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特開2024-12115スパッタリング装置およびこれを利用したスパッタリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012115
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】スパッタリング装置およびこれを利用したスパッタリング方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
C23C14/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103648
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0087603
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョンオク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,サムテ
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA45
4K029BA48
4K029BA49
4K029BA50
4K029CA05
4K029DC05
4K029DC12
4K029DC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大面積スパッタリング工程で蒸着ムラを減少させたスパッタリング装置およびスパッタリング方法を提供する。
【解決手段】スパッタリング装置は、基板固定部310と、基板固定部と対向して位置するターゲット固定部300と、ターゲット固定部に第1方向に離隔して複数個が位置するスパッタリングターゲット200と、を含み、それぞれのスパッタリングターゲットは、第2方向DR2に並んで位置する複数個の部分スパッタリングターゲットと、前記部分スパッタリングターゲットの間に位置する分割面と、を含み、それぞれのスパッタリングターゲットの分割面は、他のスパッタリングターゲットの分割面と第1方向DR1に並んで位置しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板固定部と、
前記基板固定部と対向して位置するターゲット固定部と、
前記ターゲット固定部に第1方向に離隔して複数個が位置するスパッタリングターゲットと、を含み、
それぞれのスパッタリングターゲットは、第2方向に並んで位置する複数個の部分スパッタリングターゲットと、前記部分スパッタリングターゲットの間に位置する分割面と、を含み、
それぞれのスパッタリングターゲットの分割面は、他のスパッタリングターゲットの分割面と前記第1方向に並んで位置しないスパッタリング装置。
【請求項2】
前記スパッタリングターゲットは、円柱形状である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記スパッタリングターゲットは、板状である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記スパッタリングターゲットの数は、5個以上20個以下である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記それぞれのスパッタリングターゲットに含まれている部分スパッタリングターゲットの数は、3個以上5個以下である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記部分スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、50cm以上100cm以下である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、250cm以上300cm以下である、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
チャンバーをさらに含み、
前記チャンバー内に前記基板固定部および前記ターゲット固定部が位置する、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記基板固定部の上に位置する基板をさらに含み、
スパッタリング工程で前記基板が移動する、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項10】
スパッタリング工程で前記スパッタリングターゲットが移動する、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項11】
前記スパッタリングターゲットは、酸化物半導体を含む、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項12】
前記スパッタリングターゲットは、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、亜鉛インジウム酸化物(ZIO)、インジウム酸化物(InO)、チタン酸化物(TiO)、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)およびインジウム亜鉛錫酸化物(IZTO)からなるグループより選択された少なくとも一つ以上を含む、請求項11に記載のスパッタリング装置。
【請求項13】
スパッタリングターゲットを含むスパッタリング装置内に基板を位置させる段階と、
前記スパッタリング装置に電圧を印加して前記基板上にスパッタリングターゲット物質を蒸着する段階と、を含み、
前記スパッタリングターゲットは、
基板固定部と、
前記基板固定部と対向して位置するターゲット固定部と、
前記ターゲット固定部に第1方向に離隔して複数個が位置するスパッタリングターゲットと、を含み、
それぞれのスパッタリングターゲットは、第2方向に並んで位置する複数個の部分スパッタリングターゲットと、部分スパッタリングターゲットの間に位置する分割面と、を含み、
それぞれのスパッタリングターゲットの分割面は、他のスパッタリングターゲットの分割面と前記第1方向に並んで位置しないスパッタリング方法。
【請求項14】
前記スパッタリング装置に電圧を印加して前記基板上にスパッタリングターゲット物質を蒸着する段階で、前記基板が移動する、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項15】
前記スパッタリング装置に電圧を印加して前記基板上にスパッタリングターゲット物質を蒸着する段階で、前記スパッタリングターゲットが移動する、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項16】
前記スパッタリングターゲットは、円柱形状である、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項17】
前記スパッタリングターゲットは、板状である、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項18】
前記スパッタリングターゲットは、酸化物半導体を含む、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項19】
前記スパッタリングターゲットの数は、5個以上20個以下であり、
前記それぞれのスパッタリングターゲットに含まれている部分スパッタリングターゲットの数は、3個以上5個以下である、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【請求項20】
前記部分スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、50cm以上100cm以下であり、
前記スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、250cm以上300cm以下である、請求項13に記載のスパッタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スパッタリング装置およびこれを利用したスパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、イメージを表示する装置であって、最近、有機発光表示装置(organic light emitting diode display)が注目されている。
【0003】
有機発光表示装置は、自発光特性を有し、液晶表示装置(liquid crystal display device)とは異なり、別途の光源を要しないため、厚さと重量を減らすことができる。また、有機発光表示装置は、低い消費電力、高い輝度および高い反応速度などの高品位特性を示す。
【0004】
有機発光表示装置は、薄膜が形成された基板を含む。前記薄膜は、スパッタリング(Sputtering)方法を通じて形成され得る。前記スパッタリング方法は、チャンバー内に配置されたターゲットからターゲットイオンが含まれているプラズマを発生させてこれを前記基板に蒸着させることを核心とする。最近、表示装置が大型化されることに伴い、前記基板が大きくなって前記ターゲットも大きくなる。ターゲットの大きさが大きくなる場合、管理および取り扱いが容易でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の目的は、大面積スパッタリング工程で蒸着ムラを減少させたスパッタリング装置およびスパッタリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によるスパッタリング装置は、基板固定部と、前記基板固定部と対向して位置するターゲット固定部と、前記ターゲット固定部に第1方向に離隔して複数個が位置するスパッタリングターゲットと、を含み、それぞれのスパッタリングターゲットは、第2方向に並んで位置する複数個の部分スパッタリングターゲットと、前記部分スパッタリングターゲットの間に位置する分割面と、を含み、それぞれのスパッタリングターゲットの分割面は、他のスパッタリングターゲットの分割面と前記第1方向に並んで位置しない。
【0007】
前記スパッタリングターゲットは、円柱形状であり得る。
【0008】
前記スパッタリングターゲットは、板形状であり得る。
【0009】
前記スパッタリングターゲットの数は、5個以上20個以下であり得る。
【0010】
前記それぞれのスパッタリングターゲットに含まれている部分スパッタリングターゲットの数は、3個以上5個以下であり得る。
【0011】
前記部分スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、50cm以上100cm以下であり得る。
【0012】
前記スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、250cm以上300cm以下であり得る。
【0013】
チャンバーをさらに含み、前記チャンバー内に前記基板固定部および前記ターゲット固定部が位置することができる。
【0014】
前記基板固定部の上に位置する基板をさらに含み、スパッタリング工程で、前記基板が移動することができる。
【0015】
スパッタリング工程で、前記スパッタリングターゲットが移動することができる。
【0016】
前記スパッタリングターゲットは、酸化物半導体を含むことができる。
【0017】
前記スパッタリングターゲットは、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、亜鉛インジウム酸化物(ZIO)、インジウム酸化物(InO)、チタン酸化物(TiO)、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)およびインジウム亜鉛錫酸化物(IZTO)からなるグループより選択された少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0018】
一実施形態によるスパッタリング方法は、スパッタリングターゲットを含むスパッタリング装置内に基板を位置させる段階と、前記スパッタリング装置に電圧を印加して前記基板上にスパッタリングターゲット物質を蒸着する段階と、を含み、前記スパッタリングターゲットは、基板固定部と、前記基板固定部と対向して位置するターゲット固定部と、前記ターゲット固定部に第1方向に離隔して複数個が位置するスパッタリングターゲットと、を含み、それぞれのスパッタリングターゲットは、第2方向に並んで位置する複数個の部分スパッタリングターゲットと、部分スパッタリングターゲットの間に位置する分割面と、を含み、それぞれのスパッタリングターゲットの分割面は、他のスパッタリングターゲットの分割面と前記第1方向に並んで位置しない。
【0019】
前記スパッタリング装置に電圧を印加して前記基板上にスパッタリングターゲット物質を蒸着する段階で、前記基板が移動することができる。
【0020】
前記スパッタリング装置に電圧を印加して前記基板上にスパッタリングターゲット物質を蒸着する段階で、前記スパッタリングターゲットが移動することができる。
【0021】
前記スパッタリングターゲットは、円柱形状であり得る。
【0022】
前記スパッタリングターゲットは、板状であり得る。
【0023】
前記スパッタリングターゲットは、酸化物半導体を含むことができる。
【0024】
前記スパッタリングターゲットの数は、5個以上20個以下であり、前記それぞれのスパッタリングターゲットに含まれている部分スパッタリングターゲットの数は、3個以上5個以下であり得る。
【0025】
前記部分スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、50cm以上100cm以下であり、前記スパッタリングターゲットの第2方向の長さは、250cm以上300cmであり得る。
【発明の効果】
【0026】
実施形態によれば、大面積スパッタリング工程で蒸着ムラを減少させたスパッタリング装置およびスパッタリング方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態によるスパッタリング装置を簡略に示したものである。
図2図1のスパッタリングターゲットの平面上形状を示したものである。
図3】複数個の部分スパッタリングターゲットを含むスパッタリングターゲットのイメージである。
図4】スパッタリングターゲットの分割面のイメージである。
図5】ムラが発生した蒸着面のイメージである。
図6】スパッタリングターゲットが板状である場合を示したものである。
図7】それぞれのスパッタリングターゲットの分割面が同一線上に位置する場合に蒸着面でムラが視認される原理を示したものである。
図8】本実施形態によるスパッタリング装置を利用したスパッタリングを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0029】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0030】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0031】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0032】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0034】
以下、一実施形態によるスパッタリング装置およびこれを利用したスパッタリング方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は本実施形態によるスパッタリング装置を簡略に示したものである。図1を参照すれば、本実施形態によるスパッタリング装置は、ターゲット固定部300と、ターゲット固定部300と対向して位置する基板固定部310とを含む。ターゲット固定部300と基板固定部310は、第3方向DR3に一定空間を間に置いて離隔している。ターゲット固定部300には複数個のスパッタリングターゲット200が固定されている。基板固定部310には基板100が位置することができる。基板100上にスパッタリングターゲット200が含む蒸着物質が蒸着されて薄膜を形成することができる。
【0036】
ターゲット固定部300および基板固定部310はチャンバー1000内に位置することができる。スパッタリング工程の進行のために、チャンバー1000の内部は真空状態を維持することができる。または、チャンバー1000の内部には不活性気体が満たされ得る。例えば、前記不活性気体は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)またはキセノン(Xe)を含むことができる。例えば、約1~100mTorr圧力のアルゴン(Ar)がチャンバー1000内部に満たされ得る。
【0037】
基板固定部310はチャンバー1000内に配置されて、基板100を固定する。例えば、基板固定部310は基板100を真空吸着して固定することができる。または、基板固定部310は基板100の周縁に対応して形成された固定クリップを利用して基板100を固定することができる。また、基板固定部310は基板100をスライディング方式で固定することができる。
【0038】
基板100は表示パネルの表示基板であり得る。基板100上に形成される薄膜(図示せず)は表示基板の配線であり得る。または基板100上に形成される薄膜(図示せず)は酸化物半導体層であり得る。酸化物半導体層は、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、亜鉛インジウム酸化物(ZIO)、インジウム酸化物(InO)、チタン酸化物(TiO)、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)およびインジウム亜鉛錫酸化物(IZTO)からなるグループより選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0039】
ターゲット固定部300はチャンバー1000内に基板固定部310に対抗して配置される。ターゲット固定部300を通じてスパッタリングターゲット200にプラズマ電源が印加され得る。前記プラズマ電源は高周波電圧(RF)を含むことができる。この時、基板固定部310は導電性材質を含んで、スパッタリングターゲット200と電気的に連結されて高周波電圧が印加され得る。また、基板固定部310は高周波電圧の基準電圧を設定するために外部の接地端子(図示せず)と電気的に連結され得る。高周波電圧は基板固定部310とターゲット固定部300を通じてチャンバー1000に印加されて、プラズマ放電を起こすことができる。
【0040】
図示していないが、基板100とスパッタリングターゲット200との間にマスク(図示せず)が位置し、基板100上に蒸着される蒸着物質の形状を決定することができる。
【0041】
スパッタリングターゲット200はターゲット固定部300上に配置されて、基板固定部310上に固定された基板100と対向する。スパッタリングターゲット200は基板100上に蒸着される蒸着物質からなる。スパッタリングターゲット200は蒸着物質である酸化物半導体を含むことができる。例えば、前記酸化物半導体は、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、亜鉛インジウム酸化物(ZIO)、インジウム酸化物(InO)、チタン酸化物(TiO)、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)およびインジウム亜鉛錫酸化物(IZTO)からなるグループより選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0042】
スパッタリングターゲット200は複数個が位置することができる。それぞれのスパッタリングターゲット200は互いに離隔して位置することができる。図1に示されているようにスパッタリングターゲット200は第1方向DR1に複数個が離隔して位置することができる。スパッタリングターゲット200の個数は基板100の大きさにより適切に調節可能であり、一例として5個以上20個以下であり得る。
【0043】
図2図1のスパッタリングターゲット200の平面上形状を示したものである。図2を参照すれば、ターゲット固定部300上に複数個のスパッタリングターゲット200が位置する。この時、それぞれのスパッタリングターゲット200は第2方向DR2に互いに連結された部分スパッタリングターゲット210を含む。つまり、図2に示されているように、それぞれのスパッタリングターゲット200は第1方向DR1に互いに離隔している。またそれぞれのスパッタリングターゲット200は第2方向DR2に沿って並んで位置する複数個の部分スパッタリングターゲット210を含む。
【0044】
つまり、第2方向DR2に同一線上に位置する複数個の部分スパッタリングターゲット210が一つのスパッタリングターゲット200を構成する。この時、それぞれの部分スパッタリングターゲット210の間には分割面DPが形成される。このような分割面DPは、それぞれの部分スパッタリングターゲット210が隣接した部分スパッタリングターゲット210と接している部分である。
【0045】
酸化物半導体を含むスパッタリングターゲットの場合、熱膨張係数が少ないため、一体型ターゲット製作が不可能である。これは低い熱膨張係数により製造および運搬過程で簡単に破損されるためである。
【0046】
しかし、大面積基板の蒸着のためには、一方向に長さが長いスパッタリングターゲットが必要である。したがって、本実施形態のように、複数個の部分スパッタリングターゲットを一方向に連続的に位置させたスパッタリングターゲットを使用するようになる。
【0047】
図3はこのように複数の部分スパッタリングターゲット210を含むスパッタリングターゲット200のイメージである。
【0048】
ただし、このように複数の部分スパッタリングターゲット210が互いに接する面で分割面DPが必須で発生するようになる。図4はこのようなスパッタリングターゲットの分割面DPのイメージである。分割面DPでそれぞれの部分スパッタリングターゲット210が隣接した部分スパッタリングターゲット210と完全に接合されておらず、間に分割面DPが視認される。
【0049】
このようにスパッタリングターゲット200が分割面DPを含むため、このようなスパッタリングターゲットで蒸着を進行する場合、蒸着された蒸着面でムラが発生するようになる。これは分割面DPでは分割面DPでない部分と比較して蒸着が少なく行われるためである。
【0050】
図5図4のような一つのスパッタリングターゲット200で蒸着した時のイメージであり、スパッタリングターゲット200の分割面DPと対応する位置にムラが発生したことを確認することができた。
【0051】
しかし、本実施形態によるスパッタリング装置は、それぞれのスパッタリングターゲット200の分割面DPが他のスパッタリングターゲット200の如何なる分割面DPとも並んでいないように位置する。したがって、複数個の部分スパッタリングターゲット210を含むスパッタリングターゲット200を利用してスパッタリングを進行する場合にもムラが発生しないことができる。
【0052】
図2を参照すれば、複数の部分スパッタリングターゲット210が互いに連結される分割面DPが位置する。しかし、それぞれのスパッタリングターゲット200の分割面DPは、第1方向DR1に隣接した他のスパッタリングターゲット200の分割面DPと重ならないように位置する。図2でそれぞれのスパッタリングターゲット200の分割面DPの延長線を点線で示した。図2に示されているように、それぞれのスパッタリングターゲット200の分割面DPの延長線は、他のスパッタリングターゲット200の分割面DPの延長線と重ならない。そこで、図2に示されているように、蒸着領域にはスパッタリングターゲット200の個数(N)だけの分割面DP延長線が位置するようになる。したがって、全ての分割面DPが重なる実施形態に比べて、分割面DPの影響を1/Nに減少させることができる。したがって蒸着面でムラが視認されないようにすることができる。図2では6個のスパッタリングターゲットが示されているところ、分割面DP延長線も6個が位置する。
【0053】
図2では6個のスパッタリングターゲットが示されているが、実施形態によりスパッタリングターゲットの個数は多様になり得る。一例として、スパッタリングターゲットの個数は、12個であり得る。スパッタリングターゲットの個数は、5個以上20個以下であり得る。これは蒸着しようとする基板の面積により適切に調節可能である。
【0054】
一つの部分スパッタリングターゲット210の第2方向DR2の長さH1は、50cm以上100cm以下であり得る。一例として、部分スパッタリングターゲット210の第2方向DR2の長さH1は、70cmであり得る。
【0055】
一つのスパッタリングターゲット200は、3個以上5個以下の複数個の部分スパッタリングターゲット210を含むことができる。一例として、一つのスパッタリングターゲット200は、4個の部分スパッタリングターゲット210を含むことができる。しかし、これは一例示であり、これは蒸着しようとする基板の大きさにより適切に調節可能である。
【0056】
一つのスパッタリングターゲット200の第2方向DR2の長さH2は、250cm以上300cm以下であり得る。一例として、スパッタリングターゲット200の第2方向DR2の長さは、280cmであり得る。しかし、これは一例示であり、本発明がこれに制限されるのではない。
【0057】
図2ではスパッタリングターゲットが円形の断面を有する棒状で示されているが、実施形態によりスパッタリングターゲットは、板状を有することができる。
【0058】
図6はスパッタリングターゲット200が板状である場合を示したものである。この場合にも複数個の部分スパッタリングターゲット210が第2方向DR2に互いに連結されてスパッタリングターゲット200を構成し、それぞれのスパッタリングターゲット200の分割面DPは、隣接したスパッタリングターゲット200の如何なる分割面DPとも並んで位置しない。
【0059】
図7はそれぞれのスパッタリングターゲット200の分割面DPが同一線上に位置する場合に蒸着面でムラ11が視認される原理を示したものである。図7を参照すれば、それぞれの個別スパッタリングターゲット200は基板100の全面を蒸着する。この時、基板100が移動したりスパッタリングターゲット200が移動することができる。つまり、n個のスパッタリングターゲットが位置する場合、基板全体はn回蒸着され得る。
【0060】
図7では6個のスパッタリングターゲットが示されており、蒸着面は6回蒸着されるようになる。それぞれの蒸着過程でスパッタリングターゲット200の分割面DPは蒸着が良好に行われない。このように分割面DP領域で蒸着が良好に行われない蒸着過程が6回繰り返されるようになり、蒸着が良好に行われた領域と蒸着が良好に行われなかった領域が視認されるようになる。これは図7のようにムラ11で現れる。つまり、一つのスパッタリングターゲットを利用した蒸着で正常領域の蒸着程度が100、分割面DPと対応する領域の蒸着が50であるとした時、6個のスパッタリングターゲットで蒸着した場合、正常領域の蒸着程度は600、分割面DPと対応する領域の蒸着程度は300で差が大きく発生する。したがって、ムラで視認される。
【0061】
しかし、本実施形態によるスパッタリングターゲットは、それぞれの分割面DPが重ならない。図8は本実施形態によるスパッタリング装置を利用したスパッタリングを示したものである。図8を参照すれば、本実施形態によるスパッタリングターゲット200は分割面DPが互いに並んで位置しない。したがって、分割面DPにより蒸着が良好に行われない領域が互いに重ならずに並んで位置するようになり、累積して重ならないため、ムラで視認されない。
【0062】
つまり、一つのスパッタリングターゲットを利用した蒸着で正常領域の蒸着程度が100、分割面DPと対応する領域の蒸着が50であるとした時、6個のスパッタリングターゲットで蒸着した場合、正常領域の蒸着程度は600、それぞれの分割面DPと対応する領域の蒸着程度は550で差が大きくない。したがって、ムラで視認されない。
【0063】
つまり、図7の実施形態の場合、蒸着が良好に行われない領域が重なって位置したところ、ムラで視認されたが、本実施形態の場合、蒸着が良好に行われない領域が互いに重ならずに位置するところ、ムラで視認されない。
【0064】
したがって、大面積の基板も効率よく蒸着することができる。
【0065】
本実施形態によるスパッタリング方法は、図1に示されたようなスパッタリング装置を利用して行うことができる。この時、スパッタリング装置およびスパッタリングターゲットに関する説明は前述と同様である。蒸着過程でスパッタリングターゲットが移動したりまたは基板が移動することができ、一つのスパッタリングターゲットが基板全体を蒸着することができる。それぞれのスパッタリングターゲットは、複数個の部分スパッタリングターゲットを含み、スパッタリングターゲットの分割面DPは、他のスパッタリングターゲットの如何なる分割面DPとも重ならないところ、大面積表示装置でもムラの視認なしに効率よく蒸着することができる。
【0066】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0067】
100:基板
210:スパッタリングターゲット
300:ターゲット固定部
310:基板固定部
220:部分スパッタリングターゲット
DP:分割面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8