるデューティー調整値を、最終的なデューティー調整値FAJとして決定し、回路装置100の不揮発性メモリー162へ書き込む。
【0033】
図5の下段に、デューティー調整値と出力クロック信号CKQのデューティーの関係を示す。デューティー調整値が変わると発振信号OSCのバイアス電圧VBSが変わるので、クロック信号CKのデューティー、即ち出力クロック信号CKQのデューティーが変わる。図4におけるクロック信号CKの正転信号PCKのデューティーと、クロック信号CKの反転信号NCKのデューティーとが等しくなるとき、即ち、それらのデューティーがいずれも50%であるとき、VDC1=VDC2である。これにより、検査装置300がΔVDC=|VDC1-VDC2|=0となるようにデューティー調整値FAJを決定することで、出力クロック信号CKQのデューティーが50%となるデューティー調整値FAJを決定できる。以下に説明するように、差分値であるΔVDCを用いてデューティー調整することで、直流電圧そのものを用いてデューティー調整する場合に比べて、高精度にデューティーを調整できる。
【0034】
図6は、クロック信号が平滑化された直流電圧そのものを用いてデューティー調整する場合における、デューティー誤差を説明する図である。
【0035】
検査装置は、直流電圧の電圧値を測定し、その測定値と期待値とを比較することで、デューティー50%となるデューティー調整値を決定する。このとき、直流電圧の測定誤差ERRbがあるため、理想的なデューティー50%に対して誤差Δbが生じる。例えば、検査装置が直流電圧をA/D変換し、そのA/D出力データと期待値データとを比較する場合、A/D変換誤差によってデューティーの誤差Δbが生じる。また、期待値は、クロック振幅の1/2の電圧が想定される。このとき、電源電圧の誤差等によってクロック振幅が理想的でないと、デューティー50%のときの直流電圧と期待値とが一致せず、それによってデューティーの誤差Δbが生じる。
【0036】
図7は、本実施形態におけるデューティー誤差を説明する図である。本実施形態によれば、検査装置は、第1直流電圧と第2直流電圧の差分値がゼロになるデューティー調整値を決定することで、デューティー50%となるデューティー調整値を決定する。差分値を用いたことで、第1直流電圧と第2直流電圧の各々に対して生じる測定誤差をキャンセルできる。例えば、上記のA/D変換誤差又は期待値誤差は、差分によってキャンセルされる。これにより、第1直流電圧と第2直流電圧の差分値が有する誤差ΔERRaが小さくなり、理想的なデューティー50%に対する誤差Δaを小さくできる。誤差Δaは、図6の誤差Δbより小さい。
【0037】
本実施形態によれば、回路装置100は、クロック信号CKを生成するクロック信号生成回路110と、クロック信号CKに基づく出力クロック信号CKQを出力する出力回路140と、出力クロック信号CKQを出力するクロック端子TCKと、を含む。また回路装置100は、テスト端子TVTと、デューティー調整値AJを記憶する記憶回路160と、クロック信号CKのデューティーをデューティー調整値AJに基づいて調整するデューティー調整回路150と、を含む。出力回路140は、第1状態のときに、クロック信号CKの正転信号に基づく第1直流電圧VDC1をテスト端子TVTに出力する。また出力回路140は、第2状態のときに、クロック信号CKの反転信号に基づく第2直流電圧VDC2をテスト端子TVTに出力する。
【0038】
このようにすれば、回路装置100は、クロック信号CKの正転信号に基づく第1直流電圧VDC1、及びクロック信号CKの反転信号に基づく第2直流電圧VDC2を、テスト端子TVTから出力できる。これにより、検査装置300等の外部装置は、テスト端子TVTから出力された第1直流電圧VDC1と第2直流電圧VDC2の差分値を用いて、出力クロック信号CKQのデューティー比を50%にするデューティー調整値AJを、決定できる。デューティーが増えると第1直流電圧VDC1が上昇し、第2直流電圧VDC2が低下するので、外部装置は、差分値が最小になるようにデューティー調整値AJを決定することで、出力クロック信号CKQのデューティー比を50%にできる。
【0039】
上述の特許文献1ではフィードバックによりデューティー調整を行っているため、そのフィードバックにおけるノイズによりクロック信号のノイズ特性が悪化するおそれがある。本実施形態によれば、フィードバックを用いずに出力クロック信号CKQのデューティーが調整されるので、ノイズ特性を向上できる。
【0040】
また、第1直流電圧VDC1と第2直流電圧VDC2の差分値を用いることで、第1直流電圧VDC1及び第2直流電圧VDC2の各々の測定誤差がキャンセルされるため、直流電圧そのものを用いる場合に比べて差分値を用いた方が、測定誤差が小さくなり、デューティー比を精度良く50%に設定できる。
【0041】
また本実施形態の回路装置100は、レジスター161とインターフェース回路170とを含む。レジスター161は、第1状態と第2状態を切り替える状態設定信号CTLを記憶する。インターフェース回路170は、状態設定信号CTLを外部から受信し、受信した状態設定信号CTLをレジスター161に書き込む。
【0042】
このようにすれば、検査装置300等の外部装置からインターフェース回路170を介してレジスター161に状態設定信号CTLを書き込むことができる。これにより、検査装置300等の外部装置は、出力回路140を第1状態に設定して第1直流電圧VDC1を取得し、出力回路140を第2状態に設定して第2直流電圧VDC2を取得し、それらの差分値からデューティー調整値を決定できる。
【0043】
本実施形態は、回路装置100を含む発振器の製造方法として実施されてもよい。製造方法は、回路装置100を、出力回路140がクロック信号CKの正転信号に基づく第1直流電圧VDC1をテスト端子TVTに出力する第1状態に設定することと、第1直流電圧VDC1を測定することと、を含む。製造方法は、回路装置100を、出力回路140がクロック信号CKの反転信号に基づく第2直流電圧VDC2をテスト端子TVTに出力する第2状態に設定することと、第2直流電圧VDC2を測定することと、を含む。製造方法は、第1直流電圧VDC1と第2直流電圧VDC2の差分値に基づいて、デューティー調整値AJを設定し、設定したデューティー調整値AJを記憶回路160に書き込む。
【0044】
2.詳細構成例
図8は、発振回路、波形整形回路及びデューティー調整回路の詳細構成例である。ここでは、発振回路120が、振動子を用いたピアース型発振回路である例を説明する。但し、発振回路120は図8の構成に限定されず、例えばコルピッツ型又はハートレー型の発振回路であってもよい。
【0045】
発振回路120は、電流源回路ISと、バイポーラートランジスターTRと、抵抗RXと、キャパシターCX、C1、C2とを含む。
【0046】
端子TX1、TX2は回路装置100の端子であり、例えば集積回路装置のパッドである。振動子10の一端は端子TX1に接続され、他端は端子TX2に接続される。振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、水晶振動片等の振動片により実現できる。例えば振動子10は、カット角がATカット又はSCカット等の厚みすべり振動する水晶振動片である。或いは振動子10は、音叉型水晶振動片であってもよい。或いは振動子10は、厚みすべり振動型又は音叉型以外の振動片、又は水晶以外の材料で形成された圧電振動片等の種々の振動片であってもよい。例えば、振動子10は、SAW共振子、又はシリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS振動子であってもよい。SAWはSurface Acoustic Waveの略であり、MEMSはMicro Electro Mechanical Systemsの略である。
【0047】
端子TX1に接続されるノードを第1ノードN1とし、端子TX2に接続されるノードを第2ノードN2とする。電流源回路ISは、電源電圧VREGのノードと第2ノードN2との間に設けられ、発振回路120を駆動する電流を第2ノードN2へ出力する。バイポーラートランジスターTRのコレクターは第2ノードN2に接続され、エミッターはグランド電圧GNDのノードに接続される。抵抗RXの一端は第2ノードN2に接続され、他端はバイポーラートランジスターTRのベースに接続される。キャパシターCXの一端は第1ノードN1に接続され、他端はバイポーラートランジスターTRのベースに接続される。キャパシターC1の一端は第1ノードN1に接続され、他端はグランド電圧GNDのノードに接続される。キャパシターC2の一端は第2ノードN2に接続され、他端はグランド電圧GNDのノードに接続される。
【0048】
デューティー調整回路150は、電源電圧VREGとグランド電圧GNDの間を分圧して複数の電圧を生成し、その複数の電圧のうち、デューティー調整値AJにより選択される電圧を、バイアス電圧VBSとして出力する。デューティー調整回路150は、例えばラダー抵抗回路とセレクターとを含む。ラダー抵抗回路は、電源電圧VREGとグランド電圧GNDの間を分圧して複数の電圧を生成する。セレクターは、ラダー抵抗回路からの複数の電圧のうち、デューティー調整値AJが示す電圧を選択し、その選択した電圧をバイアス電圧VBSとして出力する。
【0049】
抵抗RBの一端はデューティー調整回路150の出力ノードに接続され、他端は発振回路120の第1ノードN1に接続される。第1ノードN1は、発振回路120の発振ループにおいてキャパシターCX及び振動子10によってDCカットされたノードである。デューティー調整回路150は、抵抗RBを介して第1ノードN1にバイアス電圧VBSを設定する。このようにして、発振信号OSCのバイアス電圧VBSが、デューティー調整値AJによって設定される。
【0050】
波形整形回路130は、インバーターIVA1とインバーターIVA2とを含む。各インバーターは、電源電圧VREGのノードとグランド電圧GNDのノードとの間に直列接続されたP型MOSトランジスター及びN型MOSトランジスターによって構成される。インバーターIVA1には発振信号OSCが入力され、インバーターIVA2にはインバーターIVA1の出力信号が入力され、インバーターIVA2がクロック信号CKを出力する。インバーターIVA1及びインバーターIVA2のゲインによって、発振信号OSCがクロック信号CKに波形整形される。なお、ここでは波形整形回路130が2段のインバーターで構成される例を説明したが、これに限定されず、例えば波形整形回路130は1段又は3段以上のインバーターで構成されてもよい。
【0051】
本実施形態によれば、クロック信号生成回路110は、発振信号OSCを生成する発振回路120と、発振信号OSCを波形整形することでクロック信号CKを出力する波形整形回路130と、を含む。デューティー調整回路150は、波形整形回路130に入力される発振信号OSCのバイアス電圧VBSを、デューティー調整値AJに基づいて設定する。
【0052】
このようにすれば、波形整形回路130に入力される発振信号OSCのバイアス電圧VBSがデューティー調整値AJにより設定される。波形整形回路130が出力するクロック信号CKのデューティーは、発振信号OSCのバイアス電圧VBSによって変化し、そのクロック信号CKが出力回路140によりバッファーリングされて出力クロック信号CKQとして出力される。このようにして、デューティー調整値AJにより出力クロック信号CKQのデューティーを調整できる。
【0053】
図9は、出力回路の第1詳細構成例である。出力回路140は、切り替え回路141とバッファー回路142と抵抗RTとスイッチSWTとを含む。
【0054】
テスト時において、クロック端子TCKとグランド電圧GNDのノードとの間にキャパシターCLが接続され、テスト端子TVTに検査装置300が接続される。
【0055】
切り替え回路141は、第1状態のとき、クロック信号CKの正転信号である正転クロック信号を出力し、第2状態のとき、クロック信号CKの反転信号である反転クロック信号を出力する。切り替え回路141は、否定論理積回路NAAとトランスファーゲートTGAとクロックドインバーターCKINAとインバーターINA1、INA2とを含む。
【0056】
否定論理積回路NAAは、クロック信号CKとイネーブル信号ENの否定論理積の信号を出力する。イネーブル信号ENは、出力クロック信号CKQの出力をイネーブル又はディセーブルに制御する信号であり、レジスター161から出力回路140へ入力される。例えば、外部の処理装置がインターフェース回路170を介してレジスター161にイネーブル信号ENを書き込む。
【0057】
インバーターINA2は、状態設定信号CTLの反転信号XCTLを出力する。ここでは、ローレベルの状態設定信号CTLが第1状態を示し、ハイレベルの状態設定信号CTLが第2状態を示す。
【0058】
トランスファーゲートTGA及びクロックドインバーターCKINAは、切り替え回路の信号経路において並列に設けられる。具体的には、トランスファーゲートTGA及びクロックドインバーターCKINAは、否定論理積回路NAAの出力ノードとインバーターINA1の入力ノードとの間に並列接続される。
【0059】
トランスファーゲートTGAは、P型MOSトランジスターとN型MOSトランジスターが並列接続された回路である。P型MOSトランジスターのゲートには状態設定信号CTLが入力され、N型MOSトランジスターのゲートには状態設定信号CTLの反転信号XCTLが入力される。
【0060】
クロックドインバーターCKINAは、入力信号の反転信号を出力する出力状態と、出力ノードがハイインピーダンスとなる非出力状態とが、制御信号によって切り替えられる回路である。クロックドインバーターCKINAは、第1制御ノードに状態設定信号CTLの反転信号XCTLが入力され、第2制御ノードに状態設定信号CTLが入力される。クロックドインバーターCKINAは、第1制御ノードにローレベルが入力され且つ第2制御ノードにハイレベルが入力されたとき出力状態となり、第1制御ノードにハイレベルが入力され且つ第2制御ノードにローレベルが入力されたとき非出力状態となる。
【0061】
インバーターINA1は、トランスファーゲートTGA又はクロックドインバーターCKINAからの信号の反転信号を出力する。
【0062】
バッファー回路142は、切り替え回路141の出力信号をバッファーリングしてクロック端子TCKに出力する。バッファー回路142は、インバーターINA3、INA4を含む。
【0063】
インバーターINA3は、切り替え回路141の出力信号をバッファーリングする。インバーターINA4は、インバーターINA3の出力信号をバッファーリングし、切り替え回路141の出力信号の正転信号である出力クロック信号CKQを、クロック端子TCKへ出力する。
【0064】
抵抗RT及びスイッチSWTは、バッファー回路142の出力ノードとテスト端子TVTとの間に直列接続される。具体的には、抵抗RTの一端はインバーターINA4の出力ノードに接続され、他端はスイッチSWTの一端に接続される。スイッチSWTの他端はテスト端子TVTに接続される。
【0065】
スイッチSWTがオンであるとき、バッファー回路142の出力ノードから検査装置300への経路に対して抵抗RTが直列に設けられる。また検査装置300の入力側にはキャパシターCTが設けられ、バッファー回路142の出力ノードから検査装置300への経路においてローパスフィルターとして機能する。このローパスフィルターは、出力クロック信号CKQを平滑化することで直流電圧VTESTをテスト端子TVTから検査装置300へ出力する。
【0066】
図10は、出力回路の第1詳細構成例の動作説明図である。図10には、イネーブル信号ENがハイレベル、即ち出力イネーブルであるときの動作を図示する。なお、イネーブル信号ENがローレベルのときには、否定論理積回路NAAの出力がハイレベル固定となり、このとき状態設定信号CTLをローレベルとしておくことで、出力クロック信号CKQがローレベル固定となる。
【0067】
以下、「0」はローレベルを意味し、「1」はハイレベルを意味する。また、クロックドインバーターの「オン」は出力状態を意味し、「オフ」は非出力状態を意味する。
【0068】
テスト時の第1状態において、CTL=0、XCTL=1である。このとき、トランスファーゲートTGAがオンであり、クロックドインバーターCKINAがオフなので、出力クロック信号CKQは、クロック信号CKの正転信号となる。テスト時にはスイッチSWTがオンであり、テスト端子TVTから出力される直流電圧VTESTは、第1直流電圧VDC1である。
【0069】
テスト時の第2状態において、CTL=1、XCTL=0である。このとき、トランスファーゲートTGAがオフであり、クロックドインバーターCKINAがオンなので、出力クロック信号CKQは、クロック信号CKの反転信号となる。テスト時にはスイッチSWTがオンであり、テスト端子TVTから出力される直流電圧VTESTは、第2直流電圧VDC2である。
【0070】
通常動作のクロック出力時には、CTL=0、XCTL=1である。このとき、クロック信号CKの正転信号である出力クロック信号CKQが、クロック端子TCKから出力される。スイッチSWTはオフである。なお、通常動作時にはクロック端子TCKにはキャパシターCLは接続されていなくてもよく、出力クロック信号CKQを用いる回路が接続される。また、通常動作時にはテスト端子TVTに検査装置300は接続されなくてもよい。
【0071】
本実施形態によれば、出力回路140は、切り替え回路141とバッファー回路142と抵抗RTとスイッチSWTとを含む。切り替え回路141は、第1状態のとき、クロック信号CKの正転信号を出力し、第2状態のとき、クロック信号CKの反転信号を出力する。バッファー回路142は、切り替え回路141の出力信号をバッファーリングしてクロック端子TCKに出力する。抵抗RT及びスイッチSWTは、バッファー回路142の出力ノードとテスト端子TVTとの間に直列に設けられる。なお、検査装置の入力側とGNDの間にはキャパシターCTが設けられてもよい。
【0072】
このようにすれば、第1状態において、切り替え回路141がクロック信号CKの正転信号を出力し、その正転信号をバッファー回路142がバッファーリングする。バッファー回路142の出力ノードとテスト端子TVTとの間に抵抗RTが設けられていることで、正転信号を平滑化することが可能になる。例えば、バッファー回路142の出力ノードとテスト端子TVTとの間に抵抗RTが設けられ、検査装置の入力側とGNDの間にはキャパシターCTが設けられることで、検査装置への経路に対してローパスフィルターが構成され、正転信号を平滑化することが可能になる。このようにして、第1状態においてテスト端子TVTから第1直流電圧VDC1が出力される。第2状態において、切り替え回路141がクロック信号CKの反転信号を出力し、その反転信号をバッファー回路142がバッファーリングする。これにより、第2状態においてテスト端子TVTから第2直流電圧VDC2が出力される。
【0073】
また本実施形態では、切り替え回路141は、信号経路内に並列に設けられたトランスファーゲートTGA及びクロックドインバーターCKINAを含む。第1状態のとき、トランスファーゲートTGAがオンであり、第2状態のとき、クロックドインバーターCKINAが出力状態である。
【0074】
このようにすれば、第1状態のときトランスファーゲートTGAがオンであることで、切り替え回路141がクロック信号CKの正転信号を出力できる。第2状態のときクロックドインバーターCKINAが出力状態であることで、切り替え回路141がクロック信号CKの反転信号を出力できる。なお、切り替え回路141の信号経路とは、切り替え回路141においてクロック信号CKが処理され伝達される経路である。
【0075】
図11は、出力回路の第2詳細構成例である。出力回路140は、切り替え回路141とバッファー回路142と抵抗RTとスイッチSWTとを含む。以下、図9と同様な構成要素には図9と同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0076】
切り替え回路141は、否定論理積回路NABと第1クロックドインバーターCKINB1と第2クロックドインバーターCKINB2とインバーターINB1、INB2と否定論理和回路NRBと論理積回路ANBとを含む。
【0077】
インバーターINB2は、イネーブル信号ENの反転信号XENを出力する。否定論理和回路NRBは、イネーブル信号ENの反転信号XENと状態設定信号CTLとの否定論理和の信号ENCTを出力する。論理積回路ANBは、イネーブル信号ENと状態設定信号CTLの論理積の信号INVを出力する。インバーターINB1は、信号INVの反転信号XINVを出力する。
【0078】
否定論理積回路NABと第1クロックドインバーターCKINB1は、この順で、切り替え回路141の入力ノードと出力ノードとの間に直列に設けられる。これを正転回路と呼ぶこととする。否定論理積回路NABは、クロック信号CKと信号ENCTの否定論理積の信号を第1クロックドインバーターCKINB1の入力ノードへ出力する。第1クロックドインバーターCKINB1の出力ノードは切り替え回路141の出力ノードに接続される。第1クロックドインバーターCKINB1の第1制御ノードには信号INVが入力され、第2制御ノードには信号INVの反転信号XINVが入力される。
【0079】
第2クロックドインバーターCKINB2は、上記の正転回路に並列に設けられる。第2クロックドインバーターCKINB2の入力ノードには、クロック信号CKが入力される。第2クロックドインバーターCKINB2の出力ノードは切り替え回路141の出力ノードに接続される。第2クロックドインバーターCKINB2の第1制御ノードには信号INVの反転信号XINVが入力され、第2制御ノードには信号INVが入力される。
【0080】
図12は、出力回路の第2詳細構成例の動作説明図である。図12には、イネーブル信号ENがハイレベル、即ち出力イネーブルであるときの動作を図示する。なお、イネーブル信号ENがローレベルのときには、否定論理積回路NABの出力がハイレベル固定となる。また、信号INVの出力がローレベルとなり、第2クロックドインバーターCKINB2が非出力状態となる。これらにより、出力クロック信号CKQがローレベル固定となる。
【0081】
テスト時の第1状態において、CTL=0、ENCT=1、INV=0、XINV=1である。このとき、否定論理積回路NABがクロック信号CKの反転信号を出力し、第1クロックドインバーターCKINB1が出力状態であり、第2クロックドインバーターCKINB2が非出力状態である。これにより、出力クロック信号CKQは、クロック信号CKの正転信号となる。テスト時にはスイッチSWTがオンであり、テスト端子TVTから出力される直流電圧VTESTは、第1直流電圧VDC1である。
【0082】
テスト時の第2状態において、CTL=1、ENCT=0、INV=1、XINV=0である。このとき、第1クロックドインバーターCKINB1が非出力状態であり、第2クロックドインバーターCKINB2が出力状態である。これにより、出力クロック信号CKQは、クロック信号CKの反転信号となる。テスト時にはスイッチSWTがオンであり、テスト端子TVTから出力される直流電圧VTESTは、第2直流電圧VDC2である。
【0083】
本実施形態によれば、切り替え回路141は、正転回路と第2クロックドインバーターCKINB2とを含む。正転回路は、第1クロックドインバーターCKINB1を有し、切り替え回路141の入力ノードと出力ノードとの間に設けられ、第1クロックドインバーターCKINB1が出力状態のときクロック信号CKの正転信号を出力する。第2クロックドインバーターCKINB2は、正転回路に並列に設けられる。第1状態のとき、第1クロックドインバーターCKINB1が出力状態であり、第2状態のとき、第2クロックドインバーターCKINB2が出力状態である。
【0084】
このようにすれば、第1状態のとき第1クロックドインバーターCKINB1が出力状態であることで、正転回路がクロック信号CKの正転信号を出力するので、切り替え回路141がクロック信号CKの正転信号を出力できる。第2状態のとき第2クロックドインバーターCKINB2が出力状態であることで、切り替え回路141がクロック信号CKの反転信号を出力できる。
【0085】
図13は、出力回路の第3詳細構成例である。出力回路140は、出力バッファー回路143と直流電圧生成回路144とを含む。以下、図9と同様な構成要素には図9と同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0086】
バッファー回路142は、クロック信号CKをバッファーリングして出力クロック信号CKQをクロック端子TCKへ出力する。出力バッファー回路143は、否定論理積回路NACとインバーターINC1~INC3とを含む。
【0087】
否定論理積回路NACは、クロック信号CKとイネーブル信号ENの否定論理積の信号を出力する。インバーターINC1は、否定論理積回路NACの出力信号をバッファーリングする。インバーターINC2は、インバーターINC1の出力信号をバッファーリングする。インバーターINC3は、インバーターINC2の出力信号をバッファーリングすることで、クロック信号CKの正転信号である出力クロック信号CKQを出力する。
【0088】
直流電圧生成回路144は、クロック信号CKから第1直流電圧VDC1及び第2直流電圧VDC2を生成する。直流電圧生成回路144は、第1演算増幅器OP1と第2演算増幅器OP2と第1抵抗RC1と第2抵抗RC2と第1ローパスフィルターLPF1と第2ローパスフィルターLPF2と第1スイッチSWC1と第2スイッチSWC2とインバーターINC4~INC7とを含む。
【0089】
インバーターINC4、INC5は、状態設定信号CTLをバッファーリングすることで、状態設定信号CTLの正転信号である信号INVを出力する。インバーターINC6は、信号INVの反転信号XINVを出力する。インバーターINC7は、イネーブル信号ENの反転信号XENを出力する。第1演算増幅器OP1及び第2演算増幅器OP2は、イネーブル信号ENの反転信号XENがハイレベルのとき、動作状態となる。
【0090】
第1演算増幅器OP1の非反転入力端子にはクロック信号CKが入力される。第1演算増幅器OP1の反転入力端子と出力端子が接続される。第1演算増幅器OP1によって構成されたボルテージフォロア回路を、第1アンプ回路と呼ぶ。第1アンプ回路は、クロック信号CKをバッファーリングすることで出力信号VPを出力する。出力信号VPは、クロック信号CKの正転信号である。
【0091】
第1抵抗RC1の一端は、第1演算増幅器OP1の出力端子に接続され、他端は第2演算増幅器OP2の反転入力端子及び第2抵抗RC2の一端に接続される。第2抵抗RC2の他端は、第2演算増幅器OP2の出力端子に接続される。第2演算増幅器OP2の非反転入力端子には、基準電圧VREFが入力される。第1抵抗RC1、第2抵抗RC2及び第2演算増幅器OP2によって構成された反転増幅回路を、第2アンプ回路と呼ぶ。第2アンプ回路のゲインは例えば-1であり、基準電圧VREFは、第1アンプ回路の出力信号VPの振幅中心である。第2アンプ回路は、第1アンプ回路の出力信号VPの反転信号、つまりクロック信号CKの反転信号を、出力信号VNとして出力する。
【0092】
第1ローパスフィルターLPF1及び第1スイッチSWC1は、第1アンプ回路の出力ノードとテスト端子TVTとの間に直列に設けられる。第1ローパスフィルターLPF1は、第1アンプ回路の出力信号VPを平滑化し、その結果を第1直流電圧VDC1として出力する。第1ローパスフィルターLPF1は、例えば抵抗とキャパシターによるパッシブローパスフィルターであるが、これに限定されない。第1スイッチSWC1の一端は第1ローパスフィルターLPF1の出力ノードに接続され、他端はテスト端子TVTに接続される。第1スイッチSWC1は、信号INVの反転信号XINVによりオン又はオフに制御される。
【0093】
第2ローパスフィルターLPF2及び第2スイッチSWC2は、第2アンプ回路の出力ノードとテスト端子TVTとの間に直列に設けられる。第2ローパスフィルターLPF2は、第2アンプ回路の出力信号VNを平滑化し、その結果を第2直流電圧VDC2として出力する。第2ローパスフィルターLPF2は、例えば抵抗とキャパシターによるパッシブローパスフィルターであるが、これに限定されない。第2スイッチSWC2の一端は第2ローパスフィルターLPF2の出力ノードに接続され、他端はテスト端子TVTに接続される。第2スイッチSWC2は、信号INVによりオン又はオフに制御される。
【0094】
図14は、出力回路の第3詳細構成例の動作説明図である。以下、演算増幅器の「オン」は動作状態を意味し、「オフ」は非動作状態を意味する。
【0095】
テスト時の第1状態において、CTL=0、EN=0、INV=0、XINV=1、XEN=1である。このとき、第1演算増幅器OP1及び第2演算増幅器OP2がオンであり、第1スイッチSWC1がオンであり、第2スイッチSWC2がオフである。これにより、テスト端子TVTから出力される直流電圧VTESTは、第1ローパスフィルターLPF1が出力する第1直流電圧VDC1である。
【0096】
テスト時の第2状態において、CTL=1、EN=0、INV=1、XINV=0、XEN=1である。このとき、第1演算増幅器OP1及び第2演算増幅器OP2がオンであり、第1スイッチSWC1がオフであり、第2スイッチSWC2がオンである。これにより、テスト端子TVTから出力される直流電圧VTESTは、第2ローパスフィルターLPF2が出力する第2直流電圧VDC2である。
【0097】
通常動作のクロック出力時には、CTLは任意であり、EN=1、XEN=0である。このとき、出力バッファー回路143は、クロック信号CKをバッファーリングすることで出力クロック信号CKQを出力する。第1演算増幅器OP1及び第2演算増幅器OP2がオフなので、直流電圧VTESTは生成されない。
【0098】
第3詳細構成例によれば、出力バッファー回路143によって波形がなまる前のクロック信号CKから直流電圧VTESTが生成されるので、より精度良くデューティーを50%に近づけることができる。図15及び図16を用いて、この点を説明する。
【0099】
デューティー50%の理想的な矩形波信号は偶数次高調波を有していないが、デューティーが50%でない矩形波信号は偶数次高調波を有する。理想的には、直流電圧の差分値ΔVDCがゼロになるようにデューティーを決定することで、偶数次高調波の全高調波歪みが最小となり、デューティーを50%に決定できる。しかし、偶数次高調波は、信号波形のなまりよっても生じる。そして、何に起因する偶数次高調波であるかに関わらず、クロック信号から得られる直流電圧に対して影響を与える。このため、直流電圧の差分値ΔVDCからデューティー50%となるように決定し、そのとき偶数次高調波の全高調波歪みが最小であったとしても、デューティーに起因する偶数次高調波の全高調波歪みが最小でない、つまりデューティーが50%に対して誤差をもつ、ということが有りうる。
【0100】
図15は、波形がなまったクロック信号のデューティーと高調波歪みの関係を示す図である。図16は、本実施形態におけるクロック信号のデューティーと高調波歪みの関係を示す図である。THDevenは偶数次高調波の全高調波歪みである。偶数次高調波の例として、10次の高調波歪み10th_HDを示す。
【0101】
これらを比較すると、クロック信号がなまった状態においては、デューティー50%における偶数次高調波歪みが大きい。この偶数次高調波歪みは、デューティーに起因したものか信号波形のなまりに起因したものか、区別できないので、デューティーの誤差要因となる。一方、本実施形態においては、クロック信号のエッジが立った状態のクロック信号CKから直流電圧を生成しており、そのクロック信号CKのデューティー50%における偶数次高調波歪みが小さい。このため、信号波形のなまりに起因した偶数次高調波歪みの影響を受けにくく、デューティーに起因する偶数次高調波歪みを最小にできる、即ちデューティーを精度良く50%に決定できる。
【0102】
本実施形態によれば、出力回路140は、クロック信号CKが入力されるボルテージフォロア接続の第1アンプ回路と、第1アンプ回路の出力信号VPを反転する第2アンプ回路と、を含む。出力回路140は、第1アンプ回路の出力ノードとテスト端子TVTとの間に設けられる第1ローパスフィルターLPF及び第1スイッチSWC1と、第2アンプ回路の出力ノードとテスト端子TVTとの間に設けられる第2ローパスフィルターLPF2及び第2スイッチSWT2と、を含む。第1状態のとき、第1スイッチSWT1がオンであり、第2状態のとき、第2スイッチSWT2がオンである。
【0103】
このようにすれば、第1状態のとき、ボルテージフォロア接続の第1アンプ回路がクロック信号CKの正転信号を出力し、第1ローパスフィルターLPF1が正転信号を第1直流電圧VDC1に平滑化し、その第1直流電圧VDC1が第1スイッチSWT1を介してテスト端子TVTから出力される。第2状態のとき、第1アンプ回路の出力信号VPを反転する第2アンプ回路がクロック信号CKの反転信号を出力し、第2ローパスフィルターLPF2が反転信号を第2直流電圧VDC2に平滑化し、その第2直流電圧VDC2が第2スイッチSWT2を介してテスト端子TVTから出力される。
【0104】
また本実施形態では、第1アンプ回路は第1演算増幅器OP1を含む。第1演算増幅器OP1の非反転入力端子にクロック信号CKが入力され、第1演算増幅器OP1の反転入力端子と出力端子が接続される。第2アンプ回路は、第2演算増幅器OP2と第1抵抗RC1と第2抵抗RC2とを含む。第2演算増幅器OP2の非反転入力端子に基準電圧VREFが入力される。第1抵抗RC1は、第1演算増幅器OP1の出力端子と第2演算増幅器OP2の反転入力端子との間に設けられる。第2抵抗RC2は、第2演算増幅器OP2の反転入力端子と出力端子との間に設けられる。
【0105】
このようにすれば、第1演算増幅器OP1の反転入力端子と出力端子が接続されることで、ボルテージフォロア接続の第1アンプ回路が構成される。そして、第1演算増幅器OP1の非反転入力端子にクロック信号CKが入力されることで、第1アンプ回路がクロック信号CKの正転信号を出力できる。第1抵抗RC1が第1演算増幅器OP1の出力端子と第2演算増幅器OP2の反転入力端子との間に設けられ、第2抵抗RC2が第2演算増幅器OP2の反転入力端子と出力端子との間に設けられることで、第1アンプ回路の出力信号VPを反転する第2アンプ回路が構成される。これにより、第2アンプ回路がクロック信号CKの反転信号を出力できる。
【0106】
3.発振器
図17は、本実施形態の回路装置を含む発振器の構成例である。発振器200は、回路装置100と振動子10とを含む。なお、図17において回路装置100の構成要素のうち発振回路120及び出力回路140のみ図示しており、それ以外の構成要素の図示を省略している。
【0107】
発振器200は、回路装置100及び振動子10を収容するパッケージを含んでもよい。例えば、ベースに回路装置100と振動子10が収容され、ベースに蓋が接合されることでパッケージが封止されてもよい。或いは、発振器200は、回路装置100の半導体基板がパッケージの一部となるウエハレベルのパッケージで構成されてもよい。例えば、回路装置100の半導体基板に振動子10が実装され、その振動子10を覆うようにリッドが半導体基板に接合されてもよい。
【0108】
回路装置100は、発振回路120に接続される端子TX1、TX2を含む。端子TX1、TX2の間に振動子10が接続される。発振器200は、端子TCKPを含む。端子TCKPは、出力回路140に接続されたクロック端子TCKに接続される。また発振器200は、端子TVTPを含んでもよい。端子TVTPは、出力回路140に接続されたテスト端子TVTに接続される。なお、端子TVTPを設けず、テスト端子TVTを発振器200の内部端子としてもよい。
【0109】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また発振回路、クロック信号生成回路、出力回路、デューティー調整回路、記憶回路、インターフェース回路、回路装置、振動子、発振器、及び検査装置等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0110】
10…振動子、100…回路装置、110…クロック信号生成回路、120…発振回路、130…波形整形回路、140…出力回路、141…切り替え回路、142…バッファー回路、143…出力バッファー回路、144…直流電圧生成回路、150…デューティー調整回路、160…記憶回路、161…レジスター、162…不揮発性メモリー、170…インターフェース回路、200…発振器、300…検査装置、AJ…デューティー調整値、CK…クロック信号、CKINA…クロックドインバーター、CKINB1…第1クロックドインバーター、CKINB2…第2クロックドインバーター、CKQ…出力クロック信号、CTL…状態設定信号、OP1…第1演算増幅器、OP2…第2演算増幅器、OSC…発振信号、TCK…クロック端子、TGA…トランスファーゲート、TVT…テスト端子、VBS…バイアス電圧、VDC1…第1直流電圧、VDC2…第2直流電圧
図1
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