(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121115
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】冷蔵庫、及び温水給湯機
(51)【国際特許分類】
F25D 23/08 20060101AFI20240830BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20240830BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20240830BHJP
【FI】
F25D23/08 C
F25D23/06 J
F25D23/06 V
F25D23/08 V
F24H9/00 E ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028029
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤木 義明
(72)【発明者】
【氏名】板倉 大
(72)【発明者】
【氏名】井関 崇
(72)【発明者】
【氏名】塩家 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩俊
(72)【発明者】
【氏名】梶原 ゆり
【テーマコード(参考)】
3L036
3L102
【Fターム(参考)】
3L036AB14
3L102JA01
3L102KA01
3L102LB01
3L102MA01
3L102MA02
3L102MB01
3L102MB05
3L102MB17
3L102MB22
3L102MB30
(57)【要約】
【課題】再生ウレタンの使用量を拡大することができる新規な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫本体に使用されている断熱材以外の特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから形成し、所定位置に配置してバージンウレタンによって埋設する。これによって再生ウレタンの使用量を拡大できる。また、同じ廃棄処理ルートで廃棄処理を実行できる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ウレタンからなる断熱材が充填された断熱箱体と、前記断熱箱体に形成された冷蔵室と、冷気を生成する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルからの冷気を送風ファンによって前記冷蔵室に供給する冷気通路とを備えた冷蔵庫において、
前記冷蔵庫に使用される機能部材が、再生ウレタンから所定形状に形成されて所定位置に配置され、前記ウレタンによって埋設されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されており、
前記底板の前記ウレタンが充填されている領域の反対側に形成された機械室の側から、前記後板と前記底板が螺子によって締め付け固定されていると共に、
前記ウレタンが充填されている側の前記底板の前記螺子が締め付け固定されている領域に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記螺子の先端による他の部材の損傷を抑制する損傷抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫において、
前記他の部材は、前記螺子の締め付け固定されている領域付近に配置された電気配線である
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記ウレタンが充填されている側の前記底板の上面には真空断熱材が配置され、前記真空断熱材の上面に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記ウレタンの流動を促進する流動通路形成部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記ウレタンが充填されている前記後板と前記内箱の間には、冷媒が流れる冷媒パイプが配置され、前記冷媒パイプは前記側板との間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記冷媒パイプからの冷熱が前記側板に漏洩するのを抑制する熱漏洩抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記ウレタンが充填されている側の前記内箱の内側には真空断熱材が配置され、前記真空断熱材と前記内箱の間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記ウレタンの未充填によるボイドの発生を抑制するボイド抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、前記内箱には冷凍室と冷蔵室を仕切る断熱仕切壁が設けられており、
前記断熱仕切壁は、上ケースと下ケースとか構成され、前記上ケースと前記下ケースで形成された空間に真空断熱材と前記ウレタンが充填されていると共に、
前記真空断熱材と前記上ケースの間、及び前記真空断熱材と前記下ケースの間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記ウレタンの未充填によるボイドの発生を抑制するボイド抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記側板と前記底板の側面の突き合せ面の間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記突き合せ面から前記ウレタンが漏洩するのを抑制するウレタン漏洩抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
少なくとも、貯湯タンクと、前記貯湯タンクを外側から囲む囲板と、前記貯湯タンクの上面で、前記囲板を塞ぐ天板と、前記貯湯タンクと前記囲板で形成される空間に充填されたウレタンからなる温水給湯機において、
前記貯湯タンクの下側領域に位置する、前記ウレタンが充填されている側の前記囲板に、再生ウレタンからなる温熱漏洩抑制部材が設けられている
ことを特徴とする温水給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品や飲料水等を冷蔵、或いは冷凍して収納する冷蔵庫、及び家屋に温水を供給する温水給湯機に係り、特に再生ウレタンを使用した冷蔵庫、及び温水給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷蔵庫は、断熱性の箱体内部に冷蔵室、冷凍室、野菜室等を配置し、それぞれの貯蔵室同士を熱の移動が少ないように断熱仕切壁により区画している。これらの断熱性の箱体や断熱仕切壁には、一般的に硬質ウレタンフォームからなる断熱材が使用されている。
【0003】
ところで、最近では省資源や環境負荷の観点から、冷蔵庫等の廃家電製品のリサイクルが極めて重要な開発テーマとなっており、様々な取組みがなされている。冷蔵庫の再資源化に対しては、鉄板や銅管などの金属材料の他に、硬質ウレタンフォームもリサイクルの対象である。
【0004】
そして、硬質ウレタンフォームの冷蔵庫へのリサイクルは種々提案されており、例えば、特開2004-243554号公報(特許文献1)や、特開2003-32492号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。特許文献1では、廃棄される硬質ウレタンフォームから再生された再生ウレタンを、新たな冷蔵庫の断熱箱体内で発泡、硬化させてウレタンフォームとすることが提案されている。また、特許文献2では、再生ウレタンとバインダー剤を混錬して真空断熱材の芯材として用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-243554号公報
【特許文献2】特開2003- 32492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、再生ウレタンを断熱材の材料としてリサイクルすることは良く知られているが、更なる環境意識の高まりから冷蔵庫における再生ウレタンの使用量を拡大することが求められている。一方で再生ウレタンは、新品のバージンウレタンに比べて断熱性等の種々の物性値が低下するので、断熱材の主材料として再利用するのは得策ではない。このような背景から、断熱材の主材料としての用途以外に再生ウレタンの使用量を拡大できる再生ウレタンの利用手法が求められている。また、同様に温水給湯機においても再生ウレタンの使用量の拡大が求められている。
【0007】
本発明の目的は、再生ウレタンの使用量を拡大することができる新規な冷蔵庫,及び温水給湯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、冷蔵庫に使用される機能部材が、再生ウレタンから所定形状に形成されて所定位置に配置され、バージンウレタンによって埋設されていることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、温水給湯機に使用される機能部材が、再生ウレタンから所定形状に形成されて所定位置に配置され、バージンウレタンによって埋設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再生ウレタンの使用量を拡大することができる冷蔵庫、及び温水給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の開閉ドアを取り外した状態の前面側の外観斜視図である。
【
図3】
図1に示す冷蔵庫の後面側の外観斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態になる、冷蔵庫の機械室のカバーを取り外した状態の後面側の背面図である。
【
図5】
図4に示す機械室を構成する底板の外観斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態になる、機械室を構成する底板の外観斜視図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態になる、冷蔵庫の後板を取り外した状態の後面側の外観斜視図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態になる、冷蔵庫の天板を上側から見た上面図である。
【
図9】
図8のA-A断面の要部を示す断面図である。
【
図10】
図8のB-B断面の要部を示す断面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態になる、断熱仕切壁を上側から見た外観斜視図である。
【
図12】
図11に示す断熱仕切壁を上面から見た上面図である。
【
図15】本発明の第6の実施形態になる、冷蔵庫の側板を取り外した状態の側面側の外観斜視図である
【
図16】
図15に示す底板と側板の突き合せ部を示す斜視図である。
【
図17】本発明の第7の実施形態になる温水給湯機の外観斜視図である。
【
図18】
図17に示す温水給湯機の側板を取り外した状態の側面側を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0013】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される冷蔵庫の構成を
図1乃至
図3に基づいて簡単に説明する。尚、
図1は、冷蔵庫の正面を示すものであり、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。また、
図2は、冷蔵庫の開閉ドアを取り去った状態の正面側を斜め上方から見たものであり、
図3は、冷蔵庫の背面側を斜め上方から見たものである。
【0014】
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵室2と製氷室3と上段冷凍室4の間には断熱仕切壁10が配置され、下段冷凍室5と野菜室6の間には断熱仕切壁11が配置されている。冷蔵庫1には、周知の通り冷気を生成する冷凍サイクルと、冷凍サイクルからの冷気を送風ファンによって、冷蔵室2、製氷室3、冷凍室4、5、及び野菜室6に供する冷気供給路とを備えている。
【0015】
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する開閉ドアを備えている。これらの開閉ドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aである。冷蔵室ドア2aには、代表的な庫内の設定や状態を示す操作部が設けられている。冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2の上部及び下部に設けられている。
【0016】
図2、
図3に示すように、冷蔵庫1は側板12、後板13、及び天板14を備え、内側にある内箱との間に、ウレタンフォームや真空断熱材を充填した断熱箱体とされている。冷蔵庫1の下側には、機械室15が形成されており、内部にコンプレッサや熱交換器、冷却ファン等が配置されている。
【0017】
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。冷凍室5は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度の冷蔵貯蔵室で、後述する間接的な冷却により、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。冷蔵室2と製氷室3、上段冷凍室4との間には断熱仕切壁10が介装され、冷凍室5と野菜室6の間には断熱仕切壁11が介装されており、夫々の貯蔵室の間の熱の出入りを抑制している。
【0018】
冷蔵庫1は、側板12、後板13、及び天板14等からなる外箱(鋼板製)と内箱(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。また、断熱箱体には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材を外箱と内箱との間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材はガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含んでいる。
【0019】
以上のような冷蔵庫の構成は、既によく知られたものであり、これ以上の説明は省略する。次に、本発明の実施形態について説明を行う。
【0020】
上述したように、環境意識の高まりから冷蔵庫における再生ウレタンの使用量を拡大することが求められている一方で、再生ウレタンはバージンウレタンに比べて断熱性等の種々の物性値が低下するので、断熱材の主材料として再利用するのは得策ではない。
【0021】
このような背景から、断熱材の主材料としての用途以外に再生ウレタンの使用量を拡大できる再生ウレタンの利用手法が求められている。そして、この要請に応えるため本発明においては、冷蔵庫に使用されている特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから構成して冷蔵庫に設けて再生ウレタンの使用量を拡大したことを特徴としている。同様に、温水給湯機に使用されている特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから構成して温水給湯機に設けて再生ウレタンの使用量を拡大したことを特徴としている。
【0022】
以下、具体的な実施形態を説明する。尚、本発明のバージンウレタンは、まったくの新材でなくとも良く、再生ウレタンよりも再生材率が低いものであってもよい。
【実施例0023】
先ず、本発明の第1の実施形態について
図4、
図5を用いて説明する。第1の実施形態は、冷蔵庫の底板と後板の固定や、機械室内の各種部品を底板に固定する螺子を締め付け固定する時に、底板の機械室側とは反対側に配置された電気配線が、バージンウレタンの発泡によって螺子の締め付け固定領域に移動して、螺子の先端によって電気配線が損傷されるのを抑止することを目的としている。
【0024】
そして、損傷を抑制する機能部材として再生ウレタンによって形成された損傷抑制部材が、底板の機械室側とは反対側の螺子の締め付け領域に配置され、バージンウレタンよって埋設されているものである。
【0025】
尚、
図4は、冷蔵庫1の機械室13のカバーを取り去った内部構成を示している。また、
図5は機械室13を形成する底板を示している。
【0026】
図5に示す底板16は、冷蔵庫1の前側に配置され、最も低い高さ位置となる下段部16aと、奥側に配置されて最も高い高さ位置となる上段部16bと、下段部16aと上段部16bとを繋ぎ、且つ略鉛直方向に延びる起立面部16cとを有している。
【0027】
また、起立面部16cと上段部16bとで、機械室13の収納空間(SP)を形成している。そして、この底板16の上側表面と内箱の間に、バージンウレタンが充填、発泡されて断熱箱体の一部が形成される構成である。尚、電気配線は上段部16bに配置されて、
図4に示す基板収納箱20の電気基板(図示せず)に接続される。
【0028】
また、上段部16bの左端/右端の縁部は、上向きに立ち上がるように曲げ形成された立ち上げ部16b1が形成されている。この立ち上げ部16b1は、前後方向に沿って長い略矩形状に形成されている。同様に、起立面部16cの左端/右端の縁部は、前方に立ち上がるように曲げ形成された立ち上げ部16c1が形成されている。この立ち上げ部16c1も、上下方向に沿って長い略矩形状に形成されている。
【0029】
更に、上段部16bの後方側には取付縁部17が形成されており、この取付縁部17には、螺子孔18が形成されている。この螺子孔18に後板13や各種部品が螺子によって締め付け固定される(この部分は損傷抑制部材を省略している)。そして、螺子孔18が形成された取付縁部17の前側には、再生ウレタンで予め作られた損傷抑制部材19が配置されている。
【0030】
この損傷抑制部材19は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって略直方体の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、形状は任意であり、要は、螺子の締め付けによって電気配線が損傷するのを抑制できれば、その形状は問わないものである。
【0031】
図4に戻って、機械室15には右側から基板収納箱20、熱交換器(図示せず)、冷却ファン21、コンプレッサ22が配置されている。これらの各種部品は、底板16の収納空間(SP)の内部に配置される。そして、底板16の取付縁部17は、後板13に重ね合わされて、螺子23によって締め付け固定される。更には、機械室内の各種部品が螺子23によって締め付け固定される。そして、螺子23が締め付け固定される領域の機械室13とは反対側の底板16の取付縁部17の前側に、破線で示すように損傷抑制部材19が設けられている。
【0032】
このような構成の機械室15において、バージンウレタンを充填して現場発泡させる際に、バージンウレタンの流動に押されて電気配線24が、螺子23の締め付け固定領域に移動されることがある。この状態で螺子23を締め付け固定すると、螺子23の先端が電気配線24の移動部分に到達することがある。ここで、電気配線24は発泡されたバージンウレタンによって固定されているので、螺子24の先端によって電気配線24の被覆を損傷し、電気配線24の銅線と螺子23が、電気的に接触されて短絡を起こす恐れがある。
【0033】
一方、本実施形態の
図5に示すように、底板16の取付縁部17の前側の締め付け固定領域には、螺子孔18に向かい合うようにして、損傷抑制部材19が配置されている。したがって、バージンウレタンを発泡させる際に、電気配線24がバージンウレタンの流動によって移動させられたとしても、電気配線24は、損傷抑制部材19の働きによって、締め付け固定領域に移動されるのが抑制される。
【0034】
このため、螺子23を締め付け固定したとしても、電気配線24は締め付け固定領域に到達していないので、螺子23の先端によって電気配線24の被覆を損傷せず、電気配線24の銅線と螺子23が、電気的に接触されることを防止できる。
【0035】
尚、再生ウレタンで作られた損傷抑制部材19は、断熱性をさほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものとなる。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
そして、バージンウレタンの流動を促進する機能部材として、再生ウレタンによって形成された流動通路形成部材が底板の真空断熱材の表面に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
そして、この底板16の下段部16a、上段部16b、及び起立面部16cの表面には、真空断熱材25が配置されており、内箱との間にバージンウレタンが充填されて断熱箱体の一部が形成される構成である。このような構成において、バージンウレタンを充填すると、バージンウレタンは発泡して流動していくが、真空断熱材25の配置状態や真空断熱材の形態によって、内箱と真空断熱材25の間のバージンウレタンの流動空間が十分に確保できなく、バージンウレタンの流動が阻害される現象が発生することがある。
そこで、本実施形態では、バージンウレタンの発泡の流動方向に沿った方向に延びる、再生ウレタンで予め作られた流動通路形成部材26を真空断熱材25の上面に配置したものである。したがって、真空断熱材25の配置状態や真空断熱材の形態によって、内箱と真空断熱材25の間のバージンウレタンの流動空間が十分に確保できない状況になったとしても、流動通路形成部材26によって十分なバージンウレタンの流動通路が確保され、バージンウレタンの流動を円滑にすることが可能となる。
この流動通路形成部材26は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって略直方体の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。また、流動通路形成部材26の形状は任意であり、要は、バージンウレタンが流動する流動通路を形成できれば、その形状は問わないものである。
尚、再生ウレタンで作られた流動通路形成部材26は、断熱性をさほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。