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特開2024-121151情報処理装置、情報処理方法及び走行制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121151
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240830BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028093
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】下沢 智啓
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】荷主からの荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求に対応できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、輸送車両2が配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける受付部131と、輸送車両2が削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように特定の荷主の対象配送区間の少なくとも一部においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する算出部132と、対象配送区間の開始時における蓄電装置の充電量が算出した減少量を上回るように、対象配送区間よりも前の配送区間におけるモータの使用量を設定し、各配送区間における輸送車両2の走行計画情報を生成する生成部133と、生成した走行計画情報を輸送車両2に送信する送信部134とを有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとを用いて駆動する輸送車両の走行計画を生成する情報処理装置であって、
複数の荷主の各々が依頼した1以上の荷物の配送区間を示す配送区間情報を記憶する記憶部と、
前記複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける受付部と、
前記配送区間情報に基づいて、前記特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、前記輸送車両が前記削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出する算出部と、
前記対象配送区間の開始時における前記蓄電装置の充電量が、前記算出部が算出した前記減少量を上回るように、前記対象配送区間よりも前の配送区間における前記モータの使用量を設定し、各配送区間における前記輸送車両の走行計画情報を生成する生成部と、
前記走行計画情報を前記輸送車両に送信する送信部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記削減要求は、前記輸送車両がモータを用いて前記対象配送区間の全てを走行することにより二酸化炭素の排出量を削減する要求であり、
前記算出部は、前記対象配送区間の全てにおいて前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る、二酸化炭素の排出量の削減量を示す削減量情報を含む前記削減要求を受け付け、
前記算出部は、前記削減要求に含まれる前記削減量情報が示す削減量を満たすように、前記対象配送区間の少なくとも一部の区間において前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記削減要求を受け付ける前に、前記削減要求の仮受付を行い、当該削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たす走行計画情報を前記生成部が生成可能であることを条件として、前記削減要求を受け付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記対象配送区間の開始時において、前記蓄電装置の充電量が、前記算出部が算出した前記減少量を上回るように、前記輸送車両が前記対象配送区間よりも前の配送区間の少なくとも一部を前記モータを用いて走行することを規定した走行計画情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記対象配送区間の終了時に、前記蓄電装置の充電量が、前記蓄電装置が取り得る充電量の最小値を上回っている場合に、前記対象配送区間よりも後の配送区間の少なくとも一部を前記モータを用いて走行するように規定した走行計画情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとを用いて駆動する輸送車両が配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付けるステップと、
前記複数の荷主の各々が依頼した1以上の荷物の配送区間を示す配送区間情報を記憶する記憶部を参照し、前記特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、前記輸送車両が前記削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出するステップと、
前記対象配送区間の開始時における前記蓄電装置の充電量が、算出した前記減少量を上回るように、前記対象配送区間よりも前の配送区間における前記モータの使用量を設定し、各配送区間における前記輸送車両の走行計画情報を生成するステップと、
生成した前記走行計画情報を前記輸送車両に送信するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとを用いて駆動する輸送車両と、前記輸送車両の走行計画情報を生成する情報処理装置とを有する走行制御システムであって、
前記情報処理装置は、
複数の荷主の各々が依頼した1以上の荷物の配送区間を示す配送区間情報を記憶する記憶部と、
前記複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける受付部と、
前記配送区間情報に基づいて、前記特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、前記輸送車両が前記削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出する算出部と、
前記対象配送区間の開始時における前記蓄電装置の充電量が、前記算出部が算出した前記減少量を上回るように、前記対象配送区間よりも前の配送区間における前記モータの使用量を設定し、各配送区間における前記輸送車両の走行計画情報を生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記走行計画情報を前記輸送車両に送信する送信部と、
を有し、
前記輸送車両は、
前記情報処理装置から前記走行計画情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記走行計画情報に基づいて前記エンジン及び前記モータを制御して前記輸送車両の走行制御を行う走行制御部と、
を有する、
走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物の配送に伴う二酸化炭素の排出量を抑制することが行われている。例えば、特許文献1には、複数の荷物の配送を効量的に行う配送計画を作成し、作成した配送計画に基づいて荷物を配送することにより二酸化炭素の排出量を抑制する装置が開示されている。
【0003】
ハイブリッド車であれば、エンジンによる駆動よりも、バッテリー(蓄電装置)から供給される電力によって動作するモータによる駆動を優先的に利用することにより、走行時の二酸化炭素の排出を抑制することができる。
【0004】
荷物の配送において、複数の荷主の荷物の配送を行うことが考えられる。管理者は、複数の荷主から配送を依頼された複数の荷物を配送するための走行計画を策定する。また、荷主によっては、自身の依頼する荷物を配送する場合に排出される二酸化炭素の排出量を抑制したいという希望を持つ場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-083882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の荷主の荷物を配送するハイブリッド車において、ある荷主の荷物を配送する間に蓄電装置から供給される電力による走行を優先すると、他の荷主に対応する走行区間において蓄電装置の残容量が不足することがある。その結果、他の荷主の荷物の配送における二酸化炭素の排出量を削減できないという問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、荷主からの荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求に対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとを用いて駆動する輸送車両の走行計画を生成する情報処理装置であって、複数の荷主の各々が依頼した1以上の荷物の配送区間を示す配送区間情報を記憶する記憶部と、前記複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける受付部と、前記配送区間情報に基づいて、前記特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、前記輸送車両が前記削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出する算出部と、前記対象配送区間の開始時における前記蓄電装置の充電量が、前記算出部が算出した前記減少量を上回るように、前記対象配送区間よりも前の配送区間における前記モータの使用量を設定し、各配送区間における前記輸送車両の走行計画情報を生成する生成部と、前記生成部が生成した前記走行計画情報を前記輸送車両に送信する送信部と、を有する。
【0009】
前記削減要求は、前記輸送車両がモータを用いて前記対象配送区間の全てを走行することにより二酸化炭素の排出量を削減する要求であり、前記算出部は、前記対象配送区間の全てにおいて前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出してもよい。
【0010】
前記受付部は、前記特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る、二酸化炭素の排出量の削減量を示す削減量情報を含む前記削減要求を受け付け、前記算出部は、前記削減要求に含まれる前記削減量情報が示す削減量を満たすように、前記対象配送区間の少なくとも一部の区間において前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出してもよい。
【0011】
前記受付部は、前記削減要求を受け付ける前に、前記削減要求の仮受付を行い、当該削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たす走行計画情報を前記生成部が生成可能であることを条件として、前記削減要求を受け付けてもよい。
【0012】
前記生成部は、前記対象配送区間の開始時において、前記蓄電装置の充電量が、前記算出部が算出した前記減少量を上回るように、前記輸送車両が前記対象配送区間よりも前の配送区間の少なくとも一部を前記モータを用いて走行することを規定した走行計画情報を生成してもよい。
【0013】
前記生成部は、前記対象配送区間の終了時に、前記蓄電装置の充電量が、前記蓄電装置が取り得る充電量の最小値を上回っている場合に、前記対象配送区間よりも後の配送区間の少なくとも一部を前記モータを用いて走行するように規定した走行計画情報を生成してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとを用いて駆動する輸送車両が配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付けるステップと、前記複数の荷主の各々が依頼した1以上の荷物の配送区間を示す配送区間情報を記憶する記憶部を参照し、前記特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、前記輸送車両が前記削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出するステップと、前記対象配送区間の開始時における前記蓄電装置の充電量が、算出した前記減少量を上回るように、前記対象配送区間よりも前の配送区間における前記モータの使用量を設定し、各配送区間における前記輸送車両の走行計画情報を生成するステップと、生成した前記走行計画情報を前記輸送車両に送信するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様に係る走行制御システムは、エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとを用いて駆動する輸送車両と、前記輸送車両の走行計画情報を生成する情報処理装置とを有する走行制御システムであって、前記情報処理装置は、複数の荷主の各々が依頼した1以上の荷物の配送区間を示す配送区間情報を記憶する記憶部と、前記複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける受付部と、前記配送区間情報に基づいて、前記特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、前記輸送車両が前記削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように前記モータを用いて走行した場合の前記蓄電装置における充電量の減少量を算出する算出部と、前記対象配送区間の開始時における前記蓄電装置の充電量が、前記算出部が算出した前記減少量を上回るように、前記対象配送区間よりも前の配送区間における前記モータの使用量を設定し、各配送区間における前記輸送車両の走行計画情報を生成する生成部と、前記生成部が生成した前記走行計画情報を前記輸送車両に送信する送信部と、を有し、前記輸送車両は、前記情報処理装置から前記走行計画情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記走行計画情報に基づいて前記エンジン及び前記モータを制御して前記輸送車両の走行制御を行う走行制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、荷主からの荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求に対応することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】走行制御システムの概要を示す図である。
図2】情報処理装置の機能構成を示す図である。
図3】配送区間情報の一例を示す図である。
図4】走行計画情報の一例を示す図である。
図5】走行制御装置の機能構成を示す図である。
図6】走行制御システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[走行制御システムSの概要]
図1は、走行制御システムSの概要を示す図である。走行制御システムSは、例えば、エンジンと蓄電装置(例えばバッテリー)から供給される電力により駆動するモータとにより走行可能な輸送車両2が、複数の荷主それぞれの荷物を一度の走行において配送する場合に、二酸化炭素の排出量の削減を要求する荷主の配送区間において、二酸化炭素の排出量を抑制するようにするシステムである。
【0019】
走行制御システムSは、情報処理装置1と、輸送車両2とを有する。情報処理装置1は、例えばコンピュータであり、輸送車両2が一度の走行において配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主それぞれに対応する配送開始位置及び配送終了位置を示す配送区間を示す配送区間情報を記憶する。ここで、一度の走行は、例えば、1日における走行であるものとする。輸送車両2は、例えば、エンジンと蓄電装置の電力により駆動するモータとにより走行可能なハイブリッド車両である。
【0020】
情報処理装置1は、複数の荷主のうちの少なくとも一部の荷主から、荷主に対応する荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける(図1における(1))。情報処理装置1は、削減要求を受け付けると、一度の走行における複数の配送区間のうち、削減要求を行った荷主の配送区間である対象配送区間を特定する。情報処理装置1は、さらに、輸送車両2が削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する(図1における(2))。
【0021】
情報処理装置1は、算出した充電量の減少量に基づいて、輸送車両2の走行計画情報を生成する(図1における(3))。情報処理装置1は、対象配送区間の開始時における蓄電装置の充電量が、算出した充電量の減少量を上回るように、対象配送区間よりも前の配送区間において輸送車両2が蓄電装置の電力を用いたモータの使用量を規定する。ここで、モータの使用量は、例えば、モータのみを用いて走行する期間や距離、もしくは、エンジンの駆動力をモータにより補助(アシスト)して走行する場合における、アシスト量や頻度、期間などである。さらに言えば、当該対象配送区間の前の配送区間において使用可能な蓄電装置の電力量をもって、使用可能なモータの使用量を定義することもできる。すなわち、情報処理装置1は、(2)で算出された充電量の減少量より大きい残容量が、当該対象配送区間における走行が開始する前に蓄電装置に確保できるように、当該対象配送区間よりも前の配送区間における走行制御を設定する。情報処理装置1は、削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、各配送区間における輸送車両2のモータの使用量を規定した輸送車両2の走行計画情報を生成する。
【0022】
情報処理装置1は、生成した走行計画情報を、輸送車両2に設けられている走行制御装置20に送信する(図1における(4))。輸送車両2の走行制御装置20は、情報処理装置1から受信した走行計画情報に基づいて、複数の荷主それぞれの配送区間におけるモータの使用量を制御する(図1における(5))。輸送車両2は、対象配送区間の走行を開始する時点で蓄電装置が十分に充電された状態で、走行計画情報に基づいて、対象配送区間の少なくとも一部を、モータを用いて走行するので、走行制御システムSは、荷主からの二酸化炭素の排出量の削減要求に対応して、二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0023】
[情報処理装置1の構成]
続いて、情報処理装置1の構成について説明する。図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。図2に示すように、情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0024】
通信部11は、インターネット回線や無線LAN回線等の無線通信回線を介して輸送車両2とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)である。記憶部12は、制御部13を受付部131、算出部132、生成部133、送信部134、及び請求部135として機能させるプログラムを記憶する。
【0025】
また、記憶部12は、輸送車両2が一度の走行において配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主それぞれに対応する配送開始位置及び配送終了位置を含み、配送区間を示す配送区間情報を記憶する。
【0026】
図3は、配送区間情報の一例を示す図である。図3に示すように、配送区間情報は、輸送車両2を識別するための車両IDと、輸送車両2の荷物の配送日と、荷物を配送する順番と、荷物に対応する荷主を識別するための荷主IDと、荷物に対応する配送区間を示す配送開始位置と配送終了位置とを関連付けた情報である。なお、配送区間情報は、上述の例に限らない。ここで、一度の走行は、例えば、1日における走行であるものとする。図3には、2023年2月8日の走行、すなわち、一度の走行において、車両ID「V0001」の輸送車両2が、荷主ID「A」、「B」、「C」それぞれの荷物を配送する例が示されている。
【0027】
なお、説明を簡単にするために、複数の荷主それぞれの配送区間が重複しないものとする。また、複数の荷主それぞれの配送区間が隣接しており、隣接する配送区間の配送終了位置と、配送開始位置とが一致するものとする。また、配送区間情報は、荷主から荷物の配送依頼を受け付けて荷物の配送計画を行う配送計画装置(不図示)において生成され、記憶部12に記憶されるものとする。また、記憶部12が配送区間情報を記憶することとしたが、これに限らない。配送計画装置が配送区間情報を記憶し、当該配送区間情報を情報処理装置1が参照するようにしてもよい。また、配送区間情報には、荷物に対応する配送区間を示す配送開始位置と配送終了位置とが含まれることとしたが、配送開始位置及び配送終了位置の代わり、又は、配送開始位置及び配送終了位置に加えて、配送開始時間及び配送終了時間が含まれていてもよい。
【0028】
制御部13は、受付部131、算出部132、生成部133、送信部134、及び請求部135として機能する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであるとする。制御部13は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、上述した各機能部の機能を実現する。なお、制御部13は、1以上のプロセッサで構成されていてもよく、さらに、1以上の電子回路との組み合わせによって構成されていてもよい。
【0029】
受付部131は、複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける。例えば、受付部131は、特定の荷主が使用する端末3から、荷主の荷主IDと配送日とを含む、二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける。ここで、配送計画装置が、特定の荷主から配送依頼を受け付ける場合に、二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付けてもよい。そして、受付部131は、配送計画装置が受け付けた二酸化炭素の排出量の削減要求を取得することにより、二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付けてもよい。
【0030】
二酸化炭素の排出量の削減要求に基づく配送は、有料のサービスであり、後述する生成部133により、当該削減要求に対応して輸送車両2の走行計画情報が生成されたことに応じて、又は走行計画情報に基づいて輸送車両2が走行したことに応じて、請求部135により荷主に削減要求に係る代金が請求されるものとする。また、二酸化炭素の排出量の削減要求は、例えば、輸送車両2がモータを用いて、削減要求を行った特定の荷主に対応する配送区間である対象配送区間の全てを走行することにより二酸化炭素の排出量を削減する要求である。以下の説明において、二酸化炭素の排出量の削減要求を単に削減要求ともいう。
【0031】
なお、削減要求は、輸送車両2がモータを用いて対象配送区間の全てを走行することにより二酸化炭素の排出量を削減する要求に限らない。例えば、荷主が、二酸化炭素の排出量の削減量を指定できるようにしてもよい。この場合、削減要求には、二酸化炭素の排出量の削減量を示す削減量情報が含まれる。また、荷主が、二酸化炭素の排出量を削減するために、輸送車両2にモータを用いた走行を行わせることにより消費される電気エネルギーの消費量を指定できるようにしてもよい。この場合、削減要求には、輸送車両2にモータを用いた走行を行わせることにより消費される電気エネルギーの消費量を示すエネルギー消費量情報が含まれる。
【0032】
算出部132は、受付部131が削減要求を受け付けると、記憶部12を参照し、一度の走行における削減要求を行った荷主の配送区間である対象配送区間を特定する。例えば、算出部132は、記憶部12に記憶されている配送区間情報を参照し、受付部131が受け付けた削減要求に含まれる配送日及び荷主IDに関連付けられている配送開始位置及び配送終了位置を特定し、配送開始位置から配送終了位置までの輸送車両2の走行経路を特定することにより対象配送区間を特定する。
【0033】
算出部132は、輸送車両2が削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する。削減要求が、輸送車両2がモータを用いて対象配送区間の全てを走行することにより二酸化炭素の排出量を削減する要求である場合、算出部132は、輸送車両2が、対象配送区間の全てにおいてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する。
【0034】
例えば、記憶部12には、輸送車両2がモータにより走行した場合に、モータの電力消費による蓄電装置の充電量の単位距離当たりの減少量であるモータ走行時減少量が記憶されている。算出部132は、対象配送区間における走行経路に基づいて輸送車両2の対象配送区間の走行距離を算出する。算出部132は、算出した走行距離と、モータ走行時減少量とを乗算することにより、輸送車両2がモータを用いて対象配送区間の全てを走行した場合の充電量の減少量を算出する。
【0035】
また、削減要求に二酸化炭素の排出量の削減量を示す削減量情報が含まれている場合、算出部132は、削減要求に含まれる削減量情報が示す削減量を満たすように、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する。
【0036】
例えば、記憶部12には、輸送車両2がエンジンにより単位距離を走行した場合の二酸化炭素の排出量から、輸送車両2がモータにより単位距離を走行した場合の二酸化炭素の排出量を減算して得られる、単位距離当たりの二酸化炭素の削減量が記憶されている。算出部132は、削減要求が示す二酸化炭素の排出量の削減量を、単位距離あたりの二酸化炭素の削減量で除算することにより、輸送車両2がモータで走行することによる二酸化炭素の排出量の削減量が、削減要求が示す二酸化炭素の排出量の削減量に達するために輸送車両2がモータで走行する必要がある距離を算出する。算出部132は、モータ走行時減少量と、算出した走行距離とを乗算することにより、削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の充電量の減少量を算出する。
【0037】
また、削減要求に、輸送車両2にモータを用いた走行を行わせることにより消費される電気エネルギーの消費量を示すエネルギー消費量情報が含まれている場合、算出部132は、エネルギー消費量情報が示すエネルギー消費量を、蓄電装置における充電量の減少量とする。なお、算出部132は、削減要求に、エネルギー消費量情報が含まれている場合、エネルギー消費量情報が示す電気エネルギーの消費量と、モータ走行時減少量とに基づいて、当該電気エネルギーの消費量により、モータを用いて走行可能な距離を算出してもよい。そして、算出部132は、モータを用いて走行可能な距離と、単位距離当たりの二酸化炭素の削減量とに基づいて、削減要求に対応する二酸化炭素の削減量を算出し、端末3に通知するようにしてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、削減要求を行った荷主に削減要求に対応する二酸化炭素の削減量を把握させることができる。
【0038】
生成部133は、算出部132が充電量の減少量を算出すると、当該充電量の減少量に基づいて、削減要求を行った荷主の荷物を配送する輸送車両2の走行計画情報を生成する。生成部133は、対象配送区間の開始時における蓄電装置の充電量が、算出部132が算出した充電量の減少量を上回るように、対象配送区間よりも前の配送区間におけるモータの使用量を設定し、各配送区間における輸送車両2の走行計画情報を生成する。
【0039】
例えば、記憶部12には、輸送車両2がエンジンにより走行した場合に、電動補機等の電力消費による蓄電装置の充電量の単位時間当たりの減少量であるエンジン走行時減少量が記憶されている。具体的には、記憶部12には、エンジン走行時減少量として、モータにより駆動力を補助(アシスト)して走行する場合におけるアシスト走行時減少量と、モータにより駆動力を補助せずに走行する場合におけるアシスト無走行時減少量とが記憶されている。また、記憶部12には、上述したように、モータ走行時減少量が記憶されている。また、輸送車両2の充電装置は配送開始時において満充電されているものとする。以下の説明において、エンジン走行時にモータにより駆動力を補助して走行することをアシスト走行と言い、エンジン走行時にモータにより駆動力を補助せずに走行することをアシスト無し走行と言う。
【0040】
例えば、生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間とのそれぞれにおいて、アシスト走行を行った場合の蓄電装置の充電量の減少量と、アシスト無し走行を行った場合の蓄電量の減少量とを算出する。生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間とのそれぞれに対して算出した蓄電装置の充電量の減少量と、算出部132が算出した充電量の減少量との合計が、充電装置が満充電されているときの充電量以下となるように、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間における走行状態を決定する。例えば、生成部133は、輸送車両2が、対象配送区間をモータを用いて走行し、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間とを、アシスト走行又はアシスト無し走行を行うことを規定した走行計画情報を生成する。
【0041】
生成部133は、例えば、配送日と、複数の配送区間それぞれの配送順序と、配送開始位置及び配送終了位置と、配送区間におけるモータの使用量を示す走行手段情報とを含む走行計画情報を生成する。図4は、走行計画情報の一例を示す図である。図4に示すように、走行計画情報において、配送日と、複数の配送区間それぞれの配送順序と、配送開始位置及び配送終了位置と、走行状態とが関連付けられていることが確認できる。走行状態は、例えば、アシスト走行を示すモータアシスト有効、アシスト無し走行を示すモータアシスト無効、モータのみである。
【0042】
ここで、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間とのそれぞれに対して算出した、アシスト無し走行時の蓄電装置の充電量の減少量と、算出部132が算出した充電量の減少量との合計が、充電装置が満充電されているときの充電量よりも多い場合には、受付部131が受け付けた削減要求を満たして輸送車両2が走行できないこととなる。このため、受付部131は、削減要求を受け付ける前に、荷主からの削減要求の仮受付を行い、当該削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たす走行計画情報を生成部133が生成可能であることを条件として、削減要求を受け付けるようにしてもよい。
【0043】
この場合、受付部131が削減要求の仮受付を行うと、算出部132が、削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、輸送車両2が対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する。
【0044】
生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間とのそれぞれにおいて、アシスト無し走行を行った場合の蓄電装置の充電量の減少量を算出する。生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間とのそれぞれに対して算出した蓄電装置の充電量の減少量と、算出部132が算出した充電量の減少量との合計が、充電装置が満充電されているときの充電量よりも多いか否かを判定することにより、削減要求を満たす走行計画情報を生成可能か否かを判定する。
【0045】
受付部131は、生成部133が削減要求を満たす走行計画情報を生成可能と判定すると、仮受付した削減要求を正式に受け付ける。受付部131は、生成部133が削減要求を満たす走行計画情報を生成不可能と判定すると、仮受付した削減要求を受け付けないことを示すエラー情報を荷主の端末3に送信する。このようにすることで、情報処理装置1は、削減要求を満たす走行計画情報が生成できない場合に、削減要求を受け付けてしまうことを防止することができる。
【0046】
なお、受付部131が、輸送車両2が一度の走行において配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主からの削減要求の仮受付を行うことがある。この場合、生成部133は、削減要求を行った順番に、当該削減要求を満たす走行計画情報を生成可能であるか否かを判定してもよい。例えば、最初に削減要求を行った第1の荷主の削減要求を満たす走行計画情報を生成可能と判定した後に、受付部131が、第2の荷主からの削減要求の仮受付を行ったとする。この場合、算出部132は、第2の荷主の削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、輸送車両2が第2の荷主の対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する。
【0047】
生成部133は、第1の荷主及び第2の荷主の対象配送区間と異なる配送区間において、アシスト無し走行を行った場合の蓄電装置の充電量の減少量を算出する。生成部133は、第1の荷主の対象配送区間に対応する蓄電装置の充電量の減少量と、第2の荷主の対象配送区間に対応する蓄電装置の充電量の減少量と、これらの対象配送区間と異なる配送区間に対して算出した蓄電装置の充電量の減少量との合計が、充電装置が満充電されているときの充電量よりも多いか否かを判定することにより、第2の荷主の削減要求を満たす走行計画情報を生成可能か否かを判定する。
【0048】
受付部131は、生成部133が第2の荷主の削減要求を満たす走行計画情報を生成可能と判定すると、仮受付した第2の荷主の削減要求を正式に受け付ける。受付部131は、生成部133が第2の荷主の削減要求を満たす走行計画情報を生成不可能と判定すると、仮受付した第2の荷主の削減要求を受け付けないことを示すエラー情報を第2の荷主の端末3に送信する。
【0049】
また、生成部133が、輸送車両2が対象配送区間をモータにより走行し、対象配送区間と異なる配送区間をアシスト走行又はアシスト無し走行を行うことを規定した走行計画情報を生成すると、輸送車両2の一度の走行の走行終了時に蓄電装置の蓄電量が余ってしまい、二酸化炭素の排出量の削減機会が失われることとなる。
【0050】
このため、生成部133は、対象配送区間の開始時において、蓄電装置の充電量が、算出部132が算出した減少量を上回るように、輸送車両2が対象配送区間よりも前の配送区間の少なくとも一部をモータを用いて走行することを規定した走行計画情報を生成するようにしてもよい。
【0051】
例えば、記憶部12には、輸送車両2がエンジンにより走行した場合に、電動補機等の電力消費による蓄電装置の充電量の単位時間当たりの減少量であるエンジン走行時減少量が記憶されている。また、記憶部12には、上述したように、モータ走行時減少量が記憶されている。また、輸送車両2の充電装置は配送開始時において満充電されているものとする。
【0052】
まず、生成部133は、蓄電装置の満充電である場合の充電量から、算出部132が算出した減少量を減算することにより、対象配送区間よりも前の配送区間において減少させることができる充電量の最大値を前区間許容値として算出する。生成部133は、例えば、対象配送区間よりも前の配送区間において輸送車両2がモータを用いて走行した場合の充電量の減少量を算出する。そして、生成部133は、当該減少量が前区間許容値以下である場合には、輸送車両2が対象配送区間よりも前の配送区間を、モータを用いて走行することを規定した走行計画情報を生成する。
【0053】
また、生成部133は、当該減少量が前区間許容値を超える場合、対象配送区間よりも前の配送区間の一部の区間を、輸送車両2がエンジンを用いて走行し、残りの区間を、輸送車両2がモータを用いて走行するように規定した走行計画情報を生成する。例えば、対象配送区間よりも前の配送区間の距離をD、輸送車両2が対象配送区間よりも前の配送区間においてエンジンを用いて走行する距離をA、エンジン走行時減少量をa、モータ走行時減少量をb、前区間許容値をXとした場合、以下の式(1)が成り立つように、距離Aを算出する。ここで、エンジン走行時減少量は、アシスト走行時減少量又はアシスト無走行時減少量である。
×a+(D-A)×b≦X・・・(1)
【0054】
また、生成部133は、対象配送区間の終了後に、蓄電装置の充電量が、対象配送区間よりも後の配送区間の開始時に蓄電装置が取り得る充電量の最小値を上回っている場合に、対象配送区間よりも後の配送区間の少なくとも一部をモータを用いて走行するように規定した走行計画情報を生成してもよい。例えば、生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間との走行計画を行った後に、蓄電装置の充電量が、蓄電装置が取り得る充電量の最小値を上回っているか否かを判定する。ここで、蓄電装置が取り得る充電量の最小値は、対象配送区間よりも後の配送区間の全てにおいて輸送車両2がアシスト無し走行を行った場合の充電量の減少量である。
【0055】
生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間との走行計画を行った後における蓄電装置の充電量である対象区間走行後充電量が、蓄電装置が取り得る充電量の最小値を上回っていると判定すると、対象配送区間よりも後の配送区間の全てにおいて輸送車両2がモータを用いて走行した場合の充電量の減少量を算出する。そして、生成部133は、当該減少量が対象区間走行後充電量以下である場合には、輸送車両2が対象配送区間よりも後の配送区間を、モータを用いて走行することを規定した走行計画情報を生成する。
【0056】
また、生成部133は、当該減少量が対象区間走行後充電量を超える場合、対象配送区間よりも後の配送区間の一部の区間を、輸送車両2がエンジンを用いて走行し、残りの区間を、輸送車両2がモータを用いて走行するように規定した走行計画情報を生成する。例えば、対象配送区間よりも後の配送区間の距離をD、輸送車両2が対象配送区間よりも後の配送区間においてエンジンを用いて走行する距離をA、エンジン走行時減少量をa、モータ走行時減少量をb、対象区間走行後充電量をXとした場合、以下の式(2)が成り立つように、距離Aを算出する。
×a+(D-A)×b≦X・・・(2)
【0057】
なお、生成部133は、対象配送区間よりも前の配送区間と、対象配送区間よりも後の配送区間において、モータのみを用いて走行する距離を算出し、当該距離をモータのみを用いて走行する走行計画情報を生成したが、これに限らない。生成部133は、輸送車両2が対象配送区間よりも前の配送区間におけるモータの使用量を、前区間許容値以下の使用量に設定し、当該使用量を上回らない範囲で、モータを適宜用いることを許可する走行計画情報を生成してもよい。同様に、生成部133は、対象配送区間よりも後の配送区間におけるモータの使用量を、対象区間走行後充電量以下の使用量に設定し、当該使用量を上回らない範囲で、モータを適宜用いることを許可する走行計画情報を生成してもよい。
【0058】
このようにすることで、情報処理装置1は、対象配送区間において荷主の二酸化炭素の排出量の削減要求に対応しつつ、対象配送区間とは異なる配送区間の少なくとも一部において輸送車両2にモータを用いて走行させることができるので、二酸化炭素の排出量の削減に貢献することができる。
【0059】
送信部134は、生成部133が生成した走行計画情報を輸送車両2に送信する。例えば、記憶部12には、複数の輸送車両2それぞれの通信ネットワーク上のアドレスが記憶されている。送信部134は、削減要求を行った荷主の荷物を輸送する輸送車両2のアドレスを特定し、特定したアドレスに対して走行計画情報を送信する。
【0060】
請求部135は、生成部133が削減要求に対応して走行計画情報を生成し、送信部134が走行計画情報を輸送車両2に送信したことに応じて、削減要求を行った荷主に、二酸化炭素の排出量の削減に係る代金を請求する。例えば、請求部135は、二酸化炭素の排出量の削減量が多ければ多いほど代金が高くなるように代金を算出する。そして、請求部135は、削減要求を行った荷主の端末3に、算出した代金を請求する請求情報を送信する。なお、請求部135は、二酸化炭素の排出量の削減量に基づいて代金を算出したが、これに限らず、二酸化炭素の排出量を削減するためにモータが消費する電気エネルギー量(充電量の減少量)に基づいて代金を算出してもよい。
【0061】
[走行制御装置20の構成]
続いて、輸送車両2が有する走行制御装置20の構成について説明する。図5は、走行制御装置20の機能構成を示す図である。図5に示すように、走行制御装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
【0062】
通信部21は、インターネット回線や無線LAN回線等の無線通信回線を介して情報処理装置1とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部22は、例えば、RAMやROMである。記憶部22は、制御部23を受信部231、位置特定部232と、及び走行制御部233として機能させるプログラムを記憶する。
制御部23は、例えばCPU等のプロセッサである。制御部23は、記憶部22に記憶されているプログラムを実行することにより、受信部231、位置特定部232と、及び走行制御部233として機能する。なお、制御部23は、1以上のプロセッサで構成されていてもよく、さらに、1以上の電子回路との組み合わせによって構成されていてもよい。
【0063】
受信部231は、通信部21を介して、情報処理装置1から走行計画情報を受信する。受信部231は、受信した走行計画情報を記憶部12に記憶させる。また、受信した走行計画情報と同じ配送日の走行計画情報が記憶部12に記憶されている場合、受信部231は、記憶部12に記憶されている走行計画情報を受信した走行計画情報に更新する。
位置特定部232は、輸送車両2の位置を特定する。例えば、位置特定部232は、GPS衛星(不図示)から受信した電波信号に基づいて、輸送車両2の位置を特定する。
【0064】
走行制御部233は、受信部231が受信した走行計画情報に基づいてエンジン及びモータを制御して輸送車両2の走行制御を行う。例えば、走行制御部233は、受信部231が受信し、記憶部12に記憶されている走行計画情報に含まれる配送順序と、配送開始位置と配送終了位置とを特定する。走行制御部233は、位置特定部232が特定した輸送車両2の位置が、配送順序が最初の配送区間の配送開始位置と一致すると、当該配送区間に対応する走行手段により走行する。走行制御部233は、位置特定部232が特定した輸送車両2の位置が、現在の配送区間の配送終了位置、すなわち、次の配送区間の配送開始位置と一致すると、次の配送区間に対応する走行手段により走行する。これにより、輸送車両2は、配送区間それぞれに対応する走行手段で走行することができる。
【0065】
なお、走行制御部233は、エンジン及びモータを直接制御せず、輸送車両2の運転手が走行計画情報に基づいてエンジンで走行するかモータで走行するかを切り替えられるように、エンジンで走行する区間とモータで走行する区間を示す情報を表示パネルに表示させることで、輸送車両2の走行制御を行ってもよい。
【0066】
[動作シーケンス]
続いて、走行制御システムSにおける処理の流れについて説明する。図6は、走行制御システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。なお、本シーケンスの開始時に情報処理装置1の記憶部12に配送区間情報が記憶されているものとする。
【0067】
まず、受付部131は、輸送車両0が一度の走行において配送する複数の荷物それぞれの配送を依頼した複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付ける(S1)。
【0068】
続いて、算出部132は、削減要求を行った荷主の配送区間である対象配送区間を特定する(S2)。そして、算出部132は、輸送車両2が削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する(S3)。
【0069】
続いて、生成部133は、算出された充電量の減少量に基づいて走行計画情報を生成する(S4)。送信部134は、生成された走行計画情報を輸送車両2の走行制御装置20に送信する(S5)。走行制御装置20の受信部231は、情報処理装置1から走行計画情報を受信する。
走行制御装置20の走行制御部233は、受信した走行計画情報に基づいて、輸送車両のエンジン及びモータを制御することにより、輸送車両2の走行制御を実施する(S6)。
【0070】
[変形例]
上述の説明では、複数の荷主それぞれに対応する配送区間が重複していないこととしたが、配送区間の一部が重複していてもよい。例えば、荷物を集積する配送センターにおいて複数の荷主それぞれの荷物を輸送車両2に積んで配送を行う場合、複数の荷主の荷物が混在する。算出部132は、複数の荷主の荷物が混在する場合、輸送車両2がモータにより単位距離を走行した場合の二酸化炭素の排出量の削減量を、複数の荷主それぞれの荷物の重量比に基づいて算出する。
【0071】
この場合、輸送車両2がモータにより単位距離を走行した場合の二酸化炭素の排出量の削減量が少なくなる。これに対し、二酸化炭素の排出量の削減要求に、二酸化炭素の排出量の削減量を示す削減量情報が含まれる場合には、算出部132は、配送区間の重複を考慮して、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の充電量の減少量を算出してもよい。
【0072】
例えば、記憶部12には、輸送車両2がエンジンにより単位距離を走行した場合の二酸化炭素の排出量から、輸送車両2がモータにより単位距離を走行した場合の二酸化炭素の排出量を減算して得られる、単位距離当たりの二酸化炭素の削減量が記憶されている。
【0073】
算出部132は、削減要求を行った荷主の対象配送区間と、他の荷主の配送区間とが重複する配送区間である重複区間において、削減要求を行った荷主の荷物と、他の荷主の荷物の重量比に基づいて、削減要求を行った荷主に対応する単位距離当たりの二酸化炭素の削減量を重複時削減量として算出する。また、算出部132は、削減要求を行った荷主の対象配送区間と、他の荷主の配送区間とが重複しない配送区間である非重複区間における単位距離当たりの二酸化炭素の削減量を非重複時削減量とする。
【0074】
算出部132は、まず、非重複区間において輸送車両2がモータを用いて走行する距離に非重複時削減量を乗算した結果と、重複区間において輸送車両2がモータを用いて走行する距離に重複時削減量を乗算した結果との合計が、削減要求が示す二酸化炭素の排出量の削減量となるように、それぞれの区間の走行距離を算出する。そして、算出部132は、モータ走行時減少量と、算出した走行距離とを乗算することにより、削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすように、対象配送区間の少なくとも一部の区間においてモータを用いて走行した場合の充電量の減少量を算出する。
【0075】
また、対象配送区間の少なくとも一部が、他の荷主の配送区間と重複した場合には、対象配送区間が、他の荷主の配送区間と重複しなかった場合に比べて、削減要求を行った荷主に対応する二酸化炭素の排出量の削減量が少なくなる。このため、請求部135は、荷主の配送区間である対象配送区間の少なくとも一部が、他の荷主の配送区間と重複する場合、重複する配送期間における二酸化炭素の排出量の削減量を考慮して請求する金額を算出してもよい。
【0076】
この場合、請求部135は、削減要求を行った荷主の配送区間である対象配送区間のうち、他の荷主の配送区間と重複する重複区間における二酸化炭素の削減量を、複数の荷主それぞれの荷物の重量比に基づいて算出するとともに、他の荷主の配送区間と重複しない非重複区間における二酸化炭素の削減量を算出してもよい。そして、請求部135は、これらの二酸化炭素の削減量を合計した量に基づいて、請求金額を算出するようにしてもよい。
【0077】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、実施の形態に係る情報処理装置1は、複数の荷主のうち、特定の荷主が依頼した1以上の荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求を受け付けると、当該特定の荷主の配送区間である対象配送区間において、輸送車両2が削減要求に対応する二酸化炭素の排出量の削減量を満たすようにモータを用いて走行した場合の蓄電装置における充電量の減少量を算出する。そして、情報処理装置1は、対象配送区間の開始時における蓄電装置の充電量が算出した減少量を上回るように、対象配送区間よりも前の配送区間におけるモータの使用量を設定し、各配送区間における輸送車両2の走行計画情報を生成し、当該走行計画情報を輸送車両2に送信する。このようにすることで、情報処理装置1は、荷主からの荷物の配送に係る二酸化炭素の排出量の削減要求に対応することができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理装置
2 輸送車両
3 端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 算出部
133 生成部
134 送信部
135 請求部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 受信部
232 位置特定部
233 走行制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6