(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121098
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20240830BHJP
F04D 29/046 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
F04D29/58 Q
F04D29/046 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028001
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅松 昭重
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚正
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC01
3H130AC18
3H130AC27
3H130BA16A
3H130BA16E
3H130BA33E
3H130CB01
3H130DB15X
3H130DD03Z
3H130EA01A
3H130EA01E
3H130EA07A
3H130EA07E
3H130EC14A
3H130EC14E
3H130ED04A
3H130ED04E
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品点数を増やすことなく軸受の放熱性を改善し長寿命化を実現した送風機を提供する。
【解決手段】モータ4の回転子8とインペラ2が長手方向両側に各々組み付けられたモータ軸8aが軸受10を介して回転可能に支持する軸受保持部11がファンケース3に組み付けられており、インペラ2に隣接する軸受保持部11の一部は送風路6に臨む位置まで延設されて当該送風路6の一部を形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラが収容されたファンケーシングと、前記インペラを回転駆動するモータが収容されたモータケーシングが一体に組み付けられ、前記ファンケーシングの軸方向中央部より吸気して径方向外側に設けられた送風路より吐出する送風機であって、
前記モータの回転子と前記インペラが長手方向両側に各々組み付けられたモータ軸を回転可能に支持する軸受及び当該軸受を保持する金属製の軸受保持部が前記インペラと前記モータとの間に配置されており、前記軸受保持部は前記送風路に臨む位置まで径方向外側に延設されて当該送風路の一部を形成していることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記軸受保持部の前記モータ軸を中心として径方向外側に配置された送風路に向かって径方向外側に延設されたフランジ部の先端側が送風路の一部を形成している請求項1記載の送風機。
【請求項3】
前記フランジ部は前記軸受保持部と一体に形成されている請求項2記載の送風機。
【請求項4】
前記フランジ部は前記軸受保持部に対して複数の環状部を組み合わせて組み付けられている請求項2記載の送風機。
【請求項5】
前記インペラは、吸気口に臨むベースプレートの一方の面に複数の第一ブレードが起立形成され、前記フランジ部に臨む前記ベースプレートの他方の面にも複数の第二ブレードが起立形成されている請求項1又は請求項2記載の送風機。
【請求項6】
前記軸受保持部材は、前記防振材を介して前記ファンケーシングに対して組み付けられている請求項1又は請求項2記載の送風機。
【請求項7】
前記送風路に臨む前記軸受保持部材のフランジ部と前記ファンケーシングとの間には隙間が設けられている請求項6記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば医療機器、産業機器、民生機器などに用いられる送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
送風機は、インペラを収容し、圧縮された空気が流れる送風路が設けられた樹脂製のファンケーシングとインペラを回転駆動するモータを収容する金属製または樹脂製のモータケーシングが一体に組み付けられている。モータを起動してインペラを回転することにより、ファンケーシング内に軸方向より外気を吸い込んで径方向外側から圧縮された空気を吐出するようになっている。
【0003】
例えば、
図3に示す送風機50は、モータケーシング51内に配置されたモータ軸52には回転子53が組み付けられ、ファンケーシング54内に延設されたモータ軸52には、インペラ55が組み付けられている。回転体のバランスを取り易くなるため、モータ軸52に組み付けられた回転子53とインペラ55との間には筒状の軸受ハウジング56が設けられ、当該軸受ハウジング56内に一対の軸受57が組み付けられている。モータ軸52は一対の軸受57によって回転可能に支持しており、軸受ハウジング56は、金属材(ステンレス鋼)が用いられている。
インペラ55の回転によりファンケーシング54内に軸方向に吸い込まれた外気が、例えばモータ軸52周りの隙間を通じてモータケーシング51内に漏れると、所期の静圧が得られなくなる。そこで、モータケーシング51とファンケーシング54とは気密性を高めるため、Oリングなどのシール材58で密封されている(特許文献1:特開2021-131021号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送風機(ブロワ)は、小型化、軽量化が求められる一方で、高圧力化、高流量化、高応答化などの性能が求められている。よって、送風機のインペラを小型化し、より高回転させる方向に移行している。
高圧力化、高流量化の要求によりインペラを高速回転させると軸受の発熱が増大し、寿命の低下につながる。また、小型化、軽量化の要求により、ファンケーシングに樹脂材を採用する場合が多いがこの場合金属製に対して送風機の放熱性が低下するため、軸受の発熱が更に増大し、寿命の低下につながる。
モータケーシングの振動抑制のため、軸受ハウジングは、防振材(例えばゴム材)を介して樹脂製のファンケーシングに組み付けられている。この防振材及びファンケーシングは放熱性が低く、軸受周囲の空気の流れが抑制される構造になっているため、軸受の温度が高くなりやすく、寿命低下につながる。
仮に、樹脂製のファンケーシングを金属製にするとすれば、軸受の放熱性は向上するが送風機の重量が増大してモータの発熱がファンケーシングを介して送風路に伝達して吐出空気の温度が必要以上に高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を増やすことなくインペラとモータとの間に配置された軸受の放熱性を改善し長寿命化を実現した送風機を提供することにある。
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
インペラが収容されたファンケーシングと、前記インペラを回転駆動するモータが収容されたモータケーシングが一体に組み付けられ、前記ファンケーシングの軸方向中央部より吸気して径方向外側に設けられた送風路より吐出する送風機であって、前記モータの回転子と前記インペラが長手方向両側に各々組み付けられたモータ軸を回転可能に支持する軸受及び当該軸受を保持する金属製の軸受保持部が前記インペラと前記モータとの間に配置されており、前記軸受保持部は前記送風路に臨む位置まで径方向外側に延設されて当該送風路の一部を形成していることを特徴とする。
上記構成によれば、インペラとモータとの間に配置された金属製の軸受保持部の一部は送風路に臨む位置まで延設されて当該送風路の一部を形成しているので、インペラの回転によりファンケーシングの軸方向中央部より吸気して径方向外側に設けられた送風路より吐出する際に、軸受保持部を冷却することで軸受の放熱性を高めることができる。
また、ファンケーシングの材質を変更して放熱性を高める必要がないので、送風機の大幅な重量増加を回避することができ、吐出空気の温度も大幅に高くなるのを防ぐことができる。
【0008】
前記軸受保持部の前記モータ軸を中心として径方向外側に配置された送風路に向かって径方向外側に延設されたフランジ部の先端側が送風路の一部を形成していてもよい。
これにより、軸受の発熱を軸受保持部に設けられたフランジ部を通じて送風路に逃がすことができ、軸受の放熱性を高めて長寿命化を図ることができる。
【0009】
前記フランジ部は前記軸受保持部と一体に形成されていてもよいし、前記フランジ部は前記軸受保持部と別体に組み合わせて組み付けられていてもよい。
フランジ部が軸受保持部と一体であると、部品点数を減らすことができ剛性も向上する。また、フランジ部が軸受保持部と別体であると、部品点数は増えるが、歩留まりは改善する。
このように、軸受保持部が金属製であると熱伝導性が向上し、フランジ部を通じた軸受の放熱が促進される。
【0010】
前記インペラは、吸気口に臨むベースプレートの一方の面に複数の第一ブレードが起立形成され、前記フランジ部に臨む前記ベースプレートの他方の面にも複数の第二ブレードが起立形成されていてもよい。
このように、フランジ部に臨む前記ベースプレートの他方の面にも複数の第二ブレードが起立形成されているので、フランジ部を通じた軸受の放熱性を高めると共に、軸受保持部の軸方向に沿って浮き上がろうとする応力を相殺することができる。
【0011】
前記軸受保持部材は、前記防振材を介して前記ファンケーシングに対して組み付けられていてもよい。
このように、インペラ及び回転子が組み付けられたモータ軸の回転振動を防振材により吸収してファンケーシングに伝達しないようにすることができる。
【0012】
また、前記送風路に臨む前記軸受保持部材のフランジ部と前記ファンケーシングとの間には隙間が設けられていてもよい。この場合、軸受の周囲の空気の流れが防振材によって送風路に漏れるのを抑制される構造になっているが、軸受の周囲の熱気を軸受保持部のフランジ部を通じてファンケーシングとの隙間を介して送風路へ放熱しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
部品点数を増やすことなくインペラとモータとの間に配置された軸受の放熱性を改善し長寿命化を実現した送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は第一実施例に係る送風機の断面図である。
【
図2】
図2は第二実施例に係る送風機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施例]
以下、本発明に係る送風機の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。先ず、送風機の概略構成について
図1を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、送風機1は、インペラ2が収容されたファンケーシング3と、インペラ2を回転駆動するモータ4が収容されたモータケーシング5が一体に組み付けられている。モータ4は、DCブラシレスモータが用いられ、本実施例ではインナーロータ型モータが用いられる。モータ4を回転駆動すると、ファンケーシング3の軸方向中央部より吸気して径方向外側に設けられた環状の送風路6より吐出するようになっている。
【0017】
モータケーシング5には、インナーロータ型のモータ4が収容されている。具体的には、モータケーシング5の内壁面には固定子7が組み付けられている。固定子7は、固定子コア7aの環状のコアバック部7bが圧入されている。なお、圧入以外にも接着で固定されていても良い。コアバック部7bから径方向内側に向かって複数の極歯7cが突設されている。固定子コア7aはインシュレータ7dに覆われており、極歯7cの周囲にはインシュレータ7dを介してモータコイル7eが巻かれている。
【0018】
回転子8は、モータ軸8aの一端側(
図1下端側)に当該モータ軸8aを中心として筒状のヨーク8bが組み付けられ、当該ヨーク8bの外周に環状の回転子マグネット8cが同心状に組み付けられている。回転子マグネット8cは周方向にN極とS極が交互に形成されるように着磁されている。
【0019】
また、モータケーシング5の底部5a側に設けられたインシュレータ7dには、モータ基板7fが支持されている。モータ基板7fには、モータコイル7eの口出し線が接続され、モータコイル7eに対する給電回路が設けられている。また、モータ基板7fには、磁気センサ7g(ホールIC等)が設けられている。モータ軸8aの軸端には、ヨーク8bに非磁性材よりなるホルダー8dが組み付けられ、ホルダー8dには環状のセンサマグネット8eが、磁気センサ7gに対向して組み付けられている。センサマグネット8eは、回転子マグネット8cの磁極に対応して着磁されており、磁気センサ7gが検出する磁極に応じてモータコイル7eに流れる通電方向が切り換えられる。モータ基板7fには接続配線7hが接続されており、当該接続外線7hはモータケーシング5の底部5aに沿って配線されている。接続配線7hは、モータケーシング5に組み付けられたグロメット7iを介してモータケーシング5外に引き出されている。
【0020】
また、モータ軸8aの他端側(
図1上端側)はファンケーシング3内に延設されており、モータ軸8aの軸端にはインサートスリーブ8fを介してインペラ2が一体に組み付けられている。インペラ2は、円板状の回転板2aの上面には複数の第一ブレード2bが中心部から外周縁部にわたって起立形成されている。回転板2aの下面にも、外周縁部近傍に第二ブレード2cが起立形成されている。このように、回転板2aの下面にも複数の第二ブレード2cが起立形成されていると、後述する軸受10の放熱性を高めると共に、軸受保持部11の軸方向に沿って浮き上がろうとする応力を相殺することができる。尚、第二ブレード2cは必ずしも設ける必要はなく、製品によっては省略されていてもよい。
【0021】
また、ファンケーシング3は、第一ケーシング3aと第二ケーシング3bを組み合わせて形成されている。第一ケーシング3aの中央部には吸気用開口部3cが設けられ、第一ケーシング3aの内壁面とインペラ2の回転板2aとの間に、第一ブレード2bに沿って径方向外側に向かう送風通路が形成されている。なお、吸気用開口部3cは、その中心がモータ軸8aの軸線と厳密に一致している必要はなく、吸気用開口部3cの位置がファンケーシング3の軸方向中央部付近であって送風機1が効率を落とさずに動作する範囲であればよい。第一ケーシング3aの外周側には、送風通路に連なる内壁面が凹面に湾曲した第一湾曲部3dが周回して設けられている。
【0022】
第二ケーシング3bは、第一ケーシング3aの外周側に対向配置され、第一湾曲部3dに対向して内壁面が凹面に湾曲した第二湾曲部3eが周回して設けられている。第一湾曲部3dと第二湾曲部3eの凹面どうしを組み合わせて環状の送風路6が形成されている。インペラ2の回転板2aの外周端部2dは、第一湾曲部3dの近傍において送風路6に臨む位置まで延設されている。第一ケーシング3aと第二ケーシング3bは、第一湾曲部3dと第二湾曲部3eの外周端部に設けられた凹部と凸部を凹凸嵌合することにより組み付けられる。
【0023】
第二ケーシング3bには、環状の嵌合壁3fが突設されており、この嵌合壁3fがモータケーシング5の開口部5b内に嵌め込まれて、ファンケーシング3とモータケーシング5が組み付けられている。また第二ケーシング3bには嵌合壁3fと並んで径方向外側に環状のシール壁3gが突設されている。シール壁3gとモータケーシング5の開口部外壁5cとの間には、シール材(Oリング)9が挟み込まれており、ファンケーシング3とモータケーシング5との接続部が閉塞されている。尚、ファンケーシング3とモータケーシング5は、対応するねじ穴どうしを重ねあわせて図示しないねじを嵌合することで一体となるように組み付けられる。
【0024】
モータ軸8aの端部に各々組み付けられたインペラ2と回転子8との間には、一対の軸受10(転がり軸受)が組み付けられている。一対の軸受10は、軸受保持部11に保持されており、当該一対の軸受10によってモータ軸8aが回転可能に支持されている。軸受保持部11は、熱伝導性の高い金属製(例えばステンレス鋼材製)の筒状体であり、筒孔内に一対の軸受10が各々組み付けられている。モータ軸8aは、一対の軸受10を挿通して組み付けられ、当該一対の軸受10によって回転可能に支持されている。
【0025】
軸受保持部11はインペラ2に隣接して配置されており、当該インペラ2側の端部に設けられたフランジ部11aは、径方向外側に向かって延設されている。フランジ部11aはインペラ2の回転板2aと対向配置されその外周端部11bの近傍は、送風路6に臨む位置まで延設されており送風路6の一部を形成している。これにより、一対の軸受10の発熱を軸受保持部11に設けられたフランジ部11aを通じて送風路6に逃がすことができ、軸受10の放熱性を高めて長寿命化を図ることができる。フランジ部11aの外周端部11bは先細り状にテーパー面が形成されている。尚、テーパー面に替えて送風路6に沿った湾曲面が形成されていてもよい。本実施例では、フランジ部11aは、軸受保持部11に対して複数の環状部を組み合わせて組み付けられている。具体的には、軸受保持部11の本体と一体に形成された環状の第一フランジ部11a1とこれに重ねて組み付けられる環状の第二フランジ部11a2が、段付き部どうしを互いに重ね合わせて組み付けられている。このように、フランジ部11aを二部品で構成すると、金属材料の無駄がなく製造コストを削減できる。
【0026】
第二ケーシング3bの第二湾曲部3eの内周側壁面には環状の鍔部3hが径方向内側に向かって突設されている。この鍔部3hを覆う防振材12(例えばゴム材)を介して軸方向一方面側(上面側)に軸受保持部11のフランジ部11aが重ね合わされる。また、金属円筒状のカラー13が防振材12に覆われた鍔部3hの中心孔に挿入され、カラー13のフランジ部13aが防振材12を介して鍔部3hの軸方向他方面側(下面側)に重ね合わされる。このように、軸受保持部材11のフランジ部11aとカラー13のフランジ部13aとの間で鍔部3hが防振材12を介して軸方向に挟み込まれた状態で、軸受保持部11aの外周面に設けられたねじ部11cにナット14をねじ嵌合することで、軸受保持部11のモータ軸8aに対する組み付け位置が固定される。このように、軸受保持部11とファンケーシング3との間に防振材12を介在させることで、インペラ2及び回転子8が組み付けられたモータ軸8aの回転振動を防振材12により吸収してファンケーシング3に伝達しないようにすることができる。
【0027】
上述したように、インペラ2に隣接する軸受保持部11のフランジ部11aの外周側端部2dは、送風路6に臨む位置まで延設されて当該送風路6の一部を形成しているので、インペラ2の回転によりファンケーシング3の軸方向中央部より吸気して径方向外側に設けられた送風路6より圧縮空気を吐出する際に、金属製のフランジ部11aを通じて軸受保持部11を冷却することで軸受10の放熱性を高めることができる。
また、ファンケーシング3の材質を熱伝導性の高い金属製に変更して放熱性を高める必要がないので、送風機1の大幅な重量増加を回避することができ、吐出空気の温度も大幅に高くなるのを防ぐことができる。
【0028】
また、送風路6に臨むフランジ部11aとファンケーシング3(第二ケーシング3b)との間には隙間15が設けられていてもよい。軸受10の周囲の空気の流れが防振材12によって送風路6に漏れるのを抑制される構造になっているが、軸受10の周囲の熱気を軸受保持部11のフランジ部11aを通じて隙間15を介して送風路6へ逃がしやすくすることができる。
尚、実験によれば、
図3に示す従来構造と
図1の第一実施例の構造とでは、送風機1を同一条件で回転駆動した後に軸受保持部11の温度差を計測したところ、第一実施例の構成のほうが7.3℃程度低く、軸受10及び軸受保持部11の冷却効果が十分得られることが判明している。
【0029】
[第二実施例]
本発明に係る送風機1の他の実施形態について、
図2を参照して説明する。尚、送風機1を構成するモータ4を収容するモータケーシング5、ブレード2を収容するファンケーシング3の構成は同様であるので、同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
【0030】
図2において、インペラ2と回転子8との間に設けられた一対の軸受10が、熱伝導性の高い金属製(例えばステンレス鋼材製)の軸受保持部11に保持され、一対の軸受10によってモータ軸8aが回転可能に支持されている構造は
図1と同様である。軸受保持部11がインペラ2に隣接して配置されており、軸受保持部11より径方向外側に向かって延設されたフランジ部11aはインペラ2の回転板2aと対向して配置されその外周端部11bの近傍は送風路6の一部を形成している構成も同様である。
【0031】
本実施例は、フランジ部11aが二部品ではなく、軸受保持部11と一体形成されている点が異なる。フランジ部11aが軸受保持部11と一体であると、部品点数を減らすことができ剛性も向上する。
【0032】
以上説明したように、軸受保持部11が金属製であると熱伝導性が向上し、フランジ部11aを通じた軸受10の放熱が促進される。よって、部品点数を増やすことなくインペラ2とモータ4との間に配置された軸受10の放熱性を改善し長寿命化を実現した送風機1を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 送風機 2 インペラ 2a 回転板 2b 第一ブレード 2c 第二ブレード 2d 外周端部 3 ファンケーシング 3a 第一ケーシング 3b 第二ケーシング 3c 吸気用開口部 3d 第一湾曲部 3e 第二湾曲部 3f 嵌合壁 3g シール壁 3h 鍔部 4 モータ 5 モータケーシング 5a 底部 5b 開口部 5c 開口部外壁 6 送風路 7 固定子 7a 固定子コア 7b コアバック部 7c 極歯 7d インシュレータ 7e モータコイル 7f モータ基板 7g 磁気センサ 7h 接続配線 7i グロメット 8 回転子 8a モータ軸 8b ヨーク 8c 回転子マグネット 8d ホルダー 8e センサマグネット 8f インサートスリーブ 9 シール材 10 軸受 11 軸受保持部 11a フランジ部 11a1 第一フランジ部 11a2 第二フランジ部 11b 外周端部 11c ねじ部 12 防振材 13 カラー 13a フランジ部 14 ナット 15 隙間
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラが収容されたファンケーシングと、前記インペラを回転駆動するモータが収容されたモータケーシングが一体に組み付けられ、前記ファンケーシングの軸方向中央部より吸気して径方向外側に設けられた送風路より吐出する送風機であって、
前記モータの回転子と前記インペラが長手方向両側に各々組み付けられたモータ軸を回転可能に支持する軸受及び当該軸受を保持する金属製の軸受保持部が前記インペラと前記モータとの間に配置されており、前記軸受保持部は前記送風路に臨む位置まで径方向外側に延設されて当該送風路の一部を形成していることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記軸受保持部の前記モータ軸を中心として径方向外側に配置された送風路に向かって径方向外側に延設されたフランジ部の先端側が送風路の一部を形成している請求項1記載の送風機。
【請求項3】
前記フランジ部は前記軸受保持部と一体に形成されている請求項2記載の送風機。
【請求項4】
前記フランジ部は前記軸受保持部に対して複数の環状部を組み合わせて組み付けられている請求項2記載の送風機。
【請求項5】
前記インペラは、吸気用開口部に臨む回転板の一方の面に複数の第一ブレードが起立形成され、前記フランジ部に臨む前記回転板の他方の面にも複数の第二ブレードが起立形成されている請求項1又は請求項2記載の送風機。
【請求項6】
前記軸受保持部は、防振材を介して前記ファンケーシングに対して組み付けられている請求項1又は請求項2記載の送風機。
【請求項7】
前記送風路に臨む前記軸受保持部のフランジ部と前記ファンケーシングとの間には隙間が設けられている請求項6記載の送風機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
例えば、
図3に示す送風機50は、モータケーシング51内に配置されたモータ軸52には回転子53が組み付けられ、ファンケーシング54内に延設されたモータ軸52には、インペラ55が組み付けられている。回転体のバランスを取り易くなるため、モータ軸52に組み付けられた回転子53とインペラ55との間には筒状の軸受ハウジング56が設けられ、当該軸受ハウジング56内に一対の軸受57が組み付けられている。モータ軸52は一対の軸受57によって回転可能に支持
されており、軸受ハウジング56は、金属材(ステンレス鋼)が用いられている。
インペラ55の回転によりファンケーシング54内に軸方向に吸い込まれた外気が、例えばモータ軸52周りの隙間を通じてモータケーシング51内に漏れると、所期の静圧が得られなくなる。そこで、モータケーシング51とファンケーシング54とは気密性を高めるため、Oリングなどのシール材58で密封されている(特許文献1参照)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記インペラは、吸気用開口部に臨む回転板の一方の面に複数の第一ブレードが起立形成され、前記フランジ部に臨む前記回転板の他方の面にも複数の第二ブレードが起立形成されていてもよい。
このように、フランジ部に臨む前記回転板の他方の面にも複数の第二ブレードが起立形成されているので、フランジ部を通じた軸受の放熱性を高めると共に、軸受保持部の軸方向に沿って浮き上がろうとする応力を相殺することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記軸受保持部は、防振材を介して前記ファンケーシングに対して組み付けられていてもよい。
このように、インペラ及び回転子が組み付けられたモータ軸の回転振動を防振材により吸収してファンケーシングに伝達しないようにすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、前記送風路に臨む前記軸受保持部のフランジ部と前記ファンケーシングとの間には隙間が設けられていてもよい。この場合、軸受の周囲の空気の流れが防振材によって送風路に漏れるのを抑制される構造になっているが、軸受の周囲の熱気を軸受保持部のフランジ部を通じてファンケーシングとの隙間を介して送風路へ放熱しやすくすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
第二ケーシング3bの第二湾曲部3eの内周側壁面には環状の鍔部3hが径方向内側に向かって突設されている。この鍔部3hを覆う防振材12(例えばゴム材)を介して軸方向一方面側(上面側)に軸受保持部11のフランジ部11aが重ね合わされる。また、金属円筒状のカラー13が防振材12に覆われた鍔部3hの中心孔に挿入され、カラー13のフランジ部13aが防振材12を介して鍔部3hの軸方向他方面側(下面側)に重ね合わされる。このように、軸受保持部11のフランジ部11aとカラー13のフランジ部13aとの間で鍔部3hが防振材12を介して軸方向に挟み込まれた状態で、軸受保持部11の外周面に設けられたねじ部11cにナット14をねじ嵌合することで、軸受保持部11のモータ軸8aに対する組み付け位置が固定される。このように、軸受保持部11とファンケーシング3との間に防振材12を介在させることで、インペラ2及び回転子8が組み付けられたモータ軸8aの回転振動を防振材12により吸収してファンケーシング3に伝達しないようにすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
[第二実施例]
本発明に係る送風機1の他の実施形態について、
図2を参照して説明する。尚、送風機1を構成するモータ4を収容するモータケーシング5、
インペラ2を収容するファンケーシング3の構成は同様であるので、同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。