(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121107
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 5/10 20060101AFI20240830BHJP
G03G 5/06 20060101ALI20240830BHJP
G03G 5/14 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G03G5/10 B
G03G5/06 371
G03G5/14 102B
G03G5/14 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028014
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 俊行
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 明彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 一敏
(72)【発明者】
【氏名】細谷 幸夫
【テーマコード(参考)】
2H068
【Fターム(参考)】
2H068AA19
2H068AA34
2H068AA44
2H068AA45
2H068AA50
2H068AA52
2H068BA16
2H068BA39
2H068BA63
2H068CA05
2H068CA22
2H068CA29
2H068CA32
2H068CA37
2H068FA08
2H068FA11
2H068FA27
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、画像不良を起こしにくく、電気特性及び接着性も良好な電子写真感光体を形成できる電子写真感光体用支持体等を提供することである。
【解決手段】本発明の電子写真感光体は、支持体上に、中間層及び感光層をこの順に積層する電子写真感光体であって、前記支持体が、Siを含有するアルミニウム合金を含有し、前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超え、前記中間層が、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有し、前記第1の層が、導電性粒子を含む層であり、前記第2の層が、前記導電性粒子を含まないか、又は、前記第1の層における前記導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で前記導電性粒子を含む層であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、中間層及び感光層をこの順に積層する電子写真感光体であって、
前記支持体が、Siを含有するアルミニウム合金を含有し、
前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超え、
前記中間層が、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有し、
前記第1の層が、導電性粒子を含む層であり、
前記第2の層が、前記導電性粒子を含まないか、又は、前記第1の層における前記導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で前記導電性粒子を含む層である
ことを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.8質量%を超える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、1.4~4.4質量%の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記第1の層における前記導電性粒子が、少なくとも酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化スズを含有する粒子のいずれかである
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記第2の層が、電子輸送性物質を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記感光層が、電荷発生層を有し、
当該電荷発生層に含有される電荷発生剤が、ガリウムフタロシアニンである
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。特に、画像不良を起こしにくく、電気特性及び接着性も良好な電子写真感光体を形成できる電子写真感光体用支持体等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法による画像形成装置において、その性能の向上に伴って比較的高画質の画像が得られるようになった。これにより、比較的少部数のプリントを得る軽印刷分野などにおいて、電子写真法による画像形成装置が広く用いられるようになってきた。その結果として、電子写真法による画像形成装置には、さらに高いレベルの画質が要求されている。
【0003】
また、従来では稀な用途にも、電子写真法による画像形成装置が利用されるようになっている。例えば、コート紙へのプリント、高カバレッジ画像のプリント、極めて高精細な画像や微妙なトーン(色調)を有する画像のプリント、同一画像の大量連続プリントなどにも、前記画像形成装置が利用されるようになっている。
これらの変化に伴い、従来は殆どあるいは全く指摘されなかった不具合が生じている。その不具合の一つとして、画像における斜めスジ状濃度ムラの発生がある。これは、高画質の画像形成装置によって中間色の均一性を向上させたハーフトーン画像をコート紙などに出力するといった組み合わせにおいて、近年頻発している不具合である。この斜めスジ状濃度ムラは、いわゆるスクリーン干渉スジ(干渉縞)と呼ばれるものである。
【0004】
このスクリーン干渉スジは、感光体用支持体の表面に周期的に形成された切削凹凸の周期と、スクリーンパターンの周期との間の干渉に起因して生じるものと推測される。
切削凹凸は、感光体用支持体の表面における反射光を散乱させるためなどの目的で形成されるものである。この切削凹凸による感光体用支持体の表面における反射光の散乱によって、反射光同士の干渉による画像不良を抑制できる。反射光同士の干渉による画像不良は、感光体用支持体の表面における反射光が感光層等の表面における反射光と干渉することで生じる。しかし、この切削凹凸が周期的に形成されることによって、かえってスクリーン干渉スジは生じやすくなってしまう。
【0005】
スクリーン干渉スジの発生を抑制する技術として、感光体用支持体の表面の切削凹凸の形状に工夫をする技術がある(例えば、特許文献1~4参照。)。これらの技術では、スクリーンパターンの周期の整数倍ではない周期など、比較的害の少ない周期の切削凹凸を、定速切削によって形成することが行われている。しかしながら、スクリーンパターンが各色で異なっている場合には、一定の周期性を持つ切削加工では、複数のスクリーンパターンとの干渉を同時に回避するのは困難である。
切削凹凸の形成以外で感光体用支持体の表面の反射光を散乱させる技術として、陽極酸化処理やブラスト処理といった技術がある。
【0006】
しかしながら、これらの技術では、加工時の欠陥が生じやすく、工程が複雑で高コストとなるといった弊害が生じやすい。そのため、干渉スジを起こす。
また、感光体用支持体の表面の形状は、黒点や濃度ムラといったスクリーン干渉スジ以外の画像不良や、感光体のクリーニング性にも影響し得る。そのため、干渉スジを起こしにくい感光体用支持体には、その他の画像不良も起こしにくいことや、感光体のクリーニング性を悪くしないことも求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-091085号公報
【特許文献2】特許第3894023号公報
【特許文献3】特開2001-289630号公報
【特許文献4】特開2014-066893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、画像不良を起こしにくく、電気特性及び接着性が良好な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の課題は、前記電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、以下の重要性を見いだした。
まず、支持体がSiを含有するアルミニウム合金を含有し、特にSiの含有量を特定量を超える量とする。さらに、支持体上に導電性粒子を含有する第1の層と、当該第1の層上に導電性粒子の含有量が第1の層の含有量よりも少ない第2の層を形成することである。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0010】
1.支持体上に、中間層及び感光層をこの順に積層する電子写真感光体であって、
前記支持体が、Siを含有するアルミニウム合金を含有し、
前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超え、
前記中間層が、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有し、
前記第1の層が、導電性粒子を含む層であり、
前記第2の層が、前記導電性粒子を含まないか、又は、前記第1の層における前記導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で前記導電性粒子を含む層である
ことを特徴とする電子写真感光体。
【0011】
2.前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.8質量を超える
ことを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
【0012】
3.前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、1.4~4.4質量%の範囲内である
ことを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
【0013】
4.前記第1の層における前記導電性粒子が、少なくとも酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化スズの有する粒子のいずれかである
ことを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
【0014】
5.前記第2の層が、電子輸送性物質を含有する
ことを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
【0015】
6.前記感光層が、電荷発生層を有し、
当該電荷発生層に含有される電荷発生剤が、ガリウムフタロシアニンである
ことを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
【0016】
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0017】
8.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【0018】
9.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記手段により、画像不良を起こしにくく、電気特性及び接着性が良好な電子写真感光体を提供することができる。また、当該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
【0020】
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
共晶組成領域のAl-Si合金の表面は、海島構造を有し、Si相に起因して、Si含有量に応じた表面粗さを有する。そのため、Si含有量を適正な範囲にコントロールしたAl-Si合金を感光体の支持体に用いることで、支持体がレーザー光を適度に散乱させることができる。その結果、反射光同士の干渉による画像不良を抑制できる。
ここで、Si量が多いほどレーザー光の干渉縞抑制が可能になる。したがって、Si量は0.6質量%を超える量であれば干渉縞の抑制効果が発現しはじめ、0.8質量%を超える量であればより効果が大きくなり、1.4質量%以上が好適である。
一方、Si量は多くなりすぎると素管の加工性が低下する。そのため、Si量は4.4質量%以下であれば、容易に加工でき好適である。
【0021】
また、Si量が0.6質量%を超える量とすることで、Al-Si合金において不均一なリークスポットが形成され、耐久を通して十分な帯電性を確保することができない問題がある。
不均一なリークスポットの影響とは、具体的には、長期に渡り通電時に局所的にキャリアが流れることによる感光層の劣化である。
そこで、本発明では、支持体上に導電性粒子を含む第1の層を設けることで、導電性粒子を含む第1の層で電荷が拡散し、素管と感光層間での局所的な電荷の流れを抑制できる。
【0022】
一方、導電性粒子を有する第1の層のみでは、感光層で発生する熱励起キャリアのリークを抑制できず、カブリ等の画像不良が発生する。そこで、本発明では、前記第1の層と感光層の間に、導電性粒子を含まないか、前記第1の層より導電性粒子の含有量が少ない第2の層を設けた。これにより、熱励起キャリアの影響を抑制し、耐久を通して、干渉縞や黒点等を抑制し、安定な画像を提供することができる。
また、予想外の効果として支持体と導電性粒子を含む第1の層との接着性も向上した。一般に、導電性粒子を含むほど接着性は悪くなる傾向にある。本効果の理由は定かではないが、以下のように推察される。Al-Si合金を含有する支持体において、Si量が0.6質量%を超えることにより、感光体製造時の加熱乾燥工程でのアルミ素管の熱膨張が抑制される。その結果、支持体と導電性粒子を含む第1の層との膨張率の差が緩和されたものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の電子写真感光体は、支持体上に、中間層及び感光層をこの順に積層する電子写真感光体であって、前記支持体が、Siを含有するアルミニウム合金を含有し、前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超え、前記中間層が、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有し、前記第1の層が、導電性粒子を含む層であり、前記第2の層が、前記導電性粒子を含まないか、又は、前記第1の層における前記導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で前記導電性粒子を含む層であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
【0025】
本発明の実施態様としては、前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.8質量%を超えることが、干渉縞の抑制効果がより優れる点で好ましい。また、支持体と第1の層との接着性もより良好となる。
【0026】
前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、1.4~4.4質量%の範囲内であることが、干渉縞の抑制効果に優れ、素管の加工性が良好となる点で好ましい。また、支持体と第1の層との接着性もより良好となる。
【0027】
前記第1の層における前記導電性粒子が、少なくとも酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化スズを含有する粒子のいずれかであることが、分散性及び導電性の点で好ましい。
【0028】
前記第2の層が、電子輸送性物質を含有することが、耐久を通した電位安定性と画像メモリーの点で好ましい。
【0029】
前記感光層が、電荷発生層を有し、当該電荷発生層に含有される電荷発生剤が、ガリウムフタロシアニンであることが、湿度等の使用環境の影響を受け難いという点で好ましい。
【0030】
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体を備えることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真感光体を備えることを特徴とする。
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を用いることを特徴とする。
【0031】
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0032】
[電子写真感光体の概要]
本発明の電子写真感光体は、支持体上に、中間層及び感光層をこの順に積層する電子写真感光体であって、前記支持体が、Siを含有するアルミニウム合金を含有し、前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超え、前記中間層が、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有し、前記第1の層が、導電性粒子を含む層であり、前記第2の層が、前記導電性粒子を含まないか、又は、前記第1の層における前記導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で前記導電性粒子を含む層であることを特徴とする。
なお、以下において、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいう。
【0033】
本発明に係る支持体は、Siを含有するアルミニウム合金を含有する。そして、Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超える。好ましくは、0.8質量%を超え、より好ましくは、1.4~4.4質量%の範囲内である。
前記Si及びアルミニウム合金の総質量とは、支持体を構成する組成の総質量をいう。
前記Siの含有量が0.6質量%を超えることにより、レーザー光の干渉縞抑制に効果的である。また、支持体と第1の層との接着性もより良好となる。
【0034】
なお、本発明において、「アルミニウム合金」とは、アルミニウム(Al)の含有量が、合金全体に対して50質量%以上である合金のことをいう。また、本発明に係るアルミニウム合金は、Siの他に、Fe、Cu、Mn、Mg、Ti等を含有していてもよい。これらFe、Cu、Mn、Mg、Tiは、それぞれSiの前記含有量である1.4質量%よりも少ないことが好ましい。
また、Alは、合金全体に対して、90~98質量%の範囲内であることが好ましい。
【0035】
本発明に係る第2の層は、第1の層における導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で導電性粒子を含む層である。
すなわち、第1の層の導電性粒子量に対して第2の層の導電性粒子量が少なければよく、第1の層の導電性粒子の含有量に対して第2の層の導電性粒子の含有量が80%以下であることが好ましい。さらに、第1の層の導電性粒子の含有量に対して第2の層の導電性粒子の含有量が50%以下であることがより好ましい
【0036】
[感光体の層構成]
本発明の感光体は、支持体上に、中間層及び感光層をこの順に積層する。また、前記中間層は、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有する。
【0037】
前記感光層は、電荷発生化合物と電荷輸送性化合物を含有する単層構成でもよい。また、感光層は、電荷発生化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送性化合物を含有する電荷輸送層の積層構成でもよい。
さらに、本発明の感光体は、感光層上に表面保護層を有することが好ましい。
前記感光体の層構成は、例えば以下の(1)~(4)のようにすることができる。
【0038】
(1)支持体/第1の層/第2の層/電荷発生層/電荷輸送層
(2)支持体/第1の層/第2の層/単層感光層
(3)支持体/第1の層/第2の層/電荷発生層/電荷輸送層/表面保護層
(4)支持体/第1の層/第2の層/単層感光層/表面保護層
【0039】
図1は、感光体の層構成の一例を示す図である。
図1に示す感光体1には、支持体101上に、中間層(第1の層102a及び第2の層102b)102、電荷発生層103、電荷輸送層104及び表面保護層105が順次積層されている。
【0040】
<支持体>
本発明に係る支持体は、前記したように、Siを含有するアルミニウム合金を含有し、前記Si及びアルミニウム合金の総質量に対してSiの含有量が、0.6質量%を超える。
【0041】
前記支持体は、例えば、ダイス方式、マンドレル方式等によって製造することができる。
【0042】
前記支持体は、厚さが0.7mm~3mmの範囲内であることが好ましい。
【0043】
<中間層>
本発明に係る中間層は、前記支持体に接する第1の層と、前記感光層に接する第2の層とを有する。
【0044】
(第1の層)
前記第1の層は、導電性粒子を含む層である。
前記導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属の粒子や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、ITOなどの金属酸化物の粒子などが挙げられる。また、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化スズ、アンチモン又はタンタルをドープした酸化チタンを用いてもよい。中でも、前記導電性粒子として、少なくとも酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化スズを含有する粒子のいずれかであることが、導電性の点で好ましい。
【0045】
前記導電性粒子の数平均一次粒径は、20~500nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは40~300nmの範囲内である。
【0046】
また、第1の層は、前記導電性粒子以外に結着樹脂(「第1の層用バインダー樹脂」ともいう。)を含有することが好ましい。
前記結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。
これらの結着樹脂の中でも、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂等が好ましい。
【0047】
第1の層における前記導電性粒子の含有量は、前記第1の層用バインダー樹脂100質量部に対して50~400質量部の範囲内が好ましく、80~300質量部の範囲内がより好ましい。
【0048】
前記第1の層は、塗布法によって形成することができる。
第1の層を形成するための塗布液は、前記導電性粒子、前記第1の層用バインダー樹脂及び溶剤を含有する。
前記溶剤としては、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
【0049】
前記第1の層の厚さは、0.1~50μmの範囲内であることが好ましく、さらには0.5~40μmの範囲内であることがより好ましく、さらには1~30μmの範囲内であることがより好ましい。
【0050】
第1の層の体積抵抗率は、1.0×107~5.0×1012Ω・cmの範囲内であることが好ましい。
第1の層の体積抵抗率が5.0×1012Ω・cm以下であれば、画像形成時に電荷の流れが滞りにくくなり、残留電位が上昇しにくくなり、暗部電位や明部電位の変動がより生じにくくなる。一方、第1の層の体積抵抗率が1.0×107Ω・cm以上であれば、電子写真感光体の帯電時に第1の層中を流れる電荷の量が多くなりすぎにくく、リークが発生しにくくなる。さらには、第1の層の体積抵抗率は、1.0×107~1.0×1011Ω・cmの範囲内であることがより好ましい。
【0051】
前記体積抵抗率の測定には、体積抵抗率の評価用にサンプルを作製する。具体的には、ガラス板上に感光体を作製するのと同様に第1の層形成用塗布液を塗布し乾燥した後、膜を削り取り回収する。
物質の導電性の尺度としては、一般的に電気抵抗が用いられる。この抵抗を単位体積(1cm×1cm×1cm)当たりで示した値が体積抵抗率(Volume Resist
ivity,単位Ω・cm)となる。
体積抵抗は以下の式で求められる。断面積W×tに一定電流I(A)を流し、距離Lだけ離れた電極間の電位差V(V)を測ることにより求められる。
体積抵抗率(Ω・cm)の定義
断面積=W×t
抵抗R=V/I
体積抵抗率VR(Ω・cm)=(W×t/L)×(V/I)
本発明の第1の層の体積抵抗率(Ω・cm)は、2mmの間隔で平行に配置した電極を有する容器に削り取った粉末等を充填する。そして、両電極間の電位差500Vでの直流抵抗を横河ヒューレットパッカード株式会社製の4329A High Resistance Meterによって測定した。
【0052】
(第2の層)
前記第2の層は、前記導電性粒子を含まないか、又は、前記第1の層における前記導電性粒子の含有量よりも少ない含有量で前記導電性粒子を含む層である。
【0053】
本発明において、第2の層が、第1の層における導電性粒子の含有量よりも少ない含有量とは、前記したように、第1の層の導電性粒子量に対して第2の層の導電性粒子量が少なければよい。具体的に、第1の層の導電性粒子の含有量に対して第2の層の導電性粒子の含有量が80%以下であることが好ましい。さらに、第1の層の導電性粒子の含有量に対して第2の層の導電性粒子の含有量が50%以下であることがより好ましい。
第2の層における前記導電性粒子の含有量は、後述する第2の層用バインダー樹脂100質量部に対して50~400質量部の範囲内が好ましく、100~300質量部の範囲内がより好ましい。
【0054】
第2の層に含有してもよい導電性粒子としては、前記第1の層に含有する導電性粒子と同様のものを用いることができる。
また、第2の層に含有してもよい前記導電性粒子の数平均一次粒径は、20~400nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは40~300nmの範囲内である。
【0055】
第2の層は、結着樹脂(「第2の層用バインダー樹脂」ともいう。)を含有することが好ましい。また、第2の層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。
前記結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、共重合ナイロン樹脂などが挙げられる。
これらの結着樹脂の中でも、ポリビニルアセタール樹脂、共重合ナイロン樹脂等が好ましい。
【0056】
第2の層は、電子輸送性物質を含有してもよい。電子輸送性物質は有機物でも、高分子のものでも良い。
【0057】
前記電子輸送性物質としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、キノン誘導体、フルオレン誘導体、テトラカルボン酸ジイミド誘導体、シロール誘導体などが挙げられる。
特に、電子輸送性物質として下記化合物101を用いることが好ましい。
【0058】
【0059】
前記第2の層は、塗布法によって形成することができる。
第2の層を形成するための塗布液は、前記第2の層用バインダー樹脂、溶剤、必要に応じて導電性粒子を含有する。
前記溶剤としては、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
【0060】
前記第2の層の厚さは、0.5~25μmの範囲内であることが好ましく、1~10μmの範囲内であることがより好ましい。
【0061】
第2の層の体積抵抗率は、1.0×106~1.0×1013Ω・cmの範囲内であることが好ましい。
第2の層の体積抵抗率が1.0×105Ω・cm以下であれば、帯電性が低下する。一方、第2の層の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上であれば画像メモリーが悪化する。さらには、第2の層の体積抵抗率は、1.0×107~1.0×1011Ω・cmの範囲内であることがより好ましい。
【0062】
第2の層の体積抵抗率の測定には、第1の層の体積抵抗率の測定と同様にして、第2の層の体積抵抗率の評価用にサンプルを作製する。具体的には、ガラス上に第2の層用形成用塗布液を塗布して第2の層を形成する。このようにして作製したサンプルを、第1の層の測定方法と同様にして体積抵抗率を測定する。
【0063】
<感光層>
感光層は、電荷発生性化合物と電荷輸送性化合物を含有する単層構成でもよい。また、感光層は、電荷発生性化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送性化合物を含有する電荷輸送層の積層構成でもよい。
【0064】
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生性化合物及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなる層である。
【0065】
「電荷発生性化合物」とは、電荷キャリアすなわち電子又は正孔(ホール)の発生性を示す化合物のことをいう。電荷発生性化合物としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー等のアゾ顔料、ピレンキノン、アントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレン等の多環キノン顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料、ガリウムフタロシアニンが好ましい。これらの電荷発生性化合物は一種単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができる。当該公知の樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ-ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
【0067】
電荷発生層中の電荷発生性化合物の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1~600質量部の範囲内が好ましい。より好ましくは、50~500質量部の範囲内である。
【0068】
電荷発生層の厚さは、電荷発生性化合物の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合等により異なるが、0.01~5μmの範囲内が好ましい。より好ましくは、0.05~3μmの範囲内である。
【0069】
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、電荷輸送性化合物及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなる層である。
【0070】
「電荷輸送性化合物」とは、電荷キャリアすなわち電子又は正孔(ホール)の輸送性を示す化合物のことをいう。電荷輸送性化合物としては、公知の電荷輸送性化合物を使用することができる。公知の電荷輸送性化合物としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン、及びトリフェニルアミン誘導体等を挙げることができる。これらは二種以上混合して使用してもよい。
【0071】
短波レーザー等の短波露光用の感光体に用いられる電荷輸送性化合物の好ましい例を下記に例示する。
【0072】
【0073】
また、長波レーザー等を用いた長波露光用の感光体に用いられる電荷輸送性化合物の好ましい例を下記に例示する。
【0074】
【0075】
【0076】
また、電荷輸送層が含有する電荷輸送性化合物として、下記化合物も好適に用いることができる。
【0077】
【0078】
上記電荷輸送性化合物は公知の合成方法、例えば、特開2010-26428号公報、及び特開2010-91707号公報等に記載の合成方法により、合成することができる。
【0079】
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、及びスチレン-メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、及びBPA-ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐摩耗性、帯電性の点で好ましい。
【0080】
電荷輸送層中の電荷輸送性化合物の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、より好ましくは20~250質量部である。
【0081】
電荷輸送層は、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイル等を含有していてもよい。酸化防止剤については特開2000-305291号公報、電子導電剤は特開昭50-137543号公報、同58-76483号公報等に開示されているものが好ましい。
【0082】
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送性化合物の特性、バインダー樹脂の特性、及び混合割合等により異なるが、5~40μmの範囲内が好ましく、10~30μmの範囲内がより好ましい。
【0083】
(単層構成である感光層)
単層構成である感光層は、電荷発生性化合物と電荷輸送性化合物とを含有する。その他、上記電荷発生層及び上記電荷輸送層が含有し得る成分を含有していてもよい。
【0084】
感光層が単層構成であると、電荷発生が主に感光層の表面近傍で起こる。それにより、支持体の合金成分由来の結晶により生じ得る電荷のリークスポットの影響を受けにくくなり、画像不良が起きにくくなる。また、感光層が単層構成であると、感光体を低コストで製造できるというメリットもある。
【0085】
単層構成である感光層の厚さは、電荷発生性化合物の特性、電荷輸送性化合物の特性、バインダー樹脂の特性、及び混合割合等により異なるが、5~40μmの範囲内が好ましい。より好ましくは、10~30μmの範囲内である。
【0086】
<表面保護層>
表面保護層は、表面保護層形成用組成物の硬化物を含有する層である。
本発明の感光体は、表面保護層を有することが好ましい。これにより、長期使用による表面粗さの増加を防ぐことができ、クリーニング性の低下を抑制できる。
【0087】
表面保護層形成用組成物は、重合性化合物と電荷輸送性化合物を含有する組成物、又はそれ自体が重合性化合物である電荷輸送性化合物を含有する組成物である。表面保護層形成用組成物は、それ自体が重合性化合物である電荷輸送性化合物と、その他の重合性化合物を含有していてもよい。
【0088】
組成物の硬化物は、組成物中の重合性化合物が重合してマトリックスを形成して得られる硬化物である。
【0089】
「電荷輸送性化合物」とは、電荷キャリアすなわち電子又は正孔(ホール)の輸送性を示す化合物のことをいう。電荷輸送性化合物としては、公知の電荷輸送性化合物を使用することができ、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン、及びトリフェニルアミン誘導体等を挙げることができる。これらは二種以上混合して使用してもよい。
【0090】
「重合性化合物」とは、連鎖重合による反応が可能な官能基を有する化合物のことをいう。連鎖重合による反応が可能な官能基としては、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO-)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO-)が好ましい。
【0091】
表面保護層形成用組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は、表面保護層形成用組成物が含有する重合性化合物の種類に応じて適宜選択される。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。特にラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0092】
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造又はアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、Omnirad819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。重合開始剤は、単独でも又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0093】
表面保護層形成用組成物は、その他、溶剤、無機微粒子、潤滑性有機微粒子、酸化防止剤、安定剤、シリコーンオイル等を含有していてもよい。
【0094】
表面保護層の厚さは、0.2~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~6μmである。
【0095】
[感光体の製造方法]
感光体は、例えば、本発明に係る支持体の表面に、感光体を構成する各層を順次形成することで製造できる。各層の形成は、各層を構成する固形分(又はその原料成分)と溶剤を含む塗布液からなる塗膜を形成する工程と、当該塗膜を硬化させる工程により行われる。感光体の具体的な製造方法について、
図1に示す感光体1の製造方法を例にして、以下に説明する。
【0096】
感光体1は、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):支持体101の表面に第1の層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、第1の層102aを形成する工程。
工程(2):前記第1の層102aの表面に第2の層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、第2の層102bを形成する工程
工程(3):第2の層102aの表面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、電荷発生層103を形成する工程。
工程(4):電荷発生層103の表面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、電荷輸送層104を形成する工程。
工程(5):電荷輸送層104の表面に、表面保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることにより、表面保護層105を形成する工程。
【0097】
<工程(1):第1の層の形成>
第1の層102aは、第1の層形成用の塗布液を、導電性支持体101の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。第1の層形成用の塗布液は、溶剤中に第1の層用バインダー樹脂を溶解させて、導電性粒子を分散させて調製できる。
【0098】
導電性粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用できる。
【0099】
第1の層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)等の公知の方法が挙げられる。円形スライドホッパー法は、円筒状又は円柱状の物品の外周面を被塗布面とする塗布に用いられる方法である。円形スライドホッパー法は、ドラム状の導電性支持体の外周面に第1の層形成用の塗布液を塗布する方法として用いることができる。
【0100】
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0101】
第1の層の形成工程において使用する溶剤としては、導電性粒子を良好に分散し、第1の層用バインダー樹脂を溶解するものであればよい。
前記溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール等の炭素数1~4のアルコール系溶剤が好ましい。これらの溶剤を用いることにより、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能に優れる。
また、保存性や粒子の分散性を向上するために、前記溶剤と併用できる助溶剤としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0102】
第1の層形成用の塗布液中の第1の層用バインダー樹脂の濃度は、第1の層の厚さや生産速度に合わせて適宜選択される。
【0103】
<工程(2):第2の層の形成>
第2の層102bは、第2の層形成用の塗布液を、第1の層102aの表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。第2の層形成用の塗布液は、溶剤中に第2の層用バインダー樹脂を溶解させて、必要に応じて導電性粒子を分散させて調製できる。
【0104】
導電性粒子の分散手段、第2の層形成用の塗布液の塗布方法、塗膜の乾燥方法、使用する溶剤等については、前記第1の層の形成工程と同様のためその説明を省略する。
【0105】
<工程(3):電荷発生層の形成>
電荷発生層103は、電荷発生層形成用の塗布液を、第2の層102bの表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。電荷発生層形成用の塗布液は、溶剤中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生性化合物を分散して調製できる。
【0106】
電荷発生層形成用の塗布液中に電荷発生性化合物を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用できる。
【0107】
電荷発生層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)等の公知の方法が挙げられる。
【0108】
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0109】
電荷発生層の形成に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t-ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0110】
<工程(4):電荷輸送層の形成>
電荷輸送層104は、電荷輸送層形成用の塗布液を、電荷発生層103の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。電荷輸送層形成用の塗布液は、溶剤中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送性化合物を溶解させて調製できる。
【0111】
電荷輸送層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)等の公知の方法が挙げられる。
【0112】
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0113】
電荷輸送層104の形成に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0114】
<工程(5):表面保護層の形成>
表面保護層105は、表面保護層形成用の塗布液を、電荷輸送層104の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を硬化させることにより形成できる。
【0115】
表面保護層形成用の塗布液は、典型的には、溶剤中に表面保護層形成用組成物を溶解又は分散させて調製できる。しかし、表面保護層形成用組成物が、電荷輸送層の表面に塗布可能な粘度を有する液状組成物である場合は、溶剤を用いる必要はない。この場合、表面保護層形成用組成物自体を、表面保護層形成用の塗布液として用いることができる。
【0116】
表面保護層の形成に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0117】
表面保護層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法等の公知の方法が挙げられる。
【0118】
表面保護層形成用の塗布液の塗布の後、塗膜中の反応成分を反応させて塗膜を硬化することにより、表面保護層105を形成することができる。
【0119】
塗膜に対しては、乾燥させることなく硬化処理を行ってもよいが、自然乾燥又は熱乾燥を行ってから硬化処理を行うことが好ましい。
【0120】
乾燥の条件は、溶剤の種類、塗膜の厚さ等によって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温(25℃)~180℃の範囲内であり、特に好ましくは80~140℃の範囲内である。乾燥時間は、好ましくは1~200分間であり、特に好ましくは5~100分間である。
【0121】
塗膜を硬化させるための硬化処理においては、例えば塗膜に紫外線を照射してラジカルを発生させ、重合性化合物を重合反応させる。
【0122】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。
【0123】
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、例えば、紫外線の照射量は、通常5~500mJ/cm2の範囲内、好ましくは5~100mJ/cm2の範囲内である。ランプの電力は、好ましくは0.1~5kWの範囲内であり、特に好ましくは0.5~3kWの範囲内である。必要な紫外線の照射量を得るための照射時間としては、例えば、0.1秒間~10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間~5分間がより好ましい。
【0124】
表面保護層の形成の工程においては、紫外線を照射する前後、及び紫外線を照射中に、乾燥を適宜行うことができる。
【0125】
[画像形成装置及びプロセスカートリッジ]
本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体を備えることを特徴とする。画像形成装置及びプロセスカートリッジは、さらに、例えば、帯電手段(第1帯電手段)と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを備えるものが好ましい。また、画像形成装置及びプロセスカートリッジは、転写手段とクリーニング手段の間に、第2帯電手段を有していてもよい。
【0126】
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるものである。当該画像形成装置100は、4組のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bk、中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0127】
イエロー色の画像を形成するプロセスカートリッジ10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを有する。
【0128】
マゼンタ色の画像を形成するプロセスカートリッジ10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー5M、第2帯電手段9M及びクリーニング手段6Mを有する。
【0129】
シアン色の画像を形成するプロセスカートリッジ10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー5C、第2帯電手段9C及びクリーニング手段6Cを有する。
【0130】
黒色画像を形成するプロセスカートリッジ10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー5Bk、第2帯電手段9Bk及びクリーニング手段6Bkを有する。
【0131】
感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
【0132】
プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで、同様に構成される。したがって、プロセスカートリッジ10Yを例にとって詳細に説明し、プロセスカートリッジ10M、10C、10Bkの説明を省略する。
【0133】
プロセスカートリッジ10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。プロセスカートリッジ10Yは、画像形成装置100から着脱可能であってもよい。また、本実施形態においては、プロセスカートリッジ10Yのうち、少なくとも感光体1Y、第1帯電手段2Y、現像手段4Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
【0134】
第1帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
【0135】
露光手段3Yは、第1帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、例えば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又はレーザー光学系が用いられる。
【0136】
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
【0137】
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
【0138】
第2帯電手段9Yは、中間転写体70にトナー像を転写した後に感光体1Yの表面を帯電(除電)させる除電手段であり、プレクリーニング部材として設けられている。第2帯電手段9Yとしては、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
【0139】
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
【0140】
中間転写体ユニット7は、無端ベルト状の中間転写体70を有する。中間転写体70は、複数のローラー71、72、73、74により巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体である。
中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
【0141】
また、上記プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkと、中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
【0142】
画像形成装置100は、中間転写体70上に形成されたカラー画像を転写材Pに転写する二次転写ローラー5bを備える。給紙手段21は、二次転写ローラー5bに転写材Pを供給するための手段である。給紙手段21は、転写材Pを収容する給紙カセット20と、転写材Pを二次転写ローラー5bに搬送するための複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を備える。
【0143】
定着手段24は、転写材Pに転写されたカラー画像を転写材Pに定着させる手段である。定着手段24は、熱ローラー定着方式のものが挙げられる。このような定着手段24は例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる。画像形成装置100は、画像形成された転写材Pを取り出すための排紙トレイ26を有する。また、画像形成装置100は、定着手段24の下流に、定着処理された転写材Pを、排紙トレイ26に搬送する排紙ローラー25を備える。
【0144】
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100が、カラーのレーザープリンターであるものとしたが、これに限らない。例えば、画像形成装置は、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であっても良い。また、露光光源は、レーザー以外の光源、例えばLED光源等であってもよい。
【0145】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を用いることを特徴とする。本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体と静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及びクリーニング工程を有することが好ましい。
【0146】
本発明の画像形成方法は、具体的には、本発明の電子写真感光体を備える上記画像形成装置100を用いて、以下のようにして行うことができる。
【0147】
帯電工程(第1帯電工程)では、第1帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に放電して負に帯電させる。
【0148】
露光工程では、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。
【0149】
現像工程では、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する。
【0150】
転写工程では、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写)させる。そして、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
【0151】
第2帯電工程では、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を第2帯電手段9Y、9M、9C、9Bkによって除電する。
【0152】
クリーニング工程では、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
【0153】
一方、給紙カセット20から給紙手段21により転写材Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写ローラー5bに搬送する。そして、二次転写ローラー5bにより、転写材P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
【0154】
このようにしてカラー画像が転写された転写材Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、転写材Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング手段6bにより中間転写体70上の残存トナーを除去する。
【0155】
以上のようにして、転写材P上に画像を形成することができる。
【実施例0156】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0157】
以下の手順にしたがって各感光体を作製した。
[感光体1の作製]
(1)導電性支持体1の準備
表Iの組成のアルミニウム合金からなる支持体1(外径φ30mm、長さ360mm)を用意した。
なお、表Iにおいて、「Al」の含有量が「残部」とは、支持体を構成する全金属の含有量が100質量%となるようにしたとき、含有する各種金属の含有量を除いた量をいう。
【0158】
(2)第1の層の形成(酸化スズが被覆された酸化チタン粒子)
下記材料を、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いたメディア分散を行い、分散液を得た。
酸素欠損型酸化スズ(SnO2)が被覆されている酸化チタン粒子
214質量部
フェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ-325、DIC(株)製、樹脂固形分:60質量%)
132質量部
1-メトキシ-2-プロパノール 98質量部
また、分散液中の導電性粒子とバインダー樹脂の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイルを分散液に添加して撹拌した。
前記シリコーンオイルは、商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製を用いた。
これによって、第1の層形成用の塗布液を調製した。この第1の層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させた。このようにして、膜厚が30μmの第1の層を形成した。
なお、下記表IIにおいて、「第1の層用バインダー樹脂に対する導電性粒子部数[質量部]」とは、例えば、上記の例では以下のとおりに算出する。
前記フェノール樹脂132質量部中、樹脂固形分が60質量%であるから、フェノール樹脂の固形分は132×0.6=79.2質量部とる。このフェノール樹脂の固形分79.2質量部に対して、前記酸化スズが被覆された酸化チタン粒子214質量部を用いるため、214質量部/79.2質量部=2.7となり、この値を「第1の層用バインダー樹脂に対する導電性粒子部数[質量部]」とした。
【0159】
(3)第2の層の形成(硬化樹脂+電子輸送性物質)
前記した化合物101(電子輸送性物質) 5質量部
ブロックされたイソシアネート化合物(商品名:SBN-70D、旭化成ケミカルズ(株)製) 8.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂(商品名:KS-5Z、積水化学工業(株)製)
0.6質量部
ヘキサン酸亜鉛(II)(商品名:ヘキサン酸亜鉛(II)、三津和化学薬品(株)製) 0.15質量部
上記材料を、1-メトキシ-2-プロパノール45質量部とテトラヒドロフラン45質量部の混合溶媒に溶解した。これにシリカ粒子がイソプロパノールに分散されたスラリー(商品名:IPA-ST-UP、シリカ比率:15質量%、日産化学(株)製)を3.3質量部加えて撹拌した。
こうして得られた第2の層形成用の塗布液を第1の層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を160℃、40分間加熱し、硬化(重合)させた。これによって、膜厚0.6μmの第2の層を形成した。
【0160】
(4)電荷発生層の形成(Ga)
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)(フタロシアニン1)
8質量部
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業(株)製 4質量部
シクロヘキサノン 250質量部
上記電荷発生層用材料を混合した。混合した材料を、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP(株式会社日本精機製作所製)」を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間に亘って分散した。これにより、電荷発生層用の塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって上記第2の層の表面に塗布し、乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を第2の層上に形成した。
【0161】
(5)電荷輸送層の形成
下記電荷輸送物質(CTM-1) 75質量部
ポリカーボネート樹脂(Z300、三菱ガス化学株式会社製)
100質量部
酸化防止剤(IRGANOX1010、BASF社製、「IRGANOX」は同社の登録商標)」 4質量部
上記電荷輸送層用材料を混合、溶解させることにより電荷輸送層用の塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって上記電荷発生層の表面に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして感光体1を作製した。
【0162】
【0163】
[感光体2~5の作製]
前記感光体1の作製における第1の層の形成において、バインダー樹脂に対する導電性粒子の含有量を下記表IIに示すとおりに変更した以外は同様にして感光体2~5を作製した。
【0164】
[感光体6の作製]
前記感光体1の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更し、かつ、第2の層の形成を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして感光体6を作製した。
【0165】
(3)第2の層の形成(熱可塑性樹脂+導電性粒子)
平均一次粒子径50nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合し、ビニルトリメトキシシラン3質量部を添加し、8時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、ビニルトリメトキシシランで表面処理されたルチル型酸化チタン粒子を得た。
次いで、下記材料に、直径1mmのガラスビーズ120質量部を加え、6時間ペイントシェーカーを用いて分散処理を行い、分散液を得た。
N-メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF-30T、ナガセケムテックス製) 4.5質量部
共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)
1.5質量部
上記手順で得たビニルトリメトキシシランで表面処理されたルチル型酸化チタン粒子
0.06質量部
メタノール 65質量部
n-ブタノール 30質量部
得られた分散液からメッシュでガラスビーズを取り除き、PTFE濾紙(商品名:PF060、アドバンテック東洋製)を用いて加圧ろ過することによって、塗布液を調整した。この塗布液を第1の層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が2.0μmの第2の層を形成した。
【0166】
[感光体7の作製]
前記感光体6の作製における第2の層の形成において、バインダー樹脂に対する導電性粒子の含有量を下記表IIに示すとおりに変更した以外は同様にして感光体7を作製した。
【0167】
[感光体8の作製]
前記感光体6の作製における第1の層と第2の層において、バインダー樹脂に対する導電性粒子の含有量を下記表IIに示すとおりに変更した以外は同様にして感光体8を作製した。
【0168】
[感光体9の作製]
前記感光体1の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した以外は同様にして感光体9を作製した。
【0169】
[感光体10の作製]
前記感光体1の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した。また、第2の層及び電荷発生層の形成を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして感光体10を作製した。
(3)第2の層の形成(熱可塑性樹脂)
下記材料をメタノール500質量部/ブタノール250質量部の混合溶剤に溶解させることによって、第2の層用塗布液を調製した。
共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
10質量部
メトキシメチル化ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF30T、帝国化学産業(株)製) 30質量部
得られた第2の層用塗布液を第1の層上に浸漬塗布し、22分間、100℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が0.45μmの第2の層を形成した。
【0170】
(4)電荷発生層の形成(Ti)
電荷発生物質(Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン)及び(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶) 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学工業株式会社製、「エスレック」は同社の登録商標) 12質量部
混合液(3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V)
400質量部
上記電荷発生層用材料を混合した。次いで、混合した材料を循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP(株式会社日本精機製作所製)」を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間に亘って分散した。これにより、電荷発生層用の塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって上記第2の層の表面に塗布し、乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を第2の層上に形成した。
【0171】
[感光体11の作製]
前記感光体1の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した。また、電荷発生層の形成を前記感光体10と同様の電荷発生層に変更した以外は同様にして感光体11を作製した。
【0172】
[感光体12の作製]
前記感光体6の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した。また、電荷輸送層上にさらに下記に示す表面保護層を形成した以外は同様にして感光体12を作製した。
(6)表面保護層の形成
電荷輸送層上に以下の方法で表面保護層を作製した。
<表面保護層の塗布液組成>
重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート)
100質量部
反応性基を有する下記に示す電荷輸送性物質A 90質量部
重合開始剤(ビス(2、4,6トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 10質量部
2-ブタノール 320質量部
テトラヒドロフラン 80質量部
上記塗布液組成を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、表面層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布した。塗布後、LED光源(波長385nm)を用いて紫外線を1分間照射した後、100℃で70分間加熱乾燥処理を行った。
【0173】
【0174】
[感光体13の作製]
感光体11の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した。また、第1の層の形成を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして感光体13を作製した。
(2)第1の層の形成(酸化チタン)
下記材料を混合、分散し、第1の層形成用塗布液を調製した。このとき、分散機にはサンドミルを用い、バッチ式で10時間の分散を行った。
ポリアミド樹脂 1.0質量部
酸化チタン 1.1質量部
エタノール 20質量部
ポリアミド樹脂(樹脂バインダー)としては、X1010(ダイセル・エボニック社製)を使用した。酸化チタン(導電性粒子)としては、SMT500SAS(テイカ社製)を使用した。酸化チタンの数平均一次粒径は、0.035μmである。
当該塗布液を、支持体の表面に、浸漬塗布法によって塗布した。次いで、これをオーブン内において110℃で20分間乾燥させた。これにより、厚さ3μmの第1の層を形成した。
【0175】
[感光体14の作製]
感光体1の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した。また、第1の層の形成を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして感光体14を作製した。
(2)第1の層の形成(酸化亜鉛)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン:500質量部と撹拌混合した。次いで、混合した材料にシランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製):1.3質量部を添加し、2時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去し、120℃、3時間の条件で焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理を施した酸化亜鉛を得た。
この表面処理を施した酸化亜鉛110質量部と、テトラヒドロフラン500質量部とを撹拌混合した。さらに、この混合材料にアリザリン0.6質量部をテトラヒドロフラン50質量部に溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間撹拌した。
その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
【0176】
前記アリザリン付与酸化亜鉛 0.03質量部
硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製) 15質量部
ブチラール樹脂(エスレックBM-1、積水化学工業社製)
15質量部
上記材料をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液を調製した。
この溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いて、サンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部を添加して、第1の層形成用塗布液を調製した。この第1の層形成用塗布液を浸漬塗布法にて、支持体上に塗布し、170℃、30分の条件で乾燥硬化を行い、膜厚23μmの第1の層を形成した。
【0177】
[感光体15の作製]
感光体1の作製において、第2の層の形成を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして感光体15を作製した。
(3)第2の層の形成(導電性粒子+電子輸送性物質)
平均一次粒子径50nmのルチル型酸化チタン粒子100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合し、ビニルトリメトキシシラン3質量部を添加し、8時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、ビニルトリメトキシシランで表面処理されたルチル型酸化チタン粒子を得た。この酸化チタン粒子15質量部にイソプロピルアルコールを85質量部を混合し、ビーズミルで分散した後に、メッシュによりビーズを取り除き、酸化チタンスラリーを得た。
下記材料を、1-メトキシ-2-プロパノール45質量部とテトラヒドロフラン45質量部の混合溶媒に溶解し、これに酸化チタンスラリーを0.6質量部加えて撹拌した。
前記化合物101(電子輸送性物質) 5質量部
ブロックされたイソシアネート化合物(商品名:SBN-70D、旭化成ケミカルズ(株)製) 8.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂(商品名:KS-5Z、積水化学工業(株)製)
0.6質量部
ヘキサン酸亜鉛(II)(商品名:ヘキサン酸亜鉛(II)、三津和化学薬品(株)製) 0.15質量部
こうして得られた第2の層形成用塗布液を第1の層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を160℃40分間加熱し、硬化(重合)させることによって、膜厚0.6μmの第2の層を形成した。
【0178】
[感光体16の作製]
感光体1の作製において、支持体を下記表Iに示すとおりに変更した以外は同様にして感光体16を作製した。
【0179】
[感光体17の作製]
感光体1の作製における第1の層を下記に示すとおりに変更した以外は同様にして感光体17を作製した。
(2)第1の層の形成(導電性粒子なし)
下記材料を溶解混合した第1の層形成用塗布液を作製した。
ポリアミド樹脂 1.0質量部
エタノール 20質量部
ポリアミド樹脂(樹脂バインダー)としては、X1010(ダイセル・エボニック社製)を使用した。
当該塗布液を、支持体の表面に、浸漬塗布法によって塗布した。次いで、これをオーブン内において110℃で20分間乾燥させた。これにより、厚さ3μmの第1の層を形成した。
【0180】
[感光体18の作製]
感光体1の作製において、第2の層を形成しない以外は同様にして感光体18を作製した。
【0181】
[感光体19の作製]
感光体1の作製において第2の層を、感光体8の第2層に変更した以外は同様にして感光体19を作製した。
【0182】
[評価]
<黒ポチ>
NN環境(温度20℃、湿度50%)にて平均印字率5%の文字チャートを連続40万枚印字した。その後、HH環境(温度30℃、湿度80%)にてPODグロスコート(A3サイズ、100g/m2、王子製紙社製)上にBk100枚出力した。Bkのそれぞれ1枚目と100枚目の計2枚の画像のそれぞれの出力画像をスキャナーでスキャンした。このスキャン画像を画像編集ソフト「フォトショップ(登録商標)CS6」(アドビシステムズ株式会社製)で取り込み、モノクロ画像に変換した。その後、同ソフトにてスキャン画像の黒率を算出した。
この黒率を黒化率として評価した。10点平均した値を採用した。ここでは、白地部にトナーがかぶった部分が黒として、認識される。黒化率とは、画像の黒点部分の面積率を
表し、ベタ黒画像は黒化率100%、白紙は0%となる。以下の評価基準にしたがって評価を行った。
-評価基準-
AA:2枚のいずれにおいても、黒化率0.2%以下で画像上不具合は観察されない。
A:2枚の少なくともいずれかにおいて、黒点が観察されるが黒化率0.2%以上0.7%未満で、実用上問題ないレベルである。
B:2枚の少なくともいずれかにおいて、黒点が観察されるが黒化率0.7%以上で、実用上問題となるレベルの画像不良が見られる。
【0183】
<干渉縞>
上記作製した各感光体を評価機に組み込んで、画像評価を行った。評価機には、bizhub C650i(コニカミノルタ社製)を用いた。
NN環境(温度20℃、湿度50%)にて、平均印字率25%の全面ハーフトーン画像を連続100枚出力した。この全面ハーフトーン画像は、PODグロスコート(A3サイズ、100g/m2、王子製紙社製)上に、各色(Y、M、C、Bk)、100枚ずつ出力した。Y、M、C、Bkのそれぞれ1枚目と100枚目の計8枚を目視で観察した。以下の評価基準にしたがって画像評価を行った。
-評価基準-
AA:8枚のいずれにおいても、木目調の干渉縞の画像不良が観察されない。
A:8枚の少なくともいずれかにおいて、木目調の干渉縞が確認できるが、実用上問題ないレベルである。
B:8枚の少なくともいずれかにおいて、木目調の干渉縞が発生し、実用上問題となるレベルの画像不良が見られる。
【0184】
<電気特性>
NN環境(温度20℃、湿度50%)にて平均印字率5%の文字チャートを連続40万枚印字した。LL環境(温度10℃、湿度15%)にて、帯電電位を-900Vとした際に、レーザーパワーを3000として階調255でベタ画像を出力する際の露光後表面電位を測定した。
-評価基準-
AA:表面電位は0V~-150Vの間で良好。
A:表面電位は-151V~-250Vの間であり、実用上問題ないレベルである。
B:表面電位は-250Vより小さい値であり、ベタ濃度が薄くなり画像不良が見られる。
【0185】
<接着性>
実施例及び比較例において、導電性支持体の代わりに厚さ0.3mmのアルミ板上に表面保護層以外の各層を形成した以外は同様にして、接着性試験用感光体サンプルを作製した。
剃り刃を用いて、アルミ板上の感光層(逆二層又は単層)に2mm間隔で縦に6本、横に6本切り込みを入れ、5×5の25マスを作製した。使用した剃り刃は、青函刃・FAS-10(フェザー安全剃刃株式会社製)であった。
感光層の上からセロハンテープ(3M社製)を密着して貼り付け、接着面に対し90゜に引き上げることで、感光層の接着性を試験した。これを2箇所行い、計50マスのうち、支持体上に残存した感光層のマス数の割合を残存率として評価した。残存したマス数が多いほど接着性は良好である。残存したマス数が75マス以上を実用上問題ないとした。
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
上記結果に示されるように、本発明の感光体は、比較例の感光体に比べて、黒ポチや干渉縞の発生を抑制し、電気特性及び接着性が良好であることが認められる。