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  • 特開-シール部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121153
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】シール部材
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20240830BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
F16J15/06 N
F16J15/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028095
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】藤井 竜太
(72)【発明者】
【氏名】永野 徹
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040BA03
3J040EA03
3J040EA04
3J040EA16
3J040FA05
(57)【要約】
【課題】防水性能が低下させることなく孔の内面と円柱状部材との間に設置することが可能なシール部材を提供する。
【解決手段】シール部材100の外周側の部分である外周部分110に、当該外周部分110から径方向RDに突出する外周突出部111を設け、シール部材100の内周側の部分である内周部分120の内周側の軸方向ADの幅を、外周部分110の外周側の軸方向ADの幅より広くし、外周部分110と内周部分120との間のつなぎ部分130の両側面131を、軸方向ADに対して傾斜した傾斜面にする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔に挿入された円柱状部材と当該孔の内面との間を埋めるための環状のシール部材であって、
前記シール部材は、
前記シール部材の外周側の部分である外周部分と、
前記シール部材の内周側の部分である内周部分と、
前記外周部分と前記内周部分との間のつなぎ部分と、を有し、
前記外周部分は、当該外周部分から、前記シール部材の径方向に突出する外周突出部が設けられ、
前記内周部分の内周側の、前記シール部材の軸方向の幅は、前記外周部分の外周側の前記軸方向の幅より広く、
前記つなぎ部分の両側面は、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面である、シール部材。
【請求項2】
前記内周部分は、当該内周部分から前記径方向の逆方向に突出する内周突出部が設けられている、請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
前記つなぎ部分の外周側の前記軸方向の幅は、前記外周部分の内周側の前記軸方向の幅と同じである、または前記外周部分の内周側の前記軸方向の幅より広い、請求項1または2に記載のシール部材。
【請求項4】
前記外周部分の前記軸方向の幅は、一定である、または前記径方向に狭くなる、請求項3に記載のシール部材。
【請求項5】
前記外周部分の側面は、前記外周部分の前記軸方向の幅が前記径方向に狭くなるように、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面であり、
前記外周部分の側面の前記軸方向に対する傾斜角は、前記つなぎ部分の側面の前記軸方向に対する傾斜角より大きい、請求項4に記載のシール部材。
【請求項6】
前記つなぎ部分の内周側の前記軸方向の幅は、前記内周部分の外周側の前記軸方向の幅と同じである、または前記内周部分の外周側の前記軸方向の幅より狭い、請求項1または2に記載のシール部材。
【請求項7】
前記内周部分の前記軸方向の幅は、一定である、または前記径方向に狭くなる、請求項6に記載のシール部材。
【請求項8】
前記内周部分の側面は、前記内周部分の前記軸方向に幅が前記径方向に狭くなるように、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面であり、
前記内周部分の側面の前記軸方向に対する傾斜角は、前記つなぎ部分の側面の前記軸方向に対する傾斜角より大きい、請求項7に記載のシール部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
防水のために、電線と孔の内面との間の隙間を埋めるように、環状のシール部材(ゴム栓)が、孔に挿入された電線と孔の内面との間に設置されることがある。このようなシール部材を設置する際、一般に、電線が孔に挿入される前に、シール部材は、電線に装着され、電線は、シール部材が装着された状態で、孔に挿入される。
【0003】
特許文献1には、シール部材が装着された電線が孔に挿入される際に、シール部材がねじることを防ぐ技術が開示されている。特許文献1では、シール部材に、シール部材の外周面に設けられた第1突出部を支えるベース部分から軸方向に突出している軸方向突出部を設けることで、電線が孔に挿入される際のシール部材のねじれを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6577977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、電線が孔に挿入される際に、軸方向突出部と、第1突出部を支えるベース部分と、の間に応力が集中してしまい、第1突出部が倒れてしまうことがある。結果、特許文献1に開示された技術では、孔の内面により第1の突出部が潰される量が減ってしまうことがあり、シール部材の防水性能が低下することがある。
【0006】
そこで、本発明は、防水性能が低下させることなく孔の内面と円柱状部材との間に設置することが可能なシール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る一実施形態に係るシール部材は、孔に挿入された円柱状部材と当該孔の内面との間を埋めるための環状のシール部材であって、前記シール部材は、前記シール部材の外周側の部分である外周部分と、前記シール部材の内周側の部分である内周部分と、前記外周部分と前記内周部分との間のつなぎ部分と、を有し、前記外周部分は、当該外周部分から、前記シール部材の径方向に突出する外周突出部が設けられ、前記内周部分の内周側の、前記シール部材の軸方向の幅は、前記外周部分の外周側の前記軸方向の幅より広く、前記つなぎ部分の両側面は、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、防水性能が低下させることなく孔の内面と円柱状部材との間に設置することが可能なシール部材を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシール部材100を示す図である。
図2】シール部材100の中心軸CAを含む平面で切断した際のシール部材100の断面を示す図である。
図3】シール部材100が孔Hの内面と環状部材Pとの間に設置された状態を説明する図である。
図4】シール部材100の別例における各傾斜面の傾斜角を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<シール部材100>
図1は、本発明の一実施形態に係るシール部材100を示す図である。シール部材100の形状は、環状であり、図1に示すように、中心軸CAに対して、回転対称である。図2は、シール部材100を、中心軸CAを含む平面で切断した際のシール部材100の断面を示す図である。
【0011】
シール部材100は、孔Hに挿入された円柱状部材Pと、この孔Hの内面と、の間の隙間を埋めるためのシール部材であり、図3に示すように、円柱状部材Pと孔Hの内面との間に設置される。シール部材100を円柱状部材Pと孔Hの内面との間に設置する際、シール部材100は、環状部材Pを孔Hに挿入する前に環状部材Pに装着され、環状部材Pは、シール部材100が装着された状態で、孔Hに挿入される。図3において、円柱状部材Pは、中空の管状部材であるが、円柱状部材Pは、中空の管状部材とは限らない。
【0012】
シール部材100は、図1、2に示すように、シール部材100の外周側の部分である外周部分110と、シール部材100の内周側の部分である内周部分120と、外周部分110と内周部分120との間のつなぎ部分130と、を有する。
【0013】
シール部材100は、例えば、ゴムなどの弾性材料により形成される。また、中心軸CAを含む平面でシール部材100を切断した際のシール部材110の断面の形状は、例えば、図2に示すように、左右対称である(つまり、中心軸CAに垂直な線ASに対して鏡像対称である)。
【0014】
外周部分110には、図1、2に示すように、外周部分110から、シール部材100の径方向RD(外周側方向)に突出する外周突出部111が設けられている。また、内周部分120は、図1、2に示すように、内周部分110から径方向RDの逆方向(内周側方向)に突出する内周突出部112が設けられている。外周突出部111と内周突出部121は、弾性部材により形成されており、図3に示すように、シール部材100が円柱状部材Pと孔Hとの間に設置された状態において、潰れる。このため、例えば、孔Hが隔壁に設けられた孔である場合、シール部材100が円柱状部材Pと孔Hの内面との間に設置された状態において、隔壁の内側が水密に保たれる。
【0015】
図1、2において、外周突出部110の数は、2であるが、外周突出部110の数は、1であっても良いし、3以上であっても良い。また、図2において、内周突出部120の数は、2であるが、内周突出部120の数は、1であっても良いし、3以上であっても良い。また、内周部分110の内周側の内周面は、シール部材100の軸方向ADに対して傾斜していないが、特許文献1のように、軸方向ADに対して傾斜していても良い。
【0016】
つなぎ部分130の両側面131は、軸方向ADに対して傾斜した傾斜面である。このため、本実施形態では、シール部材100が装着された円柱状部材Pが孔Hに挿入される際に、応力がつなぎ部分130の側面131において分散され、外周部分110に応力が集中することがない。このため、本実施形態では、シール部材100が装着された円柱状部材Pが孔Hに挿入される際に、外周突出部111が倒れる可能性を低減することが可能であり、孔Hの内面により外周突出部111が潰される量が低下する可能性を低減することが可能である。結果、本実施形態では、防水性能が低下させることなく、シール部材100を、孔Hの内面と円柱状部材Pとの間に設置することが可能である。
【0017】
つなぎ部分130の外周側の軸方向ADの幅W31は、図1、2に示すように、外周部分110の内周側の軸方向ADの幅W11と同じであるようにすると良い。また、つなぎ部分130の外周側の軸方向ADの幅W31は、外周部分110の内周側の軸方向ADの幅W11より広くするようにしても良い。これにより、応力がより分散され、結果、外周突出部111が倒れる可能性をより低減することが可能である。
【0018】
このとき、外周部分110の軸方向ADの幅は、図1、2に示すように、一定にすると良い。または、外周部分110の軸方向ADの幅は、径方向に狭くなるようにしても良い。これにより、応力がより分散され、結果、外周突出部111が倒れる可能性をより低減することが可能である。
【0019】
外周部分110の側面112は、図4に示すように、外周部分110の幅が径方向RDに狭くなるように、軸方向ADに対して傾斜した傾斜面であるようにしても良い。このとき、外周部分110の側面112の軸方向ADに対する傾斜角θ1(<90度)は、図4に示すように、つなぎ部分の側面131の軸方向ADに対する傾斜角θ3(<90度)より、大きいようにすると良い。このようにすることで、シール部材100の軸方向ADの幅を増大することなく、応力をより分散させることが可能になる。
【0020】
つなぎ部分130の内周側の軸方向ADの幅W32は、図1、2に示すように、内周部分120の外周側の軸方向ADの幅W21より狭くするようにすると良い。また、つなぎ部分130の内周側の軸方向ADの幅W32は、内周部分120の外周側の軸方向ADの幅W21と同じであるようにしても良い。これにより、応力がより分散され、結果、外周突出部111が倒れる可能性をより低減することが可能である。
【0021】
このとき、内周部分120の軸方向ADの幅は、図1、2に示すように、一定にすると良い。または、内周部分120の軸方向ADの幅は、径方向に狭くなるようにしても良い。これにより、応力がより分散され、結果、外周突出部111が倒れる可能性をより低減することが可能である。
【0022】
内周部分120の側面122は、図4に示すように、内周部分120の幅が径方向RDに狭くなるように、軸方向ADに対して傾斜した傾斜面であるようにしても良い。このとき、内周部分120の側面122の軸方向ADに対する傾斜角θ2(<90度)は、図4に示すように、つなぎ部分の側面131の軸方向ADに対する傾斜角θ3より、大きいようにすると良い。このようにすることで、シール部材100の軸方向ADの幅を大幅に増大することなく、応力をより分散することが可能になる。
【0023】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0024】
100 シール部材
110 外周部分
111 外周突出部
112 外周部分110の側面
120 つなぎ部分
121 つなぎ部分120の側面
130 内周部分
131 内周突出部
132 内周部分130の側面
図1
図2
図3
図4