IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図1
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図2
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図3
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図4
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図5
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図6
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図7
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図8
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図9
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図10
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図11
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図12
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図13
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図14
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図15
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図16
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図17
  • 特開-冷蔵庫、及び温水給湯機 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121115
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】冷蔵庫、及び温水給湯機
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/08 20060101AFI20240830BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20240830BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240830BHJP
【FI】
F25D23/08 C
F25D23/06 J
F25D23/06 V
F25D23/08 V
F24H9/00 E ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028029
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤木 義明
(72)【発明者】
【氏名】板倉 大
(72)【発明者】
【氏名】井関 崇
(72)【発明者】
【氏名】塩家 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩俊
(72)【発明者】
【氏名】梶原 ゆり
【テーマコード(参考)】
3L036
3L102
【Fターム(参考)】
3L036AB14
3L102JA01
3L102KA01
3L102LB01
3L102MA01
3L102MA02
3L102MB01
3L102MB05
3L102MB17
3L102MB22
3L102MB30
(57)【要約】
【課題】再生ウレタンの使用量を拡大することができる新規な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫本体に使用されている断熱材以外の特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから形成し、所定位置に配置してバージンウレタンによって埋設する。これによって再生ウレタンの使用量を拡大できる。また、同じ廃棄処理ルートで廃棄処理を実行できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ウレタンからなる断熱材が充填された断熱箱体と、前記断熱箱体に形成された冷蔵室と、冷気を生成する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルからの冷気を送風ファンによって前記冷蔵室に供給する冷気通路とを備えた冷蔵庫において、
前記冷蔵庫に使用される機能部材が、再生ウレタンから所定形状に形成されて所定位置に配置され、前記ウレタンによって埋設されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されており、
前記底板の前記ウレタンが充填されている領域の反対側に形成された機械室の側から、前記後板と前記底板が螺子によって締め付け固定されていると共に、
前記ウレタンが充填されている側の前記底板の前記螺子が締め付け固定されている領域に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記螺子の先端による他の部材の損傷を抑制する損傷抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫において、
前記他の部材は、前記螺子の締め付け固定されている領域付近に配置された電気配線である
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記ウレタンが充填されている側の前記底板の上面には真空断熱材が配置され、前記真空断熱材の上面に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記ウレタンの流動を促進する流動通路形成部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記ウレタンが充填されている前記後板と前記内箱の間には、冷媒が流れる冷媒パイプが配置され、前記冷媒パイプは前記側板との間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記冷媒パイプからの冷熱が前記側板に漏洩するのを抑制する熱漏洩抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記ウレタンが充填されている側の前記内箱の内側には真空断熱材が配置され、前記真空断熱材と前記内箱の間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記ウレタンの未充填によるボイドの発生を抑制するボイド抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、前記内箱には冷凍室と冷蔵室を仕切る断熱仕切壁が設けられており、
前記断熱仕切壁は、上ケースと下ケースとか構成され、前記上ケースと前記下ケースで形成された空間に真空断熱材と前記ウレタンが充填されていると共に、
前記真空断熱材と前記上ケースの間、及び前記真空断熱材と前記下ケースの間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記ウレタンの未充填によるボイドの発生を抑制するボイド抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記断熱箱体は、天板、側板、後板、及び底板からなる外箱と内箱を備え、前記外箱と前記内箱で形成される空間に前記ウレタンが充填されていると共に、
前記側板と前記底板の側面の突き合せ面の間に、前記再生ウレタンから作られた前記機能部材として、前記突き合せ面から前記ウレタンが漏洩するのを抑制するウレタン漏洩抑制部材が配置されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
少なくとも、貯湯タンクと、前記貯湯タンクを外側から囲む囲板と、前記貯湯タンクの上面で、前記囲板を塞ぐ天板と、前記貯湯タンクと前記囲板で形成される空間に充填されたウレタンからなる温水給湯機において、
前記貯湯タンクの下側領域に位置する、前記ウレタンが充填されている側の前記囲板に、再生ウレタンからなる温熱漏洩抑制部材が設けられている
ことを特徴とする温水給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品や飲料水等を冷蔵、或いは冷凍して収納する冷蔵庫、及び家屋に温水を供給する温水給湯機に係り、特に再生ウレタンを使用した冷蔵庫、及び温水給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷蔵庫は、断熱性の箱体内部に冷蔵室、冷凍室、野菜室等を配置し、それぞれの貯蔵室同士を熱の移動が少ないように断熱仕切壁により区画している。これらの断熱性の箱体や断熱仕切壁には、一般的に硬質ウレタンフォームからなる断熱材が使用されている。
【0003】
ところで、最近では省資源や環境負荷の観点から、冷蔵庫等の廃家電製品のリサイクルが極めて重要な開発テーマとなっており、様々な取組みがなされている。冷蔵庫の再資源化に対しては、鉄板や銅管などの金属材料の他に、硬質ウレタンフォームもリサイクルの対象である。
【0004】
そして、硬質ウレタンフォームの冷蔵庫へのリサイクルは種々提案されており、例えば、特開2004-243554号公報(特許文献1)や、特開2003-32492号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。特許文献1では、廃棄される硬質ウレタンフォームから再生された再生ウレタンを、新たな冷蔵庫の断熱箱体内で発泡、硬化させてウレタンフォームとすることが提案されている。また、特許文献2では、再生ウレタンとバインダー剤を混錬して真空断熱材の芯材として用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-243554号公報
【特許文献2】特開2003- 32492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、再生ウレタンを断熱材の材料としてリサイクルすることは良く知られているが、更なる環境意識の高まりから冷蔵庫における再生ウレタンの使用量を拡大することが求められている。一方で再生ウレタンは、新品のバージンウレタンに比べて断熱性等の種々の物性値が低下するので、断熱材の主材料として再利用するのは得策ではない。このような背景から、断熱材の主材料としての用途以外に再生ウレタンの使用量を拡大できる再生ウレタンの利用手法が求められている。また、同様に温水給湯機においても再生ウレタンの使用量の拡大が求められている。
【0007】
本発明の目的は、再生ウレタンの使用量を拡大することができる新規な冷蔵庫,及び温水給湯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、冷蔵庫に使用される機能部材が、再生ウレタンから所定形状に形成されて所定位置に配置され、バージンウレタンによって埋設されていることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、温水給湯機に使用される機能部材が、再生ウレタンから所定形状に形成されて所定位置に配置され、バージンウレタンによって埋設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再生ウレタンの使用量を拡大することができる冷蔵庫、及び温水給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明が適用される冷蔵庫の正面図である。
図2図1に示す冷蔵庫の開閉ドアを取り外した状態の前面側の外観斜視図である。
図3図1に示す冷蔵庫の後面側の外観斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態になる、冷蔵庫の機械室のカバーを取り外した状態の後面側の背面図である。
図5図4に示す機械室を構成する底板の外観斜視図である。
図6】本発明の第2の実施形態になる、機械室を構成する底板の外観斜視図である。
図7】本発明の第3の実施形態になる、冷蔵庫の後板を取り外した状態の後面側の外観斜視図である。
図8】本発明の第4の実施形態になる、冷蔵庫の天板を上側から見た上面図である。
図9図8のA-A断面の要部を示す断面図である。
図10図8のB-B断面の要部を示す断面図である。
図11】本発明の第5実施形態になる、断熱仕切壁を上側から見た外観斜視図である。
図12図11に示す断熱仕切壁を上面から見た上面図である。
図13図12のC-C断面の要部を示す断面図である。
図14図12のD-D断面の要部を示す断面図である。
図15】本発明の第6の実施形態になる、冷蔵庫の側板を取り外した状態の側面側の外観斜視図である
図16図15に示す底板と側板の突き合せ部を示す斜視図である。
図17】本発明の第7の実施形態になる温水給湯機の外観斜視図である。
図18図17に示す温水給湯機の側板を取り外した状態の側面側を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0013】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される冷蔵庫の構成を図1乃至図3に基づいて簡単に説明する。尚、図1は、冷蔵庫の正面を示すものであり、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。また、図2は、冷蔵庫の開閉ドアを取り去った状態の正面側を斜め上方から見たものであり、図3は、冷蔵庫の背面側を斜め上方から見たものである。
【0014】
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵室2と製氷室3と上段冷凍室4の間には断熱仕切壁10が配置され、下段冷凍室5と野菜室6の間には断熱仕切壁11が配置されている。冷蔵庫1には、周知の通り冷気を生成する冷凍サイクルと、冷凍サイクルからの冷気を送風ファンによって、冷蔵室2、製氷室3、冷凍室4、5、及び野菜室6に供する冷気供給路とを備えている。
【0015】
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する開閉ドアを備えている。これらの開閉ドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aである。冷蔵室ドア2aには、代表的な庫内の設定や状態を示す操作部が設けられている。冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2の上部及び下部に設けられている。
【0016】
図2図3に示すように、冷蔵庫1は側板12、後板13、及び天板14を備え、内側にある内箱との間に、ウレタンフォームや真空断熱材を充填した断熱箱体とされている。冷蔵庫1の下側には、機械室15が形成されており、内部にコンプレッサや熱交換器、冷却ファン等が配置されている。
【0017】
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。冷凍室5は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度の冷蔵貯蔵室で、後述する間接的な冷却により、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。冷蔵室2と製氷室3、上段冷凍室4との間には断熱仕切壁10が介装され、冷凍室5と野菜室6の間には断熱仕切壁11が介装されており、夫々の貯蔵室の間の熱の出入りを抑制している。
【0018】
冷蔵庫1は、側板12、後板13、及び天板14等からなる外箱(鋼板製)と内箱(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。また、断熱箱体には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材を外箱と内箱との間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材はガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含んでいる。
【0019】
以上のような冷蔵庫の構成は、既によく知られたものであり、これ以上の説明は省略する。次に、本発明の実施形態について説明を行う。
【0020】
上述したように、環境意識の高まりから冷蔵庫における再生ウレタンの使用量を拡大することが求められている一方で、再生ウレタンはバージンウレタンに比べて断熱性等の種々の物性値が低下するので、断熱材の主材料として再利用するのは得策ではない。
【0021】
このような背景から、断熱材の主材料としての用途以外に再生ウレタンの使用量を拡大できる再生ウレタンの利用手法が求められている。そして、この要請に応えるため本発明においては、冷蔵庫に使用されている特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから構成して冷蔵庫に設けて再生ウレタンの使用量を拡大したことを特徴としている。同様に、温水給湯機に使用されている特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから構成して温水給湯機に設けて再生ウレタンの使用量を拡大したことを特徴としている。
【0022】
以下、具体的な実施形態を説明する。尚、本発明のバージンウレタンは、まったくの新材でなくとも良く、再生ウレタンよりも再生材率が低いものであってもよい。
【実施例0023】
先ず、本発明の第1の実施形態について図4図5を用いて説明する。第1の実施形態は、冷蔵庫の底板と後板の固定や、機械室内の各種部品を底板に固定する螺子を締め付け固定する時に、底板の機械室側とは反対側に配置された電気配線が、バージンウレタンの発泡によって螺子の締め付け固定領域に移動して、螺子の先端によって電気配線が損傷されるのを抑止することを目的としている。
【0024】
そして、損傷を抑制する機能部材として再生ウレタンによって形成された損傷抑制部材が、底板の機械室側とは反対側の螺子の締め付け領域に配置され、バージンウレタンよって埋設されているものである。
【0025】
尚、図4は、冷蔵庫1の機械室13のカバーを取り去った内部構成を示している。また、図5は機械室13を形成する底板を示している。
【0026】
図5に示す底板16は、冷蔵庫1の前側に配置され、最も低い高さ位置となる下段部16aと、奥側に配置されて最も高い高さ位置となる上段部16bと、下段部16aと上段部16bとを繋ぎ、且つ略鉛直方向に延びる起立面部16cとを有している。
【0027】
また、起立面部16cと上段部16bとで、機械室13の収納空間(SP)を形成している。そして、この底板16の上側表面と内箱の間に、バージンウレタンが充填、発泡されて断熱箱体の一部が形成される構成である。尚、電気配線は上段部16bに配置されて、図4に示す基板収納箱20の電気基板(図示せず)に接続される。
【0028】
また、上段部16bの左端/右端の縁部は、上向きに立ち上がるように曲げ形成された立ち上げ部16b1が形成されている。この立ち上げ部16b1は、前後方向に沿って長い略矩形状に形成されている。同様に、起立面部16cの左端/右端の縁部は、前方に立ち上がるように曲げ形成された立ち上げ部16c1が形成されている。この立ち上げ部16c1も、上下方向に沿って長い略矩形状に形成されている。
【0029】
更に、上段部16bの後方側には取付縁部17が形成されており、この取付縁部17には、螺子孔18が形成されている。この螺子孔18に後板13や各種部品が螺子によって締め付け固定される(この部分は損傷抑制部材を省略している)。そして、螺子孔18が形成された取付縁部17の前側には、再生ウレタンで予め作られた損傷抑制部材19が配置されている。
【0030】
この損傷抑制部材19は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって略直方体の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、形状は任意であり、要は、螺子の締め付けによって電気配線が損傷するのを抑制できれば、その形状は問わないものである。
【0031】
図4に戻って、機械室15には右側から基板収納箱20、熱交換器(図示せず)、冷却ファン21、コンプレッサ22が配置されている。これらの各種部品は、底板16の収納空間(SP)の内部に配置される。そして、底板16の取付縁部17は、後板13に重ね合わされて、螺子23によって締め付け固定される。更には、機械室内の各種部品が螺子23によって締め付け固定される。そして、螺子23が締め付け固定される領域の機械室13とは反対側の底板16の取付縁部17の前側に、破線で示すように損傷抑制部材19が設けられている。
【0032】
このような構成の機械室15において、バージンウレタンを充填して現場発泡させる際に、バージンウレタンの流動に押されて電気配線24が、螺子23の締め付け固定領域に移動されることがある。この状態で螺子23を締め付け固定すると、螺子23の先端が電気配線24の移動部分に到達することがある。ここで、電気配線24は発泡されたバージンウレタンによって固定されているので、螺子24の先端によって電気配線24の被覆を損傷し、電気配線24の銅線と螺子23が、電気的に接触されて短絡を起こす恐れがある。
【0033】
一方、本実施形態の図5に示すように、底板16の取付縁部17の前側の締め付け固定領域には、螺子孔18に向かい合うようにして、損傷抑制部材19が配置されている。したがって、バージンウレタンを発泡させる際に、電気配線24がバージンウレタンの流動によって移動させられたとしても、電気配線24は、損傷抑制部材19の働きによって、締め付け固定領域に移動されるのが抑制される。
【0034】
このため、螺子23を締め付け固定したとしても、電気配線24は締め付け固定領域に到達していないので、螺子23の先端によって電気配線24の被覆を損傷せず、電気配線24の銅線と螺子23が、電気的に接触されることを防止できる。
【0035】
尚、再生ウレタンで作られた損傷抑制部材19は、断熱性をさほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものとなる。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【実施例0036】
次に、本発明の第2の実施形態について図6を用いて説明する。第2の実施形態は、底板に真空断熱材を配置すると、底板と内箱の間にバージンウレタンを充填する時に、真空断熱材によって通路が狭くなり、バージンウレタンの流動性が阻害されるのを抑制することを目的としている。
【0037】
そして、バージンウレタンの流動を促進する機能部材として、再生ウレタンによって形成された流動通路形成部材が底板の真空断熱材の表面に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
【0038】
図6は、底板の上面に真空断熱材を配置した構成を示している。図6に示す底板16は、冷蔵庫1の前側に配置され、最も低い高さ位置となる下段部16aと、奥側に配置されて最も高い高さ位置となる上段部16bと、下段部16aと上段部16bとを繋ぎ、且つ略鉛直方向に延びる起立面部16cとを有している。また、起立面部16cと上段部16bとで、機械室13の収納空間(SP)を形成している。尚、損傷抑制部材19は、第1の実施形態と同様に設けられているが、これについての説明は省略する。
【0039】
そして、この底板16の下段部16a、上段部16b、及び起立面部16cの表面には、真空断熱材25が配置されており、内箱との間にバージンウレタンが充填されて断熱箱体の一部が形成される構成である。このような構成において、バージンウレタンを充填すると、バージンウレタンは発泡して流動していくが、真空断熱材25の配置状態や真空断熱材の形態によって、内箱と真空断熱材25の間のバージンウレタンの流動空間が十分に確保できなく、バージンウレタンの流動が阻害される現象が発生することがある。
【0040】
そこで、本実施形態では、バージンウレタンの発泡の流動方向に沿った方向に延びる、再生ウレタンで予め作られた流動通路形成部材26を真空断熱材25の上面に配置したものである。したがって、真空断熱材25の配置状態や真空断熱材の形態によって、内箱と真空断熱材25の間のバージンウレタンの流動空間が十分に確保できない状況になったとしても、流動通路形成部材26によって十分なバージンウレタンの流動通路が確保され、バージンウレタンの流動を円滑にすることが可能となる。
【0041】
この流動通路形成部材26は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって略直方体の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。また、流動通路形成部材26の形状は任意であり、要は、バージンウレタンが流動する流動通路を形成できれば、その形状は問わないものである。
【0042】
尚、再生ウレタンで作られた流動通路形成部材26は、断熱性をさほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【実施例0043】
次に、本発明の第3の実施形態について図7を用いて説明する。第3の実施形態は、冷蔵庫の背面側に引き回されている冷媒パイプの屈曲部が、側板や後板と機械的に接触していると、接触領域に冷熱が伝わり、側板や後板の外側表面に水蒸気が凝縮して水分が付着するのを抑制することを目的としている。
【0044】
そして、水蒸気の凝縮を抑制する機能部材として、再生ウレタンによって形成された熱漏洩抑制部材が、冷媒パイプと冷媒パイプが接触する後板や側板の間に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
【0045】
図7は、冷蔵庫の背面側の後板13を取り外した構成を示している。尚、図中のP部を拡大したものを下側に示しているので、これも併せて参照して説明する。
【0046】
図7に示すように、冷蔵庫1の背面側の機械室15の上側には、電気配線や冷風通路の他に、冷媒パイプ27が引き回されて配置されている。冷媒パイプ27は、所定の長さを必要とすることから、構造的に側板12の付近で折り返しされる屈曲部27bを有している。そして、この屈曲部27bは側板12や後板13に、機械的に接触することがある。このため、冷媒が流れることによって冷熱が側板12や後板13に伝わり、側板12や後板13の外側表面に水蒸気が凝縮して水分が付着する。尚、図面では側板12に接触する場合を示している。
【0047】
そこで、本実施形態では、冷媒パイプ27の屈曲部27bと側板12の接触領域の間に、再生ウレタンで予め作られた熱漏洩抑制部材28を配置したものである。したがって、冷媒パイプ27の屈曲部27bから漏れ出る冷熱は、熱漏洩抑制部材28で遮られるので、側板12や後板13の外側表面に水蒸気が凝縮して水分が付着するのを抑制することができる。
【0048】
このように熱漏洩抑制部材28は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって略直方体の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、熱漏洩抑制部材28の形状は任意であり、要は、冷媒パイプ27から冷熱が漏れ出るのを抑制できば、その形状は問わないものである。
【0049】
また、再生ウレタンで作られた断熱部材28は、それほど断熱性を考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【実施例0050】
次に、本発明の第4の実施形態について図8図10を用いて説明する。第4の実施形態は、内箱に隣接して真空断熱材が配置されていると、真空断熱材と内箱の間の空間が狭いため、バージンウレタンの流れが滞留して未充填ボイドが発生するのを抑制することを目的としている。
【0051】
そして、ボイドの発生を抑制する機能部材として、再生ウレタンによって形成されたボイド抑制部材が内箱と真空断熱材の間に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
【0052】
庫内の貯蔵空間を拡大するために、真空断熱材に向き合う内箱は外側に向けて窪んだ形状にされている。このため、この部分は狭くなっているためバージンウレタンが充填されていないので、ボイドが発生して、内箱の変形を生じたり、断熱性にむらを生じたりする。逆にバージンウレタンを強制的に充填させると、内箱が庫内側に膨らむように変形するので、製品としては採用できない。
【0053】
このような観点から、第4の実施形態は、真空断熱材が位置する部分のボイドの発生を抑制し、しかも内箱の庫内側への膨らみを抑制することを目的としている。そして、ボイドの発生を抑制し、更に内箱の膨らみを抑制する機能部材として、再生ウレタンによって形成されたボイド抑制部材を、真空断熱材と内箱の間に設けたものである。
【0054】
図8は、冷蔵庫の上面を示し、図9は、図8のA-A断面を示し、図10はB-B断面を示している。図8図9に示すように、冷蔵庫1の内箱29と天板15の間の空間、及び内箱29と後板13の間の空間には、バージンウレタン30が充填、発泡されている。また、天板15の内側には真空断熱材31が配置され、これに向き合う内箱29は、外側に窪んだ窪み領域32が形成されている。更に、この窪み領域32と真空断熱材31の間には、再生ウレタンで予め作られた天板側ボイド抑制部材33が配置されている。
【0055】
同様に、後板13の内側には真空断熱材34が配置され、これに向き合う内箱29と真空断熱材34の間には、再生ウレタンで予め作られた後板側ボイド抑制部材35が配置されている。ボイド抑制部材33、35は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって略シート形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。
【0056】
また、図10に示すように、冷蔵庫1の内箱29と一対の側板12の間の空間には、バージンウレタン30が充填されている。また、側板12の内側には真空断熱材36が配置され、これに向き合う内箱29は、外側に窪んだ窪み領域37が形成されている。更に、この窪み領域37と真空断熱材36の間には、再生ウレタンで予め作られた側板側ボイド抑制部材38が配置されている。側板側ボイド抑制部材38も、ボイド抑制部材33、35と同様な手法で作られている。
【0057】
例えば、従来のように庫内の貯蔵空間を拡大するために、真空断熱材に向き合う内箱が外側に向けて窪んだ形状にされている場合、この部分にはバージンウレタンが充填されていないので、バージンウレタンの未充填によるボイドが発生する、逆にバージンウレタンを強制的に充填させると、内箱が庫内側に膨らむように変形するという、課題がある。尚、後板側も同様の課題がある。
【0058】
これに対して、本実施形態では、内箱と真空断熱材の間の空間が狭くなっている領域に、再生ウレタンから予め作られたボイド抑制部材33、35、38を配置している。したがって、狭くなっている領域に再生ウレタンからなるボイド抑制部材33、35、38が存在しているので、現場発泡のバージンウレタンが流動しなくてもボイドの発生がなくなり、また内箱が庫内側に膨らむことがなくなる。
【0059】
しかも、再生ウレタンによって断熱性のむらをなくすことができる。もちろん、再生ウレタンはバージンウレタンに比べると断熱性は若干劣るが、従来の構成に比べると断熱性が大きく向上している。
【0060】
このようにボイド抑制部材33、35、38は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって任意の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、ボイド抑制部材33、35、3の形状は、真空断熱材の形状に合せてボイドが形成されるのを抑制できれば、その形状は問わないものである。
【0061】
また、再生ウレタンで作られたボイド抑制部材33、35、38は、断熱性をそれほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【実施例0062】
次に、本発明の第5の実施形態について図11図14を用いて説明する。第5の実施形態は、断熱仕切壁を構成する上、下ケースに隣接して真空断熱材が配置されていると、真空断熱材と両ケース内側の間の空間が狭いため、バージンウレタンの流れが滞留して未充填ボイドが発生するのを抑制することを目的としている。
【0063】
そして、ボイドの発生を抑制する機能部材として、再生ウレタンによって形成されたボイド抑制部材が、両ケース内側と真空断熱材の間に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
【0064】
庫内の貯蔵空間を拡大するために、断熱仕切壁の上面側は、図11図12にあるように内側に向けて窪んだ形状にされている。断熱仕切壁10(断熱仕切壁11も類似構成)は、上ケース39と、下ケース40とを組み合わせて構成されている。上ケース39の表面には、一対の窪み領域39aが形成されており、庫内の貯蔵空間を拡大するように構成されている。更に、断熱仕切壁10は、上ケース39と下ケース40とで囲まれた空間内に、真空断熱材41(図13図14参照)と、これを覆うようにバージンウレタン42(図13図14参照)が充填されている。
【0065】
そして、図12の破線矢印(Uflow)に示しように、断熱箱体に設けられたウレタン注入口から注入されたバージンウレタンが、断熱仕切壁10の左右前側に形成されたウレタン流入口43から断熱仕切壁10の内部に流入する。断熱仕切壁10の内部に流入したバージンウレタンは、真空断熱材41の周囲を回り込んで充填されていき、最終的に上ケース39、及び下ケース40で形成される空間に充填される。
【0066】
この場合も、バージンウレタンの未充填によるボイドの発生が想定される。図13は、図12のC-C断面を示し、図14は、図12のD-D断面を示している。図13から判るように、一対の窪み領域39aの間は狭くなっているのでバージンウレタンの流動が悪く、ボイドが発生する恐れが大きい。同様に図13図14から判るように、真空断熱材41と上ケース39の間、及び真空断熱材41と下ケース40との間も狭いので、この領域でもバージンウレタンの流動が悪く、ボイドが発生する恐れが大きい。
【0067】
そこで、本実施形態では、図13においては、窪み領域39aの間の空間に、再生ウレタンから作られた窪み側ボイド抑制部材43を配置し、また図14にあるように、下ケース40と真空断熱材41の間の空間に、再生ウレタンから作られた下ケース側ボイド抑制部材44を配置し、更に図14にあるように、上ケース39と真空断熱材41の間の空間に、再生ウレタンから作られた上ケース側ボイド抑制部材45を配置した構成としている。
【0068】
例えば、従来のように貯蔵空間を拡大するために、真空断熱材41に向き合う上ケース39が内側に向けて窪んだ形状にされている場合、この部分にはバージンウレタンが充填され難いので、バージンウレタンの未充填によるボイドが発生する課題がある。同様に一対の窪み領域39aにも同様の課題がある
これに対して、本実施形態では、一対の窪み領域39aの間の空間が狭い領域、及び上ケース39、下ケース40と真空断熱材41の間の空間が狭い領域に、再生ウレタンから予め作られたボイド抑制部材43、44、45を配置している。したがって、狭くなっている領域に、事前に再生ウレタンからボイド抑制部材43、44、45が存在しているので、現場発泡のバージンウレタンが流動しなくてもボイドの発生がなくなる。
【0069】
このように、ボイド抑制部材43、44、45は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって任意の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、ボイド抑制部材43、44、45の形状は、真空断熱材の形状に合せてボイドが形成されるのを抑制できれば、その形状は問わないものである。
【0070】
また、再生ウレタンで作られたボイド抑制部材43、44、45は、断熱性をそれほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【実施例0071】
次に、本発明の第6の実施形態について図15図16を用いて説明する。第6の実施形態は、バージンウレタンを充填する際に、底板の側面と側板の突き合せ面からバージンウレタンが機械室側に漏れ出るのを抑制することを目的としている。
【0072】
そして、バージンウレタンが漏れ出るのを抑制する機能部材として、再生ウレタンによって形成されたウレタン漏洩抑制部材が、底板の側面と側板の間に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
【0073】
図15は、側板12を取り外して底板16の側面部分を露出させたものである。図15に示しているように、上段部16bの左端/右端の縁部は、上向きに立ち上がるように曲げ形成された立ち上げ部16b1が形成されている。同様に、起立面部16cの左端/右端の縁部は、前方に立ち上がるように曲げ形成された立ち上げ部16c1が形成されている。この立上げ部16b1、16c1は、側板12の側面に突き合わされた状態で、バージンウレタンが充填される。このため、バージンウレタンが機械室側に漏洩することを防ぐ必要がある。
【0074】
このような観点から、第6の実施形態は、底板16の側面と側板12の突き合せ面からのバージンウレタンの漏洩を抑制することを目的として、再生ウレタンによって形成されたウレタン漏洩抑制部材を、底板16の側面と側板12の間に設けたものである。
【0075】
図16は、底板16と側板12の突き合せ面を示している。底板16の上段部16bに形成された立ち上がり部16b1と側板12の側面の壁面の間には、再生ウレタンで作られたウレタン漏洩抑制部材46が配置されている。このウレタン漏洩抑制部材46は、図15に示した起立面部16cの立ち上がり部16c1に跨って形成されている。そして、バージンウレタンが充填、発泡されると、バージンウレタンは破線矢印(Uflow)のように流動するが、ウレタン漏洩抑制部材46の働きによって機械室側に漏洩するのが抑制される。
【0076】
ウレタン漏洩抑制部材46は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって任意の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、ウレタン漏洩抑制部材46の形状は、底板16の左右の側面形状(立ち上がりの形状)に合せてバージンウレタンが漏洩するのを抑制できれば、その形状は問わないものである。
【0077】
また、再生ウレタンで作られたウレタン漏洩抑制部材46は、断熱性をそれほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【実施例0078】
次に、本発明の第7の実施形態について図17図18を用いて説明する。第7の実施形態は、バージンウレタンの使用量を低減し、しかも温水給湯機からの熱が外気に放出されるのを抑制することを目的としている。
【0079】
そして、貯湯タンクから温熱が漏れ出るのを抑制する機能部材として、再生ウレタンによって形成された温熱漏洩抑制部材が貯湯タンクの下側領域の囲板に配置され、バージンウレタンによって埋設されているものである。
【0080】
図17は、温水給湯機の斜め上方から見た全体構成を示し、図18は側板を取り外して側面から見た構成を示している。図17において、温水給湯機50は、天板51と、この天板51の側面を囲むように、囲板である前板52、側板53、及び後板54から構成されている。そして、図18に示すように、内側には貯湯タンク55が配置されている。
【0081】
温水給湯機50の前板52、側板53、及び後板54の内側の壁面には、再生ウレタンで作られた温熱漏洩抑制部材56が配置されている。温熱漏洩抑制部材56は、貯湯タンク55の下側の低温領域に配置されている。また、温水給湯機50の前板52、側板53、及び後板54の内側の壁面と貯湯タンク55によって形成される空間には、バージンウレタンが充填、発泡されされている。
【0082】
このように、再生ウレタンを使用するので、バージンウレタンの使用量を低減することができる。また、下側領域に再生ウレタン使用するのは、できるだけ湯温の低下を抑えるためである。仮に貯湯タンク55の上側領域に再生ウレタンを使用すると、断熱性能がバージンウレタンに比べて劣るので、貯湯タンク55の上側領域に存在する高温の湯の温度が低下する恐れがある。
【0083】
これに対して、貯湯タンクの下側領域に配置すれば、バージンウレタンの使用量を低減しながら、高温の湯を使用することが可能となる。つまり、貯湯タンクの下側領域は水道水のような低温の水であるので、それほど断熱性を必要としないが、上側領域は温度が高いので、バージンウレタンを使用して温度の低下を抑制している。
【0084】
温熱漏洩抑制部材56は、再生ウレタンから常温圧縮成形法によって任意の形状に作られており、再生ウレタンの使用量の拡大に貢献している。尚、温熱漏洩抑制部材56の形状は、囲板の形状に合せて温熱が漏洩するのを抑制できれば、その形状は問わないものである。
【0085】
また、再生ウレタンで作られた温熱漏洩抑制部材56は、断熱性をそれほど考慮する必要性がないので、不純物を含んだ再生ウレタンを使用でき、この点からも使い勝手が良いものである。更に、再生ウレタンは、現場発泡されたバージンウレタンに埋もれるため、廃処分する時に同じ処分ルートを使用できる利点もある。
【0086】
以上述べた通り、本発明は、冷蔵庫や給湯機に使用される特定の機能を備える機能部材を再生ウレタンから構成して冷蔵庫や給湯機に設けて再生ウレタンの使用量を拡大した、ことを特徴としている。
【0087】
これによれば、再生ウレタンの使用量を拡大することができる冷蔵庫や給湯機を提供することができる。
【0088】
尚、本発明は上記したいくつかの実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0089】
1…冷蔵庫、10、11…断熱仕切壁、12…側板、13…後板、14…天板、16…底板、17…取付縁部、19…損傷抑制部材、23…螺子、24…電気配線、26…通路形成部材、27…冷媒パイプ、27b…屈曲部、28…熱漏洩抑制部材、29…内箱、30…バージンウレタン、31…真空断熱材、32…窪み領域、33、35、38…ボイド抑制部材、39…上ケース、40…下ケース、41…真空断熱材、43、44、45…ボイド抑制部材、46…ウレタン漏洩抑制部材、50…温水給湯機、52…前板、53…側板、54…後板、55…貯湯タンク、56…温熱漏洩抑制部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18