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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121106
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】木工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/00 20060101AFI20240830BHJP
   A47G 19/22 20060101ALI20240830BHJP
   A47G 21/00 20060101ALI20240830BHJP
   B27M 3/24 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A47G19/00 G ZAB
A47G19/00 A
A47G19/22 G
A47G21/00 P
B27M3/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028010
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 第95回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2023 開催場所 東京ビッグサイト 開催日 令和5年2月15日~令和5年2月17日
(71)【出願人】
【識別番号】309006040
【氏名又は名称】有限会社平和木工
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】洗川 武史
【テーマコード(参考)】
2B250
3B001
3B115
【Fターム(参考)】
2B250AA17
2B250BA09
2B250CA07
2B250DA01
2B250FA01
2B250FA07
3B001AA02
3B001AA03
3B001CC36
3B001CC38
3B115AA30
3B115BA06
3B115DA15
3B115DB21
(57)【要約】
【課題】木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法及び木工品であって、無駄が少なく、一本のバッドから複数の木工品を製造可能であり、生産効率も高い木工品の製造方法及び木工品を提供することを課題とする。
【解決手段】木製バットがその軸方向に3つ以上に分割されるように該木製バッドを切断する切断工程と、前記切断工程によって得られた複数の分割片を加工して前記木工品を得る加工工程とを有し、加工工程では、分割片を、その軸方向の一端から該軸方向の沿って刳り貫き形成することにより、有底筒状の容器を前記木工品として得る刳り貫き処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法であって、
前記木製バットがその軸方向に3つ以上に分割されるように該木製バッドを切断する切断工程と、
前記切断工程によって得られた複数の分割片を加工して前記木工品を得る加工工程とを有し、
前記加工工程では、前記分割片を、その軸方向の一端から該軸方向の沿って刳り貫き形成することにより、有底筒状の容器を前記木工品として得る刳り貫き処理を実行する
ことを特徴とする木工品の製造方法。
【請求項2】
前記刳り貫き処理では、前記木製バッドのヘッドを含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるコップを形成する
請求項1に記載の木工品の製造方法。
【請求項3】
前記刳り貫き処理では、前記木製バッドのグリップエンドを一部に含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるお猪口を形成する
請求項1に記載の木工品の製造方法。
【請求項4】
前記加工工程では、前記容器を形成するための前記分割片以外の前記分割片であるとともに前記木製バッドのグリップエンドを含まず且つ該木製バッドのグリップの少なくとも一部を含む円柱状の前記分割片を、その軸心に沿う断面でさらに切断することにより、一対の半割片を得る分割処理を実行し、
前記木工品である箸置きが前記半割片から構成された
請求項1に記載の木工品の製造方法。
【請求項5】
前記加工工程では、前記箸置きの盛り上がった円弧面に凹曲面を切欠き形成する形成処理を実行する
請求項4に記載の木工品の製造方法。
【請求項6】
木製バットから製造される木工品であって、
前記木製バットを切断してその全長方向に分割することにより得られる複数の分割片の1つを、その軸方向の一端面から該軸方向に沿って刳り貫くことによって有底筒状に形成された容器本体を備えた
ことを特徴とする木工品。
【請求項7】
同一の木製バットから得られた複数の分割片の中で請求項6の前記容器本体に用いた前記分割片以外の前記分割片をその軸心に沿う断面でさらに切断してなる半割片を備え、
前記半割片によって箸置き本体が構成された
ことを特徴とする木工品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法及び木工品に関する。
【背景技術】
【0002】
野球ボールを飾る飾り台(木工品)を折れた木製バッドから製造する木工品の製造方法が公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記文献の木工品の製造方法によれば、不要になった木製バッドを廃棄することなく飾り台として有効に活用できる一方で、折れていることを前提としているので、木製バッドにおいて不要になる部分の全体に占める割合も大きく、無駄が多い他、一本の木製バッドから一台の飾り台しか製造できず、製造効率は悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3201067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法及び木工品であって、無駄が少なく、一本のバッドから複数の木工品を製造可能であり、生産効率も高い木工品の製造方法及び木工品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の木工品の製造方法は、木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法であって、前記木製バットがその軸方向に3つ以上に分割されるように該木製バッドを切断する切断工程と、前記切断工程によって得られた複数の分割片を加工して前記木工品を得る加工工程とを有し、前記加工工程では、前記分割片を、その軸方向の一端から該軸方向の沿って刳り貫き形成することにより、有底筒状の容器を前記木工品として得る刳り貫き処理を実行することを特徴とする。
【0007】
前記刳り貫き処理では、前記木製バッドのヘッドを含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるコップを形成するものとしてもよい。
【0008】
前記刳り貫き処理では、前記木製バッドのグリップエンドを一部に含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるお猪口を形成するものとしてもよい。
【0009】
前記加工工程では、前記容器を形成するための前記分割片以外の前記分割片であるとともに前記木製バッドのグリップエンドを含まず且つ該木製バッドのグリップの少なくとも一部を含む円柱状の前記分割片を、その軸心に沿う断面でさらに切断することにより、一対の半割片を得る分割処理を実行し、前記木工品である箸置きが前記半割片から構成されたものとしてもよい。
【0010】
前記加工工程では、前記箸置きの盛り上がった円弧面に凹曲面を切欠き形成する形成処理を実行するものとしてもよい。
【0011】
また、本発明の木工品は、木製バットから製造される木工品であって、前記木製バットを切断してその全長方向に分割することにより得られる複数の分割片の1つを、その軸方向の一端面から該軸方向に沿って刳り貫くことによって有底筒状に形成された容器本体を備えたことを特徴とする。
【0012】
同一の木製バットから得られた複数の分割片の中で前記容器本体に用いた前記分割片以外の前記分割片をその軸心に沿う断面でさらに切断してなる半割片を備え、前記半割片によって箸置き本体が構成されたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に構成によれば、木製バットをその軸方向に分割して得られる複数の分割片の夫々から、木工品を製造可能であるため、無駄を極力少なくした状態で、1本の木製バッドから複数の木工品を得ることができ、生産効率も大きく構造する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】立てた状態の木製バットの正面図である。
図2】木製バットを複数の部分に分割した状態を示す正面図である。
図3】本発明を適用した木工品の製造方法の手順を示したフロー図である。
図4】容器製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。
図5】箸置き製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。
図6】(A),(B)は第1コップの正面図及び平面図である。
図7】第2コップの正面図である。
図8】一輪挿しの構成を示す正面図である。
図9】(A)は楊枝入れの正面図であり、(B)は箸置きの平面図であり、(C)はお猪口の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は立てた状態の木製バットの正面図であり、図2は木製バットを複数の部分に分割した状態を示す正面図であり、図3は本発明を適用した木工品の製造方法の手順を示したフロー図である。木製バット1でも、特に、B級品で安価にしか売れないものや、経年劣化したものから、本発明を適用した木工品の製造方法によって、複数の木工品を製造する。ちなみに、本例では、一本の木製バットから有底筒状に形成された複数の容器20,30,40,50,80と、複数の箸置き60,70と、を製造する。
【0016】
この木工品の製造方法は、上述した木製バット1を切断して複数の分割片2,3,4,5,6,7,8を得る切断工程(S1)と、分割片2,3,4,5,6,7,8を加工して木工品を得る加工工程(S2)と、を有している。言い換えると、分割片2,3,4,5,6,7,8毎に一又は複数の木工品が製造される。
【0017】
切断工程では、木製バット1が、その軸心を通る仮想的な線である軸Yの方向(以下、単位「軸方向」)に3つ以上(本例では、7つ)に分割されるように切断する処理を行う。
【0018】
この切断の処理によって木製バット1から得られた複数の分割片2,3,4,5,6,7,8は、容器20,30,40,50,80を製造するための分割片である容器用分割片2,3,4,5,8と、箸置き60,70を製造するための分割片である箸置き用分割片6,7との2種類に大別される。加工工程は、容器20,30,40,50,80を製造するための容器製造用加工工程と、箸置き60,70を製造するための箸置き製造用加工工程と、の2種類が用意されている。
【0019】
図4は容器製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。図1図2及び図4に示す通り、この容器製造用加工工程では、容器用分割片2,3,4,5,8を、その軸方向の一端面から該軸方向に刳り貫き形成して有底筒状の容器(容器本体)20,30,40,50,80を木工品として得る刳り貫き処理(S101)と、刳り貫き処理によって得られた容器20,30,40,50,80に対して、角部分の鋭利な部分にR加工等を施して最終的な外形又は略最終的な外形を得る形成処理(S102)と、この形成処理が完了した容器20,30,40,50,80に対して、研磨やコーティング剤や塗装等によって仕上げを行う仕上処理(S103)と、を実行する。
【0020】
この容器製造用加工工程によれば、複数の分割片2,3,4,5,8毎に、1つの容器20,30,40,50,80が製造され、一本の木製バット1から得られる複数の容器20,30,40,50,80は互いに種類が異なっており、バリエーションに富んでいる。
【0021】
さらに詳しく説明すると、容器として、木製バット1のヘッド1aを含む分割片である第1分割片2から製造される第1コップ(コップ)20と、木製バット1において第1分割片2と軸方向で隣接し且つ第1分割片2よりもヘッド1aから離れた箇所の分割片である第2分割片3から製造される第2コップ(コップ)30と、木製バット1において第2分割片3と軸方向で隣接し且つ第2分割片3よりもヘッド1aから離れた箇所の分割片である第3分割片4から製造される一輪挿し40と、木製バット1において第3分割片4と軸方向で隣接し且つ第3分割片4よりもヘッド1aから離れた箇所の分割片である第4分割片5から製造される楊枝入れ50と、木製バット1のグリップエンド1bの全部及びグリップ1cにおけるグリップエンド1b寄り部分(グリップエンド1bの一部)を含む第7分割片8から製造されるお猪口80と、が1本の木製バッド1が得られる。
【0022】
図5は箸置き製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。図1図2及び図5に示す通り、この箸置き製造用加工工程では、容器20,30,40,50,80を形成するための分割片2,3,4,5,8以外の分割片である上述の箸置き用分割片6,7に対して加工処理を行う。この箸置き用分割片6,7は、木製バッド1のグリップエンド1bを含まず、且つ、該木製バッド1のグリップ1cの少なくとも一部を含む円柱状に成形されている。
【0023】
そして、箸置き製造用加工工程では、箸置き用分割片6,7を、その軸心Yに沿う(具体的には含む)断面でさらに切断することにより、箸置き用分割片6,7毎に、一対の半割片60,60,70,70を得る分割処理(S201)を実行する。各分割片60,70は、木工品の一種である箸置き(箸置き本体)を構成する。
【0024】
さらに、箸置き製造用加工工程では、分割処理によって得られた断面視半円状の箸置きに対して、その盛り上がった円弧面61,71に凹曲面61a,71aを切欠き形成するとともに角部分の鋭利な部分にR加工等を施して最終的な外形又は略最終的な外形を得る形成処理(S202)と、この形成処理が完了した箸置き60,70に対して、研磨やコーティング剤や塗装等によって仕上げを行う仕上処理(S203)と、を実行する。
【0025】
この箸置き製造用加工工程によれば、複数の分割片6,7毎に、同一形状の2つの箸置き60,60,70,70が製造され、一本の木製バット1から計4個の箸置き60,60,70,70を得ることが可能になる。
【0026】
具体的には、グリップエンド1bから遠い側の分割片である第5分割片6から製造される一対の第1箸置き60と、グリップエンド1bに近い側の分割片である第6分割片7から製造される一対の第2箸置き70との2種類が、1本の木製バット1から製造される。
【0027】
次に、木工品20,30,40,50,60,70,80の構成について詳述する。
【0028】
図6(A),(B)は第1コップの正面図及び平面図である。第1コップ20は、切断工程による切断によって、その軸方向の端面(具体的には、露出した切断面)から、同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、有底筒状に成形されている。第1コップ20の上端面21は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。第1コップ20の下端面22側の部分が上述したヘッド1aの部分になり、これを言い換えると、金属バット1のヘッド1a側の端面が第1コップ20の下端面21を構成している。この下端面22を接地させることによって、第1コップ20を自立させる。
【0029】
第1コップ20の外周面23は、その径が、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、その下側が大きく、その上側が小さくなる形状をなしている。特に、第1コップ20の外周面における上側半部は、その径が上方に向かって次第に縮小した形状をなしている。
【0030】
これに対して、第1コップ20の内周面24は、刳り貫き処理によって形成され、上述した外周面23と相似し且つその全体を縮小させた形状としてもよいが、図示する例では、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるように形状をなしている。この内周面24と、第1コップ20の内部のフラットな底面26とは、平面視で円形環状をなすR面27によって滑らかに連接されている。
【0031】
図7は第2コップの正面図である。第2コップ30は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向における径が大きい側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。第2コップ30の上端面31は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。第2コップ30の下端面32は切断面を少なくとも一部(図示する例では全部又は略全体)を含むフラット面である。この下端面32を接地させることによって、第2コップ30を自立させる。
【0032】
第2コップ30の外周面33は、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、上方に向かってその径が次第に拡大する形状をなしている。これに対して、第2コップ30の内周面34は、刳り貫き処理によって形成され、図示する例では、上述した外周面33と相似し且つその全体を縮小させた形状に形成されているが、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状を採用してもよい。第2コップ30の内部の底面36は、図示する例では、凹曲面であるが、フラットな面から構成してもよい。
【0033】
図8は一輪挿しの構成を示す正面図である。一輪挿し40は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向における径が小さい側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。一輪挿し40の上端面41は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。一輪挿し40の下端面42は切断面を少なくとも一部(図示する例では全部又は略全体)を含むフラット面である。この下端面42を接地させることによって、一輪挿し40を自立させる。
【0034】
一輪挿し40の外周面43は、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、上方に向かってその径が次第に縮小する形状をなしている。これに対して、一輪挿し40の内周面44は、刳り貫き処理によって形成され、上述した外周面43と相似し且つその全体を縮小させた形状に形成してもよいが、図示する例では、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状をなしている。この内周面44と、一輪挿し40の内部のフラットな底面46とは、平面視で円形環状をなすR面47によって滑らかに連接されている。
【0035】
ちなみに、表面のコーティング次第では、一輪挿し40の内部に直接的に水を入れることも可能であるが、一輪挿し40の内周面44に嵌合状態で挿入して固定する透明な筒状の容器90を別途設け、容器90内に水を入れてもよい。図示する例では、透明なガラス材料から構成されたフラスコを容器90として採用している。
【0036】
図9(A)は楊枝入れの正面図であり、(B)は箸置きの平面図であり、(C)はお猪口の正面図である。同図(A)に示す通り、楊枝入れ50は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向における径が大きい側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。楊枝入れ50の上端面51は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。楊枝入れ50の下端面52は切断面を少なくとも一部(図示する例では全部又は略全体)を含むフラット面である。この下端面52を接地させることによって、楊枝入れ50を自立させる。
【0037】
楊枝入れ50の外周面53は、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、上方に向かってその径が次第に拡大する形状をなしている。これに対して、楊枝入れ50の内周面44は、刳り貫き処理によって形成され、図示する例では、上述した外周面53と相似し且つその全体を縮小させた形状に形成しているが、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状を採用してもよい。この内周面54と、楊枝入れ50の内部のフラットな底面56とは、平面視で円形環状をなすR面57によって滑らかに連接されている。
【0038】
箸置き60.70の構成は上述した通りであるが、その上面を構成する円弧面61,71上の凹曲面61a,71aは、図9(B)に示す通り、平面視で楕円形状をなしている。
【0039】
図9(C)に示す通り、お猪口80は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向におけるグリップエンド1b側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。お猪口80の上端面81はグリップエンド1bの端面を一部に含む円形リング状をなしている。お猪口80の下端面82は、切断面を少なくも一部に含む(図示する例では切断面から構成され)、その少なくとも一部(図示する例では全体)がフラットに形成されている。
【0040】
お猪口80の外周面83における上寄り部分には、木製バッド1のグリップエンド1bによって樽状に膨出した膨出部83aが形成さ、該外周面83における中途部及び上寄り部分は、上方に向かって次第に径が小さくなる形状に成形されている。お猪口80の内周面84は、刳り貫き処理によって形成され、図示する例では、その径が下方に次第に縮小する形状をなしているが、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状に成形してもよい。この内周面84と、お猪口80の内部のフラットな底面86とは、平面視で円形環状をなすR面87によって滑らかに連接されている。
【0041】
以上のような構成によれば、木製バット1の外周の曲面を利用して、デザイン性の高い複数種類の木工品20,30,40,50,60,70,80を製造可能であり、また、1本の木製バット1から得られる木工品20,30,40,50,60,70,80の数も従来に比べて多いため、生産性も良好である。
【0042】
なお、軽量化のため、木製バット1のヘッド1aの端面にも曲面状(さらに具体的には、半球状)に窪んだ凹部が予め形成されている場合があり、その場合、第1コップ20の下面にもそのまま凹部が形成された状態になる。
【0043】
また、グリップエンド1bの端面にも曲面状(さらに具体的には、半球状)に窪んだ凹部が予め形成されている場合があるが、本例では、お猪口80は、該端面側が刳り貫かれるため、加工手段に変更はない。
【符号の説明】
【0044】
1 木製バット
1a ヘッド
1b グリップエンド
1c グリップ
2 第1分割片(分割片,容器用分割片)
3 第2分割片(分割片,容器用分割片)
4 第3分割片(分割片,容器用分割片)
5 第4分割片(分割片,容器用分割片)
6 第5分割片(分割片,容器用分割片)
7 第6分割片(分割片,箸置き用分割片)
8 第7分割片(分割片,箸置き用分割片)
9 第8分割片(分割片,容器用分割片)
20 第1コップ(木工品,容器,容器本体,コップ)
30 第2コップ(木工品,容器,容器本体,コップ)
40 一輪挿し(木工品,容器,容器本体)
50 楊枝入れ(木工品,容器,容器本体)
60 第1箸置き(木工品,箸置き,箸置き本体,半割片)
61 円弧面(上面)
61a 凹曲面
70 第2箸置き(木工品,箸置き,箸置き本体,半割片)
71 円弧面(上面)
71a 凹曲面
80 お猪口(木工品,容器,容器本体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法であって、
前記木製バットがその軸方向に3つ以上に分割されるように該木製バットを切断する切断工程と、
前記切断工程によって得られた複数の分割片を加工して前記木工品を得る加工工程とを有し、
前記加工工程では、前記分割片を、その軸方向の一端から該軸方向沿って刳り貫き形成することにより、有底筒状の容器を前記木工品として得る刳り貫き処理を実行する
ことを特徴とする木工品の製造方法。
【請求項2】
前記刳り貫き処理では、前記木製バットのヘッドを含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるコップを形成する
請求項1に記載の木工品の製造方法。
【請求項3】
前記刳り貫き処理では、前記木製バットのグリップエンドを一部に含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるお猪口を形成する
請求項1に記載の木工品の製造方法。
【請求項4】
前記加工工程では、前記容器を形成するための前記分割片以外の前記分割片であるとともに前記木製バットのグリップエンドを含まず且つ該木製バットのグリップの少なくとも一部を含む円柱状の前記分割片を、該分割片の円柱形状の軸心に沿う断面でさらに切断することにより、一対の半割片を得る分割処理を実行し、
前記木工品である箸置きが前記半割片から構成された
請求項1に記載の木工品の製造方法。
【請求項5】
前記加工工程では、前記箸置きの盛り上がった円弧面に凹曲面を切欠き形成する形成処理を実行する
請求項4に記載の木工品の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法関する。
【背景技術】
【0002】
野球ボールを飾る飾り台(木工品)を折れた木製バッドから製造する木工品の製造方法が公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記文献の木工品の製造方法によれば、不要になった木製バッドを廃棄することなく飾り台として有効に活用できる一方で、折れていることを前提としているので、木製バッドにおいて不要になる部分の全体に占める割合も大きく、無駄が多い他、一本の木製バッドから一台の飾り台しか製造できず、製造効率は悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3201067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法及び木工品であって、無駄が少なく、一本のバッドから複数の木工品を製造可能であり、生産効率も高い木工品の製造方法提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の木工品の製造方法は、木製バットから木工品を製造する木工品の製造方法であって、前記木製バットがその軸方向に3つ以上に分割されるように該木製バットを切断する切断工程と、前記切断工程によって得られた複数の分割片を加工して前記木工品を得る加工工程とを有し、前記加工工程では、前記分割片を、その軸方向の一端から該軸方向沿って刳り貫き形成することにより、有底筒状の容器を前記木工品として得る刳り貫き処理を実行することを特徴とする。
【0007】
前記刳り貫き処理では、前記木製バットのヘッドを含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるコップを形成するものとしてもよい。
【0008】
前記刳り貫き処理では、前記木製バットのグリップエンドを一部に含む前記分割片を、その軸方向の端面から、その軸方向に沿って刳り貫くことによって、前記容器であるお猪口を形成するものとしてもよい。
【0009】
前記加工工程では、前記容器を形成するための前記分割片以外の前記分割片であるとともに前記木製バットのグリップエンドを含まず且つ該木製バットのグリップの少なくとも一部を含む円柱状の前記分割片を、該分割片の円柱形状の軸心に沿う断面でさらに切断することにより、一対の半割片を得る分割処理を実行し、前記木工品である箸置きが前記半割片から構成されたものとしてもよい。
【0010】
前記加工工程では、前記箸置きの盛り上がった円弧面に凹曲面を切欠き形成する形成処理を実行するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に構成によれば、木製バットをその軸方向に分割して得られる複数の分割片の夫々から、木工品を製造可能であるため、無駄を極力少なくした状態で、1本の木製バッドから複数の木工品を得ることができ、生産効率も大きく構造する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】立てた状態の木製バットの正面図である。
図2】木製バットを複数の部分に分割した状態を示す正面図である。
図3】本発明を適用した木工品の製造方法の手順を示したフロー図である。
図4】容器製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。
図5】箸置き製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。
図6】(A),(B)は第1コップの正面図及び平面図である。
図7】第2コップの正面図である。
図8】一輪挿しの構成を示す正面図である。
図9】(A)は楊枝入れの正面図であり、(B)は箸置きの平面図であり、(C)はお猪口の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は立てた状態の木製バットの正面図であり、図2は木製バットを複数の部分に分割した状態を示す正面図であり、図3は本発明を適用した木工品の製造方法の手順を示したフロー図である。木製バット1でも、特に、B級品で安価にしか売れないものや、経年劣化したものから、本発明を適用した木工品の製造方法によって、複数の木工品を製造する。ちなみに、本例では、一本の木製バットから有底筒状に形成された複数の容器20,30,40,50,80と、複数の箸置き60,70と、を製造する。
【0014】
この木工品の製造方法は、上述した木製バット1を切断して複数の分割片2,3,4,5,6,7,8を得る切断工程(S1)と、分割片2,3,4,5,6,7,8を加工して木工品を得る加工工程(S2)と、を有している。言い換えると、分割片2,3,4,5,6,7,8毎に一又は複数の木工品が製造される。
【0015】
切断工程では、木製バット1が、その軸心を通る仮想的な線である軸Yの方向(以下、単位「軸方向」)に3つ以上(本例では、7つ)に分割されるように切断する処理を行う。
【0016】
この切断の処理によって木製バット1から得られた複数の分割片2,3,4,5,6,7,8は、容器20,30,40,50,80を製造するための分割片である容器用分割片2,3,4,5,8と、箸置き60,70を製造するための分割片である箸置き用分割片6,7との2種類に大別される。加工工程は、容器20,30,40,50,80を製造するための容器製造用加工工程と、箸置き60,70を製造するための箸置き製造用加工工程と、の2種類が用意されている。
【0017】
図4は容器製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。図1図2及び図4に示す通り、この容器製造用加工工程では、容器用分割片2,3,4,5,8を、その軸方向の一端面から該軸方向に刳り貫き形成して有底筒状の容器(容器本体)20,30,40,50,80を木工品として得る刳り貫き処理(S101)と、刳り貫き処理によって得られた容器20,30,40,50,80に対して、角部分の鋭利な部分にR加工等を施して最終的な外形又は略最終的な外形を得る形成処理(S102)と、この形成処理が完了した容器20,30,40,50,80に対して、研磨やコーティング剤や塗装等によって仕上げを行う仕上処理(S103)と、を実行する。
【0018】
この容器製造用加工工程によれば、複数の分割片2,3,4,5,8毎に、1つの容器20,30,40,50,80が製造され、一本の木製バット1から得られる複数の容器20,30,40,50,80は互いに種類が異なっており、バリエーションに富んでいる。
【0019】
さらに詳しく説明すると、容器として、木製バット1のヘッド1aを含む分割片である第1分割片2から製造される第1コップ(コップ)20と、木製バット1において第1分割片2と軸方向で隣接し且つ第1分割片2よりもヘッド1aから離れた箇所の分割片である第2分割片3から製造される第2コップ(コップ)30と、木製バット1において第2分割片3と軸方向で隣接し且つ第2分割片3よりもヘッド1aから離れた箇所の分割片である第3分割片4から製造される一輪挿し40と、木製バット1において第3分割片4と軸方向で隣接し且つ第3分割片4よりもヘッド1aから離れた箇所の分割片である第4分割片5から製造される楊枝入れ50と、木製バット1のグリップエンド1bの全部及びグリップ1cにおけるグリップエンド1b寄り部分(グリップエンド1bの一部)を含む第7分割片8から製造されるお猪口80と、が1本の木製バッド1が得られる。
【0020】
図5は箸置き製造用加工工程の作業手順を示すフロー図である。図1図2及び図5に示す通り、この箸置き製造用加工工程では、容器20,30,40,50,80を形成するための分割片2,3,4,5,8以外の分割片である上述の箸置き用分割片6,7に対して加工処理を行う。この箸置き用分割片6,7は、木製バッド1のグリップエンド1bを含まず、且つ、該木製バッド1のグリップ1cの少なくとも一部を含む円柱状に成形されている。
【0021】
そして、箸置き製造用加工工程では、箸置き用分割片6,7を、その軸心Yに沿う(具体的には含む)断面でさらに切断することにより、箸置き用分割片6,7毎に、一対の半割片60,60,70,70を得る分割処理(S201)を実行する。各分割片60,70は、木工品の一種である箸置き(箸置き本体)を構成する。
【0022】
さらに、箸置き製造用加工工程では、分割処理によって得られた断面視半円状の箸置きに対して、その盛り上がった円弧面61,71に凹曲面61a,71aを切欠き形成するとともに角部分の鋭利な部分にR加工等を施して最終的な外形又は略最終的な外形を得る形成処理(S202)と、この形成処理が完了した箸置き60,70に対して、研磨やコーティング剤や塗装等によって仕上げを行う仕上処理(S203)と、を実行する。
【0023】
この箸置き製造用加工工程によれば、複数の分割片6,7毎に、同一形状の2つの箸置き60,60,70,70が製造され、一本の木製バット1から計4個の箸置き60,60,70,70を得ることが可能になる。
【0024】
具体的には、グリップエンド1bから遠い側の分割片である第5分割片6から製造される一対の第1箸置き60と、グリップエンド1bに近い側の分割片である第6分割片7から製造される一対の第2箸置き70との2種類が、1本の木製バット1から製造される。
【0025】
次に、木工品20,30,40,50,60,70,80の構成について詳述する。
【0026】
図6(A),(B)は第1コップの正面図及び平面図である。第1コップ20は、切断工程による切断によって、その軸方向の端面(具体的には、露出した切断面)から、同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、有底筒状に成形されている。第1コップ20の上端面21は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。第1コップ20の下端面22側の部分が上述したヘッド1aの部分になり、これを言い換えると、金属バット1のヘッド1a側の端面が第1コップ20の下端面21を構成している。この下端面22を接地させることによって、第1コップ20を自立させる。
【0027】
第1コップ20の外周面23は、その径が、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、その下側が大きく、その上側が小さくなる形状をなしている。特に、第1コップ20の外周面における上側半部は、その径が上方に向かって次第に縮小した形状をなしている。
【0028】
これに対して、第1コップ20の内周面24は、刳り貫き処理によって形成され、上述した外周面23と相似し且つその全体を縮小させた形状としてもよいが、図示する例では、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるように形状をなしている。この内周面24と、第1コップ20の内部のフラットな底面26とは、平面視で円形環状をなすR面27によって滑らかに連接されている。
【0029】
図7は第2コップの正面図である。第2コップ30は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向における径が大きい側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。第2コップ30の上端面31は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。第2コップ30の下端面32は切断面を少なくとも一部(図示する例では全部又は略全体)を含むフラット面である。この下端面32を接地させることによって、第2コップ30を自立させる。
【0030】
第2コップ30の外周面33は、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、上方に向かってその径が次第に拡大する形状をなしている。これに対して、第2コップ30の内周面34は、刳り貫き処理によって形成され、図示する例では、上述した外周面33と相似し且つその全体を縮小させた形状に形成されているが、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状を採用してもよい。第2コップ30の内部の底面36は、図示する例では、凹曲面であるが、フラットな面から構成してもよい。
【0031】
図8は一輪挿しの構成を示す正面図である。一輪挿し40は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向における径が小さい側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。一輪挿し40の上端面41は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。一輪挿し40の下端面42は切断面を少なくとも一部(図示する例では全部又は略全体)を含むフラット面である。この下端面42を接地させることによって、一輪挿し40を自立させる。
【0032】
一輪挿し40の外周面43は、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、上方に向かってその径が次第に縮小する形状をなしている。これに対して、一輪挿し40の内周面44は、刳り貫き処理によって形成され、上述した外周面43と相似し且つその全体を縮小させた形状に形成してもよいが、図示する例では、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状をなしている。この内周面44と、一輪挿し40の内部のフラットな底面46とは、平面視で円形環状をなすR面47によって滑らかに連接されている。
【0033】
ちなみに、表面のコーティング次第では、一輪挿し40の内部に直接的に水を入れることも可能であるが、一輪挿し40の内周面44に嵌合状態で挿入して固定する透明な筒状の容器90を別途設け、容器90内に水を入れてもよい。図示する例では、透明なガラス材料から構成されたフラスコを容器90として採用している。
【0034】
図9(A)は楊枝入れの正面図であり、(B)は箸置きの平面図であり、(C)はお猪口の正面図である。同図(A)に示す通り、楊枝入れ50は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向における径が大きい側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。楊枝入れ50の上端面51は切断面を一部に含む円形リング状をなしている。楊枝入れ50の下端面52は切断面を少なくとも一部(図示する例では全部又は略全体)を含むフラット面である。この下端面52を接地させることによって、楊枝入れ50を自立させる。
【0035】
楊枝入れ50の外周面53は、木製バッド1の外周面の元々の形状によって、上方に向かってその径が次第に拡大する形状をなしている。これに対して、楊枝入れ50の内周面44は、刳り貫き処理によって形成され、図示する例では、上述した外周面53と相似し且つその全体を縮小させた形状に形成しているが、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状を採用してもよい。この内周面54と、楊枝入れ50の内部のフラットな底面56とは、平面視で円形環状をなすR面57によって滑らかに連接されている。
【0036】
箸置き60.70の構成は上述した通りであるが、その上面を構成する円弧面61,71上の凹曲面61a,71aは、図9(B)に示す通り、平面視で楕円形状をなしている。
【0037】
図9(C)に示す通り、お猪口80は、その軸方向の端面(具体的には、該軸方向におけるグリップエンド1b側の端面)から同一軸心状に円柱状に刳り貫き形成することによって、その全体が有底筒状に成形されている。お猪口80の上端面81はグリップエンド1bの端面を一部に含む円形リング状をなしている。お猪口80の下端面82は、切断面を少なくも一部に含む(図示する例では切断面から構成され)、その少なくとも一部(図示する例では全体)がフラットに形成されている。
【0038】
お猪口80の外周面83における上寄り部分には、木製バッド1のグリップエンド1bによって樽状に膨出した膨出部83aが形成さ、該外周面83における中途部及び上寄り部分は、上方に向かって次第に径が小さくなる形状に成形されている。お猪口80の内周面84は、刳り貫き処理によって形成され、図示する例では、その径が下方に次第に縮小する形状をなしているが、その軸方向の全体に亘り、その径が同一又は略同一になるような形状に成形してもよい。この内周面84と、お猪口80の内部のフラットな底面86とは、平面視で円形環状をなすR面87によって滑らかに連接されている。
【0039】
以上のような構成によれば、木製バット1の外周の曲面を利用して、デザイン性の高い複数種類の木工品20,30,40,50,60,70,80を製造可能であり、また、1本の木製バット1から得られる木工品20,30,40,50,60,70,80の数も従来に比べて多いため、生産性も良好である。
【0040】
なお、軽量化のため、木製バット1のヘッド1aの端面にも曲面状(さらに具体的には、半球状)に窪んだ凹部が予め形成されている場合があり、その場合、第1コップ20の下面にもそのまま凹部が形成された状態になる。
【0041】
また、グリップエンド1bの端面にも曲面状(さらに具体的には、半球状)に窪んだ凹部が予め形成されている場合があるが、本例では、お猪口80は、該端面側が刳り貫かれるため、加工手段に変更はない。
【符号の説明】
【0042】
1 木製バット
1a ヘッド
1b グリップエンド
1c グリップ
2 第1分割片(分割片,容器用分割片)
3 第2分割片(分割片,容器用分割片)
4 第3分割片(分割片,容器用分割片)
5 第4分割片(分割片,容器用分割片)
6 第5分割片(分割片,容器用分割片)
7 第6分割片(分割片,箸置き用分割片)
8 第7分割片(分割片,箸置き用分割片)
9 第8分割片(分割片,容器用分割片)
20 第1コップ(木工品,容器,容器本体,コップ)
30 第2コップ(木工品,容器,容器本体,コップ)
40 一輪挿し(木工品,容器,容器本体)
50 楊枝入れ(木工品,容器,容器本体)
60 第1箸置き(木工品,箸置き,箸置き本体,半割片)
61 円弧面(上面)
61a 凹曲面
70 第2箸置き(木工品,箸置き,箸置き本体,半割片)
71 円弧面(上面)
71a 凹曲面
80 お猪口(木工品,容器,容器本体)